misasa104の海外ドラマ日記

海外ドラマ(ごくたまに海外ミステリ小説)について忘れないように書いています。

2022/3 海外ドラマ Netflix『ラスト・キングダム』シーズン5

3月までは在宅で仕事をしていたのですが、来月からは少しずつ出勤する機会も増えそうです。久しぶりの通勤電車に耐えられるか、少々心配です。

ラスト・キングダム シーズン5


ラスト・キングダム | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

シーズン1~3のあらすじと4の感想はここに書きました。
海外ドラマ Netflix『ラスト・キングダム / The Last Kingdom』シーズン1から3までのあらすじ、シーズン4感想 - misasa104の海外ドラマ日記

前シーズンが配信されたのが2020/4なので、それから約2年を経てファイナルシーズンがNetflixで配信されました。TLK(ラストキングダム)はもともとハイペースで物語が進むシリーズですが、今シーズンも例外ではありません。アクション、ロマンス、陰謀など、さまざまドラマがバランス良く構成されていて、見始めたらやめることができなくなりました。

上の写真の右端に写っているのはアゼルスタンです。彼はエドワード王の落とし子で、前シーズンではまだあどけない子どもでしたが、そこから10年(くらい?)経過した今、ウートレッドのもとで成長していました。自分の出自を理解していて、強く聡明な青年になりました。

子どもたちの成長に合わせて俳優を変えていますが、子ども以外は同じ俳優が演じているので、10年が経っているという設定でも、皆さん若い!これはいたしかたないですね。故アルフレッド王の妻エルスウィスを演じているエリザ・バターワースは21歳のときTLKに登場し、今シーズンでは27歳という若さ。娘のエセルフレド(マーシャ王国の女王)役のミリー・ブレイディと同じ年齢です。アルフレッド王の妻、娘、孫の3世代の女性が同じシーンを共有していますが、3人が同年代という。


さて、ウートレッドマーシアノーサンブリアの国境であるランコーンで仲間と暮らしており、ブリダの潜在的な帰還について心配しています。ブリダはアイスランドで娘ビベケを「予言者」とし、有志のデーン人たちを率いていました。彼女のウートレッドに対する憎しみは衰えるどころか、もはや彼女の生きる目的になっているようでした。

ブリダとウートレッドの歴史は長く、ブリダが一方的にウートレッドに裏切られたように思い込み、彼を恨む気持ちはある程度は理解できますが、かなり度を越しているように思います。

ブリダの目的地は、シグトリグル王とウートレッドの娘スティオラの砦です。その間、エセルヘルムは彼の血を引く柔和な孫が王位に就くことを確実にするためにエドワード王に対してあれこれと陰謀を企てます。

かなり早いペースで、政治的および個人的なストーリーが織り交ぜられて進みます。同時に多くのことが起こりますが、自然に受け入れられるようになっています。これは練られた脚本のお陰かもしれません。

サクソン人として生まれ、デーン人に育てられたウートレッドという一人の男性が、歴史的、政治的陰謀に巻き込まれ、長年にわたって戦ってきたわけで、彼と今までに擁護してきた人々との間には明確な絆があります。これは、彼がリーダーとしてのカリスマ性を持っていることと、愛する人を失う痛みを知っていること、人として信頼できることにあると思います。過去に親友ハリグを失ったときのぼろぼろになったウートレッドを思い出してください。

彼は生意気でときには傲慢な態度をとることもありますが、熟練した戦士であり続け、自分の行動によって周りの人々に与える影響を配慮することができる思慮深い男性に成長しました。


死んでいたと思っていたエルスウィスの登場も嬉しかったですが、イーディスが現れたときはパッと花が咲いたようでした。前シーズン、イーディスの登場はちょっと変わっていました。彼女はエセルフレドの夫の愛人として紹介され、兄はというとメルシャンの王位を奪う計画していました。彼女はそんな兄を見限り、その後ウートレッド側につき、エセルフレドを捕虜から解放し、ウートレッドの部下をヘステンから救出しました。

イーディスはフィナンとロマンスがあったようでしたが、彼とは別れ、この10年間は薬(ハーブ)のことを学んでいたことがわかります。エセルフレドの具合が悪くなったことで、彼女は呼ばれたのですが、そのことでウートレッドと再会することになります。(この流れはもしかして、続編の映画にも出演するかも?)

上にも書いたヘステンはウートレッドの敵でしたが、彼は寛容なところがあり、憎めない存在でもありました。そんなヘステンが今シーズンではウートレッドとチームを組むことに。これはちょっとした嬉しいサプライズでした。ヘステンの強力を得るための仲介役としてヒルドも登場します。

シリーズの終わりでヒルドがウートレッドに会わせるために連れていた少年は、ウートレッドの3番目の子どもですね。ウートレッドの2番目の妻は3人目の子どもの出産中に亡くなりました。その後、末の子がどうなったのかは言及されていなかったように思いますが、ヒルドが預かっていたのですね。実際にウートレッドと対面するシーンはありませんでしたが、二人がどんなだったかは想像に難くないでしょう?

今シーズンは今まで以上に感傷的なシーンが多く心が揺さぶられましたし、今までの伏線をすべて回収したかのような結末は、束の間幸せな気持ちにさせてくれました。映画「Seven Kings Must Die」は来年に観ることができるでしょうか。


2022年2月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

ついにロシアがウクライナに侵攻してしまいました。心配はしていたけれど、現実になるとは非常にショックです。1日も早い平和的解決を心から願っています。

海外ドラマ

1990年から20シーズンにわたり放送された犯罪捜査ドラマ『LAW & ORDER』が12年ぶりに復活し、米NBCで放送が開始されました。おなじみのサム・ウォーターストンアンソニー・アンダーソンが登場するのも嬉しいですし、新キャストのヒュー・ダンシー(地方検事)、ジェフリー・ドノヴァン(NYPD)にも期待大です。日本での放送はもう少し時間がかかるでしょうか?その前にステイブラーが復職する『LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班』が、3/9(水)からスパドラで放送予定です。忘れないように録画予約しなくては。

週末から、Netflixで『ヴァイキング ~ヴァルハラ~』を観始めました。まだEP4なのにまるでシーズンのクライマックスのような盛り上がりです。一気見したくなりましたが、翌日は仕事なのでやめました。これからどうなるのか、楽しみです。

それから、首を長~くして待ちに待った『ブリティッシュ ベイクオフ シーズン9』がFOXで3/26(土)から放送されるようです。早く観たいー!

以下は今月観たドラマの感想で、ネタバレを含みます。

ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~シーズン1

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Amazon.co.jp: ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~シーズン1を観る | Prime Video
リー・チャイルドの小説『ジャック・リーチャー』シリーズに基づくAmazonオリジナルドラマ。トム・クルーズ版の映画も愉しみましたが、小説に出てくるジャック・リーチャーは身長1m95cmの大男ということで、ドラマ版は小説のイメージに近いアラン・リッチソンがリーチャーを演じています。

リーチャーは元アメリカ陸軍内部調査部のエリート軍人で、今は放浪の旅を続けているのですが、予想通り旅先で事件に巻き込まれるわけです。彼は、探偵スキルや明晰な頭脳、および軍で鍛えた戦闘能力をフル活用し、地元の人々を支援し事件を解決に導きます。悪者は容赦なく殺されてしまうんですが。

最初にドラマを見たときは、アラン・リッチソンがちょっと硬い?知的に見えない?などと思ったのですが、回を重ねてみればリーチャーにフィットしてきました。彼に協力する(本当は彼が協力しているんだけど)地元警察の面々も個性的で好感が持てます。このドラマに登場する俳優をわたしはほとんど知らなかったので、新鮮な目線で見れたのも良かったです。

IMDBでは8.3の高評価をつけ、はやくもシーズン2の制作が決まったそうです。次シーズンを楽しみに待ちましょう。

The Sinner -隠された理由- シーズン4(Netflix)2021

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The Sinner -隠された理由- | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
人気犯罪サスペンスドラマがシーズン4へ!退職したばかりの刑事ハリーは、パートナーのソーニャと共に訪れたハノーバー島で突然の悲劇を目撃する。

人間の闇の深さを浮彫りにするシリーズもいよいよラストでしょうか。公開されてすぐに見ました。前シーズンは物語よりもマット・ボマーに目がいってしまったんですけれど、今回は真相究明に向き合うことに(笑)。

偶然に女性の自殺現場を目撃したハリーは、その原因を探るために調査を続けます。ハリーはジェイミー・バーンズ(ボマー)の死に深く影響を受け不眠症になっていたため、昼夜問わず行動しているよう。身体は悲鳴を上げていても、何かを追っているほうが生き生きしていました。

ハリーがずっと罪悪感に苛まれているのは明白ですが、エンディングを通して彼はパーシーのようにはならないと確信が持てたのは良かったです。

ディアトロフ峠事件(AXNミステリー)2021

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ディアトロフ峠事件 | AXNミステリー
1959年、旧ソ連で発生して以降現在に至るまで、世界中で物議を醸している「世界一不気味な遭難事件」の真相に迫った、ロシアの最新ミステリー。

ドラマは10人の学生がウラル山脈北部にハイキングをした実際の出来事に基づいています。そのうちの1人は引き返し、悲しいことに残りは二度と戻ってきませんでした。KGB少佐オレグ・コスティンが調査のためモスクワに召喚されたとき、学生たちはすでに長い間行方不明になったままでした。

捜査が開始され、全員が変死体となって発見されます。彼らのテントは内側から切り開かれていたり、極寒にも関わらず薄着だったり、眼球や舌がない遺体もあったことから、ただの遭難事故ではないと調査が始まります。一話置きには、白黒でレンダリングされたディアトロフ遠征の最後の日のフラッシュバック・シーンが挿入されています。カラー映像の方では、謎を解明しようしている魅了的なオレグが物語を牽引します。

調査を手伝う検視官カティアは、重苦しいドラマの中でパッと咲く花のような存在でした。彼女は美しく、戦争で夫を亡くしています。仕事終わりにオレグがカティアを車で送っていき、手料理の招待に即OKしたとき、わたしはありがちなロマンスの始まりかと思ったのですが、そこにはオレグだけが知る悲しい過去がありました。

遭難の原因については、クマ、先住民のマンシ人、ひどい天気、空の不思議な光、そして近くの労働収容所から脱走した者への襲撃など、疑わしい事案が次々に浮かんできます。ディアトロフ神話のいくつかは明されますが、暗い超自然的な神秘主義が全体にかかっていて、まさか、UFOのせいだった、なんてならないだろうね、と心配しながら観ていました。最終的にコスティンが出した結論は、非常に納得のいくものでした。

いずれにしても、わたしの想像力はかなり的外れで低次元だったということがわかりました。ロシアンドラマでソ連時代の様子を見るのはとても興味深かったです。

警部補アニカ ~海上殺人捜査ファイル~(WOWOW)2021

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英国サスペンス「警部補アニカ ~海上殺人捜査ファイル~」 | ドラマ | WOWOWオンライン
スコットランド警察に新設された海上殺人捜査班が、海・川・湖などで発見された殺人事件の謎に挑む、一話完結形式のシリーズ。

リーダーとなるのは女性警部補アニカ(『埋もれる殺意』の二コラ・ウォーカー)。自らモーターボートを操縦し、推理力は抜群、犯罪者と対峙しても物おじしない敏腕捜査官で、私生活では思春期の娘モーガンの子育てに悩むシングルマザーです。

オープニング・エピソードの最初でアニカはカメラに向かって「白鯨」の説明をするんですね。そうやって各エピソードでわたしたちに話かけてきます。事件は深刻ですが、対話のせいで少しコメディタッチのライトな刑事ドラマになっています。

スコットランドの自然が美しく描写されているのもいいです。わたしはこのドラマのスタイリストは『ハッピー・バレー』と同じなのでは?なんて想像しています。緑色を多用したファッション、ワインレッドの利かせ方とか、、まぁ勝手な想像なんですけれど、同じように感じた人はいないでしょうか。

シカゴ・メッド シーズン4(Hulu)

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Hulu(フールー): 人気映画、ドラマ、アニメが見放題!【お試し無料】
いやー!もう怒涛の展開、疑心暗鬼の連続です。鑑賞後は疲れるので寝る前には見ないようにしていました。

ウイルとナタリーはついに結婚かと思ったのも束の間、結婚式は台無しになり、PTSDになったウィル(実際にはウィルが銃を自宅に持ち込んだこと)をナタリーは拒否します。そんな中で、ナタリーに急接近したフィリップは結婚を申し込もうとしています。実際にプロポーズしたのか、もししたのならナタリーが何と返事をしたのかは不明です。

安全確保のため、FBIから州外への転居を勧められたウィルでしたが、ナタリーを置いてシカゴを離れることができません。そんなウィルの気持ちをFBIのイングリッドから聞いたナタリーはウィルの駐車中の車に乗り込み、彼と話し合おうとしますが、まさにそのときウィルへの復讐に駆られたティム・バークが車を激突させ、その衝撃で、ナタリーは車の開いたドアから投げ出されてしまいます。果たして彼女のダメージはどれほどひどいものだったのでしょうか。

クリフハンガーはこれだけではありません。コナーの父親を殺したのはエヴァだったのかという謎もそのままです。わたしとしては、そうでないと思いたいです。聡明なエヴァがコナーを取り戻すためにそこまでやってしまうのは考えづらいです。万一、彼女がコナーの父親を消そうと思ったとして、インスリンを使いますか?けれども、シカゴ・メッドは容赦ないドラマなので、彼女をサイコパスに仕立てあげ、シリーズから追い払ってしまうでしょうか。

またエイプリルの妊娠疑惑は?マギーの乳がんはどうなるでしょう。わかりやすくイケメン枠で登場したフィリップは、普通の良い人でしょうか。

シーズン3の感想はこちら:
海外ドラマ 『シカゴ・メッド』シーズン3 感想 - misasa104の海外ドラマ日記

映画

今月は、アカデミー賞にノミネートされている映画の鑑賞になりました。

エスト・サイド・ストーリー

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映画『ドリームプラン』オフィシャルサイト
1961年にも映画化されたブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド物語』を再び映画化。1950年代のニューヨーク。マンハッタンのウエスト・サイドには、夢や成功を求めて世界中から多くの移民が集まっていた。社会の分断の中で差別や貧困に直面した若者たちは同胞の仲間と集団をつくり、各グループは対立しあう。

スピルバーグの本作は元の映画をリスペクトした内容だったと思います。なので、物語そのものをとやかくいうのはナンセンスな気がします。新星のヒロインも良かったですし、ダンスは見応十分。映画館のスクリーンで観るべき映画と思います。ただ、上映時間はもう少し短くても良かったかもしれません。

ドリームプラン

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映画『ドリームプラン』オフィシャルサイト
世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげたテニス未経験の父親の実話を基に描いたドラマ。

現題は「King Richard」、リチャードは父親の名前です。ウィル・スミスが主演・製作を務めたということもあって、天才少女たちを差し置いて、父親が主役の映画です。リチャードに明確なプランがあることも、子どものことを想っての言動だというのはわかりましたが、少々面倒な人です。彼に振り回される家族やコーチは大変だったことでしょう。一緒に娘たちを育てた妻が、ある日、リチャードに本音をぶつけるシーンには、正直胸がスカッとしました。

映画で意外な俳優がテニスコーチとして好演しているのも注目です。最初のコーチ、ポール・コーエンを『スキャンダル』で大統領だったトニー・ゴールドウィンが、二番目の指導者リック・メイシーを『ウォーキング・デッド』『Marvel パニッシャー』のジョン・バーンサルが演じています。それだけでも見たくなりませんか?

パワー・オブ・ザ・ドッグ(Netflix

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パワー・オブ・ザ・ドッグ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台に、無慈悲な牧場主と彼を取り巻く人々との緊迫した関係を描いた人間ドラマ。

大牧場主のフィル・バーバンクと弟ジョージの兄弟は、地元の未亡人ローズと出会う。ジョージはローズの心を慰め、やがて彼女と結婚して家に迎え入れる。そのことをよく思わないフィルは、2人やローズの連れ子のピーターに対して冷酷な仕打ちをする。

カンバーバッチ、リアル夫婦のキルステン・ダンストジェシー・プレモンスが出演しているーと、期待して観始めたのはいいのですが、カンバーバッチ演ずるフィルの陰険な性格がイヤになり、途中で断念。しばらくしてから、この映画がアカデミー賞にノミネートされていることを知り、見直してみることにし最後まで鑑賞しました。

この映画はジェーン・カンピオンが監督だったんですねー!およそ30年前に観た『ピアノ・レッスン』は印象深いものでした。それにしてもこの映画、少々忍耐力が必要です。中盤までは、有名大学で哲学を専攻したという、掴みどころがない陰湿な性格でとても好きになれないフィンをただただ見ていなくちゃいけないんですよね。途中からは少しずつフィンのことがわかるようになってきます。

そして、掴みどころがないのは何もフィンだけではなくてピーターもしかり。がりがりに痩せた身体だけれど、自殺した実父は息子ピーターのことを「強い子」だと言っていたらしい。そのときのわたしはフィンと同じリアクションだったけれど、見終わってみれば、いろいろなところに伏線が張り巡らされていて、よくできた脚本だなぁという感想を持ちました。

小説

レイン・ドッグズ エイドリアン・マッキンティ/武藤 陽生訳

80年代の北アイルランドを舞台にした〈ショーン・ダフィ〉シリーズの最新作。北アイルランドにある古城で転落死体が発見された。事件当時の現場は完全な密室状態であり、捜査は難航を極める。

って、また密室ですか?「あい」という返事が聞こえてきそう。ダフィ自身も、同じ刑事が二度も密室殺人に出くわす確率とは如何にやと首をかしげているんですもん。ですが、当時実際にあった事件を織り交ぜながら進むストーリーはリアリティがあります。

私生活では、ダフィの人生に新たな局面が訪れます。愛すべきダフィの今後も気になるところです。

凍てついた痣 カリン スローター/田辺 千幸訳

凍てついた痣 (ハーパーBOOKS)

凍てついた痣 (ハーパーBOOKS)

Amazon
大学の敷地内で男子学生の遺体が発見された。自殺と他殺、両方の線で調べが進むなか、第一発見者の女子学生が拳銃自殺し、事件は思わぬ様相を呈し始める。〈グラント郡〉シリーズ最新刊。

今作はいつもに増して、内輪話しが多く、いよいよ推理小説ラブロマンスかという印象。

彼女のかけら | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
カリン・スローターが2018年に発表した小説『彼女のかけら』がトニー・コレット主演でドラマ化され、3月にNetflixで配信されるようです。

冤罪法廷 ジョン・グリシャム、白石 朗/訳

冤罪と思われる死刑囚・終身刑収監者の事件を徹底的に再調査し、無実を証明、彼らを自由の身にすることを専門とする法律事務所〈ガーディアン・ミニストリーズ〉の活躍を描く。

ここ最近、ジョン・グリシャムの本でもスキップしたものがありましたが、本作は面白かったです!実話ベースなので、説得力もあり、登場人物の造形も素晴らしいです。

Netflixなどで、冤罪ものドキュメンタリーを観る機会も多くなってきましたが、今まで見ていた刑事ドラマとは異なり、ずさんな捜査だけでなく、偽装工作・隠蔽工作もする警察の存在は小説の中だけではなさそうです。何もアメリカに限った話しではないと思いますが、それにしてもなんとかならないものなんでしょうか?

無実 -The Innocent Man- | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
ジョン・グリシャムが書いた唯一のノンフィクションに基づくドキュメンタリー。本人も登場しています。


2022年1月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

今月は下旬になると、忙しくなり、久しぶりに週末も仕事をする始末。今月はブログを書くのを諦めようかなと思ったのですが、すぐに忘れてしまう自分のための備忘録でもあるので、少しだけ書こうと思います。

海外ドラマ

以下、ネタバレ含みます。

刑事モース~オックスフォード事件簿~ シーズン8(WOWOW)2021

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刑事モース~オックスフォード事件簿~ | ドラマ | WOWOWオンライン

前シーズン、モース(ショーン・エヴァンス)はイタリアで出会った美しい女性ヴァイオレッタと恋に落ちるが、彼女には夫がいた。やがてヴァイオレッタはある連続事故死に関与したことをモースに認めた後、モースをかばい夫に射殺されてしまう。今シーズン、ヴァイオレッタとの出来事に責任を感じるモースは酒浸りに。町で次々と起きる難事件を前にして、彼は立ち直ることができるのか。

昨年同様、お正月には「モース」と決まっています(^_^)
シーズン8はCase31,32,33の3つのエピソードに分かれていて、Case31ではエヴァンスが監督をしています。Case33はアガサ・クリスティー風(?)の物語になっていました。

モースは出会う女性と簡単に恋人同士になってしまうのですが、上司サースディの娘ジョアンに対してはずっと特別な感情を持っていました。モースの友人ストレンジは、ジョアンの心を勝ち取ろうとしているライバルです。今シーズン、モースが飲んだくれている間、ジョアンは美しいドレスを着こなし、フリーメーソンのパーティに参加するストレンジに同行します。彼女は安心できる控えめで優しいこの男性を選ぶでしょうか。

シーズン9が制作されるかどうかは決まっていないようですが、アルコール依存から立ち直ったモースの活躍を見たいです。

ブラインデッド:ゾウズ・フー・キル(WOWOW)2021

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北欧サスペンス「ブラインデッド:ゾウズ・フー・キル」 | ドラマ | WOWOWオンライン

ルイーセは、亡き母の友人アリスに呼ばれてフュン島へ。脳腫瘍で余命わずかのアリスは、5年前に息子を殺した連続殺人犯を何とかして捕まえたいと考えていた。ルイーセは捜査責任者のカリーナに話を聞きにいくも、最初は資料を開示してもらえなかったが、その後、ルイーセのプロファイリングが認められて捜査に協力することになる。

デンマークのドラマシリーズ『ゾウズ・フー・キル』のリブート第2弾。1つ前の『ダークネス:ゾウズ・フー・キル』で活躍した刑事ヤンとプロファイラーのルイーセのコンビがそのまま登場するのかと思っていたら、ルイーセだけだったんですね。

ドラマは捜査陣と犯人の様子が並行して描かれるので、犯人が誰かはすぐにわかってしまうのですが、最後になるまで犯人の動機が不明のため、彼の行動がより恐ろしく感じられました。特に犯人がアリスにしかけたことは、あまりにも残酷で、わたしはアリスを一人にしたルイーセを責めました。

ルイーセはひょんなことから、私生活で犯人ピーターと知り合い、彼と深い関係になります。ボーイフレンドと別れたばかりとはいえ、ルイーセの仕事を考えれば、その脇の甘さはいかがなものかと。それに比べて、カリーナの言動は理想的なリーダーとして説得力があり、バランスとしてちょうど良かったのかもしれません。

前作の感想はこちら:
自宅で海外ドラマを見よう! - misasa104の海外ドラマ日記

死を招く森~引退刑事ベトゲの執念(AXNミステリー)2020

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死を招く森~引退刑事ベトゲの執念 | AXNミステリー

1989年の夏、ニーダーザクセン州のイゼ森で2組のカップルが惨殺された。そんな中、州刑事庁長官トーマス・ベトゲの妹であるバーバラが彼女の家から跡形もなく姿を消した。殺人事件と失踪事件に関連はあるのか?真相がわかるまで約30年も要した実話の物語。

1話目の80年代は、古いドラマを再放送しているのかと錯覚するくらい、その時代のファッションや髪型など細部まで再現されていました。6つのエピソード(3話構成で放送)を通して、年月が経つにつれて、事件間のつながりはゆっくりと現れ始めます。

2話目を見終わったところで、はたと気付きました。これはNetflixで観たドキュメンタリー『執念の捜査 ビルギット・マイヤー失踪事件』の話だと。結局のところ、地元警察の捜査の詰めの甘さが招いた結果ということがわかったわけですが、被害者の兄が不撓不屈の元長官だったから真相が解明できましたが、そうでなければ未解決事件として終わっていたのではないでしょうか。

クラリスWOWOW)2021

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クラリス | ドラマ | WOWOWオンライン

新しいシリーズ『クラリス』は、1991年の映画『羊たちの沈黙』の続編で、女性の生皮を剥ぐ「バッファロー・ビル事件」を解決した1年後のクラリスの人生に焦点を当てています。

わたしはこのドラマを観る前にWOWOWで配信していた『羊たちの沈黙』を観たのですが、30年も前にも観た各シーンは今でもほぼ覚えていて、びっくりしました。改めて名作だなと感じました。

さて、ドラマ版のクラリス役はレベッカ・ブリーズ。『プリティ・リトル・ライアーズ』や『オリジナルズ』などに出演していたそうです。つい、ジョディ・フォスターと比べてしまいようになりますが、これはレベッカのドラマと割り切って観るべきですね。視聴済みの3話については、あまりトマス・ハリス感はなく、CBSが作った刑事ドラマという印象です。

マイケル・カドリッツがクラリスの上司役として出演していて嬉しくなっちゃいました。『ウォーキング・デッド』のエイブラハムというとわかるかもしれませんが、『サウスランド』のように刑事が似合う!

シカゴ・メッド シーズン4(Hulu)

前シーズンの公開から、それほど時間を経てずにシーズン4の配信はありがたいです。現在4話目まで視聴済み。登場人物たちの私生活は不安要素だらけで、目が離せないです。

シーズン3の感想はこちら:
海外ドラマ 『シカゴ・メッド』シーズン3 感想 - misasa104の海外ドラマ日記

映画

Coda コーダ あいのうた(2022)

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映画『Coda コーダ あいのうた』公式サイト

家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。

タイトルの「CODA」は「Children Of Deaf Adults」(⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども)を意味するのだそう。知らなかったです。

ちょっとぶっ飛んだところもあるけれど、明るい仲良し家族が素敵です。音楽大学に進みたい妹をあと押しする兄、娘の歌を感じようとする父親の姿に泣きました。映画館で鑑賞するのをおすすめしたい映画です。

小説

まだ見ぬ敵はそこにいる ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班 ジェフリー アーチャー/戸田裕之 訳

一流弁護士の父親の反対を押し切ってロンドン警視庁の警察官になったウィリアム・ウォーウィックは、警視長直属の麻薬取締独立捜査班に異動になり、ある特命を受ける。それは、ロンドンを支配する悪名高き麻薬王、通称「ヴァイパー」の正体をつかみ逮捕することだった。

前作『レンブラントをとり返せ』の続編です。美術骨董捜査班から異動になって、前作とはまったく事件を追うのかと思いきや、因縁のあの人はちゃんと絡んできます。安定の面白さは言うまでもありません。

ネヴァー ケン・フォレット/戸田裕之 訳

中央アフリカに位置するチャド共和国。その首都ンジャメナに駐在するCIA工作員タマラは国境にかかる橋で起きた小規模な武力衝突に巻き込まれる。だがそれは、チャド・スーダンの背後にいるアメリカ・中国をも巻き込み世界を揺るがすことになる争いの端緒に過ぎなかった。

ちょっとわたし向きではないかもね、と思いつつ、しっかり没入してしまった。どうか、現実世界ではそんなことは起こりませんように。

警告 マイクル・コナリー古沢嘉通

ある日、一度だけ面識のある女性が殺され、マカヴォイに殺人容疑がかけられる。自分が犯人ではないことを知っている彼は、被害者がデジタル・ストーキングされていたとの情報から、独自に事件を調べ始める。

不屈のジャーナリスト、ジャック・マカヴォイはもう50代ですか?『ザ・ポエット』では30代、『スケアクロウ』では40代だったらしい。どちらも読んでいるはずだけど、思い出すのに一苦労。それでも、これを読むとマカヴォイ・シリーズが一番だと思う。でもボッシュを読むとそれが、リンカーン弁護士シリーズを読むとそれが一番面白いと思うんですよねー。無限ループでしょうか。

最後の審判 ロバート・ベイリー/吉野弘人 訳

老弁護士トムにかつて煮え湯を飲まされたあの殺人鬼が脱獄し、最凶の殺し屋とともに血みどろの復讐劇の幕を開ける。

4部作の「ザ・プロフェッサー」シリーズ完結編です。ガンを患っていたトムの行き着くところが想像できてしまい、読みたいような、読むのが怖いような気がしていましたが、手にとり読むことに。あぁ、これでおしまいなんですね。


2021年12月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

先月、クロスバイクのことを書きました。その後、少しの時間でも毎日Zwiftするようにしています。わたしの場合はトレーニング目的ではないので平坦なコースをゆっくり走っていますが、普段は汗をかかないわたしでも20分くらい走ると汗だくになります。プロみたいなライダーがたくさん参加しているよう(すごい勢いで抜かれます!)ですが、もっと素人向けのコースが増えると嬉しいなと思います。

海外ドラマ

以下、ネタバレ含みます。

DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機(Disney+)2021

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1990年代から2000年代にかけて実際に起こった実話を元にし、ニューヨーク・タイムズのベストセラーにもなったベス・メイシーの本を原作にした社会派ドラマ。マイケル・キートンが主演・製作総指揮を務めています。

ここ数年、「オピオイド危機」という言葉を聞くようになりました。Netflix『ザ・ファーマシスト: オピオイド危機の真相に迫る』やHBO『巨大製薬会社の陰謀』のようなドキュメンタリーも制作されているので、観た人もいると思います。

1990年代半ば、サックラー家が所有するパーデュー・ファーマは強力なオピオイド鎮痛剤であるオキシコンチンをリリースします。モルヒネよりも強力なこの薬は極度の痛みにのみ使用することを目的としていますが、FDAが承認したラベルには中毒性がないと書かれ、パーデューの詐欺まがいのマーケティング・キャンペーンにより、オキシコンチンアメリカで最も人気のある薬の1つになりました。オキシコンチンを乱用する人だけでなく、処方された通りにそれを使用した人々でさえ中毒になり、多くの人が亡くなりました。

脚本は秀逸で、わたしは1話目を見ただけで、良く出来たドラマだと感心し、次の配信日が待ち遠しくなりました。ケイトリン・デヴァー(下記の『ディア・エヴァン・ハンセン』にも出演、最近すごい活躍ですね)は鉱山で負傷し、マイケル・キートン演じる町医者によってオキシコンチンを処方され、後に依存症になってしまう石炭鉱山労働者として優れたパフォーマンスを発揮しています。レイ・マッキノンとメア・ウィニンガムが演じる彼女の両親は、必死に彼女を救おうとします。

パーデュー・ファーマの営業担当者としてウィル・ポールター(『ミッドサマー』)とフィリッパ・スー(『ハミルトン』での素晴らしい歌と演技)は、許容できるものが違うようでした。司法省の検事補のピーター・サースガードとジョン・フージナッカーは、パーデューの幹部を告発するために何年にも渡って仕事をする必要がありました。二人の地道な調査はすぐには結果に結びつかず、一進一退をする様子がリアルに描かれます。そして、オキシコンチンを開発したリチャード・サックラー役のマイケル・スタールバーグは、わたしたちを不安にさせ、怖がらせます。

VIGIL 原潜ヴィジル 水面下の陰謀(スターチャンネル)2021

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原潜ヴィジル 水面下の陰謀公式サイト | 映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]

イギリス海軍原子力潜水艦ヴィジルの艦内で、異常事態が感知される。一人の乗組員が浮上することを上官に進言するが聞き入れられず、間もなくその乗組員が死体で発見される。捜査の依頼を受けてスコットランド警察の主任警部シルヴァは、潜水艦に乗り込み、密閉された空間で捜査を進めることに。

スタチャンで週一回(毎週水曜日の夜10時)配信されていました。『ライン・オブ・デューティ』などのヒット作を送り出したチームが新作ドラマを作るらしいと知ってから、日本で公開されるのをずっと待っていました。

マーティン・コンプストン(アーノットではなくクレイグ・バークとして)が出てきたーと思ったら、すぐに死んでしまった。公式には薬物の過剰摂取で死亡したことになっています。DCIエイミー・シルヴァ(『女医フォスター』のサラン・ジョーンズ)は3日間、それを調査するために艦内に派遣されます。そして地上から彼女を支援するのは彼女の元恋人で同僚のカーステン(『ゲーム・オブ・スローンズ』ローズ・レスリー)。待望のショーン・エヴァンス(『刑事モース』)はシルヴァを助ける乗組員のキーパーソン、グローヴァー准尉を演じています。

捜査を始めたシルヴァは、バークは殺されたのだと告げます。その後、第2の殺人事件も発生し、シルヴァも事件に巻き込まれてゆきます。

事件とは別に、過去の事故が原因でPTSDになったシルヴァのフラッシュバック・シーンが並行して描かれるわけですが、それが主にはカーステンのことなんですね。ここでも同姓同士のカップル事情が描かれます。そのぐらい、普通になってきたということでしょうか。

わたしは、艦内でシルヴァやグローヴァーが着ていた私服のスエットにこれ見よがしなヴィヴィアン・ウエストウッドのロゴがついていたのを目ざとく見つけ、懐かしくて(若いとき好きだった)お揃いの服を買おうか迷ったのですが、高いので断念しました(^_^)

北氷洋(AXNミステリー)2021

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北氷洋 | AXNミステリー

ブッカー賞の候補作となり、ニューヨーク・タイムズの2016年度ベスト・フィクションの1冊にも選ばれたイアン・マグワイア原作のドラマ化。

19世紀、元軍の外科医であったパトリック・サムナー(『マネーモンスター』のように追いつめられる役といえばこの人、ジャック・オコンネル)は、北極海をめざす捕鯨船の船医として乗船することになります。同じ船には野蛮なモンスターのような男ヘンリー・ドラックス(コリン・ファレル)や悪意のある一等航海士のキャベンディッシュがいます。さらに悪いことに、船長のブラウンリー(LODジョン・コーベット役のスティーブン・グラハム)は、船の所有者から保険金目的のために船を沈めるよう指示されていました。

小説がベースになっているせいか、北極圏での流氷上で撮影したシーンが神がかって美しいせいか、詩的でじっくり観たくなるドラマという印象です。とはいえ、野蛮で残酷なシーンもあるんですけれどもね。それにしても、ドラマの枠を超えた壮大なスケールで制作されたことは間違いないです。

さまざまな作品で活躍するコリン・ファレルですが、呆れるほど、陰気で汚い役が似合います。2枚目の役も好きですけれど。

ライン・オブ・デューティ シーズン6(WOWOWスター)2021

1つ前の日記に書きました。相変わらずの面白さで、手に汗握って観ました。

レジデント 型破りな天才研修医 シーズン4(FOX)

移民の医師であるミーナはビザが切れてしまい、ナイジェリアに帰国してしまいましたー。現代アメリカにおけるヘルスケアで重要な課題なのだとか。
とはいえ、ミーナが抜けてしまったあと、わたしは軽いロスになりました。

映画

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 (2021)

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映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』公式サイト

環境汚染問題をめぐって1人の弁護士が十数年にもわたり巨大企業との闘いを繰り広げた実話を、環境保護の活動家という一面も持つマーク・ラファロの主演・プロデュースし映画化。

1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットが受けた思いがけない調査依頼。それはウェストバージニア州の農場が、大手化学メーカー・デュポン社の工場からの廃棄物によって土地が汚され、190頭もの牛が病死したというものだった。

実話だというのだから、すごい!自宅に帰ってから、テフロンが剥げているフライパンがないか確認しました。ビロットの上司役のティム・ロビンスを久しぶりに堪能できて嬉しい。ビロットの執念も素晴らしいけれど、彼をクビにしなかった事務所もエラい!

ディア・エヴァン・ハンセン (2021)

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映画『ディア・エヴァン・ハンセン』| 大ヒット上映中

トニー賞で6部門を受賞し、グラミー賞エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカルを映画化。

親しい友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが、カウンセリングの宿題で自分宛に書いた「Dear Evan Hansen」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、コナーのポケットに手紙を見つけた両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。コナーの両親をこれ以上苦しめたくないと、エヴァンは話を合わせてしまう。

ブロードウェイで主演をしてきたベン・プラットが堂に入った演技で魅了します。歌を聴いただけでしびれます。ただし物語では、エヴァンはウソをついているわけで、どういう展開になってしまうのか、不安な気持ちで観ていました。

何度も泣いてしまったんですが、エヴァンのお母さん(ジュリアン・ムーア)の歌が一番泣けました。

小説

獣たちの葬列 スチュアート マクブライド/鍋島 啓祐 訳

猟奇殺人鬼「インサイド・マン」が、8年ぶりに凶行を再開した。犯人検挙のため協力を要請されたのは、殺人罪で服役中の元刑事アッシュ。かつて犯人を逮捕目前まで追いつめたアッシュは、仮釈放を条件に捜査を引き受ける。

ユーモアセンスもあるけれど、残酷なハードボイル小説です。約700ページもあって、3日間くらいは寝る前にテレビもPCも見ずにこの本だけを読んでいました。
小説中に食事シーンが多く、夜読んでいると食べたくなってしまう。わたしはこの本で、チップ・バティなるものを知りました。うーん、それは食べなくていいかな。

アッシュの身元引受人になった心理学者で大酒飲みのアリスをはじめ、親友のシフティ、アッシュに想いを寄せる元部下ローナ、サイバー課のサビールなど、個性が強い面々が楽しい。8年ぶりに事件は解決するのですが、意外な犯人に驚きました。

ブラックサマーの殺人 ワシントン・ポー M W クレイヴン/東野 さやか 訳

過去に手掛けた事件に冤罪疑惑が持ち上がり、刑事ポーは窮地に立たされる。

前作『ストーンサークルの殺人』に続くワシントン・ポーのシリーズです。自分が投獄した犯人が殺したはずの娘が、6年後に生きて姿を現したことから、さぁ大変!ということで、ポーは調査を勧めます。

このシリーズ(といってもこれで2作目)の好きなところは、分析官ティリー・ブラッドショー(すごく成長しました)、上司のステファニー・フリン、またフリンの上司までもが、プロフェッショナルで優秀だということ。ドラマでは、無能な上司の横やりが入ることも多いですが、チームワークが抜群なのです。読んでいて気持ちいい。

木曜殺人クラブ リチャード オスマン/羽田 詩津子 訳

未解決事件の調査をして暇をつぶす老人グループ〈木曜殺人クラブ〉。入居する施設の関係者が殺されたのをきっかけに、彼らは真相究明に乗り出すことに。

老いても、知的でチャーミングなメンバーが事件を解決する。わたしもエリザベスのようになりたい。

暗殺者の献身 マーク グリーニー/伏見 威蕃 訳

病身を押し、多発する情報員失踪の真相究明に当たるグレイマンは、やがて愛する女性の救出に赴き、世界を揺るがす陰謀の渦中に。

シリーズだったんですね。わたしは初めて読みました。病気でめちゃくちゃ調子悪そうなグレイマンですが、その活躍ぶりが素晴らしい。次作が出たら、必ず読むでしょう。


海外ドラマ『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』シーズン6(ネタバレ)

シーズン6もNetflixで配信されると思い込んでいましたが、WOWOWプラスで放送されたんですね。ギリギリに気が付いて録画しました。

このシリーズは英国警察内での不正を捜査する汚職特捜班、通称「AC-12」が汚職警官を追い詰めてゆく警察ドラマです。AC-12所属のスティーブ・アーノットとケイト・フレミング、二人の上司であるテッド・ヘイスティングス警視が中心となり、追う者と追われる者との間で繰り広げられる息が詰まるような攻防戦がスリリングに描かれ、綿密な脚本が素晴らしく、高評価を得ています。

シーズン6の最終話は、BBCによると2002年に現代の記録が始まって以来、ドラマの中で最も視聴されたエピソードだったそう。英国のテレビ視聴者の56.2%のシェアを獲得したというのだから、その人気ぶりがうかがえます。

前作の感想は以下に書きました。
misasa104.hatenablog.com

今シーズンは、AC-12は ジャーナリストのゲイル・ヴェラの死をめぐる殺人事件の捜査を指揮しているジョー・デビッドソン警部を調査することになります。彼女は容疑者を逮捕するために武装した護送車を、わざと迂回させたのではないかと疑われています。果たしてデビッドソン警部は組織的な犯罪グループ(以下OCG)の以前「H」とされた第4の男(または女?)の指示を受けていたのでしょうか?

ケイトはAC-12から、MIT(殺人捜査チーム)に移動しており、現在はデビッドソンの右腕として働いています。ケイトは今のチームとしてAC-12に対抗するでしょうか、それとも、協力することになるでしょうか。

以下ネタバレ含みます。

ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班 6 #1~7 (全7話) | WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽

前シーズンの終わりに、Hは人のイニシャルではなく、OCGを操る4人の警察関係者を指していることがわかりました。DIマシュー・コッタンとACCデレク・ヒルトン、それと警察が雇っていた弁護士のジル・ビグローの3人がわかっています。ですので、今シーズンは残りの一人の解明が必要でした。

彼は本当に「H」なのか

デビッドソンはやはりOCGからチャット(前シーズンと同じ)で指示を受けていました。そして、「これが最後ね」「間違いなく」というやりとりで、まともや”Definately”が使われました。そこで過去の資料を洗いざらい調査したところ、「H」なる人物はこれまでいくつかの報告書に同じスペルミスをしていました。そしてその人物を知ったときのAC-12の3人組は鼻白み、言葉を失っていました。「目の前にいたのか・・」と。

前シリーズの感想でわたしは「H」のことを「少なくとも今までに登場した人だと思うんですけれど」と書きましたが、まさかそれがイアン・バッケルズだったとは・・。たしかに彼はシーズン1と4に登場しています。シーズン1ではゲイツの下で資金洗浄の調査をしていました。ゲイツに財務の知識があるのかと問われたバッケルズは「あります」と即答、シーズン6のようなダメキャラではなかったんですよね。最初のシーズンの最後で、「ドット」コンタンとトミー・ハンターがバンの中で二人きりで会話し、その内容から共謀していることがわかったシーンがありますが、この二人きりの会話を許したのがバッケルズでした。(シーズン1を見て確認してしまいましたww)

今シーズン、バッケルズのオフィスやクルマの中に、わかりやすくゴルフ用品が置いてあったのも、伏線だったのかもしれませんね。バッケルズがあまりにもヘタレキャラになっていたので、彼が「H」だとわかったときは驚きましたが、実は彼の演技だったのでは?なんて気もしてきました。OCGのトップはトミー・ハンターで、バッケルズは安全なところにいてうまい汁を吸っていただけなのかもね、などと思います。

「H」はカーマイケルだった!というのも面白いけれど、それは突飛過ぎてLODらしくない気がします。

マーカス・サーウェルは死んだ?

殺害されたジャーナリストは12年前の事件を調べていたことがわかりました。そして、この事件を主導していたのがマーカス・サーウェルでした。彼は仕事を辞めて現在はスペインに在んでいました。

マーカスの写真がジェームズ・ネスビットだったことから、実のところ彼こそが「H」なのでは?と思った人は多かったのではないでしょうか。わたしはこれは視聴者をミスリードさせるためのキャスティングに違いないと思って観ていました。

しかし、驚くことに本人は登場しませんでした。スペイン警察がサーウェルの自宅を捜索すると、彼は既に殺されていたのです。警察が、死んでいたのはサーウェル夫妻であると報告するまでほとんど時間がかかりませんでした。また、家宅捜索のライブ映像で遠目に死体らしきものが映し出されていましたが、特定できるような材料はないようにみえました。

殺されたのが本当にサーウェル夫妻だとしたら、誰が何の目的で殺したのか新たな疑問が生まれます。

それにしても、サーウェルの写真に使うためだけにジェームズ・ネスビットのような有名な俳優を使ったのはLODならではという気がしています。次シーズンに登場する可能性はあるでしょうか?このまま出演はしないのでしょうか。わたしは後者に一票!

ヘイスティングスはクリアになった?

前シーズンで、謎のまま終わってしまったことについて、だいぶ解明されました。
コーベットの事件で、ヘイスティングが刑務所に足を運びリー・バンクスと何を話したのかはわからないままでしたが、実は組織に警察の「ネズミ」が潜入していることを教えていたんですね。ヘイスティングスの言うようにネズミの名前は明かしていなかったとしても、コーベットが殺されてしまった責任の一旦は彼にあるでしょう。

今ではそのことを後悔しているヘイスティングは、カーマイケルに自分がやったことを打ち明けます。今後、カーマイケルは何か対処するでしょうか。それとも無視しますか?

彼のPC処分については、特に言及がなかったことから、わたしは本当にポルノでも見ていただろうと信じることにしました(^_^)

やっぱり登場>ライアン・ピルキントン

どこで登場するかと思ったら、デビッドソンが不正をしていると訴えた巡査に代わり、しれっとMITのメンバーになった新人ライアン。けれども、相変わらず向こう見ずな行動で、ついに自分の首を絞めてしまいました。

彼が死んだ後、OCGが銃を改造していた倉庫が見つかり、コンクリートの床下からは、武器の入った金庫が出てきました。その中には、マニート・ビンドラとジョン・コーベットの血がついた2つのナイフが保管されており、そこからライアンの指紋が取れました。二人を殺した実行犯(わたしたちは知っていたんですけれどもね)がようやくAC-12の知るところになりました。

シーズン7はあるでしょうか?

今回は、今までの捜査対象になってきた人たちが話題に上がり、総まとめになっているような気がして、これでおしまいなの?と不安になりました。

AC-3、AC-9、AC-12をまとめ、そのトップはカーマイケルに決定しました。ヘイスティングスはそれと戦っているにもかかわらず、引退を余儀なくされています。そして、大規模なスタッフの削減が進行中です。

そんな中でも、ケイトはAC-12に再び参加する意向を宣言しました。そして、スティーブもとどまることに決めたようです。危惧していた通り、大量の鎮痛剤を飲むようになってしまったスティーブですが、医療の力を借りて克服してほしいです。

確かに今回で終わっても問題ないような作りにはなっていたと思います。どうにかこうにかして(!)、また一人も欠けず3人のチームを観たいです。


毎度ですけれど、後半は手に汗握りながら観ました。もっと早く観たかったというのが本音ですが、まぁ、2021年に観ることが出来、ありがたいと思うことにします(^_^)

2021年11月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

通勤が唯一の運動だったわたしは、テレワークになり順調に(?)体重が増えてきました。それで、思い立ってクロスバイクを購入。ママチャリ以外の自転車を買うのは初めてですが、色も形も気に入り、天気が良い日は昼休みに海沿いを走ったりしました。

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ですが、少し物足りなさを感じるようになり、これまた思い立ってスマート・トレーナー(XPLOVA NOZA S)をAmazonで購入し、Zwiftを始めることにしました。まだ1週間くらいしか乗っていないのですが、ロンドンやインスブルック、パリを走りました。マイペースで走れるので、わたしのような年齢がいった女性でも、十分楽しめますよ!

海外ドラマ

以下、ネタバレ含みます。

ビッグ・スカイ(Disney+ Star)2021

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C.J.ボックスの同名小説を映像化した探偵ドラマ。

モンタナ州高速道路のはずれでトラック運転手による誘拐事件が発生。私立探偵と元警官が、誘拐された姉妹の捜索を進めるうち、その地域で姿を消したのは彼女たちだけではないことに気付き、新たな被害者が出る前に犯人を食い止めようとする。

日本で翻訳されているC.J.ボックスの「ジョー・ピケット」とは別のシリーズのドラマ化です。1話完結ではなく続きものになっているんですが、最初の事件の犯人は逃走したままで、途中から全く違う事件を追ったりもします。ベースになっている小説を数冊まとめてシーズン1にした感じでしょうか。

1話の最後で衝撃的なことが起こり、かなり驚きました。一体このドラマはどこに行くのー?と思いながら観ていました。

メインキャラクターの探偵役のキャサリン・ウィニック(『バイキング』)とカイリー・バンバリー(『ボクらを見る目』)は、役になりきるのに苦労しているように感じました。探偵として突出しているわけでもなく、カリスマ性があるわけでもないので、ちょっと中途半端で惜しいです。

余計なお世話ですが、いかにもハリウッドから来ましたというような髪型や化粧のまんまのルックスではなくて、モンタナっぽさ(って何よ!という気もしますが)を前面に出したほうが良かったのでは?必死で犯人を追っている人にしては二人とも美しすぎです(^_^)

州のハイウェイパトロール警官役のジョン・キャロル・リンチと彼の妻のブルック・スミスが登場するシーンはぞわぞわして好きでした。

グローリア(Netflix)2021

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グローリア | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

1968年、冷戦時代のポルトガルの小さな村グローリアにある、CIAが運営する反共産主義プロパガンダを再放送するラジオ局に若きエンジニアがやってくる。彼の目的は?

Netflixではじめてのポルトガル・ドラマということで観ました。エンジニアの主人公ジョアンはいかにもKGBに傾倒した優男風で、彼は最初こそ、スパイはしても人を殺すことはしたくないというスタンスをとっていましたが、それも徐々にタガが外れていき、表情も変わっていきます。

スパイ活動が露見し、ジョアンが窮地に陥ることを想像(期待)していたのですが、最後は思いがけない結末でした。わたしは一体何を観ていたんだとショックを受けました。

THE BAY 2 ~虚構の家族~(WOWOW)2021

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英国サスペンス「THE BAY 2 ~虚構の家族~」 | ドラマ | WOWOWオンライン

ITVの警察ドラマの第2弾。弁護士一家の娘婿が射殺され、警察が捜査を進めると、一家の周辺に次々に不審な点が浮上する。

被害にあった家族は一見すると何の問題もなさそうでしたが、いざ蓋を開けてみると機能不全になっていたということが少しずつ明るみになってゆきます。彼らを取り巻く怪しげな犯人候補が多く登場するので、推測しながら観るのは楽しかったです。

今シリーズは、子どもたちの父親でもあるリサの元夫が登場したり、リサのボスのトニーの離婚問題など、個人的な問題も並行して描かれます。前シーズンで危なっかしいリサの子どもたちは成長したようでした。

ミュージカル

ハミルトン / Hamilton(Disney+)

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【公式】Disney+ (ディズニープラス) |ドコモから入会がお得

2016年のトニー賞で、史上最多となる16ノミネート11部門受賞を果たしたミュージカル『ハミルトン』が、ようやく字幕付きで観れるようになったということをカノンさんのブログで知りました。

わたしは、2020年2月に娘と行くロンドン旅行のときにハミルトンを鑑賞する予定を立てていました。けれども、コロナウィルスの蔓延で泣く泣く旅行を中止することに。しかも購入したチケットは払い戻しができないタイプだったんですよね(泣)。

それがやっと観ることができました!

アメリカ建国の父たちが登場するだけで、涙が出そうになり、もうただただ感動!笑いあり、涙ありで、気持ちが熱くなって160分はあっという間でした。

ラップやヒップホップを多用しているのも楽しいですし、何よりも個性的な俳優たちのパフォーマンスに魅了されました。ちょこちょこ登場するジョナサン・グロフの英ジョージ3世も最高!どの楽曲も覚えやすくて親しみが持てるものばかり。リン=マニュエル・ミランダはほんとうに天才ですね。

それから、衣装もステキなんです。スカイラー姉妹のドレスの美しさ、男性陣の時代を感じさせるシルエット。どれも考え抜かれたものだと思います。

字幕付きで、しかもオリジナル・キャストで観れるなんて実にすごいことです。そんな機会を与えてくれた Disney+にありがとうと言いたい。わたしのようにディズニーもマーベルもあまり興味がないという人でも『ハミルトン』を観るために、契約するのもあり!です。何度でも観たくなるミュージカルです。

パリのアメリカ人(松竹ブロードウェイシネマ)

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パリのアメリカ人 - 松竹ブロードウェイシネマ

近所の映画館で松竹ブロードウェイシネマが公開されたと知って、足を運びました。チケット代は3千円で、通常の映画より少し高いかもしれませんが、満足感からしたら、むしろ安いぐらいかもしれません。迫力ある大画面で観れるのが嬉しいです。

こちらは2015年のトニー賞で4部門を受賞した作品をスクリーン上映したものです。正当なバレエミュージカルで、ダンスが圧巻です。主人公の男性と女性はおふたりとも、プロのバレエ団でプリンシパルの経歴があるのだとか。

どんだけ体力あるのよと、まったく体力のないわたしは関心しまくりでした。あのハイレベルなダンスと歌を毎日こなしていたとは驚きしかないです。

松竹ブロードウェイシネマの第2弾が公開されたら、また観に行きたいです。

小説

ヨルガオ殺人事件 アンソニーホロヴィッツ/山田 蘭 訳

あの『カササギ殺人事件』から2年。クレタ島でホテルを経営する元編集者のわたしを、英国から裕福な夫妻が訪ねてくる。彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけたと連絡してきた娘が失踪したというのだ。その本とはかつてわたしが編集した名探偵〈アティカス・ピュント〉シリーズの『愚行の代償』だった。

はい、文句なしで面白いです。『カササギ殺人事件』がミステリーとしてもエンタメとしても完璧だったので、まさかシリーズになるとは思っていませんでした。なので、新作が出たときは〈ホーソーンホロヴィッツ〉のほうの続編だと勘違いしました。

私はメモ(作中作の人物と実際の人物の対応表を作ったりね)をしながら本を読み進めましたが、犯人はわかりませんでした。犯人が判明したときには「そういうことー?」と叫んでしまいました。

時は殺人者 ミシェル・ビュッシ/平岡 敦 訳

バカンスで、コルシカ島を家族4人で訪れたとき、一家の乗った車が崖から転落し、運転していた父と、母、兄が亡くなった。ひとり助かったクロチルドは、この悲劇から27年後、事故以来初めて、夫、娘とコルシカ島を訪れる。そこに母の筆跡で一通の手紙が届く。母は生きているのか?

事故があった当時にクロチルドが書いていた日記のようなノートと、現在が平行して描かれます。クロチルドの心の声が軽妙で、読みやすいです。かなり意外な結末でした。

ウサギ狩り人 ラーシュ・ケプレル/古賀 紅美 訳

ストックホルムの高級住宅街で、売春婦の客だった男が撃ち殺された。唯一の目撃者によると、被害者に童謡をきかせ、ゆっくりと時間をかけて止めを刺したという。4年の刑で服役中の元国家警察警部ヨーナは国を揺るがす凶悪犯を追跡するために、復帰する。

<ヨーナ・リンナ>シリーズの第6弾。そういえば、ヨーナ、服役していたんですね。

前作というか、ここ最近はボロボロだったヨーナは図らずも刑務所での充電期間を経て心身ともに元気になったようでした。決まり文句「ほら、僕の言った通りだろう」も出て、安心しました。けれども、次作はイヤな予感がして気になります。

母の日に死んだ 刑事オリヴァー&ピア・シリーズ ネレ・ノイハウス/酒寄 進一 訳

かつて孤児院から子どもを引き取り、里子として育てていたライフェンラート家の邸から遺体が発見された。死んでいたのは邸の主人であるテオだったが、主人の飼い犬のケージ付近の床下から、ラップフィルムにくるまれ死蠟化した3人の遺体が出てきた。30人もの里子の世話に心血を注いでいた男は、恐るべき連続殺人犯だったのか?

読み始めたら、止まらなくなるくらい面白かったです。今さらですが、オリヴァーもピアも等身大の人間らしさが好きです。ずっと続いてほしいシリーズの1つです。

女たちが死んだ街で アイヴィ ポコーダ/高山 真由美 訳

13人の女性が殺された連続殺人事件は、犯人が捕まらないまま捜査が打ち切られていた。それから15年後、またしても同じ手口の殺人事件が起こる。

ミステリーというより、殺人事件によって、人生が変わってしまった女性たちの物語という印象です。わたしはこれを読んでいるとき、たまたまAmazonのドキュメンタリー『キリング・シーズン ロングアイランドの連続殺人鬼』を観ていたこともあってよりリアルに感じられました。

彼と彼女の衝撃の瞬間 アリス・フィーニー/越智 睦 訳

ロンドンから車で2時間ほどの距離にある町・ブラックダウンの森で女性の死体が発見された。事件の取材に向かったのは、ニュースキャスター職から外されたばかりのBBC記者のアナ。事件を捜査するのは、地元警察の警部ジャックだった。

アナとジャック、それぞれの視点で語られていくのですが、意外な事実が次々にわかってゆきます。犯人は予想していた人は違う意外な人でした。


2021年10月 海外ドラマ、映画、海外ミステリー小説 感想

10月になってから、コロナの感染者数はだいぶ落ち着いていますね。わたしはコロナが蔓延してから会っていなかった友人と食事に行きました。

海外ドラマ

マーベルファンの娘は、Disney+(ディズニープラス)に加入しています。 10月27日より新たなコンテンツブランド「スター」が追加されて、わたし好みのドラマや映画が観れるようになりました。

以下、ネタバレ含みます。

マーダーズ・イン・ビルディング(Disney+ Star)2021

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【公式】Disney+ (ディズニープラス) |ドコモから入会がお得

Wマーチン+セレーナ・ゴメスのミステリー・コメディのシリーズ。

NYのアッパー・ウェストサイドの高級アパートを舞台に、実録犯罪マニアという共通の趣味で仲良くなったチャールズ(スティーブ・マーティン)、オリバー(マーティン・ショート)、メイベル(セレーナ・ゴメス)という異色のトリオが、彼らの住む建物内で起きた死亡事件の謎を解き明かすために奮闘する。

二人のマーチンが出ていると知ったら見ないわけにはいかないですよねー。
たまたま同じ趣味を持っていた3人が、ひょんなことからチームを組んで探偵のようなことを始めるのですが、それがもう楽しそうで!わたしもそんなチームがあったらぜひ仲間に入れてほしいと思いながら観ていました。

コメディアンで女優のティナ・フェイポッドキャストの人気パーソナリティとして)やジェーン・リンチ(長年チャールズのスタント役をやっていた友人として)、そしてスティング(本人役)といった有名なゲストスターが登場し、嬉しいサプライズもありました。スティング、最高でした。

オープニングのイラストも、アパートの壁紙やインテリアも、メインの3人のファッションもすごく好きです。特にブーツを合わせたメイベルの普段着コーデが可愛いかったです。

あのエンディングではシーズン2もありそうで、楽しみです。

チェスナットマン(Netflix)2021

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チェスナットマン | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

コペンハーゲンで若い母親を狙った凄惨な連続殺人事件が発生し、現場には栗で作った小さな人形「チェスナットマン」が残されていた。その人形には1年前に誘拐、殺害された少女の指紋が付着していたため、重大犯罪課の刑事トゥリーンとヘスは、服役中の犯人と少女の母親である政治家の周辺を調べ始める。

先に原作の小説を読んでいたのでドラマを楽しみにしていました。インターポールから来た刑事ヘスには誰がキャスティングされるのかしらと思っていましたが、ミケル・ボー・フォルスゴーだったんですねー。嬉しい!

何度か日記にも書いたのですが、わたしが初めて彼を知ったのは『ロイヤル・アフェア』(2012)でした。精神を病むデンマークの国王クリスチャン7世の演技が素晴らしくて感動しました。その王を演じていたのがフォルスゴーです。その後『特捜部Q 檻の中の女』(2013)では存在感のあるサブキャラとして印象に残り、最近ではNetflixの『ザ・レイン』(2018-20)が記憶に新しいです。

ミケル・ボー・フォルスゴーは、作品ごとに印象がまったく違うので、『チェスナットマン』に登場したときには、しばらく彼だとは気づきませんでした。

わたしは小説がどのように映像化されるのかという視点で観ていたのですが、期待していた通りノルディック・ノワールの雰囲気が存分に感じられるドラマになっていました。全6話という長さもちょうど良かったと思います。

事件を通して、トゥリーンとヘスはお互いを認め合うようになりましたが、トゥリーンは子どもと過ごす時間をつくるためにIT部署に異動、ヘスは別の現場に向かうためコペンハーゲンを離れます。けれども、この二人を主人公にした続編を待ちたいです。

シカゴ・メッド シーズン3(Hulu)2017

Huluで配信されるようになってから毎日観ていました。前の日記にも書いたのですが、少々突飛なスクリプトが多くて、「ザ・ドラマ」という感じです。

IT'S A SIN 哀しみの天使たち(スターチャンネル)2021

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IT’S A SIN 哀しみの天使たち公式サイト | 映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]

1980年代ロンドンに生きるゲイの若者たちが、HIV/エイズに関する正しい情報と理解が少ない社会に翻弄されながらも明るくお互いを支えあいながら生きる様を描いたドラマ(全5話)。

どこかの記事で、今年観るべきドラマとして紹介されていたので観てみることに。HBOの映画『ノーマル・ハート』も同時代のNYのゲイ・コミュニティーを描いていましたが、このドラマでスポットが当たるのはもっと若い世代です。

仕事や勉強のためだったり、自由を求めたりと、それぞれの事情で実家からロンドンに来た若者たちは、すぐに友達になりシェアハウスで一緒に住み始めます。自由を謳歌し、楽しい日々を送っていたのですが、エイズの蔓延によって彼らの生活は深刻な影響を受けるようになります。

ドラマのかなり最初の方で一緒に暮らす男性カップルが同時にガンに罹患し、途方に暮れている様子がありました。彼らはその後亡くなってしまうのですが、その原因がエイズだとは知らなかったのかもしれません。

ほとんどの家族は息子がゲイであることを知りません。息子がエイズになったことでそのことを知り、息子とその仲間たちに寄り添う母親もいましたが、息子を恥じ、死の原因を隠蔽する家族もいました。

最後のエピソードで、キーリー・ホーズ演じる母親の態度には驚きましたが、自分だったらどうするだろうと考えてしまいました。

ペンブルックシャー・マーダー(WOWOW)2021

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英国サスペンス「ペンブルックシャー・マーダー 21年目の真実」 | ドラマ | WOWOWオンライン

2006年、ロンドン警視庁での任務を終えて、ウェールズのダベッド・ポーイス警察に戻ってきたスティーヴ・ウィルキンス警視は、1989年に起きた殺害事件を知り、再捜査に踏み切る。当時集められた証拠物件を調べていくうち別の未解決事件が浮上してくる。

ルーク・エヴァンスが主演した英ITVのミニシリーズ(全3話)。

実在する連続殺人犯ジョン・クーパー(現在は終身刑で服役中)が起こした未解決殺人事件に挑む刑事たちの物語です。まるでノンフィクションを観ているような気分になりました。地味ですが、好みのドラマです。

ドキュメンタリー

ゴールデン・ステート・キラーを追え / I'll Be Gone in the Dark(U=NEXT)2021

作家のミシェル・マクナマラが凄惨な事件の犯人を追った書籍をもとにしたHBOのドキュメンタリー。

1970-80年代に米国カリフォルニア州を震撼させた連続殺人・強姦事件。30年以上も未解決だった一連の事件の犯人(ゴールデン・ステート・キラー)を追い、独自に調査を行った女性作家による渾身の捜査録を書籍にした本は「黄金州の殺人鬼」というタイトルで邦訳もされています。出版された当時、話題になっていたのでこの本を読みました。

マクナマラは最初 "True CrimeDiary" というブログでさまざまな情報をまとめ、未解決の犯罪に関する理論を提示するコツを示し、世間の注目を集めました。ブログをきっかけにして、犯罪の犠牲者だけでなく、事件に取り組んだ探偵や他の専門家ともつながり、膨大な資料を集めて研究してゆきます。

本を読んではいたのですが、作者自身については全く知らなかったので、このドキュメンタリーを通して作者が亡くなっていたことを知り驚きました。研究と出版に向けての準備にどれほどの無理をしていたのかと思い、とても残念です。

映画

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)

先の日記に感想を書きました。

この映画で、ナノポッドを開発している科学者オブルチェフを演じたのは、上に書いた『チェスナットマン』で、鑑識官ゲイツを演じていた俳優さんです。映画を観ているときに、どこかで見たことあるなぁと思っていたのです。

キャッシュトラック(2021)

ロサンゼルスの現金輸送専門警備会社に通称“H”が警備員として入社する。当初は気にも留められない存在だったが、現金輸送車が襲われた際に卓越した戦闘スキルで阻止する。彼の本性は?目的は?

ガイ・リッチー監督×ジェイソン・ステイサムに惹かれて劇場に足を運びました。何も考えずスカッとしたいときにおすすめ。

今作はガイ・リッチーらしくもあり、今までとはちょっと違う感じもしました。次はにジェイク・ギレンホール主演の映画が控えているそうで楽しみです。

小説

気付けば、10月はリモートワークが中心だったせいか、あまり本を読んでいなかった。通勤電車がないと、なかなか進みません。

天使と嘘 マイケル・ロボサム/越前敏弥 訳

臨床心理士のサイラスが施設で出会った少女イーヴィは嘘を見抜ける能力を持っていた。そして、彼らは警察の要請で女子スケートチャンピオン殺害事件の捜査に加わる。将来を期待されていた選手に、何が起こったのか。

SF的な要素あり?と恐る恐る手にとった本ですが、そんなことはなく、新しいコンビに魅了されました。次回作も期待大です。

魔の山 コルター・ショウ ジェフリー・ディーヴァー/池田 真紀子 訳

ショウは教会を襲撃して逃走した若者二人組を追跡していた。居場所を割り出して二人を見つけ出したショウだったが、その眼前で一人が崖から身を投げて死亡してしまう。自殺した若者は「オシリス財団」というカルトグループの研修を受けていたという。彼は洗脳されたのではないかと疑いを持ったショウは、同カルトを調べるうちに財団の記事を書いた記者が殺害されていたことを知る。

懸賞金ハンター<コルター・ショウ・シリーズ>第二弾。J・ディーバーがカルトとは珍しい気もしました。わたしはこれを読んでいる時期、偶然にもNetflixでカルト集団のドキュメンタリーを観ていたので、本に書かれていることがとてもリアルに感じられました。次回はいよいよ家族の謎に迫ることになりそうですが、敵は手強そうです。

夜と少女 ギヨーム・ミュッソ/吉田恒雄 訳

1992年、コート・ダジュールの名門高校で、最も魅惑的な少女ヴィンカが忽然と姿を消した。哲学教師アレクシスと駆け落ちしたとみなされ、捜査は打ち切りに。以来25年、彼らを見た者はいない。同級生のトマとマキシムは事件に関わる秘密を抱えたまま卒業、恐るべき過去は巧みに封印されたはずだったが。

次々に明かされてゆく事実に驚き、後半からはノンストップで読みました。作者の他の作品も読んでみたくなりました。