「純米酒しか飲まない」って違くね?
色々書き溜めているものを小出しにコラム的に出して行くコーナー。
内容は初心者向けから中級者向けに咀嚼して書いてます。細かいことは僕もJSA SAKE DIPLOMAの試験に向けて勉強してますので、分からないことがあったらお店なりなんなりで僕に直接聞いてください。
さぁさぁ。
記念すべき第一回目の今回は
「純米酒しか飲まない」って違くね?についてです。
良く接客をしてると
「純米酒しか飲まない」
「好きなのは純米酒」
「アル添は残るからダメ」
とかまぁ色々な方々がいるもんだなぁって思います。
僕から言わせてもらえば大体全て「はぁ?」なんですけど(笑)
ただそれだと元も子もないのでちゃんと説明しますね。
まず「純米酒」と「純米酒以外」で括って考えている方が多いんじゃないでしょうか?
じゃまず最初に純米酒。
「米」と「米麹」のみで作った日本酒。はい、これでOK。
はい次、純米酒以外
「米」と「米麹」と「醸造アルコール」で作ったお酒。これを全部NGだと思っている方が多いのかなーと思うのでここを深く掘り下げて説明していきますね。
醸造アルコールを添付(以下「アル添」)したお酒はざっくり2種類あります。
・三倍増醸清酒・・・米と米麹で作ったもろみに清酒と同濃度に水で希釈した醸造アルコールを入れ、これに糖類や酸味料などを添付して味を整えたお酒。(2006年の酒税法改正に伴い今は二倍増醸清酒だそうです、詳しくは検索でw)
・普通酒(清酒)・・・米、米麹、水、酒粕、政令で定める物品を原料(醸造アルコール、焼酎、糖類、アミノ酸など)として製造されるお酒。
※普通酒の中には「本醸造」ってのがありまして、精米歩合が70%以下の米、米麹、水、醸造アルコールを原料として作った清酒で香味及び色沢が良好なものに用いることの出来る名称です。使用する米1トンにつき120リットル以下(重量比10%以下)の醸造アルコールを添付してOK
「アル添=不純物」的なイメージはこの辺から来てるのかなぁって思ったりしますが、清酒も正直幅広すぎて『勉強するのめんどくせ』って思っている方が多いんじゃないでしょうか?
この記事はかなり噛み砕いで書いてますので、もっと深く知りたい方はWikipediaとか色々ありますので見てくださいな。
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さて、アル添についてです。
「アル添ってどうやって作るの?」って質問に答えられて、かつ「アル添はやっぱり飲まない」って方は今日現在出会ったお客様で1人だけです。
それぐらいアル添って”イメージだけで成り立ってる”と言うのが正直な印象です。
アル添の作り方について簡単に説明すると
・上槽(絞る)前に醸造アルコールを添付する→上槽(絞る)したものがアル添酒となります。
これを勘違いしてる人多くてびっくりしたんですが、純米酒を絞った後にアルコールを入れて調整してる、って思ってる人が以外に多かったです(絞った後に醸造アルコールを入れると清酒ではなくリキュール扱いになるんですが、、、)
絞る前にアルコールを入れると言うのが結構難しく、、、アルコールを添付すると急激にアルコール濃度が上昇し酵母が死滅していきます。死滅してから時間が経った酵母は雑味、香りの劣化などの原因となります(今回の説明ではややこしくなるのでアル添によるカプの生成の話とかは全部省きます)。
ですからアルコールを入れてから絞るまで気を抜けない訳です。酒蔵の方も『一番技術が問われるのがアル添酒』って仰ってました。
技術が問われるのがアル添酒と言う事で、超有名蔵は必ずと言ってもいい程アル添酒を出しています。例えば十四代・黒龍・磯自慢・鍋島などですね。
こう言ったように
「どうやってアルコール添付してるんだろう?」
「アルコールの添付量ってどれぐらいなんだろう?」
「添付してからどれくらいで絞ってるんだろう?」
などの事を感じながら飲むとアル添酒ってもっと楽しく飲めるのになぁって思います。アルコールを添付するには裏付けされた技術と意味があるんですね〜。
そんな風に作られているアル添酒(清酒)なら敬遠しないで飲んでみてもいいんじゃないでしょうか? 「純米酒しか飲まない」って方は正直「酒造りを理解してない、しようとしていない」って僕は感じてしまいます(笑
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色々書きながら僕もホントに飲めないアル添酒あります。
冒頭で言ったか説明できて飲まない方がこれに該当します。
醸造アルコールの原料は米(酒粕なども)、サトウキビ、トウモロコシなどがあるんですが、僕はサトウキビ由来のアルコールを添付しているお酒は全身赤くなります。サトウキビもトウモロコシもアレルギーがあるのでそれが原因かもしれません。なので僕は「居酒屋で飲むサワーで赤くなります?」って聞くようにしてます。赤くなる人はアル添酒NGな場合が多いです。
十四代などの「粕取り焼酎(米焼酎)でアル添していると分かっているもの」はOKなんですが(笑
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さて、いかがでしたでしょうか?
日本酒は深く勉強すればするほど面白いんですが、どんどん難しくなっていくと言う側面もありますね。その辺をあまり難しくなく伝えられたらなぁと思います。