数学とかのメモ帳。

ほとんどが高校数学程度の記事になる予定。

1-(1/3)+(1/5)-(1/7)+… = π/4

交代級数\frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\frac{1}{9}-\cdots=\frac{\pi}4の証明。

 

この級数はマーダヴァ-ライプニッツ級数と呼ばれる級数であり、グレゴリー級数の特別な形とも言える。

有理数を無限に足し合わせることにより無理数を作り出すことができるという有名な級数になる。

ただし、この級数を用いて\piの近似値を求めるのは、収束が余りに遅いため非常に骨が折れる作業となるみたい。Wikipediaさんによればたった10桁の近似値を出すだけで100億回もの計算が必要になるそうな…。

 

で、まず証明の方針としては、高校数学の範囲を逸脱せずに証明を進めていく。

どうやら冪級数展開というものを用いるのが一般的なようだが、私はまだ知りません。

 

まずは、等比級数:1-x^2+x^4-x^6+\cdots+(-1)^{n-1}x^{2(n-1)}を考える。

この級数は初項が1,公比が-x^2の等比級数となるので、和の公式から、

1-x^2+x^4-x^6+\cdots+(-1)^{n-1}x^{2(n-1)}=\frac{1+(-x^2)^n}{1+x^2}

が成り立つ。

 

次に、両辺を[0,1]で定積分しても等式は成り立つのだから、

\int_0^1\left(1-x^2+x^4-x^6+\cdots+(-1)^{n-1}x^{2(n-1)}\right)dx=\int_0^1 \frac{1+(-x^2)^n}{1+x^2}dx

が成り立ち、

左辺は、

\left[x-\frac{x^3}{3}+\frac{x^5}{5}- \frac{x^7}{7}+\cdots+(-1)^{n-1} \frac{x^{2n-1}}{2n-1}\right]_0^1=\frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+ \frac{1}{9}-\cdots\frac{1}{2n-1}

と変形できる。

これをn\rightarrow\inftyとしたときが求めたい級数の左辺となる。

次に、右辺は、

\int_0^1\frac{dx}{1+x^2}+(-1)^{n-1}\int_0^1\frac{x^{2n}}{1+x^2}dx

と変形できる。

 

ここで、右辺の第1項:\int_0^1\frac{dx}{1+x^2}を求めておく。

これは置換積分での代表的なものなので、簡単に計算ができる。

x=\tan\thetaとおくと、形式的にdx=\frac{d\theta}{\cos^2\theta}と置換でき、また、x=0\rm{to}1のとき、 \theta=0\rm{to}\frac{\pi}{4}である。

三角関数の性質として、\cos^2\theta= \frac{1}{1+\tan^2\theta}であるから、

\int_0^1\frac{dx}{1+x^2}=\int_0^{\frac{\pi}{4}}d\theta=\frac{\pi}{4}

となる。

 

よって、

求めたい級数が真である。

\Longleftrightarrow x \rightarrow\inftyにおいて、(-1)^{n-1}\int_0^1\frac{x^{2n}}{1+x^2}dx=0が真である。

\Longleftrightarrow x \rightarrow\inftyにおいて、\int_0^1 \frac{x^{2n}}{1+x^2}=0が真である。

となるので、\int_0^1\frac{x^{2n}}{1+x^2}について調べていく。

 

x^2\geq0から、1+x^2\geq1であり、

0\leq1\leq1+x^2

が成り立つ。

更に、x^{2n}\geq0なので、

0\leq x^{2n}\leq x^{2n}(1+x^2)

であり、

0\leq\frac{x^{2n}}{1+x^2}\leq x^{2n}

となる。

これを[0,1]で定積分すると、

0\leq\frac{x^{2n}}{1+x^2}\leq\frac{1}{2n+1}

が成り立ち、

n\rightarrow\inftyにおいて、はさみうちの原理から、

\frac{x^{2n}}{1+x^2}=0

である。

 

従って、

\frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}- \frac{1}{7}+\frac{1}{9}-\cdots= \frac{\pi}4は示された。

(証明終了)