儀式と夏の過ごし方

「人に見せるための恋をしたくない」
と言って、LINE以外のSNSのアカウントを
すべて消した友達がいる。

あー、えらいな。
ちゃんとしてるな。
と思う。

恋人といると嬉しいし楽しいし、
その気持ちを誰かに伝えたくなって
つい写真をアップしてしまう。
幸せを確かめる儀式みたい。
そんなの確かめなくたって、
始まった時から今もずっと幸せなのに。






社会人になってから、
人の悪口を言うことがなくなった。
昔の私はずいぶんひねくれていて、
意地悪な顔をしていた。
“人間年を取ると必ず丸くなるから
尖れる時に尖っておきなさい”
と親戚のおばさんが言っていたけどその通りだ。
こんなに早く丸くなるとは思わなかったけど。





今年は青森に行こうかな。
おじいちゃんがくれたフィルムカメラ
お気に入りのグラスとパフェスプーンと
手作りのたまごサンドイッチを持って。

今年は誰にも見せない夏を過ごしてみようと思う。

3/16 魔女のいる花屋

最近、生活リズムがぐちゃぐちゃだ。
朝の4時に寝て、昼の12時に起きる。
学生のうちしかできないからね、こういう生活は。
どうにかして元のリズムに戻したいけれど、
とにかく自分に甘いのでどうにもならない。
困った。
4月から社会人になるのに、
私はこんな感じで大丈夫なのだろうか。




おじいちゃんが亡くなって、
ママはここ2週間くらい静岡に帰省している。

おじいちゃんの額は冷たくて少し弾力があって
雪見だいふくみたいだなあ
って不謹慎だけどそう思った。
もう生きてないんだな。
カラオケ一緒に行ってみたかったな。
たくさん泣いてお別れをする。
棺の中で花に囲まれている姿は
ミレーのオフィーリアを彷彿とさせた。
そういえば、樹木希林がオフィーリアに扮した
宝島社の広告をご存知だろうか。

死ぬ時くらい好きにさせてよ

というキャッチコピーに衝撃を覚えた。
おじいちゃんは最期、後悔なく逝けたのかな。
1人でいるとぼんやり寂しくなる時がある。
その時間が少し増えたような気がしている。

ママに
「家のこと任せたよ。」
と言われた。
いつまでも悲しい気持ちでいる訳にはいかない。
よし、やってやるぞ。
そう意気込んで頑張ってはみるものの、
普段まるで家事をしない私は失敗ばかりしている。

お風呂の蓋を開けたらお湯が溜まっていなかった。
栓を閉め忘れていた。
思いつきで作ったにんじんのポタージュは
びっくりするくらいまずかった。
観葉植物に毎日水をあげていたら、
元気がなくなってしんなりしてしまった。
(水は4日に1回くらいあげればいいらしい。)
私はこんな感じで大丈夫なのだろうか。




起きてすぐに洗濯をした。
出かける時間が迫っていて、
急いで身支度を整えて家を飛び出た。
手袋もマフラーもいらないくらい、
もうすっかり春で最近ずっと機嫌がいい。
気候が穏やかだと気持ちも穏やかになる。




高校時代の友人が大好きだ。
今日はBちゃんの誕生日。
Aちゃんと2人でサプライズを計画した。
プレゼントを決めて、お店を予約して。
計画がばれないように演技もした。
喜んでくれるといいなあ。
電車はゆっくり地下に潜っていく。




午後2時半。
栄の待ち合わせ場所と言えばクリスタル広場。
Aちゃんと落ち合って、三越の化粧品売り場へ。
GIVENCHYが見当たらない。
調べたら、松坂屋にあるらしい。
近場にあってよかったねえって話をしながら
大須方面へ向かって歩く。




GIVENCHYの売り場を見つけてほっと安心する。
スミレみたいな紫色のキラキラ光るグロス
Bちゃんが前にTwitterで欲しいって呟いてたのを
私もAちゃんも覚えていた。
人の体温でグロスの色が変わるんだって。
理科の実験みたいで面白いなって思いながら、
お会計を済ませて松坂屋を出た。




女の子は花をあげると喜ぶ。
と私は思っている。
可愛い子の前でつい格好つけたくなるのは
どうしてだろう。
今年のBちゃんの誕生日には、
絶対花をプレゼントしようと決めていた。

ジャズ喫茶YURIの角を曲がって少し歩いたところに
魔女の花屋がある。
本当に魔女がいるわけではないんだけど、
きっとみんな見たら分かるよ。
あっ、いるな って思う。

木の扉を開けると観葉植物が並んでいて
その先にあるガラスの扉をゆっくり開けると、
ムッと花の香りがする。

お店のお姉さんに
「メインの花を決めてほしい」
と言われて、
赤と黄色のまだら模様のチューリップを選んだ。
少しAちゃんと話をしていると、
こんな感じでどうですかと花束を見せてくれた。
ミモザを入れてくださいと頼んで、
ラッピングをしてもらう。
こんなかっこいい花束があるかよ、と思った。
これから花をプレゼントする時は
魔女にお願いしよう。




Bちゃんと矢場町で落ち合って、
ロフトの近くで時間を潰す。
素敵なお店がたくさんあって、
歩いているだけで楽しい。
この辺りを歩いている人は
都会的でセンスがいい人が多い気がする。





午後6時。
予約していたカフェに向かう。
初めて3人揃ってお酒を飲んだ。
大人になったんだなあと思う。

「最近いいことあった?」
「ぼちぼちかな」
「ちょっと太ったんだけど分かる?」
「確かに顔丸くなった気がするわ」
「あ、この唐揚げ美味しいね」
「最後の1個食べていーよ」
「えー、また太っちゃうからな」
「いや食べるんかい」

他愛もない話をして、
メインディッシュを食べ終わった。
私もAちゃんもそわそわし始める。

そろそろ来る。
来るぞ…。

お誕生日おめでとうございま〜す
と店員さんがケーキを持ってきてくれた。

Bちゃん、驚いてた。
鳩が豆鉄砲を食らった時の顔だった。
電話で伝えた通りプレートには
HAPPYBIRTHDAY Bちゃん
と書かれていた。

魔女の花束と、スミレ色のグロスを渡す。
今までにないくらい幸せそうな友達の顔を見ながら飲むファジーネーブルはいつもより美味しい。




この3人で集まる時、帰りはいつもあっさりだ。
駅まで歩いて、
「じゃここで。お疲れ様。」
それだけ言って解散する。
2人の背中を見送って、名城線のホームに向かう。




地元の駅に着いた。
自転車を漕ぎ始めると、ぽつぽつ降り始めた。
今日あったことをひとつひとつ思い出す。
畑の土の匂いがする。
おばあちゃんにもらった金色の指輪が
街灯に照らされ中指でつやめく。
3月の夜はあったかいから、
雨に打たれても嫌な気持ちにならない。

いつまでも春が続けばいいのに。

3/1 卒業旅行


「え〜!沖縄!?」

「美術に興味があるならヨーロッパに行きなよ!」

内定式でおじさん達に囲まれ緊張しながら、卒業旅行は沖縄に行く予定だと話をした。社長と営業部長はノリノリで海外旅行を勧めてくれた。海外なんてうちに就職したら行けないよ、という言葉を聞いてああ〜安月給のブラック企業に就職したんだなあという実感が湧く。




それから数日後。

「ヨーロッパか〜いいかもね〜フンフフ〜ン」
「でも旅費が高いし誘っても断られるかな〜」

と軽い気持ちで親友の酢飯に話をしたら、

「え〜いいじゃん!行こうよ!」

と答えが返ってきた。ヨーロッパ、行っちゃお。




私も酢飯も、高校の時お世話になった美術史の先生が大好きだった。

「先生の授業に出てきた印象派現代アートモナリザも見たいね。」

なんて話をして行き先をロンドンとパリに決めた。




それからトントン拍子で話が進んで、気が付いたらイオンモールの旅行会社で18万支払っていた。



最低限の荷物をキャリーケースに詰める。
必要なものがあれば現地調達すればいいや。そういえばきちんとガイドブックを読んでいない。旅行のスケジュールもざっくりとしか決めていない。電車とかバスってどうやって乗るんだろ。そもそも何泊するんだっけ……。
あれ、もしかしてこれは現地でめちゃめちゃ困るやつでは…?と不安がよぎる。



アムステルダムで乗り換えをした。空港は広くて少し日本と違う匂いがしてドキドキした。オレンジと苺のスムージーを飲んで、お揃いのミッフィーのストラップを買った。搭乗口の場所が分からなくて石油王みたいなお兄さんに助けてもらった。別れ際ウインクをしてくれて恋に落ちた。飛行機は少し遅れて出発した。



ロンドンに着いてから大変だった。2人とも英語が読めない、話せない、聞き取れない、の三重苦。ノリと雰囲気でなんとかするしかなかった。



電車とバス、何度も乗り間違えながら美術館を巡った。反対側のバスに乗ってしまい、ロンドンのはずれまで来た時は心細くて泣きそうになった。マックでハンバーガーを食べたらすぐに元気が出た。単純な体で良かったなあと思う。



もにく家には海外旅行をする際のルールがある。
“少しでも気になったものは徹底的に買う”
私はこのルールを完璧に守り、大好きなチョコレートバーを行く先々で買い込んだ。爆買いする中国人の気持ちがよく分かる。酢飯は私の買いっぷりに少し引いていたけど、帰る頃には「もにくちゃん今日全然買ってなくない!?大丈夫!?」と言うようになった。




パリに着いた。
英語ですらまともに聞き取れない私達の目の前に、高い言葉の壁がそびえ立っていた。分かるフランス語は、ボンジュール、ボンソワ、メルシーだけ。
ドゥーユーアンダースタンド?と何度も聞かれた。さっぱり訳が分からないので苦笑いをすると、相手も苦笑いをした。パリにいる間ずっとロンドンに帰りたいと思っていた。酢飯も同じことを思っていた。ちょっと面白かった。



とにかく人に助けられた旅行だった。こちらから声をかけることもあれば、私達の「これはやばいぞ…どうしよう…」という雰囲気を感じ取って声をかけてくれる人もいた。 助けてもらったことを忘れないように旅行中にありがとうメモを書いた。5日目と6日目は自分たちでどうにか行動できたからメモは書かなかった。成長を感じた。




4日目の夜、帰りの電車がなぜか止まってしまい、(駅のホームで流れるアナウンスは聞き取れない)ホテルから離れた駅で身動きが取れない状況になった。
日本人の女の子を見つけて、声をかけるともう30分くらいに電車が来なくてずっとここにいるんだと言っていた。Wi-Fiがなくて困っていたから、助けた。その子を見送るために地上に出たら、運良くタクシーを拾えてホテルに向かった。車内で泣いた。ホテルに帰ってママに電話した。声を聞いて安心したら涙が止まらなかった。
酢飯はちょっとだけ泣いて、あとは静かにしていてずっと優しくしてくれた。酢飯に頭を撫でられるのが好きだ。一生忘れられない濃い1日になった。



色々なことが終わって、終わった分を取り戻すように新しいことが始まる。
社会に出てくじけそうになったらきっと、この旅行のことを思い出すんだろうな。




お土産でみっちりと重たいキャリーケースを引きずって2人で帰ろう。
入国審査と税関を抜けて、空港を出たら春が待ってる。

再開

最近TLで“惚気ブログ”というワードを見かけます。
誰が書いてるのかはなんとなく分かって
ブログを覗いて見たら御名算だったわけです。

幸せに満ち溢れた素敵な内容で
このままずっと幸せが続いてほしいと思いました。

星野源も、ただ幸せが一日でも多くそばにありますようにって歌ってますよね。

日々のちょっとした出来事を
私も書き綴りたいな〜と影響されてしまいました。

人がやっていることがなんでも羨ましく感じて
治したいとは思ってるんだけど
なかなか難しいですね。
20年間生きてきたけど、いつも隣の芝は青いです。


ということで鶏もも肉、更新再開します。

2/22 日記 楽しみ方の話


こんばんは、もにくです。
久しぶりのブログ更新です。緊張します。


私の趣味は美術館巡りです。
高校生の時、美術の先生の授業を受けてから、有名な画家の絵画に興味を持つようになりました。
先生が、「絵画はいつ見られるか分からないから、見たいと思ったものは必ず見に行きなさい。絵画との出会いは一期一会です。」
みたいなことを言っていたので、気になった展覧会にはなるべく行くようにしています。

美術館巡りが好きな理由は、いろんな綺麗な絵が目の前にたくさん映るのが面白いからです。

映画が好きすぎて、映画についてならいくらでも語れる友達がいます。
熱意をもって趣味を楽しんでいる姿を見て尊敬するし、そうあるべきでないといけないのかなって悩んだりします。
私の趣味が好きな理由ってものすごく薄っぺらいなって思うし…。

去年の夏、とあるインディーズのバンドの演奏を聞きに行きました。そこでボーカルの男の子が、
「僕はみんなに合いの手を入れてほしいと思わないし、ステージの真ん中にお客さんがいなくてもなんとも思わない。僕はいつもライブハウスのはじっこで音楽を聴くし、人それぞれの楽しみ方をすればいいと思う。みんな自由でいればいい。」
と言っていました。

趣味のことやそれ以外にも、悩むことがあると、その言葉を思い出します。
好きの理由が薄っぺらくてもいいんだな~、人それぞれだしな~と思う断ればで気が楽になります。

何にでもその考え方を当てはめるのはよくないかもしれないけど、でもみんな自由でいいんだなって思うし、それに気付けてよかったです。

3月の月末の東京美術館巡りも気楽に楽しみたいと思います。

おわり

11/25 日記

今日は東京で雪が降ったそうです。朝からタイムラインがその話題で盛り上がっていました。
雪の白くて冷たくて木陰でしぶとく溶けずにいるところが好きです。

帰り道信号待ちをしている時に息が白くなっているのに気が付きました。白い息を吐きながら自転車に乗ると蒸気機関車になった気分になります。

近所のカフェの駐車場に大きな木があって、冬はイルミネーションでキラキラしています。今年はまだなので早く見たいなと思いました。

自販機でコーンポタージュを買いました。冷えた体で飲んだのでコーンポタージュが食道を伝っていくのが分かりました。一粒残らず飲めたので明日はいいことがありそうです。


おわり

11/13 日記

今日は幼なじみと幼なじみのお母さんとママと私とでビュッフェをしに行きました。
なんだか空気もお客さんも全部がキラキラしていて場違いだな~田舎臭くてごめんよ~と思いながら席につきました。

秋のビュッフェ(?)だったので栗とかかぼちゃのスイーツがたくさんありました。
かぼちゃのモンブランにチョコレートの栗入りスフレケーキにはちみつのプリン。
モンブランのクリームがのっかったアイスクリームが栗のソースに浮かんでいるやつもありました。
ホットチョコレートをその場で作ってくれたのも嬉しかったです。
お口直しのコーンチップとサルサソースも美味しかったな~。

高級なホテルに入ったことがないのでものすごく緊張しました。
余裕な気持ちでどっしり構えて高級スイーツを楽しめるような大人になれたら楽しいかもな~と思いました。

おわり