茨城県公認VTuber茨ひよりのYouTube動画再生回数のプロット
茨城県公認VTuber茨ひより
茨城県には県公認のVTuberがいる。茨ひよりである。茨城県の魅力を発信するため、いばキラTVのアナウンサーとして活躍している県庁職員である。
歌えるアナウンサー
茨ひよりが「歌える」アナウンサーであることは2019年公開の「千本桜」で周知の事実である。
千本桜(4分38秒)【歌ってみた】茨城県公認Vtuber茨ひよりの本気の「千本桜」【MV】/ 「Senbonzakura」 Covered by Hiyori Ibara
そして、2020年8月24日公開の生ライブではその歌唱力を存分に披露している。多種多様な曲目をさらりと歌いこなしており、もうプロの域である。その後、動画中のライブパートだけを抜粋した動画が9月4日に公開され、さらに好評を博している。
(8分19秒)【生放送抜粋】2周年記念生放送オンラインライブパート抜粋
再生回数の分析
茨ひよりやその動画がどれほど人気があるのかを定量的に測定するため、ライブパート抜粋動画の「~回視聴」とある数値を再生回数としてカウントした。これを自動化できる仕組みは見当たらなかったため、ウェブブラウザでその都度YouTubeを開き、表示される数値を記録した。図1は9月4日~6日の3日間の再生回数の推移である。Excelを用いて回帰直線の当てはめを行い、回帰式を図中に示した。
再生回数の伸び率は回帰直線の傾きである回帰係数で評価できる。そこで、日毎の回帰係数を図2に示す(9月4日から10日まで)。動画が公開された9月4日の回帰係数が極端に大きいため(図2左)、図2右では回帰係数を対数軸でプロットしなおした。
動画の公開から7日目で回帰係数は100を切っている。つまり、1日あたりの再生回数が100件未満である。
同様の検討は再生回数の累積値でも検討できる。つまり、その日の最後の観測値(図3左)をデータとして使用し、日毎の増分Δを取れば、それが各日の再生回数の増加分となる(図3右)。これは一日の観測回数を1回で済ませることができるので簡便だが、「今日と明日の差分」という指標であるため解釈がわずかだが難しくなる。
もうひとつの欠点は、毎日回帰係数を算出する方法(図1・図2)と比べて精度が落ちることである。両者の差異を比較するため図2右と図3右を再プロットしたが、両者に大きな差は生じなかった(図4)。ただし、回帰係数による分析の方が変化が滑らかであり、より安定した推定値を与えることが見て取れる。
今後の課題
- 「記述」は終わったので次は「予測」をしたい
- 自動化したい
- 計数行為が再生回数としてカウントされてしまう
- 茨ひよりさんにもっと歌ってもらう方法を考える
映画『屍人荘の殺人』
満足の映像化
2019年12月13日、映画『屍人荘の殺人』を公開初日に鑑賞。少なくない方々が劇場にはおられましたが、わざわざ公開初日に来られたわけですので、もしかすると他のみなさまも本格ミステリのファンなのだろうかと、そんなことも気にしてしまうくらい緊張しながら開始時間を待ちました。
本編は非常に楽しめました。冒頭の「うどん」は原作とは異なる形で登場し、明智と葉村のすっとぼけコンビはかなり増量されています。事件の舞台となるペンションは装置としての盛り込み巻が満載で、クローズド・サークルに憧れのある人は惚れ惚れとしてしまうでしょう。
トリックや伏線は原作のとおりしっかり描かれています。ただし、原作の面白さのひとつでもあったある要素がごっそり削除されており、ミステリとしての濃度は薄まっています。だからと言って難易度が落ちたかというと必ずしもそうではありません。削ってもなお様々な出来事が作中で生じるため、上映時間に比して濃密であることは変わりがありません。
今回の映像化で最大の懸案事項でもあった、映画の中で謎解きをいかに見せるか、という部分は、ほどほどに満足しました。何気なく描写されたカットも推理に組み込まれており、これまでに視聴者が知りえた情報から真相を解き明かせるはず、というミステリの基本ルールはしっかり守られています。「あ、なるほど、これもヒントになるのか」と納得されることでしょう。
どうしてこの密室殺人が「前代未聞」なのか
ただし、全体的に駆け足過ぎて、事件の謎としての魅力を伝えきれていないのではないかという心配もあります。ヒロイン・剣崎の台詞に「前代未聞の密室殺人」というものがありますが、いまいちピンときません。つまり、この事件現場がどうして「前代未聞=不可能な状況」と言えるのかが、映画の中で十分に伝わっていないように思います。
もし、すでに映画をご覧になって、この密室殺人がなぜ「前代未聞」と言われたのかよく解らなかったと言う方は、本作の漫画版の第8話をご覧になるとよいでしょう。奇しくも、劇場公開の翌日(2019年12月14日)にウェブで公開されました。
→少年ジャンプ+ https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156723973774
『屍人荘の殺人』に限らず、最近は本格ミステリのコミカライズが多く、とてもうれしく思っています。綾辻行人さんの『十角館の殺人』、麻耶雄嵩さんの『さよなら神様』など、マニア向けと思われていた作品が漫画になっており、本格ミステリ界隈の変化が感じられます。作り手側と消費者側、双方で大事にしたい、望ましい風潮だと思います。
義元ゆういち『とんずらごはん』
義元ゆういち氏の新作漫画はなんとグルメ漫画でした。マガポケというスマホ向けアプリとウェブサイトでの週刊連載であり、毎週最新話が無料で公開されていました。2019年11月に最終巻が発売され、全4巻で完結しています(第4巻は電子媒体のみ)。
殺人容疑をかけられた女性が逃亡生活を送りつつ、道中のB級グルメを食して廻るというストーリー。恋人はなぜ殺されたのか、なぜ自分が追われるのか、真犯人は誰か、といった謎を解き明かすための旅なのかと思いきや、とにかく食べる。実においしそうによく食べる。
逃亡犯の食レポという設定がうまくはまっていたのでしょう。逃げ続ける主人公という設定が全国各地を旅する必然性を支えており、当然のように飢えているので、紹介されるごはんのおいしそうなことといったら。冤罪の逃亡犯という属性から漂うはずの悲壮感なんてありません。『夢喰い探偵』にも見られたような味わいのあるギャグは健在で、第2話のカツ丼の件と、第15話の出汁の件はお腹を抱えて笑いました。
Twitterなどネット上での評判は上々で、どうして連載が終わってしまったのか不可解なくらいです。もしかすると次の企画が動き出しているのかもしれません。完結後に番外編がマガジンRに掲載されたのは『夢喰い探偵』のころが想起され感慨深いものがありました。
冒頭3話はこちらで読めます
とんずらごはん - 義元ゆういち / 【#1】始まりの神タンタン | マガジンポケット