たった20万円でアジア6カ国の成長企業250社を調べた方法
海外の調査は最低50万円
市場調査ってお金かかりますよね。
Googleで調べたら、こんな情報がひっかかりました。
リスト作成で150万円!!!さらに、管理費が25%もかかる。。。
お金はないから自前で調査しようと思うと、これも大変です。まずは、人がいません。日本の仕事から1週間以上離れても大丈夫で、英語が話せて、家族の理解を得られる人って、結構レアなんです。
たとえ居たとしても、インドネシアで往復の飛行機代+ホテル代+現地交通費やなんやらで約20万円くらい、2人で出張すれば、1カ国40万円くらい。そこに、通訳費用やら会食費やら。他の国をまわれば、ゆうに50万は超えてきます。
海外進出って、小さな会社には負担ですよね。
インターネットを使えば半額以下
そんな調査を、私は合計20万円もかけずに終わらせました。
フィリピン、インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムの6カ国における、HRテックやECサイトなど5分野、合計250社のロングリストを20万円以下でつくりました。
ロングリストと言っても、ウェブページからわかる情報のみで、個別企業に訪問調査した情報は含まれていません。
それじゃ無意味かというと、そんなことはありません。
ベトナムのHRテック企業、みなさん知ってますか?
5社以上あげられる人は、ほとんどいないと思います。ほとんどの場合、ベトナム語かかれた情報から、「その会社がなにをしているのか」を調べることですら一苦労です。
さらに、ウェブページからでも従業員数やサービス利用者数、ときには売上などの貴重なデータが取れます。そうした情報をもとに、「この会社をもっと調べよう」と決めていけば、無駄な調査費用と時間が節約できます。
でも、私、ベトナム語もタガログ語もタイ語も、なにもわかりません。Google翻訳は、意味不明ですし、そもそも検索キーワードが思いつきません。したの画像は、ベトナム語で「会計」を意味する「Ke Toan」で検索した結果です。意味不明です。
現地のプロフェッショナルフリーランサーを使いこなす
「キャッシュレス決済」や「フィンテック」と言われれば、あなたならPayPayやLINE Pay、ペルペイをイメージするのはかんたんですよね。その国で生活しているひとならかんたんに検索できます。
しかし、B2Bサービスやニッチな製造業などになると、その国に住んでればわかるというわけには行きません。
なので、私はそれぞれの国の調べたい分野で働いているフリーランサーを集めました。具体的には、B2BのSaaS企業が対象だったので、SaaS分野に勤める現地フリーランサーが対象です。
指示はすべてビジネスチャットを通じて指示します。そして、調査結果もすべて出来上がってから見るのではなく、Google SpreadsheetやAirTableをつかってリアルタイムにチェックします。こうすることで、言語の違いや文化の違いで起こりやすい「ズレ」を事前に防ぐことができます。
フリーランサーを見つけ出してマネジメントするコツ
ここが一番むずかしいところです。
いくらビジネスマンとは言え東南アジアなので、ひどい奴もいるわけです。HRテックにAmazonとか入れてくる人とか。こうした、理解のズレをなおして、正確性を担保するにはワザとコツがいります。
そのコツの一つをお伝えすると、「質より量で対応する」です。1人を信じるのではなく、2人を同時に雇って競わせることで、グンとクオリティはあがります。
まだまだコツはあるのですが、すべてを書ききることはできません。
これから海外調査をしようとしている人や海外調査で困っている人がいれば、コメントください。◯◯総合研究所と言われるところに100万円はらう時代じゃありません。
正念場。でも、外貨を稼いで、日本に雇用を産んでいる。製造や小売は海外でも強い日本。でも、情報通信系は孫さんに頼ってる。NTTもKDDIも、時代の寵児と騒がれるベンチャーも、もっと外貨を狙いに行ってほしい。https://t.co/E0lAOGfbfQ @Toyokeizaiより
— Ryu Ishikawa (@Ryuji_BARCELONA) 2020年2月14日
「会社は株主のもの」という不条理
「会社は株主のもの」
MBAでも習います。もちろん、そこには従業員や社会、ユーザーなど、他の用語も入りますが、1990年くらいからEVAだなんだで、株主への価値提供が重視されるようになりました。
ただ、私、最近これって正確じゃないのでは?と思ってまして。
「会社は、多くの場合、今はなき昔の株主のもの」
という印象を抱きつつあります。特にIT系の会社。
起業家が自己資本で起業し、その後ファンディングを受け、うまく行けば最後は上場したり買収されてエグジットする、これが王道になっています。
そして、最近のIT系の上場は、初値が上場来高値で、その後ずーーーっと落ちていくケースがみうけられます。
ロックアップ期間はありますが、上場の高値で売り抜けたVCや創業メンバー、古参社員には多額のキャッシュが入ります。その後、その創業メンバーや古参社員が立てた見込みを達成できず、株価は下がり始めます。
そこで、創業メンバーや古参社員は、社員に対して「結果を出せ。会社は営利集団だ」とはっぱをかけます。
でもね、すこーし何かがおかしい。
株価を高くして売り抜けた人が立てた計画の未達を、一般社員に押し付ける。
計画を達成しても株価はあがりません。論理的には横ばいです。
会社のアグレッシブな事業計画を達成することで生じる価値は、その計画で上場した時の株主に刈り取られ済みなんです。だから、今の株主のためではなく、昔の株主のために働いている感が生まれるのです。
学術的には正しくない論理展開ですが、これが今のIT系企業に起きている不条理に感じます。この不条理から逃れるには、短期的に高い株価を狙わない、もしくは、自らが起業するか、なんでしょうね。
Hasta luego♪
企業を思い立って2週間目
仕事でバタバタしてたら、全然手をつけられてない。。。
死ぬほど忙しいわけじゃないのに。
今週は、ほとんど何もしてないけど、こんな進捗
- 競合調査
- システム構築費用の見積もり
競合調査は、米系の先進サービスを探して登録〜!と思ったら、一回営業と話さなきゃいけないやつ。いいんだけど、時差がすごいからなかなか時間がとれない。
ってことで、登録はしたけど未利用状況。今週、ぜってー片付ける。
でも強豪の営業方法が収集できたことはプラス。
定番の、①トライアル登録でのリード情報獲得→②インサイドセールスによるプリセールス→③筋いいと思ったらフィールドセールスへパス/筋悪ければメールでナーチャリング、パターン。
猫も杓子も同じ方法。正直、このインサイドセールス、最高の形ではないと思う。プロダクト側の都合で組み上げた仕組みで、お客様からすればプラスが少ない。
参考にしておこう。
今週末は娘の運動会。でも、頑張って年内にプロト作成まで持っていきます!
Hasta luego♪
起業を思い立って1週間目
起業アイデア自体は昔からネタ帳のようなところに書き溜めていました。
そんなネタの中から、「このアイデアがいい!」と思ったのが先週です。そこから1週間、何してたのか?
新規事業を立ち上げるのは8年で7件(ポシャった案件3件含む)やってるので、なんとなく筋道わかります。
でも、自己資本&チーム無しの起業となると、「はて、俺は何をすればいい」と。
んで、いまさら本かい!!!
って自分で思いましたが、やっぱり身につまされると真剣に読むものですね笑
これから1週間は、1で収集した情報をもとにプロトタイプ作成に必要な要件をまとめると同時に、類似のサービスをTTP(徹底的にパクる)して行きます。
ちなみに、読んだ本は、こんなところ。
- 作者: ジョン・W・ムリンズ,秦孝昭,出口彰浩,兎耳山晋
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)
- 作者: アッシュ・マウリャ,渡辺千賀,エリック・リース,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
凡人起業 35歳で会社創業、3年後にイグジットしたぼくの方法。
- 作者: 小原聖誉
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2019/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
Hasta Luego
勝手に株価算定:AI Cross社
どうも最近のインターネット系スタートアップはバリュエーションがおかしいです。
Slackは初値が37ドル、上場約3ヶ月後の9月13日現在で25ドル(騰落率▲32%)、SanSanは初値5,590円に対して、上場約1ヶ月半の今は約4,400円(騰落率▲21%)、メルカリは初値4,550円に対して、約2,700円(騰落率▲40%)、と軒並み下落しています。
そこにあるのは、IPOの初値で売りぬく「儲けセオリー」の存在かと思います。初値が上がる前提=バリュエーションをせずに公募価格を原点として考える、というもはや盲目的な投資です。
長期的に投資を考えると、株価は継続的な利益(キャッシュフロー)の積み重ねから生まれます。ですので、今回はかんたんに、直近IPO予定の会社の株価算定をしてみました。
SMSやビジネスチャット事業を提供するAI CROSS社がその対象です。
10分でつくったDCFモデルの意味
ベンチャーをDCFでバリューションするのは賛否両論ですが、私は長期的な視野に立つとマルチプル法よりもDCFを信じています。
ただ、将来キャッシュフローをゴリゴリ精緻化したり、WACCをいじりまくったりする積み上げ式のDCFではなく、売り出し価格が正だとしたときに、成長率やWACCが異常なことになっていないか、というゴールオリエンテッドなバリュエーションです。
ですので、運転資金や在庫回転率などは無視しまくりです。インターネット系になると、減価償却や在庫が少ないので、影響はないという割り切りです。本当は売掛と買掛の差分はあるので、Working Capitalは考えるべきですが、時間がもったいない笑
想定価格が無理のないバリュエーション
AI Crossの想定価格は一株あたり1,010円だそうです。
そこで1,010円に近くなるDCFを回してみると、売上成長率は5年間で170%から120%へ低減、WACCは10%、PGR2%で、1,258円というまずまず近い数字が出てきました。
2019年の対前年売上成長率を140%まで落としても、株価は1,048円。ただ、今年の上半期の成長率がかなり落ちているので、2019年の対前年売上成長率を125%まで落とすと、740円。
リーズナブルな価格設定のAI CROSS
想定外にリーズナブルな価格設定のようです。IPO初値で儲けるセオリーが広まっている中、このリーズナブルな価格設定なら、初値は大きく上回るでしょう。
一方で、とんでも株価の銘柄もあるのは事実
経営陣やVCがエグジット目的の銘柄には、DCFではどうやっても算出できない銘柄もあります。こうした銘柄は、初値はぎりぎり保てたとしても、SlackやSansan同様に、数ヶ月で30%から40%の下落リスクは高いと言えます。
会社が勝手にきめた想定価格を信じず、自らの努力と時間で利益を計算することをおすすめします。必ず儲かるという話に、いいことはありません。Hasta luego
ベトナム進出で知っておくべき3つの常識
ハンバーガー、ケバブ、サンドイッチの3強に食い込む次世代はバインミーだと信じているのは私だけでしょうか?
ベトナムに限らず、東南アジアに投資や進出しようとすると、必ず通る道があります。そして、その道をたどってみて「あ〜、最初の段階でまちがってた〜」と振り返る瞬間があります。
ベトナムはハノイに旅行するとします。初めてのハノイ・ノイバイ国際空港を降り立つと、一番安そうな両替所で両替し、一番安そうなタクシーにのって、一番安そうなローカル市場に行きます。
でも1ヶ月もすると、その「安そう」な両替もタクシーも、市場も実は安くないことに気づきます。
観光ならなんの問題もありません。
でも進出となると、3連ちゃんでボラれてたら事業が立ち行きません。そこで、私が3年で感じてきた、みなさんの「間違った〜」を共有しみたいと思います。
1. 現地に来る前に進出支援企業を選んでいる
犬もあるけば進出支援に当たる、くらい進出支援企業が存在します。そこには、素晴らしいサービスを提供する会社と、とんでもない会社がいりじまっています。
日系の進出支援で多いのが、ベトナム人脈を売りにしている会社です。
「私は、ベトナム共産党委員会の幹部とつながっている」とかですね。
でも、これほとんど嘘です。
次に多いのが、日本人人脈を売りにしている会社。これは、視察ツアーとかで「こんな会社も紹介できちゃうんですよー」とアピールします。
でも、これ、3年も住んでれば誰でもできます。
ベトナムに駐在で来た日本人男性がベトナムの生活と女性を好きになり、帰任命令が出ても日本に帰りたくないから進出支援を立ち上げる、というケースが多い気がします。
もともと駐在員だった方に人脈や進出コンサルを期待しますか?
もちろん、中には本当に素晴らしい会社もあります。そうした会社の特徴としては、現地の日本企業のコンサルティング契約を4年以上請け負っている、という点です。4年というのは、現地駐在社長の任期の多くが3年で、社長をまたがって契約が続く=本当の価値を提供している、と言えるからです。
進出検討する場合は、相談する進出支援企業がしっかりした会社かどうか、サードオピニオンまで取ることをおすすめします。
ここで間違うと、高いコンサルフィーを払ったのに、営業ライセンスすら取れないという事態に陥ります。本当にひどい会社があることを肝に銘じておくべきです。
2. 日系人材紹介会社に採用をまかせる
ベトナムでは、親や友人の紹介による採用がベトナムでは非常に多いです。日本では、「コネ」入社はネガティブに見えがちですが、東南アジアではポジティブな面が多くあります。
東南アジアには密な人間関係が存在します。家族や親族、友人の関係は、日本人の想像を超える密なものとなっています。ですので、家族や親族、友人の紹介で転職する場合、その関係を壊すような働き方をすると、相手のメンツを潰しかねません。紹介する側と紹介される側に、比較的強い義務関係が存在するのです。
日系の人材派遣会社を使うと、「日系=賃金がいい」と期待したベトナム人を、賃金の高い日本人を抱える人材派遣会社経由で採用するので、採用コストが高くなります。しかも、応募者は賃金と肩書に目がいっているので、期待水準にあわなければ簡単にやめてしまいます。そして、また採用活動のくりかえし。
こう書きながらも、本当に採用は難しいです。理想通りとはなりませんが、人脈のあるメンバーを高い金払っても採用することをおすすめします。
この点において、Facebookは重要です。採用候補者がどういう人とつながっているのか、どういう情報を発信しているのか、どんな人が「いいね!」やコメントバックしているのか、を確認します。SNSにおける情報発信者であれば、その地位を壊すような働き方はしにくいです。一方、情報を受けるだけの人は、人脈が薄い傾向にあり、採用後に優秀なメンバーを連れてくることもありません。
3. 日本人に政治的なコネをお願いする
東南アジアで仕事をすると、避けては通れないのが政治的な関係。
ライセンス取得をする、財務調査を受ける、工場設立認可を受ける、などなど、必ず政府筋とのやりとりが生じます。
ときに、賄賂目的の莫大な罰金を課されることもあるそうです。しかし、政治の動かし方を知っている人なんていません。なので、「私は政治家とつながってますよー」という人に救いの手を求めてしまう。
まずNGなのは、日本人。結構います。でも、ほぼ確実に嘘です。現地の共産党幹部が、「コネ」的な話を日本人と直接することは滅多になく、そうした日本人は別のベトナム人に相談するだけです。そして、そのベトナム人も疑わしい。
次に現地のベトナム人。これは見分けをつけにくい。
ここにも、2で話した人脈戦略が生きます。その人本人をいくら見ていても、真贋は見えません。ただ、別のベトナム人経営者数人に聞けば、人脈の世界で生きる彼らは必ず情報を返してくれます。
ベトナム人経営者人脈に引っかからなければ、ほぼ嘘を言っているといいでしょう。そうした点でも、1の進出支援や2の採用において、ベトナム人経営者層との人脈がある方を見方にする価値は非常に高いです。
ただ、政治的なつながりに過度な期待を抱くのはやめた方がいいと思います。飛び道具として期待するのもいいですが、見合った価値を生むことはめったにありません。
もし、ベトナム進出を検討する方がいれば、ご相談にのります。仕事がら毎月10名から20名以上の新しいベトナム人経営者と会っています。セカンド、サードオピニオンの取り先は大量にあるので、お気軽にどうぞ。
ただ、マージンなどは一切取りませんので、逆に面倒な内容はお断りさせていただきます笑 日本人一丸となって海外で成功しましょう!Hasuta Luego!