カラフル 森 絵都
色のない世界からかえってきたら…。
若いころ、時々あるよね。いろんなことがすべて自分にとって最悪の状況ってこと。
悲しくてつらくてなんでこんなトコロに自分は生きていなくちゃならないんだろうって…。
この物語みたいに実は、本当は、きれいに裏返しの現実だったらすごく幸せだろうけど
実際はそんなに甘くない。
でも、この話を読んで、ほんの少しはひがんだ心やゆがんだ視点で物事をみて自分を不幸な立場にして悲しむポーズをとってるところもあったかもしれないって思ったりした。
主人公に現実が真逆であたたかな真実をみつけられて「よかったね」っていってあげたい。
新しい道徳「いいことをすると気持ちがいいのはなぜか」 北野武
「道徳」にだって旬がある
自分が生きている時代にあった道徳を考えよう。
この作者は頭がいいからそんなからくりがちゃんんとみえるんだろう。
私は、ずっと昔教えられた道徳心を大切に抱えて生きてきて、ほんの数日前にすごくバカだったと気づかされたことがあった。
馬鹿正直で、のろまなカメ…。みんなそんな風に私のこと思ってたんだろうね。
でももう引き返せないんだなこれが。
きっとみんなそうなんじゃないかな。
ちいさいころ洗脳された「いいこと」とか「たいせつなこと」は身に沁みついている。
あほらしいくらいに、思い込みになって…。
まぁ、いいんだけど、ところで私の育てた子供たちにはどんな「道徳」がふきこまれているんだろう。
スクラップ・アンド・ビルド 羽田圭介
年寄りってスクラップなんだろうか
「死にたい」「死にたい」って言いながら死にそうになると「危うく死ぬところだった」と平然とのたまういらっとする年寄りはしたたかに生き抜いていつか自分の方が先に逝ってしまいそうな気がする。
でも、なんどもなんども同じような思いをしながらいつか自分が迎えるそんな時を考えると結局、年を取るって醜悪だと自分が早く終わりを迎えることを望んだりする。
いい人が主人公だと思う。できるだけ早く死ねるように手伝ってあげるのは、そんなに悪いことじゃないと思う。
そう思わない人もいるかもしれないけど…。
本を読むとき、主人公や登場人物に自分を置き換えて考える癖がある。
だから、この本の主人公の気持ちもおじいさんの気持ちもなんだかわかる気がする。
あしたは、少しは幸せになれると思うよ。
異類婚姻譚 本谷有希子
暗示的…
標題の「異類婚姻譚」よりもその他の短編がひっかかった。
「犬たち」「トモ子のバウムクーヘン」とりわけ「藁の夫」は自分を投影してるみたいで私にはとても気になった。
というより、自分が感じている違和感を一番納得できたのかもしれない。
そーなのかぁ…。
納得するのもなんだけどそういう事かと腑に落ちてしまった。
でもだからどうというわけでもないのだけれど…。
「異類婚姻譚」のようにお互いを飲み込んでしまえばなんとかなったのかもしれない。
でもずっと違和感を抱いたまま今を迎えているわたしには、こんな風にはなれなかった。
あまりにあちらよりの世界に引きづり込まれそうで悲しかったから…。
とても夢想的で、ちょっと現実を踏み外しているような話に引き込まれそうだった。
君の膵臓をたべたい 住野よる
爪の垢を煎じて飲む
本を読む習慣をつけようと月に5冊の本を読む誓いを年頭にたてた。
クリアできたのは最初の1月だけ、2月は、それでも4冊。
3月は、まだ2冊半。
昨日、読み終えた本。今回は、話題に上ることの多いこの本を選んだ。
読みやすくはあったけれど、相変わらずイマドキの人が書いた本だなと表現にちょっとだけ疲れた。
”爪の垢を煎じて飲む”かわりの『膵臓』だったわけだけど…
2人が同時にそう思う(思っていたと分かった)シーンはなかなか印象的だ。
テーマは悪くないと思う。
若い人を主人公にしているわりに言葉づかいも丁寧だった。
でも、残念なことに私自身がスピードとか余計な言い回しとか、感覚的にちょっとついて行けなかった気がする。
だだ、自分のよく知っている街が出てきたのが少しうれしかった。
私は、こんな特別なシチュエーションに遭遇することもなくこの歳まで
過ごしたケド、いつか迎える日のためにはちょっと役に立つ話だったと思う。
自分がいなくなった後の世界を想像するってことも最近はよくやることだから
この本がきっかけでこれから真面目に人生の片付けに取り掛かろうと思う。
本
本を読むのが遅くなった
目が悪くなったせいもある。
それだけじゃなくてその先に書かれた内容に対する興味がなかなか湧かないのかもしれない。
ミステリーやSFが好きだった。
ミステリーの結末に向けてなだれ込むように最終章は先に先にと押されるように読み進んでいたのに最近は、まぁなかなか進まない。
今回の本は、ミステリーではなかったけれど、割に読みやすい本だったにもかかわらずなんだかすごく時間がかかった。
嫌いなパターンの文章でもなかったし、特に読みにくい内容でもなかったのに…。なぜか進まない。
次はこの本を読むんだけど…さてどのくらいかかるんだろう。
うぐいす
今年は、鶯の声を聴かない…。
こんなにあったかいのに
ウチの近所は、お寺が多い。当然、梅林などもあったりする。
だから、春。猫のうるさい声が始まる頃には必ず鶯のへたくそな「ほ~ほ~けきょっ」っていう練習が必ず聞こえていた。
なのに…今年は、もういくらなんでも聞こえてよさそうな気候なのにまるで忘れたように啼かない。いったいどこに行ってしまったんだろう。
毎年、毎年聞いていたさえずりを聞かないとなんだか季節をひとつとばしてしまったみたいでキモチワルイんだけど…。
そもそも、私という人間は、なんだか天邪鬼で、聞こえれば、下手なさえずりとあざけるくせに聞こえなければ寂しいと思う…勝手なものだ。
春がそこまできてるというのにこのままあの声を聴かずに新しい季節を迎えてしまうのだろうか。
毎朝、気になってなんとなく耳を澄ませてしまう。
明日は聞こえるだろうか?