劇団鹿殺し5年生企画『のべつ幕なし』
敗者の幸福のあり方の物語。
主人公がもがき、苦しみ、考え
そしてそれが何ひとつ伝わらないもどかしさが舞台の上で大きな熱量となっていた。
終盤のアレは、彼の負う障害から考えると
心象風景/あるいは理想の幻想/あるいは
表向きのハッピーエンドと捉えたのだけど、どうだろう。
そう受け取ると、なんというか、逆に救いはどこにあるんだろうというか
問題はどうしたら解決するのだろうかとか
そういった背景が浮き彫りになってきてしまって
闘う彼の姿は格好よかったが、どうもカタルシスではなかった。
まぁ、鹿もわりとそんな感じか……な?
音響が効果でなく機材不調だったと終演後案内があって
あぁ、そんな気はしたけど、でも効果だって言われたら
あぁそっかーって思ったのに、とは思った笑
まぁ効果としては全然効果的じゃなかったけど!笑
劇中曲でフジファブリックが使われてて、ああフジファブリックだーって思った。
数日前にちょうど「きょうだい児」のことを調べてたんだけど
あの姉妹はこれからどうやってこの先、生きていくんだろうなぁ。
ガガガSPや野狐禅など、いやもっとあるんだけど
「生きづらい生き方を選んでしまって
それでもそのようにしか生きられない僕たちの悲哀」を歌う人は多く
さらに言えば売れない漫画家が悩む漫画、売れない劇団を描く演劇、色々あるけど
なんだろう、題材の手軽さゆえに、難しいんだよなぁ。
ツライツライ言うてるけど、本当は演劇なんか観る暇もなく
会社に数日泊まり込んでサービス残業を繰り返し
福利厚生もほとんどない人たちのほうが、現実悲惨だったりするわけで。
それを踏まえた上でも、今回の非正規雇用トリオの描き方は
嫌いじゃなかった(まぁよく見るやつだなとは思った)んだけど
主人公が、本人の力の及ばぬところで後天的に負け組へと組み込まれ
結局周りの人も幸せになれたのだろうかあれは?という結末
ラストもあれが本当にあったことなら幸せだけど、あれは彼の夢/幻/理想で
現実ではありえないだろう?というのが、なんとも、どうにももどかしかった。
『箱の中身2016』
やっぱり物語は二転三転して欲しいよね。
見え方によって変わってくる真実、という構図の作品大好き。
ボブ長谷川と秋山についての関係は、もうちょっと考える……。
やっぱり見ていて、それを蓋したけど深層心理で暴れまわったのかね。
ボクサーのくだりは、なんとなく
扉座の『とんかつロック』思い出したなぁ。因果な家業よ。
人の犯す優しさ故の救いようのない罪と嘘、という意味でか
KAKUTAの『痕跡』も思い出したりした。
あと「希望はなくなりましたから」で
さすがぜつぼうの濁点の方だと思いました。笑
やっぱ原田宗典作品の言葉、好きだぁ。
桟敷童子大好きの壱組印大好きな私には、ほんと幸せとしか言えなかった。
原田さん久しぶりに拝見できてよかった……!
あと大谷さんのアフタートーク回に都合ついてよかった。
少しお痩せになられた?最近拝見できてないからなぁ。
アリスの『平凡』も思い出した。歌ね。
不幸じゃなければ幸せですか。何事もなくすぎてゆく。
【整理メモ】
噛み合わなかった歯車
ダイヤモンドの代わりにガラス玉が嵌っていても見抜ける人がいなければ問題ない
歪な自己犠牲それぞれ(佐藤/えみこ/秋山/川村)
劇団チャリT企画『1995』
【Twitterで呟いたものの再録になります】
うーん。劇団チャリT企画、初見だったけど期待しすぎたかしら。
内輪ネタ、キかないメタ構造、あざとすぎて耳障りなキーワード。
意味の通じない出ハケがあったり
(下に用事があったはずが喋るだけ喋って上ハケとか)
装置もチャチいけど効果的に使われるのかと思ったらチャチいだけだったし。
まず世界を断絶する鉄門がペラッペラなのに音だけ重厚。違和感。
外が騒がしくしてるのにドアを開けても変わらない音量。
普段音響なんて気にしないのにすごく違和感があった。
入れ子構造の演出?とおもったけど、サークルシーンは回想だものね。
新人の子たちがガチで下手で、見ててツラかった。
劇中劇チームは安心して観れたけど、それまでがしんどくて。
あと「あるある・あったあったネタ」は引っ張りすぎて鬱陶しさが。
劇中劇の中で絶賛されてた劇中劇中劇「考えさせられる芝居」
どうせならそっちが観たかったな。
期待値が高かったから、気になった点ばかり挙げちゃう。
自分の中でためときたくないのね。
同じ社会派なら(もう既に比べられてるかもしれないけど)笑の内閣とかの方が、
エンタメとしても問題提起としても数枚上手だった。
ブルの『1995』も観て、比べてみたかったな。あちらは行けなかった。
色々言ってしまったけど、エピローグ前の実世界線エピローグ、
芦原氏の戻ってきた瞬間のあの表情。
あの表情だけで3500円のモトは取れた。
役者さんの魅力ってそういうものね。
あれ?本当は別の役者さん目当てで行ったんだったけどなー(笑)
【追記】
開演前の「テロが起きた場合は……」のブラックジョーク、あれは好きだった。
フランスのテロにかこつけた時事ネタ。
これで開演前の期待値ちょっと上がったんだけどな。
『ブロッケンの妖怪』
ある秋の日の午後。絵本作家の打越(竹中直人)と担当編集者の黒柳(生瀬勝久)、そして、打越の放浪癖と浮気性を心配する恋人の桃(安藤聖)が、高地にある大きな湖の真ん中に浮かぶ小島を訪れていた。そこには城のような洋館が建っており、それが島の敷地のほとんどを占めている。
霧の濃い日はその霧に洋館の影が映り、湖の上にもう一つの洋館が現れるという。「ブロッケン現象」と言われるものだ。霧に映った洋館の影を虹が囲む、その美しい光景を、打越たちは取材にきたのだった。
洋館には日ノ原虹子(高橋惠子)という女主人と娘の小真代(佐々木希)、使用人の若い男・稲井(大貫勇輔)が暮らしていた。他に、生活に必要な品を本土から運んでくる船乗り・泊(田口浩正)も出入りしている。
だが、会話や態度にどこかしらギクシャクしたものが感じられる日ノ原家の人々。不審に思う打越と黒柳らは、嵐の夜に、この洋館と家族を巡る驚くべき秘密に遭遇することになる。
竹生企画ふたたび。
えぇっ、前回が4年前?
信じたくないものです……ふふふ。
個人的に、映像を多用した舞台作品があまり好きではないため
なかなか空気感にノるまでに時間がかかってしまって残念。
『テンペスト』とかも、それで萎えたのよねぇと
ずいぶん昔の観劇記憶を呼び起こしたり。
なんだか竹中氏のキャラクターに
どうもスッと入り込めず……
聴きよいトーンの少し下の声でずっと喋っていて
はしゃいでスキップしたりするところも
ちょっと無理に上げてる印象が最初はあったなぁ。
繊細な力技師(笑)田口氏が出てきてからは
だいぶ勢いに乗って観れるようになりましたが。
佐々木希嬢は、映画『さいはてにて』の時も思ったけど
スカしたりフテたり、無理にワルい子を演じようとすると
すごい演技演技しちゃうね。
お嬢様キャラの方はすごいよかった。
4年に一度、湖の向こうから「あちらの世界」がやってきて
選ばなかった選択肢のその先を垣間見ることができる物語。
稲井君@大貫勇輔が、ただただツボでした。
あちら側の稲井君も、こちら側の稲井君も。
超好き。すごく好き。あんな二面的俺様執事に守られたい。
ただの萌えの話。
通路芝居の時に生瀬さんが30cmほどの距離に来て
心臓止まるかと思いました。ばくばく。
あちら側の黒柳をやっている生き生きした生瀬さん、好き。笑
世界が交錯してからはだいぶ楽しめたんだけど
なんとなーく、入り込めるまでに時間がかかっちゃった作品でした。
ヒメゴト~十九歳の制服~
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ネットで試し読みしたら気になってしまい
中古でも値落ちしていなかったので
kindle版で購入してイッキ読みしてしまった作品。
エロ漫画と言ってしまえばそれまでなんだけど。
「オトコオンナ」として生きてきた由樹と
女装願望と現実の狭間で押しつぶされそうなカイトと
清純風な堕落した美「少女」である未果子の
若さと欲望と切実さが
ビシビシとページをめくるごとに訴えかけてくる
刺激的な作品でした。
エロ漫画と言ってしまえばそれまでなんだけど。
違うんだよ。ただのエロじゃないんだよ。
むしろもっと、人間として切実な部分。
スズキさんはただ静かに暮らしたい 2
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(ウキウキするような話でもないけど)
(というか確認したら1巻買った時に2巻も出てたはずだ日付的に)
お隣に楠警視が来るのはすごいね。
なんか想像してなかった方向になっている。
「なんで僕だけ殺しちゃいけないの」
よくよく考えるとすごい台詞!