ゾンビものを新次元に押し上げる「ゾンビ・アット・ホーム」
みんな大好きゾンビ映画。
特に「ウォーキングデッド」が大ヒットになってここ数年でしょうか。
以前の一部好事家向け脳みそムシャムシャムービーといった扱いじゃなくて、かなりライトな好まれ方をするようになってきた感があります。
「ゾンビ映画」と「ゾンビドラマ」
映画は2時間の枠ありきのため、だいたいが
1:パンデミック発生
2:逃げる主人公と混乱する社会
3:カタストロフィ、そして対決
4:パンデミック自体の解決の兆しが見える、もしくは果てなき逃亡を示唆
という流れを持っています。
ところが、ドラマだとこの4以降が果てしなく伸ばせるわけです。
「ウォーキングデッド」においては、シーズン1のゾンビものらしいパニック描写より、シーズン2以降の「果てなきその後の世界」にこそぞくぞくさせるものがあります。パンデミック発生から2年目の冬なんて、もう胸に迫る迫力がありました。
シーズン3の第1話「厳しい冬を超えて」では、作物や野生植物が冬枯れの中、賞味期限切れの缶詰を、「どのくらいならいけそうか」というカンをもとに口に運ぶわけです。
グッときます。
思考実験としての「ゾンビ・アット・ホーム」
で、「ウォーキングデッド」における「その後の世界」の描き方がスタンダードなものだとしたら、この「ゾンビ・アット・ホーム」は実に実験的です。
表現として実験的というわけではなく、一種の思考実験です。
※チンタラ書いてたらhuluでの配信が一旦終了になってしまってました!
観たい方はDVDで観るか、次回配信をお待ち下さいな・・・
この作品は「もし、ゾンビが『再び』生者として甦ったら?」というワンアイデアで作られている作品。
この世界ではパンデミック→カタストロフィはすでに終局し、一度死んで墓から甦った系のゾンビを、「生者に戻す(生者と同じ知性を持たせる)」薬が開発されているという設定です。
元ゾンビたちはPDS(post deth syndrome「部分死症候群」)の患者として施設に収容され、首の後ろにあけた穴から定期的に薬を投与される。
↓このように首筋にブスっと定期的に。注射を。
そして、ある日「退院」になって、もと住んでいた家に帰ってくるわけです。
だから「アットホーム」と。
息苦しくなるくらいどシリアスの第1シーズン
ジャンルものに依拠したつくりなのでコメディかと思いきや、
これめちゃくちゃ、めっちゃくちゃシリアスな作品なんですよ!!
シーズン2、合計9話までしか観ていないのですが、何回胸が詰まったことか。
ファニーな意味で面白いのは、第1話で収容者がリハビリを受けて「人間」に溶け込もうと試行錯誤しているところぐらい。
あとはヒリつくような切迫感とリアリティに満ち満ちています。
元ゾンビたちはカラコンでゾンビ・三白眼を、濃いぃファンデーションで死人色の肌を隠して「社会復帰」します。
第1シーズンでは
・ゾンビパニックの時、各地で義勇軍(HVF)が結成され、地方では今も武装して幅をきかせている。
・村人は初めての元ゾンビ(建前上「患者」と呼ばれる)受け入れに戦々恐々。
・帰郷した息子が殺されるかも、と怯える両親は息子の「復活」を隠す。
などなど、元ゾンビの帰郷に(当然ながら)、恐怖と危機感を抱いた村人たちにフォーカスした物語が展開されます。
恐怖に支配された村人および義勇軍によって、元患者たちが血祭りにあげられる悲惨な状況が続き、「ああもう彼らは普通の人間として生きなおすことはできないのか」という悲哀と同情が、観客の胸にも渦巻きます。
↓最も悲劇的な役回りになる、主人公の友人元ゾンビ。
異質な隣人たちを社会コストとして受け入れ、共存していくかを迫られる場面ですね。
歴史的に何度も繰り返されてきた葛藤ですが、これを共感と想像ができるかたちで提示してくれるのが、フィクションの良さってもんです。
「起こりうる状況ぜんぶ乗せ」の第二シーズン
ところが第2シーズンは、悲壮な第1シーズンから1年半経ち、建前上とはいえ、「患者たち」を受け入れたかのように見えた社会側に、元ゾンビたちで構成される「不死の解放軍(ULA)」が衝撃的なテロを起こす場面から幕を開けます。
ナゾの青い薬をキメてゾンビ化し、乗客を襲う元ゾンビのみなさん。
↑これゾンビものだったわ・・・と久々に思い出させてくれるシーンです。
この事件に巻き込まれるのは、元ゾンビに対してすごく「物わかりのいい」ことを言っていたおじさんです。
(わたくしもこういうことを言いそうな人間なので、胸にグッサーでした。)
↑言えば言うほど哀しい、物分りのいいおじさん。
この1年半の間に、この世界に何が?
さて元ゾンビたちが帰郷してからの1年半。
実はこの期間、特に大きな事件があったわけでも、患者に対して差別的な法案が可決されたようでもない様子です。
起こったことはただ、小さな摩擦が醸造されただけなのです。
患者たちは帰郷し、地域社会はそれを受け入れ、
第1シーズンで語られたような、隣人同士が血で血を洗う悲惨な衝突などを経て、元ゾンビたちに過激な反対をおこなうものは減っていきました。
元ゾンビ排除を訴える過激派の神父の説教は以前よりもずいぶんと閑散とし、
人間とそれ以外と分けられていたバーの座席も取り払われました。
(こういう細かい演出が実にナイス。)
面と向かって「このゾンビが!」ということは差別的であるとされ、地域社会は表向き患者たちとの共生を選んだかのように見えました。
↓義勇軍でブイブイ言わせてた過激なあんちゃんですらこんな穏健路線に。
しかし、患者たちはやはり小さな摩擦と衝突の中で恐怖され、おのずと同類同士でつるむためいっそう孤立を深める。
そんでもって、思い出したようにたまーにフラーっ森とかから出てくる野良ゾンビが、更に村人たちのトラウマを想起させる。
「リメンバー・ゾンビ・パニック」的に。
そんな社会状況の中、患者たちの間では
「本来の自分を解放する」
「自分たちは特別な存在である」
という教義に従ってテロを起こす「不死の解放軍(ULA)」の存在感が強くなっていくわけです。
こっからは怒涛の展開です。
・本来のゾンビ化を抑える薬をULAメンバーが細工し、「第二の復活」というXデーに向けて何か事件を画策している模様。
・村には反ゾンビ的政策を掲げるヴィクタス党の議員が常駐し、患者に対する締め付けを強化
・学校でも元ゾンビ高校生による「青い薬テロ」発生
・とうとう元ゾンビたちには「奉仕活動」という名の強制労働を課し、期間満了(いつかは不明)まで市民権剥奪とのお達しが。
社会から排斥されたと確信している集団が、じわじわと先鋭化して過激化していく。
何といっても、このドラマ放映前後のヨーロッパ社会のありさまを現実として目撃している我々です。
「ゾンビ・アット・ホーム」が描き出す対立構造を観て、
ヨーロッパ社会対イスラム教の構造を連想すんな、って方がムリ。
それぐらい明確に、現実社会に対する写し鏡たり得ている作品です。
正確に言うと、イスラムフォビアや移民排斥運動だけではなく、
例えば80年代のエイズパニックとか。
それに付随するホモフォビアとか。
精神障害者を取り巻く差別とか。
あらゆる世界、世代でいつもいつも発生している、ありとあらゆるマイノリティ集団との間の摩擦に当てはめて観ることができるんですね。
「んなもん、実際にアイツら危ないんやから差別されても仕方ないやろ。正当防衛やろ。」とおっしゃる御仁も。
「無知が恐怖を生む。相互理解と包括が共生への道だ。」とか物分りの良い事を言いがちな私やあなたも。
誰もがどこかに自分の立ち位置を見つけられるように仕上がっている、稀有なドラマなんですよ、「ゾンビ・アット・ホーム」。
優れた表現っつうのは、この作品のようにおしなべて現実世界へのリフレクションが強烈なものだと思います。
まぁ今、配信されてませんけど・・・!
huluさん、カムバック&新エピソード追加お願いしますよ!!
↓せめてものAXNの公式サイトです。
都市伝説と呼ばれるレベルの保育園に通っていました。
入園の季節ですな。
新入園児をお持ちの親御さんのバタバタがうかがえる記事が話題のようです。
幼稚園、保育園のお弁当に「禁止食材」が存在する、ということに関する記事です。
「冷凍食品の禁止」
「果物、デザート入れるの禁止」
「ウインナーなど加工肉、練り物禁止」
などなど・・・。
にわかには信じがたいかたも多いと思います。
実際コメント欄では「都市伝説乙」「園児持ちだけどそんなん聞いたことない」などの声もちらほらですが、そんな厳しい園もあるところにはあるんです。
わたくしが数年前まで子供を通わせていた保育園(認可私立保育園)もそんなところでした。
というより、おそらくこのような「食育意識高い系」の最右翼な園だったと思います。
「フードファディズム - Wikipedia」って言葉を知った時、膝を叩きましたもんね。
ああ、この難儀さはフードファディズムに由来していたのか、と。
何がダメだったか、何故ダメか
思い出すと色々あるもんです。
以下、motnao子が通っていた保育園でNGになっていた食材とその理由です。
ウインナーなどの加工肉
→添加物を多用しているから
果物やゼリー
→おやつだから。昼ごはんの時はご飯を。
ちくわなどの練り物
→足が早いから。食中毒防止のため。同じ理由でマヨネーズ利用禁止。
冷凍食品
→はっきりした理由は不明。「冷食ばかり使わずにキチンと作って」的な事を言われた記憶が。添加物問題もあるかと。
えび
→ほとんどが輸入品で添加物、薬品をたっぷり使っているから。同じ理由でバナナも禁止だった。
揚げ物
→消化に悪いから。たぶん給食で「幼児食」ってのが始まる3歳児クラスくらいまで禁止だった。
バラン、ラップ、ピックなどの使用
→食べにくいから。食べる意欲をそぐから。
キャラ弁
→聞くだけムダなので誰も尋ねもしてませんでしたが、そもそもキャラクターグッズを持たせる事が前面禁止なんで、当然これもダメだと思います。
プラスチック製のお弁当箱とコップ
→これも明確に理由があるわけではなさそう。ビスフェノール?曲げわっぱかステンレス限定でした。曲げわっぱなんか高いですが、8割方わっぱ弁当持ってきてましたね。
コップはステンレスかホーローか、プラ以外の割れない素材限定。と言われ、アウトドア専門店に駆け込んだ思ひで・・・
ざっと思い出しただけでもこんだけありました。
上の記事で触れられていた実例は網羅してるんじゃないでしょうか。
とは言え、月に1~2回の「お弁当の日」だけだったので毎度ブーブー言いながらも耐えられましたが、毎日だとか週に3回だとかの幼稚園でこの掟を掲げられたら、もう発狂ですね。
煮物まで作ろうと思うと流石に前日夜の仕込みが必要になるので。
たぶんですね、id:nenesan0102 さんの知人と同一保育園か、相当思想が近い園だと思いますね・・・。プラ弁当箱禁止ってのはかなり特異なので。
痛いニュース(ノ∀`) : 幼稚園のお弁当、冷凍食品やウインナー「禁止」でママパニック 「何を入れれば...」 - ライブドアブログ
知人が預けてる保育園もすごかった。冷凍ダメ、ウィンナー、練り物ダメ、さらにはプラスチックのお弁当箱がダメ。都市伝説と言うてる人はなんなんや
2016/04/06 00:59
何を入れろと?
私は超ズボラで「食育」ってのも話半分で聞いていたので、だいたい卵焼きと野菜&肉いため、トマトと塩茹でブロッコリーか枝豆、みたいなものでお茶を濁していました。
凝ってるお母さんは凄かったですね。
だいたいこんな感じ↓に仕上がってきてました。
豆やらさつまいもやら炊いて、つくねや焼き魚焼いて・・・
数々の制約のあるお弁当作りという難問に、逃げることなくがっぷり四つに組んでる感じのお弁当でした。
大人目線で見るとすんげー美味そう&贅沢なお弁当ですが、子供はそんなものよりタコさんウインナー!なんですよね。
小学校に入って初めて遠足に「ソーセー人」を入れてあげたら、後日、宿題の日記にまで嬉しそうにそのことを書いていた我が子。不憫や・・・(ノД`)
NG食材を入れたらどうなるのか
数十人居る園児の弁当をどうやってチェックしてるのか?と思われるかもしれませんが、だいたいは新入園の段階できっちり釘を刺されるわけです。
大まかなNG食材は最初の懇談会の段階で聞いたかな?
基本的に親御さんはマジメなので、ダメって言われたらちゃんと守る。
で、それ以降しばらくは細かくチェックされて、もし入れていたらお迎えに行った時に「あのね、今日のお弁当だけど」って保育士さんから肩たたきですよ。
これ恐怖でしたね。
単に「これ入れないでね」って言われるだけなんですが、基本的に先生に話しかけられるのは何か禁を犯した時だけなので、近づいて来られただけでドキーンですよ。
そんな園に入れたお前が悪い問題
「リサーチが足りないからだ、我慢せえ」と言われればそのとおりかもしれません。
実際、友達に愚痴ってた時に言われた事もありますしね。
でも今日び大半の親は「入れる園、通える園」を探してるわけで、その段階で通勤ルートや開園、閉園時間、園庭や環境面の安全性と同じレベルで、弁当ポリシーまで確認しませんよね・・・。(いや、ここまで話題になったから、来年度からはみなさんチェック項目に入れるのかもしれませんが。)
園のHPや職員の話、口コミサイトなんかで、「どこまで意識高い園なのか」はある程度予想は付くのですが、ここまで事前に把握しておくのは現実的ではなさそうです。
これはもう「社内の雰囲気が良さそうだと思って入社したら、社員旅行どころか花見に大運動会も参加必須でコミュ障だからマジ泣きそう」みたいな事例に近いのかもしれません。入社前の段階でそこまで確認する?っていう。
一事が万事、全方面で厳しい園
まあほんとにこのmotnao子が通っていた園はあらゆる面で「厳しい園」である事で地元では有名だったらしいのですが、第一子で地縁の無いところだったので(見学には行ったものの)入園前に知る由も無く。
キャラクターグッズの持参禁止、TV、DVDなどあらゆる動画メディア禁止、スナック菓子禁止、文字や数字などの早期教育禁止、など、この園の禁止事項や制約には枚挙に暇がないので、お弁当のNG食材なんてね、もうね、埋もれますよね。
特に早期教育禁止については、数多くのコンフリクトを生んできた項目です。
詳細は割愛しますが、私はこれだけは真っ向から反発してバンバン読み書き教育していました。
でも園でバレると先生に叱られるので「字が読めることはナイショにしてね」と子供に言い聞かせていたわけです。こういう嘘を子供につかせるのは凄い倫理的葛藤がありましたが。
保護者によって「これだけは納得行かない」っていう方針があるもので、この園に通っていて、一度も園側とガチバトルをせずに卒園する家庭ってないんじゃないかな?と思うくらい、皆ぶつかっています。
とは言え、もちろん保護者側の要求が通って園が方針を変えるなんてことは無く、だいたいは
・うちみたいにのらりくらりとナイショで掟破り
・ガチバトルの末、納得行かないまま泣き寝入り
・バトルの末、袂を分かって転園
の3パターンになります。
ところが転園しようにも、この区で年度途中の空きがあるのはこの園のみ、っていう年がずっと続いていました。
やっぱり強烈な園だったので、地縁のある人は知ってて敬遠しているわけです。
だから途中入園で入ってくる方は転勤の人ばかり、という感じでした。
我が家も転園を考えた事は一度や二度ではありませんが、やはり空きがなくてムリでしたね。
耐えに耐えた甲斐はあったのか?
とにかく特異な園だったわけですが、卒園した今、総括するなら
「在園中の子育ての悩みは保育園絡みのことばかり、という程強烈な園だったけど、我慢した甲斐はあった、と言えなくもない」
・・・と実に微妙なニュアンスにまとめられます。
こちらも詳細に語りだすと二晩はかかりますので割愛しますが、とにかくこの園のレゾンデートルは「体力づくり、体づくり」だったようで、運動と食育にかける情熱が尋常じゃありませんでした。
このおかげなのかどうなのか、motnao子は小学校に入ってから病院に行った事がなく、ここ数年、医療費ゼロ記録を更新中です。
3歳の時点で2kmくらいはゆうに走れていたので、小学校のマラソン大会など向かうところ敵なしでぶっちぎり1位でした。
跳び箱などテクニカルなものはともかく、ここの園児は卒園時点で「体ができている」と評されることが多く、器械体操系やダンス系など様々な習い事を続けて、頭角を現しているようです。まあそれで大人になって大成したって話はまだ聞かないんですけどね・・・。
あとは身辺自立の度合いでしょうか。
親子ともどもとにかく厳しく持ち物の用意や管理を指導されるので、自分の事は自分でする、っていう意識が染み付いています。
初めて登園した時、ジャスト1歳の子(産休明けから預けられている4月生まれの子)が、自分で替えのパンツを自分のロッカーから出して履いているのを見た衝撃が忘れられません・・・。
こういう生活習慣はどこかで追いつくもんですが、小学校の先生や保護者にとっても、身辺自立ができている子供は非常に楽みたいですね。
いいとこをつまみ食いできる園は無い、という実感
とにかく親も子もあまりに大変な保育園生活だったのですが、このように得るものもそれなりに有ったわけで、「質の高い食事、手厚い幼児教育」を求めながら、親の手間は最小限ってのはなかなか実現しないもんだなーと痛感したわけです。
それでも、NG食材に代表される「掟」が合理的なものか、エビデンスがあるのかという点は厳しく追求されるべきだと思いますよ。
ましてや保育園に限ると、「教育機関」ではなく「保育に欠ける子供を保育する福祉機関」なのですから、最低限、親の就業を担保するという存在意義を踏み越えてくるようなルールは、端的に「やりすぎ」。
待機児童問題で保育園のインフラ化が強まると(いや既にインフラのはずなのですが)、こういう「理想の保育をするためのこだわり」も変えて行かざるを得ないと思いますです。
うん・・・まあもし第二子が生まれたら多分この保育園には入れませんが・・・
もうすっかり堪能させていただきましたので・・・。
説得力のバケモン、藤山直美という女優
いやーhuluとテレビの話しかしてなくて、なんかダメな人みたいですけど、今日はちょっとすごいもん見たのでそれを書いておきたく。
「最強のオンナ」ってドラマです。2014年の。
今回は再放送してたんですよ、昼間に。
これ、1月10日から放送する「最強のオヤコ」の前日譚的なものかと思いきや、全然関係ないみたいですね。
最強のオンナが好評すぎたので、続編を連ドラにしたってことなのかなと想像してみたり。実際にはどうなのか不明ですが…。
安定感ありすぎる、ずっこいキャスティング
藤山直美と岸部一徳が出てれば、もうあとは脚本がグダグダだろうが、まともな演出がされてなかろうが、どうとでもなる、それが保証されている「ずっこい」(関西弁でずるいの意。)役者だと私は常々思っております。
いやそれは言い過ぎやろーと思われるかもしれませんが、特に藤山直美というファクターを除いて考えてみると、このドラマは果たして観れるものになるのだろうか、と思うんですね。
夫の死後、夫の残した味を守って、娘を育てながら一大外食チェーンを作り上げたバリバリのやり手女社長玲子の元に、ふとしたきっかけでやってきた家政婦、みどり。
臆さずズケズケと踏み込んでくるみどりに困惑し、最初は反発していた玲子と娘だったが、みどりの人柄と体当たりな生き方が、二人の心を溶かしていったのだった…
みたいな話。
うん…なんか正直、今までの人生で6回くらいは見たなこんなドラマ、って思いませんか。
人情もののソープオペラでは、定番の型と言えるかもしれません。
ところがこれは藤山直美というただ一つの駒によって、非凡なものへとひっくり返されているんですよ。
このセリフをそう言うか、の連続。
白眉はクライマックスの寺島しのぶとの喧嘩のシーンでした。
みどりの抱えるある秘密について、それと向き合うように諭す玲子。
ボルテージが上がっていき、セリフをどんどん繰り出す両者。
最後に「あんたに私の何がわかるのよ」というみどりのセリフ。
これを藤山直美は、絞り出すように、嚙みしめるようにいうんですね。かぶせるように絶叫するのではなく。
こんな手管使ってくる女優って他にいるでしょうか、私には思いつかん。
こんな技を使って見せても「よくある演技の、あえての逆張り」にならないのはなんでしょうね、間合いを感じる役者としての皮膚感覚の鋭さ、としか言えない気がします。
見ていただいたらその凄まじさがわかっていただけると思うのですが、動画が無いのが口惜しい!
泣いとる…
土曜の昼間の再放送ということもあって、テレビをザッピングしていた子供。
あれ藤山直美出てると私が気づく→ちょっとこれ見たいから止めといて。
ということで偶然見始めたドラマなのですが、子供は最初の方は飽きて、「えー違うのん見たいー!」と言っとりました。
ところがですよ、クライマックスにみどりさんが「おいとまさせてもらいます」って出て行った悲しくてやり切れない場面。
子供の方を見やると・・・
な、泣いてるー!!
8歳の子が人情喜劇見て泣く!
確かに我が子は、同級生と比べても、フィクションで相当感情移入する方ではあります。今まで号泣した映画は数知れず。
でもだいたいそれって動物が死んだり、お父さんが死んだり、死がからんだ究極に悲しい場面だけだったんですね。
ところが誰も死なないにもかかわらず、そのレコードをあっさり塗り替えてしまう演技の説得力…。
例えばこれは、当事者として実際に自分の目の前で起こっている事なら、子供は泣きますよね。
でも藤山直美がフィクションの垣根を力ずくでなぎ倒してるから、こんな事が起こるのではないでしょうか。
とか言ってますけどね、私も涙が滲みました。ええ。
バーター(代役)のいない女優
藤山直美、という女優の知名度というか愛され方が全国的にどのくらいなのかは知らないのですが、TBSの夜9時からの枠にキャスティングされるって、ちょっと予想外でした。
直美が主演した朝ドラ「芋たこなんきん」もちょっと遠くなってきた昨今。
喜劇王・藤山寛美の娘、ということを知らない若者世代にもそろそろ認知されてきたらええなーと思っとります。
喜劇の女王・藤山直美×女優・仲里依紗 親子の不滅の愛情物語!!1/10(日)『最高のオヤコ』【TBS】
関西では、特に大阪では、おもろさと実力を兼ね備えた女優ということでしたら、真っ先に名前が挙がる気がします。
私はほんとにこの女優が好きでして、高校生の頃から南座で座長公演を見たりしてました。
何年経っても邦画のベスト3には「顔」(阪本順治監督作、藤山直美主演)を挙げてしまいます。
役者の価値を交換不可能性で測るなら、この方はその典型だと思います。
同世代でも彼女のバーターがいない。
前後10歳広げてみても、いない。
これは凄いことですよ。
いわば直美専用のブルーオーシャンです。
プライベートビーチ。
私は見終わったドラマとか映画に対して、いつも脳内キャスティングして楽しんでいるのですが、彼女ほどの説得力で同じ役を演じられる女優は、いつも見当たらないのです。
どんな書き方しても「最強のオヤコ」の提灯記事みたいになって恐縮ですが、まあ皆さんも知らない方は一度見てみてくださいよ、当代イチの女優が持つ説得力を。
そして藤山直美をいうファクターを除いたドラマの出来を想像してみてください。
ほんでファンになりましょう、一緒に。
これ以上「子供に見せたくない番組」は無い~ぶっこみジャパニーズ~
昨夜、なんとはなしについていたテレビで醜悪なものを見ました。
TBSの「ぶっこみジャパニーズ 大好評につき第5弾!世界中のニセジャパン年末一斉大掃除SP」というやつ。
大好評ってにも第5弾ってのにもうんざりするわけです。
「海外で魔改造された日本文化を、その道のプロである日本人が『成敗』しに行く」という筋書きで、海外の日本料理や柔道場について取り扱っていました。
海外で独自過ぎる発展を遂げた日本文化を取り上げた番組は過去にもあったし、海外の日本料理店に「認証」を与えて、正統とそれ以外を区分しようというのは、農林水産省が提言して物議を醸していましたね。
ほんと水戸黄門好きだな・・・
それを踏まえて、この番組を醜悪と言って差し支えないと思うのは、まずは番組の構成。
たとえば、私が見ていたメキシコの寿司屋を「成敗」しに行く編は、
「メキシコの寿司屋に『寿司職人として一旗揚げたい』と言ってやってきた変わり者の日本人、とんでもない内容の修行に耐え、ついに正体を明かす。彼は日本からやってきたこの道30年の一流寿司職人だったのだ・・・!」
という筋書き。
「ぶっこみジャパニーズ」でググるとまず「やらせ」って言葉が出てくるわけですが、これいっそやらせであって欲しい。
親切だか商売だかは知りませんが、日本からやってきたテレビ局を受け入れ、自分たちなりに当地で愛されている味を伝授するわけです。
米の炊き方から人気メニューの味付けまで手取り足取り。
それを最終的に「お前らのそんな悪食、日本食と呼ぶとはけしからん」とばかりに成敗するなど、どこまで傲慢なのかと。
要は愛国ポルノ水戸黄門風味ってことです。
悪行三昧のやつらに正体明かしてバーン!ははー!DOGEZA!ってみんな好きだもんね、すっきりジャパンなんだもんねきっと。
寿司って料理のは、生魚を安全に食べる知識の結晶だから、食中毒予防にフォーカスしてダメ出しするのはわかるんですけどね。
ところがそこまでの「メキシコ寿司屋」のこき下ろし方が凄かった。
内装の趣味やメキシコ風味の日本庭園を始め、ハバネロで味付けした「寿司タワー」やエビフライを芯にした巻き寿司とかをとにかくボロッカスに。
最終的には「寿司の番人」小川さんがメキシコの皆の前でこんな感じ↓で現れ
「ハンスよ言っておこう、刺し身に空手は関係ねぇ!包丁は前に押して切るんじゃない!すっと引いてきるものだ!」
「その目を皿にしてよく見ておけ!ニッポンには春夏秋冬その季節ごとに旬を迎える美しい景色があることを!」
などとこれ以上無いほどの煽りナレーションをバックに本格寿司を振るまい、
こんな具合に感動風味でネタばらし。
最終的には、食中毒予防も含め(これは大事だけど)正しい寿司の作り方をレクチャーして
ニセJAPANにぶっこみ完了!っつって。
いや、魔改造は日本人のお家芸でしょ?
結局わたしが言いたいのはこれだけです。
拉(引っ張る)の要素が一つもないラーメンとか、米にぶっかけたカレーとか、トルコライスとかナポリタンとか。台湾ラーメンとかあんなもん台湾でいっこも見たことねーぞ!(そういえば台湾人には天一のラーメンは許せなくて、宝屋とかあっさり系が好まれる傾向があるなーと思い出し。)
魔改造したものをそれなりに楽しんでる日本人が、どんな顔して海外に渡った文化を「ニセJAPAN」なんて言えるんですかね。
日本で食べるのと遜色ない本格寿司、と謳ってるならともかく。
「正統派の寿司は日本に来ないと食べられませんよ」っていうのは、観光資源のアピールという点から見てもいいと思うのだけれど。
子供が一緒にdisりだした
最終的にこの番組は最後まで見れなくてチャンネル変えたんですが、なぜ途中で見るのやめたかというと、子供に悪影響だからです。
うちの子供(小2)が単に不心得なのは否定出来ないですが、見てる途中から
「気持ち悪い~!」
「こんなんメキシコ人はおいしいの?!」
「アホやなこんな作り方」
などとテレビと一緒にメキシコ人の事をこき下ろし始めたわけです。
その都度「ええんや、メキシコ人が美味しい言うて食べてるんやったら」と修正かけてきたんですが、まあよそさんをdisることありきで「俺スゲー」っていう万能感を得ても、子供に良い影響なんてひとつもないですもんね。
メキシコ人は味覚障害だとか文化の剽窃者だとか日本人の味覚は世界一繊細だと思う、なんていう言い草まであと一歩ですよ。
勘弁しろよTBS。
おそらく寛容は育てないと育たない
保育園の先生が昔言ってたんですが、「甘いという味覚は育てる必要が無い」と。
育てなくても本能的に美味いと思うかららしいです。
積極的に摂取させて涵養するべきは、毒を感じさせる苦味や腐敗を想起させる酸味の味覚だと。
子供を見ていると、こういうバランス感覚を常に思い出します。
自分に近い存在を愛しく思い、周囲にある文化を愛し誇りに思う情動は本能的なものではないか。
翻って「異質な人やもの」「遠い文化」「自分には無い感覚」を尊重し、許容する心は、相当意識的に涵養しないと育たないものではないかと思うのです。
だから魔改造された日本料理を紹介するならさ、
「メキシコに変な日本料理があるらしいけど、これは意外に美味い!」ってものを探しに行くとか。
「メキシコ人の味覚に合う寿司を日本人寿司職人は作れるのか!?」とか。
そういう方向性ならこんなに醜悪にならずに済んだのにな。
お行儀が良すぎて視聴率が落ちるんかもしれないけど、少なくとも害にはならない。
もう1回言うけど、ヤラセであってほしい・・・
論点は違うんですが、この番組、ヤラセ疑惑をかけられ燃えかけているようです。
良かれと思って招き入れたら「成敗」されちゃった悲しい現地人はいなかったんだ。と私は思いたい。
そういう意味でもこの方向で燃えに燃え上がっていただき、次の第6弾は作られないことを切に願い、このエントリーを終わりたいと思います。
おまけ
これ書いたあとにプンスカしながら王将に行きましたらですね、こんなメニューが登場してましたね。
中国人にもフランス人にもまったく顔向けの出来ないイカれたメニューです(褒めている)。
辣白菜・・・スープ茶漬け・・・キヌア・・・
これを見て、「おのおのの土地で好きにやったらええがな」の思いを更に強固にしました。
【マイナー中心】年末年始にオススメの海外ドラマとかドキュメンタリー
ファー!
なんちゃら・オブ・ザ・デッド祭りから早数ヶ月。
うかうかしてたらもう年末です。
忙しい忙しいといいながらhulu廃人としてはドラマの視聴は怠りなく進めております。
色々見てるのでそろそろ感想も言いたくなってきましたゆえ、今日は年末年始に見たい海外ドラマ、それも小品中心にカンタンにご紹介していきたいと思います。
だってさあ、今更24とかブレイキング・バッドとかウォーキング・デッドとかもういいやん?
知ってるし、FOXで見られるし、なんか若いにーちゃんが好きそうなやつばっかりだなーという。
というわけで、「さくっと終わる佳作」中心にご案内。hulu配信作品限定でごめんなさいね。
刑事ジョン・ルーサー
ええええ、いいんですよ。
「わ、おもんなさそー」と思われたことでしょう。
先週友達に話した時もそう言われました。
ところがこれは相当おもしろいクライム・サスペンスですよ。
イギリス発、初の黒人ジェームズ・ボンドという噂も持ち上がった(結局立ち消えになったけど)イドリス・エルバ主演。
イドリス演じるジョン・ルーサーはかなり男性ホルモン多めのタイプ。相当な規則違反をしても絶対に犯人は取り逃がさない、という刑事。
頭脳明晰というより動物的な嗅覚のするどさとベテラン刑事ならではの老獪なテクニックが相まって、向かう所敵なし。でもキレやすい。(奥さんの家で暴れるシーンまじ怖い。)
まあ、彼が魅力的すぎて画面が持つ、というのがまず勝因ですが、女性サイコ・キラーに惚れられて、彼女に影に日向に助けられるようになる(そしてそれが原因で刑事人生が狂い始める)ってのもかなり新しい設定かと思います。
男女逆ならレクター博士とかあるんですけど。
あとはおおむね2話で1事件が片付くという構成になっているため、犯罪者側のキャラの書き込みが丁寧で、説得力が違います。
よくある「ナイフに舌なめずりでヒヒヒ」みたいなサイコパスはいない。
私が一番恐怖&感心したのはですね、第3話の冒頭のコレ↓です。
この犯人、いきなり玄関先でヨソの奥さんの顔舐め回して拉致するんですよ。
そのキモさに戦慄すると共に、「日本でこんな顔舐め回されをOKする女優も舐め回しをOKする俳優もいるかな・・・」と妙に感心したわけです。
あとは、第2シーズンの「サイコロ出た目で破壊行為すごろく」野郎もすんごい斬新さで恐ろしかった↓
いかんせんシーズン1が6話、シーズン2が4話という超タイトな構成のため、急転直下の展開になっておりますが、アメリカドラマと違って「お約束」が極端に少ないのが、イギリスドラマの良いところ。
「いやまさかこの人は死なんやろ」「いやまさかお前がそんな悪いことするワケ無い」とか、そういう全ての連ドラお約束をガンガン裏切ってくるドライブ感に酔いしれる作品となっております。
いやーしかしやばい、イドリス・エルバやばい(性的な意味で)。
CRISIS ~完全犯罪のシナリオ
10話で終わるので、イッキ見推奨作品です。
「シークレット・サービスが護衛するワシントンDCの名門校“バラード高校”のスクールバスが、突如バスジャックに遭う! そのバスには大統領の息子を始め、産業のトップCEOや外交官、政界の権力者など国を代表するV.I.P.の令息や令嬢ばかり数十名が乗っていた・・・」
という内容なのですが、アメドラらしくすんごい非道な展開とか悲惨な結末とかが待っていないので、割りと安心して見られますね。
とある陰謀に関わっていた関係者が起こした劇場型復讐劇、という内容ですが、見どころはVIPの親と犯人の駆け引き。
政府の要人や外国大使の子息が誘拐されるという事件なので、「このミッションをコンプリートしたら子供返したるわ」という脅迫が犯人から届くわけです。
そのミッションも国を巻き込むスケールのデカさゆえに、子供の命と公僕たる自分の使命の間で揺れ動く、と。世の親御さんにとっては胃がキリキリするようなドラマです。
第1シーズンで打ち切りになっているので、幸か不幸か、かなりすっきりまとまって見やすい作品になっとります。
トンネル ~国境に落ちた血
世界中で大ヒットした北欧ドラマの、イギリス版リメイク。
「行方不明となっていたフランスの議員の遺体が、ドーバー海峡トンネルで見つかる。その死体は二つに切断されて上半身と下半身は別人だった・・・」
というところから始まるミステリーです。
このドラマの見どころはですね、「主人公(ヒロイン)がアスペルガー症候群」ってところです。
サヴァン症候群を持っていて超人的な能力を発揮する主人公が活躍するドラマ、とかはままありますが、「ガチで人間関係うまく行かない(でも捜査は有能)」っていう難儀さを正面から捉えたドラマはちょっと珍しいな、と思い、ラインナップ。(実際に病名が出てくるわけではないですが、明らかにそれと分かる描き方をされています。)
仲良くなろうと思って「俺こないだパイプカット受けてん」と話しかけたらこの顔↓
そんなフランスの彼女とのコンビネーションに、もの凄~く摩耗しながら頑張る英国男性刑事も非常に人間臭くて泣けます。
こちらも10話でさくっと終わるのでぜひ。
ウェントワース女子刑務所
オーストラリアドラマのオーストラリアリメイク。珍しい。
元々はソープオペラだったらしいですが、メインキャラの前日譚を中心に、再構成したドラマって感じらしいです。
っていうか、絵面凄すぎない・・・?
まあこんな感じのド迫力女囚ものです。
女囚ものと聞いて皆様ご期待される百合展開も、のっけから十分にご用意されております。ただ、メンバーはこんな↑感じですが。
あとここに、ボスキャラのジャックス↓が加わり、ムショ内の権力闘争が基軸になっていきます。
なんつう悪者顔!!
刑務所モノを見る時は「YOUはどうしてプリズンに?」というところが気になるところですが、これも「実は私ね・・・」とかご本人に語らせてないところが秀逸です。
それぞれのエピソードに絡めてカットバックさせる形で描いているんですが、「元から抱えていた問題のせいでムショに入り、その問題が根本的に解決できていないから、ムショ内でもそこがトリガーになりトラブルが発生する」という構成になっています。
この辺の脚本が鮮やかで感心至極です。
このドラマも後半結構ヘビーな展開になりまして、つれぇ・・・と思わず呟きながら視聴しましたよ。
本国ではシーズン3くらいまで放送されているそうですが、huluで見られるのはシーズン1の10話だけ。はよせぇ。hulu。
アウトランダー
一言でいうと「エロめの古装ハーレクイン」。
第二次世界大戦直後、看護師のクレアがハロウィンの日にストーンヘンジぽいところをうろついてたら、なんか知らんけどいきなりタイムスリップ!16世紀に来ちゃったけど、イケメンに都合よく惚れられ夫婦になって、なんだかんだトラブルがあってもイケメン夫が危機一髪のところで助けに来てくれて、もとの20世紀に戻りたいような戻りたくないようなスコットランドばんざい!
という話。
衣食住の生活風景がたくさん描写されてますので、ケルトスキーな方におかれましては、結構楽しんで見られるんじゃないかと。タータンチェックの布の作り方とかね。おしっこかけてモミモミするらしいですよ。ヒー。
エロめの時代劇は好物なので私はまあまあ美味しくいただきました。
ところで途中のエピソードで、こんな乳搾り↓(人間)が出てくるんですが、これってどうやって撮ってるんでしょうね・・・。実写?
とにかく半笑いになってしまうほどメロドラマなので、キュンキュンが不足しがちな奥様には本当におすすめです。
イケメン旦那のジェレミーがやばい(性的な意味で)。
キャットフィッシュ ~リアルレポート ネット恋愛の落とし穴~
これめっちゃ面白いんですけどねー、あんまり話題になっとらんですね。
「ネット彼女(or彼氏)がなかなか会ってくれないんだけど。あれ?俺騙されてる?」と不安にかられた人から依頼されて、捜査してくれる二人組のドキュメンタリーです。
俳優のニーヴと相棒のマックスがアメリカ全土を飛び回って「画面の向こうの彼女(or彼氏)」に会いに連れてってくれるんですけど、毎回毎回スリリングな展開です。
おおむね容姿に自信のない男女がそういう事をしていますので、実際に会ってみると「おぉ・・・こ・・・これは・・・。」となるわけです。
なぜ会ったこと無いのに「婚約してるの♡」までテンション上げられるのだ。とか、そういうツッコミはエピソードごとにあります。
ところが、あんまり笑える展開にはなってないんですね。
キャットフィッシュ(ネットでのなりすまし)をする人は、容姿はもちろん、複雑な生い立ちや学校でのいじめなど、それまでの人生でまあまあ酷い目に合ってきて、基本的に人間が怖くなっている人ばかりです。
とても責める気にはなれない複雑な人間を前にして、騙されてた方も怒る事もできず途方にくれる、という展開ばかりなんですね。
この番組の構成が優秀なのは、突撃を一泊二日の旅程にしていることではないでしょうか。
つまり、
1日目:アポ取って突撃→ご対面→ショック!!
(その夜は加害者、被害者ともに単独でニーヴたちと面談。気持ちを整理する。)
2日目:気持ちの整理がついたら再びご対面。昨日とは違った気持ちでそれぞれの胸のうちを話し合う。
(その後のふたりについてのナレーション)
意外にその後、友情が続いているふたりが多いんですよ。
会ってショック!で終わるんじゃなくてですね、やられた側、やった側両方のその後の人生のことを考えて、ちゃんとクールダウン&再構築する余地を残している。
ここが面白く、かつ圧倒的に「良い」と感じるポイントです。
いわゆる出歯亀根性で見始めたわたくしが、深く感じ入ったのは、「人間関係の可塑性」ってとこです。
敵とか味方とか良いやつとか悪い奴とか、人間や人間関係は一色に塗れないんですね。
無数のグラデーションの間にグラグラしながら存在してるのに、その人に真摯に向き合ってないと単色に塗りつぶされてしまうのだなーと。
人間関係ってのも幸福ってのも、他人に見せるためのもんじゃないから、本当はどう規定してもいいはずなんですよね。
そういうマジメな事を考えながら見ましたですよ。
まああとね、みんなネット恋人に入れ込む前に一応Google画像検索しとけ。悪い事は言わないから。
プレッパーズ ~世界滅亡に備える人々~
尋常じゃなく備蓄スキーな人、それがプレッパーズ。
アメリカにはいつか来る終末に備えて、食料の過剰な備蓄や武器の訓練、自宅の要塞化など色んな事をやり過ぎているプレッパーズがたーんと居るらしいです。
そんな方々に密着したナショジオのドキュメンタリーなんですが、これもおもしろい。
色んな終末を想定した方が次々出てきます。
放射能、火山の大噴火、金融崩壊、石油枯渇、大地震、ポールシフト、太陽フレア・・・お腹いっぱい。
↑金融崩壊に備えている女性ですが、それより明日の心筋梗塞に備えた方がいいと思います・・・。
みなさん食料の備蓄はもちろん、エネルギー自給やシェルターの建設なんかにも取り組んでいて、サバイバルノウハウの見本市みたいになってます。
とは言え、備蓄食料の作り方とか格闘術とか、いろいろと勉強になるのも確か。
↓ワックスチーズを作っとくと常温で20年は持つらしいですよ。20年!
吹き替え版で配信中なので、「家事のおともにまったり流し見」がオススメです。
まだまだご紹介したいドラマが山程あるんですが、とりあえず今日はこのへんで。疲れた。
huluは2週間無料なんで、クリスマスあたりにトライアル加入すれば、仕事始めくらいまでは楽しめますな。
ここで紹介したのはたぶんTSUTAYAとかで置いてないので・・・。
では良いお年を~。
Huluでゾンビ祭り開催中で忙しいです。
夏だ!ゾンビだ!
というわけなんでしょうが、Huluでゾンビ祭りというか「なんたらオブ・ザ・デッド」祭りというかが開催中(わたくしが勝手に言っているだけですが)で、いろいろと忙しいです。
玉石混交、とりあえず当方は総当たりで見てますですよ。
お盆休みまでまだどんどん出るといいなあ~!
とはいえ、夏なんでと言ってもゾンビってやつぁ「ゾッとする系」じゃなくてアドレナリンが出るタイプなので、かえって暑くなるんじゃないでしょうか。
冷房で怠くなった体に、ガツンとかましてみましょう!
デイ・オブ・ザ・デッド
これは「死霊のえじき」のリメイクらしいです。
どこが…?地下実験場のあたりが?
それはさて置き、結構怖い系です。
なんでって、「感染すると身体能力上がる系ゾンビ」だからです。
と聞くと28週後…などを思い浮かべるでしょうが、あんな全力疾走するだけのヤツなんてまだまだマシだったな…とさえ思えるほどのアレです。
「デイ・オブ・ザ・デッド」のゾンビたちはもう天井を這い回るやら、塀をジャンプで飛び越えるやらもう大はしゃぎです。
「ワールド・ウォーZ」の方たちより活きが良い。
こんなんムリに決まってるやん…?
しかも前半は銃器を持たずに病院に籠城になってるので、かなりスリリングな脱出劇になってるのですね。
この際リメイクである件はすっかり忘れて、超パワー系ゾンビの大暴れ映画として楽しむが良し。
ショーン・オブ・ザ・デッド
イギリスのバカたちがお好きな方にはお馴染みの二人組、サイモン・ペグ&ニック・フロスト↓
そら真面目に人生考えた方がいいわ、って顔。
こちらは、はっきりとコメディです。
冒頭こそホラー映画特有の「コトの起こる前触れ」を表現する演出が続くのですが、それもギャグのうち。
銃を持たない英国ボンクラたちが何で戦うのかっつったらそりゃあれですよ。
クリケットの板。
これけっこう重さがあるのが画面上も伝わってくるんで、殺傷力的にはイケてそうです。
この映画一番の見せ場は、71分ごろの「Don't stop me nowに合わせてゾンビをタコ殴り」シーンです。
息をひそめてパブ(イギリス人だからショッピングモールには行かない)に身を隠してんのに、いきなりジュークボックスからご機嫌に響き渡るQueen!
誰の選曲!
襲いかかるゾンビ!
ちょうどいいところにビリヤードのキューが!
回るカメラ!アクション!タコ殴り!
という感じで最高にアガるシーンになっております。
このシーンがわたくし生涯で最も笑った映画のシーンであり、今も落ち込んだ時には絶対見ます。
だから配信やめないで、Hulu。(DVDもちろん持ってるけど…)
↓あまりに好きなのでYoutubeの該当シーンを貼っちゃいます。
カウボーイ&ゾンビ
ゾンビはとりあえず何でも見る、という方針にしてるとこんなモンも見ないと行けないのだなあ…と思う作品の筆頭です。
こちらは西部開拓時代のアメリカ、怪しく緑色に光る隕石から出たガスで皆ゾンビに…ってやつです。
まあまあ血みどろですし、こんな感じで景気良くおっぱいがボロンボロン出ます。
美女中心のお食事シーン、2011年とは思えないマットな画質も相まって、80年代にトリップしたような、さながら大草原の小さな家を見てるような錯覚をもたらしてくれる映画です。
なにこの良かった探し!
お口直ししたい貴方へ…
なんだかんだ寄り道したあと、やっぱりロメロに戻りたい・・・。
やはりそれは正解だと思います。
御大が作ったものはノロノロ系ゾンビだし、ムシャムシャの迫力はすごくてもバトルシーンのアドレナリンの出はイマイチ、という点がないわけじゃないです。
しかしながら、背景や社会階層や構造への批判をきっちり描きこむことで醸しだされる世界観の奥行きが、凡百の作品とは一線を画しています。
というわけで、Huluではロメロゾンビものもいくつか配信中ですよ。
でもなんでかナイト・オブ・ザ・リビングデッドは配信終わっちゃったんですねー。
ジャック・スナイダー版ドーン・オブ・ザ・デッドと共に配信再開希望。
ダイアリー・オブ・ザ・デッド
死霊のえじき
ランド・オブ・ザ・デッド
もしゾンビが知性を持ったら?というアイデアが新たに挿入されている映画です。
厳密には皆が知性ゾンビなわけでなく、巨躯の黒人ゾンビが初めて知性や同胞が無残に殺される怒りを持って、更に周囲を「オルグ」していく存在として描かれます。
オルグされるまでのゾンビたちは、夜には打ち上げられる花火を立ち止まってぼーーーっと見ています。
それでもって夜に活動するゾンビを足止めして、人間社会はつかの間平和になるのであった、という仕組みですね。
パンとサーカスつうか衆愚政治つうか、とても気の利いた風刺でニヤリとしてしまいます。
主演は、天パのメンタリストことサイモン・ベイカー。
ゾンビ映画とは言え、隠し切れない良いやつ感。
ではでは、また(なんちゃらオブ・ザ・デッド祭りが続く限り)お会いしましょう!
マッドマックスの余韻を楽しみたい君へ。今こそディストピア&近未来SF映画@hulu
「マッドマックス 怒りのデスロード」がバカ売れらしいじゃないですか。
すごい時代になったもんだ・・・と驚いてます。
やっぱり40代以上の「マッドマックスリアルタイムで見た世代」と30代以下の「北斗の拳などインスパイア作品群でよく訓練された観客」の両輪でヒットしているのでしょうか。
あとはゴリッゴリのマッチョな世界観に、フュリオサ&ワイブズの存在で、物語の背骨を通したってところがミソでしょか。
これがないと、引っ張られて一緒に見に行った女性陣に「また男はバッカな映画ばっかり見て・・・」と呆れられて終わりだったかもです。
さて、今日はそんな「バッカな映画」そろい踏みのディストピア映画ばかりです。
夏のダルさをさらに後押しする、砂と火と荒廃したビル群。
砂漠に突き出る草食動物の頭蓋骨。ご飯は缶詰。意外に尽きないガソリン。
たまらん!!
2回3回とマッドマックス見に行ってもいいですが、あの余韻を胸におうちでお手軽にディストピアを楽しむのもオツなもんですよ。
hulu廃人がお送りしておりますためhulu配信作品限定です。期間限定配信も多いのでお早目に。
では、ドゾー。
ザ・ウォーカー
砂漠を歩く一人の男、彼が守る「世界に最後に残された1冊のある本」とは何か・・・
本ってそりゃあの本ですよ。割と早めにネタバレします。
見どころはディストピア映画おなじみの人食いの方たちの描写でしょうか。
グルメな方たちのくだりはおなじみすぎて、不行き届きなわたくしは「ザ・ロード」とごっちゃになっているシーンもございます。ええ。全然映画のテイストは違うのですが。すみません。
こちら「ザ・ウォーカー」の白眉はですね、冒頭の戦闘シーンです。
逆光の中、ナタですっぱすっぱ行っちゃうデンゼル・ワシントンのシルエット。
というかこのシーンがMAXにかっこいいので、あとは砂漠に酔ってるだけでいい、という映画です。夏にぴったり。
復活の日
80年代角川映画特有のオラオラ なというかイケイケなというか、とにかくパッションとビッグなバジェット感を感じさせる、スケールのでかいパンデミックものです。
パンデミックものの多くは、ラスト30分くらいで治療法開発→解決への光明が!人類万歳!となるところ。
しかしこの映画はなぜか核戦争パニックへと華麗なシフトチェンジを見せ、一気に「核の冬系ディストピア」へと突き進むのです。
ラストシーン近くの、生き残り女たちのコミューンは、ディストピア好きの諸兄の幻想にびったり寄り添う垂涎のシーンといえましょう。
わたくし一押しのシーンは、
「迫りくるウイルスの危険を察知し、モーターボートに子供を連れて飛び乗り南極を目指す多岐川裕美がなぜか半袖のナース服」です。(57分ごろ)
ニューヨーク1997
名作なのでちょいちょい見返したくなる人も多いのでは、というニューヨーク1997ですが、こちらも現在Huluで配信中。
2ちゃんでよく見る「こちらスネーク」の元ネタのメタルギアソリッドの更に元ネタの映画。
犯罪率400%上昇を受け、マンハッタン島をぐるりと壁で囲んで、釈放ナシの刑務所にしましたよ、という世界です。
そこに拉致された大統領を22時間以内に救い出せ!出来なきゃお前の頭ボカンな!というムチャミッションに立ち向かうスネークの戦い。
文明崩壊社会でのサバイバル、襲ってくるクレイジーたち、監獄デスマッチ(バットで)とてんこ盛りなのに90分強でサクッと終るのがこの時代映画の良さでもありますな。
とはいえ続編もあるんですが。
続編の「エスケープフロム・L.A」は未配信なので、Huluさんには頑張ってもらいたいところ。
デイブレーカー
厳密にはヴァンパイアホラーなのですが、人間が駆逐され、ヴァンパイアが多数派になった近未来、ってなかなか斬新なディストピアなのでこちらにラインナップ。
人間はかたっぱしからとらえられ、血液をチュウチュウ抽出されています。
こんな感じで↓
非人道的!!
いやしかしこの画はディストピア好きの背中をゾクゾクさせるものがありますですね。
物語の前半は、「ヴァンパイア世界のおはようからおやすみまで」、それから人間少なくなってきて俺らヤバいよね・・・(飼育だけで繁殖事業はしないんだな)という世界の問題点が提起されます。
ヴァンパイアのおっさんが「(コーヒーの中の)血液が少ないんですけど!?」ってコーヒースタンドでブチ切れて暴れたり、血が吸えなすぎてカラッカラの蝙蝠お化けみたいになったヴァンパイアとか出てきたりしてお化けの世界が大わらわです。
ここがめっぽう面白く、わたくしはこの前半だけちょいちょい見返しております。
ところが「人類のターン」になる後半は正直失速感が否めません。
人間に戻る方法ってのが偶然発見されるんですが、これがまあまあ命がけ。
頑張って実験しているくだりなんてそのやりすぎ感が笑えるくらいで。↓
ファイヤー!つってな。
基本的にヴァンパイア中心なので、闇夜の描写も美しく、前半だけで2時間くらい作ってくれないかなーという「アイアムレジェンド」と全く同じ感想を抱く映画なのでした。