ポテチ猫

ポテチのネタを中心としたブログです。

湖池屋のSTRONG鬼コンソメ味を食べる

  

僕たちがポテチに求めるもの(特にコンソメに)

めしばな刑事タチバナ』という漫画がある。テレビ東京系で佐藤二朗主演でドラマ化もされている。主人公の刑事「タチバナ」が、グルメについてうんちくを披瀝するという漫画であり、Wikipediaによると2020年12月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を突破しているそうだ*1

 

その第6巻に「ポテトチップス紛争」という回があり、婦警がカルビー派か湖池屋派かを争っているところに、40年近くポテチを積極的に食べてきて「悟り」に近いものが見え始めたと語る主人公の刑事タチバナがポテチについて熱く語り出す。ポテチに関するいろんな情報が盛り込まれていてとても面白いのだが、特に僕が感銘を受けたのがタチバナのポテチ評である。彼はポテチを「イモと油と粉がおりなす食欲喚起の総合芸術」だと言う。まさしく本当にそのとおりだと思う。これほど素晴らしく的確にポテチを表現した言葉は他にない。

 

 

だから、ポテチにはしっかりと「粉」がついていてほしい。特にコンソメには。なぜならコンソメに薄味を期待していないからだ。1978年にコンソメ味を発売したとき、カルビーは商品名を「コンソメパンチ」にした。「パンチ(がきいている)」とは当時の流行語で、元気がよいとか勢いがあるという意味であり、ネーミングの良さもあいまってコンソメパンチは爆発的なヒットを記録した。もしかしたら流行りの言葉に乗っかっただけかもしれない。でも、それがただの直感だったにせよ、綿密なマーケティングの結果だったにせよ、コンソメに「パンチ」という言葉を当てたのはまったくもって正当だったと思う。コンソメ味ってそういう勢いというか、濃い味を食べたいときにこそ食べるフレーバーだと思うんだよね。コンソメ味が薄味だったら僕は物足りないと感じてしまう。

 

そこらへんは湖池屋も身にしみてわかっているはずである。というのは、2017年に発売を開始した「プライドポテト」シリーズでコンソメ味は濃いほうがいいという教訓を学んでいるからだ。2017年2月に「秘伝濃厚のり塩」、「松茸香る極みだし塩」、「魅惑の炙り和牛」の三種類でシリーズが始まったプライドポテトシリーズ。売り上げ予測をあっという間に超える大ヒットになり上々のスタートダッシュを決めたのだが、2017年のポテチショック(2016年のジャガイモ不作により2017年にポテチの一部生産停止や生産減に追い込まれたこと)もあり、生産を復旧させ新商品を投下しても当初の勢いは完全に失われてしまう。失速の要因は生産減や品切れだけではなく、商品自体が消費者の嗜好とマッチしなかったこともある。

 

そのミスマッチを象徴するものとして、プライドポテトシリーズでもコンソメ系のフレーバーが発売されるのだが、こだわりの方向性が消費者の求める方向とずれていたことがある。湖池屋は、コンソメ無添加にするためにかなりの企業努力を重ねたのだが、コンソメ好きにとって無添加は魅力ではなかったのである。ということで、現在のプライドポテトでは、これでもかというくらいコンソメをふりかけているそうだ。

 

diamond.jp

 

そう、僕たちはポテチに「粉」を求めているのだ。特にコンソメ味では。

 

STRONG鬼コンソメ味を食べる

さて、鬼コンソメ味の実食だ。

 

f:id:mtautumn:20210704161951j:plain

 

f:id:mtautumn:20210704162008j:plain

 

f:id:mtautumn:20210704162023j:plain

 

厚切りギザギザタイプである。食感はサクッとしている。鬼コンソメというネーミングのパンチ力ゆえ、なんとなくハードな堅めを予想していたが、意外や意外サクッとした軽い食感である。むしろサクッと系の中でも優しいくらい。バキバキのハード系のほうがネーミングには合いそうだが、それだと堅さに意識が向いてしまいせっかくの強烈コンソメフレーバーへの集中が逸らされると考えたのかもしれない。

 

フレーバーはなるほど確かに強い。特に粉がしっかりついた一片はもはやコンソメを通り越して別のフレーバーである。いい。パンチがある。パンチ力では本家コンソメパンチをノックアウトだ。

 

最近でこそ湖池屋はプライドポテトシリーズが象徴するようにこだわり上品路線をひた走っているが、のり塩やカラムーチョを世に送り出すなどストロングな変わり種を発明する独創性を血脈とするポテチメーカーでもある。これはその血脈がしっかりと受け継がれていることを示している。プライドポテトもいいけれど、それではちょっと物足りないときもある。鬼コンソメを食べると、やっぱりポテチという総合芸術には「粉」が欠かせないんだよな、と再認識させられる。

 

カルビーの堅あげポテト関西だししょうゆ味を食べる

 

関西だししょうゆ味はこれまでも普通のフラットタイプで発売されてきた。うまみ感の強いこのフレーバーが僕は大好きだ。

 

f:id:mtautumn:20210621215827j:plain

 

f:id:mtautumn:20210621215844j:plain

 

f:id:mtautumn:20210621215859j:plain

 

カルビー曰く、関西のダシとは「ふんわり豊かなかつおの風味と、まろやかな昆布の旨みの深い味わい」である。

 

関西のお出汁と関東のお出汁

関東と関西とでは出汁の引き方が異なり、関東は濃い味、関西は薄味だと言われる。鰹節専門店のにんべんによると、鰹節一つをとっても関東と関西とでは違いあるそうだ*1

 

同じかつお節でも関西と関東では違います。関西ではカビつけをしないかつおの荒節が好まれました。荒節は、焙煎の香りが残ってスッキリとした香りと酸味が特徴です。一方関東では、江戸の中期頃からカビつけした枯節が好まれるようになりました。枯節は甘味があって、上品な香りが特徴。よりまろやかな味わいが楽しめます。同じかつお節であっても、関西と関東では味わいに違いがあります。

 

僕の両親は香川県出身で、香川県は関西圏ではないのだが、薄味文化圏という点では共通している。香川のご当地B級グルメ「さぬきうどん」はいりこ(煮干し)で出汁をとる。僕は横浜育ちで東京での暮らしも長く、味覚的には関東派であっても不思議はないはずが、どうにもうどんだけは濃い味で食べようとは思わない。両親から受け継いだ讃岐のDNAの影響だと僕は勝手に解釈してる。両親から讃岐のDNAを受け継いだ僕は讃岐うどんを名乗る店がちゃんといりこでダシを取ってるか、着丼したときいりこの香りがふわって立ち上るかにかなりこだわっている。毎回いりこいりこと呪文のように繰り返す姿をかみさんはいぶかしく思っていたわけだが、実際いりこが効いた讃岐うどんを食べて以降は何となく僕の意見に賛同してくれているように思う。

 

僕は丸亀製麺が好きではない

いりこのお出汁にこだわる僕としてはどうにも丸亀製麺は好きになれない。なぜなら丸亀製麺のお出汁のベースは鰹節だからであり、かつ丸亀製麺はそれを隠そうとするからである。

丸亀製麺はうどんチェーン最大手。ただ、2017年後半から客足が伸び悩んでいたそうだ。そこで、USJを再生させたスーパーマーケターの森岡毅氏が率いるマーケティング集団「刀」と契約し、業績の回復を目指した。氏がやったのが丸亀製麺ブランディングを強化し、こだわりを消費者に知ってもらうこと*2

そしてCMで店内で粉から製麺していることや、鰹節で引いたお出汁をアピールした。ただ、希代の軍師も讃岐うどんとして鰹節を前面に出したのはまずいと気づいたか、今では出汁も店内で丁寧に引いていることだけがアピールされている*3。ウェブページにある出汁食材の画像は、イメージ画像なのか、それともお店で使っている食材なのかはよくわからず、店で使っているとしても鰹節は後景に退いている。

現在の丸亀製麺のウェブサイトでは出汁と鰹節を結びつけるページを見つけることはできなかったが、2015年に「手火山(てびやま)式の本枯節とアゴを使っているとPRしていた情報を発見した。

 

f:id:mtautumn:20210621222112p:plain

 

www.foods-ch.com

 

僕は丸亀製麺のうどんがマズイと言っているわけではない。いや、むしろあの値段であれだけのクオリティのものが食べられたら文句はない。だけど、いや、だからと言うべきか、単に讃岐うどんだと言って欲しくないだけのことである。企業側としては讃岐うどんのブランド力にあやかりたかったのだとは思うが、讃岐うどんを名乗っていなければ僕も安くて美味しいうどんが食べられるお店として丸亀製麺を多用しただろう。わざわざ讃岐うどんのブランド力を借りずとも十分勝負できるクオリティだとは思うが、知名度が低い段階ではいかに美味しくてもお客さんに気づいてもらえないので、企業側が成長する戦術として讃岐うどんのブランド力を借りようとすること自体は納得はできる。

 

しかし、あくまで個人の嗜好として讃岐うどんを愛する僕的にはこだわりポイントとして鰹節を前面に押し出すのは微妙な感じを否めないし、鰹節で出汁を引いていることを隠すのもなんかコソコソしているようで好きになれない。小麦粉にこだわり店内で製麺するのは正直すごい。かなりの企業努力があったはずだ。だから、小麦粉や店内製麺をアピールすること自体が問題ないのではない。だけど、讃岐うどんを愛する者にとって、出汁は最も重要な要素なのだ。そこがあやふやなのは、ウソをついているわけではないにせよ、讃岐うどんを名乗る店としては不誠実であろう。

 

讃岐うどんといってもガチガチの定義があるわけではなく、鰹節でだしを引くお店もある(僕は鰹節ダシのお店に行ったことはないが、香川在住の叔父はそう言っていた)。そんなわけで、そこまでめくじらを立てる必要はないのだが、とはいえ違和感は残る。うどんは麺料理であり、麺へのこだわりは大切。しかし、そこまで素材や出来立てにこだわりをアピールしておきながら、出汁に使う食材へのこだわりに何も言及しないのは不自然すぎるわけである。

 

ラーメン屋が麺へのこだわりばかりを口にして、スープについて一切口にしないとしたら、「あれ?」と思う人も多かろう。森岡氏と契約して以来丸亀製麺は業績を回復。ダイヤモンドなど主要経済誌が彼と丸亀製麺でのマーケティング手法をフィーチャーしていて、森岡氏も秘訣として素材やこだわりをアピールしたと答えている。で、例として挙げられるのはやはり国産小麦と店内製麺の話だけで、頑ななまでに出汁の食材には触れない。

 

森岡氏はUSJを救った凄腕マーケターであり、彼を特集したプロフェッショナルの回は僕が好きな回の一つだ。たしかにウソはついてない。CMだから企業側がアピールしたいことを選べばいい。そもそも讃岐うどんなのに鰹節を使っていること、そしてそれを敢えて公言しないことが不誠実なことかどうかさえ実のところよくわからない。が、讃岐うどんを愛する僕からすると、丸亀製麺讃岐うどんという誤解されたイメージが広まるのはなんかイヤだし、讃岐うどんのブランド力や名声を丸亀製麺が不当に毀損させているような気がしてしまうのだ。

 

僕が丸亀製麺が好きでないもう一つの理由

ついでに僕が丸亀製麺が嫌いな理由をもう一つ。コロナのせいですっかり海外出張はご無沙汰だが、ロサンゼルスのリトルトーキョーには「丸亀もんぞう(Marugame Monzo)」という人気のうどん店があって、ロスに行ったときは必ず訪れた(と言うと何度もロスに出張し、現地を知り尽くしているような印象を与えるが、実際に行ったのは3回くらい)。

 

marugamemonzola.com

 

イメージとしては洋麺屋五右衛門のうどんバージョンのようなもので、カルボナーラうどんとかが食べられる。ここも丸亀の名を冠しながらまったく讃岐うどんではないが、もんぞうの主人は香川県の人気店で修行を積んでおり、その意味で丸亀を冠したとておかしなことは何もない。アメリカで美味しいうどんが食べられるのは本当にありがたいことである。

 

丸亀製麺と何の関係があるの?というところであるが、丸亀製麺は(たぶん2013年に)丸亀もんぞうに対して「店名に丸亀を使うな」、「一ヶ月以内に看板を外せ」と圧力をかけた、という経緯がある。知的財産権法上、丸亀もんぞうが丸亀の地名を使ったことも、丸亀製麺がそうした要求をしたことも違法ではないのだが、讃岐うどん派からすれば丸亀と縁も所縁もなく、そもそも王道の讃岐うどんを提供せずに讃岐うどんのブランドイメージをちゃっかり利用している丸亀製麺への印象は悪い。実際、丸亀製麺に対してそうした批判はあったようで丸亀製麺は訴えを取り下げている。そんなわけで、僕がアメリカで感じた日本食ロスを救ってくれた丸亀もんぞうに不当な圧力をかけた企業という点でも僕は丸亀製麺が嫌いなのである。

 

www.excite.co.jp

 

で、関西だししょうゆ味のお味は?

僕は丸亀製麺への不満を書きたかったのではない。関西だしってそもそも何?ということを書きたかったのだ。それが、なぜか僕の愛する讃岐うどんの話に逸れ、それがさらに丸亀製麺への憤りを思い出させ、話が全然違う方向に進んでしまったのだ。

で、肝心の関西だししょうゆのお味だが、とても美味である。普通のフラットタイプでも好きな味でよく食べていた。だから、それが堅あげポテトになればマズイはずはなく、出汁風味が効いた安定の美味しさに僕は舌鼓を打ったのである。関東だろうが関西だろうがやっぱり出汁の味って美味しいよね。 

 

カルビーの夏ポテト対馬の浜御塩味(はまみしお)を食べる

 

季節厚切りシリーズ名前考 

春ぽてと→夏ポテト→ア・ラ・ポテト→冬ポテト

 

四季折々に新じゃがを使った期間限定ポテチが毎年カルビーから発売されている。この季節限定ポテチはウェーブ状の厚切りサイズで、「季節厚切りシリーズ」と呼ばれている。春夏秋冬を並べてみると、ア・ラ・ポテトだけが浮いている。春、夏とくれば本来秋ポテトになるはずだ。

 

そうでないのは、ア・ラ・ポテトが季節厚切りシリーズの第一弾だったことによるのだろう。ア・ラ・ポテトの発売は1989年に遡る*1

 

当時は春ポテトも夏ポテトも冬ポテトもなく、それどころか春も夏も冬も出すとは思ってなかったハズ。

 

季節厚切りシリーズの売上はわからないが、秋だけではなくオールシーズン発売するのは、もしかしたら通常のポテチよりいいからかもしれない。

 

それに最近はポテチメーカー各社新製品の開発スピードがものすごい。コンビニには常に新作が並んでいる。新製品開発経験が蓄積されるに従って開発単位当たりの投入コストは低下されようが、これだけたくさんのフレーバーが出てしまうと新作を生み出すのは決してラクなことではあるまい。とすれば、すでに味のベースと各地の新ジャガが収穫に合わせて発売するというコンセプトが決まっているア・ラ・ポテトの仕組みを転用するのはいろんな意味でメリットがある。そんな具合で季節ごとの新ジャガポテチがシリーズ化されたのだろうと想像する。

 

夏ポテト対馬の浜御塩味

さて、肝心の夏ポテト対馬の浜御塩味である。

 

f:id:mtautumn:20210615210249j:plain

 

f:id:mtautumn:20210615210304j:plain

 

f:id:mtautumn:20210615210318j:plain

 

いつものカルビーうすしお味よりも塩味の印象が強い。いつもポテチとは違う厚切りもいい。厚切りといってもケトル(釜揚げ)製法とは違ってバリバリに堅いわけでもない。このサクッとしていて、それでいて薄切りよりも食べ応えのあるポテチを食べると、また一つ新しい季節が訪れたんだな、と思う。

次はア・ラ・ポテト。その頃までにはコロナのワクチンが接種できているといいのだが。まさか二年続けて暑い日本の夏にマスクをつけることになるなんて。

 

栃木県小山市で買ったカルビーの宇都宮焼餃子味ポテチを食べる

 

「開運の街」栃木県小山市

栃木県小山市に来ることがあったので、今日はご当地ポテチとご当地飲料だ。

 

同じ関東圏に住んでいても小山市には新幹線がたまに泊まる駅くらいの弱い認識しかないのだが、実は宇都宮に次ぐ栃木県第二の都市であり、栃木県の中ではけっこう重要な街なのだ。水戸線両毛線も通じており、合計で16番もホームがある。ホームの数だけで見ればなかなかのターミナル駅である。

 

小山市は「開運の街」で売り出している。なんかご利益のあるパワースポットでもあるのかな、と思っていたら、「小山評定」にあやかっての開運とのこと。歴史好きなら知っている、関ヶ原の合戦をめぐりターニングポイントになる重要なイベントである。上杉氏を討つために北上する徳川家康とそれに付き従う大名たちが石田三成が大阪で挙兵した報を聞き、急遽引き返して関ヶ原で三成を討ったという流れ。上杉氏をそのまま討つか、それとも引き返して三成を討つか家康が諸大名に諮ったのが小山の地だった。この評定がきっかけで家康は天下分け目の戦に勝利し、江戸幕府を開いた、ゆえに小山は開運の街というわけだ。

 

「開運のまち おやま」とは - 小山市ホームページ

 

しかし、これ、家康の勝利と功績を「運」の一言で片付けてええんかね??そのときすでに家康は大大名なわけで、十分運は開けていた。むしろ、大願成就とか、もっと別の言い方があったんじゃなかろうか。あえて、開運にしたのは親しみやすさ優先か、はたまた小山市の控えめさゆえのことなのか?

 

カルビーのご当地ポテチ「宇都宮焼餃子味」を食べる

それはさておき、カルビーの栃木県ご当地限定ポテチ「宇都宮焼餃子味」。栃木、というか宇都宮を代表するご当地グルメ、餃子。僕は餃子が好きで都内でもよく餃子を食べる。有名店にもわりと行ったほうだ。安いし、美味しいし、なんかテンションの上がる料理、餃子。

 

しかし、意外に再現性が難しい料理でもあるようにも思う。餃子を通じた地域活性化と餃子文化の普及振興を目指している協同組合宇都宮餃子会監修というが、果たして再現度はいかに。

 

f:id:mtautumn:20210606224720j:plain

 

f:id:mtautumn:20210606224743j:plain

 

f:id:mtautumn:20210606224759j:plain

 

f:id:mtautumn:20210606224817j:plain

 

f:id:mtautumn:20210606224836j:plain


食べてみると、なるほど餃子である。餃子って感じがする。いや、餃子というよりは餃子のタレの味だ。醤油とお酢とラー油でつくったあのタレの味である。

 

4袋美味しくいただいた。餃子のタレの味を再現すれば餃子味になる。裏を返せば僕たちが餃子らしさを認識するのは、餃子のタネではなくタレなのだと一つ学んだ気がする。

 

プリングルズのうましお味を食べる

 

  

日本限定の味「うましお味」 

プリングルズのうましお味は日本限定のフレーバーだ。アメリカには同じ赤パッケージで「オリジナル(Original)」というフレーバーがある。オリジナルは僕がプリングルズで一番好きなフレーバーである。

 

ともに赤い缶だし、塩味系フレーバーという点でも共通だが、オリジナルを日本販売時に意訳して「うましお」になったわけではない。原材料が少し違っていて、要するに別物である。

 

うましお:ポテトフレーク(遺伝子組換えでない)、植物油、小麦でん粉、米粉、調味粉(食塩、砂糖、マルトデキストリン酵母エキスパウダー、植物油)、マルトデキストリンぶどう糖、乳化剤、pH調整剤、調味料(核酸)、香料(大豆を含む)

オリジナル:乾燥ジャガイモ、植物油(コーン、綿実、高オレイン酸大豆、ヒマワリ油)、脱胚芽黄色コーンミールコーンスターチ米粉、マルトデキストリン、モノ‐及びジグリセリン脂肪酸エステル、塩、浮き粉

 

異なる原材料のうち味の違いに直結しそうなのが、酵母エキスパウダーである。酵母は、ビールやワイン、ウイスキーなどの酒類、味噌、醤油等の調味料、パンの製造に利用される微生物である。味噌や醤油に味や香りを与えるのも酵母である。酵母エキスは酵母が含まれる成分を抽出したものだ。

 

「うましお味」進化仮説??

なぜ日本限定のフレーバーがうましお味なのか。プリングルズが日本に上陸したとき、うましお味というフレーバーはなかった。日本でもプリングルズの塩味といえばオリジナルだった。その後、黄色いパッケージの「マイルドソフト」が発売され、いつのまにかうましお味になった。うましお味は日本での独自進化といえるわけだが、なぜに進化の方向性が酵母エキスを加えてうましお味にするという道になったのか。

 

ちゃんと検証したわけではないが、僕は日本人の旨味好きが背景にあるんじゃないかとにらんでいる。歴史的に日本では肉類を食べる習慣がなく、汁物をつくるときも肉類で出汁を取ることはなかった。肉は、水で煮込むだけでもアミノ酸や脂が溶け出すので簡単に美味しいスープが出来上がる。しかし、肉を使わないとなるとそうはいかない。代わりに発達したのが出汁専用食品である。すなわち、昆布や煮干し、鰹節にしいたけなどだ。

欧米では味は、塩味、甘味、苦味、酸味で決まるとされてきた。しかし、これら4つの味では僕らが出汁を飲んだときに感じるあの豊かな味わいを表現できない。塩味、甘味、苦味、酸味をどうこねくり回したところで、美味しい出汁を飲んだときの、ほぉ〜と唸ってしまうあの喜びをちゃんと表現できないのだ。

 

日本のポテチのど定番は、塩、のりしお、コンソメである。僕はこの3つが定番というのはとても面白いことだと思ってる。のりしおもコンソメもそれ自体が主役というよりは、ちょっと足して風味を豊かにするもの、スープなどのベースになるものであって、バーベキュー味とかサワークリームオニオン味とか、それ自体が単体でソースとして成り立つようなものではない。塩味にしても日本の塩味は海外のシーソルト系ポテチのように原材料塩のみ!ではなくて、アミノ酸系の調味料が加えられていることがほとんどである。塩のみ、という塩味は最近よく見かけるようになったとはいえ少数派だ。

 

日本人が美味い!と肚落ちするには、開発者的にも消費者的にもポテチに旨味を感じられる必要があったのだと想像する。旨味を再現するためにアミノ酸系の旨味を含む酵母エキスが入れられるようになったのだと思うのだ。そして、プリングルズが日本で定着するにつれて、日本化を遂げ、その進化として結実したのがうましお味なのである。これが僕のうましお味誕生仮説である。

 

とここまでおれの独自仮説すごいだろばりに書いてきたが、改めてググってみると日本人向けにプリングルズが旨味をパワーアップさせたという記事を見つけてしまった(2015年の記事)。やはり僕の仮説は正しかったのだ、という思いと、まあそれくらい誰でも想像できるよね、という哀しさの相半ばというところか。

 

『うましお』開発のために、『プリングルズ』は日本人の好む“しお味”を徹底的に研究。ポテトの味わいを改良し、そのネーミングどおり“うまみ”をパワーアップさせた“しお味”なのだとか。

 

getnews.jp

 

f:id:mtautumn:20210529142317j:plain

 

f:id:mtautumn:20210529142333j:plain

 

御託はここまでにして、うましお味を食べる。うましお味もうまい。僕は概して食塩しか添加されていない塩味よりもアミノ酸系の旨味が加えられている日本のポテチのほうが好きである。ただ、うましお味もうまいのだけど、なぜかプリングルズに限ってはオリジナルのキリッとした塩味のほうが好きなんだよね。不思議なことに。

 

ハンターズ ポテトチップス 黒トリュフ風味とヒマラヤソルト味を食べる

 

ハンターズ ポテトチップス 黒トリュフ風味とヒマラヤソルト味を食べる

ハンターズ ポテトチップス 黒トリュフ風味とヒマラヤソルト味を食べた。Amazonでそれぞれ40グラム入りの缶が3つ、合計6缶入っているパッケージである。プリングルズのS缶が53グラムなので、それより一回り小さいくらいだ。価格は税込2190円也(2021年5月10日時点)。

 

www.amazon.co.jp

 

f:id:mtautumn:20210513223851j:plain

 

f:id:mtautumn:20210522170004j:plain

 

結論から言うと、残念な商品だった。というのも、単純に湿気ていたのである(特にヒマラヤソルトが)。品質管理上の問題があったのかもしれないが、なんとも言えない。実のところ、当初から油が回っていたり、湿気ていることがあるかもな、とはなんとなく懸念していた。

ハンターズポテチの原産国はアラブ首長国連邦UAE)。アラブ首長国連邦で製造されてから日本の店頭ないし販売元に到着するまでけっこうな時間がかかりそうだし、販売元に届いてからすぐに売れるとは限らない。倉庫にしばらく積んでおかれたのかもしれない。品質管理にまじめに取り組んでいたとしていたとしても、中身を見られるわけではないから、油が酸化したり湿気てしまったりすることは十分ありえる話である。

もちろん、そこまで考慮して商品を輸入しろよ、とは言える。しかし、そもそもポテチは消費期限内であれば問題ないと過信している人が多いように僕は思うのであり、となれば、そこまで思い至らない人がいても仕方ない面もあると思うのだ(実際、消費期限内であれば食べるうえではまったく問題ない)。

 

ポテチも鮮度が命

だが、ポテチは僕たちが想像する以上に「鮮度が命」のお菓子である。だからこそ、『マツコの知らない世界で取り上げられて一躍有名になった菊水堂のできたてポテトチップは受注生産なのであり、湖池屋の工場直送便も3日以内という配送時間にこだわるのである。菊水堂のポテチや湖池屋直送便のポテチは軽やかで本当に美味しい。油が回っていない証拠である。ポテチは「鮮度が命」なのだ。

 

mtautumn.hateblo.jp

 

mtautumn.hateblo.jp

 

余談だけど、菊水堂のポテチは成城石井ナチュラルローソンなど一部のスーパーやコンビニで買えることもある。たいてい平積みで陳列されているわけだが、僕はあの陳列方法はやめたほうがいいと思っている。菊水堂のポテチの袋は透明である。一般的にコンビニなどで購入できるポテチは内側が銀色の「アルミ蒸着フィルム」によるパッケージになっている。アルミ蒸着フィルムは光を通さない。これはポテチの酸化を防ぐための加工であり、逆に言えばその加工がされていない菊水堂のポテチは酸化しやすいのである。

それが店内に照明がよく当たるところに平積みされているわけで、これでは酸化してくださいと言っているようなもの。実際、僕はけっこう酸化している菊水堂ポテチに当たってしまったことがある。成城石井ナチュラルローソンなどこだわりを謳うスーパーの名が泣くような商品管理であり、平積みされた菊水堂ポテチを見るたびに、ああ、もったいないと嘆きたくなる気持ちになる。

 

個人的には菊水堂がしっかり指導すべきだと思う。高級スーパーの店員といえど、ポテチの鮮度に気を配る必要があると気づいていないことが多いはずだ。だからこそ、できたてにこだわる菊水堂側が店頭で並べる際の注意点をレクチャーしたほうがいいと思うのである。一見面倒でもそれは回り回って菊水堂にとってもプラスになるはず。美味しいと評判のポテチを買ったお客さんが酸化して美味しくないポテチに出くわしたら、きっとそのお客さんは「まずい!」と思うはずだし、下手したら周りの人に菊水堂のポテチはあんま美味しくないよ、と吹聴してしまうかもしれない。商品やサービスに批判的な人をマーケティング用語で「ディトラクター(detractor)」と呼ぶが、ちょっとした工夫でディトラクターが減らせるのであれば、やったほうがいい。結局のところ一番損をするのは菊水堂なのであり、自社のポテチにこだわりを持つのであれば、レクチャーをする価値は十分あると思うのだ。

 

今回はずいぶんグチグチした話になりました。ハンターズのポテチに期待しただけにね。しかも、40グラム6缶で2000円超えだから。この値段はちょっと贅沢なポテチなわけで、やっぱハンターズのポテチは美味いわーと楽しい気持ちになりたかったわけですね。

 

 

カルビーVS湖池屋 サワークリーム&オニオン対決 in May 2021

 

 

サワークリーム&オニオン普及の功労者プリングルズと日本ポテチのフレーバーの変遷

サワークリーム&オニオンは今では日本でもポテチの定番フレーバーだが、日本でこのフレーバーを広めた功労者はプリングルズに違いない。

 

ちゃんと調べたわけではないから間違っているかもしれない。だが、僕のようなアラフォー世代や30代にとって、サワークリーム&オニオンといえばプリングルズではじめてその美味しさを知った人がほとんどではないだろうか。

プリングルズのフレーバーでどれが一番好き?とアンケートを取れば、絶対にこの味が頂点に輝くはずだ。プリングルズサワークリーム&オニオンは最強であり、それゆえ約10年前にP&Gからケロッグプリングルズの所有権が移り、アジア版プリングルズの生産がマレーシアの新工場に移管されたときはフレーバーが変わった(口さがない言い方をすればまずくなった)と話題にさえなったのである。

 

コロナですっかり海外出張はご無沙汰だが、僕はアメリカに行ったときに必ず現地のスーパーでサワークリーム&オニオンを買い、あーやっぱこれだよねーとノスタルジアと変わらぬ美味しさを堪能しているのである(そこまでせずとも輸入雑貨店などではアメリカ版が買えるのだけどね)。

 

mtautumn.hateblo.jp

 

mtautumn.hateblo.jp

 

プリングルズが日本で販売されるようになったのは1990年代前半のことである。ソニープラザ(ソニプラ、現プラザ)やカルディなど輸入食品を扱うちょっと洒落たお店の棚に並んでいて、価格はロング缶がだいたい300円〜400円と少しリッチなお菓子だった。僕はサワークリーム&オニオンももちろん大好きだが、赤いパッケージのオリジナルが一番好きだ。

 

日本でもサワークリーム&オニオン的な味が受け入れられる土壌はあったと思う。日本のポテチのフレーバーの多様化は1980年代に進む(もちろんそれ以前にも複数のフレーバーはあったけど)。

カラムーチョが湖池屋から発売されたのが1984年。塩、コンソメのり塩の御三家を除くと、1980年代半ばには、カルビーからフレンチサラダやフォンドボー、チリ、エスニカン、湖池屋からガーリックやバーベキュー、ビーフカレー、チキン&オニオン、不二家フリトレーから四川風味、オニオンマヨネーズ、ドレッシング味、ヤマザキナビスコからブイヨン味、東京スナック食品のサワーオニオンなど多様なフレーバーが発売されていた。

カルビーのフレンチサラダや湖池屋のチキン&オニオン、不二家フリトレーのオニオンマヨネーズとドレッシング味、東京スナック食品のサワーオニオンあたりは、サワークリーム&オニオンに通じそうだ。

 

カルビー湖池屋サワークリーム&オニオンを食べ比べる

今では、サワークリーム&オニオンはプリングルズに限られない。折しも5月、カルビーからスーパーデリシャスフレーバー・サワークリーム&オニオン味、湖池屋から特濃サワークリームオニオンが発売されており、日本のポテチ界の二大巨頭のサワークリーム&オニオン味の対決が実現したのである。

 

f:id:mtautumn:20210508141514j:plain

 

f:id:mtautumn:20210508141533j:plain

 

単体ではわからなかったであろうが、食べ比べてみると両者けっこう違いがある。カルビーのほうがクリームの甘みやコクを感じさせる仕上がりになっている。対して、湖池屋カルビーより酸味やオニオン感が出ている。ただ両者ともクリーム感はあって、これに比べるとプリングルズサワークリーム&オニオンはクリーム感はあまりなくて、サワー感のほうが前面に出ている印象だ。サワークリーム&オニオンは濃い味付けなので、一見どれも似たような味に感じられるが、あえて食べ比べてみると特徴が各社顕著に分かれている。

 

各社共通するのは味の濃さ。プリングルズからしてそうだったが、サワークリーム&オニオンは味が濃いほど美味しく感じるフレーバーだと思う。特濃を謳う湖池屋サワークリーム&オニオンの味付けが濃いのは言うまでもなく、カルビーのだってなかなか濃い目に仕上がっている。サワークリーム&オニオンはジャンクフードのポテチの中でもひときわジャンクなフレーバーなのだろう。

 

みんなちがって、みんないい。