鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

60歳から先細る保障額

 退職後、加入していた保険を見直し、いくつかの保険を解約し、国民共済の保険だけ残した。総合保障4型に加入していて、月掛金は4000円。加入したのは2004年なので20年経っている。

 先日、保障額の案内がきた。60歳の誕生日(2023年8月)を迎えた後の年度初め(2024年4月)から保障額が変わるということだった。

 事故入院(1日目から184日目まで)、病気入院(1日目から124日目まで)の保障額:1日1万円は変わらず。 

 事故のみ通院保障(14日以上90日まで):通院当初から1日3000円も変わらず。

 変更(減額)になるのが後遺障害、死亡・重度障害。

 <後遺障害>

 ・交通事故:1級1320万円~13級52.8万円⇒1級1000万円~13級40万円に減額

 ・不慮の事故(交通事故を除く):1級800万円~13級32万円⇒1級600万円~13級24万円

  <死亡・重度障害>

 ・交通事故:2000万円⇒1400万円

 ・不慮の事故(交通事故を除く):1600万円⇒1060万円

 ・病気:800万円⇒460万円

 

 死亡後の保障の減額については、残してあげるような子供がいないおひとり様なので、さほど重要視していない。しかし、後遺症の保障の減額は年齢が高いほどリハビリ等費用がかかるように思えるが、そこも減額である。

 その後も、65歳、70歳、80歳と掛け金は変わらないが、保障額が減っていく。事故のみ通院保障もなくなるのである。

 70歳からの病気入院は日数も124日から44日へと80日の減少である。

 母も85歳まで加入していた。「85歳で終わりだって。これからさらに必要になるのにねぇ」とこぼしていたのを思い出す。

 その間、母が利用したのは3回。70代のころ自動車の接触事故の骨盤にひびが入ったとき、81歳のときに転倒して左上腕部を骨折して手術したとき、84歳のときは階段で腰を打って圧迫骨折。

 母はアメリカンホーム保険の「どんとこい」という傷害保険も入っている。こちらは現在も継続中。

 当時を振り返ると共済の保障額の記憶が薄い。接触事故のときは相手側の保険会社の保障でほとんどカバーできたし、その後は「どんとこい」の保障がよかったので印象に残っている。共済の保障額も受け取ったはずだが、おそらく「助かった~」という実感がわかないほどの金額だったのか、記憶にない。

 「どんとこい」は昨年の大腿部骨折の際も90歳でありながら請求できた。万一、保障が認められない場合でも、提出した診断書の費用は保険会社側で負担してくれる。医師に書いてもらう診断書(保険会社向け)は、私が経験した中ではだいたい6000円~1万円(病院によって異なる)ぐらいかかった。このときは、高額療養費制度を利用していたので、保障額でまかなえた。私も入ろうかなと思ったが、この商品の新規契約は現在は行っていないようだ。

 おそらく共済は現役世代向きなのだろう。年齢が高くなっても掛け金は変わらないが、年齢が高ければそれなりに加入期間も長い。共済の加入年齢制限は70歳(加入期間15年以上)となっている。70歳の時点ですでに保障額は現役世代より少ない。

 歳をとればとるほどケガや病気にかかりやすいが、保障は下がる。実際、母は85歳すぎてから、転倒によるケガが増えている。病気も然り。

 母の加入は私より早いので、40年は加入していたと思う。

 年間48000円(月掛金4000円x12ヶ月)x40年=192万円

 その掛金総額は約192万円。その間、利用したのは3回でその総額を上回ることはない。大事に至らなかったのはありがたいが、「もし」のときに備えてきた192万円、妙な損失感がなくもない。毎月4000円ずつ貯金してたほうがよかったかなとも思える。

 

 私の場合、共済加入したのは2004年なので、今まで支払った額は
 年間48000円(月掛金4000円x12ヶ月)x20年=96万円

 今後、60歳の私が85歳まで加入を継続すると、
 年間48000円(月掛金4000円x12ヶ月)x35年=168万円

 
 今まで一度も利用してなかったが、今回、2月に検査入院したので初めて請求をした。ちなみに、請求に必要な診断書(所定用紙に記入)は税込み11000円。

 検査入院の診療料金は52950円。
 内訳は
 差額ベット代:16500円(4人部屋:5500円/日×3日)
 入院時食事:3350円
 医療費(カテーテル検査費):35400円

 診断書作成に手間取り、いまだ振り込まれず待機状態だが、おそらく1日1万円の入院費3日分(3万円)ぐらいだろうと思っている。診断書と差額ベット代をなんとかカバーといった程度である。

 これが65歳になったら1日5000円になるので、差額ベッド代はカバーできない。手術となれば希望の有無にかかわらず、個室になるときもあるだろう。それでもありがたいと思うのだろうか。

 

 「万が一」「もしも」に惑わされるのも事実であるが、今まで96万円掛け捨ててきて、今回の請求額を照らし合わせると、損失感は否めない。

 もちろん、ケガや事故で障害が残ったらそれを上回る保障があるかもしれないが、身体障害者手帳に記載されている等級とは設定基準が異なることもあるかもしれない。単身生活で障害を負った後にそういった手続きが自分ひとりでできるだろうか。役所や病院で証明をとって、書類記入し、郵送するなど、不自由な体では無理だろう。となると、ヘルパーさんに頼むことになり、費用がかさむ。そんな想像をしていくうちに、杖や車いすでATMに行って貯金を下ろしたほうがラクに思えてきた。

 

 民間保険に入らない人を二人知っている。一人は父だった。会社の団体保険すら覚えてないほどで、ガンになったとき会社から連絡があって初めて知ったのである。

 当時は手厚い保障で家族としてはずいぶんと助かったが、現在は同じような保障の保険商品を探すと特約だらけで月掛金が万単位だ。

 もう一人は勤めていた弁護士事務所の弁護士。彼の父や兄は保険会社に勤めていたにも関わらず、彼は加入していなかった。

 「義理でも入る気はないの?」と冗談をいってみたが、彼は「ま、そう思うよね、ところが入らないんだな~」と笑った。

 私が保険の検討をしていると話したときに、彼は「面倒でも、約款はよく読んだ方がいいよ。それとルビサイズの小さな注意書きも見落とさないようにね」とアドバイスをくれた。

 今後も継続していくかどうか、改めて検討しようと思う。