二月の夜の終わりの白の
裾が擦り切れようとしている。
夜をしりぞける火の海に
だれもが忘れようとしている。いずれその死も歴史のなかに埋もれることになるだろう。しかし喉の奥の一番にやわらかく赤い場所にまとわりつくようにそれは彼を責める。
焼け跡もうっすらと消え、緑が点々と浮かぶようになった今でも、彼はここにはいない。彼だけが未だ、あの熱をもつ焼け跡に茫然とたたずんでいる。彼だけが、いまだそこに取り残されたままなのだ。
雨を嫌い雨を乞う
なにが裏側で赤い色をしているのでしょう。だれがなだらかに死にゆくのでしょう。
少しはスカートが揺らめくと夜がやってきます。床のない家に私は生きているようなものだと教わりました。屋根裏の悲劇。
ベガ
星は憧れを表します。なんとぴったりくるのだろう。星は憧れ。