労働力不足:AIが日本を救う(RFI)/日本の半導体業界:チップの再起動の背後にあるもの(DW English)
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労働力不足:AIが日本を救う
発表 2024年4月24日 13:11
人口の高齢化に直面する日本は、労働力不足を補うための代替手段を模索している。この列島は長らくロボット工学の擁護者であったが、人工知能への関心がますます高まっている。
日本の高齢者のグループ。 (説明画像) © Photo by Jojo Yuen (sharemyfoodd) on Unsplash
この現象は少なくとも40年前から存在している。日本は人口動態曲線の逆転に至っていない。何をやっても駄目で、これまでの政権のどの政策もこの時限爆弾の起爆装置を外すことに成功していない。
8年間に亘り、出生率は前年のデータを下回っている。2032年には年間出生数が80万人を下回ると人口統計学者たちは予想していたが、10年も早くそれが起こった。
労働力の切実な必要性
同時に、日本は長寿記録を更新している。日本人の10人に1人が80歳を超え、ほぼ3分の1が65歳を超えている。状況は危機的となっており、昨年には国が最早機能できなくなる瀬戸際にあると岸田文雄首相が認めた程だ。
日本人は、時には75歳を超えても働かざるを得なくなったにも係わらず、活動人口は減少を止めない。15年後の日本では、1億2,300万人余りの人口に対して1,100万人の労働者が不足すると推定されている。
一部の国では人口減少を食い止めるために移民に頼っているが、日本は臆病な開放や政策の緩和があっても、実のところ外国人を歓迎する国では決してなかった。
現在、この列島は技術革新を促すために、有能な労働者や才能のある人材を迎え入れることに一層の力を入れている。日本はロボット工学の世界的なリーダーとして知られている。それはこの分野で日本は常に拠り所とされており、現在では多くの業種で自動化が達成されている。しかし、人工知能への投資はますます増えており、スタートアップ企業はキノコのように成長している。
►これも読む:労働力不足に直面する日本は、資格のある外国人労働者を求めている
関係する分野の範囲は幅広い
自動車・ロボット工学・エレクトロニクスの分野では、多くの企業や法人が特許に投資している。テクノロジー大手のオラクルは、例えば日本でのAIインフラの開発に今後10年間に80億ドルを投資する予定だ。
自動車業界は運転手の要らない自動運転車に投資している。大量生産は2028年の予定だ。農業でも人工知能は収量を改善するために使われている。アプリは病気を見つけたり、栽培を促すための適切な扱い方を探したりすることが出来る。
別の例として、列島の相当に低い英語の水準を改善するために、非常に効果的なツールが使われている。これが不十分な教師の数を補うことになる。
部下を定着させるためのAI活用
最後に、人手不足による懸念を説明するために、新入社員の退職率を予測するツールが開発された。会社の上司が困難な状況にある部下を見つけ出したり、彼らが職を続けるための支援を展開したりするために、この技術は役立ちそうだ。
この例を通して、日本では人工知能の果たす役割が世界の他の国と違うことが良く分かる。生産性の向上や労働力不足の解消だけが目的で無い。この技術などを通じて、日本は大きな格差を生じること無く、経済効率とそれが社会に齎す利益とのバランスを見出そうとしている。
記者 イェレナ・トミッチ
同じテーマについて続けて読む:
日本 人工知能
―参考―
(Japan's semiconductor sector: What's behind the chip reboot?: DW English)
https://www.dw.com/en/japans-semiconductor-sector-whats-behind-the-chip-reboot/a-68947295
ビジネス|日本
日本の半導体業界:チップの再起動の背後にあるもの
ジュリアン・ライオール(東京)
2024年4月29日
かつて日本は世界有数のチップ製造国だった。サプライチェーンと地政学的緊張をめぐる懸念から、今や政府は大規模な投資に踏み切った。
1990年代には日本は全てのチップの約50%を生産していたが、現在は僅か9%にまで縮小したと、専門家たちは指摘した
Image: Imaginechina-Tuchong/imago images
日本は半導体産業への支援を劇的に強化している。2021年度から3月31日に終了した2023年度に掛けて、国はこの業界に3.9兆円(231億7000万ユーロ、248億ドル)を投資した。
これは、米国・ドイツ・フランス・イギリスが同時期に投資した金額よりもGDPに占める割合が高い。
IT技術をめぐる近年の地政学的な大きな変化による影響や、COVID-19の世界的流行から学んだ教訓、そして、これまで適切だと考えられていたサプライチェーンの世界的な危機の影響を受けて、日本政府は行動に駆り立てられたとアナリストたちは述べている。
また、東京は大量のチップを消費する国内産業を支援し、更には経済一般を守るために、半導体製造事業を再興する意欲を持っている。
日本の半導体への投資の推進
「半導体は最も資本集約的な投資の1つであり、日本は1990年代に優位に立った後、徐々にこの分野から撤退し、主に韓国と台湾に任せてきた」と富士通グローバル市場情報部門の主任政策エコノミスト、マーティン・シュルツ氏はDWに語った。
「しかし、近年は政府が半導体を推進するようになった。自分たちが半導体を軽視してきたことや、半導体が極めて重要であることに気付いたからだ。」
シュルツ氏は、日本は1990年代に全ての半導体の約50%を生産していたが、現在では僅か9%にまで縮小していると指摘した。
財務省の統計によると、2021年から2023年に掛けて日本政府が半導体分野に投入した資金はGDPの0.71%を占め、ドイツの0.41%、米国の0.21%、フランスの0.20%といった同時期の数字を上回っている。
そして、この財政支援は今後も拡大すると見込まれている。
2月には、総費用の約3分の1に当たる4760億円(28億1000万ユーロ)に上る政府の財政支援により、業界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が南日本・熊本に製造工場を完成させた。生産は年末に始まる予定だ。
同様に、キオクシアとウエスタンデジタルは、三重県四日市に3D・NAND・フラッシュメモリ製品を生産する工場を共同で建設しており、政府はこれに929億円の補助金を出している。両社は東北日本・岩手県にも工場を建設中で、年末までに稼働が始まる予定だ。
経済産業省はまた、国内の半導体企業ラピダスに対し、IBMと提携して北海道に製造施設を建設するために5900億円もの支援を行っている。同工場は2027年に生産を開始する予定だ。
日本の半導体に対する突然だが必要な変化
東京大学で科学技術政策を研究する鈴木一人教授は、日本政府の方向転換は突然だが必要だったと述べた。
「主な理由は半導体分野での競争が激化していることで、政府はパンデミックの間に世界のサプライチェーンの問題に真剣に注意を払い始めた」と、同氏は述べた。
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世界中の産業界が突然、自動車から電子レンジまでの有らゆるものに使われるチップが不足したことに気付いた。そこで、世界の半導体の大部分が台湾で製造されているので、台湾海峡で緊急事態が発生すると日本のユーザーたちが「脆弱」になることに、政策立案者たちが思い至ったと同氏は述べた。
「国内企業の需要を満たすために、外国企業の誘致と生産の国内回帰へと意識を改めた東京にとって、チップ不足は極めて深刻だ。」
日本はまた、中国に対して最先端のマイクロチップを含む最先端の技術の取得を制限する米国の政策を支持している。このことが経済的なライバルにAIやその他の新興技術で優位性を与え、北京が更に高度な兵器を開発する可能性を齎すことへの懸念からだ。
日本の半導体の歴史
日本はかつてチップ製造の世界的リーダーだったが、より利益率の高い次世代半導体とそれを作るための機械の開発に重点を置き、実際の製造は他国の企業に任せることを選んだと、鈴木氏は述べた。
1989年、東芝・日立・NEC・富士通を含む日本のエレクトロニクス企業6社は、半導体の売上高で世界トップ10に入っていたが、生産から離れることを徐々に選択した。
一部の企業は全盛期の再現を試みた。NECと日立は1999年にエルピーダメモリを設立したが、2012 年に倒産した。
重要なのは、政府がこのベンチャー企業の成功を保証する程度の投資を行いたいと思わなかったことだ。
「しかし、今は状況が変わり、政府は今が技術者たちのノウハウと経験を活用して彼らが引退する前に業界を活性化させる最後の機会かも知れないと考えている」と、鈴木氏は付け加えた。
しかし、この分野の再建には製造工場以上のものが必要になるだろう。
読売新聞は4月22日の社説で、更に高度な半導体を製造するために新世代の熟練労働者を教育する必要性を強調し、部品の安定調達は「国の経済安全保障に不可欠」だと明言した。
編集:シュリーニバス・マズムダル
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(投稿者より)
私の肌感覚でも、機械翻訳のお蔭で10年前には4日掛かった作業が現在では4時間で出来る、と言える位にAIが進歩しています。非常に助かっています。
参考に掲げさせて頂いたBBCの記事は個別の事例が多いため、私のブログでは反って扱い難いと考えましたが、最近の傾向を知るためにも読んで頂きたいです。
日本には17世紀から続く「からくり人形」の伝統があり、現在のロボット技術もこの延長線上にあると、私などは勝手に考えています。チップだけなら世界に多くのライバルがいますが、モーターを繋げてチップで制御する仕掛けは世界の何処にも負けないものを持っていると思いますので、今後も頑張って頂きたいです。
IT業界は頭脳集約的なイメージがあり、仕事はきついが給与は高いとの世評があります。一方で、チップ産業もメカトロ産業も生産現場で働く作業者の多くは低賃金で働く若い非正規労働者ですので、業界の発展と労働者の経済的な豊かさとが必ずしも一致しないことが問題に思えます。
ただ、待遇・就労・キャリアパスの面で彼らを保護し、きちんとした将来を彼らに示すことにより、例えば少子化問題の改善に役立つことも有ると思います。業界の指導者の皆様には、彼らがその業界でずっと働き暮らせるような道を用意して頂きたい、ということも考えました。