ナオーキのなんでもレビュー

主にネトフリ、アマプラで見た映画やドラマをレビューしていきます!

アニメ映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』の感想・レビュー【ネタバレあり】

スタジオコロリドが送る、Netflix独占配信のアニメ映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』。

山形県に暮らす普通の男子高校生、八ッ瀬柊(やつせひいらぎ)が、額に角が生えた鬼の少女ツムギと出会ったことから始まる不思議な旅。

ボーイミーツガールであり、ロードムービーでもあるこのアニメ作品を観た感想を書いていきたいと思います!

(ネタバレありのレビューです)

映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』 オリジナルサウンドトラック

『好きでも嫌いなあまのじゃく』

2024年 日本作品 英題:My Oni Girl

上映時間 112分

推奨年齢 13歳以上

監督   :柴山智隆

脚本   :柿原優子、柴山智隆

音楽   :窪田ミナ

制作   :スタジオコロリド

 

目次

 

あらすじ

山形県に暮らす高校1年生である八ッ瀬柊(やつせひいらぎ)は、人から頼まれたら断れない性格。

真夏に季節外れの雪が降ったある日、は人間の世界に母親を捜しに来た鬼の少女ツムギと出会う。

と違い積極的な性格であるツムギは、を道連れにし、自分の母親がいるという日枝神社を目指し旅立つ。

2人の不思議な旅が始まる。

 

登場人物

八ッ瀬 柊(やつせひいらぎ)

声:小野賢章

本作の主人公。

山形県に暮らす高校1年生。

頼まれたら断れない性格。

高圧的な父親との軋轢がある。

 

ツムギ

声:富田美憂

人間の世界に母親を捜しに来た、鬼の少女。

とは対照的に明るく積極的な性格。

美味しいものを食べたときに「うまし!」と言うのが口ぐせ。

 

作品の舞台

この『好きでも嫌いなあまのじゃく』の舞台となるのは、米沢市を中心とした山形県

山形県米沢市といえば、三大和牛の一つである米沢牛で有名なところですね。

冒頭からすぐにわかりますが、背景はかなりリアルに描きこまれています。

 

感想

印象的なオープニング

眼鏡をかけた真面目そうな少年が、雪に埋もれているシーンから始まる印象的なオープニング。

この作品『好きでも嫌いなあまのじゃく』のテーマの一つが「雪」であることを示唆しているようです。

そして目を覚ました少年が、後ろから歩いてきた鬼の少女と目を合わせたところで現実に戻ります。

 

キャラのセリフが訛ってないのは残念!

この『好きでも嫌いなあまのじゃく』、舞台は山形県ながらキャラクターのセリフは完全に標準語、『響け!ユーフォニアム』と同じパターンです。

まあいろいろ事情があるのでしょうが、個人的には『サマータイムレンダ』のように方言があるほうが田舎の空気感がよく出ていてお気に入りです。

 

鬼にしてはかなり常識があるヒロイン「ツムギ」

バス代が見つからず、困っていたツムギを助け、自分の家に連れ帰る

ツムギは髪の色こそ青っぽい個性的な感じですが、の家族と食事するシーンでは意外とコミュ力があり、の母親に髪をとかしてもらったあとは「ありがとうございます」としっかりお礼を言うなど、鬼にしてはかなり常識がある印象です。

 

つまり「」らしい奇妙さや破天荒さはこの時点ではまったく感じない設定で、この設定がこれからどう物語に影響してくるのかが気になります。

 

本心を隠す人間の体から出てくる「小鬼」

主人公柊のように、本当は嫌なのに頼まれたら断れない人間の背中から出てくる、小さな綿のような、煙のような白い物体、それが「小鬼(こおに)」。

の体からはたくさんの小鬼が出てきて、ツムギは「小鬼がたくさん出てくる人間は、いずれ鬼になる」という発言をします。

この小鬼が、本作『好きでも嫌いなあまのじゃく』のテーマの一つとなりそうです。

 

敵か味方か?物語をかきまわす存在「ユキノカミ」

物語の序盤から登場する、ツムギに襲いかかる謎の存在、「ユキノカミ」。

東洋の龍のような半透明の青い細長い体に、ヘンテコなお面を被っているような怪物です。

お面の下に口があるので、なんとなく『千と千尋の神隠し』のカオナシに似た感じです。

この「ユキノカミ」は物語中何度も登場し、柊たちに襲い掛かり物語をかき回す、この『好きでも嫌いなあまのじゃく』の鍵となる存在のようです。

 

前半は主人公2人が旅の中で様々な人々と出会う、ロードムービー的展開

前半は主人公とヒロインツムギが、ツムギの母親を捜しに日枝神社を目指す旅の途中で、様々な人と出会い、そして別れていく、ロードムービー的展開が続き、鬼が登場するというファンタジーながら、その旅は空想世界をさまよう、というものではなく、実際の山形県を旅する、とても現実的な旅となっています。

 

後半は鬼たちの集落、陰の卿(なばりのさと)が舞台に

前半の現実的な旅とは打って変わって、後半は鬼になってしまったがたどり着く、陰の卿(なばりのさと)が物語の舞台になります。

この陰の卿は1年中雪が降っている縦構造の集落で、本部のようなところにあるホワイドボードにフロアマップが貼ってあるのですが、それによるとこの集落はB2F~6Fのフロアで構成されており、デパートのフロアマップのようなトイレマークや車いすマーク、非常口マークがあるのが面白いです。

 

こんな寒いところに暮らしている鬼たちは特に人間と比べて寒さに強いわけではないらしく、人間と同じようにコートを着たり、マフラーをしているのも面白いところです。

この『好きでも嫌いなあまのじゃく』の鬼たちは、『鬼滅の刃』の鬼のように特別戦闘能力が高い、ということもないらしく、角が生えていること以外は、人間と変わらない存在のようです。

 

良かったところ

ヒロイン、ツムギのビジュアルが良い

鬼の少女であるヒロインのツムギ

彼女の性格は特別魅力的だとは思いませんでしたが、ビジュアルは本当に素晴らしい。

水色からピンクへのグラデーションカラーの髪。

ピンクの角。

青い服にピンクのストッキング。

統一感のあるキャラクターデザインで、完璧に魅力的なビジュアルのヒロインでした。

 

エンディングで2人が出会った人々のその後が描かれる

前半の旅で主人公2人が出会った人々のその後が、エンドロールで少し描かれるのはすごく良い演出だと思いました。

 

エピローグの演出がとても良い

ここはネタバレしませんが、最初のエンドロールが終わった後、エピローグとしてツムギの会話があるのですが、ここの演出がとてもいいです。

物語の終わりであり、2人の始まりなんだな~という感じがします。

 

気になったところ

ワクワク感の演出が弱い

終盤、これまで自分の気持ちに素直になれなかった主人公柊が、初めて好きになった女の子を助けるために、自分の気持ちに素直になってツムギの元へ駆けつけようとするシーン

ここは最高レベルにワクワク感を演出するべきシーンなのに、スノーモービルの発進が「のろのろ~」という感じで、ちょっとズコーッでした。

たしかにリアルではそういう発進ですが、アニメーションなのだから、そこはリアルな演出ではダメでしょう、と思ってしまった。

主人公の高まる気持ちを表現するような発進でなければならないはず。

巨匠と比較して申し訳ないが、宮崎駿なら絶対にそういう演出にするはず。

 

まとめ:傑作とは言えないが、2時間しっかり楽しめる良作アニメ映画

Netflixで独占配信されているこのアニメ映画、めちゃくちゃ面白い、誰もが観るべき傑作!とは言えませんが、2時間しっかり楽しめる良作でした。

ボーイミーツガールであり、ロードムービーでもあり、そして若い2人の成長物語でもあるこの作品、Netflixに加入しているならば、鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 

kindle

好きでも嫌いなあまのじゃく (角川文庫)

blu-ray

好きでも嫌いなあまのじゃくBlu-ray/My Oni Girl 出演:小野健昭/富田望生(HDアニメーション)

サントラ

好きでも嫌いなあまのじゃく

 

(関連記事)

・【傑作】Netflixアニメ『ブルーアイサムライ』を観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』を観た感想

・『映画 ゆるキャン△』をアマプラで見た感想(ネタバレあり)

・Netflixアニメ映画『ニモーナ』を観た感想・レビュー

・映画『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』をアマプラで観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・【宮崎駿が激怒退席?!】映画『ゲド戦記』の感想・レビュー

 

【かなり過激?!】Netflix映画『チャタレイ夫人の恋人』の感想・レビュー

これまで何度も映画化されている、エロティック恋愛小説の名作『チャタレイ夫人の恋人』、それを2022年、Netflixがあらためて映画化した作品。

主人公のコニー(チャタレイ夫人)を、Netflixドラマ『ザ・クラウン』でダイアナ妃を演じたエマ・コリンがその裸体を惜しげもなく晒して熱演。

かなり過激なエロティックシーンがいくつもありますが、それだけではなく、確かな演技力を持った俳優たちが、繊細な演技で「禁断の恋」を描いたこの作品を、レビューしていきたいと思います!

(ネタバレありのレビューです)

Lady Chatterley's Lover (Soundtrack from the Netflix Film)

チャタレイ夫人の恋人

2022年 イギリス/アメリカ映画 原題:Lady Chatterley's Lover

上映時間 127分

推奨年齢 18歳以上

監督   :ロール・ドゥ・クレルモン=トネール

脚本   :デヴィッド・マギー

原作   :D・H・ローレンス

 

目次

 

あらすじ

裕福なクリフォード・チャタレイ准男爵と結婚し、何不自由ない暮らしを手に入れたかに思われた女性、コニー

しかし戦争で受けた傷のせいで下半身不随となった夫を介護する生活の中で、コニーは性的にも、精神的にも満たされない毎日に鬱屈していた。

そんな日々の中で、コニーは森の中の小屋で出会った森番の男メラーズに惹かれていく。

やがて情事を重ねるようにになった2人は、次第に禁断の恋に溺れていく。

 

登場人物

コンスタンス(コニー)・チャタレイ/エマ・コリン

准男爵であるクリフォード・チャタレイの妻。

夫が下半身不随となったことで、性的にも精神的にも欲求不満であり、鬱屈した毎日を送っている。

 

オリバー・メラーズ/ジャック・オコンネル

元軍人で、現在はクリフォードに森番として雇われている男性。

森の中の小屋で、愛犬と共に孤独に暮らしている。

 

クリフォード・チャタレイ/マシュー・ダッケット

コニーの夫。准男爵

戦争で傷を負い、下半身不随となって帰ってくる。

 

感想

エマ・コリンの美貌と確かな演技力

私はこの映画『チャタレイ夫人の恋人』の主人公コニーを演じたエマ・コリンの出演作を観たのは今作が初めてですが、彼女を見てすぐに感じたのが、その圧倒的な美貌と、確かな演技力です。

 

誰もがうらやむ地位と富を手に入れても満たされず、全てを失うリスクを犯してでも、自分が本当に好きな人との禁断の恋に踏み込んでいくコニーを、エマ・コリンはその繊細な演技力で見事に演じ切っています。

 

イギリスの美しい風景

イギリスが舞台の貴族ものの作品、例えば『ジェーン・エア』などを観たときにも感じましたが、日本のゴミゴミ感とはまるで違う、美しい丘陵の中にそびえ立つ豪華な館という風景。

このイギリスの美しい風景だけでも、一見の価値があります。

 

少し青みがかった色使いにイギリスの空気を感じる

この映画、全体的に青いフィルターがかけられているように、青っぽい画面が多いです。

その色使いが、曇りの日が多いイギリスの空気を感じさせます。

そして色彩の乏しいその画面は、主人公コニーの心の中を表現しているようにも見えます。

終盤コニーがイタリアのベニスに行ったとき、一気に色彩豊かな画面に変わり、コニーも鮮やかな色彩の服を着ているのもとても印象的です。

 

住んでいる世界が違う男に惹かれていくコニー

チャタレイ夫人の恋人」となる森番メラーズは、元軍人で現在は森の中で孤独に愛犬と一緒に暮らしている、無骨で不愛想な男。

自分が住んでいる貴族の世界とはまるで違う世界に住んでいるこの孤独でワイルドな男に、コニーは次第に惹かれていきます。

 

かなり直接的に描かれる情事の場面

夫に軽んじられ、空虚になった心と性的欲求不満を埋めるため、メラーズを求めるコニー。

2人の最初の情事は本能のままに求めあう、という感じで、ぼかすことなくかなりリアルに、直接的に描かれます。

まだ愛し合っているわけではなく、お互いの欲望を満たすためだけのセックスで、事が終わったあと、2人の間に微妙な空気が流れるのも、とてもリアルな演出だと思います。

 

情事を繰り返す中で、生気を取り戻していくコニー

愛し合うようになり、自然の中で体を重ね続ける2人。

はっきり言って性的なシーンはかなり多いです。

それを繰り返す中で、死んでいたコニーの顔に生気が戻り、笑顔が生き生きとしてきます。

 

野暮な「ぼかし」など、一切なし!

雨の中、全裸になってはしゃぎまわるコニーメラーズの2人。

何かぶらぶらしたものが見えちゃったりしてますが、野暮なぼかしなど一切なし!

さすがNetflixであります。

 

最後は地位と富を捨てて愛する男を選択するコニー

コニーとの関係が知れ渡ることになり、森番を解雇されるメラーズ。

そのことをきっかけに、コニーはクリフォードとの別れを決断します。

そして愛し合う2人が再会するラストシーン。

大仰な演出ではなく、しかし最初から最後まで変わらず美しいイギリスの風景の中、ついに再会を果たす2人の姿はとても感動的であります。

 

まとめ:過激、しかし繊細な恋愛物語

正直エロティックシーンは「ここまで見せるか!」と思うほどの過激さではありましたが、しかしこの映画は決してポルノではなく、何不自由ない人生を投げうってでも、自分が本当に求めるものを追いかけ続けた一人の女性の物語でした。

名作『ジェーン・エア』もそうでしたが、身分違いの恋というのはいつの時代も熱いものがありますよね~。

それにしてもかつての名女優ナオミ・ワッツといい、イギリスの美人女優は本当に脱ぎっぷりがいい印象がありますね。

 

視聴はNetflixで!

 

 

サントラ

Lady Chatterley's Lover (Soundtrack from the Netflix Film)

 

(関連記事)

【期待以上の面白さ!】Netflix映画『ダムゼル』の感想・レビュー

・Netflix映画『ナイアド』の感想・レビュー

・Netflixアニメ映画『ニモーナ』を観た感想・レビュー

【破天荒少女の大冒険!】Netflixドラマ『ウェンズデー』の感想・レビュー

・【素敵すぎる感動作】Netflix映画『パレード』の感想・レビュー(ネタバレなし)

 

【『愛の不時着』との比較】韓国ドラマ『涙の女王』第1話の感想・レビュー

日本でも大ヒットした韓国ドラマ『愛の不時着』の脚本家パク・ジウンが手がけた新作、『涙の女王』。

大富豪の令嬢と結婚し、逆玉の輿に乗って人生順風満帆かと思われたが、わがままな妻とその家族に振り回され、絶望し、離婚を決意する青年を「朴訥イケメン」キム・スヒョンが演じたこのドラマ。

韓国ではあの『愛の不時着』を超える視聴率を記録した、とのことですが、久しぶりに観たこの韓国ドラマの第1話を、忖度一切なしでレビューしていきたいと思います!

(第1話のネタバレありのレビューです)

韓国ドラマ 「涙の女王」눈물의 여왕/Queen of Tears 全16話

『涙の女王』

2024年 韓国ドラマ 全16話 各話約87分

原題:눈물의 여왕

演出   :チョン・ヨンウ キム・ヒウォン

脚本   :パク・ジウン

 

目次

 

あらすじ

ソウル大学法学部卒でクイーンズ百貨店で働くヒョヌは、クイーンズグループの令嬢であるヘインと恋に落ち、結婚する。

その後は妻の実家で暮らし、妻側の家族の一員として生きていたが、義理の家族からの過干渉やパワハラなどが原因で心を病み、そして妻との関係も冷め切っていたことから離婚を決意する。

ヒョヌが妻ヘインに離婚を切り出そうとした日、ヘインが医師から余命3カ月であることを宣告されたことを聞き、心が大きく揺れ動く。

 

登場人物

ペク・ヒョヌ(演:キム・スヒョン

ソウル大出身の弁護士でクイーンズグループの法務取締役。

大恋愛の末にクイーンズグループの令嬢、ホン・ヘインと結婚するが、妻との不仲、義理の家族からの過干渉からのストレスで限界を感じ、離婚を決意する。

 

ホン・ヘイン(演:キム・ジウォン)

クイーンズグループの令嬢であり、常務取締役。

非常にプライドが高く、高圧的な性格。

脳腫瘍が見つかり余命3ヶ月と宣告される。

 

大ヒットドラマ『愛の不時着』の脚本家、パク・ジウンの新作

Netflixで配信され、日本でも社会現象となるほど大ヒットしたドラマ『愛の不時着』の脚本家、パク・ジウンが手がける新作ということで、かなり期待できそうです。

愛の不時着』は私も全話鑑賞しましたが、基本恋愛ドラマながらも、笑いあり、友情あり、アクションあり、感動ありの最高のエンタメ作品でしたね。

名作には名曲あり、というところで、ここぞという場面で名曲「flower」が流れる演出が最高でした。

 

感想

キム・ジウォンの圧倒的な美貌に驚く

私は韓国ドラマはそれほど観ないので、キム・ジウォンという女優は今回初めて見たのですが、序盤から、その圧倒的な美貌に驚きました。

しかしプライドが高く、高圧的に権力を振りかざす、どこからどう見ても周りに嫌われるタイプの彼女が、余命宣告を受けたことでこれからどう変わっていくのか。

そこがこのドラマの見どころの1つだと思います。

 

やや頼りなげな主人公を演じるキム・スヒョン

あまり韓国ドラマを観ない私ですが、本作で主人公ペク・ヒョヌを演じるキム・スヒョンは『サイコだけど大丈夫』というドラマで見たことがあり、イケメンながら朴訥な印象で、魅力的な俳優だなと思っていました。

本作でも、従順で、東アジア特有の個人の意思を尊重しない、過干渉な義家族に振り回される青年を、見事に演じています。

 

本作を見続けるモチベーションも、このキム・スヒョンに魅力を感じることができるかにかかっているような気がします。

 

やはり韓国ドラマは1エピソードが長すぎる

この『涙の女王』第1話は約77分。

次のエピソードからは平均で約87分と、1話につき、短めの映画並の上映時間です。

最近では世界市場向けの韓国ドラマは1話平均上映時間45分ほどの作品も増えてきましたが、普通の韓国ドラマはなぜこんなにも1話の上映時間が長いのでしょうか。

よりサクッと観ることができる1エピソード30分のドラマが増えてきている中で、時代の流れに逆行しているような気もします。

 

『愛の不時着』第1話のような圧倒的な引き込まれ感はなし

最近のドラマにおいて、第1話でいかに視聴者の心を引き込むか、というのはひと昔前よりずっと重要になってきてますよね。

昔よりはるかに娯楽の選択肢が多い時代、第1話がつまらなければ、視聴者はすぐに見限って次のコンテンツに行ってしまいます。

 

ということで、この韓国ドラマ『涙の女王』の第1話はどうか。

面白かったですが、個人的には『愛の不時着』第1話ほどの引き込まれ感はありませんでした。

私も『愛の不時着』第1話を何の思い入れもなく観ていたときは、途中は

「なんだこの荒唐無稽なコメディドラマは」

と思いながら観ていましたが、第1話のラストシーン、主演2人が見つめ合って名曲「flower」が流れる場面で一気に引きこまれました。

 

それと比較するとこの『涙の女王』第1話は、次も観たいと思わせる圧倒的な吸引力は弱いように感じました。

あと、『トッケビ』における「beautiful」、『愛の不時着』における「flower」のような、こちらの心を強く揺さぶってくる「」がなかったことも、少し気になりました。

 

まとめ

さて、大ヒットドラマ『愛の不時着』の脚本家パク・ジウンが手掛けたこの『涙の女王』第1話。

個人的には『愛の不時着』第1話ほどの圧倒的な魅力は感じませんでしたが、キム・ジウォンの圧倒的美貌、朴訥イケメン、キム・スヒョンの魅力、そして余命宣告を受けたことで、主役2人の関係がどう変化していくのか、など、見どころはたくさんあります。

続きが本当に楽しみですね!

 

 

 

(関連記事)

・【日本版との比較】映画『殺人の告白』をアマプラで観た感想・レビュー

・史上最高のラストシーン!映画『素晴らしき哉、人生!』を観た感想(ネタバレあり)

・道産子がアニメ『道産子ギャルはなまらめんこい』第1話を観てみた感想

・Netflixドラマ『幽遊白書』第1話を観た感想(ネタバレなし)

 

アニメ『怪獣8号』第1話をアマプラで観た感想・レビュー

怪獣8号

このなんともそそられるタイトル。

地震のような頻度で怪獣が発生する架空の日本を舞台に、1度夢を諦めた、中年になりかけの1人の男の人間ドラマ。

日本防衛隊隊長というスターになってしまった幼なじみ。

そして日本防衛隊員を目指す若き後輩との関係も見逃せないこのアニメ作品。

その第1話をアマプラで観た感想を、書いていきたいと思います!

ネタバレありのレビューです

第1話 怪獣になった男

『怪獣8号』

2024年 日本アニメ

原作   :松本直也

監督   :宮繁之 神谷友美

脚本   :大河内一楼

音楽   :坂東裕大

 

目次

 

あらすじ

怪獣が出現することが当たり前となった日本。

幼なじみの亜白ミナと共に日本防衛隊員になり、「怪獣を全滅させよう」と誓い合った日比野カフカだったが、夢破れ、32歳の現在は怪獣死体の清掃業者、モンスタースイーパーに就職し、働いていた。

そんな彼が、野心あふれる後輩、市川レノとの出会いをきっかけに、もう1度日本防衛隊を目指すこととなる!

 

登場人物

日比野カフカ/怪獣8号

CV:福西勝也

本作の主人公。

幼い頃に住んでいた街が怪獣の被害に遭い、幼なじみのの亜白ミナと共に「日本防衛隊」を目指すが、試験で不合格となり、夢破れ、現在は怪獣死体清掃業者「モンスタースイーパー」の一員として働いている32歳の男性。

日本防衛隊の年齢制限が33歳未満に引き上げられたことを市川レノに聞き、再び防衛隊入隊を目指す。

 

亜白ミナ

CV:瀬戸麻沙美

カフカの幼なじみの27歳の女性。

日本防衛隊第3部隊長。

人気・実力ともに日本防衛隊屈指の部隊長として名高い。

 

市川レノ

CV:加藤 渉

日本防衛隊」志望で、怪獣死体清掃業者「モンスタースイーパー」でアルバイトとして働く18歳の男性。

性格はツンデレ

 

感想

怪獣が日常的に現れる日本、という設定

冒頭から怪獣に襲撃される神奈川県横浜市

まるで地震のように、怪獣が現れることが日常的となってしまった日本が舞台。

信号機は赤の横に「怪獣」のランプがあり、道路には「怪獣専用」と書かれた車線があるのが面白い設定です。

そんな中、人間離れした動きで、生身のまま怪獣を撃退する日本防衛隊の亜白ミナ

彼女が主人公日比野カフカの幼なじみです。

 

いわゆる「負け組」男が主人公

主人公の日比野カフカはキラキラした英雄扱いの「日本防衛隊」とは違い、誰かが必ずやらなければならない仕事をしているにも関わらず、スポットライトを浴びることのない、怪獣死体清掃業者

現代日本で言えば、皆の憧れのキラキラした職業、医者、弁護士、IT企業経営者などとは対極に位置する、いわゆる3Kの仕事を担う「負け組」男です。

 

うだつの上がらない顔をした数人の男たちがダラダラ食事しているところから、責任者の「よーし、仕事だ」の一声から、だるそうに動き出すシーンは、そういう「負け組」男たちの日常を、本当にうまく表現していると思います。

 

主人公カフカはそんな「人がやりたがらない仕事」をやっている人間の中でも、かなりのベテランで、優秀なスタッフ、という設定です。

 

市川レノの登場で動き出す物語

何で、諦めちゃったんすか?

「こっち側」にいる冴えない自分と、「あっち側」にいるスター扱いの幼なじみの亜白ミナを比べ、悩むカフカがいつものように会社に出勤したとき、新人バイトとしてカフカの前に現れた若者、市川レノが言い放った言葉。

 

市川レノというキャラクターは目つき鋭く、クールな性格で言いたいことはためらわず言い放つというタイプ。

そんなクールなレノが、悪臭に苦しめられながら行う「腸作業」に悪戦苦闘する姿が笑いを誘います。

 

なんだかんだで世話してくれた先輩のカフカに「ありがとうございました」と礼を言ったあと、照れる姿もツンデレっぽくかわいい。

 

「余獣(よじゅう)」に襲撃される2人

日本防衛隊が撃退した怪獣に寄生していたと思われる「余獣(よじゅう)」に襲われるカフカとレノの2人。

この作品では怪獣災害の中心となる怪獣を「本獣(ほんじゅう)」、それに付随して発生する怪獣を「余獣(よじゅう)」と呼び、地震災害における「本震」と「余震」の関係を彷彿とさせます。

「余獣」は「本獣」と比べるとかなり小さいですが、とても生身の人間に太刀打ちできそうな相手ではありません。

レノをかばって、1人で「余獣」を引き付けるカフカ

 

「何でこうなった?」

この作品の中で、何度も繰り返されるカフカの言葉「何でこうなった?」。

それは繰り返し挿入される小学生時代の回想シーンにおける、亜白ミナと誓い合った「どっちがかっけえ隊員になるか勝負だ!」というセリフと対になっています。

「かっけえ日本防衛隊員になる」という夢を叶えたミナと、夢を諦めたカフカ

 

なんで同じ場所で夢を誓い合ったミナが「あっち側」にいて、俺は「こっち側」にいるんだろう?

そんな主人公カフカの苦悩が、この作品全体に通じるテーマとなっていきそうです。

 

怪獣になった男

病院でとなりのベッドで寝ている市川レノ

すげえかっこよかったっす

と言われ、改めて日本防衛隊を目指すことを決意しようとするカフカ

 

そんな中で虫のような姿の「謎の幼獣」に寄生され、ダークヒーローのような姿の「怪獣」になってしまうカフカ

この先の展開が楽しみです!

 

まとめ

さて、災害大国日本において、怪獣発生を地震などの災害のメタファーとしてあつかっている、『シン・ゴジラ』系統のこの作品。

シリアスとギャグのバランスがよく、先の展開が楽しみになる第1話でした!

この先、「日本防衛隊」入りを目指すであろうカフカとレノの先輩後輩コンビ

そしてカフカと幼なじみのの亜白ミナとの関係がどうなるのかも、とても気になります!

 

アマゾンプライムビデオでの視聴はこちら↓

第1話 怪獣になった男

 

Amazon Prime Videoの無料体験はこちらから

 

『怪獣8号』の視聴は初月無料のDMMTVで!

アニメ・エンタメ見放題!初月無料!【DMMプレミアム(DMM TV)】

 

 

 

(関連記事)

・道産子がアニメ『道産子ギャルはなまらめんこい』第1話を観てみた感想

・『映画 ゆるキャン△』をアマプラで見た感想(ネタバレあり)

・アニメ『ダンジョン飯』第1話をアマプラで観た感想

・【傑作】Netflixアニメ『ブルーアイサムライ』を観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・映画『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』をアマプラで観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・アニメ『シャングリラ・フロンティア』第1話をアマプラで観た感想・レビュー

・【感動のラストシーン】アニメ『ボスコアドベンチャー』の感想・レビュー

・【宮崎駿が激怒退席?!】映画『ゲド戦記』の感想・レビュー

アニメ『忘却バッテリー』第1話をアマプラで観た感想・レビュー

圭じゃなきゃ、俺の球は捕れない

中学時代、「怪物バッテリー」と呼ばれた天才投手清峰葉流火と”知将”捕手要圭

しかしその道は、要圭の突然の記憶喪失によって閉ざされてしまった。

野球を諦め、野球無名校の都立高校に進学した2人の復活と、絆を描いたこの『忘却バッテリー』。

完璧な演出が光る第1話を観て、感想とレビューを書いていきたいと思います!

ネタバレありのレビューです

第1話 思い出させてやるよ

『忘却バッテリー』

2024年 日本アニメ

監督   :中園真登

 

目次

 

あらすじ

中学野球において、「怪物バッテリー」と称されていた完全無欠の投手清峰葉流火と”知将”と呼ばれた捕手要圭

全国の野球強豪校からスカウトを受けていた彼らが入学したのは、野球無名校の東京都立小手指高校だった。

そして圭は記憶喪失になり、野球に関する知識も、興味も、失ってしまっていた。

 

登場人物

清峰葉流火(きよみねはるか)

CV:増田俊樹

ポジション:投手

身長185cmの恵まれた体格から繰り出される剛速球が武器の投手。

長身イケメンだが、性格は無口でコミュニケーション能力に乏しい。

中学までは要圭と共に「怪物バッテリー」と称されていた。

 

要圭(かなめけい)

CV:宮野真守

ポジション:捕手

身長:172cm

中学までは冷戦沈着なリードでチームを勝利に導く”知将”と称された野球選手だったが、高校生になってからは記憶喪失のため、野球の腕は素人同然になってしまった。

 

山田太郎(やまだたろう)

CV:梶裕貴

ポジション:捕手

身長:164cm

本作の語り手。

小柄で野球センスも高くないが、穏やかな性格で、仲間からの人望が厚い。

 

『忘却バッテリー』の視聴は初月無料のDMMTVで!

アニメ・エンタメ見放題!初月無料!【DMMプレミアム(DMM TV)】

感想

女性原作者らしいイケメン設定

まず良くも悪くも気になったのが、主人公、清峰葉流火の長身イケメン設定。

イケメンと言っても「男前」という感じではなく、他の野球漫画、アニメにはあまり登場しないいかにも女性受けしそうなイケメン設定は、女性原作者ならではと言えるのかもしれません。

 

もう一人の主人公要圭おちゃらけて寒いギャグを連発するキャラ設定ながら、身長は平均よりやや上、金髪と、ビジュアル的にはかなり女性受けする印象です。

 

シリアスとギャグの絶秒バランス

記憶喪失になり、”知将”としての人格が消え、寒いギャグを連発するような(痛い)キャラになってしまった要圭

今後も寒いギャグを連発する要圭に対し、ツッコミを入れまくる山田太郎、という、シリアスな野球シーンの合間にふんだんにギャグシーンを入れた展開が続きそうです。

 

「怪物バッテリー」復活までの演出が最高

第1話のクライマックスは野球部の2年生と葉流火との対戦シーン。

最初葉流火の球を受けるキャッチャーは山田太郎

「俺の本気の球を受けられるのは圭だけ」と言わんばかりに、100km/h程度に加減した球を投げる演出がにくい。

 

そしてそれを見ていた要圭の顔が段々マジになっていき、山田とキャッチャーを交代し、要圭を前にして本気モードになった葉流火から放たれる剛速球!!

 

最高の演出です。

 

「思い出させてやるよ」

俺の球で、思い出させてやるよ。野球の楽しさ

素敵なバディストーリーが始まりそうな、予感!

 

主題歌はMs. GREEN APPLEの『ライラック

オープニング主題歌はロックバンドMs. GREEN APPLEの『ライラック』です。

爽やかなアップテンポナンバーで、この作品にぴったりだと思います。

 

エンディングテーマはマカロニえんぴつの『忘レナ唄』。

エンディングでは、作中とは違う絵本のようなタッチで主人公2人の子供時代~少年時代が描かれ、好印象です。

 

まとめ:幼なじみの絆を描く良作になりそうな予感!

第1話ではメインキャラは3人のみの登場でしたが、これからなぜか野球とは縁のない都立高校に野球の天才たちが集まり、最強チームが結成される模様!

野球と記憶喪失を組み合わせたこれまでにない意欲作。

失われた天才バッテリーの復活はあるのか?!

幼なじみの絆を描く良作アニメになりそうな予感に、これからも、目がはなせません!

 

アマゾンプライムビデオでの視聴はこちら↓

第1話 思い出させてやるよ

 

Amazon Prime Videoの無料体験はこちらから

 

『忘却バッテリー』の視聴は初月無料のDMMTVで!

アニメ・エンタメ見放題!初月無料!【DMMプレミアム(DMM TV)】

 

(関連記事)

・道産子がアニメ『道産子ギャルはなまらめんこい』第1話を観てみた感想

・『映画 ゆるキャン△』をアマプラで見た感想(ネタバレあり)

・アニメ『ダンジョン飯』第1話をアマプラで観た感想

・【傑作】Netflixアニメ『ブルーアイサムライ』を観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・映画『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』をアマプラで観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・【感動のラストシーン】アニメ『ボスコアドベンチャー』の感想・レビュー

・【宮崎駿が激怒退席?!】映画『ゲド戦記』の感想・レビュー

 

【大ヒットSF小説のドラマ化】Netflixドラマ『三体』の感想・レビュー

They are coming.(彼らは来る)

あの大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のスタッフたちが再結集して作り上げられた、世界中で超話題のこのSFドラマ『三体』。

静かに始まり、そして次第に圧倒的なスケールへと広がっていくこの物語は絶対に見逃せない!

ゲーム・オブ・スローンズ』との関連、比較も含めて、感想、レビューを書いていきたいと思います!

(ネタバレなしのレビューです)

三体 (ハヤカワ文庫SF)

『三体』

2024年 Netflixオリジナルドラマ 全8話 各話約55分

推奨年齢 16歳以上

制作   :デビッド・ベニオフ D・B・ワイス アレクサンダー・ウー

原作   :リウ・ツーシン

音楽   :ラミン・ジャヴァディ

 

目次

 

あらすじ

1960年代の中国。

文化大革命によって父を殺され、絶望した天体物理学者イェ・ウェンジェが下した決断が、何十年もの時を経て、現代に重大な影響を及ぼす。

科学者たちの謎の連続死。

そして科学者たちに送られてきた謎のデバイス、それを起動すると始まる、謎のVRゲーム『三体』の意味とは?

 

登場人物

オギー・サラザールエイザ・ゴンザレス

オックスフォードの5人の1人の女性。

ナノテクノロジーの専門家であり、ナノテクノロジー研究所のCSO(最高戦略責任者)。

ソールとは、恋人のような、そうでないような、微妙な関係である。

ある日、視界に謎のカウントダウンが見え始める。

 

ダーシー/ベネディクト・ウォン

イングランドの諜報捜査官の男性。

科学者の謎の連続死事件を捜査する。

 

ジャック・ルーニー/ジョン・ブラッドリー

オックスフォードの5人の1人の男性。

謎のVRゲーム『三体』にのめり込んでいく。

 

ジン・チェン/ジェス・ホン

オックスフォードの5人の1人の女性。

天才的理論物理学者。

インド系の軍人の恋人がいる。

謎のVRゲーム『三体』にのめり込んでいく。

 

ウィル・ダウニング/アレックス・シャープ

オックスフォードの5人の1人の男性。

教師として物理学を教えている。

末期の膵臓ガンで余命数ヵ月の宣告を受けている。

ジンに思いを寄せているが、ずっと言い出せずにいる。

 

ソール・デュランド/ジョヴァン・アデポ

オックスフォードの5人の1人の男性。

物理学研究所で助手を務める。

オギーとの微妙な関係を続けながら、不特定多数の女性と夜を共にしている。

 

イェ・ウェンジェ/ロザリンド・チャオ、ジーン・チェン(青年期)

全ての発端となった天体物理学者の中国人女性。

 

トマス・ウェイド/リーアム・カニンガム

諜報機関のリーダーの男性。

惑星防衛の責任者でもあり、目的のためには手段を選ばない非情な性格。

 

ゲーム・オブ・スローンズ』との関連

このドラマ『三体』は大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』との関わりが深く、まず製作総指揮は『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けたデヴィッド・ベニオフD・B・ワイスのコンビ。

音楽は『ゲーム・オブ・スローンズ』のラミン・ジャヴァディ

 

ゲーム・オブ・スローンズ』から再出演のキャストは5人。

まずはジョン・スノウの親友、サム役を演じたジョン・ブラッドリー

メインキャストの1人で、とても重要な役柄です。

 

もう一人のメインキャストは玉葱の騎士ダヴォスを演じたリーアム・カニンガム

彼が『三体』で演じるトマス・ウェイドというキャラクターは諜報機関のリーダーで、かつ惑星防衛の責任者でもある重要な役柄で、出番もとても多いです。

 

他にはハイ・スパロー役を演じたジョナサン・プライス

「スパイダー」ことヴァリスを演じたコンリース・ヒル

「鉄の銀行」のティコ・ネストリスを演じたマーク・ゲイティスが出演しています。

 

原作小説について

このドラマの原作小説は中国人SF作家であるリウ・ツーシン作の『三体』。

SF小説界最高の賞である、ヒューゴー賞をアジア人作家として初めて受賞。

2019年時点で全世界累計発行部数は2900万部を記録しており、20ヵ国以上の言語で翻訳されている。

Meta社のCEOであるマーク・ザッカーバーグ、映画監督のジェームズ・キャメロン、そしてアメリカ合衆国元大統領のバラク・オバマが絶賛したことでも知られている。

 

感想

理論は難解だが、ストーリーは意外にわかりやすい

このドラマには極めて難解な物理学の理論などが登場しますが、このドラマ自体のストーリーは、意外なほどシンプルです。

 

このドラマのストーリーを極めてわかりやすく説明すると、

何十年か前に中国人の物理学者イェ・ウェンジェが地球の文明に絶望し、地球外知的生命体に対しメッセージを送る。

地球外知的生命体がそのメッセージを受け取り、自分たちの星を捨て、地球に移住するために400年かけて地球を目指して旅立つ。

地球外知的生命体からのメッセージが地球に届き、地球は大混乱に。

 

大体こんな感じです。

 

様々な人種が活躍する、新時代のSFドラマ

ひと昔前までのSF映像作品と言えば、登場人物はほぼ全員が白人、という感じでしたが、この『三体』は原作がアジア人作家によるものということもあり、アジア系俳優を中心に、白人、ヒスパニック、黒人と、あらゆる人種が活躍する、新時代のSFドラマという印象です。

(ちなみに原作小説では、登場人物は全員中国人です)

 

俳優たちの演技も素晴らしい

このドラマ『三体』、ハリウッド映画などでよく見かけるような人気俳優こそあまり出演していませんが、俳優たちの演技もとても良かったです。

特に、若き日のイェ・ウェンジェを演じたジーン・チェン、そして末期ガンの宣告を受けるウィルを演じたアレックス・シャープは素晴らしい演技でしたね。

 

痛々しい残虐描写はなし

ゲーム・オブ・スローンズ』では容赦のない残虐描写が多数あり、それが一つのウリでもありましたが、この『三体』では多少の暴力シーンはあれど、『ゲーム・オブ・スローンズ』のような痛々しいシーンはほぼありません。

 

末期ガンのキャラ、ウィルをめぐる人間ドラマにも注目

このドラマ『三体』のメインストーリーは、地球外知的生命体と人類との攻防にありますが、その一方で末期の膵臓ガンで余命数ヵ月と宣告された人物、ウィル・ダウニングをめぐる人間ドラマも、とても見ごたえがあります。

他の人間たちが「三体」との闘いに注力する中、確定している自らの「死」と向き合い、次第に何かを悟ったかのような顔になっていくウィル

終盤、彼が下す決断とは?!

 

静かに始まり、次第に圧倒的スケールへと広がっていく

エピソード1で描かれるのは、物語の発端となった人物、イェ・ウェンジェの娘の謎の自殺と、主人公の一人、オギーの視界に突如現れた謎のカウントダウン。

この時点ではまだ静かな始まりで、それほど壮大なスケールを感じることはできませんが、エピソードを重ねるごとにスケールを増していき、エピソード5で1度頂点に達するイメージです。

エピソード5の演出は本当に圧倒的なので、是非ここまで観ていただきたい!

 

明らかに次回作を意識した終わり方

一本のドラマとしての完成度のみを考えて制作されたなら、エピソード5のラストで終わらせた方が明らかによかったはず。

それをあのような比較的静かな終わらせ方を選択したのは、明らかに次回作(シーズン2)への連続性を意識してのことだと思われます。

私は原作小説は未読ですが、原作の「三体」は三部作で、このNetflixドラマ版は二作目の途中までの内容とのこと。

 

シーズン2は未定

Netflixドラマ版『三体』シーズン2の制作は、まだ決定されていません。

『三体』の制作陣は本作を4シーズンでの完結を考えているとのこと。

絶対に実現してほしいですね!

 

まとめ:これを観るためにネトフリに加入しましょう

私は別にNetflixのまわし者でも何でもありませんが、このドラマ『三体』を観るためだけにでも、ネトフリに加入する価値のある作品だと確信しています。

異星人襲来の前段階で繰り広げられる異星人との攻防、という少し異色なこのSFドラマ。

まだシーズン2の制作すら未定ですが、予定通りいけばシーズン4で完結とのことなので、シーズンを重ねるごとにキャラクターへの愛着や親近感が湧いていったあの『ゲーム・オブ・スローンズ』のような名作ドラマになっていってほしいと、心から願っています。

 

視聴はNetflixで!!

 

 

 

 

 

 

(関連記事)

・【トム・クルーズ】映画『オブリビオン』をアマプラで観た感想・レビュー

・スターウォーズライクなSF?Netflix映画『REBEL MOON:パート1 炎の子』を観た感想

・【破天荒少女の大冒険!】Netflixドラマ『ウェンズデー』の感想・レビュー

 

【高畑勲、宮崎駿の原点】アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』の感想・レビュー

ホルスは強い、強いんだ!

日本が世界に誇るアニメ界の天才2人、高畑勲宮崎駿の原点と言われるこのアニメ映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』。

完璧主義者、高畑勲が一切の妥協をせずに作り上げたこのアニメ映画は、興行的には大コケでしたが、当時高畑勲32歳、宮崎駿27歳、この若さにしてこの圧倒的なクオリティには今なお驚かされます。

現在(2024年3月時点)DMMTV(DMMプレミアム)にて視聴できますので、初視聴して、感想を書いていきたいと思います!

(若干のネタバレがあります)

太陽の王子 ホルスの大冒険

『太陽の王子 ホルスの大冒険』

1968年 日本映画 上映時間 82分

監督   :高畑勲

脚本   :深沢一男

音楽   :間宮芳生

 

PR『太陽の王子 ホルスの大冒険』の視聴は初月無料のDMMTVで!

アニメ・エンタメ見放題!初月無料!【DMMプレミアム(DMM TV)】

目次

 

概要

アイヌ民族の伝承を基にした戯曲『チキサニの太陽』を、原作者でもある深沢一夫自身が翻案し、舞台を「さむい北国のとおいむかし」として製作された作品である。

 

あらすじ

ある日岩男モーグに出会ったホルスは、モーグの肩に刺さっていた太陽の剣(たいようのつるぎ)を抜く。

モーグはその剣を鍛えなおした暁には、それを持つ者は太陽の王子と呼ばれるだろうと告げた。

その後父の死を看取ったホルスは、父の遺言通り、他の人間と共に生きるため、他の人間の住む陸地を目指して旅立つ。

 

登場人物

ホルス

声:大方斐紗子 キャラクターデザイン:大塚康生

本作の主人公。

手斧を巧みに操る、勇敢で真っすぐな性格の少年。

 

ヒル

声:市原悦子 キャラクターデザイン:森康二

本作のヒロイン。

グルンワルドの妹の孤独な少女。

美しい歌声で人々を魅了する能力がある。

 

グルンワルド

声:平幹二朗 キャラクターデザイン:宮崎駿、奥山玲子、林静一

氷の城に住む悪魔。

 

PR『太陽の王子 ホルスの大冒険』の視聴は初月無料のDMMTVで!

アニメ・エンタメ見放題!初月無料!【DMMプレミアム(DMM TV)】

感想

冒頭の戦闘シーンからこだわりが満載

さすが日本アニメ界が誇る2人の天才、高畑勲宮崎駿のコンビ作だけに、冒頭のホルスと狼の群れとの戦闘シーンから、こだわりが満載です。

まず昔のアニメ、特にスケジュール的に厳しいテレビアニメはそうですが、止め絵で口だけがパクパク動いている、といった紙芝居アニメが多いですが、このアニメ映画はとにかく動く、動く!

止め絵などまったく使わないところに、2人のこだわりを感じます。

そしてホルスの走り方は『風の谷のナウシカ』の作画に通じるところがあります。

その後すぐに登場する、岩男モーグのぬるぬる動く作画も、本当にすごい!

 

展開が非常に早い

まどろっこしい前置きなど一切なく、いきなりホルスと狼の群れとの激しい戦闘シーンからスタート。

そして今見てもすごいアニメーションの岩男モーグとの出会いからの、太陽の剣の獲得、開始約5分でオープニングクレジット。

開始約10分でホルスの旅立ちと、現在のアニメ映画と比較すると非常に展開が早いです。

上映時間82分と、時間の短さもありますが、非常に心地よいテンポの序盤となっています。

 

音楽と声優の演技には正直古さを感じる

作画のクオリティは圧倒的ですが、それと比較して、音楽と声優の演技は正直当時のテレビアニメと大差ありません。

作画のクオリティだけが飛びぬけて圧倒的に高いところから、高畑勲宮崎駿の能力が時代の先を行っていたことがはっきりとわかります。

 

キャラクターデザインが一定ではない

このアニメ映画、様々なアニメーターがキャラクターデザインに関わっているので、現在のジブリアニメなどと比較すると、様々な絵柄のキャラが混在している印象です。

初代ルパンっぽいキャラもいれば、典型的な宮崎アニメっぽいキャラも出てきて、色々ごちゃまぜな感じです。

 

もう一人の主人公、ヒル

中盤以降、主人公ホルスを差し置いて、悪魔の兄グルンワルドと人間たちの間に挟まれて苦悩するヒロイン、ヒルの出番が多くなります。

中盤からクライマックスまでは、ヒルが主役、と言っても過言ではないほどの扱いになります。

 

最初一人で戦っていたホルスが、団結し、皆で悪と立ち向かう

悪魔に立ち向かうための最強の武器「太陽の剣」。

岩男モーグの肩から抜いたその剣は、ホルス一人の力で鍛え上げることはできず、皆の力で鍛え上げ、クライマックスにおいてついにその真の姿を現します。

そしてある意味で最強のキャラ、岩男モーグホルスに加勢に入ります。

ラスボスである悪魔グルンワルドも、ホルス一人ではなく皆の力で撃退。

氷マンモスも、狼たちも、ヒルダも、全ての手下を失ったグルンワルドの意外な弱さが印象的です。

 

まとめ(半世紀以上前の作品ながら、今なお光り輝く名作)

2人の天才、高畑勲宮崎駿の原点であるこのアニメ映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』について解説している方々はたくさんおりますが、シンプルに、この作品が面白いか否かで評価すると、『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』のような圧倒的な面白さはありません。

 

しかし、『風の谷のナウシカ』に登場する巨神兵の原型のような岩男モーグ、宮崎アニメのヒロインとは一味も二味も違う、この物語の真の主人公とも言える孤高のヒロイン、ヒルなど、見どころはたくさんあります。

 

粗削りながら、2人の天才が若き情熱の全てを注ぎ込んだ、公開から半世紀以上たった今なお光り輝く名作と言える作品でしょう。

 

PR『太陽の王子 ホルスの大冒険』の視聴は初月無料のDMMTVで!

アニメ・エンタメ見放題!初月無料!【DMMプレミアム(DMM TV)】

 

(関連記事)

・宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』を観た感想

・【宮崎駿が激怒退席?!】映画『ゲド戦記』の感想・レビュー

・道産子がアニメ『道産子ギャルはなまらめんこい』第1話を観てみた感想

・『映画 ゆるキャン△』をアマプラで見た感想(ネタバレあり)

・アニメ『ダンジョン飯』第1話をアマプラで観た感想

・【傑作】Netflixアニメ『ブルーアイサムライ』を観た感想・レビュー(ネタバレなし)

・映画『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』をアマプラで観た感想・レビュー(ネタバレなし)