女風は、用法・用量を守って正しく利用いたしましょう。

既婚ユーザー・ネギブロコの女性用風俗利用日記+日常譚

こども(について深く考えるため)の日

4月30日より、ドラマ「燕は戻ってこない」(NHK/毎週火曜 22:00~22:45、全10回)が始まりました。

原作は、桐野夏生さんの同名小説「燕は戻ってこない」(集英社)。生殖医療を軸に、貧困や格差等、現代社会をリアルに描いた重厚な作品です。


     ↓↓↓以下、ネタバレあり↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公・大石理紀(石橋静河さん)は地方出身の29歳で、都内の病院に勤めています。非正規雇用の事務職だからか、フルタイムで働いても手取りは14万円台。家賃と光熱費でかなりの額を持っていかれるため、日々食費を削り、身なりにお金もかけられず…という生活を送っています。ある日、同僚から「割のいいバイトあるよ。エッグドナー(卵子提供)、一緒に登録してみない?」と誘われたことをきっかけに、彼女の人生は思いもよらない方向へ舵を切って…というストーリーです。

私は原作既読なので、結論を申し上げますと、理紀が行ったのは卵子提供ではありません。高額な報酬(合計1,000万円)と引き換えに、サロゲートマザー=代理母となって、“赤の他人の子供”を産むことにしたのです。もちろん簡単に決めたわけではなく、様々な葛藤や迷いを経た上で代理母となったのですが、私は全然共感できませんでした。


私は出産願望も「子供を育てたい」という願望も昔から無かったけれど、出産が命懸けだということは分かります。その“命懸けの行為”を金銭でやり取りするビジネスが存在することに疑問を抱いているし(*現状、日本での代理母出産は認められていません)、まずもって、そうまでして「自分もしくはパートナーの血を分けた子供が欲しい」と切望する気持ちが分からない。“血がつながっている”って、そんなに重要かなぁ…。


代理母を求めているのは、40代半ばの夫婦、草桶基・草桶悠子(稲垣吾郎さん、内田有紀さん)。元トップバレエダンサーで、何とかして自分の遺伝子を遺したい夫と、長い間、肉体的にも精神的にも相当辛い不妊治療に耐えてきた妻──。

仮にこの夫婦が自然妊娠したとしても、親の優秀な遺伝子が子に引き継がれるとは限りません。そもそも大前提として、子供の人生は子供自身のものであって、親のものでは決してない。基の親も著名なダンサーだったから、「まだ見ぬ自分の子供は、きっとバレエの天才に違いない」みたいな妄想&幻想を抱いてしまっているのかもしれません。百歩譲って才能があったとしても、バレエとは別の道を選ぶ可能性も権利も当然あるわけです。にもかかわらず基は、子供よりも妻よりも、とにかく自分、自分、自分。利己的で身勝手で、他者への配慮や気遣いというものが感じられない。基はバレエダンサーとしては優秀なのでしょうが、人としてはちっとも尊敬できないですね。そのイヤ〜な感じを、稲垣さんが見事に表現しておられます。ドラマ視聴中は、彼が本当に嫌な人間に見えてしまうほど(笑)。

 

さて。私の目には、「代理母を依頼するほうも引き受けるほうも、どっちもどうかしてるよ…」としか映らないけれど、原作者・桐野さんは、これまでも“一線を超える人”の物語を数多く紡いでこられた作家さんです。現実世界でも、自分が一線を超えてしまったことに気付く人・気付かない人・気付かないふりをする人、いろいろな人が存在することでしょう。自分自身もいつそうなるか分からない、とは考えにくいものの、“既に一線を超えてしまっている人”が知人の中にいたり、どこかですれ違ったりする確率は低くないだろうなぁとは思います。


ドラマは、「現在、第三者の女性の子宮を用いる生殖医療『代理出産』について、国内の法は整備されていない。倫理的観点から、日本産婦人科学会では本医療を認めていない」という文言からスタートします。付け加えますと、代理母云々の前に、精子提供或いは卵子提供に関して、我が国では法律上の規制自体がありません。ただ、ガイドラインは存在します。その一部を抜粋してご紹介します。


◆第三者の提供精子を用いる人工授精の対象は、法的に婚姻している夫婦に限る

◆同一提供者からの出生児は10人以内とする

◆提供者は原則匿名

◆無秩序な提供を防ぐため、指定の病院やクリニックに限る

◇提供卵子による妊娠、出産や、第三者の子宮に受精卵を移植する代理懐胎は認めない

…等々。


しかしながら現在、指定された十数ヵ所の施設はあまりうまく機能していない模様です。近年、生まれてくる子供の“出自を知る権利”を守ろうという動き(=ドナーの情報開示を求める動き)が活発化したことも影響しているのか、十分な数の精子を確保できない施設が多いそう。このことが後押しとなって、アンダーグラウンド…つまりSNS等での“闇の精子取引”が増えてしまったのかもしれません(*指定の施設以外でも、提供精子による人工授精を行っている病院・クリニックは結構存在します。なお、国内初の精子バンク「みらい生命研究所」は昨年3月で活動を中止。それとは別に、今月15日、非匿名ドナー限定の精子バンク「プライベートケアクリニック東京 東京院」が開業予定です)。


動機が「誰かの役に立ちたい」であれ、「単なる小遣い稼ぎ」であれ、医療機関以外で安易に精子を提供するのは大変危険な行為です。感染症等のチェックもないまま、見ず知らずの人に精子を渡し、その精子から生命が誕生してしまうかもしれない──。これは非常に無責任で恐ろしいことです。ネット上では、多くの人に精子を提供し、「50人以上子供がいる」と話す人もいるんだとか。彼は近親婚の可能性を全く考えないのでしょうか…? 理解に苦しみます。

 


一方、2022年12月、「ドナーリンク・ジャパン」という一般社団法人が設立されました。提供精子や提供卵子で生まれた人と、過去に精子卵子を提供した人、加えて、同じ提供者から生まれた人同士を結びつけることを目的とした団体です。構成メンバーは、研究者、医師、社会福祉士、そしてAID(第三者の提供精子を用いた人工授精)で生まれた当事者等さまざま。

“当事者”は40代の女性です。彼女が23歳の時、父親が遺伝性の病気を発症。そのことをきっかけに、自分がAIDによって生まれた子供であると母親から告げられたそう。

「母から、『慶応大学病院でやってもらったけど、ドナーは匿名だから誰の精子を使ったかは分からない』と言われました。母のことは好きですが、隠されていたことにショックを受けました。どうしてそんなに大事なことを黙っていたのか…。私は一体何者なのか。私は自分が、母と、精子という“モノ”から生まれたように感じてしまいました。モノではなくて、ちゃんとそこに実在している人が関わって自分が生まれて、今ここにいるんだということを確認したい。だから提供者を知りたいんです」(昨年6月放送のNHKクローズアップ現代」を要約)

真実を隠す人も多いため、正確な数は把握できていないようですが、AIDで生まれた子供は1万人とも2万人とも言われています。ということは、彼女のような悩みだったり、または“裏切られた感”だったり喪失感だったりを抱えている人が大勢いらっしゃるだろうと予想できます。


「子供が欲しいと願う権利」は、誰にでもあると思います。でも、生殖医療で生まれてきた子供たちは、「自分は何者なのか」「遺伝子上の親を知ることは一生出来ないのか」と悩み、長く苦しむことになるかもしれません(もちろん、遺伝子上の親を気にしない子供たちもいると思いますが)。その点を考慮した上で、それでも、どうしても血を分けた子供が欲しいものなんでしょうか。己の欲望が、そんなに大切なのでしょうか。

 


私の妹は、長い不妊治療の末に娘を授かりました。今は忙しいながらも毎日幸せそうだけれど、治療期間中はこちらも本当に辛く、見ていられないほどだった。狂ったように歓喜したかと思ったら、次の瞬間には悲しみのどん底に突き落とされる。精神面・肉体面・経済面、その全てがものすごい勢いで削られていく。彼女のやつれた姿や嗚咽する姿を見る度に、「もうやめなよ。もっと自分自身を大事にしてあげなよ」と喉まで出かかったけれど、「私が口を出すことじゃないよなぁ…」と必死に引っ込めていました。

これは仮の話です。

もしも当時、彼女に「どうしても子供が欲しいから、お姉ちゃんの卵子を提供してほしい。全然知らない人より、私と近い遺伝子を持つお姉ちゃんの卵子がいい」と懇願されたとしたら、私は全力で断ったことでしょう。いくら可愛い妹の頼みでも、法に触れていなくても、私の倫理観には思いきり反します。それに、仮にうまくいったとして、「将来子供にどう説明するんだ?」「姪っ子もしくは甥っ子が、事実を知った時の気持ちを考えると…正気じゃいられない気がする」と思うからです。「だったら誰か別の人に頼む」と脅されたとしても、絶対に応じません。倫理観については、私もどうしても譲れない。


不妊治療では授かれなかったご夫婦をはじめ、無精子症の方、ゲイカップル、レズビアンカップルにとっては、生殖医療というのは“希望の光”なのかもしれません。ですが、光あるところに影ありです。その“影”を背負うのは他でもない、生まれてくる子供かもしれないのです。


「踏み入れてはいけない領域」「超えてはいけない一線」って、確実にあると思います。私はその領域を侵したくないし、一線を超えたくない。法整備が遅れたせいで、或いはモラルを欠いたせいで、気付いた時には近親婚だらけで最早取り返しがつかない…。そんな未来を迎えないために、一刻も早い法整備を望みます。何十年も先送りにしてきた問題のツケを払わされるのは、これからの子供たちなのです。


国内初のAID児誕生から、早や70年以上。それから今日に至るまで、生殖医療による子供たちはひっそりと誕生し続けてきました。

「遺伝子上の親が誰なのか分からなくて不安」

「自分のルーツの半分は、一体どこにあるのだろうか?」

「好きになった相手が、自分と同じく提供精子や提供卵子で生まれた人だったらどうしよう。万一提供者が同じだったら…? でも、提供者の情報を知る術は何もない」

もし私が当事者だったら、上記のような思いを抱えながら生きるだろうと思います。私の場合、「遺伝子上の親は、今目の前にいるこの毒親じゃないんだ。それはラッキー!」という感情も上乗せされるでしょうが、問題は3番目ですよね。

誰かと出会って恋をしても、相手は“自分ときょうだいである可能性がゼロではない”わけです。これはかなりしんどいと思う。「この人めっちゃ気合うし、一緒にいて心地いいけど、それって『私たちがきょうだいだから』ってこと、ない?」と疑わなくてはいけないのですから。そして自分の事情を話し、相手の事情を尋ねる必要もあります。ここでクリアできたとしても、相手の親が、「あなたはAIDで生まれた子だ」と打ち明けていない可能性だってある。さらに、打ち明けていたとしても、遺伝子上の親が誰なのかはお互い分からない…。「毎回、相手とDNAデータを交換し合えばいいんじゃない?」とでも言うのだろうか。

それでも、是が非でも、何が何でも、血を分けた子供を誕生させたいですか? 生まれてきた子供たちは、幸せへの道が遠くはないでしょうか。

私はただただ、子供たちの“心”が心配です。

 

ドラマ「燕は戻ってこない」のキービジュアルです。ここには名前の記載がないけれど、推し声優の一人・朴璐美さんが出演されていて歓喜! あらためて聴いても、やっぱりめちゃくちゃいい声だなぁ♪

 

こちらは原作「燕は戻ってこない」(桐野夏生著/集英社)の表紙です。ダークな色合いと、作品タイトルの位置・書体・詰まった字間が目を引く装丁ですね

 

相棒の、相棒。

一生涯の相棒──それはもちろん我が夫…と言いたいところですけれども、将来何が起こるか全く分かりませんゆえ、明言は避けておくと致しまして(笑)。恐らく、この先何十年も変わることがないであろう私の相棒、その名はリテーナーです。

 

以前詳しく綴った通り、私は大人(アラサー)になってから5年強の歳月、そして158万円というお金をかけて歯列矯正をしました。かなりの根気と忍耐力が必要でしたが、「あの時頑張った自分と、先生・歯科衛生士さんたちに感謝!」と毎日思います。大好きなKiriのクリームチーズをかじる度、綺麗についた歯形を眺めてはいまだにニヤニヤしてしまう(笑)。“絵に描いたような美しい歯形”というのは、歯並びが悪かった約30年間、「どんなに憧れようとも決して手に入れることが出来ないもの」の一つでしたからねぇ。

私はもともと前向きな性格だったものの、人前でも口元を手で覆い隠すことなく、自信を持って笑えるようになって以降、より一層ポジティブになったような気が致します。プラス、ガタガタだった歯が真っ直ぐ並んだことで、デンタルケアが格段に楽になったのもめちゃくちゃありがたい。可能な限り、現在の「非常に良い状態」(担当医談)を保ちたいので、毎食後の歯磨きをはじめ、フロス、歯間ブラシ、洗口液等を使って、今後も地道にケアを続けていくつもりです。いつもありがとう、数々の愛用アイテムたち♡

 

さて、本日の本題です。

基本的には、歯列矯正が終わっても、“歯の後戻り”を防ぐためのリテーナー=保定装置との付き合いは一生続きます(*個人差あり。一般的に、最低でも矯正に掛かった期間と同じだけ…私のケースだと最低5年はリテーナーを装着し続ける必要があると言われています)。私の場合、矯正終了からおよそ8年が経過しているけれど、現在も就寝時にはリテーナーを装着。毎晩ではありませんが、週に2~3回以上、リテーナーとともに眠りにつきます。これが、旅行やら出張やらでやむなく一週間空いてしまったりすると、再びリテーナーをつけたその夜、「私ってば、もしや矯正終わりたての人なのかしらん…?」と思うくらい新鮮な痛みを感じるのでございます、ハイ(泣)。矯正後の歯は、放っておくと元に戻ろう、戻ろうとしてしまうし、加齢や摩耗による微細な変化も日々あるため、何年経っても少しも油断できません。多分、これから先の未来においても、リテーナー装着をサボった分だけ痛みが生じるのでありましょう。いやはや、人体って不思議&面白いですね。


現在お世話になっている相棒=リテーナーは2代目。1代目は私の不注意から壊れてしまったのですが、扱いにもすっかり慣れた2代目は、今日まで何の破損もなく元気に活躍してくれています。お手入れ方法としては、担当医より「市販の入れ歯洗浄剤が一番手軽かなと。どこでも入手できるし、洗浄力的にも問題ないと思いますよ」と聞きましたので、長らくポリデントを愛用しておりました。が!先日、自宅から少し離れたドラッグストアに立ち寄ってびっくり。なんと、矯正用リテーナー及びマウスピース専用の洗浄液が販売されているではありませんか。「え、何これ初めて見た‼︎ ひょっとして他にもあるのかな?」と思い検索したところ、いろんなメーカーさんから何種類か発売されている模様。取り急ぎ、そのドラッグストアに置いてあった商品を購入して使ってみたらば…大変良きです! 洗浄力十分、大容量、香り爽やか、ついでにパッケージもかわいい(笑)。


昔に比べ、マウスピース矯正、あとは歯ぎしり用マウスピース等が普及したことも影響しているのか、いつの間にやら多くの商品が発売されていたのかもしれませんね。いやぁ、誠にありがたい♪ せっかくなので、次回は別のメーカーの商品も試してみたいと思いま〜す!

 

矯正後のリテーナーには大きく分けて3種類あり、取り外しが出来るものと出来ないものが存在。私が使っているのは、取り外し可能なマウスピース型です。なお、一晩装着したリテーナーは、起床後すぐさま外して洗浄液の中へ。つけおき後はきちんと乾かし、清潔な状態でケースに収納します

 

調べたら、ポリデントにも「マウスピース洗浄剤」なる商品がちゃんとありました。気付かずに、わざわざ入れ歯用のほうを買っていたとは…若干悲しい笑

 

 

 

解毒+癒やし


女風をテーマにしたドラマ「買われた男」の放送が、17日深夜よりスタート。その第1話を視聴したので、感想等を綴ってまいります。


      ↓↓↓以下、ネタバレあり↓↓↓

    

 

 

 

 

 

 

 

今回の担当セラピストはヤマト(瀬戸利樹さん)、お客さんは田村のどか(佐藤玲〈さとう・りょう〉さん)。

のどかは既婚者で、夫婦仲は良いものの3年間セックスレス。夫は過去に浮気をしたことがあったり、「ねぇ、私たち…もう3年もしてないんだよ」と伝えても「そうだね」と返すだけだったり、何だかのらりくらりとした感じの人物。ある日、のどかは迷いながらも女性用風俗店「KIRAMEKI」のサイトを開き、生まれて初めて“女風セラピスト”の予約を入れる──。

こういう状況は現実でもよくあると思いますし、共感する女性は日本中にいるでしょうから、ドラマの世界にすんなり入れるというか、「初回に相応しい設定だなぁ」と感じました。

 

そして。施術前のカウンセリングやシャワータイム、“性感前”のアロママッサージの仕方等も、初回を見る限りは結構リアルでした。エンドロールでクレジットをチェックしたところ、「取材協力   東京秘密基地」とあり大いに納得。東京秘密基地は女風の最大手で、私も利用した経験がございます。想像するに、実際の“施術の流れ”的なものを、お店側から制作チームに詳しく伝えたのかもしれませんね。

ただ、一箇所気になった点はありました。ドラマの映像内では、マッサージ後、至極ナチュラルに挿入しているように見えてしまったのです(ヤマトの腰の動きと、のどかの「久しぶりだからゆっくり…」という台詞により)。

当ブログでも再三書いてきた通り、女風での本番行為は固く禁止されています。「現実世界の女風で本番が有るか無いか?」は一旦横に置いておくと致しまして(汗)、このドラマを観た人の中に、「女風は本番アリ」的な考えが拡がってしまわないことを祈ります。しつこいようですが、どこのお店でも本番は禁止です。もし違反行為がバレたら、罰金やら出禁やらが待っていますのでご注意を。

 


ドラマの結末…いえ、のどかの“選択”を申し上げますと、彼女が「KIRAMEKI」を利用したのは一度きり。ヤマトの施術は気持ち良かったものの、「私はやっぱり夫のことが好きなんだ」と再確認した様子でした。施術前は、浮気した夫と対等になりたいだけなのか、それとも性的に満たされたいだけなのか、自分でもよく分かっていなかった彼女。でも、ヤマト=“夫ではない、他の誰か”に優しく触れられ、ベッドで肌を合わせたことによって、“自分は一体何を望んでいるのか?”に気付くことが出来たんだと思います。

泣きながら夫との関係を語るのどか、彼女の話をじっくり聞くヤマト…。その光景が、女風を利用し始めた2019年当初の自分自身と重なって、思わずもらい泣きしてしまいました。

今も昔も、「夫と交わったことが一度もない」という事実は、セラピストさん(と当ブログの読者さん)以外には話せないし、たとえば誰かに相談するとかも考えられない。心底悩んだり、一人では抱えきれないほど切なかったりするのに、それを“打ち明ける場所”がどこにもないことの辛さや苦しさは、痛いほど、本当によく分かります。現在はすっかり割り切れているけれど、久しぶりに当時の気持ちを鮮明に思い出しました。自分で言うのもアレですが(笑)、よく頑張れたよなぁ、私。もちろん、これまでお世話になってきたセラピストさんたちの存在があってこその“平穏な今”ですけどね。

 

公式サイト内に「セラピストたちに心も体も癒されていく、デトックスヒーリングドラマ」とあったけれど、現状、その文言に偽りなしです(“正しい文章”としての突っ込みどころは2箇所ほどありますが・笑)。恐らく今後も、セラピスト及びお客さん一人ひとりにスポットを当てて、彼らの人物像やバックグラウンド等を丁寧に掘り下げていくのでありましょう。第1話を観てみて、このドラマは女風がテーマというより、女風というフィルターを通して“人間そのもの”を見せたい作品なのでは?と感じました。「人間」と「性」って、どうしたって切り離せないものですからねぇ。


そんなわけで、次回以降も「買われた男」を楽しみに視聴したいと思いまーす♪

 

 

 

 

「買われた男」

今週スタートのドラマで、個人的に注目している作品があります。そのタイトルが、ズバリ「買われた男」(17日深夜より放送開始。水曜25時30分〜/TOKYO MX、同24時〜/BSテレ東テレビ大阪、ほか)。

 

原作は、コミックシーモアで連載中の「買われた男 〜女性限定快感セラピスト〜」(漫画:三並央実、原作:芹沢由紀子/ソルマーレ編集部)。

物語の舞台となるのは、女性向けのマッサージ店「KIRAMEKI」。単なるマッサージ店ではなく“性感”マッサージ店なので、つまりは女性用風俗を扱っているわけでございます。地上波でこのテーマに挑むドラマは初ということもあり、何をどこまで、どういった切り口で描くのか…が非常に楽しみ。漫画もさわりだけ読みましたが、お客さんの心情や諸事情、そしてセラピスト側の悩みや仕事への取り組み方等もきちんと描写されていて、女風への興味本位とか冷やかしとか、そういうスタンスで制作された作品でないことがよく分かりました。


さて、このドラマでセラピストを演じるキャストは3名。会社員との兼業で、普通っぽさがウリの主人公・“ヤマト”役に瀬戸利樹さん。落ち着いた雰囲気で、大人の色香漂う“龍ー”役に久保田悠来さん。その若さと端正なルックスで、人気ナンバーワンに君臨する“シアン”役に池田匡志(まさし)さん。お客役は合計9名とのことなので、恐らく1話完結型なのだろうと予想致します。実にさまざまな立場の女性──セックスレスの主婦だったり風俗嬢だったり末亡人だったり、多種多様なお客たちが登場する模様。30分×全10話ということで、週の真ん中・水曜深夜にサクッと観るにはちょうどいいボリュームですね。ただ、今回ばかりは配信(TVer)で視聴しようかなと思っています。


基本的に、ドラマは録画予約しておき、後日時間のある時にゆっくり観るスタイルを採っている私。夫も同じスタイルなので、ハードディスクを確認すれば、お互い「どんな作品を観ているのか」「今、何に興味を持って生きているのか」が常に分かってしまう状態です。これ、誰かに本棚を隅々まで見られるのと同じで、結構恥ずかしい…(笑)。

 

以前にも綴った通り、夫は仮面ライダー及び戦隊ものが大・大・大好き。日曜の朝、録画もしつつライダー&戦隊ものをリアタイ視聴するのはもちろん、界隈出身の俳優さんたちの“その後”までしっかり追いかけています。「買われた男」の主要キャスト3名は、何と全員がそこに当てはまってしまうんですよねぇ。

瀬戸さんは「仮面ライダーエグゼイド」、久保田さんは「仮面ライダー鎧武」、池田さんは「王様戦隊キングオージャー」の出身です。夫は当然、彼らが出演する新ドラマのことは把握していると思われます。チェックしたところ、夫自身は「買われた男」を録画予約していないものの、私が録ってしまうと「せっかく録ってあるなら僕も観てみよう」的な行動に出る可能性が…。その内容を観て、「妻はなぜこのドラマを録画しているのだろうか。ひょっとして女性用風俗に強い関心があるのか…?」という疑問を持たれたらめちゃくちゃ面倒くさいので(笑)、配信にしておいたほうが安全だろうと思っています。皆さんの中にも、「興味はあるけどリアタイできる時間帯じゃないし、そもそも録画してる事実を家族や同居人に知られるのは都合が悪い」という方がいらしたら、こっそり配信で観ることをおすすめします。いやぁ、実に選択肢の多い、便利な時代となりましたね。ありがたや♪


ちなみに。もし私が「KIRAMEKI」の顧客だったら、指名するのは龍一とシアンです。龍一は大人の色気がたっぷりですんごくエロそうだし(←褒めてます・笑)、シアンは顔もいいけどそれ以上に声がいい。無類の声フェチ&声優好きである私が、「キングオージャー」のナレーションを一聴して「これ誰⁉︎ めっちゃいい声! 知らない声優さんだけど、この声大好きだから後で名前調べなくちゃ‼︎」と思ったほどです。最初は本職の声優さんだと信じて疑わなかったくらい、その声質とナレーションが素晴らしかった。「もしもあの声で優しく囁かれたら…♡」と想像するだけで、どうにかなってしまいそうなレベルです(笑)。まだキャリアの浅い池田さんですが、「声のいい俳優さんは息が長い」と勝手に思っておりますゆえ、今後の更なるご活躍、期待&お祈りしています。

 

写真左から龍一、ヤマト、シアン。ここまでイケメン揃いのお店はそうそうないけれど、現実世界にも“男前!且つ腕も人柄もいいセラピスト”は確実に存在致します。出会えるかどうか…は運次第ですけどね笑

 

 

こちらは原作漫画「買われた男 ~女性限定快感セラピスト~」の表紙(左)と、ドラマ化を記念して描かれたスペシャルイラスト(右)です

 

朋友

初めて海外を旅したのが2010年。以降、コロナ前までの10年間は、毎年欠かさず海外へ行っていました。タイ、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、韓国、香港、インドネシア等、その多くがアジア圏です。中でも10回以上訪れていて、「絶っ対また行きたい!」と思っている地が台湾。

私には外国人の友達が結構いるのですが、一番多いのは台湾の友人です。それゆえ、今月3日に発生した台湾地震のニュース映像を見て激しく動揺…。現地の友人たちに連絡を取り続け、数日間かけて全員の無事を確認することができました。ひとまず安心です、ありがとうございます。

 


周知の通り、台湾は我が国に大変友好的で、何かあったら迷わず救いの手を差し伸べてくれる、心優しき友人です。

遡ること約11年。

2013年の夏、私は出張で台北を訪れることになりました。3.11の折、台湾の皆さんから頂戴した励ましの言葉、そして莫大な義援金に対し、「やっと直接御礼を言える機会に恵まれた!」と喜び勇んで現地入り。ところが、こちらから「東日本大震災の時は本当にありがとうございました」と伝える前に、「もう被害は大丈夫ですか?」「必要な助けがあれば何でも協力します」と言ってくれる人が大勢いました。それも行く先々で、です。仕事関係の方はもちろん、タクシーの運転手さんやホテルスタッフの方々、飲食店やコンビニの店員さんまで、当方が「日本から来た」と判明するや親身になって心配してくれ、現状困っていることはないか?と尋ねてくれる。その気持ちが嬉しくて&感激して、出張期間中何度も泣いてしまいました。それくらい、見知らぬ方々を含め、たくさんたくさん声を掛けていただきました。


実を申しますと、初めての台湾旅行を控えていた時(2010年秋)は、若干不安がありました。購入したガイドブックに、注意事項として「全体的には親日だが、高齢者の中には、統治時代のことで日本を良く思っていない方もおられるため配慮が必要」とあったからです。恥ずかしながら、そのページを開くまでは「美味しい小籠包が食べたい」「いろんな夜市に行きたい」「台湾式マッサージを受けたい」等々、旅を楽しむことばかり考えていて、歴史的背景には気が回っていなかった。そこで、申し訳程度ですが両国間(*私は台湾を“一つの国”だと思っておりますゆえ、敢えて「両国間」と記しています)の関係性について勉強し直してから台湾へと向かったのでした。


さて。人生初の台湾は、驚きと感動の連続でした。まず、レベルは様々なれど“日本語を話せる人”の多さに驚愕。観光地や中心街であれば、たとえ英語は通じなくとも「日本語が全然…」ということはほとんどなかった。メニューや看板等の表記も、台湾語及び北京語→日本語→英語の順だったりします。あとは、こちらが口を開く前に、一目で日本人だと分かるようで、最初から日本語で接してくれたり、日本のアニメや漫画の話題を振ってくれたりする。後年、台湾人の友達・Lに「まだ喋ってないのに『この人は日本人』ってすぐ分かるの、すごいよね〜」と言ったら、「それは簡単。日本人は服がおしゃれ、静か、礼儀正しい。他のアジア人と全然違うから、言葉聞かなくても大体分かる」と返ってきました。へぇ、そうなんだ。


そして、こうも言われました。「(統治の件で)『日本好きじゃない』っていうお年寄りがいるのは事実と思う。お年寄りの気持ち尊重するの大切。でも、他にも気にしてほしいことある。『台湾人』を英語にする時、“Chinese”って言わないでほしい。私たちは“Taiwanese”。悪気なく“Chinese”って言う日本人いるけど、あれ悲しい。仲いい友達にそう言われるの、関係ない人(付き合いの浅い国の人)に言われるより、もっとたくさん悲しい」


底抜けに明るく、いつも笑顔のLが、この時だけは極めて真剣な表情でした。私は“Taiwanese”という単語を初めて聞いた…いえ、それまでも耳にしていたのかもしれないけれど、意識できていなかったためにスルーしてしまっていた可能性が高いです。以来、台湾の方、及び中国の方と接する時は注意を払っています。

名称関連で言うと、記憶に新しいのは、やはり東京五輪(2021年開催)の開会式中継です。各国の選手が入場する際、NHKアナウンサーが、台湾選手団を「Chinese Taipei」ではなく「Taiwan」と紹介したことが、現地で大きく報道されました(*ちなみに、IOCは「Chinese Taipei」の呼称で統一)。実際、何人かの友人より「オリンピックという国際舞台で、はっきり『台湾』と言ってくれてありがとう」「ニュース番組で知った、すごく嬉しかった」と連絡をもらいました。台湾の皆さんにとって、[台湾]という名がどれほど大切なものなのか、その“呼ばれ方”を如何に重要視しているのかをあらためて実感しました。

 


話を戻しますね。今回驚かされたのは、台湾の方々の深い愛情と心配りです。無事を確認した後、「必要なものはありますか? 今度は私たちが恩返しをする番です、何でも言ってください」と友人全員に伝えたところ、返ってきたのは以下のような言葉たち。

「もうもらった。こうして連絡くれた、ありがとう」

「何言ってますか。能登地震あって日本大変です。大変なの同じです、無理しないで」

「日本は友人です。友人を助けるのは当たり前です、恩返しは要りません。被害がなくなった後(台湾に)また来てください、ごはん食べましょう」

「連絡ありがとう、私も家族も大丈夫。何も要らないから祈ってください。被害が広がらないように祈ってください。私も日本に地震が起きないように祈ります」

「怖かったけど今は平気。心配ありがとう、家族も皆元気です。そちらは(余震等)大丈夫?」…etc.


何て素敵で、思いやりに溢れた方々なのでしょう。私が繰り返し台湾に行きたくなるのは、“そこに暮らす人々”が好きだから、彼らの“心”に強く惹かれているからなんだなぁと、この度のやり取りで再認識しました。単に美味しい小籠包があるだけじゃ、夜市が楽しいからだけじゃ、10回以上も足を運んだりしないと思います。

これからも、台湾の方々と私の友情、そして台湾と日本の友情は続いていくことでしょう。私は私に出来ることを、出来る範囲でやっていくつもりです。朋友(=友達)の言葉に従い、決して「無理」はせずに──。

 

祈禱台灣的大家能平安無事

(「台湾の皆さま方の無事を祈っております」の意です。台湾語は少ししか分からないので、文法や漢字等に間違いがあったらすみません)

 

パスポートを確認したところ、最後の台湾旅は2018年秋でした。ほぼ毎年行っていたのに、もう6年も渡台していないとは…。当然今は時期尚早だけれど、いずれ必ず訪れて友人たちと再会し、笑顔でハグできたらと思っています。多謝!(ありがとう)

《小噺 四十. “視覚”で興奮》

私が“オトナのおもちゃ”を初めて使用したのは、2020年秋のこと(もちろん女風にて)。その時は残念ながら快感を得られなかったのですが、翌21年、とあるセラピストさんのおもちゃ使いが大変素晴らしく、見事!昇天させてもらいました。以降、女風でのプレイに時々取り入れているし、自分でも何点か購入して、セルフでする際、お世話になったりならなかったりしています。


さてさて。経験上、多くのセラピストさんが用意してくれているのはバイブと電マ。ウーマナイザー、ローター、ディルド等は少数派かなと思います。

その日のセラピスト・Aさん(仮名)が持参していたのも、バイブ+電マという王道の組み合わせ。Aさんは“本番なしタイプ”のセラピストさんなので、指と舌に加えておもちゃも駆使して気持ちよくしてくれることが多いのだけれど、「今日は新しいバイブを持ってきた」そうで、「これでい〜っぱい攻めちゃうから覚悟しててね♪」とニヤリ。「どんなバイブかしらん♡」と楽しみにしつつシャワーを浴びます。


シャワー後は、パウダーマッサージ→オイルマッサージという流れ。そして20~30分経った頃、秘部付近を実にいやらしく(笑)フェザータッチしてくれていたかと思ったら、ふいに手を止めて一言。

「今から◯◯(←私の名前)のここ、ぐっちゃぐちゃにするもの見せてあげる」


視界に飛び込んできたのは、何というか、思わず「うわ…グロ…」と言ってしまいそうなルックスのバイブ。真っ黒でビッグサイズ、妙にリアルな形状&質感、しかも表面がでこぼこしていてめちゃくちゃ厳つい。これまでは、全体的につるんとした、小ぶりで可愛らしい色調の…つまり如何にも女性が好みそうなデザインのバイブを持ってきていたのに、一体どうしたんだろう?

「少し前に、お客さんに言われたんだよね。『視覚でも気持ちよくなりたいから、もっと攻撃的な形とか生々しい色とかのバイブもあると嬉しい』って。俺、良かれと思ってオシャレなデザインのおもちゃばっかり用意してたんだけど、そうじゃないほうがいいお客さんもいるっていうのは考えてなくてさ。その人は『見た目がワイルドなほど興奮する』って言うんだ。彼女がMだからか、“否応なく屈服させられちゃう感じ”がいいんだって。確かに、見た目つるつるでパステルカラーとかのバイブだと、屈服させられてる感は全然ないもんね(笑)」


ふへぇ~、めっちゃ新鮮な意見‼︎ 言われてみれば、私が入手したおもちゃたちもピンクやらラベンダーやらだし、発色だって実に美しい。デザインが素敵なものも多いので、例えばオブジェとしてインテリアに紛れていたとしても、一見それとは分からない可能性だってあります。いやはやしかし、おもちゃを選ぶ際、“見た目でも興奮できるか否か”というのは考えもしなかったから驚いたし、すごく面白い視点だなぁと思いました。

確かに「このグロいものが今から私の中に…」と想像すると、それまでとは違う感情が湧き上がってきたような気もします。少しの恐怖心と期待、そして興奮──少なくとも、美しい色合いとデザインのおもちゃを前にした際自然と出る、「わぁ、カワイイ!」という台詞は全く浮かびませんでした。


そんなわけで、自宅用に購入するのは遠慮したいけれども(笑)、女風で使う分には「結構いいな♡」と感じたワイルドバイブ(*パワーのほうも、見た目に違わぬワイルドぶりだった・汗)。

今までは「視覚でも気持ちよくなる」と聞けば、アイマスク等“視覚を奪う”方面のことしかイメージできていなかったけれど、Aさん及び彼のお客さんのおかげで、「それだけじゃないんだなぁ。いろいろと深いなぁ」と身をもって体感することができました。Aさんも「このバイブで攻めてる時は気持ちが昂って、いつもよりS度が強くなっちゃうんだよね」と語っていたのですが、実際この日は新たなプレイ…いえ、Aさんの“新たなる一面”を発見した日でもありました。そのお話はまた、別の機会に♪

 

 

 

 

「お見送り会」の全貌

少し前までの私は、“声”或いは“演技”そのものに集中したいから、推し声優さんたちのビジュアル情報を極力入れないよう努めていました。ですが、ここ数年の(顔出しを伴う)メディア露出増加により、「個人で出来る努力には限界があるし、“世の流れ”的なものに抗うことを、とりあえず一旦やめてみよう」と思い立ち、2022年度末、とある朗読劇に参戦。その舞台がとっっっても良かったので、以降も声優さんたちによる朗読劇をちょいちょい観に行っております。

選ぶジャンルとしては、不朽の名作だったりベストセラー小説だったりがほとんど。毎回、圧倒的な聞き取りやすさと素晴らしい表現力で、既読・未読にかかわらず、心から楽しませてもらっています。生で観ると、声の良さや響きの良さはもちろん、息遣いや間の取り方、共演者とのアイコンタクト等、ダイレクトに伝わるものがいろいろあってめちゃくちゃ興味深い。それに、俳優さんの朗読劇だとたま〜に発生する「え、今何て言ったのかな…。滑舌が悪くて聞き取れなかった」という事故も起こらないから、ストーリーがすんなり頭に入ってくるんですよね。朗読劇を観た後にその作品を読み返すと、“朗読してくれた声優さんたちの声”で延々脳内再生されたりするのもすっごく楽しい。


で。何作かの朗読劇を観劇し、声優さんたちのお芝居を生で観ることに慣れてきた…というか、「やっぱり生だと迫力も感動具合も全然違うなぁ」と気付いてしまった私は、先日遂に手を出しました。大好きなアニメ作品(しかも主演は推し声優!)の朗読劇に。


会場に着いてまず驚いたのは、これまで参戦してきた朗読劇との客層の違いです。今までは、作家のファン、作品のファン、声優のファン等が混在していて、年齢層や男女比はバラバラでした。そして、どの年齢層でも割ときっちり目の服装をしている方が多かった(作品の世界観や会場の雰囲気に合わせてのことかもしれません)。でも、今回はほとんどが女性客で、パッと見30代以下が多い印象。カジュアルだったり露出多めだったりいい匂い(笑)だったりして、全体的に華やかな感じがします。そして、開演を待つロビー内で交わされる会話の内容も未知のものでした。中でも衝撃…いえ、ダメージを受けたのはこれ。

「このアニメ観たことある?」

「ない。でも1話だけ観たわ、倍速で。一応予習しとくか〜と思って」

「私も〜。つまんなかったね」

「ねー。でも別にいいよ、◯◯ちゃんがカッコよければ」

「だよね〜。今日立ち位置どこかな? うちら側だといいなぁ」

「いっぱい顔面拝みたいよねぇ」

(*20代と思しき女性2人連れの会話より)


な、なるほど…。◯◯さんは確かにイケメン声優だし、彼女たちがどんな目的で観劇しようと“チケットを買って会場に足を運んだお客”に違いはないわけで、文句を言う筋合いはありません。ただ、自分が大好きなアニメをつまらないと目の前で言われ(せめて等倍速で観てから判断してほしい・泣)、「作品の朗読はどうでもよくて、つまりは声優さんの顔面だけが目当てってことなのですね」と知って、何やら切ない気持ちにはなりました。他にも「本当にいろんなお客さんがいるんだなぁ」と実感した会話は沢山あった。まぁ、これも現地に行ったからこそ聞けた“生の声”なので、いい経験といえばいい経験です。


しかしながら、始まってしまえばそんなことはすっかり忘れ、「わぁ、本当に◇◇(←キャラ名)がいる〜♪」「すごいすごい‼︎ だんだん声優さんたちがキャラそのものに見えてきた〜!」と心の中で大興奮。小説の朗読とは全っ然異なるギアを入れ、“キャラの声”と“そのキャラっぽい衣装や立ち居振る舞い”で作品世界へ思いきり没入させてくれます。いや〜、感動しました。「『キャラと完全一致』ってこういうことなんだぁ♡」と初めて体感できて嬉しかったし、今まで味わったことのない種類の高揚感を感じられてとっても新鮮だった。


あとは、これまで意識できていなかったけれど、「台本を持ちながらする芝居」の上手さにも感心しました。声優さんたちは、普段のアフレコでも“片手に台本を持ちながらマイクに向かって台詞を言い、かつペラッという音を出さずに台本をめくる”ことを日常的にやっている方々です。したがって、台本を持っているのに持っていない感じといいますか、多少動きをつけながら台詞を発したとしても、台本がブレたり落としそうになったりしないから安心して観ていられる。一方の俳優さんたちは日頃、台本を置いて(台詞を暗記して)芝居をするのが基本だからか、台本を持つ手に危なっかしさを感じてしまう方も意外といらっしゃるんですよね。それがないことが、こんなにも没入感と安心感をアップさせてくれるものだったとは驚きでした。


驚きはまだまだあります。主要キャスト5名(男性3名・女性2名)のうち、私がお顔を存じ上げていたのは2名のみ。うち1名は、「生で聴くと、テレビの声とは少し違って聞こえるな〜。でも素敵な声だな〜」と感じていたら、それもそのはず。なんと!人そのものが違っていました。どうやらレギュラーキャストのお一人が急病になられたらしく、代役の方は「急遽なのに引き受けてくれて、一生懸命練習して(本来の声優さんの芝居&声に)寄せてくれた」んだとか。大抵の朗読劇は、キャスト紹介的なことはナシで、幕が開き次第すぐに本編が始まります。よって代役云々の説明を受けたのは本編後だったのですが、ビジュアルを知らなかったために、朗読中は“人が違う事実”に全く気が付かなかった(汗)。プラス、違和感がなさすぎて別の方が演じているとは夢にも思いませんでした。その道のプロというのは、本当に本当にすごいですね。尊敬しますし、引き受けてくださったこと、そして見事役目を果たしてくださったことに感謝致します。

 

 

もう一つの驚きは、「お見送り会」の存在です。チケットをネット予約する際、注意書きのような感じで「本編終了後、アフタートークショー及びお見送り会がございます」と明記してあったのですが、アフタートークショーがあまりにも楽しみで、お見送り会のほうは当日まで失念していました。

本編終了後、20分ほどのトークショーがスタート。役ではなく素でお喋りするキャスト陣にほっこりし、「アニメの裏話も聴けたし、何だかものすご〜く得した気分♡♡♡」とニマニマ。ショーの終盤、「この後『お見送り会』がありますので、お時間許す方は参加していってくださいね」という推しの案内で、その存在を思い出したのでありました。「そういえば、予約サイトに書いてあったかも。っていうか、お見送り会って何だろ? 宝塚のトップスターが退団する時、ファン全員で囲んでお見送りする…みたいなやつかしらん?」。


結論から言いますと、ファンがキャストを見送るのではなく、ファンがキャストに見送られるイベントでした。思いきり逆でしたね(汗)。

説明が難しいのですが、お見送り会というのは、キャスト陣がステージ上に並ぶ→お客さんは自分の席からステージ前まで行き、1列目の方々から順にぞろぞろと歩いてステージ前を横切る。その際キャスト陣と手を振り合うことが可能、みたいなイベントです。例えが合っているか分からないけれど、昔動物園で参加した「赤ちゃんお披露目会」にちょっと似てるなと思いました。動物の赤ちゃんを見るために長時間並ぶ→自分の番が来たら2秒くらいお顔を拝む→まるでベルトコンベアーに乗せられているかの如く、わらわらと左から右へ進んで出口に追いやられる…的なあの感じでございます(笑)。


なお、私は最後列だったので、幸いというか何というか待機時間がそこそこ長かった。ゆえに、1〜2列目のお客さんの様子を見て「あぁ、お見送り会ってそういうことか!」と全貌を把握することが出来ました。直前の館内放送で、「キャストへの声掛け禁止」「ファンサリクエスト等のうちわ禁止」と言っていたから、要するに舞台の上側と下側で手を振り合うだけなのだけれど、それってつまり、お見送り会に参加したら、声優さんたちと確実に目を合わせることになるわけで…。う〜ん、どうするべきか。

推し本人のSNSはおろか、所属事務所のサイトすらもチェックせず、基本は作品を観たり円盤を買ったりして、遠くからひっそり応援するスタイルの私。よって、“推しの視界に入った上、ガッツリ目を合わせて手を振り合う”というのはかなりハードルが高い行為です。でも、キャストの皆さまがせっかく時間を取ってくれているんだし、何よりこんなにも楽しませてくれた方々に対して途中退席というのは極めて失礼な気が…。覚悟を決めた私は、「よし、目でお礼を伝えよう!」と決意。係の方に「最後列の方どうぞ〜」と呼ばれた頃には、迷いや戸惑いはなくなっていました。


が。大きい声では言えないけれど、満席ではなかったその日。中段くらいまではぎっしり埋まっているものの、後列になるにつれ、お客の人数が減っていきます。それを計算に入れていなかったのか、係の方は律儀に1列ずつ呼ぶので、18列目くらいからお客一人ひとりの間隔が開き気味に。私は最後列だったため、とりわけ人数が少なかった(恐らく前方列の半分以下)。加えてステージまでの距離が遠いこともあり、キャストの皆さまを若干お待たせするような形となってしまいました。その事実に焦りと申し訳なさを感じ、通路を小走りして大急ぎでステージ前へと向かいます。すると、一番左側の声優さんが「ゆっくりで大丈夫ですよ」ととんでもないイケボで声を掛けてくれたのです。その上、ステージ前にたどり着くまでの間、ずっと視線を外さずに見守ってくれているではありませんか。嗚呼、私は一体どうしたらいいのでしょうか。

〈ぎえぇ、すみませんすみません! 私なんぞのために、あなたの大切な大切な喉を使わせてしまって本当にすみません!〉←心の声


ラスト、一番右側で誰よりニコニコして&腰を屈めてファンと接してくれていた推しの前に到着した時には、私のライフはゼロどころかマイナス。背中に変な汗をかき、ひどく動揺したまま(多分目を泳がせながら)、これ以上ないほど小さな声で「ありがとうございました」とつぶやくのが精一杯。推しはギリギリまで目を合わせてくれて、満面の笑みで「どうもありがとう♪」と言いながらブンブン両手を振ってくれていたけれど、それに見合う態度が取れていたかと問われたら、自信は全くありません。もっと落ち着いて、爽やかに手を振りたかった。そしてちゃんと目を開いて、楽しかった気持ちを表情で伝えたかった(私は花粉症用の大きなマスクをしていたので、目元しか出ていない状態でした。口元が隠れている以上、目で訴える以外の方法が皆無・泣)。雑誌記者時代、握手会やファンミーティング等で数多く出会ってきた“推しを前に動揺しまくるファン”“めっちゃ挙動不審なファン”。当時はあまり分かっていなかった彼らの気持ちが、退職して3年強が経った今やっと、心の底から理解できたような気がしています。そんなわけで、初めてのお見送り会は、ちょっとほろ苦い思い出となったのでありました。


ちなみに。軽く調べたところ、声優さんのイベントでは、お見送り会というのは割とスタンダードというか、そんなに珍しいことじゃないみたいです。

今は、「この先も機会があったら参加して、出来ればリベンジしたい」という思いを抱えています。それは、“通常運転の私”で推しに会いたいとかじゃなくて、思いがけず出来た推しとの思い出が、あんなにもあたふたした状態だったことが、自分の中で少し寂しいんですよね…(泣)。ゆえに、可能ならば“最新の思い出”に書き換えたいという気持ちがございます。なれど、お見送り会目当てでイベントに行くのは違うと思うから、「再度機会に恵まれたらラッキーだな」くらい。あ、次に観る予定の朗読劇は本編のみなので、そちらはある意味気楽に足を運ぶことが出来まーす(笑)!