思いつきで動く日記

思い立ったが吉日。好きな事を書いています

日誌の続き

前回の続き。

ついに今日読んだ。

もう人がいても関係なかった。本人がいなければいいか、と思って5人くらいの前で読み漁った。

今回はその感想だ。

 

まず、彼が書いた日誌は2日分だけだった。2日分の文字と文章でわかる事なんてしれているが、彼の事を何も知らない私にとっては貴重なものだった。よく知らないけど重要文化財とかに指定すべき。

彼の書く字は、お世辞にも綺麗とは言えなかった。習字の経験はないだろう。字の大きさは小さめだった。粒は揃っておらず、漢字を書き慣れていなさそうだった。

文章はシンプルだった。たくさん書く訳でもなく、何も書かない訳でもない。

一日の感想を書く欄には、

「体調管理に気をつけたい。」

「集中して授業を受けられた。」

など当たり障りのない事を書いていた。

 

私は、彼の字が整っていなくて、文章に飾り気がないことに安堵した。

彼は可愛い。それに加えて彼の書く字は綺麗で、文章も涙を零すほどに美しかったら、彼は今頃、人間国宝で私は彼に出会えなかっただろう。そう思うと彼の神経や手先に感謝だ。ありがとう!彼の身体!彼の今までの環境!

 

ひとしきり感動し、日誌を元の位置へ返す私をそばにいた友達が気持ち悪そうな目で見てくる。けれど私は構わない。だって好きだもん。

 

 

 

 

日誌

私は学生だ。勉強に恋愛に、と忙しい毎日だ。

私は電車通学に片道約1時間半を費やしている。今日やりたいことは登校時、1日の復習は下校時に考える。

これから書くことは登校時に考えた、今日やりたいことだ。

 

私には好きな男性がいる。一目惚れだと思う。

他学科で、接点は無い。交際に発展させたいわけでは無いが、とても彼のことが知りたい。

 

私たちの通う学校には様々な決まりがある。そのひとつに日直は日誌を書き、放課後に担任教師に提出しなくてはいけない決まりがある。日直は1日に2人、出席番号順でまわってくる。学科は別だ。全員必ず1回は書かなければならない。ちなみに他学科の日誌を読んではならないという決まりはない。

 

私は授業が始まる20分前には登校できているようにしている。教室にいる人は少ない。ということは、こっそり他学科の日誌を見てもバレないかもしれないのだ。

前述の通り、私と好きな男性の間に接点はない。唯一彼が生み出したものを見ることが出来るチャンスだ。彼のことが知りたい。彼がどんな字を書いて、どんな文章を書くのか知りたい。

 

もはや日誌を読まない理由がない。今日、読む。

今日は私が2限、彼の学科は1限から授業がある。私が登校した時には学校は1限の真っ最中で、学校をうろつく人間は少ない。周りはそこまで気にしなくて大丈夫のはずだ。

しかし、問題もある。

日誌は職員室に保管してある。職員からは見えない位置だが、出入口が近い。どれだけ授業中で人が少ないと言っても、空いている教員は何かしらの理由で出入りすることが多い。油断出来ない。

そもそも今日は彼の学科は1限から授業があり、今日の日直が既に日誌を回収している可能性もある。

 

もし読んでいるところを知られたら、私はこれからの学生生活を他学科の日誌を読み荒らした人間として過ごさなければならない。非常につらい。リスクを考えるとやめた方がいいが、それよりも彼のことが知りたいのだ。

 

私が日直の時に自分の学科の日誌を回収しつつ読めばいいのでは。とも考えたが、思い立ったが吉日なので今日やる。

 

 

 

と決めたのが約20分前。

結果はダメだった。普通に回収されてた。何の変哲もない失敗だった。くそ!覚えてろよ!