Layering

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厚手のコートやダウンは邪魔でしかない。


ミニマルなワードローブとは、決してワンパターンであることと同義ではない。


「いつも同じ服を同じように着ている」のではなく

「いつも同じ服のはずなのにまるで違う服に見える」のが理想である。


ここのところはカナダグースのダウンを毎日のように着る人もいるかもしれない。

しかしどんなに良いアウターでも、毎日着れば2年でくたびれる。

つまり洋服の寿命を無駄にしているのである。


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秋に着ていたアウター同士を重ねることで、冬は乗り切れる。

GジャンやMA-1は「Outer Layering」に最適な洋服の代表だ。



インナーダウンもその類に入る。

これらのアイテムは昨今マス化してきたが、その着こなしにおいてコンテンポラリーな着こなしを実現できている人は少ない。



サイジングが重要だ。

ただジャストサイズの洋服を着ることをファッションとは呼ばない。

レイヤードの幅を考え、ときには大きめに選ぶ。



トレンドのMA-1やオーバーコートはワンサイズ大きめに選んで損はない。

逆にGジャンやインナーダウンはジャストサイズを。


1点1点、サイズ選びに妥協しないこと。


相談に乗ってくれ、イメージ通りの着こなしを実現してくれる洋服屋を探すこと。

 

シーズンオフのダウンほど見ていて暑苦しい存在はない。

すべてがコンパクトに収まると、シーズンオフの収納が楽になり、管理の手間が省ける。


すべてを見通し、計画的なワードローブ作りを。


その服を着て、何を成すのか

他人の人生をより彩りあるものにしていきたいなら、ファッションの力を利用しなければならない。


服飾業界はもちろんのことだが、TV関係者なら写り映えする華やかなスタイルが、栄養士ならフレッシュで元気が出るような服装が望ましい。


見た目がその人の仕事に対するイメージを左右するからだ。


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ただ流行に乗ればいいというわけではない。


雑誌「VOUGE」の編集長、アナ・ウィンターはいつも同じスタイルである。

ショートボブにワンピースか、フレアスカート

これは彼女が服飾業界で働き始めて以降、一切変わらない。


ただ、いつも同じにみえるそのスタイルの中に、巧みにトレンド要素を織り交ぜている。

ワンピースの素材からティティール、ストールの巻き方、そしてポイントで取り入れるトレンドカラー…


同じスタイルの中で常に変化をつけている。

これが彼女のスタイルが「変わらない」のに「いつも新鮮」に見える所以である。



自分がやるべき仕事、生き方を見据え、それを成し遂げることに特化したファッション。

それを人は「スタイル」と呼ぶ。



大げさにいえば、農家の人にタキシードは必要ない。

だが、どろどろになったTricker'sのカントリーブーツを履いていたら、何を作っているのか凝視してしまうだろう。


 魚屋の親父がネクタイに気を遣いすぎていたら心配になる。

だが、何年も着込んでオイルが抜けたようなBarbourのオイルドジャケットを着ていたとしたら、どこでそれを手に入れたのか問い詰めたくなるし、買う気もなかったのにアジの一匹くらい買ってしまうかもしれない。


若手のサラリーマンが出世するためにブルックスブラザーズのグレーフランネルスーツを着るのは結構だ。

だが何十万もするサンローランの新作を買ったところで、どこに着ていくのか。


バイクに乗るわけでもないのに、なぜライダースが必要なのか。



その服を着て、何を成すのか。



スタイルを創り出すうえで、それがもっとも重要だ。


目的がないと洋服に着られてしまう。



欲しい洋服があるなら、胸の中に問いかけてみるといい。


「その服を着て何がしたいのか」と。

minimal cost of wears

人は一生のうち、どのくらい洋服にお金を費やすのか。



筆者は23歳だが、おそらくこれまで洋服に400万円以上費やしてきた。

(親に買ってもらっていた時期を除いての話である)

月に約7〜8万円の計算である。


はたしてそんなお金が必要だったのか。


一般的に私服が必要となる18歳から定年60歳までを想定したとして、男には最低どのくらい洋服が必要なのだろう。


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夏はまあ、Tシャツと短パンがあればいい。


Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグは、毎日同じグレーのTシャツ

にブルージーンズで過ごす。


Tシャツは丈夫なものなら1シーズンは保つ。

アメリカ企画のHANESやREDKAPなどは典型的だ。

3枚入りで1パック2000円、インナーにも使うので365日着るとしても、5パックもあればこと足りる。


つまりTシャツにかけるお金は年間10000円である。

短パンは古くなったブルージーンズやスラックス、イージーパンツをカットオフすればいいのだから考慮しない。


サンダルは1シーズンに1足。

ハワイやブラジルのゴムサンダルなら1000円で手に入る。



シャツは各々の体型に依る。

既製のシャツでサイズが合わない人はビスポークしないといけないから大変だ。


Tomas MasonやTurnbull&Asser、Cancliniなどイギリスやイタリアの老舗をビジネスで使い古し、クタクタになったそれをブルージーンズに合わせるのが理想であるが、いかんせん値段が張る。


ビジネスで使うとすると最低5枚は必要だ。

1枚2万円の良いシャツを1年に1枚ずつ買い足し、残り4着を1着5000円で賄えば、1年あたり4万円で済むうえ、年を重ねるごとに買い足す枚数は減っていくので経済的。  



カーディガンはJohn SmedleyやLetroyesが理想だが、これも1枚3万円前後。

年間3枚は必要だが、これも1年に1枚ずつ良いものを揃え、あとはUNIQLOのextrafinemerinoでいい。

タイミング次第で1着3000円で手に入るから、これもだいたい4万円で収まる。


スニーカーは2足。

1足1万円だとしても2万円である。



ブルージーンズは3本。

Levi's505なら6000円、A.P.C. NEWSTANDARDなら18000円。

505のほうが経済的だが、長い目をみるとA.P.C.のほうがタフで色落ちが良い。

これも505をベースにA.P.C.を1本ずつ揃えていくとして、6000×2+18000=30000円。

しかもブルージーンズは1本買えば3年は安泰だから経済的だ。


イージーパンツは2本あれば十分だが、パジャマにも使うなら4本は欲しい。

Auraleeのヘビーウェイトパンツは約2万円。アメリカンアパレルのスウェットパンツなら5000円。

予算を2万円とし、その年のワードローブ状況に応じて良いものを買うか検討するのがいい。


スラックスはBrooks Brothersなら2〜3万円、インコテックスなら3〜4万円。

一度に2本買うのは難しい。

1年に1本ずつ揃えるとして、予算は年3万円とする。



ジャケット、コート、革靴は良いものを1着。

多少値が張っても長い目をみれば必ず安くつく。

今すぐ手に入れることができないなら、それを目標に貯金するべきだ。


たとえば、仕立ての良いFlank Lederのジャケットは25年着れる。

1着10万円だったとしても、年間あたり4000円の計算である。


革靴も同様だ。

今では1足10万円近くするAldenコードバンも、しっかりメンテナンスすれば20年以上履ける。

Parabootsなどラバーソールのタイプはレザーソールに比べ寿命が短いが、それでも雨の日に履きやすい点においてお金を費やす価値はある。


コートにはさらにお金を費やしてもいい。

60年以上前のMackintoshがヴィンテージとして販売されていることがあるが、未だ実用レベルにある。

雨に強く、虫に食われないコートはまさに一生物だ。



同時にすべて揃えるのは難しい。

ワードローブのベースができるまでUSEDでしのぎ、2年目以降に1つずつ揃えていく。


焦る必要はない。

本当によくできた洋服、靴は流行に流されることなく、いつでも手に入るものだから。



ソックスは10足。

Tabioの1足1000円のドレスソックスが5足と、3足組2000円弱のレイルロードソックスが2パック。

いつも新鮮なものを履いていたいので、予算は年1万円とする。


ネクタイは毎日ビジネスで巻くなら3本は必要だ。

そこまで消耗しないので、1年に1本ずつ、Brooks BrothersやMarinellaを揃えていけばいい。

年10000〜15000円といったところ。


 10000+ Tシャツ

 40000+ シャツ

 40000+ カーディガン

 30000+ ブルージーンズ

 20000+ イージーパンツ

 30000+ スラックス

 10000+ ソックス

 15000+ ネクタイ

   1000

=196000


1年目にジャケット、コート、革靴以外をすべて揃えたとすると、約20万円程度の計算である。


1年で半分の洋服を消耗したとして、維持費に年10万円かかる。

そこで10万円のジャケット、コート、革靴を1年にひとつずつ揃えたとすると、だいたい年間20万円はかかる計算である。



つまり、本来なら洋服に費やすお金は月に2万円で十分なのである。



もちろん、仕事で使うスーツや、何か趣味を始めればそれに伴う洋服が必要になることもあるが、そういった例外を含めたとしても、月に3万円はもはや使いすぎなのである。



今一度、自分の金銭感覚を見直さなければならない。

元祖ミニマリズム、ココ・シャネル

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「ファッションとは引き算である」


ミニマルファッションの祖であり、世界一有名なブランドの1つを創り上げた気高き女性、ココ・シャネル。

彼女がファッション業界に遺した功績は言うまでもないが、その住む家には仕事道具と洋服以外、本当に何もなかったそうだ。

何もない状態こそが最もエレガントだと考え、ココは自らがデザインする帽子、洋服にも余計なディティールは何も付けなかった。

現代のミニマリズムの原型となったココ・シャネルのワードローブは、いつも自分で仕立てたメンズ服だった。

装飾華美な時代への反骨精神もあっただろうが、その頃から彼女は最も無駄のないワードローブの姿を掴んでいたのかもしれない。


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「流行は廃れるけど、スタイルは残るもの」

エレガントに生きるうえで大切なのは流行を追うことではなくスタイルを持つことだと、ココはその生き様で示してみせた。

その生き様が現代に受け継がれ、今なお多くの女性にとってエレガンスの象徴となっている。


彼女のことを知りたければ映画を観ればいい。
その生き様に少しでも共感できるなら、あなたもミニマルな考え方の持ち主かもしれない。


Knit Cap

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必須ではないが、あると便利なのがニット帽。


髪の毛のセットが面倒な休日の朝。


髪を全力で楽しみたいアクティブなデート。


短髪なら寒い冬は防寒具として。



かさばらないのが最大の魅力だ。

スナップバックキャップと違い、バックパックにひっかけておけないのは不便だが、そのまま鞄に放り込んでおけばいい。

アウターのポケットに丸めて突っ込んでおいてもいいし、Tシャツと同じ引き出しに収まるから収納場所にも困らない。



素材はコットンかアクリル、ハイゲージウール。

畳みやすく洗いやすければ、それ以上こだわることはない。



カーディガンと同じで、自分が好きな色をかぶるべきだ。

顔周りはとくに印象を左右しやすい。

ジャケットやコートのハズしに蛍光色のニット帽をかぶったって何ら問題ない。


ただ、迷ったらネイビーを選んでおけばいい。

いつだってネイビーは人を裏切らない。


それともう一つ。

ニット帽のタグは切るか裏側に隠してかぶること。

むやみやたらにブランドを主張しないのがminimalな着こなしのルールである。

10 Coordinates for 14 items

  High-Gauge Cardigan

+White T-shirts

+Blue Jeans

+Cheap Sundal

=Relaxing Style


  Navy Tailored JKT

+(High-Gauge Cardigan)

+White Shirts

+Grey Slacks

+Black Plain Toe  

+Black Knit Tie

=Formal Style


  Rain Coat

+(High-Gauge Cardigan)

+White T-Shirts

+Easy Pants

+Sneaker

=Rainny Style


  Navy Tailored JKT

+White T-Shirts

+Blue Jeans

+Black Plain Toe

=Date Style


  Pocketable Shell

+White T-Shirts

+Easy Pants

+Sneaker

=Amusement Park Style


  Navy Tailored JKT

+Pocketable Shell

+White Shirts

+Easy Pants

+Sneaker

=Sports Mix Style


  Rain Coat

+High-Gauge Cardigan

+White Shirts

+Grey Slacks

+Black Plain Toe

+Black Knit Tie

=British Gentleman Style


  Pocketable Shell

+White Shirts

+Easy Pants

+Black Plain Toe

=Urban Outdoor Style


  White Shirts

+Blue Jeans

+Black Plain Toe 

+Black Knit Tie

=French Dinner Style


  High-Gauge Cardigan

+White Shirts

+Easy Pants

+Cheap Sundal

=Japanese Dinner Style



Black High-Gauge SOX

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ソックスにおいて必需なのは黒のハイゲージのみである。

冠婚葬祭いつでもどこでも黒のハイゲージが正しい。



手軽なので様々な柄を揃えたくなるが、揃えれば揃えるほど朝の着替えが長くなるのが靴下の罠。


消耗品なので安価なものが理想だが、履いているうちに踵がずれてくるようでは格好がつかない。


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リンギングとよばれる踵の縫製手法が良い。

どれだけ歩いても踵がずれない。



今、パリやニューヨーク、ロンドンで最も人気があるソックスブランドがTabioである。

日本は奈良県、ハンドステッチによる精密なリンギングは、世界中のどのブランドにも劣らない立体感がある。


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ただ、スーツを着ない休日までTabioを履くのは贅沢だ。

普段はチューブソックスで良い。

白はすぐ汚れるし、黒はすぐ褪せるから、グレーがちょうどいい。