[1604]日米安保5条、双務化を確認ー日米共同声明

 4月の日米共同声明で日米安保同盟の双務化に向けた確認がなされました。

 米国の対日防衛義務を確認した安保第5条の解釈を日本の積極的な軍事的関与を確認するものへと変更しました。日米同盟は日本は自衛隊が盾で米軍が矛というような役割分担を行っていくという解釈がなされてきました。しかしこれからは事実上相互に盾となり矛となるという同盟関係の方向性が明確にされたのです。

 一昨年の暮、岸田内閣は敵基地攻撃能力の保持を宣言し「専守防衛」の建前を破棄しました。それをステップとしてついにアジア有事に際して米軍の肩代わりを自衛隊が担う道に踏み出したのです。

 

4月26日の日経新聞が伝えています。抜粋します。

 岸田文雄首相とバイデン米大統領が10日の日米首脳会談のあとに出した共同声明で、米国の対日防衛義務を示す日米安全保障条約5条を説明する表現が変化した。日米は日本の防衛力の抜本強化と米国との連携強化への関与について明記した。

「日本の防衛力と役割を抜本的に強化し、同条約の下で米国との緊密な連携を強化することへの日本の揺るぎないコミットメントを改めて確認した」の文言を追加した。

これまでは「日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント」と表記していた。これを踏襲したうえで書き加えた。

 外務省内から「対等な関係だと示す意義がある」との声があがる。ある幹部によると、日本から提案したという。共同声明に日米同盟の抑止力、対処力の強化日本も責任を負うという方針が明記された。

 

以上、日経新聞

日本国家は急坂を転げ落るように変貌しています。

 

 

 

[1603]ウクライナ、兵役逃れ

 

 ウクライナに欧米諸国が武器供与を強めるといっています。しかし武器があっても担い手がいなければ戦いはできません。ゼレンスキー政権は兵役逃れの摘発に苦労しているようです。

 ウクライナの政府と労働者民衆の意識の乖離が進んでいます。ウクライナの労働者はロシアの侵略に怒っていても心はゼレンスキー政権の戦争政策から離れています。

 

兵役逃れで越境30人死亡 戦死者増え戦力低下 4/30(火) Yahoo!ニュース 

(ロイター=共同)

【キーウ共同】ウクライナ国境警備隊のデムチェンコ報道官はロシアによる2022年2月の侵攻開始後、兵役逃れでウクライナから「約30人が違法に国境を越えようとして死亡した」と述べた。地元メディアが29日に報じたインタビューで語った。侵攻が長期化し戦死者が膨らむ中、兵員不足による戦力低下が懸念材料となっている。 ゼレンスキー大統領は4月、兵力確保のため、動員対象年齢の引き下げなどに関する法案に署名した。 デムチェンコ氏は「毎日約120人の出国を拒絶している」と述べた。兵役逃れを手助けする450の犯罪集団を摘発したとも明らかにした。

 

ウクライナ大統領、武器供与の加速訴え NATO事務総長と会談 4/30(火) 1:41 Yahoo!ニュース

[キーウ 29日 ロイター]

 ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、首都キーウ(キエフ)で北大西洋条約機構NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談した。戦況は西側諸国からの武器供給のスピードに左右されるとし、ロシア軍が一部戦線で攻勢を強める中、ウクライナへの武器供与加速を訴えた。

 ゼレンスキー大統領は会談後の共同記者会見で、ウクライナ軍への迅速な支援という点において「現時点でポジティブな兆候は見らない」とし、小規模の武器供与が始まったものの、「このプロセスを加速させる必要がある」と要請した。 米国では先週、ウクライナへの610億ドルの支援法が成立し、ウクライナへの兵器輸送が始まっているもよう。 ストルテンベルグ氏はNATO加盟国がここ数カ月、軍事支援の約束を果たせていないことを認めた上で、武器や弾薬の供給は今後増加する見通しとし、米国の支援に加え、英独首脳がウクライナ支援へのコミットメントを示しているほか、オランダも支援を拡充したことを指摘。追加支援が「戦況の好転に寄与するだろう」と述べた。

以上

 はばかることなく「 アメリカのパートナー」を自認するゼレンスキーとプーチン・ロシアの侵攻にレジストするウクライナの労働者民衆の「祖国防衛」の戦いを同一視することはできないと思います。

 ウクライナの兵役逃れを手助けする450の犯罪集団を摘発したということをゼレンスキー政権は誇示していますが、それをプロパガンダ的に宣伝せざるを得なくなっているほどに、政権が危機に陥っているのだと思います。

 ウクライナとロシアの労働者階級はこれ以上の犠牲を出してはいけないと思います。私は日本の労働組合で声を上げます。

[1602]アメリカで広がるガザ反戦の闘い

 アメリカでイスラエルのガザ攻撃とアメリカ政府の加担に反対する学生の闘いが広がっています。

 コロンビア大学では学生たちは「ハミルトンホール」にバリケードを築いて、イスラエルのガザ攻撃とデモにたいする米警察の弾圧に抗議の意志をあらわしましたが、大学当局は4月30日警察に出動を要請しました。シャフィク学長は「全参加者が停学処分となり、構内にとどまる権利はない」と述べて弾圧を強化しています。しかし朝日新聞記者のインタビューに「停学や退学、逮捕の覚悟ができている」と答える学生もいて闘いはさらに強くなっています。

 また、パレスチナ問題やガザで起きていることを「植民地主義帝国主義」の結果ととらえ、それについて「反対する声を上げていきたい」という学生の声も報じられています。このアメリカの学生の声はマルクス主義の香りがします。

 私は学生時代、「アメリカ帝国主義ベトナム侵略反対」を掲げた学生自治会ストライキに参加しました。先のアメリカの学生が言う言葉は時空をこえて私の胸に響いてきます。あれから半世紀が経っても帝国主義の時代はなお続いているのです。

 アメリカのたたかう学生にエールを送ります。

以下ロイターの記事です。

米国 全米の大学でと闘いに対する活動拡大、学生数百人が逮捕 

2024年4月24日[ニューヨーク 3日 ロイター] 

パレスチナ自治区ガザの攻撃を巡り、全米各地の大学でイスラエルに抗議する活動が広がっている。学生がキャンパス内にテントを張りパレスチナ支持を訴えているのに対して、大学側もこうした学生の排除に動き、多数の学生が逮捕されている。 カリフォルニア州では名門カリフォルニア大学バークレー校で学生が他大学の学生と連携してテントを設営。同州アーカタのカリフォルニア工科大学ハンボルト校ではパレスチナ支持のデモ隊が敷地内の建物を占拠したためキャンパスが閉鎖された。 パレスチナ自治区ガザの攻撃を巡り、全米各地の大学でイスラエルに抗議する活動が広がっている。写真はニューヨークのコロンビア大学で23日撮影(2024年 ロイター/Caitlin Ochs) ミネソタ州立大学では大学側の要請を受けた警察がテントを撤去した。ニューヨーク警察によるとニューヨーク大学では22日夜、デモ参加者120人余りが逮捕されたことを受けて新たな抗議活動が発生。コロンビア大学では先週、学生の逮捕者が100人を超えた。 コロンビア大学、エール大学、ニューヨーク大学などは19日以来の逮捕者が数百人に達している。 ニューヨーク大学は22日、校内の緊張が高まっているなどとして対面授業を中止し、年内は対面とオンラインを併用する形で授業を行うと発表した。

以上

 昨日有明防災公園で行われた憲法集会に参加しました。世界の反戦運動と連帯して日本の労働組合学生自治会もがんばらなければなければなりません。

[1601](寄稿)医療あれこれー3 トリチウムについて

 

ペンギンドクターより

その3

転送するのは例の「トリチウム」の講義です。

 MRICメールマガジン Vol. 24075

2024年04月23日

MRIC by 医療ガバナンス学会 発行http://medg.jp

坪倉先生の放射線教室(7) トリチウムは自然界でも作られる天然の放射性物質

この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。https://www.minyu-net.com/

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授

坪倉正治

東日本大震災後、2011年4月より福島県浜通りにて被災地支援。現在、福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授を務める坪倉正治先生が放射線や処理水について正しく、分かりやすく解説します。

●体への影響、比較的小さい(2023年07月01日配信)
 先日、他国の原発からトリチウムが放出されたというニュースが報道されました。中国が国内で運用する複数の原発が、今夏にも始まる福島第1原発の「処理水」の海洋放出の年間予定量と比べ、最大で約6・5倍の放射性物質トリチウムを放出しているというものです。
 原子炉の中では電気をつくる反応を起こす途中に、さまざまな過程でトリチウムができます。そのため、これまでも原発でできたトリチウムは基準値を確認し、主に海へ放出されていました。
 トリチウム放射性物質としての特徴の一つは、その出す放射線のエネルギーがとても小さいことです。ベータ線という放射線を出しますが、このエネルギーがとても小さいため、空気中では1センチも飛ぶことができません。放射線の身体への影響はその量の問題ですので、トリチウムによる身体への影響は比較的小さくなります。
 そのため、福島原発から処理水が放出されたとしても、原発の周囲で取れた海産物を日常的に食べて、そして海水浴をするなどした場合に放射線を浴びる量は、多く見積もっても自然界の放射線から私たちが日常的に受けている放射線の量の7万分の1程度にとどまると推定されています。

●自然界線量の7万分の1(2023年07月08日配信)
 廃炉作業が進められている原発周囲の敷地内タンクには、放射性の水素である「トリチウム」が保管されています。トリチウムは、核実験や原子力施設で作られる人工の放射性物質である一方、自然界で作られる天然の放射性物質でもあります。
 このトリチウムについて、濃度を確認し、薄めた上で原発から1キロ離れた海への放出が計画されていることは報道の通りです。この放出に関して、先日、国際原子力機関IAEA)から、その安全性を評価した報告書が出版されました。
 その報告書ではさまざまな内容が評価されていますが、その一つが、放出が行われた際にその周囲で取れた海産物を日常的に食べて、海水浴などをした場合に浴びる放射線の量です。
 放射線の量は外部被ばくと内部被ばくの両方が評価されています。海産物を食べた場合の内部被ばくだけではなく、海水浴であれば、海の中で浴びる外部被ばくと、海水浴中に海の水を飲んでしまう場合の内部被ばくといった具合です。その他にも海岸の堆積物からの影響や、波しぶきを吸ってしまう場合など、さまざまな放射線を浴びるかもしれない経路を想定して計算されています。
 その結果、子どもから大人までの全ての年代で、多く見積もっても自然界の放射線から私たちが日常的に受けている放射線の量の7万分の1程度にとどまると推定されています。全体として非常に低い値ですが、その内訳は90%以上が内部被ばくでした。

●自然の放射性物質、魚にも(2023年07月15日配信)
 トリチウムは、核実験や原子力施設で作られる人工の放射性物質である一方、自然界で作られる天然の放射性物質でもあります。このトリチウムの放出に関して、先日、国際原子力機関IAEA)から、その安全性を評価した報告書が出されました。
 その報告書では、放出が行われた際にその周囲で取れた海産物を日常的に食べて、海水浴などをした場合の放射線の量が評価されています。
 その結果、放出に伴って受ける放射線の量は、全ての年代で、多く見積もっても自然界の放射線から私たちが日常的に受けている放射線の量の7万分の1程度にとどまると推定されています。その内訳は90%以上が内部被ばくでした。
 その一方、自然からの放射線に関して、日本では魚介類の摂取が多いため、世界平均に比べて、魚介類の、特に内蔵に含まれる「ポロニウム」と呼ばれる放射性物質から受ける放射線が多いです。
 そのため、処理水の放出に伴って受けると考えられる放射線の量は、ポロニウムをはじめとする自然の放射性物質によって、日常的に私たちが魚介類を摂取することによって受ける放射線の量全体の1万分の1から2万分の1程度となると考えられます。

●処理水報告書、事故も想定(2023年07月22日配信)
 トリチウムは、核実験や原子力施設で作られる人工の放射性物質である一方、自然界で作られる天然の放射性物質でもあります。このトリチウムを含む処理水の放出に関して、先日、国際原子力機関IAEA)から、その安全性を評価した報告書が公表されました。
 その報告書では、タンクでの保管や放出に関して、予期せぬ事故が起こった際、周辺の環境への影響や、地域の住民の方々への放射線の影響がどの程度となるかの評価もなされています。
 いくつかの事故を想定していますが、一つは、処理水を通すためのパイプ(管)が損傷し、十分に希釈されていない処理水が海に流れ込む場合です。
 実際にそのような事故があった場合、すぐに発見されるよう体制が組まれていますが、保守的に考えて、この損傷が20日間発見されず、全部で10個のタンクに保管してある処理水が流出した場合を想定しています。
 そして、長い時間、船の上で仕事をする漁師さんを代表として、放射線に対する防護策を特に何も行わず、取ることが禁止されている地域の海産物も摂取する場合の、事故からおおよそ1カ月で受ける放射線の量を計算しています。
 タンクのどの部分のパイプが損傷するかによっていくらかの差はあるものの、このような事故の場合に受けると推定される放射線の量は、私たちが自然界から1年間で受ける放射線の量のおおよそ1万分の1程度であることが推定されています。

●タンク壊れた場合も想定(2023年07月29日配信)
 廃炉作業が進められている原発周囲に保管されているトリチウムを含む処理水の放出に関して先日、国際原子力機関IAEA)から、その安全性を評価した報告書が出されました。その報告書では、タンクでの保管や放出に関して、予期せぬ事故が起こった際、周辺の環境への影響や、地域の住民の方々への放射線の影響がどの程度となるかの評価もなされています。
事故の一つとして、先週ご紹介したパイプ(管)が壊れるよりも、さらに悪いケースも想定されています。
 壊滅的な何かが起こり、処理水を計測し、安全性をチェックするための数十個のタンクの全てが一気に壊れて、処理水が全く希釈されることなく海に放出されるような場合です。おおよそ3万立方メートルほどの処理水が一気に放出されるという想定です。
 パイプが壊れた際と同じく、船の上で仕事をする漁師さんを代表として、放射線に対する防護策を特に何も行わず、取ることが禁止されている地域の海産物も摂取する場合の、事故からおおよそ8日間で受ける放射線の量を計算しています。
 このような事故の場合に受けると推定される放射線の量は、パイプが損傷する場合よりは多く、私たちが自然界から1年間で受ける放射線の量のおおよそ100分の1程度であることが推定されています。8日間で受ける量ですから、1日当たりに平均して考えると、私たちが自然界から受ける放射線の量と同じぐらいの桁の量になり得るという想定です。

 

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[1600](寄稿)医療あれこれ(その107)ー2

ペンギンドクターより

その2

ここで本のことを少し。

●井出壮平『世界の賢人と語る「資本主義の先」』(講談社+α新書、2024年3月18日第1刷発行)

井出壮平:1975年東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。98年共同通信社に。ロンドン特派員、経済部日銀キャップなどを経て2021年から編集委員論説委員

私がこの本に注目するのは、彼はある意味で例の「竹中平蔵氏の弟子」にあたる人だからです。その彼が資本主義の未来について疑念を持ち始めているという現実です。

第1章 何のための成長か

第2章 格差を巡る言説と実像

第3章 温暖化で起きていること

第4章 本当の労働運動とは

第5章 民営化信仰を問い直す

第6章 少子化と教育――個人はどこまで負担すべきか

第7章 そのお金はどこから来るのか――財政健全化論争の真偽

第8章 探る「第三の道

 

今日は時間が無くなったので、このへんで。これから圧力なべにスイッチを入れて、「トリ手羽元の黒酢煮」の夕食の用意です。

 

[1599](寄稿)医療あれこれ(その107)ー1 前立腺がんについて

ペンギンドクターより

その1

皆様

 本日は朝から雨模様ですが、雨が上がると暖かくなるようです。
 私の「前立腺がん」の件ですが、高齢の男性にとっては、最も頻度の高いガンですから、診断までの経緯をお話しておきます。私は毎年4月に人間ドックをしています。この4-5年PSA(前立腺特異抗原)は1台後半でした。昨年も1.8でした。70代男性の正常値は4.00以下です。今年は7以上に跳ね上がったので、これは明らかに異常です。一般にPSAは自転車に乗ると上昇します。サドルのところで前立腺を圧迫するので数値が上がるというわけです。
 また人間ドックでは、腹部エコーをしていますが、昨年は前立腺のチェックはしていません(通常、上腹部のエコーのみが行われています)。一昨年と今年は同じ50代の女性技師で丁寧に下腹部までチェックしてくれて、一昨年は異常なし。今年は「影」があったので、健診センターの責任者にすぐ連絡して血液検査室に問い合わせてPSAの上昇を確認してその日の午後に私の家に連絡したというわけです。その技師は50代で昔からよく知っているので、いつもついでに頸部や心臓のエコーをしてくれているのです。
 さて、私の「前立腺がん」の状態はどの程度かという問題になります。私は18年間の病理診断の担当で、もう昔になりますが、前立腺がんの生検診断の経験もあります。前立腺がんは一般におとなしいのですが、低分化で進行の早いものもあります。私の場合がそれに相当するかどうかは、今後の生検によるわけですが、急速な値の上昇から見てより悪性のものの可能性もあります。またエコーで「影」があるので、発育は早いとも言えるでしょう。周囲への浸潤があれば、ロボット手術の対象から外れる場合もあります。
 私は在宅医療中心のクリニックで、79歳で前立腺がんの治療を開始し、5年後の84歳で死亡した男性を診察して来た経験があります。彼は手術はしていません。ホルモン治療と抗がん剤の治療で、一時的にはPSAがゼロとなりましたが、その後上昇、別の薬に変えて一旦低下したものの再上昇・・・・・・の繰り返しで亡くなりました。足腰も弱って通院が難しくなったので、「そろそろ在宅医療を予約しようか?」と聞きながら、外来診察をしていました。奥さんと二人暮らしでしたが、ちょっと頼りなくて本人(慶応大学経済あるいは商学部?の卒業生でしっかりした人でした)がもっと頑張るとのこと、結局在宅医療にして2週間ほどで自宅にて亡くなりました。お互い、いろいろよもやま話が出来て懐かしい人でした。 
 前立腺がんの患者さんで最も有名なのは、日本のノーベル賞受賞第一号、湯川秀樹博士です。また前立腺がんのホルモン療法を初めて実用化したのは1941年?だったか、ハギンス?博士で彼もノーベル賞を受賞しています。受賞したのは1966年です。
 ということで、前立腺がんは予後のいいがんですが、すべてのガンと同じく、いろいろパターンがあります。ただし、治療を始めた場合の5年生存率はほぼ100%ですから、全体の癌の中では最も予後のいいがんと言えるでしょう。泌尿器科の医師のうちには、「PSAが4以上というだけで紹介しないでくれ」と診察・検査を敬遠するドクターも結構います。
 また私が評価している元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏も「腎不全」で奥さんから腎移植を受けようと準備していた時に「前立腺がん」が見つかり、腎移植は延期、血液透析となり、その後、前立腺がんを切除し、転移もないので、晴れて腎移植手術を受けて、体調が完全回復したと最近の対談などで、述べています。

以上で、前立腺がんは終わります。

つづく

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