日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

道 (フェデリコ・フェリーニ) 1954年

監督 フェデリコ・フェリーニ 

出演 ジュリエッタ・マシーナ アンソニー・クイン リチャード・ベイスハート

   アルド・シルヴァー二 マルセラ・ロヴェーレ

 

 

邦画、それも昭和初期から1960年代までのブログですが、YouTubeWOWOW公式チャンネルで2週間無料視聴なのでイタリア映画ですが思わず見てしまいました。ただ、アマゾンプライムビデオでも視聴できるんですね。アマプラでは基本、昔の日活作品メインなので外国映画はあまり気にしていませんでした。

元々、邦画より外国映画のほうが好きで、子供~若い頃は当時、よく海外映画がテレビ放映されていて小学生の頃はフランス映画のアランドロンにファンレターを送ったり(日本語で書いたのでその後、アランドロンが読んでくれたのか?w)中学生になるとアメリカ映画が主流になってきたように思います。そうそう、小学6年生の時、マーク・レスターのイギリス映画「小さな恋のメロディ」に胸ときめかせ、あまりにも好きすぎて親に内緒で友達と一緒に夕方、銀座の映画館へもう一度見に行ってしまいました。午後7時くらいになって、終わりまで見ずに慌てて映画館を後にした記憶はありますが帰って親に叱られたのか?その記憶はなぜか全くありません。

中学生の時には学校全体?で見た「ローマの休日」。女子校だったしその映画を選んだのも女性教師に違いないと思いますw。

その後は全てアメリカ映画でした。「星の王子様ニューヨークへ行く」のエディー・マーフィーとかは良かったです。

それに比べると、当時の邦画って・・・。せいぜい「寅さん」くらいしか劇場には見に行きませんでした。ただまだ指定席という観念?がない時代だったので映画館はいつも混み混みだった記憶しかありません。それも劇場から足が遠のいた一因だったかも。

貸しビデオ屋さん全盛期の80年代初頭~90年代。借りて家でみるほうがよかった。

それは今でもそうですが。借りにいく必要もない今ってすごいですね。

 

あまりにも有名な「道」ですが、最初に見たのは90年頃のBSWOWOWだったと思います。まだブラウン管テレビでしたが世の中の景気がよかったのでブラウン管もどんどんインチが大きくなって28インチ・・確か30万円くらいしたかと思います(ビクター)

今からするとなんて高いんだ!と笑っちゃう値段でした。しかも28インチで大画面だと思っていたんですから(;^_^A。

 

この作品、ずっとDVDで再販売を繰り返しているのでデジタルリマスターだし、音声もクリアになってやっぱり名作ってすごいですね。

 

初めてみてから約30年経ってまた見ても、感動します。

どこがいいかって、じわっと来る哀しさ。

記事を書くためにwikiを読んだら、(ザンパノ)のアンソニー・クイン、(綱渡り芸人)のリチャード・ベイスハート、どちらもアメリカ人でしかもイタリア語は全く話せないので吹替なんだそうです。ビックリ。アンソニー・クインのイタリア語がうますぎて感動ものでしたが吹替だったのね(笑。リチャード・ベイスハートにいたっては知らなかったせいかイタリア人だと思って見てましたし。

 

前置きがながーくなりましたが、あまりにも有名な映画なので私の下手な”あらすじ”や感想なんていらないですよねw。

ここではアンソニー・クインが相手にする女性たちを紹介。

1.ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)と芸を披露し金を儲けた晩に行ったレストランにいた女。 やせっぽちのジェルソミーナと対照的に肉感的。

この映画を日活でつくるとしたら、この役は清川虹子なんてどうでしょう。

 

2.結婚式の余興に行った先の炊事係の女(マルセラ・ロヴェーレ)

これは田中筆子一択ですが、有名どころでは杉村春子もいいかも

二人の亭主に死なれたとザンパノに言う

3.ジェルソミーナを捨てて数年経ち、ザンパノはまだ大道芸をしているその時に

ザンパノの情婦のような様子のやはりサーカスの女芸人。この人、「妖怪人間」のベラみたいだった(笑。

日本だと友情出演で京マチ子あたり。この頃はすでに五者協定なるものがあって無理?

それなら特別出演で月丘夢路

出かけるというザンパノに一緒に行くという女

かたやジェルソミーナにも味方?が現れる。それがザンパノを茶化して最後は喧嘩して死んでしまう綱渡り芸人(リチャード・ベイスハート)。彼を見ているとこれは川地民夫だな・・と思った風体。しかし川地民夫はまだ若すぎで日活にいない・・としたら

三橋達也かな。大映菅原謙二でも良い。

綱渡り芸人 リチャード・ベイスハート

困っているザンパノたちを教会に一晩泊めたシスター。翌朝、彼らが発つとき、昨晩遅くザンパノが教会の銀製品を盗もうとしてショックを受け泣き顔のジェルソミーナを見て教会に残りたいなら上司のシスター(言い方変ですね)に訊いてあげると言うが・・・。シスターは高田敏江。スター級で香川京子

優しいシスター

ザンパノ(アンソニー・クイン)はガタイのよい粗野な男、でもセクシー・・ということで三國連太郎しか思い浮かびません。森雅之は品が良すぎて体格も華奢。

アンソニー・クイン

頭が弱く子供のような心をもったジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)ですが、

芦川いづみだと”かよわすぎ”て可愛すぎる(ジェルソミーナはアザミ顔と言われて美人ではない・・アザミ顔ってイタリヤではそういう意味なんですか?)。

浅丘ルリ子でもないし・・・で浮かんだのが先日みた「慟哭」の阿部寿美子。「風流交番日記での彼女の役は報われない愛でも愛を注ぐ女神みたいな女性なんです。それがジェルソミーナを彷彿とさせる。しかし新東宝だし。

ジェルソミーナは主役なのでスター級のデコちゃんとも思いましたが意志が強そうで聡明なイメージ、しかも美人。

ジェルソミーナ役は難しいですね。なかなかこの人!と浮かぶ人はなかったです。

ジュリエッタ・マシーナ

サーカス団の団長(アルド・シルヴァー二)は千田是也清水将夫三島雅夫柳永二郎・・・たくさん思い浮かびました。

 

書いているうちに日活、新東宝東宝、松竹、大映・・の俳優さんがごちゃごちゃしてきました(笑。

1時間40分程度の作品ですが長さは全く感じられず、また暗~いストーリーだけではなくたまにジェルソミーナが納屋の穴に落ちたり、ザンパノに呼ばれ、慌ててサーカスのテントに激突したりのシーンもあり、全く飽きないです。

ステキなシーンは多々ありますが、

私が特に好きなシーンはジェルソミーナが空き地に立っている木をみてその木と同じ形をするところ(え、そこ?って思わないでくださいw)

このシーンが忘れらられない

慟哭  1952年 新東宝

監督 佐分利信 脚本 猪俣勝人

出演 佐分利信 阿部寿美子 木暮実千代 南寿美子 千田是也 三橋達也

   丹阿弥谷津子 笠智衆 吉川満子 松本克平 徳大寺伸 北林谷栄

   三宅邦子 飯田蝶子 

 

今ならYouTube東宝チャンネルで2週間無料視聴できます。

俳優座の幹部クラスが特別出演していると紹介されている佐分利信監督の作品。

私はずっと阿部寿美子という女優さんは舞台メインの劇団バリバリな人かと思っていたが経歴からするとそうでもなく、この作品が新人デビュー作。俳優座養成所の第一期生で準劇団員となって出演。その後青年座に入るも脱退し新東宝と契約。また劇団青年座に入りまもなくそこも脱退とある。

物語としては親に内緒で劇団に入り、女優を目指している若い娘、妻を亡くした劇作家の中年男性と今は劇団で先生と呼ばれ弟子も取っている元女優との間の話。

ただ、ここまで長くなくても(2時間程度)十分作れる内容だったのでは?と思いました。出演者が豪華なのはやはり佐分利信が監督だったからでしょうか。

当時の新東宝って専属の俳優さんが少ないのか、佐分利信木暮実千代は(松竹)だし、三橋達也は(大映 )とあり、彼が日活の俳優さんかと思っていた私はちょっとビックリしました。

俳優座幹部の特別出演者として東野英治郎、小沢栄、東山千栄子の名前もありますがどこで出て来たのか記憶にありません(;'∀')

 

劇作家である佐分利信に近づく娘を当時21歳の阿部寿美子が演じています。

彼女はいいなと思ったのがやはり新東宝の「風流交番日記」で、なんとDVDが今年の2月に発売されていて先ほど注文しちゃいました!なんと本日届くようです。

ありがとうアマゾン。

 

さて、話はユーチューブで見てもらうことにして、若い阿部寿美子ですが、その後

「ひまわり娘」にも出演してますね。

しかし・・・いまいちブレークしなかったのはやはり顔が古い。昔の顔といったほうが良いのだろうか・・・。エクボがあって整った顔立ちなんだけど恐れずに言うと「おばさん顔」なんだと思うのですよ。だから若さをあまり感じないけど中年になっても老けたという感じもしなかった女優さんというイメージです。

1930年生まれだそうですが、私は1920年代の生まれかと思ってました(;^_^A。

なんと存命中。さらに佐分利信の妻で気が狂っていて死んでしまうのが丹阿弥谷津子

ですが1924年生まれで存命中の100歳。高峰秀子と同じ年!!!

古い邦画を見ていて思うことがあるんですけど、年代にもよりますが作品にでてくる出演者の全員いないよねぇ、子供も含めて・・・なんて映画も多いんです。

 

阿部寿美子に気があるのが劇団の仕事をしている三橋達也ですが、阿部寿美子が荒れて酔っ払い、終電車にのれずに安ホテルに泊まることになり、泥酔した彼女を・・・という場面があります。

こういう場合、現代だと犯罪になるんでしょうか。彼女のほうが酔っ払い、仕方なく泊まることとなった・・元々気があった男は寝ている女を・・・

でもやっぱり犯罪でしょう。不同意なんとかってありますね。

佐分利信とは良いお友達と言いながら、モンモンとする木暮実千代は美しかったです。

佐分利信木暮実千代

木暮実千代

あまりネット上に画像のない阿部寿美子の新人、準主役のシーン色々アップしときます。

阿部寿美子

佐分利信・阿部寿美子

阿部寿美子

阿部寿美子

阿部寿美子

阿部寿美子

阿部寿美子

はたらく一家  1939年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 成瀬巳喜男

出演 徳川夢声 本間敦子 生方明 伊東薫 南青吉 平田武 阪東精一郎 

   若葉喜代子 大日方伝 椿澄枝 真木順 藤輪欣司

 

wikiより

中流家庭の六人姉妹から今度は 父・母・5男一女、祖父母、計9人。男4人で働いてなんとか食べていける暮らしをしている労働階級一家の話。

小石川の職工、石村(徳川夢声)は5男一女の大家族。長男、希一(生方明)、二男、源二(伊東薫)、三男 昇(南青吉)の4人で働き、なんとか食べている。楽しみといったら夕の晩酌くらいだ。

四男の栄作(平田武)は中学を卒業すると働くことを期待されているが彼は上の学校へ行きたいと思っている。(望みは叶わない感じ)。

長男、希一はもう少し良い仕事をするには大学へ行きたいと考えている。今の仕事(職工)をしていても今後、両親の面倒をみることも嫁をもらうこともできず、将来がない。しかし石村家ではたらく人間が一人でもかけると生活していけない。

父はもちろん反対だ。

 

四男の栄作は担任の小川先生(大日方伝)に進路をきかれるも、モンモンとする。

 

当時の労働者はその日暮らししかできない程度の稼ぎしかなかった?ということだろうか。それにしても5男一女って少子高齢化の今では考えられないが、戦時中の日本では男子を5人も産んだ母はさぞや誉められた?んじゃないだろうか。

 

希一と栄作の願いをきいた小川先生。話し合うために一家を訪ねるが何もすることができない。ってところが成瀬巳喜男らしくて良い(笑。

 

出演者は少なく、またその出演者で今調べられるのは、徳川夢声、本間敦子、生方明、伊東薫、大日方伝、椿澄江くらい。一家の兄弟が立ち寄る喫茶店の娘、光子は椿澄江だったが、(東京ラプソディで主役のハト子)画像があらくてよくわかりませんでした。

 

石村の勤務先は小石川近辺らしく、電柱の看板に”共同印刷”とあります。

徳川夢声

 

椿澄江

本間敦子・徳川夢声

生方明

大日方伝・徳川夢声

 





六人姉妹  1959年 東映

監督 堀内 甲 脚本 堀内 甲 瀬藤 祝

出演 不忍郷子 稲葉義男 大森暁美 島津千鶴子 本間千代子 伊東正江 

   小畑町子 佐藤栄見子 内田礼子

 

 

当時の中流家庭なので食うや食わずではないけれど、それなりに慎ましい生活ぶり。

 

建設会社の課長である父(稲葉義男)は妻(不忍郷子)との間に六人の子供がいる。

全員女で、それが四女の睦子(伊東正江)の口から語られて始まる物語。

風景や一家が住む家が本当に昭和の心温まる作品。

 

話の軸は長女、節子(大森暁美)が大学へ行きたいというが、男の子だったら行かせるが女が大学へ行く必要がないという当時の常識を言う父。

近くで美容院を経営している父親の妹(内田礼子?)は高校3年の節子に縁談話をもってくる。それを知った節子は反発。

二女の和子(島津千鶴子)はそのおばさんの美容室へ学校帰りに寄って手伝ったりしている。

三女の紀子(本間千代子)は栄養士に興味がある。

四女、睦子(伊東正江)と五女、敦子(小畑町子)は遠足に行くので新しいバッグが欲しいと父にねだるが・・・

 

毎日家事に忙しい母、それを手伝う長女。母が過労で倒れたり、姉妹で喧嘩したりの今ではみられない大家族の日常。

姉の気持ちを父に訴える二女、和子。

父は長女を大学へ行かせたらその下の子供たちも皆大学へ行きたいというだろう、そんな経済力はないと妻にいうが、妻は二女も三女もこれからの女は手に職をもって自力で生きていかないといけないと思っているという。

そんな中家事に多忙な母が倒れてしまった。

節子は倒れた母に代わって妹、和子と家計を預かる。いくらかかったのか計算すると生活していくのにお金がかかると身をもって知った節子は大学へは行かない決心をするが、父は美容室を経営している妹から「男の子だったら大学へ行かせるというのだったら、節子を男だと思って大学へ行かせたら?」と言われ考え直す。

兄に意見する妹

その晩、節子に大学へ行っても良いと言おうと思っていたが、入浴中に風呂焚きをしていた節子から大学へは行かないと言われ・・このシーンの節子に思わず涙(笑。

 

稲葉義男・大森暁美

二女役 島津千鶴子・三女役 本間千代子

左 五女役 小畑町子・右 四女役 伊東正江

六女役 美保子役 佐藤栄見子・稲葉義男

母 不忍郷子

父の妹役 (多分)内田礼子(という人)

跡取りというと男子だった時代はその後もずっと続きました。私もふたり姉妹だったので当時(1980年代)通っていたお花の先生からなんで母が男の子を産まなかったのだ?と私に言われても・・・ということを言われた記憶があります。その当時のおばさんたちは今よりずっと上から目線の人が多数でした。今のおばさんなんて大人しいもんです(私w)。

思い起こせばヒドイことを平気で言える世の中でしたが、それが(男子を産む=跡取り)世の常識であったから仕方ないですね。

私の知人にもなんと五人姉妹がいて(彼女は末娘の五女)、次は男、次こそ男と思って産んだ母親って大変だったと思いました。

で、今はそんなことを面と向かっていう人はいなくなりましたがまだ心の中で思っているひとはいるでしょうね。

ですので当時でしたらこの母親は周り近所からいろんなことを言われて(男子を産まなかった)辛かったと想像できます。父親も会社で言われてたかも。

 

ところで舞台が栃木なのでとちぎの大きな商店街が映ります。歴史のある町らしく今ではアーケードはなくなりましたがマップで確認できました。

やはり昔ほど栄えてはいないようですが。

銀座通り

映画冒頭のとちぎの商店街

 

子役で今検索できるのは大森暁美と本間千代子だけでした。

大森暁美

 

路傍の石  1938年 日活

監督 田坂具隆 脚本 荒巻芳郎 原作 山本有三

出演 片山明彦 滝花久子 山本礼三郎 小杉勇 井染四郎 吉田一子 見明凡太郎

   江川宇礼雄 潮万太郎 沢村貞子 松平富美子 吉井莞象 三島鉄

   星美千子 青木虎夫 須田大三

 

滝花久子・片山明

山本有三原作。この物語は小学生の頃読んでいたく感動しました。

 

昭和13年、出演俳優もみな若く、特に山本礼三郎ってこんな顔だったんですね。江川宇礼雄無声映画時代とは違って体格もよくなり、やはり気づきませんでした。この頃が一番ハンサムだった?かも。番頭役の見明凡太郎もよーく見て納得。小杉勇はこんな感じ(笑。井染四郎が一番美男子でした。子役で青木富夫に似ている男の子は須田大三という子役でした。

山本礼三郎

江川宇礼雄

見明凡太郎

井染四郎

須田大三

明治中期、高等小学校に通う吾一(片山明彦)は成績も良く、中学へ行きたいと願うが父(山本礼三郎)は家におらず、母、おれん(滝花久子)が袋貼りの内職をしている。

同級生で呉服店伊勢屋の息子、麻太郎(三島鉄男)は勉強はできないが中学へ行く。

麻太郎の妹のおぬい(星美千子)は吾一を贔屓には優しい。

おぬい役はなんと星美千子で、確かに星美千子だ!東映でポッとでた中年の女優さんだとばかり思っていましたが、子どもの頃から芸能界にいたんですね。なんと1927年生まれで存命中。

星美千子

近所の書店店主、稲葉屋の黒子(井染四郎)は成績の良い吾一を中学に行かそうと支援を申し出るが、そこへ父が帰ってきて断ってしまう。吾一の父は元士族であるというプライドが許さないのだ。

片山明彦・星美千子

結局、吾一は同級生、麻太郎、妹のおぬいの伊勢屋へ奉公することになった。

するとどうだろう。あれだけ優しかったおぬいは態度が激変。毎日目まぐるしく働く吾一が使いで駅へ行くと、東京へ行くという吾一の恩師、矢野先生(小杉勇)と見送りに来た稲葉屋の黒子がいた。吾一は矢野先生に手紙をくださいと言って別れることとなる。

杉勇・井染四郎

中学へ行った伊勢屋の麻太郎だが、宿題ができず、吾一にやってもらう。そうこうするうちに無理が祟った吾一の母が亡くなる。

吾一は麻太郎が貸してくれた教科書で勉強に没頭してしまい、伊勢屋の主人から商売人には向かないからと店を出されてしまう。東京の縁者の元へ行くことになった吾一はそれでも胸をふくらませ東京へ。

ところが久美田住江(沢村貞子)の家では彼女や彼女の妹、加津子(松平富美子)から小僧呼ばわりされてこき使われる。

沢村貞子・松平富美子

その家に下宿している医学生が潮万太郎と江川宇礼雄

潮万太郎・片山明

下宿代をためている豪快な絵描きの熊方(江川宇礼雄)は吾一にポンチ絵をみせて勇気づける。

江川宇礼雄

吾一は勉強がしたくて住江に昼間働くので夜に中学へ行かせてもらえないか?と頼むが一笑にふされる。ランプ掃除していた吾一はランプを全て投げつけその家を飛び出すのだ!

がんばれ吾一!な物語ですが、山本有三は当時の時代背景に影響され、断筆し、未完のままとなった。

島鉄男・片山明

 

わが生涯のかゞやける日 1948年 松竹

監督 吉村公三郎 脚本 新藤兼人

出演 森雅之 山口淑子 滝沢修 宇野重吉 清水将夫 三井弘次 加藤嘉

   村田知栄子 逢初夢子 清水一郎 殿山泰司

山口淑子森雅之

俳優さんたちのメイクが凄くてまるで北野武監督の戦場のメリークリスマス坂本龍一メイクを思い出しました。

関係ないんですが、ここ最近、去年の8月に買った外付けのキーボードのnキーが反応したりしなかったりで先ほどアマゾンで別なもおを苦乳しました

↑ と、いった具合で 別なものを購入が→別なもおを苦乳になってます(;'∀')

先ほど新しいキーボードが置き配で届きました。昨日購入しもう到着。アマゾンありがとう!一応、6か月保証らしいのですが、あまり期待していないで目についた一番安いエレコムのキーボードにしました(前のはバッファロー)。まだキーボードに慣れてない(;^_^A。

滝沢修

終戦前夜、ポツダム宣言を受け入れるべきだという軍?の重鎮、戸田光政を暗殺した青年将校、沼崎敬太(森雅之)は父を守ろうとした娘の節子(山口淑子)から切りつけられる。

終戦後3年経ち、 沼崎はは佐川(滝沢修)という男が経営する明星というキャバレーで手下として働いていた。彼はモルヒネ中毒にもなっており、薬をくれる佐川とは切っても切れない関係となった。佐川は戦後、愛国新聞という新聞社の社長でもあるがその陰で物資の横流しで儲けていた。

佐川のキャバレーに節子がホステスとしてやってきた。彼女は父の暗殺後、終戦となりすっかり変わっっていた。

キャバレーの女、みどり(逢初夢子)と初日早々取っ組み合いの喧嘩になる。

この時の節子(山口淑子)の蓮っ葉加減は半端ない。

山口淑子

逢初夢子

節子を気に入った佐川は愛人だった女(村田知栄子)をあっさり捨て、沼崎に節子に部屋に来るようにいいつける。村田知栄子は滝沢修に惚れていて純情な女。そんな役だったし若かったのでこれまでのイメージの村田知栄子ではなくて画質のせいもあってしばらくその女が村田知栄子だとは思っていなかった。

 

節子は佐川の言うことをきくとみせかけるが、言うことをきかない。

そんな節子に益々 佐川は燃えるのだ。

そして戦時中、検事だった義兄、平林(清水将夫)の就職先を佐川に頼むのだ。

平林は戦後、戦時中に苦しめられた民主主義の人間から憎まれ、いつも怯えて暮らしている。

そんな平林に佐川は経営する新聞社で経理の仕事をさせ、これで節子を自分の女にしようとするのだ。

このシーンで私は節子の本当の兄かと思ったけれど、平和主義者を父にもつ節子の兄が

権力をかさに着てヒドイことをした戦時中の検事だったのかと非常に不思議でしたが記事を書くためにあらすじを読むと義兄とあったので納得しました。

 

山口淑子森雅之

そんなある日、新聞記者の高倉(宇野重吉)が佐川を調べに彼のキャバレーへやってくる。そこで旧知の沼崎をみかけ、佐川の悪徳を暴くためだと沼崎にいう高倉。

宇野重吉森雅之

沼崎は佐川の命令で節子を佐川の別荘へ連れて行くが、ふたりは東京へ帰り、佐川のキャバレーで踊る。それを見た佐川・・・。

ところが沼崎は薬が切れ、佐川にクスリをくれと泣きつくと佐川は邪魔な平林と高倉を決闘させ、相討ちにしてなきものにすることを提案。クスリ欲しさにその条件をのむ沼崎がそこにいた・・。

クスリの恐ろしさが伝わるシーンでした。

清水将夫

三井弘次

佐川の手下のひとりにまだ毛がある若い殿山泰司がいました。三井弘次も手下のひとりですが、殿山泰司は一瞬映るくらいです。

殿山泰司

佐川は沼崎も手下(清水一郎)に襲わせるが、かすり傷程度で節子が面倒をみる。

その時ふと目にした沼崎の腕の傷・・・。

その後、モーレツなキスシーン!美男美女のキスシーンは美しかった。

見てからちょっと時間が経ってしまったのでうろ覚えですが、沼崎は決闘の最中に佐川を殺してしまう。

翌朝、節子と一緒に警察に自首。

 

こんな感じですが、戦時中に痛めつけられたのはもっぱら共産主義者じゃなかったんでしょうかね。まだ占領国日本時代の映画ですから、民主主義者(自由主義者?)が痛めつけられている風になっていますが、さすがに当時のGHQ共産主義が目の仇でしたから変えたんでしょうか。

佐川と一緒にいるインテリ風の加藤嘉はいまいち役どころがわからないけれど、佐川側であることはわかります。

加藤嘉

 

朱唇いまだ消えず  1949年 松竹

監督 渋谷 実 脚本 新藤兼人

出演 高杉早苗 佐分利信 久我美子 高橋トヨ 加藤嘉 杉村春子 清水一郎

   望月優子 三井弘次 佐田啓二

高杉早苗佐分利信

幼馴染だったふたりが再会し、男は妻子持ち、女は夫と死別して一人娘と母と暮らす銀座のバーのマダムとなっている。再び燃え上がる恋心に苦しむ男女!

あまり出来はよくない。新藤兼人脚本はとにかく時間が変なのだ。

朱唇ってルージュ?って読むんでしょうか。

 

母(高橋トヨ)の勧める男と結婚し、娘、君子(久我美子)をもうけた孝子(高杉早苗)だが夫とは死別し、今は銀座のクラブの雇われママをしている。

そんなある日、幼馴染で隣に住んでいた間宮利夫(佐分利信)と再会した。孝子も間宮も恋心を抱いていたが、間宮の父が外地に行くというので一家は引っ越していった。

孝子は母に間宮と結婚させてくれと頼むが母は反対し、彼女は17歳で君子の父となった人と結婚、死別したのだ。(このことは後半、母を責める孝子の言葉で語られる)

 

間宮も昔のことを思い出し、孝子のことが忘れられなくなる。友人(加藤嘉)に相談すると楽しくやればいいじゃないか、まるで中学生のようだなと笑われてしまう。

そんな友人には愛人がいるのだ。加藤嘉ってこういう役もしていたんですね。

佐分利信加藤嘉

孝子のバーのホステス(望月優子)は夫の死後、愛人がいたことがわかり、彼女は荒れる。そんな彼女をみて、間宮と会っていくと今後、自分も間宮の妻に対して同じようなことをするのだと心穏やかでなくなる孝子は間宮からの誘いを断るのだが、間宮は強引に孝子を歌舞伎や音楽会に誘うのだ。

望月優子

孝子は間宮に奥様に会いたいという。間宮家へ訪ねた孝子を間宮の妻(杉浦春子)とまだ幼い娘の恵美子は歓迎する。そんな姿にいたたまれず、孝子は間宮家を後にする。

これで間宮とのことは吹っ切れたと思う孝子だが、偶然、娘の君子が大学生風の男(佐田啓二)といるところを目にする。その晩、君子からその大学生と卒業後は結婚したいと言い出されるが肺病を患った男と(君子が嘘をついて孝子からもらったお金は彼の入院費だというシーンあり)一緒にすることはできないと猛反対。孝子の母はもう少し君子の言い分も聞いてやれというが、そこで孝子は過去に間宮との結婚を許さなかった母を責めるシーンがある。

三井弘次・高杉早苗

どうでもよくなった孝子はバーで酔う。孝子が立ちっぱなしで接客する演出ってどうよ?と思ったが、まぁお客さんの文句もないようなのでw。

そこへ亡き夫に愛人がいたと荒れていた待っちゃん(望月優子)が現れ、なんとこれから新婚旅行に行くのだと新しい夫を連れてくる(笑。

望月優子の夫役はなかなかハンサムであった。

よろしくという待っちゃん(望月優子)の夫

その晩酔った孝子のバーへ間宮が現れ、孝子はなんと熱海へ。銀座から熱海までのタクシー代っていったいいくらなのか?と庶民の私は気になったけれど、富豪となった間宮には関係ない話。

奥さんのことも子供のことも全て忘れて孝子は間宮と一晩過ごす決心をする。

この時の間宮は普通におっさん化していた。

高杉早苗佐分利信

高杉早苗佐分利信

ここで高杉早苗の入浴シーンがちょっと。しかし!東京から間宮の娘が熱を出したという知らせを受けた。間宮は悩む・・・。風呂からあがった孝子。

間宮は今夜は泊まって明日帰っても良いと言うが、孝子は東京へ帰ろうという。

 

バーのマダムである孝子を誘う間宮はなぜかいつも待ち合わせに夕方の5時というんだけど、その後、歌舞伎をみたり、音楽会へ行ったりでいつ孝子はバーで働いているのだろう?と疑問だったが、熱海へ行く晩はさらに時間軸がおかしくてバーで酔った孝子と踊りに行く間宮、その後ふたりはタクシーで熱海へ・・急遽東京へかえるのでまた駅までタクシーで行って東京行きの列車に乗るふたり。大船あたりではもう朝通勤時間?のような明るさ。ふたりは駅で一番列車を待ったのか?それとも夜行に間に合ったのか?

それにしても忙しすぎないか?監督は撮っていてなんとも思わないのか??

酔った孝子のバーはすでに結構な客がいて時間的には8時ごろ?その後、ダンスへ行き、9時過ぎとしても熱海到着って11時くらい?孝子も間宮も悩んだり口説いたりの時間がなさすぎだと思う。

何もなかったがこれでよかったのだと思う孝子は君子に卒業したらその学生と結婚しなさいという。

一方家に帰った間宮は娘の病状がたいしたことはないと知り安堵。そして良心の呵責からか妻を裏切っていたことを告白(裏切ってないんだけど心ということ?)。妻は知っていましたという(ひゃ~~~~~~)。

隣の八重ちゃん時代の高杉早苗はまだ16歳くらいで顔はふっくらしていたが大人(当時30歳くらい)になってシャープな顔立ちに。かたやまだ17,8歳の久我美子の顔はふっくら。その後、元々細い彼女もドンドンしまった顔立ちになった。

 

高杉早苗という女優さんはあの歌舞伎役者で世間を騒がせた市川猿之助の祖母に当たる人で猿之助の父の母だ。いとこの市川中車で俳優でもある香川照之の父、猿翁は彼女の長男だ。彼女が生きていたらどう思うだろうか。

 

バーが銀座にあったという設定なので三越の前(歌舞伎座方面)にあった地下鉄出入り口からでてくる高杉早苗のシーンがある。今はもうこの出入り口はないが「秋立ちぬ(1960年)」の時もこの出入り口がでてくる。

 

孝子と間宮が会うシーンは迎賓館赤坂離宮内部の噴水前で撮影したようで、当時「銀座カンカン娘」でも同じ噴水のシーンがあって結構撮影許可されていたのかもしれない。

この大きな木も迎賓館の敷地の中にあったようだけれど見事です。

 

迎賓館の噴水

家庭画報より