どうでもいいクイズ

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図のような単純ラーメンを考える。
柱ABと柱CDの水平剛性比を5:1とする。梁は完全剛とする。
各々の柱には、軸力が1:5の比率でかかっており水平力Pをさらに加える。
軸力を考慮しない状態での水平力による柱脚曲げモーメントは、柱脚Aと柱脚Dで比率が5:1になるのは自明である。
ここで、節点移動と軸力による付加曲げモーメントをΔMと定義する。いわゆるPΔ効果ね。
柱脚Aと柱脚Dの付加曲げモーメントΔMはどんな比率になるか?

とっても簡単なんだけど、実は各種教科書と設計指針にははっきりと書いていない内容です。教科書的には、1本柱でしか論じていないからPΔ効果により柱の耐力が低下するとか頓珍漢な内容が散見されますが、物理現象としては違うよねというお話。

続きはそのうち書きます。多分。

読了めも

東京大学第二工学部の光芒: 現代高等教育への示唆

東京大学第二工学部の光芒: 現代高等教育への示唆

東大生研に行ってた身としては大変面白いアーカイブです。
こいつらイモ食い過ぎ。白菜育てすぎ。ハゼ釣り過ぎ。
単純に言うと、パトレイバーの特車2課なんだよなぁ。僻地に島流しでのうのうと生活するってのは。
西千葉第二工学部→六本木生研→駒場生研と推移しますが、私の言ってた駒場生研時代ですら第二工学部の名を出す人がいたので、ちょっと本郷とは違う空気が今も残ってます。
というか、言ってた研究室は職員含めて10人規模だったけどプロパーの東大生が一人もいない独立紅蓮部隊だったのは当時の名残か。
5部の建築卒業生のインタビューも面白かったし、このプロジェクトは続けて資料の発掘をしてほしいなぁ。ちなみに、卒業生の中で最も奇人だったのは伊藤ていじだそうです。
あと、佐野利器に干された小野薫学派は柔構造主張してたとかコメント有。同じく佐野利器に京都に飛ばされた坂静雄もたわみ角法やりまくってたんですよねぇ。
はねバド!(5) (アフタヌーンKC)

はねバド!(5) (アフタヌーンKC)

5巻で急激に面白くなりました。おっぱいバドミントン漫画だと思って切った人は是非に最新刊をご覧ください。
原爆を盗め!: 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた

原爆を盗め!: 史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた

どう読んでもフィクションみたいなのですが、れっきとしたノンフィクション。作中の台詞はすべて過去の資料の抜粋となっています。
アメリカもぼちぼち第2次世界大戦の戦跡を文化財登録していることだし、国費を入れて映画化お願いします。
高層建築物の世界史 (講談社現代新書)

高層建築物の世界史 (講談社現代新書)

新書で出すにはもったいない内容の本。全世界の超高層建築物についての非常にまとまった資料なのでオススメ。
幻の代々木公園のタワーとか知らんかったわい。
国立競技場建設記―随想 (1958年)

国立競技場建設記―随想 (1958年)

大成の現場所長による現場日記の編集版。今では絶対にこういう本がないので、同時代の空気を感じるにはうってつけの本です。大変面白い。
神宮の周りにいるアベックが鬱陶しいとか、現場でひと死んだとか、燃えたとか盛りだくさんです。狂ったように毎日爆破してコンクリート打設してます。
新国立でやいのやいの言ってた人の中で、本書を参照した人が誰もいないのが不思議なくらいである。
至道流星の新作シリーズ。作者、マキャベリ大好きだろ。良く見ると能力値が作中最高である。
中世モノはそれはそれでいいんだけど、ぜひとも銀英伝のリメイクっぽいのを書いてほしいなぁ。世界征服してアメリカに核を撃ち込んでいるので、全宇宙経済SFを読みたい。
超高層建築へのアプローチ―霞ケ関ビル (1966年) (超高層建築シリーズ)

超高層建築へのアプローチ―霞ケ関ビル (1966年) (超高層建築シリーズ)

6冊セットにてブックオフで保護。
霞が関ビルの実施前段階の本なんだけど、減衰が1%。お上品な設計。
この時は柱が下層階で曲げてスパン変えてるところあるけど、実際はどうなってたっけ。
文化遺産の眠る海―水中考古学入門 (DOJIN選書)

文化遺産の眠る海―水中考古学入門 (DOJIN選書)

先日武蔵発見のニュースがありましたが、なかなか自国の海域以外の遺産を引き上げるのは難しい模様です。WW2はまだ年月が経っていないので、ユネスコ文化遺産にはならないはずですが、今のうちに海中文化遺産の取り決めをちゃんと海外とやっておかないと後々まずそうです。本書の発行時点で日本は批准していません。

正n角形の断面2次モーメントについて

正n角形の断面2次モーメントが、図心を通る任意の偏角γに対して一定であることを示す。
また、正n角形の断面2次モーメントの一般式の極限値が円の断面2次モーメントに等しいことを示す。

準備計算として、底辺b、高さhの断面2次モーメントをIx、Iyとして定義する。
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{ \displaystyle
I_x = \frac{b^3h}{48} \\
I_y = \frac{bh^3}{4} \\
I_{xy} = 0 \\
ただし \\
b = 2a \sin \theta \\
h = a \cos \theta \\
\theta = \pi / n
とする。
}
X軸廻り及びY軸廻りの断面2次モーメントについて、二等辺三角形の頂点を時計回りに偏角αk回転させた場合のX,Y軸まわりの断面2次モーメントは下記の通りとなる。
{ \displaystyle
I_{Xk} = \frac{I_x + I_y}{2} + \frac{I_x - I_y}{2} \cos2\alpha_k - I_{xy}\sin2\alpha_k \\
\\
I_{Yk} = \frac{I_x + I_y}{2} - \frac{I_x - I_y}{2} \cos2\alpha_k + I_{xy}\sin2\alpha_k \\
}
ここで、偏角αkを下記のように二等辺三角形の頂角に沿うように定義する。
{ \displaystyle
\alpha_k = k \times 2\theta = 2k\theta
}
時計まわりを正として、回転方向に断面2次モーメントを足し合わせることで正n角形(ただしnは3以上の自然数)の断面2次モーメントが算定される。
f:id:ninetailsfox63:20150323160444j:plain
{ \displaystyle
I_{Xn} = \sum_{k=0}^{n-1} \{ \frac{I_x + I_y}{2} + \frac{I_x - I_y}{2} \cos2k\theta - I_{xy}\sin2k\theta \} \\
\\ \\
I_{Yn} = \sum_{k=0}^{n-1} \{ \frac{I_x + I_y}{2} - \frac{I_x - I_y}{2} \cos2k\theta + I_{xy}\sin2k\theta \} \\
I_{XYn} = 0 \\
}
図心まわりに設定していることから断面相乗モーメントは0になる。
ここで、下記を用いて整理する。
{ \displaystyle
I_{xy} = 0 \\
\sum_{k=1}^{n} \cos2k\theta = \frac{\sin n\theta \cos(n+1)\theta}{\sin\theta}  = 0 \\
\theta = \pi/n を代入すると分子が\sin\pi となることから恒等的に0\\
}
すると、
{ \displaystyle
I_{Xn} = n \frac{I_x + I_y}{2} \\
\\
I_{Yn} = n \frac{I_x + I_y}{2} \\
よって、
I_{Xn} = I_{Yn} \\
}
となる。
正n角形の主軸は、断面相乗モーメントが0となる軸である。任意の偏角γとしたときの断面相乗モーメントは下記の通りとなる。
{ \displaystyle
I_{uv} = \frac{I_{Xn} - I_{Yn}}{2} \sin2\gamma + I_{XY}\cos2\gamma \\
I_{Xn} = I_{Yn} , I_{XY} = 0 \\
}
より、恒等的にIuvは0になることから、任意の偏角γに対して常に主軸となる。
よって、正n角形の図心を通る軸に関する任意の方向について断面2次モーメントは常に一定である。
次に、任意の正n角形の断面2次モーメントの極限値が円の断面2次モーメントに収束することを示す。
{ \displaystyle
I = \lim_{n \to \infty}  I_{Xn}= \lim_{n \to \infty} n \frac{I_x + I_y}{2} \\
=  \lim_{n \to \infty} \frac{a^4}{2} n \{\frac{1}{2} \sin\theta \cos^3\theta + \frac{1}{6} \sin^3\theta \cos\theta \} \\
=  \lim_{n \to \infty}  \frac{a^4}{2} n \sin{\frac{\pi}{n}} \cos{\frac{\pi}{n}} \{ \frac{1}{2}\cos^2{\frac{\pi}{n}} + \frac{1}{6} \sin^2{\frac{\pi}{n}} \} \\
\\
}
ここで、m=1/nとする。
{ \displaystyle
I = \lim_{m \to 0} \frac{a^4}{2}\pi \frac{\sin{m\pi}}{m\pi} \cos{m\pi} \{ \frac{1}{2}\cos^2{m\pi} + \frac{1}{6} \sin^2{m\pi} \} \\
= \frac{\pi a^4}{4}
}
以上の検討より、正n角形の断面2次モーメントの極限値は円と同じとなる。

あー、なんか力技ですが終了。
材料力学の本には載ってない計算方法なので、誰か応用力学系の大学院入試問題に使って私に問題作成料くださいです。
何気に積分使わない方法で円の断面2次モーメントを出した人は少ないんじゃないかな。

追記
LaTex記法なんですが、なんか崩れてますね。どうやって直すんじゃろ。
あと、最後の極限値は高校数学Ⅲで言うところのはさみうちの定理を使ってます。人生で初めて有用性を確認しました。
建築構造学事始 | 正多角形断面の図心を通る軸についての断面二次モーメントが軸の方向によらず一定であることの証明
だそうです。私はゴリ押し系計算大好き人間なのでエレガントさのかけらもないということでw


サボり魔から復帰

めっちゃさぼってました。
ついったーランドの方は更新しやすいのですが、まとまった文章を書く気力がない。
良く考えてみたら、元旦から働いているな。10件くらいの同時飽和攻撃をくらうと、疲れるのです。
しかも、今期アニメは豊作な上に、マンガを読んで、小説読んで、あれこれ調査すると仕事をする時間が残らないという。

色々外出したのをてきとーに。
米子と倉吉と下関です。
順不同に。解説する気力なし。

f:id:ninetailsfox63:20150104115335j:plainf:id:ninetailsfox63:20150104123008j:plainf:id:ninetailsfox63:20150104163012j:plainf:id:ninetailsfox63:20150104141338j:plainf:id:ninetailsfox63:20150104093215j:plainf:id:ninetailsfox63:20150104094612j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201124417j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201141004j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201115605j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201152241j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201125703j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201163055j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201160050j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201153140j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201163834j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201164457j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201152342j:plainf:id:ninetailsfox63:20150201152731j:plain

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菊竹ビグザムのこの腐食はやばいって。
基本的に構造耐力どうでもいい派の私ですらちょっとびびる。お高い料金を取るなら補修をかければいいと思うんだけど。まぁ、調査すると補修じゃ済まんね。

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最近のマイブーム。社史の蒐集。
いやこれすごい面白いわ。戦後のGHQがらみの話とか知らない人が多いんじゃないかな。

建築構造の京都シューレ

「建築論」の京都学派―森田慶一と増田友也を中心として (近代文藝社新書)

「建築論」の京都学派―森田慶一と増田友也を中心として (近代文藝社新書)

ウィトルウィウスが何たらとかは興味ないんだけど、京都学派というくくりで建築を見直すというのもありなんだなと思わされた著書。
現代においては京大の建築と言ってもぱっと何も出てこないので、60年前の話で。
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京大の横尾義貫先生の『力感論』にまつわる考えが掲載されています。退職時の記念誌から振り返ってみても、1955年の段階というのはかなり初期の論考かと思いますが、本誌にまとまっている内容と大きく変わっていません。
欧米の組積造に関する感覚と、日本の柱梁文化に関する直感的考察として。

欧米人は重い石を取り扱っていますから、力に対する感じは鋭いと思うんです。日本人は軽い木を使っていたから三尺・六尺ですからせせこましい。ぼくらはこれをサブロク文化と称するんですがね。これには力感なんてないんです。日本人はせっかくの軸組の伝統を持ちながら、力感がにぶいという恐れがないかと思うんですが・・・・。

ポテンシャルエネルギの大小ですね。建築構造における3大ジャンルは、
1.横にだだっ広いやつ
2.縦に長いやつ
3.変な奴
なんだけど、2.が一番重心点と地表とが離れているため、横尾先生の言う力感が必要とされると思います。問題は、縦に長いやつというのはそのまま時の支配者層の建築そのものであるため、別の意味での力も感じ取れなければなりません。
ついでに、宇部の渡辺翁記念館についての構造的コメントが。彼以外でこのアプローチで論評した人を見たことがない。

とにかく構造感、力感は優れた人は持っているようですよ。何も構造力学的真理がいいというわけではないけれども、多少の幅があって、偏れば余剰感があるんです。村野先生の若干の作品はそんな気がするのでsが・・・・。宇部の公会堂なんかメーソンリー的な仕上げですけれども、メーソンリー的な力が働いている感じはあまりしない。どちかというと、力感的には余剰感であるが、かえって美しい劇的なものが感じられる。

興味深い論評です。この特集って1955年だから、まだ現代建築がそんなに立っていない頃の話なんですが、恐ろしく的を射た議論になっています。
あと、横尾先生はギーディオンまで読んだはるわ。えらい!

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大阪の構造勉強会のお題。たくさん人が集まったそうな。
お、六車先生。
建築構造史というのはいろいろな方が研究されているので良いのですが、構造設計法の伝播などについてだれか調べて欲しいところです。これ、結構面白い研究テーマだと思うんだけどなぁ。

と、横尾先生の力感論の伝道者は竹中工務店の長瀬さんかな。OBだから当然とはいえ、去年だったかの建築技術のエッセイ連載などで力感論に基づいた議論をされていてオススメ。ってかはよまとめて書籍化よろ。

今のナントカ大学の名誉教授とかのパッパラパーの老人の戯言よりも、昔の偉い先生の本読んだ方が精神衛生上良いよなと思う新年でしたとさ。

12mmって感じ!

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京都タワー - Wikipedia
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こんな構造形式とは知らなかった京都タワー。行ってきましてよ。
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突合せ継手の食違い仕口のずれの検査・補強マニュアルもってきて確認よろ。
100mの鋼板シェル構造って、船以外では聞いたことないです。減衰不足なので、タワーを得意とするなんとか工務店は早く制震補強するように。構造設計の棚橋諒先生は天才型なので、非常に恐ろしい断面だと思います。基本的に天才型の構造屋の断面は、私のような雑魚からすれば恐るべき断面なんで。
とはいえ、みんなの嫌われ者の京都タワー。ほめている人を見たことないです。
構造設計のマリオ・サルバドリ氏が来日した際も、『あれは醜悪だ』とボロクソの酷評だったようで。多分鋼板シェルということを知らなかったんじゃないかなぁ。

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ちら。
この手の私家版の本って、かなり面白いことが書いてあるんだけど著作権どうなってるんだろ。最後に収録されている『新学問のすすめ』は全文アップしてもいいくらいの良い文章だよ。まぁ、私もはした金でゲットしたし、建築学会の図書館にはあるみたいだから読みたい人は読めるけどね。

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ちら。
大水槽のスロッシング解析のFEM分割の話は20回くらい聞いたので良いのですが。
5000tかぁ。昔は途方もない数値だと思ってたけど、何とかという中間階免震の大臣柱の軸力が6000tとか出現すると、意外に大したことない気がする不思議。まぁ、そんな設計をする奴はただのアホだと思うけど。

建築人国雑記より

CiNii 図書 - 建築人国雑記
1973年発行。建築学会事務局の門番みたいな人だった高杉氏による、出身県別建築者紹介なんだけどこれがめっぽう面白い。よくぞここまで集めたよなと感心します。
ほとんど短文による紹介なので、深いところまで突っ込んでないけどつまみ読みした範囲で。
・葛西萬司事務所は盛岡銀行の大株主だった。
・圓堂政嘉氏は盛岡出身で、父親が銀行家らしいとのこと
掩体壕の設計に貢献したのは高山馨氏で、「無筋コンクリート造円錐体型掩体」で陸軍より技術有功賞を受けているとのこと
・60年代建築雑誌で出てくる「かおる建築研究所」は日大出身で土浦建築事務所を出た村橋阪太によるものだったこと
などなど。人物紹介では、ゴルフが上手いとかダンスが上手とかしょーもないことが多いですが、網羅的に紹介されているので気になりません。
いつぞやか話題に挙げたキング設計事務所。支配人としてエドワード・G・フリーマン氏が紹介されています。豪州軍技術部隊技術部長だったそうなので、やっぱりGHQがらみですね。事務所は極東設計事務所という、CIAの出先機関みたいな名前で設計活動をしています。で、この事務所まだあるわw
日本の現代建築史はモダニズム史観によっており、この手の網羅的な人物集が出ることは未来永劫無いだろうから、そういう意味では貴重かな。

遠藤新の項より

(前略)
北陸のホテルの設計中に佐藤武夫が訪ねたら、生まれたままの裸身で越中ふんどしの後ろからふぐりを垂らして製図板に平然と立ち向かっている光景に肝をつぶしたそうである。

全裸で設計はあかんやろ。