六畳間の窓枠

色々な作品の感想や所感を書いていけたらなと

トラペジウム 感想(2024/05/29)

2回目のトラペジウムを観た。

ぶっちゃけこの映画は観るまでの足取りが非常に重い。本当に重い。

と言うか、何も知らなかった1回目はとにかくとして、全てを知った上で観るには中々に胃が重たくなる作品だと感じてるんだけど、それでも満足行く気持ちになるから「観ない」という選択肢が存在しない辺りが良い作品だなぁとなる。

この映画は各人の個性や内面に抱える思想を独白などに頼らず、仕草や表情といった細かな動作で本当に素晴らしいし、自身の中にある半ばぐずぐずに擦り潰されてペースト状になっていた「何かを追い求める」情熱を叩き起こす撃鉄としてはこれ以上無かったと言うしかない。

とは言え、やはりこの手の過ぎ去った青春の日々を思い起こさせる作品は観賞後の清涼感と満足感がある反面観るまでは非常に辛い。

しかしながら、そんな苦しくも、ワクワクとした気持ちが同居した屈折する心を持つ私はどうしても最低後一回は観なければいけなかった。

何故なら「トラペジウム(原作小説)」を読んだからである。

様々な評判を聞きながら観に行ったとは言え、私の目に映ったは東ゆうは等身大に自信過剰で、迂闊で、自身の未来を掴む為にもがいて足掻いていた少女だったし、その姿に惹かれたからこそ原作小説にまで手を伸ばす事決めたと言っても過言ではなかったと思う。

とは言え、同時に、

"原作を題材にした映画は基本的には原作に忠実な内容を出してくる"

と言う思いもあり、この原作小説「トラペジウム」はあくまでも映画の副読本......東ゆうや大河くるみ、華鳥蘭子、亀井美嘉たちの内面を知る一助になるなら.....という心意気で購入。ついでに四畳半神話大系も買った。

しかし蓋を開けてみれば、前半の出会いや集まり始めてからの描写はかなり違和感無く進む様に改善されていたし、東ゆうが全てを破壊尽くしてからの展開はほぼほぼアニメオリジナルの要素が多くとても驚いた。和解パートと8年後を描くエピローグが非常に短い事に横転した。

アニメは2時間という尺の中で、より説得力が増す描写がふんだんに多く盛る事で最後まで飽きず、どころか「ここをああいう展開に変えた脚本の方すげぇな.....」とアレンジ力の高さに舌を巻く事に。

とは言え。物語として観やすくなった分、東ゆうが本来持ち合わせていた配慮の気持ちや等身大に傷つき悩む部分まで見せれない(だからこそサイコパス云々の感想が跋扈していた面はあるんだろうね)のは非常にもどかしい部分。

しかし美嘉はとにかく、蘭子とくるみの内面描写がほぼ無いのは東ゆう目線からの物語だからとは言え「もうちょい.....欲しいです!!」と言う気持ちを抱く。

真司と東ゆうの掛け合いや描写は作中通してずっと心地良く、仲が良いとも違う....言うなれば"同士"なのだなと直感出来る雰囲気があったのが堪らなく好きだった。

そんな真司が8年後の東ゆうに言った"告白"は、この物語の総括に相応しく、「どうして西南北が東ゆうと言う夢追い人に行先が違っても着いてきたか」を確信出来る部分だと思う。

 

とは言え、どう内容を取っても「これは、脈アリだろ.....」となるので、アイドルを卒業し、女優活動に勤しみ始めた辺りで付き合い始めて、ゴールイン....みたいな展開はやはり見たくなる..........

そんなこんなで、2時間かけて新宿バルト9に赴き、2回目の鑑賞。

2回目ともなれば心の余裕が生まれる。

くるみが東ゆうの自己紹介を聞いた時の微妙な表情は、この時点でちょっと違和感を感じていたのではないか。とか、真司が東ゆうをガン見していたのは彼女が輝いて見えていたから。だったり、美嘉が電車内やライブが終わった楽屋内で誰かに連絡していたり...と、様々な面に目が行く様になったのは周回で観る意味を感じる。

アイドル活動時の描写もかなり追加描写が多くなっていることで、東西南北(仮)がどの様な活動をしていたのか。その上で何故瓦解したのかを如実に描けたのは映像媒体だからこその力も大きいかなぁという印象。

その後にある古賀さんが東ゆうに感謝を伝えるシーンは、もちろん原作の進路相談も良かったけど、こっちの方が自然だしより身近で活動を支えてくれた人が「楽しかった」と言ってくれたからこそ、東ゆうの擦れた胸により刺さる形になっているなと。

特に小説では最後にポン。と置かれる形だった「方位自身」がここまで意味を持つモノに変わっていたのはお見事としか言えない。

小説版「方位自身」は東ゆうのテーマソング、もといソロ曲の印象を受けるが、映画版「方位自身」は東西南北の全体曲。果たせなかったあの時の曲をいつかの未来、当時を振り返りながら歌っている。そんな情景が思い浮かぶ様な雰囲気の違いを感じる。

もちろん、曲の歌詞自体も一部を除いてほぼ置き換わっているので尚更だけど。

しかしこの映画、何度観ても相変わらず大河くるみの挙動が一々可愛い。

見た目や"にぱー"っとした笑顔がド直球で可愛いのは勿論、細々とした動作や表情はもう愛おしいとしか言えない。

8年前の髪型も好きだが、短くしすっきりとした印象を持たせながらも小柄かつどこか草臥れたような雰囲気を携える姿はもう無敵だとしか言えないだろう。

どこまでも可愛い。

萌えの塊、すぎないか.....?

ただ精神が壊れ絶叫するシーンは切実さを感じるアニメも良かったが、原作の冷静なまま壊れちゃった雰囲気の方が好きだったかもしれない....という結論に至った。しかし、媒体ごとの良さがあるので甲乙付け難いと思う気持ちもある。両方好きで良いだろう。

閑話休題

個人的に、この作品で好きなのは東西南北(仮)の解散後という挫折から立ち直る展開辺りなのだけど、それ以上に好きなのが8年後の描写がある事。

8年前の未熟な時期が過ぎ去り、皆がそれぞれの形で自立し、それぞれの道に進んでいる事を知れるのは嬉しいし、同時にそれくらい互いの関係が続いているというのが何よりも嬉しい。

しかし真司が8年振りに連絡を寄越した、という事実は中々胸が熱いというか、律儀な男だと思う。本当に鑑だよ貴方。

小説だと結構話してるけど、映画版だと全然話さないままなのは「東ゆうの物語」として考えたら納得。とはいえやっぱあの小説のやり取りは見たかった....な!の気持ち

蘭子は本当に世界を飛び回っているけど、小説の描写的に東ゆうのライブがある時には戻ってきてる?みたい。サチちゃんと一緒に観に行ってるのが良いですね

作中通して、どれだけ時間が経っても変わらないあの毅然とした雰囲気は安心感あるし、凄く好きだったなぁって

美嘉もちゃんと自分なりの幸せを手に入れてたと言うか、「大河くるみになりたい」と思っていたくらい様々なコンプレックスを持っていた子が、あそこまで晴々とした表情で日々を過ごせているってのは本当に素敵な事だろう

くるみは割愛として、やはり東ゆうがちゃんとアイドルになり、国民的アイドルグループのリーダーにまで登り上がった。と言う事実はやはり込み上げるものがある。

あの挫折の日々を経て、ちゃんと夢を掴んだ。という結果を見せてくれるのは凄く心強いし、現実だとどうしても手に入れられないものはある。だからこそ、東ゆうはちゃんと挫けず手に入れられたよと示してくれるのが何より救いだったと思う。

特に8年前のどこか気張った表情から、自然な笑顔を浮かべれる様になってるのが、色々と垢抜けたんだなって、そう思える

とは言え、やはり東ゆうが言う通り「夢を叶えることの喜びは、叶えた人にしか分からない」ので、8年後の東ゆうの気持ちを全部は理解できないけど。それでも、その言葉に共感まではできるくらいにはなりたいな

小説と映画の最大の違いは、背中を押す人物が「その時々に出会った人」か「駆けずり回って繋いだ縁がある人達」かの違いだろう。

もちろん、尺的な事情もあるだろうけど、連載形式の原作と比べて、1時間半も話を連続させて見せる形のアニメ映画としては見知った人たちが背中を押してくれる形にした事でより心を掴まれる。

特に原作以上に出番が盛られ、前を向くきっかけを作った東ゆうのお母さんの話や、途中からフェードアウトする伊丹さん辺りがそうだろう。古賀さんだってそう。

確かに色々な人を巻き込み、時には傷付け、挫折したあの日々で得た事は、失敗以上の価値があったんだと思う。

 

「何のしがらみもなく好きな事をして、たわいのない話で笑いあって、楽しかったなー。」

 

原作小説にある一文だけど、これがとても強く、印象に残っている。

大人になることは様々な事ができる様になる事でもあり、昔の様に後先考えず突っ走ったり、無謀だ!なんて思う事が中々出来なくなっていく。今も、そう感じている。

だからこそ、あんなにも無茶苦茶をやり切った彼女たちの日々は「青春」と呼ぶに相応しいと感じるし、そう感じるからこそ、もう戻る事は出来ない。戻る事は無いんだな。と、切ない気持ちになる。

星に焦がれ、掴まえようとがむしゃらに走った一瞬とその姿はどこまでも美しく、故にこそ、胸を焼く様な輝きを魅せてくれたのだなと。

昨日、ついに公開四週目の特典が発表された。

正直3回目はどうしようか悩んでいたのだが、その特典を見て、もう一度観に行こうと、そう決意するのでした。

 

公務員 中田忍の悪徳7巻 感想

仲田忍を取り巻く現状の変化、もしくは爆弾的な展開が次巻には存在しているんじゃないか。

6巻のラストと立川先生の「8巻完結」の話の時点で考えていましたが、いざ蓋を開けてみれば仲田忍を取り巻く環境や感情への決着。その号砲と言える内容がこの一巻に凝縮されており本当に凄まじかったです。

濃密に、全てを暴く勢いで描かれるヒロイン達の感情と、その中で今まで以上に揺らぐ仲田忍。

ぶっちゃけ内容が内容なのでかなり読むのに時間を要しましたが、それでも最後まで読んで良かったと、そう思える内容でした。

 

そんな訳で、「公務員、仲田忍の悪徳 7」の感想です。

今回は主にアリエル、由奈、環に主なスポットが当たってる回でしたが、前々からちょいちょい忍への感情を示唆していた環はとにかく.....どころじゃない。「そ、そこまで行くのか.....!?」と読んでいてたまげたレベルの行動を取りましたが、由奈の過去、そして現在に至るまでの過程やその過程の中で埋没させていた好意の気持ちまでキッチリ描き切った事が凄く驚いた部分でした。

今までの忍を揶揄う様な言動も、失恋─無自覚に、でも自覚的だった感情─のショックの感情が反転してしまったものだと判明した今となってはかなり辛いモノがある.....

忍があの時別の言い方をしていたなら由奈の態度も、そして「仲田忍の悪徳」の話もまた別の形になっていたんじゃないか。など色々なIFは想像出来ますが、それは過ぎてしまった過去だし、あの言い方をしてしまった結果生じた紆余曲折な関係性が続いたからこその今があったのかなとも。

それが良いか悪いかは由奈によりけりだとは思いますが、読み手側に居る自分としてはしっかりと向き合った上であの結論に至れたのは良かったんじゃ無いかなと。そう信じてやみません。.......ただ、この物語が終わる時の重要な部分で由奈は関わってきそうだなって気もします。

反対に、環はそうした失敗で一度は折れるも、それを糧に新しい忍との関係性を築いたのはある種の若さから成せるものでもあるし年齢は違えど忍と曲がりなりにも正面から向き合っていたからなのかなと。

新しく出来た同学年のご学友の方も大切に、そして良い関係性を築けたら良いですね.....こうやって世界が広がっていく事ってとても良い事だと思うので。

 

そしてアリエルも刻一刻と終わりの時が近づいていますが、環の指摘で改めてハッとさせられましたね。言われてみればそうか!と唸らされました。

ナシエルの正体は恐らく忍の記憶の中の人物だと仮定して、かなり意識的に描かれていた「瞬きをする」描写と同関わりがあるのか見えてこない.....意識のリセット?うーん....

今回の巻で大体の関係に決着が付きましたが、まだ実像での未登場のナシエルとか由奈絡みの話(こっちもまだ終わってなさそうだし)、そして謎の全てが最終巻で一気に回収出来るんですか!?本当に!?

とにかく、発売も間近な中田忍の悪徳8巻が楽しみですし、7巻も本当に面白くそしてのしかかる様な重さを感じれた内容でした。

 

 

 

 

公務員 中田忍の悪徳7巻 感想

仲田忍を取り巻く現状の変化、もしくは爆弾的な展開が次巻には存在しているんじゃないか。

6巻のラストと立川先生の「8巻完結」の話の時点で考えていましたが、いざ蓋を開けてみれば仲田忍を取り巻く環境や感情への決着。その号砲と言える内容がこの一巻に凝縮されており本当に凄まじかったです。

濃密に、全てを暴く勢いで描かれるヒロイン達の感情と、その中で今まで以上に揺らぐ仲田忍。

ぶっちゃけ内容が内容なのでかなり読むのに時間を要しましたが、それでも最後まで読んで良かったと、そう思える内容でした。

 

そんな訳で、「公務員、仲田忍の悪徳 7」の感想です。

今回は主にアリエル、由奈、環に主なスポットが当たってる回でしたが、前々からちょいちょい忍への感情を示唆していた環はとにかく.....どころじゃない。「そ、そこまで行くのか.....!?」と読んでいてたまげたレベルの行動を取りましたが、由奈の過去、そして現在に至るまでの過程やその過程の中で埋没させていた好意の気持ちまでキッチリ描き切った事が凄く驚いた部分でした。

今までの忍を揶揄う様な言動も、失恋─無自覚に、でも自覚的だった感情─のショックの感情が反転してしまったものだと判明した今となってはかなり辛いモノがある.....

忍があの時別の言い方をしていたなら由奈の態度も、そして「仲田忍の悪徳」の話もまた別の形になっていたんじゃないか。など色々なIFは想像出来ますが、それは過ぎてしまった過去だし、あの言い方をしてしまった結果生じた紆余曲折な関係性が続いたからこその今があったのかなとも。

それが良いか悪いかは由奈によりけりだとは思いますが、読み手側に居る自分としてはしっかりと向き合った上であの結論に至れたのは良かったんじゃ無いかなと。そう信じてやみません。.......ただ、この物語が終わる時の重要な部分で由奈は関わってきそうだなって気もします。

反対に、環はそうした失敗で一度は折れるも、それを糧に新しい忍との関係性を築いたのはある種の若さから成せるものでもあるし年齢は違えど忍と曲がりなりにも正面から向き合っていたからなのかなと。

新しく出来た同学年のご学友の方も大切に、そして良い関係性を築けたら良いですね.....こうやって世界が広がっていく事ってとても良い事だと思うので。

 

そしてアリエルも刻一刻と終わりの時が近づいていますが、環の指摘で改めてハッとさせられましたね。言われてみればそうか!と唸らされました。

ナシエルの正体は恐らく忍の記憶の中の人物だと仮定して、かなり意識的に描かれていた「瞬きをする」描写と同関わりがあるのか見えてこない.....意識のリセット?うーん....

今回の巻で大体の関係に決着が付きましたが、まだ実像での未登場のナシエルとか由奈絡みの話(こっちもまだ終わってなさそうだし)、そして謎の全てが最終巻で一気に回収出来るんですか!?本当に!?

とにかく、発売も間近な中田忍の悪徳8巻が楽しみですし、7巻も本当に面白くそしてのしかかる様な重さを感じれた内容でした。

 

 

 

 

総括,2023年

もう年の瀬。というか大晦日と言う事で2023年を総括。

積もる話と言うほどの積み重ねがあった訳でも無い気がしますが、それでも流石に締めくらいはしておきたいので急いで筆を取った次第。

コミケ終わりかつ時間もそこそこカツカツの状態で書いてるので、記事としての体裁は完全に終わってると思いますがそれでも付き合ってくれれば幸いです。

 

冬コミ、最高の瞬間。(火鳥先生ありがとうございます)

 

2023年自体は自身が就職した事で一人暮らしが始まった事が一番大きな変化だったなと。

バイトでも痛感しましたが、やはり働くことってめちゃくちゃ大変ですね。

そんな思いをして捻り出される給料もまぁしょっぱいですし。やっぱり初期でどの会社を選ぶのか。そもそもどういう進路にするのかを決めておくのは大事だと痛感。

しかしそんな給料でも今まで以上にやれる事の幅は広がったので、給料自体の大切さは身に染みましたね。バカに出来ない。

同時に、今年はアイマスやシャインポスト、ワルキューレサンドリオンといったアイドル系のライブに行く機会が本当に多かった。

特にアイマスは念願叶って!と言う感じなので凄く楽しかった。これから開催のact4のチケットも握りたいですが、倍率がめちゃくちゃ高いとの事で厳しそう。

シャインポストは小規模ながら印象に残るライブをやってくれましたし、未だに自分がワルキューレの居ない世界で生きてるのが正直信じられない。活動休止(半ば解散)と言う事実に未だ心が追いついてない部分があるなって。

そして直近にオタクに連れて行かれたサンドリオンも非常に良かった。確かに狂う‼️とか言ってる奴が居るのも納得です。

他にも、積んでる書籍の幾つかを片付けたり、また増やしたり、ようやく「魔法使いの夜」をプレイ出来た(完全にプレイし終わったら記事に書きたい)事は大きな...と言うよりは、積んでる物が多くある自分にとって進展だった部分だなと。

映画は.....地理的に中々厳しい事もあり必然的に観る作品は縛られてたなと。来年はもう少し多く見たさもある。

 

そして崩壊3rdやブルアカ、アークナイツ等の大陸ゲームに多く課金した年でもありました!!!!!

ソシャゲに懐を破壊される!!!!!!!!!!!!!!!!!!助けて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

課金の結晶達
言うて育ってないのがバレバレだと思いますが許して....

他の人と比べたらマジで微々たる額だと思いますが、だとしても個人的には無視出来ない額を突っ込んでは爆死して顔終わってたので来年はもう少し少額に抑えたいですね。

でもするんだろうな

 

 

なんて、自分にとって楽しい事を優先し過ぎた結果としてイラスト関連の進捗は本当にからっきしの一年だった。

本当に終わってます。

日々気力を振り絞って積んでる作品や物語を読む。ただそれに終始し過ぎてイラストを描く時間が殆ど取れていなかったのは反省点。

冬コミに落ちた辺りからやる気が下火になってたのも拍車を掛けてるとはいえ、にしたって全然描いてない....寄稿用の作品も結局予定通りに出せなかった.....ので来年の目標として「イラストを描く/自分がしたい創作を実現させる為の時間を作る」と言うのは大きく掲げたいなと。

勿論、作品の消化や映画鑑賞とかの娯楽に耽るだろうけど、その労力を少しでも多くイラストに割く努力と実行はちゃんとしたいですね。

考えている創作や、二次創作。特に参加している合同創作で何かしら出して行けたらと思っています。

 

今年も多くの娯楽を消費し、それ以上のやり残しを多くして行きましたが、来年はこういった後悔をなるべく少なくして行きたいですね。本当に心の底から思います。

そして叶うなら転職したい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ホンマにしたい。言ってるだけじゃなくて行動に移せってのはマジでそうなので、こっちもちゃんと行動に移せたらなと。

こう不定形で書いてる時点でダメかもしれないけど。

 

そんな事を書いてる間に届いた今年最後のラスボス

 

新年初めはまほよとか、今年読んだにに感想書けてなかった中田忍やささみさん辺りの感想記事を書きたいですね。目標というより義務として書いておきます。

シロナガス島への帰還やアンリアルライフ辺りも優先的に終わらせたい気持ち。

 

では、また来年。良いお年を〜

ドスケベ催眠術って人助けも出来るらしい──ドスケベ催眠術師の子 感想

ドスケベ、そう名付けられる作品は現代において広く普及している。いや、寧ろし過ぎているのではないか?そう感じる瞬間がある。

いわば現代の世はドスケベ飽和状態と形容しても過言ではない筈だが、そんな中で新たなる「ドスケベ」の印象を引っ提げ、小学館ライトノベル大賞の門戸を叩いた─いや叩き壊した─スタンダードにしてオリジンである「ドスケベ催眠術師の子」は審査員講評でもあった通り飛び道具的な作品だったなと感じるのであった。

 

そういう訳で「ドスケベ催眠術師の子」感想です

タイトルからして優秀賞受賞云々を抜きにしても興味をすっげぇ惹かれる作品でしたが、まさか「ドスケベ催眠術師」というある種エロネタの王道(と勝手に思ってる)をこうも逆手に取った作りになってるとは...という衝撃がありましたね。

主人公であるサジは親にドスケベ催眠術師の父を持つが故に大変な人生を歩み、平穏を得ることになる訳ですが、そんな中現れた「二代目ドスケベ催眠術師」...つまりは父の後継を名乗る真友と出会う事で己の運命と向き合っていく事に...という感じですが、その各部分である「ドスケベ催眠術」を「エロでは無く、人助けの為に使える技術」という形で示してきたのはかなり新しいなと思いましたね。

そりゃ、催眠術=エロ。なんて安直な事は無い訳ですが、このドスケベ飽和状態の社会で見るのはやはりエロ側の使い方な訳で。その印象をこういう形で扱ってくるか!!と思わず笑みを浮かべてしまいました。

そして事前知識として「感動できる!」という話を伺っていましたが、まさか本当に感動出来るとは思わなかった....父の告白ビデオで泣いてしまいましたね....僕の負けです....

後ドスケベ催眠術師魔女狩りは緊迫感があり、ドキドキしました。

 

合理主義かつドスケベ催眠術師の父を持つサジも、最初...というかほぼ最終盤までキレを感じるツッコミをこなしつつ、どこか打算的な行動を行なっていたのはちょいと心象良くないぞ??となった矢先に告白のビデオを通して吹っ切れる、或いは素直になったのは爽やかですし、真友もドスケベ催眠術を扱うだけで名前通りマトモ...いや、言動からしてマトモではない不思議ちゃんなのだが.....なのかと思いきや催眠術のお陰でその他の人間は「肉人形」としか思えず、過去の経歴も本当に悲惨。という「人は見た目で判断出来ない」を多分に抱えたキャラでこれまた驚き。

しかもこの真友とサジという二人のキャラによって「ドスケベ催眠術は人助けに使える」というメインテーマがより強く補強されていたなと。いや、されてないと困るんですけども!!!

何より、真友が高麗川さんに対して「いつか絶対"友達になろ"と言う」宣言をしたのも、このテーマの補完と「過去との和解」や「素直な気持ちを...言おう!」、と言った部分の解消も行なっていたな〜と感じましたね。

 

ソロモンさん......?手に負えないd(

と言うよりはこの方めちゃくちゃしぶとく面の皮厚く生きてるので正直めちゃくちゃ見習いたいですね!!インキャには真昼間まひるの精神力が必要なのかもしれない。

 

本当に一回限りの飛び道具的な側面があるこの物語ですが、それでも根底に込められたメッセージは凄く前向きなモノですし、サジや真友たちの関係がこの後どうなっていくのかもやっぱ気になるので続きが読みたかったりしますね(でも一巻だからこそ完成されてるとも思うので、難しい気持ちだ)。

著者の桂嶋エイダ先生の次回作、楽しみにしています!!

 

 

胡乱な物語は身に染みる。という話──獄門撫子此処ニ在リ 感想

伝奇...怪奇で幻想的な物語という枠で括られる作品、或いはその枠に位置するであろう作品には、やはり心を奪われる。

現実と接しながらも届く事は無い絶妙な距離に位置する作品は、科学やネットが進歩し、限りなく超常現象が解体されつつある現代だからこそ"妙薬"とさえ感じる程の輝きと魅力を持っているのだろうなと、この「獄門撫子此処ニ在リ」という作品を読んで、改めて実感するのだった。

 

今回は「獄門撫子此処ニ在リ」の感想となります。

第17回小学館ライトノベル大賞の大賞作品─応募総数1469作って凄くない?─の大賞受賞作品というのにも目を惹かれますが、それ以上に興味を惹かれたのは今回ゲスト審査員を務めていたTYPE-MOON代表「武内崇」氏の影響が大きかったなと。

というのも、自分がTYPE-MOON作品(特に空の境界)を愛好しているからな訳ですが....、それは兎に角、この作品に興味を持つには十分かつ大きな要素だったと思います。──しかし読んでみれば、そういう要素が無くても発売したら必ず買っていたと確信があります。

なぜなら、こういうタイプの作品はド直球で好きなタイプなので!

 

無耶師と呼ばれる霊能力者、そしてその中でも随一で凶悪な「獄門家」の娘である「獄門撫子」と全てが胡乱で出来ている様な妖しさを持つ大学生「無花果アマナ」のコンビは、今年読んだ作品の中でも随一で好きでした。

鬼の一族。その中でも鬼の血が濃く、言って仕舞えばほぼ人外と言って差し支えなかった撫子が、「無花果アマナ」という人物を通してどんどん人間らしくそして歳相応な面を見せるようになっていき、反対に恐れを知らず、爛漫に行動するアマナは「獄門撫子」という少女を通して己の恐れと向き合う事になっていく展開はとても丁寧かつキャラのも魅力を引き出せていて凄く良かったです。

こういう相容れない、もしくは真逆の立ち位置にいた二人が心を開いていく話はやはり魅力があるし好きなんですよね.....王道には勝てねぇぜ.....

そこに並行して作品世界の用語の開示や登場人物達が増えていく(みんな魅力的!)ので集中して読み続ける事が出来ました。

主役コンビ以外なら冠さんや四月一日白羽と真神雪路も好きですが、強いて言えば獄門桐比等ですね。

冷たさを感じる言動を撫子に何度も浴びせますが、時折見せる優しさ?の様な言葉や、グジを料理する下りのお茶目さが凄く印象に残ってます。左側に居る兄弟?達もなんか可愛さがあって好きですね。本体的には恐ろしいモノなのでしょうけど。

 

後、獄門華珠沙も好きですね。あの凶悪さと軽さを持った言動が特に。

 

物語で現れる怪異や現象は恐らく現実にある要素で構成されてると思いますが、浅学なのもあり「ここ分かるぞ!」「ここは...どうだろ!分からね〜!」ってウンウン思いながら退治の内容を噛み砕いていた時間は楽しかったですね。

そして何より現実に存在する既存の要素を用いた退治方法だからこそ"ロジカル"さを感じれたなと。

そしてその"ロジカル"さが最後に一点に収束していく「ピースが嵌る」あの感覚は本当に脳汁がドバドバ出ますね。断片的な情報が形を成していく展開や、初めの事件が実は一番肝心だったって展開も大好きなので......

この物語の終わりも、この胡乱かつ目紛しい時間を通して、大きな一歩を互いに踏み締めた。そう感じざるを得ない爽やかな終わり方でとても良かったです。凄く良い読了感を持てました。

 

本来ならここで惜しみながらこの作品の続きを読みたい!などと書いてる所ですが、この感想を書き終える前に著者の伏見先生が2巻も鋭意執筆中とツイートしていたので、まだもう少しこの作品の世界、そして撫子とアマナの物語に浸れるのか....と思うと感無量です。

本当に面白い作品だったので、この先のご活躍とこの「獄門撫子此処ニ在リ」2巻、楽しみに待っています....!!

 

 

この混沌"メイヘム"に光あれ──楽園殺し4 夜と星の林檎 感想

ここまで追って来れて良かった!!と思う作品と出会える時が一番興奮するタイミングだと思う事がままある訳だが、この「リベンジャーズ・ハイ」もとい「楽園殺し」と銘打たれた作品は前回発売された1,2でその中の一つになり、今回の3,4巻で自分の中で最高の作品の一つになってしまった!と、そう確信を抱かずにはいられなかった──

 

そんな訳で[楽園し4 夜と星の林檎]、無事に読了しました。

前回はシーリオの過去や2巻のVS人形遣いで意味深な描写がされていたチューm....知海の砂塵能力の開示(とても格好良かった!)、加えて砂塵教と呼ばれる今までとは比べ物にならない程強力な砂塵能力を持つ新たな敵も登場しましたが、何より歌姫ノエルが攫われ、知海も敵の手に堕ちるといった一体全体「どうするねんこの状況」みたいな状況で終わったのもあり、今回は終始ハラハラしてましたね。

同時に驚くのはページ数。なんと519ページ!!

........519ページ!?!?!??

まさか楽園殺しでこんなにも分厚く、より読み応えが高いページ数が出されるのは歓喜の極みだし、読了した今だからこそ改めて水田先生の「削るところは.......ない!!」という言葉の意味を噛み締められますね。

そして今回も美麗かつ「最早どういう描き方をしてるか分からない。」と自分の中で定評のあるイラストレーターのろるあ先生が担当していますが、やはりこの美しさと妖しさが同居するこの作風はもう訳が分かりませんね!どうなってるんでしょう!!

 

 

今回初めにしたいのはシーリオとノエルの関係。幼少の頃から立場は違えど半ば幼馴染として共に育ち、成長し、そして突然別れを告げる事になった二人。ただその想いは時間を経るごとに萎んでいく...訳ない!!寧ろより大きく成熟していってる!!

「歌手になりたい」という夢を抱いたノエルの初期衝動は何の返事も送り返してこないシーリオへの気持ちが核にあったし、同時にシーリオは"夜"になったからこそ、以前よりも増してノエルは「自分の全てを賭して護るべき存在」という気持ちが膨らんでいたなと。

何よりシーリオはジャズハイや楽園殺し1,2巻を読んだ限りでは「冷静沈着」という言葉が似合う様な人物...という印象がありましたが、今回は知海に振り回されて辟易してる様やノエルが攫われた事に対しての動揺する姿、部下に対してなりふり構わず協力を申し込む姿....とより血の通った姿が多く見れてとても良かった。

何よりノエルに関しては鈍感というか、「こ、これで気づかんのかお前は!?!??」みたいな姿を晒してくれて大変良かったです!....てか部分的に将来どうなるかが示唆されてるんだがらはよ幸せになれ。なってくれ。なるべきだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

個人的にこのシーリオ関係で好きな描写は盟主シュテルンに館へ招待され、もてなされてるラストの部分ですね。あそこは微笑ましくも、同時にもう表向きで関わる事は無いんだろうな....という寂しさを湛えているので......

ノエルも淑やかなお嬢様...というよりは芯の部分がめちゃくちゃ強い溌剌とした娘なのが本当に見てて気持ちが良いキャラでした。

 

知海とシルヴィの関係性は、ジャズハイと前回を通して相棒→運命共同体やで!みたいなレベルにまで行き着いたな....と感じてるんですけど、知海を攫われたにも関わらず取り乱さずにまずは落ち着く。を徹底してるシルヴィには成長を感じましたし、知海を慰めるシルヴィマジでヤバいです。凄まじい。ここまでのモノを投げつけられるとは.................

そして洗脳から戻す為の手段もジャズハイの再演をしつつ、明確に「あなたのお兄さんは、わたしがいただいてく」って宣言したのはマジ狂いですよ。強火過ぎる!!

 

ボッチは相変わらずの「俺は俺の道を行くぜ」と感じさせる言動と最大限仲間を信頼しているんだなと思わせる描写が沢山あって良かったですが、まさかここでかぼちゃの仮面に隠された素顔の一端を拝めるとは.....

 

そして今回の敵であるサリサ・リンドールとベルガナム・モートレット。この二人(というかサリサ)は最初険悪な関係だったってホント?ってなるくらいには絶妙に仲が良くて作中で屈指に好きなコンビですね。こういう若干チグハグさを感じさせるコンビが大好き!癖"ハオ"!

互いに異形の砂塵能力を有してますし、何よりベルガナムは本当に人間を辞めていた。ルーガルーの獣人化も「これ砂塵能力?」となるタイプではありましたが、それすらも逸脱した完全な異形には畏れ慄きましたよ.......だからこそ、あの純粋かつ狂気然とした精神と併せて「司教」という立ち位置に居るのが相応しい。と感じる威厳があったのだろうなと。

サリサも環境によって歪められてしまった存在という感じがしましたし、断片的な話から酷い目に遭ってきたのは事実っぽいので何らかの報いはあって欲しい...とは思いますが、昂りながら殺しを行っているのもまた事実なのでキッチリとした裁きとその上で何かしらの報いがあって欲しい。という思いが凄くあります。

しかしこのサリサの存在によって明かされた断片的な情報からしてロロや今回明らかになった「偉大都市」を設立した<Dの一団>の末裔達である盟主は何か裏でとんでもない事に関わってない?

ロロが二種の砂塵能力?と「次元斬り」と呼ばれる力を有している事や15年前の取り決め含めてなんかキナ臭くなってきましたね............

 

この3,4巻で初めて存在が明らかになった「林檎」や<Dの一族>辺りの設定は世界観の拡張性と既存要素の補完の役目を担っていたと思いますが、まさかここで「リベンジャーズ・ハイ」が本当に重要になってくるとは思わないじゃ無いですか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ここ本当にビックリしました。前回の3巻で「ベルガナムを強化したのはスマイリー」って話が出たので、「あー呂暇先生が言ってた繋がり的な側面はここかな?」と思ってた矢先に「スマイリーの林檎」「林檎、もしくはその在り処を知っていた」「エミール・ラフ」「近く争奪戦になる」etc.....ってオイオイオイオイ待ってくださいよ!

呂暇先生がスマイリーをかなり気に入っていたのは結構周知だと思いますけど、まさかこの一連の事件の核部分に居座る存在にまでなっていたとは思わんて!!!!!

更に「札持ち」と呼ばれる存在や寡婦....「マダム・ドルトラ」や白衣を着た男、そして前回何者か(今回この人物が寡婦と判明しましたね)に協力を申し込まれたテスラ・バレーが登場したりと新たな謎や既知の存在がより重要になってくるこの展開は本当に堪らない!血が沸騰してましたよ..........

ラストの七つの林檎と蒸留酒が安置された机も、話の終わりとしては不気味さを湛えてますし、本当にこの先の「偉大都市」やキャラ達の命運はどうなっていくのかより気になる終わりだったなと。

 

あとがきにて「今後の展望は著者にも分かりません」と書いてありましたが、やはり一読者としてはこの捩れながらも集約しつつある因果や因縁がどう決着していくのかを知りたい気持ちで一杯ですが、とはいえやはり”一読者”という立場を逸せないので気長にこの続きやSSなどが世に出るのを待っていたいなと思います。

改めて、本当に読み応えと興奮がある最高の作品をありがとうございました!

願わくば続刊が出ることを!