大京と扶桑レクセル、経営統合検討 UFJ主導か (5/18朝日)

 http://www.asahi.com/business/update/0518/088.html
 経営再建中のマンション分譲最大手・大京東証1部)と、その子会社
でマンション中堅の扶桑レクセル(東証2部)が経営統合を検討している
ことが18日、明らかになった。早ければ来年4月にも統合し、財務・営
業基盤を強化する考えだ。

大京社長にUFJ銀の山崎治平氏(5/17日経)
 http://www.nikkei.co.jp/news/zinzi/20040517AS1D1708Q17052004.html
 大京は17日、UFJ銀行の山崎治平専務執行役員(57)を社長に迎え
る人事を発表した。6月25日に就任する。在任7年の長谷川正治社長(68)
は顧問に退く。主力銀行であるUFJ銀行出身者が二代続けて社長に就
任する。

扶桑レクセル社長に中村護氏(5/17日経)
 http://www.nikkei.co.jp/news/zinzi/20040517AS8TA2E0117052004.html

【コメント】

UFJ銀行は決算発表が迫る中、今期も巨額の損失を計上し、三期連続
 の赤字決算となる模様です。

金融庁中央青山監査法人から、資産査定の厳格化を求められたことに
 起因しています。

★このため金融庁が求めている「3割ルール」が適用され、役員は辞任と
 なります。

★貸倒引当金繰入として損失計上する貸出先には、マンション最大手の大
 京や藤和不動産、大手住宅メーカーのミサワホーム等が含まれています。
 これらの企業はいずれも過去にUFJから金融支援を受けています。

ミサワホームは、既に創業者である三澤千代治氏が代表権のない名誉会
 長となり、昨年退任し、後任の社長にUFJ銀行出身者で東洋不動産の
 債務処理をした水谷和生が持株会社であるミサワホームホールディング
 スの社長に就任しています。

大京も2期連続でUFJ銀行出身者の社長を迎えることとなったようで
 す。これまでの売れ残り在庫である棚卸資産の処理や紀尾井町ビルの売
 却等に加え、子会社である扶桑レクセルとの経営統合UFJ主導の事
 業処理がすすめられています。

★メインバンクの資産査定厳格化をうけて、これらの企業のリストラは今
 後大きな注目を集めることになりそうです。

★とりあえずは、直前に迫っている各企業の決算発表に注目したいとおも
 います。

年金法案、参院で実質審議入り

 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20040518AT1E1800218052004.html

 年金制度改革法案は18日午前、参院厚生労働委員会で実質審議に入った。民
主党は審議を通じ小泉純一郎首相や閣僚の国民保険未納・未加入問題を追及し、
廃案に追い込みたい考え。与党は6月初旬の成立を目指しており、激しい攻防
が展開される見通しだ。

【コメント】

★年金未納問題で揺れた年金制度改革法案が参議院の審議に入りました。

★今後、特に波乱がなければ、委員会で採決された後、参議院本会議で議決、
 法案成立となります。

★これまでの年金騒動は、未納議員の大量発覚という副産物をもたらしました。

★個人的には義務化されているとはいえ、給付は支払額に対応しているもので
 あるため脱税とは次元の違う問題だと思います。5kmオーバーのスピード違
 反程度の軽い罪ぐらいだと思います。

★しかも、現在の未納議員の年代を考えれば、年金給付が最も恵まれた年代で
 支払うべきであった額を大幅に超える給付を放棄してくれたのです。この年
 代の未納は年金財政に貢献してくれたともいえます。


年金問題の本質は決して、未納者が数多くいることではありません。未納者
 が多いほど、将来の負担は減るのです。長期で見れば、税金投入がある分年
 金未納が多くいればいるほど安上がりなのです。負担をしている人が多いほ
 ど、将来の給付という長期債務がふくれあがるのが年金財政なのです。

★あえていえば年金問題の本質は、
 ・世代間の支払と給付の問題(現役世代の支払額と受給世代の給付額との関
  係)
  →少子高齢化を前提にすれば、負担と給付の関係とともに、年金への税金
   投入をどれだけ行うのか
 ・所得間の給付についての問題(低所得者高所得者との年金額の関係)
  →報酬比例部分を保証するのか、低所得者の最低限の基礎部分を厚くする
   のか
 なのではないでしょうか。

★この点で、民主党案は十分に議論する素地はできていたと思われますが、結
 局、この本質については、十分議論されることのないまま問題が先送りされ
 ることとなりそうなのは確かです。

鹿島、老朽ビル再生事業に参入――まず東京・北青山で(5/12日経)

http://sumai.nikkei.co.jp/news/latestnews/index.cfm?i=2004051109557p2

 鹿島はマンション中堅のアーバンコーポレイションと組み、老朽ビルの再生
事業を始めた。第一弾として東京・北青山にある築39年のオフィスビルを店舗
を含む複合ビルに改装し、収益性を高める。都心の不動産需要が回復し始めた
のを受け、両社は年3棟のペースで再生事業を手がけていく。

 鹿島が改装に着手したのは旧日産火災海上保険の本社ビル。アーバンコーポ
特定目的会社(SPC)を通じて信託方式でビルを取得し、鹿島が内外装や
空調などの設備を一新する。不動産投資信託(REIT)などに売却しキャピ
タルゲインを得る計画だ。

【コメント】

★不動産ファンドが収益を得る手法として、最も手軽かつ頻繁に行われるのが
 バリューアップといわれる手法です。既存の老朽ビルを安値で取得し、改装
 して価値を高めた上で短期間で売却するという手法です。

★通常の開発型の更地に建物を建設することと比べれば、ローリスクかつ短期
 での資金回収が見込める点です。

★不動産ファンド、外資投資ファンド不良債権問題の追い風もあって、こ
 こ数年で収益を挙げてきたビジネスモデルです。

★これらの不動産ファンドは、資金調達方法を短期に限定して、投資家に利益
 を還元するため、ビルを保有し続けインカムゲインを得ることは困難です。

★このためバリューアップ手法の受け皿として、インカムゲインによる収益を
 目的とする不動産の売却先が必要です。この受け皿としてREITはもはや
 最重要の売却先となっています。

★しかしながら裏を返せば、REITが取得する物件は、バリューアップがさ
 れた後のものであるためREIT自体がキャピタルゲインを得ることは困難
 になっています。

★REITの魅力は賃料収入という安定収益にありますが、開発型案件を取り
 扱ったのは日本ビルファンドで昨年あったぐらいなのではないでしょうか
 (他にもあるかも知れません、わかる方いましたら教えてください)。

★不動産取得競争が激しくなる中で、REITが収益力を維持したままの外部
 拡大が難しくなっているようです。REIT自体がバリューアップを含めた
 開発型案件を手がけていく必要があるのかも知れません。

住宅着工、3月6.9%増――昨年度117万戸、4年ぶり増

 http://sumai.nikkei.co.jp/news/latestnews/index.cfm?i=2004043009908p2

 国土交通省が30日発表した3月の新設住宅着工戸数は前年同月比6.9%増の9
万3285戸で、4カ月連続で増えた。昨年度通期でも前年度比2.5%増の117万
3649戸と4年ぶりに増加に転じた。

【コメント】

★平成15年度の住宅着工が4年ぶりの前年度増となりました。今年に入って
 も、着工数は堅調に推移しています。

★昨年度までは、戸建住宅の着工の落ち込みを大都市圏のマンション着工の増
 加で埋め合わせていた格好となっていましたが、今年度は分譲戸建て住宅の
 着工が大幅に伸びています。この傾向は、特に首都圏で際立っています。

★首都圏の住宅着工のけん引役が、マンションから分譲戸建住宅へとバトンタ
 ッチしたと見てもよいかと思われます。

★この戸建住宅の着工増の要因は、「団塊ジュニア」と「パワービルダー」と
 いう二つのキーワードで説明が可能です。

★「団塊ジュニア」層は、30代にさしかかり、住宅の一時取得層と重なって
 いることで、需要が顕在化しており、一方で、この一時取得層に低価格で土
 地つきの住宅を供給しているのが「パワービルダー」です。

★首都圏でのパワービルダーの代表格といえば、東栄住宅飯田産業等が挙げ
 られます。
 ●東栄住宅 http://www.touei.co.jp/
 ●飯田産業 http://www.iidasangyo.co.jp/

★パワービルダーの特徴としては、
 ○地域特化
 ○分譲メインで、ほか建築条件付等の宅地販売も行うこと
 ○展示場などを持たず、固定費用をかけないこと
 ○資材の中間マージン排除、一括発注等を行っていること
 ○資本回転が早いこと(土地の仕入れから販売までが半年以内)
 といった点でしょう。

★また、パワービルダーとまではいかなくとも、マンション分譲と比べて、小
 規模の土地でも開発可能である点、初期投資費用が小さく、回収期間が短い
 点等で参入障壁が低いと考えられ、中小の不動産仲介業者も分譲戸建事業に
 乗り出しています。

★以前に、団塊ジュニアの需要はそれほど大きくないと考えていましたが、こ
 のような低価格(2,000万〜3,000万)での土地付き戸建供給が需要を掘り出
 しており、考えを改めなければなりません。

★ただこの傾向は、現在のところ首都圏で特にみられるものであり、今後中部
 圏、近畿圏でもパワービルダーがどれだけの影響を及ぼすのかが今年度の注
 目です。

東電、オール電化マンションの賃貸事業(4/21日経産業新聞)

 http://sumai.nikkei.co.jp/news/mansion/index.cfm?i=2004042009127n1

 東京電力は、台所や浴室の熱源も含めエネルギーをすべて電力で賄う「オー
ル電化マンション」事業を強化する。全額出資子会社の東電不動産管理(東京
・中央)が、オール電化の賃貸マンション事業に参入。分譲では野村不動産
ど大手不動産業者と共同で、オール電化マンションの開発を始める。マンショ
ン開発を通じ、電力の需要拡大につなげたい考え。


【コメント】

★マンションなどの大規模の建築物へのエネルギー供給を巡り、ガス会社と電
 力会社での競合が見られます。

★一般的な供給手法として、
 ・ガスと電気による併用
 ・オール電化
 のいずれかに大別できます。

★ガス会社が力を入れるのは、コージェネレーションシステムといわれる、都
 市ガスを燃焼させてその場で発電を行うシステムです。また、ここで生じた
 排熱も直接利用が可能となります。

★工場や大型オフィスでは、かなり普及しており、六本木ヒルズにも導入され
 ています。マンションでも大型のものであれば、今後導入の可能性もあるで
 しょう。

★一方電力会社は、「エコキュート」等の蓄熱給湯機を開発し、クッキングヒ
 ーターもハイパワー化しており、従来の電化住宅の欠点がなくなりつつあり
 ます。

東京電力は、大手分譲マンション会社8社と共同で「次世代マンション研究
 会」を2003年11月に発足させています。囲い込み戦略の布石を打ったとの見
 方もできます。

★新エネルギーの切り札となるのかはわかりませんが、住宅用燃料電池の開発
 も実用化まではまだ時間がかかりそうですが、必要となる水素の供給源は都
 市ガスであり、燃料電池が普及すればガス会社の収益源となります。

★さらに、ガス又は電気にからだけではなく、今後は太陽光発電の活用も視野
 に入れる必要がありそうです。発電効率を格段に向上させたパネルをシャー
 プが開発しています。

★現在、さまざまなエネルギー供給方式が導入され、まさに住宅エネルギー戦
 争の時代といえます。果たして、勝ち残るのはどの供給方式なのでしょうか。

不動産ファンド、首都圏外に照準

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20040426AT2D2302526042004.html

 大阪、広島など首都圏以外の物件で運用する不動産ファンドが増えている。
地方の優良物件に割安感が強まっていることに着目、高利回りにつなげるのが
狙い。首都圏の物件が中心だった不動産ファンドが多様化しつつある。


【コメント】

★不動産ファンドとして、私募ファンドやREITなどの運用では、新規物件
 の取得による外部拡大が困難になっています。

★この記事は、地方にも不動産ファンドが積極的に進出した背景には、首都圏
 でのファンドどうしの競争が過熱化し、高値でしか取得ができない状況なの
 です。

★このため、プロパティマネジメント面やリスク面を割り引いてでも、競合の
 少ない地方での物件取得へやむを得ずシフトを取ったという見方もできます。

★決して、地方に対するプラス面のみを評価して進出しているわけではないと
 考えています。

★特に注目しているのが、オリックスREITです。首都圏の中小の良質とは
 言い難い物件を多く集めて組成しましたが、高利回りの実績があります。高
 利回り維持のために、方針の転換があったようですが、今のところ具体的な
 動きはありません。

オリックスREITには今後の配当と外部拡大の関係に注目したいと思いま
 す。

不動産ファンド、首都圏外に照準

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20040426AT2D2302526042004.html

 大阪、広島など首都圏以外の物件で運用する不動産ファンドが増えている。
地方の優良物件に割安感が強まっていることに着目、高利回りにつなげるのが
狙い。首都圏の物件が中心だった不動産ファンドが多様化しつつある。


【コメント】

★不動産ファンドとして、私募ファンドやREITなどの運用では、新規物件
 の取得による外部拡大が困難になっています。

★この記事は、地方にも不動産ファンドが積極的に進出した背景には、首都圏
 でのファンドどうしの競争が過熱化し、高値でしか取得ができない状況なの
 です。

★このため、プロパティマネジメント面やリスク面を割り引いてでも、競合の
 少ない地方での物件取得へやむを得ずシフトを取ったという見方もできます。

★決して、地方に対するプラス面のみを評価して進出しているわけではないと
 考えています。

★特に注目しているのが、オリックスREITです。首都圏の中小の良質とは
 言い難い物件を多く集めて組成しましたが、高利回りの実績があります。高
 利回り維持のために、方針の転換があったようですが、今のところ具体的な
 動きはありません。

オリックスREITには今後の配当と外部拡大の関係に注目したいと思いま
 す。