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独楽鼠吾郎のはてな日記

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映画「この世界の片隅に」で描かれた生活とイエメンの爆撃

「この世界(さらにいくつもの)の片隅に」の公開が決まりました。
今年12月の公開が非常に楽しみです。
www.youtube.com

映画「この世界の片隅に」は、今まで僕が感じていた太平洋戦争中の日本のイメージを覆すものでした。
この映画を見るまで、戦時中の日本は絶望と狂気に包まれていて、その時代の生活は鬱屈した暗黒時代とでも言うようなものだと思っていました。
そのイメージは完全に間違ったものではないかもしれませんが、戦時中でも人々には普通の生活があり、笑顔があり、仕事や人間関係、家族の悩みがありました。
映画の中で描かれた「普通の生活」が存在したことに、初めて気が付きました。

慣れない土地での小姑との付き合い、
町内会での寄り合い、
家庭を切り盛りする大変さ、

それを戦争という非常事態が包んではいましたが、あくまでもその時代の人たちにとっては普通の生活を営むことこそが最も大切なことでした。
そこに、原爆という圧倒的な暴力がやってきます。
街も、人も、生活も粉々にする圧倒的な暴力です。

物語は最後に、すずさん達が普通の生活を再び組み立てた、強さと優しさを描いて終わりました。
原爆や戦争があっても人間の生活が終わることはありませんが、絶大な影響と破壊をもたらすことは間違いなく、だからこそ絶対に繰り返してはいけないのだと感じました。

そして先日、イエメン北部サーダという場所が爆撃されたニュースを見ました。
爆撃されたのは遠足に行く子どもたちが乗ったバスです。
news.livedoor.com
イエメン北部サーダという場所をGoogleマップで見てみました。
赤茶けた大地に畑と小さな家が散らばる田舎町です。
www.google.co.jp
子どもたちは遠足を楽しみにしていて、親たちもお弁当を準備してカバンに詰め込んで持たせ、帰ってきたら一緒にご飯を食べて、その日の出来事を話し合ったと思います。
日本の生活と同じような一日があったはずです。
爆撃されたのは、そんな子どもたちだと思います。

この世界の片隅に」のような、普通の生活が突然理不尽な暴力で破壊されるようなことが、現在も起きています。
この爆撃で亡くなったのは極悪非道な罪人ではなく、ささやかな遠足を楽しみにしていた普通の子どもです。
絶対に殺されてはならない人たちが殺されています。

一本の映画と現在進行形で続く悲劇を並べる事が間違いかもしれません。
ですが、すべてを砕く、理不尽な破壊を繰り返してはならないし、それを他者に押し付けることも間違っています。

世界の生活水準が上がり、貧困と破壊がすべての人にとって過去のものになりますように。