虹をみた。

窓の外に輝くような眩い光を放つ七色の虹を…

空は鈍く鉛のような色をとどめているのに…

あまりにも美しくて見惚れてしまう七色の虹を…

七色の虹が示すのは希望なのだろうか。

少しずつ雲の狭間から見えはじめる青空。

温かで穏やかな陽射しが加わる。

さらに眩い光を放つ七色の虹を見つめる。

ただ見つめる。

見つめているだけで温かな気持ちになる。

そんな虹をみた。

扉を開け大きく息を吸い込んだ。

身体中に小さな冷たさが広がっていく。

吐く息は白く白く…どこまでも続くように白く。

もう冬がやって来たのだと気づく。

冷えた指先を温めながら歩く。

そっと空をみるとマジックアワー。

オレンジ色の空が温かさを伝えようとしている。

僕には届かない温かさを伝えようとしている。

白い息とともに思いも漏れた。

あぁ、明日も晴れるといいなぁ…

あのこ

トコトコ、トコトコ歩いてる。

小さなあの児が歩いてる。

わたしの後を追いながら、トコトコ、トコトコ歩いてる。

わたしが止まるとあの児も止まる。

クリクリした瞳でジッと見あげ、歩こうと誘うように笑う。

可愛い小さな手がわたしの手に触れる。

温かくて柔らかな手を、そっと握ると嬉しそうに笑う。

あの児の小さな手を宝物のように、優しく優しく握りしめる。

そっと抱きしめると甘い匂いと優しさに包まれる。

あの児を護れるように…

あの児のそばで。

雨音

窓を濡らす雫が美しすぎて…

私の頬を伝う雫が悲しすぎて…

この部屋の中は寂しすぎて…

雨音だけが響く

からっぽの心の中で雨音だけが響く

冷たさのベールをまといひとり佇む

この部屋に雨音だけが響く

私の哀しみを流すように雨音だけが響く

おはよう

穏やかな陽射しが、この部屋を照らす。

新しい朝がおとずれる。

おはよう、おはよう、おはよう。

笑顔で告げる、おはよう。

少し冷たい風を感じながら告げる、おはよう。

気づけば茜色の空に守られながら闇のおとずれを待つ。

おはようが姿を消す。

今日という瞬間の終わりを迎え、また昨日が生まれる。

またおとずれる穏やかな陽射しを待ちながら…

 

告白

あなたと出逢って5年が過ぎようとしている。

私にとっては運命の出逢い。

一瞬で恋に落ちたのだから。

クリクリとした大きな瞳は、くるくるとよく動き表情を変える。

照れくさそうに笑うたび、右の口角が少しあがる。

大きな手は何もかもを包み込んでくれそうで、少し触れてみたくなる。

広めの背中に甘えてみたくなる。

声が聴きたくて、あなたを近くで感じたくて…

もっとそばに居たくて…

あなたと一緒の世界が見たくて…

わたしのこんな気持ちに、あなたは気づいてるかな。

気づかない振りをしているの。

あなたが求めるのは私の強さと甘さ。

危うくて壊れてしまいそうなアンバランスな関係なのに…続いてる。

互いに必要で、失うことが怖いと想いあっている…不思議な関係。

いいよ。

このままで、ずっとあなたと一緒に生きていけるなら。

これ以上は望まないから。

あなたを失うことが怖いから。

ただ今だけ言わせて…愛してると。