どこか懐かしい「ストレンジャー・シングス」シーズン1感想
- ストレンジャー・シングス Stranger Things
- 公開: アメリカ/2016
- 制作: ザ・ダファー・ブラザーズ
- 主演: ウィノナ・ライダー、デヴィッド・ハーバー、フィン・ボルフハルト
社会現象が起きた大ヒットドラマ
アメリカで大ヒットしたネットフリックスオリジナルドラマ「ストレンジャー・シングス」。エミー賞に18部門もノミネートされている評価の高い作品でもある。
なんでもSNSや口コミで広まって大ヒットしたらしいのだ。なかなかコアなファンが多そうである。
私が思うに、何故そんなに話題になったのかというと、作品自体の面白さももちろんあるがこのドラマを観ていると、作中に散りばめられている元ネタや謎の考察を誰かと共有したくなってくるからだ。
「ストレンジャー・シングス」には1980年代の映画や音楽のオマージュで溢れていて、その元ネタ達だけでドラマのほぼ全編を構築していると言っても過言ではないほど。
80年代アメリカ映画、特にスピルバーグ監督やスティーヴン・キング原作が好きな人にとって「ストレンジャー・シングス」は既視感満載の素敵な体験が出来ることだろう。
先日、街を歩いていたら「ストレンジャー・シングス」のロゴが入ったTシャツを着ている人がいて、思わず声をかけたくなった。かけなかったけど。
アメリカ的ジュブナイル
「ストレンジャー・シングス」は80年代のアメリカの田舎町を舞台にしている。スマホなどの電子機器はもちろん無くて、カセットテープなどの懐かしい物が随所に観れる。
主人公のマイクは初等部の子供で、仲の良いクラスメイトのダスティン、ルーカス、ウィルと4人組でよく地下室に集まってRPG風ボードゲームで遊んでいた。
ところが、ある日仲間の一人のウィルが行方不明になってしまった。ウィルの母親(ウィノナ・ライダー)や警視長(デヴィッド・ハーバー)、そして町の住人もウィルの行方を捜索し始める。
そんな中、ウィル捜索をしていたマイク達の前に謎の少女イレブンが現れる!
といった感じの若干のホラーが入ったサスペンスドラマだ。
以下若干のネタバレ
イレブンがETっぽい
この謎の少女イレブンが物語のキーパーソンになってくるんだけど、彼女の登場から仕草など全てがスピルバーグの「E.T.」に出てくるエイリアンにそっくりなのだ。
80年代アメリカ映画にはあまり詳しくはないが、「E.T.」は流石に観たことがある。「E.T.」オマージュシーンとして、ざっと挙げると
夜の森を子ども達が自転車で走り回る、イレブンと遭遇するシーン、イレブンのテレビ視聴、イレブンの女装(女の子だけど坊主だったため)、イレブンを自転車に乗せての逃走などなど自分が分かるシーンだけでもこれだけある。
あとイレブンが超能力を使うのは「キャリー」っぽい恐ろしさがある。
デヴィッド・ハーバーがジャック・ニコルソンっぽい
「ストレンジャー・シングス」を観ていて、デヴィッド・ハーバー演じる署長のホッパーが個人的にとても良くて、昔のジャック・ニコルソンに激似(だと思う)。
キューブロックの「シャイニング」へのオマージュのために監督からジャック・ニコルソンに寄せる様に指示があったかもしれない(憶測)。
ホッパーは娘のトラウマ(ドラマ終盤で詳細がある)を抱え心に深い傷を負っていた軽いアル中駄目デカだった。ウィル捜索に乗り出すがなかなか進展もない。進展もないので、ウィノナ・ライダー演じるウィルの母親ジョイスのヒステリックもエスカレートしていく。
しかし、段々と真相に近づいていくホッパーが自らの危険を顧みず、巨大な悪の組織に立ち向かっていく事になる。
この展開は王道中の王道だけど、なかなかアツいものがある。善良な警備員達へのホッパーの容赦ない暴力も必見だ!!
あの可憐なウィノナ・ライダーはもういない
「エイリアン4」の時のあの可憐なウィノナ・ライダーからは似ても似つかないほど、今作のウィノナ・ライダー演じるウィル母ジョイスは強烈だ。
特に母親特有のヒステリック演技は鬼気迫るものがあってすごい。
ホッパーが「シャイニング」のジャック・ニコルソンに似てるって言ったけど、劇中で「シャイニング」まんまのシーンがある。
しかもそれを再現したのは、ホッパーではなくジョイスだった。
ウィルの声が家の壁から聞こえるとして、ジョイスが斧を思いっきり振りかざして家の壁を破壊する!
まさにシャイニングの名シーンの完コピだ。壁の中に本当にウィルがいたら斧が直撃して大惨事になっていたことだろう。
そういえばスピルバーグの「レディプレイヤー1」も「シャイニング」へのオマージュ満載の楽しい映画だった。