西畑担が祝うとき

 

 

 

「ジャニーズから新しいグループ、デビューするらしいよ?」

 

この知らせを聞いたのは2018年1月17日の夕方。5日後に控えた大学の期末試験に向けて猛勉強していたときだった。姉から言われて知った。

 

 


〖 King&Prince デビュー! 〗

 

 

 

6人の名前と共に、こう書いてあった。
ついにこの時が来たのかと、来るべき日が来たのだと思った。そして、それと同時に、なぜか6人であることに安堵した。

おそらく、“ 3分の2 ” よりも、“ 6分の2 ” の方が、わたし的には好都合だったのだろう。しょうれんだけに目が行くことが少なくなる。そんなところだろう。別に彼らが嫌いなわけではない。むしろ好きだ。応援している。そして、誇りに思っている。

 


だがしかし何を隠そう、わたしはなにきんが好きだった。
なにきんの中にいる西畑大吾に出会ったのだ。

 

決して目立つ存在ではなかった。関西人なのにお世辞でも面白いと思うことをいう子でもなかった。白くて細くて、紫耀や柊真と同い年に見えない子だった。自分でも不思議だけど好きになったのだ。

わたしは関西に住んでいるわけでもなく、ましてや大阪まで新幹線で往復2万以上かかるところに住んでいる。数え切れないくらい松竹座に、彼らのために、足を運んだわけではない。

 

それでも、彼らがなにきんとしてグループとして個々として成長していく姿は見てきたつもりだ。

 


いつからか、6人でデビューしてほしいなぁ、なんて思うようにもなった。関西の先輩であるジャニーズWESTがデビューしたときは本当に絶頂だったと思う。

個々の仕事が増えることも嬉しかった。離れ離れになるという感覚はなかった。なにきんに風が吹いているのだと思っていた。個々での仕事を祝ったり、番組で取り上げたり、そんなふうにする彼らが愛おしかったのだ。必ず関西へと戻ってくるしょうれんがいたから、彼らの仕事は喜ばしかった。

 

 

 

だけど、世の中はそんな甘いものではなかった。

 

 

 

2015年春、金内柊真が事務所を退所し、その後しょうれんは正式に東京へ行った。

3人が関西で活動を続けることとなった。

そしてわたしは高校3年生の受験に忙しくしていた。
だから、バラバラになったばかりのそれぞれの活躍をわたしは知らない。

 

 

 

世の中、上手く出来ている。

 

 

 

わたしは単細胞なのだろうか。本気でそう思った。見たくないものを受験という理由で見ないようにすることができた。わたしの中での彼らとの思い出は止まったままだった。

 

 

 

 

気がついた時は、もともと関西でも圧倒的な人気を誇っていたから当たり前のことかもしれないが、東京でMr.KINGがすごく人気だった。

 


そして、関西では、康ちゃん大ちゃんと呼び合う2人と、少し見ないだけで大人っぽくなったりゅちぇが、関西を引っ張る姿があった。

 

はじめこそ、すごく不思議な感覚だった。
それでも今や関西の圧倒的センター西畑大吾と言われるほどになった。今年の初めには、あの大阪城ホールで彼がセンターに立ち歌ったのだ。まだ6人揃ってのまいジャニに出ていた頃、“ 嵐さんの、二宮くんの、曲をソロで歌いたい ” と言っていた。今やこれが定着しつつあるのだ。ましてや憧れの先輩と共演し、交友を持っている。あの頃のわたしに、いや本人でさえ、こんな未来が想像できただろうか。しょうれんだけがソロをやっていた頃から思うと大した出世だ。

 

わたしは素直に嬉しかった。めちゃくちゃ嬉しい。彼の見せてくれる世界はいつだって新しいものだった。成長した姿だった。

 

しょうれんが抜けたから目立つようになった、そんな始まりだったのかもしれない。それでも今は、“ なるべくしてなった” 存在だとそう思える。今の関西Jr.に不服はない。彼が引っ張る関西Jr.が、みんなで足踏みを揃えて進んでいく関西Jr.が大好きだ。ここには偽りなんてない。

 

 

だが、この気持ちとは裏腹に、

 

“ はじめて見る西畑大吾が今だったら、

   センターにいる西畑大吾なら、

   好きになっていないかもしれない ”

 

と、思うのだ。

 

 

きっとわたしは、なにきんである西畑大吾だから好きになったのだと思う。
平野紫耀、永瀬廉という2人がいて、その隣にもしくは端にいる彼だからこそ好きになったのだと思う。

だが理由がどうであれ、なにきんが事実上解散となった今でも西畑大吾が好きだ。この気持ちがあることに救われている。そして、何度も言うが関西Jr.が大好きだ。

 

 


西畑大吾を好きな身としては、しょうれんにはジャニーズ、芸能界という世界の現実を見せられたように思う。


それでも、“ おめでとう ” のあとに、“ 俺らも負けてられない ” と言ってくれる彼のこの言葉にすべてを託して、端にいた子がセンターで魅せてくれる姿に夢を乗せたいと、そう思う。

 

いつかも言ったことがあるが、どんな形であれ、何年後かに、平野紫耀向井康二、永瀬廉、西畑大吾大西流星 この5人が同じステージで肩を並べられたら素敵だとすごく思う。今のわたしはそれを望んでいる。

 

 


わたしは、アイドルである彼らが選んで進んできた道はすべて正しいと思っている。そうすることでしか、見守って、応援することしかできないからだ。

 

だから、King&Prince としてのデビューがわたしが望んだ結末じゃなくても、これで良かったんだと思える “ 未来 ” があるのなら、正しい選択なのだ。そう思えるくらい彼らが好きだということだから。

 

立場も拠点も変わっても、変わらない関係でいてくれる彼らがいるから、今までもこれからも、なにきんが好きで、しょうれんを応援したいと思えるのだ。

 

 

ただ、矛盾しているが、心の奥底からKing&Princeのデビューを祝えるのは、きっと、西畑大吾が、関西の仲間たちとデビューしてからなのかもしれない。

 

これだけは正直自分でも分からない。今でも祝ってないわけではないから。いろんな感情が渦を巻いている。

 

だけど、こんな思いを抱きつつも、関西ジャニーズJr.としての平野紫耀と永瀬廉に出会えたことが幸せだと思えるから不思議だ。

 

 

 

最後になるが、

たとえこの先どんなことがあれ、どんな思いをしようとも、わたしは、

 

“ ジャニーズに入ってくれて、ありがとう。 ”

 

と、西畑大吾 へと思うのだろう。