舞台「最高の家出」

れにちゃんが主演ということで「最高の家出」を観てきた。

もうすごい最高だった。

以下、ネタバレありと言うか完全に観た人向けの感想とも言えない何か。

https://stage.parco.jp/program/iede

 

正直、発表された時は「こんなに本格的なお芝居の主演って、れにちゃん大丈夫だろうか」と少し怖いような感じがあった。ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?とか、ももクロ一座とかで演技をしているれにちゃんは観て来たけど、脚本含めてあくまでもももクロとしての舞台って感じだったからガチガチの舞台俳優さん達の中に一人はさすがに苦しいんじゃないかと思っていた。

でも始まってみると完全に杞憂で、れにちゃん演じる箒は舞台の中心でキラキラと動いて喋ってその物語を体験させてくれた。

優しいかわいい声がたくさん聞けた。

 

前から3列目という凄い席。しかも上手通路から一席だけ内側。

人生でこんなにれにちゃんに近付く瞬間があるとは思っていなかった。手を差し出せば届く距離でれにちゃんがライトを浴びてひたむきにお芝居をしていた。

そう言えば先週のバレイベ裏も、通路から2列目だった。2週連続でこんなに近くにいるなんて、れにちゃんはもはやマブダチと言っても過言ではないのでは(過言すぎる)

主演の舞台の真っ最中の土日にライブを成し遂げたれにちゃん、すごすぎる。当然ながらその日は休演日になっていた。舞台を借り切った状態で東京公演の土日をまるっと休演日にするとは運営も思い切ったことをするなあと、日曜日に出掛けた新宿で「本日休演」の札が貼られたポスターの非日常感がおもしろかった。

 

この劇はファンタジー要素があって解釈は観客に委ねられる感じ。でももやもやする部分はなく、ちゃんとエンターテイメントとしてまとまっていたのが脚本の力を感じた。

劇中劇という構造を取りつつ、色々なものが暗喩や対比になっていて複雑さが癖になる感じ。例えばアハハがマジックの箱に入って、箒が上手側の扉の前にいるシーン。両方緑色の扉で、アハハは「誰か出してよー」と言っているのに出られなくて、箒は出ることに成功したという対比が印象的だった。もっとも、箒がくぐった緑の扉の先も外ではなくて監禁部屋だったことがすぐに分かるけど。でも一瞬、工場のような車のような音が強く響いて、箱庭のような劇場からディストピアで雑多な外界に出たという開放感があった。

 

箒とアハハのシーンは全部かわいかった。箒が棒読みの極みで台本を読んでアハハがキレるシーン。「出て行って!」「出て行かない!」の押し合いのシーン。劇中に何度もあった、手を引いて走って行くシーン。これは最初はアハハが箒を引っ張ることが多かったけど、後になってからは箒がアハハを引っ張ることが多くなったような気がする。マジックの練習の練習をするシーン。マジックの箱に二人で入って「ムーミンでしょ。トトロでしょ」って左右にちょこちょこと移動するシーン。ほんの2時間ちょっとのお芝居の間に、登場人物の心情も関係性も状況も変わって行く。

マジックと言えば、ももクリでお馴染みの、れにちゃんのぉ、ちょっといいとこ見てみたい♪だ!ってなって面白かった。しかも刺さってるし。

 

背中の、ループしている!という発見はループもの好きとして面白かった。実際にはループしていなくても、背中視点では確かにループ以外の何物でもない。そしてテレカがいなくなった時に「あいつだけでもループを抜けられてよかった」と言っているのに泣きそうになった。その認知のズレから滑稽さが生まれるシーンなんだけど、本人としてはループしているのが真実なわけで、その中で好きな人がいなくなるなんて絶望だと思うのに、相手の幸せを喜べるなんて人間ができすぎている。

 

尾上寛之さんが自然と笑いを取っていてすごかった。役者さんたちみんなすごかったけど、とりわけこの方は芝居がうまいなあと感心した。どっしりしている。そう言えば「夜は短し歩けよ乙女」の高坂役の時も出てくるだけで笑いを掻っ攫っていたなあ。尾上さんのエレキギター、また聴きたいなあ。

個人的に淡路のような楽しい人が好きだから箒がなんで家出までしたくなったのかがよく分からなかった。透明になって行く気分とか説明はあったし、モナカの服を淡路が勝手に処分したような描写もあったけど、あんなに楽しくて場を掌握していいスピーチを書く人物がそんなに迂闊な言動をするか?というのがどうも繋がらない。でもまあ「こりゃあ家出するわ」みたいな嫌な男が出て来てもつまらないし、淡路という魅力的なキャラを見れたからこれでいいんだと思う。

 

お蕎麦をちびちびと食べている箒がかわいかった。そして足鳥が蕎麦嫌いでシャイではなかったのは衝撃だった。そんな中でも動じない身軽はやばいやつだった。それにしても紙飛行機で召集されたって、何だろう。何の比喩なのか。うーん、赤紙と戦闘機くらいしか思い付かないけど安直に過ぎる気がする。

 

やばさと言えば夏太郎もだな。こいつが黒幕かよー!的な。思えば最初に箒が緑の扉を開けようとした時に怒ったの、伏線だったんだな。

そして劇場の謎。テレカさんが読み上げた、やたらと軽いノリの珠子さんの手紙は果たして本物なのかどうなのか疑わしい。

 

珠子さんが帰らなきゃ、と思いつつ帰れなかったシーンは「会社に行こうとして行けないやつー!」ってものすごく身に覚えがあった。でもやっと帰ろうとしたのに帰る場所はなくなってしまった。戦争か災害か。戦時中っぽい描写はなかったから、災害かな。海が近いし。

珠子さんは、家出をして、帰ろうとしたけど、帰れなくなってしまった人なわけだ。

 

アハハちゃんは、これまで劇場の外を信じてなかったけど、外に出てしまった。たくさんの水分があって怖い。彼女は多分劇場には戻らず、新しい居場所を探すんだと思う。

 

箒はどうするんだろう。劇場で透明になりようがない自分を見出したから、意外と淡路の所に帰りそうな気がする。パンフレットで脚本の三浦さんが「家出とは帰ることが前提となっている言葉。永遠に帰らない家出があるとすればそれは例えば失踪とかになる」みたいなことを書いてらっしゃった。このお芝居の「最高の家出」というタイトルは、主人公の箒が帰ってこそ成就する。

 

家族と一緒に土曜日のマチネを観に行って、明るいうちからキリンシティで麦酒を飲み、伊勢丹で少し買い物をして電車に乗って帰る。寄るところがあるという家族が途中下車して行く。こうやって外で別れる時はいつも寂しくて不安で二度と会えなくなったらどうしようという気分になる。家の最寄駅に着くと、いつの間にかとっぷりと日が暮れている。

牛乳がなかったな、と調べると少し離れた所にスーパーがあった。寄って、野菜やお肉もついでに少し買い込んで、重い荷物を肩に家の近くだけど見たことのない道をとぼとぼと歩いていると急にそわそわと落ち着かなく心細い気持ちになってきた。

これは明らかに「最高の家出」を観たせいだ。そして10代後半から20代頃は大体常にこんな気分だったことを思い出した。そりゃあしんどいわ。

 

思い返してみると、この焦燥感を伴う辛い気持ちは大学に入るために実家を出た後から発生している。実家にいた時も辛い気持ちはあったけど、また質の違った辛さだった。

ここで大変なことに気付いた。一応進路のことだしということで親は大きくは反対はしなかったけど、実は進学にあたって始めた一人暮らしは家出で、そしてついに私は家に帰らなかったということなんじゃないか。いやまあ帰省はするけど、そこはもう家ではないと言うか。

 

そう言えば家を出た経緯も唐突だった。家からまあ通えるかな、くらいの関西圏の大学を志望していたけど、あまり考えておらず、センター試験の点数からこれは受かりそうだという大学の後期に書類を送ったら受かってしまった。そして家の近くの前期の大学は落ちた。一応、私立の学校は受かっていた。

私立の学校に行くか、一度も旅行でさえ行ったことのない場所の学校に行くか迷った末、後者を選んだ。我ながら行き当たりばったりすぎる。その結果、ここは日本かと疑うばかりの田舎で4年間島流し暗黒大学時代を過ごすことになる。

 

そう言えば大人になると親のありがたみが分かるなんて言われていて、確かに当時の自分を振り返ってみると、とんでもないな。でも別にありがたみは感じないな。いまだに勝手に産みやがって、という気分の方が強い。

 

でもまあこう考えて行くと、あの焦燥感はまさに家出中の心細さだったと言える。そして今落ち着いているのは、大変幸運なことに結婚して家族ができて、そこが私の家になって、ついに家出が終わったからだ。

新婚旅行で遠い外国に行った時に、家族の顔を見ながら「どこにいても家族の横が私の家だな」って思ったことを思い出すし、今でも折に触れて「どこにいても家族の横が私の家だな」って思う。

 

私は小さい頃から辛いことが多くて生まれてきたくなかったし消えたい気持ちが強かったけど、勉強とか仕事とかまあこなしつつ、この人生の唯一の素晴らしいことは家族と出会えて結婚できたことだと常に思っている。

アニメポプテピピックのエンディングのPOPPY PAPPY DAYの歌詞が本当に好きで、退屈なこの世界だけど君と一緒なら中指立てて生きていけるという精神が全く一緒で泣きそうになる。まあ、家族の方は安定してるしそんなこと思ってない気もするけど。

でも私は実家を出て、放浪して、新しい家を見付けた。

おしゃれということ

こないだ「すみだストリートジャズフェスティバル」と「すみだワンコインオクトーバーフェスト」に行ってきてとてもたのしかった。クラフトビールを買った時にもらったコースターをそのへんに置いておいたのを見て記憶がよみがえったんだけど、家族が「(クラフトビールのデザインが)最近おしゃれだよねー」と言って、私も「そうだねえ」と言ってその時は終わったんだけど、おしゃれとは、ということが改めて気になってきたので書く。

この会話がなされたのは、Derailler Brew Works(ディレイラブリューワークス)さんのビールを飲みながら。このブースには西成ライオットエールのビジュアルが全面に出されていて、おしゃれだった。

こちらに限らず、他のブースや、他のクラフトビールのブルワリーもおしゃれだ。例えばうちゅうブルーイングとかもおしゃれだと思う。

他にもおしゃれなデザインだなーと思うものはサウナだ。サウナラボとか、黄金湯とかおしゃれだと思う。

 

仮説1

新しいものはおしゃれになりやすい。クラフトビールやサウナは比較的新しいブームなのでおしゃれにふりやすいのではないか。

 

新しい飲み屋さんとかもおしゃれだなーと思うことがあるから、少し当たってそうだ。ただ、ホテルとかは「きれいだなーすてきだなー」とは思うけど、クラフトビールとかで感じるおしゃれさとはちょっと違う。

 

何についておしゃれと感じるかだけど、なんかこう、ブギーバックみたいな?江口寿史みたいな?はたまた北欧みたいな?あるいはコンクリートうちっぱなしみたいな?なんもわからんけど「おしゃれですよ」と言ってくれてるものに「おしゃれだなー」とそのままの感想を抱くものとする。

 

とした時に

 

仮説2

クラフトビールやサウナが、今てらいなく「おしゃれですよー」と主張できるデザインとマッチしているジャンルである

 

というのがある気がする。

デザインのトンナマで「おしゃれですよー」とまんま押し出せるものと、あえてさりげなくするものとがあって、その中でクラフトビールやサウナがおしゃれであると押し出せる側なのかなあと考えるとわりと合ってる気がしてきた。

 

昔、向島あたりの古い建築を見てまわろうみたいな集まりに参加した時に「青線の建物にはモザイクタイルの円柱の柱があった」と説明があって「どうしてですか。チェーン店でもないのに」と聞いたところ「それっぽい建物として広まって行った」と教えていただいた。

確かに今でも病院っぽい建物とか、喫茶店っぽい建物とか、色々ある。そう言えば銭湯建築なんていうものもある。

 

そんなふうに特に誰も決めてないけど「それっぽいデザイン」がデファクトとして広まって、今はまさにクラフトビールやサウナが「おしゃれな感じがそれっぽい」になってるのかなーって思った。

個人的にはおしゃれなデザインの謎解きとか遊んでみたい。

『名探偵コナン 黒鉄の魚影』がはちゃめちゃにおもしろかったし林原めぐみが個人的2冠になった

名探偵コナン 黒鉄の魚影』を観てきた。はちゃめちゃにおもしろかった。以下、完全にネタバレありなので観た人だけどうぞ。

 

 

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むかーし昔、いつどこで読んだのか忘れたけど、「できるなら新一とコナンの2人になって、新一は蘭と、コナンは灰原とくっついて欲しい」と言っている人がいた。私もこれに完全に同意で、あのクールで頭のいい新一が蘭ちゃんにはデレデレで蘭ちゃんも新一のことが大好きなところが最高……!だけど、コナンくんと灰原さんの身体が縮んでしまった同士の大人っぽい落ち着いた関係性も大好き!だった。なので今回は灰原さんメインっぽくてとてもたのしみにしていた。

 

もうね、はちゃめちゃにおもしろかった!いやー、コナン映画はお祭りだね!

 

まずね、一番ぐっときたのが、ラストの方、灰原さんがコナンくんを海中で助けたあと、二人仲良く酸素を代わる代わる使いながら手を握ってゆっくり浮上して行くシーン。

 

ここで私は

「これは……『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のシンジくんがレイを助けて抱きしめる場面とタイで並ぶアニメ史上最も美しいシーンだ……なんということだ……どっちも林原めぐみだ……」

と思った。

 

そんなもんだからその後の灰原さんの「キスしちゃったのよ」みたいな心の声は、いらんな?と思った。そいうちまちましたこと気にせず必死にコナンくんを助けようとしているところが大人っぽいし、いいなと思ったから。でも蘭ちゃんにキスを返す流れのために必要だったんだな。

 

今回、林原めぐみ三石琴乃立木文彦も出てるせいか、かなりエヴァっぽかった。「ご決断を!」とか、狙ってやってるよね?あと、大きなモニターとか機雷用デコイとか。機雷の対象のパシフィック・ブイは動かないわけで、座標指定で攻撃できるからデコイには引っかからないんじゃと思ったけどやすやすと引っかかっていたな。

 

他を箇条書きで書くと

 

  • 蘭ねーちゃんの戦闘力がやばい。黒の組織ピンガに蹴りを入れちゃうほどの強さ!
  • 白鳥警部にくっついてコナンくんがパシフィック・ブイに乗り込んだ時点で「あかんで工藤。あんさんが来たらパシフィック・ブイはこの映画の終盤で確実に沈むで」感が半端ない
  • パシフィック・ブイ、かなりセキュリティが高い施設なはずなのに、部外者の子供を重要機密な場所に案内してるのやばい。普通は入館はおろか、がんばってもカフェテラスとかに入れて、適当な職員に相手させるくらいが精一杯だと思う。
  • エンジニアが少ない!白鳥警部とかに紹介されるエンジニアに対して紹介されないエンジニアもたくさんいそうで格差が気になる。
  • 「局長、そろそろ」と言われて「おお」と繋がるヨーロッパとの回線!かなり重要な本番ローンチと思われるのに適当すぎる!モニタに映るConnectedの監視画面?がかっこいい!
  • 安室さんは相変わらずかっこいいな!
  • 安室さんとキールさんが直美・アルジェントさんを攫ってUSBメモリ内の画像から灰原さん=シェリーの情報を知ったわけだけど、その画像を見たのはこの二人なわけだから、その場で画像をそっ閉じしてたらこんなことにはならなかったのでは。もしかして安室さんとキールさんはお互いがスパイということを知らないのか?
  • てか黒の組織、スパイ多すぎでしょ!
  • てか黒の組織、潜水艦なんて持ってたんだ!資金力と調達力やべえ!
  • ジンを乗せるために黒の組織の潜水艦が浮上することを警察とかに言っていたら灰原さん奪還はもっと簡単になんとかなったのでは?
  • 防犯カメラの映像を確認して、潜水艦とか車とかが消されてる!ってなった時、シリアスなシーンなのにフワちゃんの「消しゴムマジックで消しちゃえ~♪」のCMが脳裏に出てきて面白い気分になってしまった
  • とってつけた感のある推理パート。食玩のガム、戦隊モノの合体ロボ戦、プリキュアの戦闘シーン、など似たようなものに心当たりがありすぎる。
  • パシフィック・ブイ、メンテもアクセスも大変だし、海上、しかも小笠原諸島に作るのは無理があるな。おとなしく千葉あたりの陸上に作っとこ?アメリカ方面からの海底ケーブルもひきやすいしな?
  • なんか黒の組織はパシフィック・ブイを破壊して満足してたけど、各国の警察に監視カメラ映像が残っているということは変わらないのでは。集約して分析できるというところがキモなのかな。
  • デコイ発射システムが閉じられてあと90秒で着弾!という時、さすがに90秒じゃ退避が間に合わないだろう、ここでもう一山あるのかな。あ!博士の発明品を発動させてデコイの代わりにするのかな?とか思ってたら普通に90秒でみんな退避完了していた。よかったね。
  • コナンくんが2つの携帯を持って安室さんと沖矢さんとを会話させるところ、おもしろかっこよかった!

 

なんかつっこみばっかになってしまったけど、でもはちゃめちゃにおもしろかった!また観たいなあ。夜で売店が閉まってたから、次出掛けた時にパンフも買いたいな。

20230215大阪

関西のホテルでワーケーションと洒落込む、なんていいものでもなくて、明日の予定のために無理矢理前乗りした心斎橋のホテルで家族にデスクを譲ったためにベッドの上でいつものノートパソコンを開いてTeamsやらでなんやかんやしつつ窓の外を見ると、冬の曇り空とごちゃごちゃした繁華街を背景にふわふわと鳩の産毛のようなものが舞っていた。

場所が場所だけにゴミかなと疑ってみたけど、次々と落ちてくるし、やっぱりこれは雪だなと決める。こういう雪は長らく見てこなくて、関西っぽい、もっと言えば実家っぽい、つまりは子供の頃っぽい雪だなと思う。曇りの空の色も以下同文。

山の色も西の方と東の方とは違う気がして、勿論植生が違うとそうなるんだろうけど、多分バイアスの力もあってテレビで見ても「関西やな!」って思う。

夕方の空の色も、奈良で見るのと東京で見るのとは違う。奈良の空は、いつぞやTVチャンピオンの京都の和菓子職人さんがねりきりで作った空の色がとても近くて、色の境界がなんとも言えずほわんとしてふわふわとたおやかな感じがする。和菓子の色彩は関西だから生まれたんだなと思う。一方東の和菓子もぱきっとしていて乾燥したビビッドな空気を感じる。

でも地球の気候は変動しているから、1000年そこら時間が違うと、実は当時の奈良の気候はむしろ今の仙台とかに近いのかもしれない。よく分からない。

昔、オーストラリアに行ってガイドさんが「山が青いでしょ。ユーカリがだす成分で空気が撹乱して青く見えるんです」と説明してくれたけど、普段の山とそんなに変わらない感じでよく分からなかった。今思うと、関西で遠くに見る山はそもそもけっこう青かった。関東では、前提として山を見ない。

背景の縁取りが山かそうでないかは、かなり居場所の印象が変わってくる気がする。

ここ数ヶ月で観た映画の感想

映画を観て、色々と思うところがあったけどどこにも記録していなかったから書いておこうかなあと。全部観た人前提でネタバレあり……だと誰が読めるか分からないけど、なんせ個人的なアウトプットなので。観てないけどネタバレ気にしないよ、という奇特な人でも読んでいただけるといいと思う。

 

 

サマーフィルムにのって

これはよかった。この夏観た映画の中で一番よかったと思う。まず、登場人物が全員楽しそうなのがいい。主人公チームもいいし、一見めんどくさそうな青春映画チームもいい。ブルーハワイちゃんが実は青春モノ好きで、それがすぐさま報われるところもいい。まさに青春!

そしてタイムトラベルものとしてもかなりいい。特に初対面の凜太郎の「ハダシ監督」っていう台詞。なんでハダシのことを知っていてなおかつ監督呼ばわりなんだろうという違和感がそのまま伏線になって、さらにこの映画の先の主人公の未来と凜太郎との距離の遠さまで示唆しているという非常に効果的な一言だった。これが最初に来ているおかげで、この素晴らしいきらめきの瞬間は過去であり失われることが分かっているけど今であり、でもやっぱり過去なんだなという切なさが常につきまとう映画になっていた。まさに青春!

あと、タイムトラベルしてきた人に気付くのってだいたいは主人公の仕事なのに、この映画ではSF大好きな友人であるビート板ちゃんの方が先に気付いて未来人とコソコソ話していたというのも小技が効いていてよかった。たしかになー、ハダシはこういうの気付かんよなー、気付くとしたらビート板よなー、みたいな納得感がある。

河合優実さん演じるビート板ちゃんはミステリアスな文学少女の雰囲気がすごくよかったしかわいかった。祷キララさん演じるブルーハワイちゃんは大柄でおおらかで乙女な剣道少女でこれまたすごくよかったしかわいかった。しかも祷キララさんどっかで見たことがあるなーと思ったら『ギョエー!旧校舎の77不思議』の舞台に出ていらっしゃった。伊藤万理華さん演じるハダシ監督はちっちゃくてくるくる動いてかわいくて最高だった。ハダシ監督かわいいなーお耳に合いましたらの人に似てるなーと思ったら同じ方だった。ついでに監督も同じ方だった。松本壮史監督。というわけでお耳に合いましたらとセットで観るとより楽しい。

それにしてもタイムトラベルものの最後はタイムトラベラーが元の時代に戻っちゃうことによるお別れが見せ場になることが多いけど、サマーフィルムにのってのお別れはかなりぐっときた。こんな……こんな一緒に映画を作ってきて、お別れって、そんなのないよ!と思った。HUGっと!プリキュアのルールーとえみるのお別れくらい悲しかった。

未来の映像は全て数分になっているという描写はちょっとやりすぎかなーさすがにそうはならんやろというのが少し気にはなったけど、全体としてとてもいい映画だった!久々に映画観たなー!という感じになった。

 

子供はわかってあげない

サマーフィルムにのっての一週間後くらいに観に行ったのかな?元々この原作の漫画が大好きだったし、脚本もみいつけた!で大好きなふじきみつ彦さんだったし、監督も横道世之介で大好きな沖田修一監督だしで、情報が発表された時から1年以上楽しみに待っていた。いよいよ観に行く前には漫画を読み直して予習して……としていたんだけど、それがよくなかったのかもしれない。正直、この映画のことがまだうまく消化できていない。

映画としてはすごくいいんだと思う。上白石萌歌さんの魅力がこれでもかと発揮され、トヨエツ演じるお父さんとの微妙な心の交流が描かれ、千葉雄大さんなど他の役者さんたちの演技も素晴らしく、やたらと凝ったコテコのアニメも見どころ満載だ。

でも、原作の漫画のファンとして、乗り切れなかった。

映画はコテコのアニメから始まる。何やら深刻そうな場面を見せられ、なんだなんだと思っているうちにコテコに没頭する上白石萌歌さんの顔が大写しに。この瞬間、私は「あ、肉体だ」と思った。私の中でサクタさんはほわほわしたかろやかなイメージだったんだけど、圧倒的な肉体感を持って上白石萌歌さんがいた。これ、は、サクタさん……?斜めに映ったテレビ画面ではコテコのエンディングが流れ、その中でコテコと一緒にモルタルとコンクリ太郎がはしゃいでいるのを見てなるほどこのキャラ達はプリキュアにおける妖精的な位置づけでコテコと一緒にずっと冒険をしていてその子たちの大事なシーンだったのかと思い至って先ほど見たアニメに時間差で感動しつつ、なおかつ上白石萌歌さんへの戸惑いは消えない。上白石萌歌さんだけではない。もじくんもなんかでかい。そしてイケメン。映画だからイケメンなのはしょうがないとして、もじくんはもっと素朴なイメージだった。トヨエツもでかい。古びた日本家屋に明らかにサイズが合っていない。そしてがっしりしている。もっとこう、堺雅人さんみたいな線の細いイメージだった。探偵さんを千葉雄大さんにしたのもよく分からない。いや、千葉雄大さんはいい。ゴセイジャーファンとして嬉しかったし、現代の女形と言っていいような色っぽい演技も素晴らしかった。でも原作通り一見女性に見えるような設定にしなかったのはどういうわけか。

そもそもキャラクターが違う。探偵さんは真面目かつお間抜けなところもありつつ抑えるべきところは抑える人物だったけど、シリアスさが全面に出ていたし、お父さんもかなり違うし。それを言い出すと全員違う。じんこちゃんもみんなの自己紹介シーンで「あぼりじんこです」ってフルネームを言うのがおかしくかつじんこちゃんの人柄を感じさせていたのに、なぜか下の名前だけになっているし。

お話の中でお金持ち出し事件をばっさり削ったのも、キャラクターを変えたのも全部、多分「サクタさんとお父さんとそれをとりまく人々の夏の出来事」を描きたかったからなのかなあと思うんだけど、なら「子供はわかってあげない」にする必要なくない!?と思う。

映画としてはいいんだろうけど、原作の映画化を期待して観ると完全なる二次創作だし、そもそも私とは解釈違いすぎる……ということで、まだ消化できていない。時間をおいて観るとまた印象が変わるかもしれない。

 

レミニセンス

私はいろんなことを忘れがちだ。特に、好きな人との何気ない光景とか、すごく幸せでとっておきたい記憶ほどすぐに忘れる。なので自分の記憶を取り出して再度体験できる装置があるという時点でこのお話にすごく惹かれた。

話は、記憶再現屋さんをしている主人公のもとにある日美女がやってくるところから始まる。主人公と美女はたちまち恋仲に……って、いやいや展開早すぎない?明らかにこの女、怪しいでしょ。それともこの文化圏ではよくあることなのか?と観ていたらはたして女は目的があって主人公に近付いていたのであった。主人公は忽然と姿を消した美女を探すため僅かな手掛かりをたよりに単身ギャングのもとへ……と、ここまでは「ハードボイルドだぜえ」と観てたんだけど、主人公はあえなくギャングに捕まり大ピンチに。それを救うのがビジネスパートナーのかっこいい女性。この時点で私のこの映画の見方は「美女に振られた情けない男、がんばる」に変わる。

情けない男、なんやかんやあって最後は切ない事実が明らかになってぐっときて、という展開。

なんやかんやがけっこう長い。エピソードのいくつかを端折っても映画としては問題なく成立しそう。だけど、端折られていなくて、この冗長さがむしろ記憶とそして人生だなという感じがしていい。

あと、映画の前半で主人公と美女が恋仲になっている時期のデートの映像が流れるんだけど、それがやたらときらきらしている。一緒に観に行った家族が「なんかCMみたいだった……」ともにょもにょしてたので「ディオールの香水のCMじゃない?」と聞いたら「そう!それ!」と言っていたので、ディオールの香水のCMっぽいと思っていたのは私だけではなかった。でも、それでいいんだと思う。人生において大好きな人といる瞬間は、みんな主観的にはディオールの香水のCMのような気分だし、それが映像としてあらわされていたのだと私は解釈した。

そういえば、記憶というのは主観的なものだ。同じ光景を見ていても人によって見ているものは変わるし、記憶は改竄される。でもこの映画の記憶再現装置では、その時本人が意識しなかったものも再現され、記憶の改竄もなく、完全に人の目と耳と脳を単純なセンサと記憶領域として扱っているのが特徴的で面白いなとおもった。

この映画、家族はイマイチだったらしいけど、私はけっこう好きだった。

 

オールド

予告編観た時点で「いやあ……バカ映画でしょ」と思っていたけど、家族が行きたいというので行った。結果、予定を上回りも下回りもしない、思った通りのバカ映画だった。

ビーチにバカンスに来た家族連れ。はしゃぐのもつかの間、異変に気付く。「このビーチ、時間が早くすすむぞ……!」

そこから始まるなんやかんやと悲喜こもごも、まあ、そうなるよねえという感じで驚きも何もない。なんでそんな現象が発生するかについては特殊な鉱物の磁力らしいので気にしてはいけない。誰が何のために主人公たちをそんなビーチに閉じ込めたのかについては映画中でちゃんと答え合わせがなされていてよかった。でもなあ。にしてもちょっと計画が雑すぎないか?とは思う。

お子さんたちがどんどん成長していく時に、精神年齢も身体の歳相応に落ち着いているっぽいところが気になった。そんな、人間、身体が年老いたからといって48時間そこそこで経験やインプットなしで精神年齢変わるか?

当時2歳くらいだったチビちゃんが成長して「私、プロムも知らないのよ」と泣くシーンがあるけど、2歳くらいのチビちゃんがプロムを知っているものなのだろうか。それともアメリカのプロム文化は思ったよりも強力で2歳に対しても絶大な知名度を誇るのであろうか。

ただ、この台詞はCOVID-19で学校行事や学生の間にやりたいことがことごとく潰れてきた現代の若者の気持ちの代弁かなと思って、そこは少しぐっときた。

でもやっぱ全体的には何もなかったなあ。この映画で一番よかったのはエンディングの文字のフォントが変わっていく映像だなあ。

とはいえ、私はイマイチだったけど、家族はこの映画、けっこう楽しめたらしかった。

 

鳩の撃退法

開始直後、「あ、富山の映画や!?」となる。私はちょっとした縁があって、富山がけっこう好きだ。

鳩の撃退法、なかなかよかった。とりあえず藤原竜也は大金を手に入れて、そして失う役が似合っている。西野七瀬様がかわいくていっぱい出てきて嬉しかった。そして夜の帝王トヨエツはさすがの貫禄だった。トヨエツ、久しぶりに会った娘にオロオロする役じゃなくて、こういう役がしっくりくる。

最後の答え合わせで登場人物たちの行動がピースにはまっていくさまは、ちょっと『夜は短し歩けよ乙女』を思い起こさせるほどのすっきり感だった。

東京のバーで語られる現在と回想の富山の話とが小気味よく切り替わり、だんだんとまざりあって行く様もよくて、話としてはけっこう複雑なことをしているはずなのに全然ストレスなく話に入れて見事だった。原作の小説も気になった。

 

マイ・ダディ

一番最近観た映画。ムロさんすごい、に尽きる。娘さん役の中田乃愛さんもよかった。永野さんが出てたのも嬉しかった。

卵の殻を握りつぶして、その後集めるシーンに一番ぐっときた。だって、その卵の殻は出会った日の幸せな思い出で、一緒にいる時も、亡くなった後も、ずっと大事にしてきたのに、幸せが嘘だったと分かって衝動的に握りつぶしちゃったけど、でも大事な大事な宝物で取り返しはつかないし、そもそも出会ってからのこの時間が取り返しがつかないし、奥さんが亡くなった後も奥さんと娘さんを愛してきたし、という、色々が詰まっていた。

あと、食堂に行って、娘に似たそこの家の娘さんを目撃し、ちくわカレーをメニューに見つけて、間違いない、となるところ。

娘さんのボーイフレンドがまた人間ができたすごくいい子だし、でも最後に泣いちゃってずっと不安で隠してたんだね、というのもよかったし。

そういう、一つひとつはよかったんだけど、でもどうしても江津子さん迂闊すぎやしないか?てか気付くだろ?というのが気になってしかたがなかった。気付かないほどだとすると、ムロさんとそんなに早く……?というのもこの映画でのムロさん演じるキャラクターを考えると違和感がある。

あと、白血病というのも、帽子を被っているのに睫毛……までは大変としてもせめて眉毛は薄くするなり見えなくするなりした方がいいのでは、あとマスクもしておいた方がいいと思う、けど演技で表情を見せるためにそうしたんだろうなあ、とか「移植やめる」はこのタイミングじゃないでしょとかあって、白血病白血病じゃなくて単なる舞台装置として必要なものだったのかなというご都合主義さを感じていまいち乗り切れなかった。

ただ、私があまり人が亡くなる系の映画を観たことがないので、こういうものなのかもしれない。

舞台 夜は短し歩けよ乙女の なるべく こまかい かんそうを書く ナコカ記事

※配信の日付を間違えていたので修正しました。ご指摘くださった@okaru_kabukiさん、ありがとうございました。

 

舞台「夜は短し歩けよ乙女」がすばらしかった。すばらしすぎて3回観に行ってしまった。3回観てもまだまだ観に行きたいし、週末の大阪公演配信は絶対に観るし、Blu-rayは一刻も早くサウンドトラックと台本付きで発売されるといいと思う。

 

www.yoruhamijikashi.jp

 

舞台を3回も観たのは初めてだし、3回それぞれに細かい感想がいっぱいあるから、思い出せる範囲で なるべく こまかい かんそうを書く ナコカ記事に残しておこうと思う。

ちなみにまだこの舞台を観てない人は、6/26(土)6/27(日)の大阪公演に行くか、6/27(日)17:00の大千穐楽公演のライブ配信を観たほうがいい、ぜったいに。

 以下、完全に観た人しか分からないこまかい感想。

 

1回目 6月12日(土)お昼公演 上手側の1階席かなり前

始まる前

新国立劇場だって!かっこいい!初めて入る!駅から直結なの、わくわくする!

おおー、ポスターがある!

音楽がいい感じ。これも伊藤さんなのかな。

スクリーンに舞う花びらとメッセージがすてきだ。

はじまった!!!かなり近い!スクリーンの使い方がかっこいい!

イラスト、湯浅監督っぽさあるなあ。

学園祭事務局長だ!かっこいい!かなり近い!

パンツ総番長だ!でかい!

なんか椅子が出てきた!すごい!どうやってるんだ!

乙女だー!!!春の衣装、かわいい!!!

ナディちゃんだー!!!花嫁さんの役だー!!!ウェディングドレス、めっちゃ似合っててかわいい!しかも酔っぱらって友達にのしかかるところの仕草とか、すごくかわいいし「こういう人いるー!」って感じがする。

「次いこー!」って主人公の手を掴んで上手にはけるところのナディちゃんかわいい!!!

おおー、土佐さんの東堂さん、こんな感じかー!

原作では東堂さんが乙女の胸を揉むことになっていたけど、どうするんだろう……なるほど、こうきたか!

春画がちらばった!なんで!?いつのまに!?

鈴木さんの羽貫さんと石田さんの樋口さんだー!猫を飼っているお二人だー!

鈴木さん、本当に飲み干したの!?すごい!

樋口さんが拾ったズボンを履くところ、脱ぎづらそうな靴なのに鮮やかに脱いでてすごい。

場面がめまぐるしく入れ替わるのに、丸い舞台と、下の舞台と、上手側と、下手側と、うまく空間を作っていて全然違和感なく連れて行かれてすごい。

詭弁論部の宴会から羽貫さんたちが抜けるところで、気がついたら本当にすっと詭弁論部部員たちがいなくなっていて、どうやっていたか全く分からなかった。

三階建て電車、こうきたか!

三階建て電車を前に東堂さんと娘さんと乙女が会話するシーンで李白さんが低く歌ってるの、気になるw 盛り上げようとする李白さんの粋なはからいか!?

乙女の夏の衣装もかわいい!!!

古本の屋台をぐるぐる動かすだけで一気にまわりの状況が変わって見えるの、すごい。

「雨だ」のときに、こころなしか空気がひんやりした気がした。

ラ・タ・タ・タムのダンスでいつのまにか理子ちゃんがいて、バレエのダンスが観れたの嬉しすぎる!

火鍋食べたくなる。

休憩

すごい、ここまで最高だった。秋と冬も楽しみだしチケットもう一回分買っておいて本当によかった。

ロビーに出る扉を出た瞬間、中川さんが目の前を横切って行った。不意打ちすぎてつい「なかっ……」と小さく声に出てしまった。中川さんは何やら係の人に話しかけていた。喫煙所を探していたのかもしれない。

ロビーをすこしぶらぶらして席に戻ってきたらスクリーンに紅葉が舞っていて、粋だなあ、となる。

秋の乙女の衣装もかわいい!!!

壱太郎さんの女形お芝居を拝見できて嬉しい。

団長のラップだー!!!これは嬉しい!!!私もノリたい!!!

プリンセス・ダルマの衣装、かわいい!!!

学園祭事務局長がプリンセス・ダルマの剣を後ろ向きにぽいっとして座った後に、ちょっとづつツンツンして真ん中に寄せていた。なるほど、次に拾って使うから、近くにないといけないのか!大変だ!

韋駄天コタツ、マジ韋駄天!パンツ総番長はコタツに入る派なのか。

ナディちゃんの琵琶だー!!!聴けると思ってなかったから嬉しい!!!

早織さんと理子ちゃんのギターデュオまで聴けるのか!これはもう、お得すぎやしないか!?

蚊柱少年だー!!!!!!!!!!!!!!

乙女のプリンセス・ダルマの衣装、かわいい!!!急ごしらえのツギハギ風にしているけど、パッチワークで手がこんでいる!

プリンセス・ダルマを演じる乙女、ちゃんと声が変わってる!

ビスコ派、ここで来るのかー!!!

象のお尻のところでお芝居に合わせてギターを鳴らすの、緊張しそう!

「君、落とした側!?」っていうの、まさに思っていたから壱太郎さんがツッコんでくれてすっきりした。

学園祭事務局長の女装を拝見できるの、最高すぎる。

落ちてきた錦鯉をだっこした土佐さんが、ピチピチ、みたいに動かしているのがかわいい!

「ぼー」の文字が、角田さんっぽい!

コートを着た乙女の衣装もかわいい!!!

李白さんのくしゃみで乙女が吹き飛ばされすぎ!

これまでは歌いながら歩く時は上手側から下手側へだったけど、「私だけが風邪をひかない」の曲になって下手側から上手側になった。なんか意図があるんだろうな。北風の中を逆風で歩く感じを出しているとか、これまでは状況が先にあって乙女はそこに巻き込まれる形だったけど、今回は乙女の意思を起点として状況が生まれているという違いをあらわしているとかかな。

コートの乙女が春のワンピースに、パジャマの先輩が春の服に、円形の舞台の裏で一瞬で着替えたぞ!

最後にこんな乙女と先輩の曲が来るのか!なんということだ!

あああ、すごいものを観た……

カーテンコール

とにかくいっぱい拍手をするしかない。なんかもうすごかったし、すごかったという思いを拍手に込めよう。

観に来たから当然のことなんだけど、生配信で見ていた演者のみなさんがいらっしゃる!

団長がなんか指をくいっとしていたの、ラッパーとしてのリスペクトポーズ、みたいなやつなんだろうか。

理子ちゃんのはけかたがかわいい!

久保さんと壱太郎さん、本当に素敵だった。

 観た後

すごくよかった!!!脚本も、お芝居も、音楽も、衣装も、舞台の装置も、最高だった!!!

とにかく乙女の久保さんがすごい。朗らかなかわいい歌声がずっと耳に残る。

それにしてもチラシとかのビジュアルの乙女の服が大好きだったけど、出て来なかったな?

ネタバレがありそうだから封印していた生配信をアーカイブ視聴する。

 

youtu.be

 

2回目 6月19日(土)お昼公演 下手側の2階席2列目

2階だからフレームも含めて全部見える!舞台の上にみなさんがおさまっていて、お芝居!という感じがする。

乙女がすまして赤い栞を出すところ、鮮やか!

金丸さんの冒頭のツッコミ、これかー!確かにめっちゃきまってる!

夜は短し歩けよ乙女」の曲で、はじまるぞー!とわくわくする。歩く乙女を中心に登場人物が次々と出てくるところとかアニメーションのようなのに、実際は一度きりの生のお芝居で、改めてこの空間にいる奇跡を感じてちょっと泣きそうになる。

李白さんの話をしつつ、樋口さんと羽貫さんと乙女がお座敷に忍び込もうと塀を越えるところで、妙にステージの端の方にセットがあることに気付く。これがまた、次の場所に行くよーって感じがする!

理子ちゃんの詭弁踊りが、めちゃくちゃ腰が入っていて素晴らしい。(後に家で真似をしたらすごく疲れてダイエットによさそうだった)

詭弁論部のはけかたがよく見えて、なるほどー!こうやっていたのかー!となる。

内田先生に連れられて樋口さんと羽貫さんが去った後、乙女の前に達磨を落とすの、絶妙なタイミングだ!ちょっとでも失敗すると乙女の頭に当たっちゃいそうだ!

納屋さんの詭弁踊りには注目せざるをえない。だいたい踊れてるけど、台詞のところになるとリズムに乗れずに単に腕を左右に動かすだけになってる。そして台詞が終わると復活する!!!

李白さんの3階建て電車に最初からパンツが付いているか確認しようとしてたの、忘れてた!

エンドロールで拍手したら「拍手とかいいから!」と学園祭事務局長がツッコんでくれて嬉しくなる。

先輩が乙女とのホカテシーンを妄想している時、後ろの古本市の方々が完全に止まっているようにしか見えなくてすごい。

ラ・タ・タ・タムの踊り、途中からりこちゃんが入ってくるのか。なるほどこれで古本市の神様が乙女のラ・タ・タ・タム探しに味方することになるんだな。それにしても、理子ちゃんのバレエの踊りにはほれぼれする。さすがだ。そして母上に連れ去られるところが、またかわいい!

千歳屋主人の「北斎の春本、0円でしたー!」はドロステの「ゼブラダンゴムシ、ゲットだぜ!!!」を思い出させてよかった。

うひょー、秋だー!!!!!

学園祭事務局長がプリンセス・ダルマの剣を後ろ向きにぽいっとした。今度はちょっと近すぎる感じもするけど、なおさなくても大丈夫だ!よかった!

学園祭事務局長は、何かのポーズをするところがとてもきまっている。さすがは仮面ライダー俳優だ!

ナディちゃんの琵琶の後に拍手してみたけど他に誰も拍手してくれなかった……。もしや上手すぎて演奏だと思われていない?

ナディちゃんたちはチラシをちゃんと回収しないといけない係なのか。これは大変そうだ。

酒井さんのお腹から血飛沫みたいなのが飛び出した!1回目は角度の関係で気付かなかったけど、これ完全に酒井さんの発明だw そして赤いやつの切れ端が舞台に落ちてしまったぞ!ナディちゃんが回収を試みたけど一瞬だし掴みそこねてしまった!

6代目プリンセス・ダルマが縄から抜け出すところを見ようと思ってたのに見逃した!

学園祭事務局長の女装が楽しみすぎる。

土佐さんが錦鯉をピチピチ、としているところがかわいい。

みんなが錦鯉でわいわいしている時にマリーさんだけ裏に行ったと思ったら、すぐ次にお姉さまとして登場するのか。なるほど。

 冬

母上がくしゃみをしたあとの理子ちゃんの「あーあ」がめっちゃかわいい!!!

終演後

もうこれで観れなくなるのか……とロビーを歩いていたら、リピーターチケットで東京千穐楽公演が売られていて、つい購入する。購入した後、2週間くらい後だと思ってよく見たら3日後で、仕事の調整をかなり無理矢理つけることになって焦る。調整に応じてくださった仕事のみなさんには感謝しかない……。

 

3回目 6月22日(火)東京千穐楽公演 下手側の1階席真ん中くらい

あああ、はじまってしまった。

夜は短し歩けよ乙女」の曲のシーンは本当に好きだ。心にしっかり刻んでおこう。

樋口さんと羽貫さんと乙女が塀を越えるところ、なんかみんなが野良猫みたいでかわいい。

先輩!先輩!後輩!後輩!で詭弁論部が出会うところ、好きだなあ。

それにしても納屋さんの詭弁踊りには注目せざるをえない。今度は踊り出しの部分がちょっと危うかったぞ。

 李白さんの3階建て電車に最初からパンツが付いているかしっかり確認できたぞ!ちゃんと最初から付いてた!なるほど気付かないものだなあ。

エンドロール、きれいにはまった。やっぱり春の一幕だけでもすごく完成しているし満足度高いなあ。

理子ちゃんのラ・タ・タ・タム ダンス、永遠に観たい。乙女とかのラ・タ・タ・タム ダンスも観たいけど、もう理子ちゃんに目が釘付けで全然観る余裕がない。そしてやはり母上に連れ去られるところがかわいい。

火鍋大会の途中で乙女側のシーンになってストップするところ、先輩と樋口さんが片足立ちでがんばってて「がんばれー!」ってなる。

ラ・タ・タ・タムを手に入れた時の先輩のダンスにとても熱がこもっていて見ごたえがある。

これまでも休憩入りで拍手したかったけど誰もしないから舞台ってそういうお作法なのかなって残念に思ってたけど、ついにここにきて拍手が!心置きなくいっぱい拍手する。

休憩中

春、夏と素晴らしかった。でもあと半分しか残ってないと思って寂しくて泣きそうになる。

そか、秋がパンツ総番長の「諸君!」で始まるの、劇の冒頭のパロなのか。

学園祭事務局長がプリンセス・ダルマの剣を後ろ向きにぽいっとしてめっちゃベストな位置に落ちた!気のせいかもしれないけど、その後、横の演劇部員に「やったー」ってしているような様子が見られたのがご褒美感ある。

ナディちゃんの琵琶の後の拍手は日和ってしまって胸の前で小さくぱちぱちとしかできなかった。こんなに素敵なのにー!!!

緋鯉が打たずとも落ちた!そして打っても落ちなかったけど落ちた!

6代目プリンセス・ダルマが縄から抜け出すところをしっかり見届けたぞ!

象のお尻の前で紀子さんがパンツ総番長への想いを語るところ、間合いなのかなんなのかなんだかすごくぐっと来た。そうだよね、人を好きになるって不安だよね、というのを思い出して、そういえばこのお話は先輩と乙女の恋の話だということに気付く。

高坂のギター演奏で酒井さんのリードをきっかけに会場内手拍子が!これは楽しい!!!でも隣の人が裏拍でも表拍でもない頑張って合わせようとするものの全然合ってないリズム感皆無の手拍子してて「こんなことある!?」って面白かった。

偏屈王の最終幕のチラシがやたらと美しく撒かれている。もしや酒井さんの発明か?

学園祭事務局長の女装をずっと見ていたい。

落ちてきた錦鯉を羽貫さんが気にしているのがかわいい。しかも錦鯉を触った後の手を樋口さんの衣装で拭っているのが関係性が見えて面白い。

羽貫さんの診察をする内田先生が完全に隠れてたの、鈴木さんのノリが感じられて楽しかった。

母上がくしゃみをしたあとの理子ちゃんの「あーあ」に注目してたけどやっぱめっちゃかわいいし、母上もかわいい!!!!!

インタビューのシーンで団長と乙女のラップを聞けたのがよかった。

奈緒子さんがテレビをつけて消すところ、容赦なく一瞬で笑った。

円形舞台がくるっとして先輩の部屋から李白さんの部屋へ転換するところ、先輩がわたわたしてて笑った。その後、壁の隙間から顔を出していたのも笑った。

 乙女が先輩のお見舞いに行くところ、覚悟を感じられてよかった。

もう終わっちゃうのか……。

感無量だ……

 カーテンコール

スタンディングオベーションができてよかった!しかもお一人づつコメントが聞けてよかった。

最後に壱太郎さんがコメントして、久保さんがコメントして、これで終わりかなと思ってたらまた壱太郎さんがコメントしていた時に後ろで鈴木さんと久保さんが「ちょっとアナタ、またコメントされちゃってるわよ」みたいな感じできゃいきゃいしていたのが面白かった。

 

 

……まだまだ全然書ききれてないけどひとまずこんなもんで。とにかく無限に語ることがある!

原作 森見登美彦、脚本 上田誠、音楽 伊藤忠之という時点で私の大好きな方ばかりの舞台だし、生配信とかYou宇宙beとかで垣間見させていただく稽古場の雰囲気もとてもよくてすごく楽しみにしてたんだけど、その楽しみを軽々と飛び越えたすごいものを観せられて感動した。

とにかく今は大阪公演のライブ配信が楽しみだし、あと少しみなさんご安全に歩き続けられますようなむなむの気分でいっぱいだ。

ではこのへんで。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

シン・エヴァンゲリオン劇場版

さらば、全てのエヴァンゲリオン

 

終わるのかな、本当に終わるのかな、なんて思いつつ、これまでの監督の様子を見ていると終わるんだろうなと思っていた。でも終わらないというのもあるのかもしれない、と、ちょっと冗談交じりのようなふりをして、少し希望を持っていたのだと思う。

 

WikipediaによるとTVシリーズの第一話が放送されたのが1995年。早生まれの私はその時中学2年生の14歳で、つまりはシンジくんたちと同じ歳だった。なんて言いつつ、私がエヴァンゲリオンを初めて見たのはキッズステーションだかテレビ大阪だかの何度目かの再放送でもう高校生になっていたのだけれど。でも放送当時にシンジくんたちと同じ歳だというのは嬉しかったし、逆に2015年になるとミサトさんさえも抜いてしまうというのは何かの間違いではないかと何度も計算しなおしては計算結果が変わるはずもなくその度に落胆していた。

まだ実家にいた高校生の頃、エヴァンゲリオンを一緒に見てくれていたのは2つ下の弟だった。VHSに撮りためたエヴァンゲリオン。「瞬間、心、重ねて」をコマ送りにして二人でため息をついたような記憶がある。いや、「ようやんなあ」と呆れられたのだっけ。もう思い出せない。

 

大学で一人暮らしをはじめることになって、引っ越しの荷物の中にエヴァンゲリオンのVHSを詰めて行った。食を大事にするが節約家の親が炊飯器は比較的いいものを、そしてテレビの視聴環境としてよく分からないメーカーの小さなテレビデオを買ってくれた。その後の活用っぷりから言って、クオリティは絶対逆の方がよかった。ある日、数少ない大学の友人にふとエヴァンゲリオンのことを話すと、その子はエヴァンゲリオンのことを知らず、なおかつとても興味を持って見たいと言い出した。私は翌日有機化学だか無機化学だかの試験を控えていて一夜漬けをしようとしていたけど、まあすぐに飽きるかなと思って彼女を部屋に呼び、エヴァンゲリオンを流すかたわら試験勉強をした……が、できるはずもなく、しっかり見てしまった。しかも彼女は全く飽きることなく、結局ほぼオールナイト上映になった気がする。とにかく何度も麦茶をおかわりしては「お茶飲んでると全然眠くならないんだよねー」とご機嫌で言っていたことを覚えている。あと、何度も「ごめん、試験勉強大丈夫?」と気遣ってくれたけど、私がその度に「大丈夫!」と答えていたことも覚えている。そして翌日の試験は落とした。多分これが私が専門系で落とした唯一の単位だったと思う。必須じゃなくてつくづくよかった。

 

大学時代は基本的に暗黒大学時代だったもので、記憶があやふやになっている部分が多い。旧劇場版もシーンなどは覚えているから絶対観たはずなんだけど、いつどうやって観たのか全く思い出せない。

 

大学を出て、大学院を出て、かろうじて滑り込んだ就職先のために東京に来て、新劇場版が公開された。ここからは全部映画館に観に行った。

序は、正直なところ「こんなもんかな」と思った。映像的にはかっこいいし新しいところもあるけど、テレビ版の話を出ていないように感じた。

そんなもんで破を観に行くのにはちょっとネガティブだったんだけど、せっかくだしということで観に行って大興奮した。その時の感想はこのブログに書いてある。昔の自分の感想ブログというものはなかなかいいものですね。

そして満を持して観に行ったQでとてもがっかりした。画面が全体的に暗いし、お話も暗いし、カヲルくんと連弾するのもよく分からないし。

破はBlu-rayを買ってたまに観たりしてたけど、Qは映画館で一度観たきりのままだった。シン・ゴジラはよかった。

 

そうこうするうちに驚くべきことに9年の月日が経っていたらしい。今でもちょっと信じられない。NHKでノーカット放送などがされたので、ようやくQを見返すなどした。

 

そして2021年3月8日 月曜日。会社は休んだ。3日前の0時にTOHOのサイトの見たことない画面に阻まれつつ、家から一番近い映画館の一番大きいスクリーンの朝10時の回のチケットをおさえた。

月曜日にもかかわらず、映画館は私と同じような歳の人たちでいっぱいだった。全員が初見で、おそらくネットの評判とかも目にしないようにして、これから何が起こるのかと祈るような気持ちでスクリーンに向かっていた。

 

話は結局よく分からなくて考察とかはできないんだけど、なんとなく感覚として、こう、やりたかったことをやって、設定は逆算でなんとかしたのかもしれないという感じがした。

話が進むにつれて否応にも思い出されるテレビシリーズたち。旧劇場版たち。そして一人ひとりが答え合わせをして去って行く。中にはマリとかカヲルくんとか謎が深まったキャラクターもいたけど……。そして絵コンテになる描写はテレビシリーズの最後の方そのまんまで、あ、これがリピート記号か!そういうことか!となる。

テレビシリーズでは「すべてのチルドレンに、おめでとう」となって、何がおめでとうだよ!と分からないまま終わったけど、今回やっと分かった。

そしてシンジくんたちとともに、観ている我々が、映画が終わった時にはチルドレンではなくなってしまっていた。

大人とは何か?シンジくんがスーツだから大人というわけではないけど、マリに「今日もかわいいよ」だか軽口を叩くのは明らかに大人だなと思う。これまでのシンジくんでは考えられなかったことだ。シンジくんの首にチョーカーが付いていることから、勿論そのまま大きくなったわけではなくてあくまでもまだ精神世界の中にいることが示唆されているけど、その場でシンジくんは大人になることを決めた。

きっとこの後、ディラックの海からあらわれたときみたいに、シンジくんとマリはどこかの浜辺にでも出現するのだと思う。それが元の世界なのか、全然新しい世界なのかは分からないけど、きっとそこでシンジくんは生きていくのだろう。