またたび

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「インタフェースデザインのお約束 優れたUXを実現するための101のルール」を読んだ

表題の本を読んだので、101のルールと、気になったルールについてのメモを書き残しておく。

この本自体はUI/UXに関するルールが解説、画面イメージ付きで1〜2ページずつにまとまっていてとても読みやすいが、この記事は個人的なメモなので読者の理解しやすさには配慮していない。詳しく知りたい方はこの本を読んでみてほしい。

インタフェースデザインのお約束 ―優れたUXを実現するための101のルール

インタフェースデザインのお約束 ―優れたUXを実現するための101のルール

もくじ

  1. プロローグ
  2. 文字と言葉
  3. アイコンやボタン
  4. UI部品
  5. フォーム
  6. ナビゲーションとユーザージャーニー
  7. ユーザーへの情報提示
  8. アクセシビリティ
  9. エピローグ

1. プロローグ

  • 1 あなたもUXのプロになれる
    • 良いUXを作るのに必要なのは共感性と客観性

2. 文字と言葉

  • 2 書体は最多でも2種類に
    • ひとつはタイトル・見出し用、もうひとつは本文用
  • 3 あえてウェブフォントを使う必要はない
    • ウェブフォント、かっこいいけど取ってくるまでレンダリングさせないのでユーザーをイライラさせる
    • できるだけシステム搭載フォントを使おう
  • 4 フォントサイズで情報の階層を表現せよ
    • ヘッダー、タイトルはboldフォント、内容は通常フォント、など
  • 5 本文は標準の文字サイズで
    • ブラウザの拡大縮小機能があるので、デフォルトのサイズだけ決めておけば問題ない
    • 16px、行間1.5、文字間隔normalでおk
  • 6 まだ先があることは省略記号で表わせ
    • ユーザーがこの先まだ取るべきアクションがある場合、「…」をつけよう
    • 「ページのURLをメールで送信…」だと、押してすぐ送信するのではなく、何らかのアクションが挟まることがわかる
    • これは個人的にダウト。
  • 7 「大文字小文字の区別なし」にせよ
    • わざわざ大文字小文字の区別をする必要はない。URLもメアドも区別されないし
    • パスワードは例外
  • 8 文字色と背景色のコントラストの黄金比は4.5:1
    • 文字色灰色で白背景だと全然読めない。黒文字と白背景なら見やすい。そういうこと
  • 9 用語は製品内で統一せよ
    • 同じものを指してるのに呼称がまちまちだとユーザーは混乱する
    • 用語や表現を統一し、ユーザーのメンタルモデル形成を促進しよう
  • 10 英語ページではlog inではなくsign inを使え
    • log in/log outなんて現実にはない
    • sign in/sign outを一貫して使おう(受付で名前を書く、に等しい表現)
    • login/logoutは超悲惨
  • 11 英語のページではregisterよりsign upのほうがしっくり来る
    • registerは硬い、よそよそしい、印象が強いのでsign upやjoin、Don’t have an account?などを使おう
    • アカウントを増やすというのは管理すべきIDが増え、受け取るメールも増え、と気が重いタスクなので、アカウントを作るメリットを語るなど、フレンドリーな印象にしよう
  • 12 常に「顧客は生身の人間」を念頭に置いた表現を
    • 「新規顧客を作成」とかありえない。「新規顧客の情報を登録」なら理解できる
    • 自分の職場ならではの表現が製品に入ってないか注意しよう
  • 13 動詞は受動態より能動態で
    • 能動態のほうが表現が簡潔になり、テキストが短くなるし理解もしやすくなる
    • ×In order to apply updates, your computer must be restarted.
    • ○Please restart your computer to apply updates.

3 アイコンやボタン

  • 14 同一製品内ではアイコンのスタイルを統一せよ
  • 15 古臭くなった機器のアイコンなど使うな
  • 16. 新たなコンセプトに既存のアイコンを使うな
    • Wi-Fiの電波アイコンを非接触支払いに使ったりとかはNG。アイコン検索サイトで用途に合うアイコンを探そう
  • 17 アイコン内でテキストは絶対使うな
    • テキストはアイコンの中に埋め込むのではなくラベルとして添えよう
  • 18 アイコンには必ずテキストラベルを添えろ
    • モバイル版でも必ず添えろ
    • ラベルのないアイコンはユーザーの苛立ちの原因になる
  • 19 絵文字は世界公認のアイコンセット
    • 絵文字発祥国の日本では1990年代から使われていたが、iOSの普及で欧米にも広がることになった(ソフトバンクAppleに絵文字サポートさせて、2015年のオックスフォード時点に😂が載るまでになった)
    • 絵文字はユニコードで規定されているので各種プラットフォームでの相互利用ができ、種類も豊富である
    • 絵文字は単純で識字能力がない人でも意図が伝わる可能性が高い
  • 20 特徴的なファビコンを用意せよ
    • ファビコンわかりやすくしよう
    • ユーザーから見たファビコンの用途は、タブを見分ける、お気に入りから即座にサイトを探すなど色々ある
    • 16×16ピクセルでのテストをやろう
  • 21 いろいろに解釈できてしまうアイコンやマークは使うな
  • 22 ボタンにはボタンらしい体裁を
    • メトロUIみたいなフラットデザインはどこが押せるのかよくわからん
    • ボタンはシャドウつけるとかボタンらしい体裁にしよう。逆に押せないものはボタンらしくない体裁にしよう
  • 23 ボタンは機能ごとにまとめ、選択しやすい大きさに
    • クリックしやすい大きさにして、相互に関連するボタンはその関係を明確にし適度に近づけよう。しかし誤クリックされるほど近づけるのもだめ
  • 24 ボタン全体をクリック可能にせよ
    • まれにボタンのテキスト部分だけクリック可能にする開発者がいる
    • ボタンにホバーしたらcusor:pointerにするとかも忘れずに
    • 押されたこともわかるようにしよう

4. UI部品

  • 25 作業ごとに最適なコントロールを選べ
  • 26 我流のコントロールなど作るな、既存のコントロールを活用せよ
  • 27 デバイスにもともと備わっている入力方法を利用せよ
  • 28 年月日の選択用コントロールは?
  • 29 同一製品内では日付ピッカーのUIを統一せよ
  • 30 スライダーは数値化出来ない値だけに使え
  • 31 整数だけを入力してもらいたい場面なら数値入力用フィールドを
  • 32 選択肢が2、3個しかないときにドロップダウンメニューを使うな
  • 33 選択肢は多くしすぎるな
  • 34 リンクはリンクらしい体裁にせよ
  • 35 タップ可能な領域は指先サイズに

5. フォーム

  • 36 検索はシンプルなテキストフィールドと検索ボタンの形式に
  • 37 複数行になりそうな入力欄は状況に合わせてサイズを調節せよ
  • 38 フォーム入力は極力容易にせよ
  • 39 フォームへの入力データは極力その場で検証せよ
  • 40 フォームを検証したら要修正箇所を明示せよ
  • 41 ユーザーの入力データの形式に関しては「太っ腹」で
  • 42 郵便番号や住所の入力を容易に
  • 43 電話番号の書式は柔軟に
  • 44 メールアドレスの細かな検証は不要
  • 45 注文と支払いのページは極力使いやすくせよ
  • 46 決済時の情報入力は必要最低限に絞れ
  • 47 金額入力欄における小数点以下の位の自動追加はやめろ
  • 48 画像の追加を容易に
  • 49 ユーザーが入力したデータは指示されない限り絶対に消すな
  • 50 ユーザーが使おうとしている最中に動いてしまうUIなんて最悪だ
  • 51 パスワードは「*」に置き換えるべきだが、「パスワードを表示」のボタンも用意せよ
  • 52 パスワード入力欄はペースト可能にせよ
  • 53 「パスワードをお忘れですか?」のページでは最初から入力欄にユーザー名を表示せよ
  • 54 パスワードの再設定ページに関する留意点
  • 55 破壊的アクションは取り消し可能に

6. ナビゲーションとユーザージャーニー

  • 56 初期ページはユーザーへの説明の好機
  • 57 初心者向けのTipはかんたんにスキップできるようにせよ
  • 58 無限スクロールはフィード型コンテンツ限定に
    • 有限のリストはページネーションのほうがわかりやすい(何が?現在位置とか?)
  • 59 無限スクロールが必須ならユーザーの現在位置を保存し、そこへ戻れ
    • 技術的に難しいが明らかに便利なので実装しよう
  • 60 始まり、中間部、終わりのあるコンテンツにはページネーションを
  • 61 フィードをリフレッシュされたら、読み終わった項目の次へ移動せよ
    • ユーザーの使用中に勝手にフィードを更新するなということ。Twitterの新着ツイート表示ボタンが良い例
  • 62 ユーザージャーニーには明確な「始まり」と「中間部」と「終わり」を
  • 63 どのジャーニーでも常に現在位置をユーザーに明示せよ
  • 64 改装順に現在位置を辿れるパンくずリストを活用せよ
  • 65 オプションのジャーニーはスキップ可能にせよ
  • 66 eコマースのサイトは標準的なパターンを踏襲せよ
    • 商品、買い物かご、支払手続き
  • 67 「既存のファイルを複製して編集」のフローを用意せよ
  • 68 UI要素を必須、容易、可能の3種類に分けよ
  • 69 ハンバーガーメニューなんて使うな
  • 70 メニュー項目は下部で再表示せよ

7. ユーザーへの情報提示

  • 71 言葉で説明するのではなく、見せろ
  • 72 隠れた部分もチラッと見せよ
  • 73 パワーユーザー向けの設定は通常は非表示にせよ
  • 74 処理の所要時間が明確なタスクには全体で一本のプログレスバー
  • 75 処理の所要時間が不明確なタスクにはスピナーを
  • 76 ループするプログレスバーなんて最悪だ
  • 77 プログレスバーには進捗率や残り時間を示すインジケータを添えよ
  • 78 検索結果は分類して表示せよ
  • 79 検索結果は関連度の高い順に表示せよ
  • 80 未保存はタイトルバーを使って警告せよ
  • 81 アプリの評価依頼のポップアップなんてやめろ
  • 82 起動画面で自社のミッションやビジョンの宣伝なんかするな
  • 83 「弊社のビジョン」に関心のあるユーザーなんていない
  • 84 通知項目は細かく指定できるようにせよ

8. アクセシビリティ

  • 85 クリック可能なリンクのテキストは「読み上げ」機能に配慮して
    • 読み上げ機能はページ内のリンクに番号をつけ、そのテキストを読み上げる。なので「ここをクリック」と書いてあると何のことか分からない。「弊社のパンフレットをダウンロード」のほうがわかりやすい
  • 86 読み上げ機能に配慮して[本文へ進む]のリンクを追加せよ
  • 87 色覚障害者に配慮して色情報は補助情報と見なせ
    • システムの状況: 緑丸 だけだと分からない。「正常」など文字でステータスを表そう
  • 88 画面表示の拡大・縮小は常に可能にせよ
  • 89 Tabキーでの移動の順序は支援技術の利用者を念頭に置いて
  • 90 コントロールのラベルは支援技術の利用者を念頭に置いて
    • inputに入力すべき情報をプレースホルダー化すると入力中になんのinputかわからんくなる
    • 音声読み上げソフトはプレースホルダーは読まない。ラベルだけ読む

9. エピローグ

  • 91 ユーザーの予想や期待に反した動作をさせるな
    • ユーザーは過去の経験がある。長いものには巻かれよう。車輪の再発明なんてするもんじゃない
  • 92 デフォルト設定を過小評価するな
    • デフォルトの影響力は見落とされがちだが、デフォルト設定はUXを大いに左右する
    • 大多数のユーザーは設定を変更しない。つまりデフォルトの動作が唯一の設定である
  • 93 気の利いたデフォルト設定でユーザーの作業負担を軽減せよ
    • ユーザーテストやA/Bテスト、実際の利用状況のデータ分析の結果から得た知見を活用しよう
    • ユーザージャーニーの上位20%を改善するだけでも、ユーザーの80%に好影響を与えられる(パレートの法則)
  • 94 UIデザインではベストプラクティスの採用は盗用にならない
    • ヤコブの法則「ユーザーはあなたのサイト以外の他のサイトを見ることに大半の時間を割いている。これが何を意味するかというと、ユーザーにとって嬉しいのは、あなたのサイトが既知の他のすべてのサイトと同じように動作することなのだ」
  • 95 是が非でも「フラットデザイン」を採用したければ視覚的シグニファイアを
  • 96 「ファイルシステム」が理解できないユーザーは少なくない
  • 97 「それ、モバイルでも動く?」はもはや過去の質問
  • 98 メッセージ機能では定着済みのパターンを踏襲せよ
  • 99 「ブランド」になど振り回されるな
  • 100 ダークサイドには加担するな
    • ホコリがついてて誤タップを誘う広告
    • 自動車のエンジンを制御しているソフトウェア。排ガス検査機を検知すると有害物質の排出量を低減する
    • 保険や補償サービスの申込みなど追加した覚えのない商品を勝手に追加してしまうECサイト
    • 倫理観を大事にし、会社ではなくユーザーを守ろう
  • 101 ユーザーテストでは本物のユーザーを対象にせよ

訳者あとがき

  • 201 文字情報は画像ではなくテキストで
  • 202 パスワードを定期的いに変更させるのはやめよう
  • 203 「桁区切りのカンマ不要」「数字は全角で」は開発者の怠慢では?
  • 204 メニュー項目はユーザーが見つけやすいように分類しよう
  • 205 英語として意味のとおらないカタカナ語を使うのはやめよう
  • 206 重要な操作をしようとしたら、アプリをアップデートしなければならないのは最悪
  • 207 インタフェースをコロコロ変えるのはやめよう
  • 208 漢字は東アジア公認のアイコンセット?

感想

疑問に思う箇所(「6 まだ先があることは省略記号で表わせ」とか)もあったが、読み上げ機能への配慮とかは考えたこともなかったので新たな視点を得れた。 とはいえ基本的には「長いものには巻かれよう、車輪の再発明なんてするな」の一言に尽きそう。

インタフェースデザインのお約束 ―優れたUXを実現するための101のルール

インタフェースデザインのお約束 ―優れたUXを実現するための101のルール

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

トム・デマルコ『ピープルウェア(第3版)』を読んだ

ソフトウェア開発についての古典的名著を読んでいくシリーズ。 それぞれの章の腑に落ちたフレーズをまとめていく。

ピープルウエア 第3版

ピープルウエア 第3版

もくじ

  • 第Ⅰ部 人材を活用する
  • 第Ⅱ部 オフィス環境と生産性
  • 第Ⅲ部 人材を揃える
  • 第Ⅳ部 生産性の高いチームを育てる
  • 第Ⅴ部 肥沃な土壌
  • 第Ⅵ部 きっとそこは楽しいところ

第Ⅰ部 人材を活用する

500以上のプロジェクトのデータ(規模、コスト、バグの数、進捗促進要因、計画の遅れ進みの実績)を集めたところ、約15%のプロジェクトが水泡に帰していた。 大きいプロジェクトほど失敗する確率が高く、25人年以上を注ぎ込んだプロジェクトのうち25%が完成しなかった。(1970-1980年ごろの調査)

プロジェクト担当者いわく、主な失敗の原因は「政治的要因」。

とはいえよくよく調査すると、政治的要因と直接関係のない意思疎通の問題、要因の問題、MGや顧客への幻滅、意欲の欠如、高い退職率などが存在した。 "実際のところ、ソフトウェア開発上の問題の多くは、技術的というより社会学的なものである。"

作業をマネジメントするのではなく、作業そのものをやっているマネージャーは多い。。 本当にハイテクビジネスに身をおいているのは、ハイテクの領域で、基本的な発明発見を成し遂げた研究者だけで、それ以外の人は他人の研究成果を応用しているだけにすぎない。 つまりソフトウェア開発者はハイテクビジネスではなく人間関係ビジネスに携わっているだけなので、自分はハイテクビジネスの旗手であるといったようなナルシシズムに陥るな。

以下の様なチーズバーガー生産販売管理哲学は、ソフトウェア開発においてはクソである。

  • エラーを叩きだせ。人間という機械を極力スムーズに動かせ。
  • 仕事でヘマをやった奴は厳罰だ。
  • 人はいくらでも補充がきくものとして扱え。
  • 決めたやり方を手早くやれ(どうやってスピードを上げるかとか、何を止めたらよいか、ということは決して考えるな)。
  • 作業手順を標準化せよ。万事、マニュアルに従え。
  • 新しいことを試みてはいけない。それは本部の連中の仕事だ。

知的労働者を効果的にマネジメントするにはこれと逆をやらなくちゃいけない。

エラー大歓迎。試行錯誤OK。間違ったら捨てろ! とはいえMGは大金を注ぎ込んで作ったものを捨てたがらない。長期的に見てメンテナンスコストが高くついても、バグの多い製品をだましだまし手直しして動かしたほうがいいと思っているケースが多い...

残業論と生産性論

残業なんかくそくらえ。40時間(8時間×5日)をはるかに超えて実のある仕事をすることは、生身の人間にはとてもできない。少なくとも、創造的な仕事に必要な張りつめた状態で、そんなに長い間続けて仕事ができるわけがない。

残業は全力疾走。マラソンのゴール前の数百メートルを全力疾走するのはそれなりに意味があるが、最初の1キロでこれをやるのはマヌケだ。ワーカホリック患者は効率は低くてもメチャクチャに長い時間働くし、プレッシャーかけてやれば自分の生活を犠牲にしながら働き続けてくれる。(ただし、プロジェクトが終わったあとでその人は永遠にいなくなる)

作業の標準化、製品品質への妥協等によって達成された「高い生産性」と退職率には相関性があり、高い生産性を維持するということはキーマンの退職という取り返しのつかないリスクが存在することを意味する。生産性は利益をコストで割ったものであり、この「コスト」には退職者の補充に費やした余計な費用が含まれるのでR

「仕事は与えられた時間に見合うところまで膨張する」というパーキンソンの法則は、あなたの部下には当てはまらない。人生はだらだら仕事をするにはあまりにも短い。なので、納期を短くすることで部下の尻を蹴るのでなく、品質を保証するのに十分な時間を与えたほうが良い。健全な作業環境のもとでスタッフが職務をきちんと遂行しない理由は、能力の不足とか、プロジェクトの目標や同僚に馴染めないとかそういう理由で、別に仕事をサボろうとしているわけではない。なので、仕事の難しさに打ちのめされたチームのお荷物的スタッフにプレッシャーをかけて仕事をやらせるのは逆効果。部署を移動するとかクビにするとかがいい。

ニューサウスウェールズ大学の調査によると、スケジュール管理をしない、「仕事が終わったら俺を起こしてくれ」という類のプロジェクトが最も高い生産性を示した。

以上より、パーキンソンの法則を手直しすると「会社のルーチンワークは、就業時間に見合うところまで膨張する傾向がある」となる。成熟した企業で働くことが楽しくないのはこの理由による。マネージャーの仕事は人を働かせるのではなく、人を働く気にさせることである。

第Ⅱ部 オフィス環境と生産性

プログラマーは知的労働者であり、騒音・雑音に集中を乱される。 よくある開放型オフィス(真ん中がエレベーターとトイレで、その周りを囲うように中途半端に間仕切られたデスクが並ぶ、いま自分が何階にいるかわからずまるで地下で働いているような気分になるオフィス)は管理者側からすれば何も考えずにすべてを同じように配置すれば良いので楽だがプログラマーにとっては最悪以外の何物でもない。

騒がしく、邪魔が入りやすく、無味乾燥でプライバシーのかけらもないオフィスはとても機能的とは言い難く、そんなオフィスでいい仕事ができるわけがない。 プログラマーの残業の真の目的は、仕事量の補填でなく、品質向上のため。一番仕事が捗るのがまだ誰も出社していない早朝とか深夜であることによる。 プログラマーの能力差が10倍であることは理解できるが、企業自体の生産性にも10倍の開きがある。―ハーラン・ミルズ『ソフトウェアの生産性』より

オフィスの騒音とバグの数には相関があり、プログラマーがオフィスの騒音に不満をいう時は「自分はバグを作りこむ可能性が高い」という危険なメッセージを発しているのと同じ。

一つのことに没頭し、ほとんど瞑想状態になり幸福感でいっぱいになるフロー状態に入るためには、15分以上の精神集中過程が必要だが、騒音や中断が起こるオフィスではフロー状態に入れない。

机の前に何時間座っていたかはどうでもよく、全神経を集中して仕事に取り組んだ時間こそ重要で、この「中断なし仕事時間」が長いオフィスこそ環境の良いオフィスだといえる。電話は他人のフロー状態をぶった切るので、電話するときは本当にこれは電話すべき内容かどうかを考えた方がいい。メールもあるんだし。 騒音対策としての音楽は1960年のカーネル大学の調査で創造的発想が失われることがわかっているので非推奨。

建築家・哲学者のクリストファー・アレグサンダーの『形の合成についてのノート』とか読むと、ある場所にいると心が和み、ある場所ではイライラして落ち着かない理由がよく分かる。

近代建築の殆どはマスタープラン的発想(同形同規格、無機質で殺伐とした画一的ビジョン)で作られている(SFのトランスアメリカ・ピラミッドとかマディソン・アベニューのビルとか)が、アレクサンダーに言わせればそれはクソ以外の何物でもない。

アレグサンダーの「メタプラン」の思想:

  • 少しずつ進化する
  • 進化を左右する一連のパターンや共通設計原則だけ持たせる
  • 関係する部分への設計に住人を参加させる

個々の建物は小幅に連続的に発展するが、共通原則を尊重しているのでビジョンの調和は保たれつつも同じにはならず、成熟した村落のように建物は進化の証として有機的秩序を持った魅力的な味を持つようになるとのこと。(スイスの町並みとか、日本でいうと高知の「沢田マンション」みたいな?)

第Ⅲ部 人材を揃える

新米マネージャーでも「人を見かけで選ぶな」という採用の基本原則を知ってはいるが、奇妙なことに、採用の際の失敗のほとんどが能力でなく外見に囚われた結果である。

人間は、経験を積むにつれて、友達を選んだり友達と親しい関係を結んだりする際に、基準からずれたものを恐れるという固定観念を克服することを学ぶが、つまり何も考えていないと外見的に魅力的あるいは標準的な人を選んでしまうという抑えられない本能があるということ。チームの誇りの対象はチームメンバーが成し遂げた成果だけ。チームの見栄えとか「プロらしさ」(男の長髪はみっともなくてプロらしくないが、女ならOK、みたいな)とかどうでもよい。

企業エントロピーは常に増加し続け、平均化、画一化してくる。採用側も学生のポートフォリオに興味が無いし、学生側も採用されるために自分のポートフォリオを面接に持参するという発想がない。

社員の退職は全人件費の20%程度のコストを占めるが、これは目に見える部分だけ。退職率の高い企業では社員はどうせそこに長くいないことがわかっているから徹底して短期的に物事を考えるようになってしまう。短期的利益のために社員を使い潰すとか。 退職が次の退職を呼ぶし、社員が居着かないと研修や環境に金をかけることもしなくなるので社員もそこに居着くメリットがない。

第Ⅳ部 生産性の高いチームを育てる

ビジネスの世界ではかなりいい加減に「チーム」という言葉を使うが、成し遂げようとする共通の目標とか結束がなければ本当のチームとはいえない。 ほんとうに良いチームができたとき、仕事はめちゃくちゃ楽しいし、プロジェクトの成功確率も高い。あとから思い出してもその当時のふとした会話とかを鮮明に覚えてたりする。

業界で有名なチームには名前がついてる。GEの「オーキーコーダーズ」、デュポンの「ギャング・オブ・フォー」、シンシナティガスの「カオスグループ」とか。そういうチームのやつらは同じキャッチフレーズを使い、特定のグループにしか伝わらないジョークを飛ばすし仕事帰りには同じ酒場にたむろする。 グループの結束力が、自分たちに心地よさを与えているときは「チーム」と呼び、脅威を与えているときは「派閥」と呼ぶ。

残業のチームに与える副作用として、例えば父子家庭で残業ができないメンバーがいたとして、彼のぶんを周りが負担して残業を続けたとする。最初は任せとけって感じでも、だんだん不公平感が募ってチームのマジックは消滅していく。痛みを分担できない人は次第に他のメンバーと疎遠になってしまう。

目標管理、年次評価、表彰の類は管理職としてやってはいけない愚かな行為である。(えっ

目標管理やそのたぐいのものはマネジメント上の責任逃れにすぎない。単純な、外的要因による動機づけを用いることで、個人に対する直接的な動機付けとか成長のサポートとか、そういうほんとうに必要なことに取り組まないことのいいわけにしている。 優れたマネージャーは「スパゲッティディナー」など、チームを全体として成功させるために、本来の業務以外の機会をちょくちょく提供し、チームとして成功するクセをつけさせる。部下は自分が管理されているとは気づかない。

専門的な技術者には、特殊な開発モードがあることは有名。これをスカンクワークあるいは不服従と呼ぶ。

おわり

頭の良いエンジニアの書いた文章ってロジカルでかつユーモアもあって楽しくサクサク読める。「ピープル」ウェアというだけあって、ソフトウェア開発論というよりはIT企業の人間関係とかオフィス環境についての内容が多くて、特にオフィス環境についての章は、そこにあげられた「悪例」がまんま前職のオフィスのレイアウトだったりして、個人的にすごく感情移入して読んでしまった。第Ⅴ章と新しく追加されたⅥ章はあまり刺さるフレーズがなかったのですっ飛ばした。

基本的に、この手の何十年も読み継がれるような名著は当たり前のことしか書いてないんだけど、その「当たり前」が今現在でも通用するあたりが名著が名著たる所以でもあり、過去から学ばない人間の愚かさでもある。

ピープルウエア 第3版

ピープルウエア 第3版

読書メモ - Culture Code

THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法

THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法

Culture Codeを読んだのでメモ。

目次

  1. 安全な環境をつくる
    • チームに必要な環境
    • チームの化学反応
    • 結束力のあるチーム
    • 帰属意識の育て方
    • 帰属意識の高いチームをつくる
    • 行動のためのアイデア1
  2. 弱さを共有する
    • 弱さを見せる
    • 弱さのループ
    • 驚異のチームワーク
    • 小さなチームで協力関係を築く方法
    • 個人間の協力関係を築く方法
    • 行動のためのアイデア2
  3. 共通の目的を持つ
    • チームの価値観と目標の共有
    • 目的意識の高いチーム
    • 「熟練したチーム」のつくり方
    • 「創造的なチーム」のつくり方
    • 行動のためのアイデア3

イントロ

  • 茹でてないスパゲティ20本、1mのセロテープ、1mの糸、マシュマロ1個でできるだけ高い建造物を作りマシュマロをトップに置く、というアクティビティをさせた時、ビジネススクールの学生は事前に戦略を立てて取り掛かる。幼稚園児は計画や戦略を立てることなく黙々と作業する。結果、学生は平均25cmだが、幼稚園児は平均66cmになった
  • 学生は表向きは協力しあっているように見えるが、実は常に自分のチーム内の立ち位置を探りながらやっているのでマシュマロが意外と重いことなどに気づくのが遅くなり時間切れとなる
  • 幼稚園児は一見デタラメだが、お互いに同等の立場でただ目の前の作業に没頭し、問題を見つけるとすぐ手助けしあっていた
  • この本は、この幼稚園児のチームが使った戦略を解説する
  • 成功したチームには強力な文化がある。ハーバード大学が200以上の企業に対して行った研究では、強固な文化を持つチームは過去11年で純利益が756%増加した
  • 強力な文化はたまたま生まれたものではない。この本では世界で最も成功している8つのチームを分析してそれらのチームが共通で持つ以下のスキルをつきとめた
    • 安全な環境をつくる
    • 弱さを見せる
    • 共通の目的を持つ

1. 安全な環境をつくる

  • チームに悪影響を与える人
    • 性格が悪い人(攻撃的、反抗的)
    • 怠け者(労力を出し惜しむ)
    • 周りを暗くする人(愚痴や文句ばかり言う)
  • ↑をわざと演じるやつ(ニック)をチームに入れるとモチベ下がるチームと下がらないチームがあった。下がらないチームにはジョナサンがいた
  • ジョナサンは指示出しやファシリや戦略立案、スピーチやビジョンを描くことなどリーダーらしいことは何もやってない。ネガティブな発言に対して、笑顔で冗談などを言って、他の人の意見を求めたりなどすることで、周りの活気を復活させていた
  • 大きな成功を収めているチームはメンバーのことを仲間や友だちというよりは家族と考えており、以下のような特徴がある
    • 物理的な距離が近く、よく輪になっている
    • アイコンタクト、グータッチ、握手、ハグが多い
    • 誰かの長いスピーチより、活気のある短い言葉のやり取りが多い
    • チーム内の誰とも分け隔てなく接する
    • 人の話を遮らない
    • 質問をたくさんする
    • 人の話を熱心に聞く
    • ユーモアと笑いがある
    • 「ありがとう」と言う(礼儀を忘れず親切にし合う)
  • 実際、冒頭のマシュマロのアクティビティをソシオメーター(なんだそれ)を使って計測してみると、言葉以外の方法による「帰属のシグナル」というのが明らかになった
    • エネルギー: 目の前で起こっている他のメンバーとの交流を大切にしている
    • 個別化: メンバーを独自の存在と認め、尊重している
    • 未来志向: 関係はこの先も続くというシグナル
  • 言葉がなかった頃から、人間は態度や仕草で安全さを伝えていた。複雑なアイデアを的確に伝える能力より、「ここは安全だ、そして私たちはつながっている」というメッセージを態度や仕草で伝えることのほうが重要だ
  • 帰属のシグナルは継続することが重要である。自殺未遂を起こした人で病院から退院した人に、「元気にしてますか?」的なはがきを送ると再び自殺未遂を起こす確率が下がった
  • 初期のGoogleは10億ドルの広告企業のオーバチュアと争っていたが、ラリーペイジが冷蔵庫に貼った「こんな広告はクソだ」というメモを見て、広告チームではない検索チームの人間がチームの枠を超えてスカンクワークした結果、オーバチュアに勝った
  • 第一次大戦中のイギリス軍とドイツ軍は、ある戦場でめちゃくちゃ至近距離に拠点を構えていたのでお互いの笑い声や料理の匂いなどを感じながら戦っていた。また、死体を回収しているときは攻撃しない、トイレは攻撃しないなどお互いを思いやる行動をとっていた。その結果、クリスマスに共にパーティを開くなど大規模な休戦が実現した
  • インドのウィプロというコールセンターは給料や設備がよく福利厚生も充実していたが、離職率50〜70%だった。経営陣はインセンティブを増やすなどしたが効果がなかった。そこである実験を行った。グループ1は起業のアイデンティティを学ぶ1時間の研修+スター社員の話を聞き、会社についてディスカッションをし、社名の入ったパーカーをもらうという研修をした。グループ2は、同じ座学の研修をし、会社についてディスカッションするのではなく、参加する社員それぞれのアイデンティティ(どういうときにやりがいや幸せを感じるか)を考える研修をし、社名+自分の名前が入ったパーカーをもらった。結果、グループ2のほうが2.5倍会社に残った。後者は社員を個人として尊重し、会社とのつながりを強めたといえる
  • アメリカ空軍の大陸間弾道ミサイルミニットマン」の発射チーム「ミサイラー」は最悪で、毎年のように不祥事を起こしていた。彼らはつながりを共有していない。勤務は24時間交代で寒くて薄暗いミサイル基地。また、未来も共有していない。冷戦は終わり、ミサイラーは出世の道を絶たれている。安全な場所でもない。点検や訓練では少しのミスで無能のレッテルを貼られ、成功しても褒められることはない。誰もが怯えている
  • 一方、海軍の原子力潜水艦のメンバーは一見ミサイラーと近いことをやっているが、近い距離で働き、出世の可能性もあり、世界の海を守るというミッションも共有しているので高いパフォーマンスを出せている

どうやって帰属意識が高い組織をつくるの?

  • NBAのスパーズ(レブロンがいるとこ)、選手層に比べて明らかに勝ちすぎている。監督のポポヴィッチがすごいのか?彼は厳格で短気な古いタイプのコーチである。それなのになぜあんなにも献身的で結束の高いチームをつくれたのか?
  • スパーズは努力家で献身的な選手を集めてはいるが、それは他のチームも同じ。しかし、スパーズに移籍してきたかつて利己的だった選手でさえ、献身的になる
  • ポポヴィッチは選手と距離が近く、アップする選手の間を歩き回り笑顔で話しかけたり背中を叩いたりする。帰るときは「愛してるよブラザー」と声をかける。怒るときは全く遠慮せず本当のことをズバズバと言う
  • 負けた試合の後、CNNのドキュメンタリーを見せたりして、どう思ったか議論する時間を作ったりもする。世界にはバスケだけではなくもっと大きなものが存在し、世界で人はみなつながっているというメッセージを伝え、スポーツと社会の関係をつなげている
  • 彼のコミュニケーションにはやはり帰属のシグナルが含まれている
    • 1対1の距離が近い: 「あなたのことを気にかけている」というメッセージを伝える行動や仕草
    • パフォーマンスに関するフィードバック: 「このチームには高いレベルが期待されている」というメッセージを伝える厳しい指導
    • 大局的な視点: 目の前のことだけでなく、政治、歴史、料理などより広い世界に関する会話
  • 彼はこれらの短距離、中距離、長距離のコミュニケーションをまるで映画監督がカメラを扱うように使いこなしている

正しいシグナルの送り方

  • 聞きすぎるほど聞く
  • 早い段階で自分の弱さを認める(特にリーダーはこれが重要)
  • 使者を抱きしめる
    • 悪いニュースを伝えてくれてありがとう!
  • 未来の約束をする
    • TVを見ながら「あのワールドシリーズで投げているピッチャーは3年前まで君たちと同じマイナーリーガーだったんだよ」→俺もいけるやん!!!
  • しつこいほど「ありがとう」を伝える
  • メンバー選びは慎重すぎるほど慎重に
    • ザッポスは新人研修後にすぐやめたら2000ドルのボーナスを出して10%の人が辞めている
  • 腐ったリンゴを取り除く
  • 安全で、衝突がたくさん起こる場所をつくる
  • すべての人に発言の機会を与える
  • ゴミを拾う
    • リーダーでもいばらずに率先してゴミを拾ったりして対等な存在であると伝える
  • 第一印象の効果を最大化する
    • 人間は新しい組織に入ると即座につながりをつくるかどうかの判断をする。なので第一印象で安全性を伝えるのが重要
  • 「サンドウィッチ・フィードバック」を避ける
    • 苦言を褒め言葉で挟むとポジティブかネガティブどっちかしか受け取れないので無駄
  • 楽しむ
    • 人が笑うのは心から安心し、仲間とのつながりを信じている証拠

2. 弱さを見せる

  • ユナイテッド232便は油圧システムが壊れて制御不能になったが、操縦士間の立場を超えた短い「通知」のやり取りと、「俺にできることはないか?」「なにかいいアイデアはないか?」という弱さを見せたやり取りによって不時着できた。同じシチュエーションのバーチャル訓練を28回行ったが、誰も着陸できなかった
  • 海軍特殊部隊のネイビーシールズピクサー、窃盗団のピンクパンサーも良い例

弱さを見せるために必要なこと

  • まずリーダーが弱さを見せる(1回だけでなく何回も)
  • メンバーに期待されていることをしつこいぐらい伝える
  • ネガティブなフィードバックは直接会って伝える
  • 新しいチームをつくるときは、2つのタイミングを重視する
    • 最初に弱さを見せるとき
    • 最初の意見の衝突
  • トランポリンのように聞く
  • 「価値のあることを言いたい」という衝動を抑える
  • 率直な意見交換のできる場を確立する
  • 率直な意見と個人攻撃は違う
  • 気まずい瞬間を大切にする
  • 協力関係を強調する言葉を選ぶ
  • 仕事の評価と能力開発を明確に区別する
  • 「フラッシュ・メンタリング」を活用する
  • ときどきリーダーが姿を消す

3. 共通の目的を持つ

ジョンソン・エンド・ジョンソンの話 - ジョンソン・エンド・ジョンソンの社訓は「我々の第一の責任は、我々の製品及びサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとするすべての顧客に対するものである」みたいなやつで、「〜しなければいけない」という言葉が21回登場する旧約聖書を読んでいるような気分にさせる厳格な文章である。しかし社員の誰もその社訓を重視していないし、そもそも社訓を重視すべきか社長もわかっていなかった。なので社訓の位置づけを話す機会を作ると、話はまとまらないが社訓を守ろうとしたり関心を持つ社員が増えた - ある日、J&Jの商品タイレノールに毒を入れられる事件が起こった。このとき、犯人を捕まえることより、商品を回収したり毒が混入しないパッケージを開発するなど顧客を守ることを最優先した。また、社長自ら色んな所に出向き、謝罪をした。結果、タイレノールの売上は事件前の状態まで回復し、この対応は企業の危機対策のお手本とされるようになった。この対応は、前述の社訓から生まれた - 成功しているチームはどこも共通の価値観や目的がはっきりしている。そしてそれを並外れて徹底している

価値や目標を共有するために必要なこと

  • 優先順位をはっきりさせる
  • 「習熟」が必要な分野と、「創造性」が必要な分野を見きわめる
  • キャッチフレーズを活用する
  • 本当に必要なことを計測する
  • 人工物を活用する
  • メンバーの指針になる行動にスポットライトを当てる → 40 for 40

雑感

  • 安全な環境をつくる
  • 弱さを見せる
  • 共通の目的を持つ

ができてる集団は強い、というのが本の趣旨だった。

実際に自分の周りの環境をどう改善していくかでいうと、

「安全な環境をつくる」には、端的にいえば物理的な距離を近づけると人間の本能的に親密さを抱くことがわかっているのでそうするのが手っ取り早そう。(その人が近くにいても害がないことが前提😅)

「弱さを見せる」に関しては、

  • ネガティブフィードバックの場として1on1を
  • 率直な意見交換の場としてスクラムのスプリントレトロスペクティブを

利用していきたい。

「共通の目的を持つ」に関しては、やっぱりチームの目標というかモットーみたいなのをつくる必要があるかもしれないなーと考え中🤔

終わり。

THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法

THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法

読書メモ - やり抜く人の9つの習慣

「やる気が上がる8つのスイッチ」と同じ人が書いた、どうすれば目標を達成できるかを解説している本。こちらも薄くて読みやすい。(93ページ)

もくじ

  1. 目標に具体性を与える
  2. 目標達成の行動計画を作る
  3. 目標までの距離を意識する
  4. 現実的楽観主義者になる
  5. 「成長すること」に集中する
  6. 「やり抜く力」を持つ
  7. 筋肉を鍛えるように意志力を鍛える
  8. 自分を追い込まない
  9. 「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する

1. 目標に具体性を与える

  • 「やせたい」と思ったら目標は「やせる」ではなく「5キロやせる」とする
  • 目標を具体的かつ詳細にイメージできるようにすると、「目標達成のために何をやるべきか」「目標達成の障害になるのは何か」が見えてくる

実際にやってみよう!

  1. 目標を紙に書く
    • 例. 仕事で結果を出す
  2. どうなったら目標を達成したと言えるか考える
    • 例. 上司から部長昇進の辞令をもらう
  3. 目標を書き直す
    • 例. 部長に昇進する
  4. メンタルコントラストを活用する
    • 目標を達成して得られること、そこに至るまでに考えられる障害を2つずつあげる。
    • 例.
      • 得られること: 給料が上がる、会社の戦略に関われるようになる
      • 障害: ライバルの同僚、上司の考えが今ひとつつかめない
  5. メンタルコントラストを深める
    • 書き出した得られることをを味わってみる。次に書き出した障害を見直す
    • それは本当に障害か?なぜ障害になっているのか?

2. 目標達成への行動計画をつくる

  • 目標達成のためにやるべき行動を着実に実行するために、「いつ何をやるか」を予め予定に入れておこう
    • 日々の計画が具体的な行動レベルまで明確になっていると、その行動をする可能性は300%も高まる
  • 目標達成への行動を邪魔したり集中力を妨げるものに対処するためには「if-thenプランニング」を使おう
    • 例. もし午前中に報告書を書き終えられなかったら、午後最初の仕事はその報告書を書き上げることにする
    • 例. もし同僚とのお喋りで仕事が捗らないなら、お喋りタイムを5分と決めて5分後には仕事に集中する
    • if-thenプランニングを使うと91%の人が習慣化に成功した。普通の人は31%しか成功しなかった

実際にやってみよう!

  1. 目標達成のためにすべきことを明確にする
  2. 「いつ」「どんなときに」行動に移すのかを考える
  3. if-thenプランニングに落とし込む
  4. 何が障害になるかを考える(目標達成を阻む、あらゆる誘惑や障害を書き出す)
  5. 障害への対処を考える
  6. もう一度if-thenプランニングに落とし込む

3. 目標までの距離を意識する

  • 目標に対してどれだけ進歩したかをモニタリングしよう
  • 初心者はあまり頻繁にチェックすべきではない。混乱を招きかえって上達を阻害する
  • 「これまで達成したこと」より「これから達成しないといけないこと」に目を向けよう

実際にやってみよう!

  1. どの程度の頻度でフィードバックを得るかを決める
  2. 誰からフィードバックを得るかを決める(自分自身/友人や家族/成果を出してる先輩)
  3. フィードバックの予定を決める(カレンダーに書き入れる)
  4. 「これから思考」で目標までの距離を考える

4. 現実的楽観主義者になる

  • 「望むことは簡単にできる」「ほしいものは簡単に手に入る」と考えると失敗の確率が高まるという研究がある。油断し、準備を怠ってしまうから
  • 目標達成が簡単でないことを意識しよう
    • ダイエット時に「成功できると思う」と答えた人は「わからない」と答えた人より13キロ減量できた。一方で、「食べ物の誘惑に打ち勝つことはできるか」にYESと答えた人はNOと答えた人より13キロも重いままだった

5. 「成長すること」に集中する

  • 「自分には成功する力がある」と信じることと同じぐらい、「今できなくても、できるようになる」と信じることは重要である
  • 「失敗してもいい」と考えると、実際に失敗する確率は大幅に低くなるという研究結果がある
    • 「やる気が上がる8つのスイッチ」の「証明マインドセット」と「成長マインドセット」で後者が優れているのはこれが根拠。不安感は能力発揮の最大の阻害要因である
  • 当然ながら自分が興味のある課題に取り組むほうがモチベーションを維持できる
    • 難易度は低いが興味がないことより難易度高くても興味あることに取り組むほうが成果が出ることも明らかになっている

6. 「やり抜く力」を持つ

  • 最近グリット(Grit=困難に屈せず長期的な目標達成に向けてやり抜く力)という言葉が流行っている
  • グリットを持つ人は大学入試で高い得点を得て、教育水準も高いことがわかっている
  • 成功に必要なのは努力すること、正しい戦略を立てること、詳細なプランを立てること、成功を掴むまで諦めないこと。これらは生まれつきの資質ではない
    • 固定的知能観(知能は遺伝とかで決まってるでしょ)は間違いだと証明されている
    • 拡張的知能観(知能は努力で拡張できる)な人は失敗しても「努力不足だった」「戦略ミスってた」と自責するので成長できる

7. 筋肉を鍛えるように意志力を鍛える

  • 意志力は筋肉のように使わないと衰えるし、定期的に正しい方法で使えば少しずつ強くすることができる
  • すべての挑戦の共通点は「誘惑に打ち勝つ」必要があるということ
  • 意志力はストレスや意思決定の回数によってすり減っていき、回復を待つ必要が出てくる
    • すぐ回復したいなら、「意志力が強い人」のことを想像すると回復できることが明らかになっている(イチローとか?😅)
    • 好きな音楽を聴いたり、過去の成功体験を思い出すなど「景気づけの一杯」を持っておくのも効果的

8. 自分を追い込まない

  • 意志力には限りがあるので、2つの困難な目標に同時に取り組むのは避けるべき
  • どんな目標でもできるだけ簡単な方法を見つけるように努めよう。あえて難しい方法を選ぶ必要はない
  • 何かをやめるときは段階的にやめるより一度にすっぱりやめるほうがいい

9. 「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する

  • ある思考をしないように努力すると、逆に頭の中はその思考でいっぱいになる(例. シロクマのことは絶対に考えるな!)
  • 好ましくないことをやらないために、行動を工夫しよう
    • 代替if-then: もし次に仕事のオファーが来たら、引き受ける前に1日は考えることとする
    • 無視if-then: たばこを吸いたい衝動が来たら、無視する
    • 否定的if-then: 買い物がしたいと思っても、しない
    • シロクマの話にもある通り、否定的if-thenは効果がないのでやめよう😅

読書メモ - やる気が上がる8つのスイッチ

某メンタリストがおすすめしてたのを見て読んでみた。個人的にはこういう具体例が少なくてすぐ読み終えれる薄い本は大好きです(本編94ページ)

もくじ

  • 序章. やる気を上げる方法は1つではない
  • 1章. 2つのマインドセット - 「証明」を求めるより「成長」を目指そう
  • 2章. やる気のフォーカス - 「獲得」か「回避」かを知って強みにする
  • 3章. 自信は必須の要素
  • 4章. やる気から見た8つのタイプ
  • 5章. すべてのタイプに共通する処方箋

序章

  • 「新しいことを始めるのがめんどい」「やる気が続かない」「部下のやる気がない」こんな事を言う人は昔からたくさんいるが、いまだにずっと悩んでいる。なぜなら答えは一つではないから
  • この本を読むとあなたはモチベーションドクター(人をやる気にさせるお医者さん)になるための最初の一歩を踏み出せる
  • この本では人を8つのタイプに分けた。8つにはそれぞれ特有の行動パターンがあり、好き嫌いのパターンがある。
    • 中二病
    • うざいやつ
    • 臆病者
    • 退屈な人
    • やる気の空回り
    • まじめな見習い
    • 新星
    • 熟練の匠
  • さらにこれら8タイプを次の3つの軸で解説する

1. 2つのマインドセット

  • 我々は証明or成長のどちらかのマインドセットを持つ
  • 証明マインドセットを持つ人は、自分の能力を他人に認めさせようとし、自分と他人をいつも比べずにはいられない。課題や目標に囚われ、底に至るまでの道筋やプロセスを楽しめない
  • 成長マインドセットを持つ人は、自分が向上することに焦点を当て、他人の目をあまり気にしない。他人が自分を認めてくれなくても、やると思ったことを粘り強くやる
  • 証明マインドは「すごい人と思われたい」、成長マインドは「すごい人になりたい」という違い
  • 我々は固定的にどちらかのマインドセットを持つわけではないが、明らかに成長マインドセットのほうが有利に働く

2. やる気のフォーカス

  • 目標達成のアプローチは「獲得」型と「回避」型がある
  • 獲得フォーカスは称賛を得ることに動機づけられるが、回避フォーカスは義務や責任を重視し、批判を避けることに動機づけられている
  • 獲得フォーカスは多くのことに手を出しがち。回避フォーカスはやり始めたことは最後までやろうとする
  • 獲得フォーカスは仕事を先延ばしにするが、回避フォーカスの人は最初から時間を多めに見積もり、期限までに仕事を完了させようとする
  • 獲得フォーカスは実験的かつ抽象的に考えるのが得意。ブレストで意見を戦わせるのが好きで、目標に向かってあらゆる選択肢や可能性を思いつく
  • 回避フォーカスの人は獲得フォーカスの人を地に足がついてないと思ってしまう。彼らはもっと分析的・個別的・具体的な議論を好む
  • 獲得フォーカスはスピードを尊び、回避フォーカスは正確さを重要視する
  • 獲得or回避はどっちでもいい。バランスが大事
  • 相手がどちらのフォーカスかがわかれば、なぜ目標に対してのアプローチが違うかを理解できるはず

3. 自信は必須の要素

  • 自信(謙虚でしなやかで静かに、「私にはそれをやり遂げる力がある」と確信していること。自己効力感ともいう)は目標達成の必須要素である
  • 自己効力感と成功の相関係数は0.34。スキルと成功の相関係数が0.19に過ぎないことを考えるととても大きい
  • 自己効力感は次の4つの要素によって成り立つ
    • 成功体験
    • 他者の体験からの学び
    • (他者からの保証や警告)
    • (その時時の私たちの気分)

4. やる気から見た8つのタイプ

これまで見てきた3つの軸をもとに、人を8つのタイプに分類すると以下のようになる。

中二病

  • 証明マインド セット/獲得フォーカス/自信なし
  • 症状
    • いつも引っ込みがちで、憂鬱な感じを漂わせている
    • 努力をしない。 最小の投資で最大のゲインを得ようとする
    • 明らかに自分の能力に自信が持てない
    • 自分自身 を 失敗 に 導い て いる
    • たまにやる気を見せることもあるが、すぐにしぼむ
  • 治療法

②うざいやつ

  • 証明マインドセット/獲得フォーカス/自信あり
  • 症状
    • 自慢が多く、いつも注目されていたい
    • 批判を聞く耳を持たず、失敗を隠す
    • すべてに飛びつく
    • 向こう見ずである
    • 仲間といつも競い合っている
  • 治療法

③臆病者

  • 証明マインドセット/回避フォーカス/自信なし
  • 症状
    • 周囲と壁を作り、いつも不安にかられている
    • プレッシャーに押しつぶされそうになっていて、よきせぬ事態に弱い
    • 新しい仕事には拒否反応を示す
    • 自分を守ろうとする意識が強い
    • ミスを犯すのを何より恐れている
  • 治療法

④退屈な人

  • 証明マインドセット/回避フォーカス/自信あり
  • 症状
    • 静かな自信を持ち、いつも注意深い
    • 自分の得意なことしかやらない
    • 変化には強く抵抗する
    • ミスを犯すことをとても気にしている
    • 物事のやり方に関しては非常に頑固
  • 治療法

⑤やる気の空回り

  • 成長マインドセット/獲得フォーカス/自信なし
  • 症状
    • 意欲に満ちている
    • 遂行能力は低いが学びたいという情熱がある
    • 楽天的で自分には成功する能力があると思っている
    • 多くのことを引き受けすぎる
    • 認められることによって伸びる
    • 困難に建設的に対処しようとする
  • 治療法
    • OJTで自信をつける
    • 獲得フォーカスを十分活かす環境を作る

⑥まじめな見習い

  • 成長マインドセット/回避フォーカス/自信なし
  • 症状
    • 自分なりの美学を持ち、やるべきことに集中する
    • 今は遂行能力に欠けているが、学んで熟達する覚悟がある
    • 守りに強いネガティブシンカー
    • 学ぶのは得意だが行動に移すのは苦手
    • 真摯なフィードバックによって伸びる
    • 困難に建設的に対処する
  • 治療法
    • スキルを身に着け自信をつける
    • 回避フォーカスを十分に活かす環境を作る

⑦新星

  • 成長マインドセット/獲得フォーカス/自信あり
  • 症状
    • エネルギッシュで楽観的
    • 壁にぶつかるほど力が湧き出る
    • イデアの宝庫であり革新的である
    • 取るべきリスクを恐れない
  • 治療法
    • 獲得フォーカスを十分活かす環境を作る

⑧熟練の匠

  • 成長マインドセット/回避フォーカス/自信あり
  • 症状
    • 責任感が強く信頼できる。いてほしいときにいてくれる
    • 常に第二第三の矢を持って事に挑む
    • ミスがない
    • 揺るがない専門性を持つ
    • 自分の周囲もともに高めようとする
  • 治療法
    • 回避フォーカスを十分活かす環境を作る

5. すべてのタイプに共通する処方箋

以下の流れに沿って変えていく。

  1. 証明マインドセットを持っていたら、それを成長マインドセットに変える
  2. 必要なスキルと自信を身につける
  3. それぞれのフォーカスを理解して、それにあったやり方でさらなる成長を目指す

証明マインドセットを成長マインドセットに変えるためには、目標を立てるときに成長を意識した表現に変えると良い。

  • 私は良きリーダーになりたい→良きリーダーになるために必要なことを学びたい
  • 時間配分をうまくしたい→時間配分を上手にこなすためのスキルを身に着けたい

スキルと自信を身につけるための方法は、フォーカスによって異なる。

  • 獲得フォーカスの人はOJTを好む。励ましの言葉をかけてあげると良い
  • 回避フォーカスの人は入念な準備を好む。時間はかかるがちゃんとやってる。励ましの言葉はかえってやる気を削ぐ

獲得フォーカスの人が力を発揮する環境を作るには、

  • よく褒めてポジティブで楽観的な環境を整える
  • 目標をはっきりともたせる
    • 目標達成すると何が得られるか?を伝えよう
  • イデアを自由に出させる
  • 彼らは何でも早く片付けたいと思っていることを忘れない
    • 長期のゴールは小さなサブゴールに分割しよう

回避フォーカスの人が力を発揮する環境を作るには、

  • 建設的な批判と悲観主義でアプローチする
    • 彼らは建設的な批判なら喜んで耳を傾ける
  • 何を得るかより何を避けるべきかをはっきりさせる
    • 目標を与えるときはそれが「しておかねばならないこと」「安定をもたらすこと」「仕事がよりスムーズに進むようになること」であると説明すると良い
  • 出されたアイデアを分析し、評価をしてもらう
    • この人たちはアイデアを出すことは苦手だが、アイデアを分析するのは得意
  • じっくりと仕事に取り組めるようにする
    • 彼らは急かされるのは嫌。辛抱強く待つとミスのない素晴らしい仕事をしてくれる
  • 具体的な指示を与える
  • 決断するときはマイナス面を考えさせる
    • どちらがマイナスが少ないかを考えさせると彼らにとって自然で良い判断をしてくれる