風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

懐かしい風景

新潟へバードウオッチング遠征の前に昨夜は長男と銀座で食事をして東京泊。今朝、出発前に以前、東京で働いていた職場のあたりに立ち寄った。

東京には2008-10年の3年、2013-19の7年の合計10年単身赴任していた。職場は丸の内だったので昼休みはよく皇居外苑や和田倉公園、日比谷公園などに歩きに行った。

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久しぶりに見る懐かしい風景。もっとも僕が働いていた職場のビルは今ちょうど立て替え中だったが。。やはり10年もいた場所なので見るとセンチメンタルな気分になる。

 

ちょっと虚脱状態

ミンダナオ島遠征から帰ってもう3週間ほど経つがちょっと虚脱状態が続いている。あまりに強烈な非日常の後の虚脱感だろうか。もっともそれ以外にも、人と会ったりいろいろやるべきことがあったのも確かだが。。(退職後の「ゲゲゲの鬼太郎」状態とは思えない、苦笑)。家内の退職祝い(3月に予定していたのだがウィルス性腸炎になって伸び伸びになっていた)も次男を呼んで実施した。

帰国後、整形外科にも一度行って左の親指のレントゲンを撮ったところ、順調に回復しているということで6月初旬に最後の診察で治療は終わりそう。しかしまだ若干のしびれはあるし爪は真っ黒な部分が徐々に押し上げられてはいるものの、完全に爪が生え変わるのはまだ先になりそうだ。そういうわけでピアノにはなかなか向かえていない状況が続いている。

そんなこんなでぼんやりしているうちに次の遠征も近づいてきた。
次は東京経由で新潟に行く。東京では久しぶりに長男と会って夕飯を食べる予定だ。

写真は家内の退職祝いで食べたメインの料理

 

ミンダナオ島遠征から無事帰還

 

8日間のフィリピン・ミンダナオ島遠征から昨日帰った。それにしても猛烈にスパルタンかつハードボイルドな遠征だった。毎日宿を出発するのは3時半か4時半で宿に戻るのは20時半ごろ。連日16時間から17時間のバードウォッチングで睡眠時間は平均4時間なかったと思う。ジャングルの鳥がほとんどで鳥は小さくて動きが速くて距離は遠く葉に被ってしまうという極限の探鳥力、体力、気力が問われる遠征だった。

それでも第一ターゲットのフィリピンワシは(3km先を飛んでいるところではあるが)見ることができたし、美しいタイヨウチョウやサイホウチョウ、ハナドリたちの数々に加えここでしか見られないエボシフジイロヒタキなどの希少種を見ることが出来て充実の遠征だった。写真はソライロヤイロチョウ。首がもげそうになるほど凸凹の山道の奥の奥までジプニーで入ってやっとこさ見ることが出来た。実に美しい鳥だった。

ソライロヤイロチョウ

すっかりフィリピン諸島の鳥や風土が気に入ったので、こんどは別の島に行ってみたいと思っているが実現できるかな???



明日からの遠征

春の渡りの真っ只中ではあるが、明日から海外遠征に行く。行き先はフィリピンのミンダナオ島。今回はフィリピン人の初対面のガイドさんの案内で我々夫婦含めて4名のグループで行く。ガイドさんは日本語は話せないのでコミュニケーションは英語となり、鳥の名前も英語で言われることになるので今回見られる可能性のある鳥の英名を四苦八苦しながら暗記しようとやってきたが、見たことのない鳥の名前は日本語でも覚えにくいのに英名はもっと厄介だ。ぶっつけ本番で見た鳥の名前をメモしてゆくしかない。

一番のターゲットはフィリピンワシ(Philippine Eagle)なのだが、今年は営巣が確認できていないようなので難しいかもしれない。実に美しいワシなので是非とも見たいのだが、昨年11月にミンダナオ島に行った方に話を聞くと、遠くを飛んでいるところを一瞬見れただけとのことだった。今回はフィリピンワシを狙って山地に入って3日間探し、その後、低地に降りてジャングルや湿地の鳥を見ることになっている。どんな出会いがあるのかドキドキだが、虫刺されや熱中症、下痢や腹痛などの話を聞いているのでその意味でもドキドキである。正直不安も一杯だが、なんとかなるだろうと思って出発することにする。

フィリピンワシ(Philippine Eagle)

 

最後のレッスンの曲

大人になってピアノを再開してから(中学2年でレッスンにいかなくなり30代で再開した)レッスンに行っていた期間もある。再開してからレッスンではモーツァルト、ベートーベンのソナタツェルニー50番とバッハをやってショパンエチュードを見てもらい、並行して人前で弾く曲を見てもらっていたりした。レッスンで最後にやった曲はラフマニノフ前奏曲 Op.23-5でその楽譜がこれだ。

書き込みや楽譜の色付けは先生がしたもので、僕はこの曲に関しては決して熱心な生徒ではなかったと思う。というのは曲は先生が選定したもので(僕はこの曲は知ってはいたが)あまり好きな曲でもなかったからだ。久しぶりに楽譜を引っ張り出して少し鍵盤でなぞってみると、ゆっくりなぞるだけでヒビの入った親指に負担がかかって痛くなった、笑。まぁとにかく強烈なリズムと和音の連打でピアノを深いところから鳴らす曲なのだけれど、もっとも思い出す限りでは僕は激しい和音のパートよりも、静かでロマンティックな中間部の特に左手の広域アルペジオが苦手だった。ユジャ・ワンの素晴らしい演奏を上げておく。こうやって改めて聴くと良い曲ですね。

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この曲が一応上がった後、先生が「次はラヴェルの「水の戯れ」をやりませんか?」と言ったので(水の戯れをやりたくなかった)僕は仕事が忙しくなったことを口実にレッスンをやめてしまったのだった。限られた時間を弾きたい曲に当てたいというのがその時の思いだったけれど、先生は先生で上達してもらうにはこの曲をやってもらいたい(例えばラフのOp.23-5は明らかに揃った和音の素早い跳躍・連打とピアニシモで弾く広域アルペジオの習得を狙っていたと思う)という狙いがあって、恐らくは先生の言に従ったほうが早く上達したんだろうと思う。しかし大人のレッスンは時間に限りもあるので難しいところだ。もう恐らくレッスンに行くことはないだろうなぁ。。

リゲティのエチュード

指の骨のヒビが治らないのでピアノが弾けない。そうなるとピアノについて書くことも今ひとつ出てこないのだが、指が治ろうと治るまいと以前の僕は「弾けもしないピアノ譜を買う」趣味があったので暇つぶしにそんな曲の一つであるリゲティエチュードについて書く。

リゲティは2006年に没した現代音楽家だ。いろいろな曲を書いているがピアノ曲ではピアノのためのエチュードを3巻に分けて書いている。僕は大昔、どこかでリゲティエチュードの演奏を聞いて面白いと思ってSCHOTT社のバカ高い楽譜(もちろん全部買うお金はないので第1巻のみ)を買ったのだった。僕が特に興味を持っていたのは第1番「無秩序」、第4番「ファンファーレ」、第5番「虹」。

第1番「無秩序」は右手は白鍵のみ、左手は黒鍵のみでポリリズムなのでどんどん右手と左手がズレていくというとんでもない曲。ちょっと弾いてみるとわかるが右手と左手が干渉する上に指使いをどうするかが甚だ難しい。まぁ弾かないのでいいんだけど。

第4番「ファンファーレ」は伴奏と旋律が頻繁に入れ替わる曲で8つの8分音符が3+2+3に分割されるリズムで弾く。楽譜を当たってみると音を拾うことはできそうだが、スピードを上げて弾くのは至難だろうなぁ。。まぁ弾かないのでいいんだけど。

第5番「虹」はこの曲集でダントツ綺麗な曲。しかし右手と左手の干渉が半端ない。。まぁ弾かないのでいいんだけど、苦笑。

ということで自分は弾かない(弾けない)けど面白いと思って昔、楽譜まで買っちゃった曲なのでここに書いておく。

youtu.be

この動画で第1番「無秩序」は00:02から、第4番「ファンファーレ」は07:11から、第5番「虹」は10:29から。(一番有名な第13番「悪魔の階段」は32:37からです)

遠征からは帰ったものの。。。

火曜日に遠征から無事帰ってきた。家内は一足早く日曜日に帰宅。
僕のほうは正直な話、鳥が全く出ず散々な遠征だった。渡りの時期の離島ではよくある話なのでどうしようもないのだが、ホオジロ類、ヒバリ類はおろかハクセキレイすらおらずすっからかんだった。離島から沖縄本島に帰って一泊して一人で本島南部の農耕地をレンタカーでぐるぐる回ってみたがこちらもすっからかん。なかなかキツイ遠征だった、苦笑。反対に家内のほうは海が大荒れでおがさわら丸のデッキは半分ぐらいの時間は閉鎖だったようだが、それが幸いしたのかハシボソミズナギドリの大群(1万羽と推定)、ハイイロヒレアシシギの群れ(1000羽程度と推定)と会ったりしてなかなか楽しかったようだ。まぁこういうのは当たり外れがあるのでやむを得ない。

帰宅した翌日、整形外科に行って指のレントゲンを撮った。最近少し痛みが出ているのだが、医師によればまだヒビは完全にくっついておらずまだ相当かかるとの見立て。つまりまだ当分ピアノは弾けないということになる。まぁ来週にはまたフィリピン遠征に行くのでピアノを弾いている暇はないので良いのだが、ずっとこの調子だとツマラナイ。

写真は離島でなんとか会えたツバメチドリ。面白い顔をしている鳥だ。

ツバメチドリ

 

再び遠征へ。

明日から一人で沖縄県の離島へ行く。春の渡りの時期なのでどこかに行きたいと思って家内とこの島に行くことにしていたのだが、家内は途中で気が変わって小笠原諸島の母島に行ってしまった、笑。24時間かけて父島に到着、そこから2時間かけて母島まで合計26時間の船旅だ。途中の航路は海鳥観察を楽しみ、母島でも小型船に乗ってクロウミツバメを探しにいくそうだ。電波の状況が悪いのか殆ど連絡は来ないが大丈夫だろうか。

母島には僕は一昨年に行っているが本当に絶海の孤島だ。なにせ東京から南に1000km以上離れているし船は週に一往復なので母島まで行ったら何があっても6日間は帰ってこれない。家内も父島往復の弾丸遠征(父島に着いたらすぐ帰りの船に乗るというやつ)には昨年夏に行ってるし、今年の8月も僕と一緒に行く予定なのだが、母島にどうしても行きたかったのだ。それはメグロを見るため。世界でも母島でしか見れない固有種だ。

メグロ

さて家内はともかく、僕のほうは沖縄の離島で変わった鳥にめぐり会えたらいいなぁと思っている。来週の火曜日には帰って来る予定だ。

ヘンデル・バリエーションのフーガ

ブラームスの通称「ヘンバリ」または「ヘンデル変奏曲」、正しくは「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ Op.24」である。指にヒビが入ったおかげでまだピアノが弾けないので作業をしながらYouTubeで音楽を聞いているのだが、たまたまBGMとして以下の動画を見ていた時にアレクサンドラ・ドゥガンがこの曲のフーガを弾いたのだ。

www.youtube.com

僕はこの曲が好きだったのだが、もう30年も前だろうか友人のピアノ弾きが「ヘンバリのあの駄フーガ」と言ったのを聞いてびっくりした。僕はこのフーガも好きだったのだ。改めてどうなんだろうと考えてみた次第。

ネットで世間の評価を見てみると少なくとも「駄フーガ」という評価は見当たらない。改めて聴き直してみると、すごく技巧的でやたらと主題の前半分のフレーズが順行形でも反行形でも拡大形でも目立っているので力ずくに聴こえなくもなく、精緻さや対位法の職人技が(あったとしても)目立たないのではないかな?と思えた。
で、ずいぶん昔に買ったままで探り弾きもしていないヘンレ版の楽譜を引っ張り出して、鍵盤でなぞってみると、、、いや、めちゃくちゃ難しいですわ。ブラームスのソロのピアノ曲ではパガニーニ変奏曲がダントツ難しいと思っていたが、このヘンバリのフーガもとんでもなく難しいです。これだけ技巧的でかつちゃんと4声のフーガだもんねぇ。指が治っても弾こうとは思わないなぁ。。。。

ところで今日は整形外科でレントゲンを撮ってきた。指のヒビは順調に治りつつあるのであとは気をつけて放置するのみとのこと。まだ痺れがあるし鍵盤を押すと少し痛むのでピアノを弾くのは要注意だ。こんな駄文を書き連ねて気晴らしするしかない。

youtu.be

マレイ・ペライアによるヘンデル変奏曲全曲。ジュリアス・カッチェンの名演のCDを愛聴していたがペライアのこの演奏も素敵だ。ちなみにフーガは21:14から。

3月が逝く

3月が明日で終わろうとしている。今月はいろいろなことがあった月だった。
とても大切な鳥友さんが若くして病気で亡くなった。僕たち夫婦の親友といっていい人だったのでショックを受けている。いろいろなところに一緒に行ったし、行く予定だった(来月末からのフィリピン遠征もこの人の発案だった)。渡りの時期に離島に行く楽しさ、海外探鳥の楽しさ、怪しい鳥を見つけ識別するやり方を教えてくれた人だった。僕たちのバードウオッチングの師匠であった人だった。まだまだやりたいことや行きたい場所は山程あっただろうと思うと、悔しくて残念でならない。
人の運命は本当にわからない、と改めて思う。やりたいことは待たずに「今」やるべきなのだ。僕たちにも運命の矢がいつ上から落ちてくるかわからないのだ。

それ以外にも僕は漁船の扉で挟んで指にはヒビが入り(まだ痛みと痺れはあり治療は続く)、家内は岸壁で転んで頭を打ってまだ腫れが残っているし、一昨日からは夫婦揃ってウィルス性腸炎をもらって40℃を超える熱が出て今も体調不良のままだ(お陰で家内の退職のお祝いの食事会は延期になった)。ひとことで言えば「散々な3月」だったのだ。

4月になる。
桜が咲く。
なにかが変われば良いのだが。