おおむらさきの日記

読書と映画、生活いろいろ日記

【読書】『いらねえけどありがとう』いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術(著:村井理子)

米ぐらいなんだと軽々しく言ってほしくないのだ。
だって、もう何十年も続いている。(p3)

 

挑戦を恐れるな。
古いものにしがみつくな。
無洗米の奇跡を忘れるな!(p5)

いらねえけどありがとう

 

冒頭の「無洗米の奇跡」エピソードに象徴されるような(ぜひ読んでみてください)、

生活の中に存在する頑なに回避していたことが、試してみたら生活がしやすくなった」というようなことのエピソード集。

村井さんの本、やっぱり面白かったです。


目から鱗!」的な、いわゆる今どきのライフハック本ではないけれど、自分が気楽に過ごすためのエッセイ集として読め、「私もそういう意識に囚われていたかも。」みたいな気づきを得られました。

 

著者の村井さんは、思春期の男のお子さん(なお双子さん)がおり、家事もして、翻訳者業・作家業もバリバリあるっぽいし、ワンちゃん(大型犬)のお世話もして……と、私から見ればとにかくパワフルな印象。


かと思いつつ、ゆるさも滲み出ていて(そうやらないと潰れてしまうし、変な話共感を得られないからだろうとは思うけど)、

そういったところが「シン・現代のお母ちゃん」という感じがしました。

ワーキングマザーの読者ファンが多いんじゃないかなと勝手に想像。


ゆったりゆるく読めた良書でしたが、個人的に、副題にある「技術」は言い過ぎだと思う。

なんでも「技術」にしなくていいんだよ?とちょっと思います、現代の風潮に対して。



 

【読書】【感想】『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』(著:村山太一)

目黒にある一つ星イタリアンレストラン・ラッセのシェフの村山さんが、ファミリーレストランであるサイゼリヤでバイトをして…という興味深い内容。

なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法



 

読み進めながら、勝手に30代くらいの人かと思っていたら1975年生まれとのこと。

プライドを捨ててサイゼリヤで働いてみよう、なんて、なかなかできることじゃない気がする。(だからこそこうして本にもなる)


変化の大きい時代に、こうしたチャレンジが読めることってプライスレスだと思う。私も「⚪︎⚪︎やってみた」っていうジャンル読むの好き。勇気づけられる人も多いと思う。

 


アルバイトの高校生に混じりながら、彼らに業務のアドバイス(叱咤激励?)ももらいながら、サイゼでの働きを自身の店の改善に繋げ、成長の糧にしていく。

 

本業以外で気軽にアルバイトになって、それを自分の血肉にしていこうよ、という姿勢は軽やかで、発想が柔軟で若いなと思ったが、文中から伝わってくるのは「1分1秒もムダにできない」感(実際にp121に書いてある)。

働くことへのエネルギーが強い人なんだな。


なんとなく、幻冬舎見城徹氏を連想した。こういう人が「圧倒的成長」をし、強いんだろうなぁと思いつつ、やや距離感をとってしまう今の自分…。苦笑 


村山さんはイタリアの有名店などでゴリゴリに修行してきているようで(まさに師匠に弟子入りの世界)、そういった独特な環境の中で生きてきたからこそ、サイゼリヤという上場企業のオートメーションだったり働き方改革だったりが新鮮に映ったのではないだろうか。

つまり師弟関係的な世界、言ってしまえば封建的な世界で生きてきた人が「会社」を知って感動したのだ。意外とシンプルな,かつ素朴な話なのである。


だが、その新鮮に映った光景を素直に受け入れ、自分のテリトリーにも応用していく、というのは誰にでもできることではないのだと思う。面白がれる能力、というところだろうか。

この辺りが副題の「偏差値37のバカが見つけた必勝法」につながっている。別に偏差値37とか書かなくても良いと思うし、関係ある世界じゃないと思うのだが、大多数の人が「まあそんなもんだよね」と通りがちなところを,神経を研ぎ澄ませて体得していく。

 


過去には自分の部下をパワハラで離職させたこともあったことも綴られている村山さん。自分は修行に耐えられたかもしれないけど、みんながみんなそうとは限らないものね。その辺りの「上手くいかなさ」みたいなものも課題だったんだろうな、と。

そんなこんなで、もうちょっと改善できることあるんじゃない?と、同じ分野の別のフィールドに飛び出して行った経験によって、自身を省みるきっかけにもなったんだろうなと。

 

読了後調べてみたら、ラッセはなんと閉業しており、新規事業に注力するとのことだった。本にも書いてあった宇宙関係かな?
今までやってきたことをやめるのも、新しいことを始めるのも勇気がいるけど、そういった壁を突破しようとしていくエネルギーって純粋にすごいなと思った。

【読書】『40歳がくる!』(著:雨宮まみ)(2023.12)

 

40歳がくる!

ようやく読んだ。

雨宮まみさんの新著が出版されると知った時のあの驚き。

 

そもそも、没後に出版したことの是非であるとか、装丁に対する賛否とか、色々な意見も存在するとは思う。

ただ私としてはそんなに否定的な意見はなく、というよりか、2024年になっても自分以外にもたくさんの人が雨宮まみさんを想い続けていること、そしてそれが結実し、1冊の本となって物理的に世に出たことへの感慨がある。


雨宮まみさんは身を削って執筆してきたが、私はサイレントな読者で、ただただ受動的に雨宮まみさんの生き様と、それに基づく文章を享受してきただけだった。

まあ作者と読者の関係なんてそんなもので、それが当たり前なのだろうけど、本当に40才で亡くなってしまうなんて、いち読者として、やっぱり、なにか、妙な罪深さのようなものを抱かざるにはいられなかった。

 

2024年になっても未だに「雨宮まみ」を検索してしまうし、色々なニュースに際しても「雨宮まみさんだったらなんてコメントしてるかなぁぁ」なんてふと考えたりしてしまう。今こそ、今だって、雨宮まみさんが必要なのに。

懐かしくしんみり思い出すと同時に、その考えを早く脱ぎ去って、ちゃんと2024年を生きたいとも思う。もう「雨宮まみ」はいないんだ。早く「雨宮まみ」を忘れたい。まあ絶対忘れられないんだけどさ。あーあ。

 

だから、この本を一読して、しばらく封印することにした。

 

『女子をこじらせて』の最後で「私の屍を超えていってほしい」みたいなことが書かれていたと記憶があるけど、本当に、私も早く雨宮まみさんの屍を超えたいよと思った。

 

あーあ。

50になって幸せになって、つまらなくなって、時代遅れになった雨宮まみさんが見たかったなー。まみさーん。

【韓国ドラマ】『先輩、その口紅塗らないで』完走して印象に残ったこと

 

先日、韓国ドラマ『先輩、その口紅塗らないで』を完走しました。

 

先輩、その口紅塗らないで Blu-ray BOX1

ざっくりしたあらすじ

「先輩」とあるように、年下男子ヒョンスン(演:ロウン)と先輩女子 ソンア(演:ウォン・ジナ)の、化粧品会社を舞台にした社内恋愛物語。

 

年下男子といってもヒロインに対してどうやら年齢差はたったひとつというだけらしいのですが、そこは縦社会で序列を重んじる韓国、ということなのでしょうか。おまけに先輩女子はとっても優秀な若手社員。

「はい!わかりました!先輩!」といった従順な態度で先輩女子に教えを請う姿は率直にかわいいです。

憧れのしごできウーマンな彼女に素直に従いつつ、仕事を覚えつつ、恋愛感情を募らせていきます。

 

とはいえ、バリキャリ先輩女子は年下の新入社員男子など別に恋愛対象ではありません。なぜなら、これまた仕事ができる上司・ジェシンチーム長 (演:イ・ヒョヌク)と社内恋愛をしていたからです…。

 

もう入ってくる余地ないよ年下男子くん!という感じなのですが、なんとなんと、年下男子ヒョンスンくんは、そのイケメン上司ジェシンが先輩女子とは違う、別の綺麗な女性ヒョジュ(演:イ・ジュピン)といるところを目撃、結婚間近であるようなところを知ってしまいます。

しかもこの女性は会社の創業者孫のご令嬢。お兄さんも常務として勤務しています。

ぼ、ぼくの大好きな先輩が!二股されてる?!裏切られてる?!あのチーム長に?!

 

しかしソンア先輩はそれに気づいている様子もなく、社内でジェシンチーム長と会う前にはリップスティックを塗って、ますます綺麗になった状態で向かうのです。

それに気づいた年下男子くん。

そういうわけで年下男子くんは言うのです、「先輩、その口紅塗らないで!」と。

ここでタイトル回収になります。

 

…以上がこの恋愛ドラマの一話におけるざっくりしたあらすじであり、大きな枠組みとしてはこの4人を取り囲む恋愛ゴタゴタ物語であると言えます。

 

感想

正直言って、年下男子×年上女子のカップリングがそもそもあまり好みではないのと、物語展開が王道すぎるあまりに、若干退屈した部分もありました。

むしろ年上上司の陰鬱な感じと生い立ちの方に共感し、仲良しで夫婦円満だと思っていたロウンの次姉夫婦の秘密発覚に今時なテーマを感じるなどし、、主人公カップルの恋模様はわりとどうでもよかったです。

また、演じたロウンに罪はないのですが、どうしても「新入社員なのに社内恋愛して大丈夫?」「正義感があるのはわかったが直属の上司敵に回して大丈夫?」などなど、現実的な思考が邪魔をしてしまい、ヒョンスンくんの挙動にツッコんでしまう部分もありました。汗

 

もっとも、ロウンもウォン・ジナも双方共に演技力はベストを尽くしているという感じで、

特にウォン・ジナが慟哭するシーンなどは「やっぱり韓国人俳優って泣きの演技が本当にグッとくる…」と印象に残りました。

 

彼女のキャラクターは、とても頑張り屋さん。プライベートでは母との関係に悩み、社内恋愛に悩み(&楽しみ)、仕事面では皆から期待されバリバリキャリアも積んでいかなくてはならない……。成長に向かって頑張る(けどとっても大変な)現代の女性を詰め込みました!みたいなキャラだといえると思います。

優秀がゆえに海外転勤になるのですが、そのことで年下彼氏と遠距離恋愛になり、うまくいかず、ワークライフバランスが崩れます。傷つきながらも「何が自分の幸せなのか?」と問い続けます。それで、気づくのです。やっぱりロウンが必要だと。そして帰国。5年いるはずだったけど3年で切り上げて…。

個人的に、しごでき女子がこの選択をしたことになんとも示唆的なものを感じられずにはいられませんでした。

この帰国によって恋愛物語としての大団円を成立させつつ、結局、バリキャリウーマンに必要なのはロウン的なケアでありそれが本質、ということも示したのかなぁ、とか。

せっかく期待されて海外転勤したのに、ウォン・ジナの人事査定大丈夫なのかなぁとかとかぼんやり考えてしまいました。←

バリキャリ女子にとって、もはやバリキャリは難しいのでしょう。つまり、優秀だからこそ、いわゆる「バリキャリ」姿勢が必ずしも自分を幸せにしないと気づくことができ、自分軸で生きることの選択をすることができたのではないでしょうか。

 

 

さて、ロウンは売り出し中のアイドルだからでしょうか、あまりに素直なキャラというか、グッドボーイすぎる子犬男子という描かれ方をされているように感じました。なんとも「良すぎる」あまりに、やっぱり彼を取り巻く他のキャラの方に目がいき、彼らの印象がつよく残るのでした。(例えば先ほど挙げた彼の次姉夫婦関係など)

もしかすると私が年齢を重ねていったら彼のキャラクターの良さに心撃ち抜かれるのかもしれませんが…。

 

ロウンとウォンジナのラブシーンもあんまり身が入らなかったな。2人とも演技は自然なのですが、なんかウォンジナの方がちょっと引いてる感じがあったような、気を遣っている感じが出ていたような、そんな感じを受けました。

 

あとは、常務のジェウンとヒョンスンの姉が恋愛関係になるのですが、そのカップルは物語上終始安心してみていられます。こういった役割分担、視聴者に対する安心材料の配分が韓国ドラマはとても良くできているなと改めて思いました。

 

「お兄ちゃんが全部悪かった」という魔法

で、完走後。何話か忘れたのですがしばらくたってふと思い出すシーンがありました。

ジェシンじゃなくちゃだめなの!と長年執着していたヒョジュは、それでも彼がもう自分に振り向いてくれないことに気づき絶望。病室(だったかな?)で大泣きします。

そこでヒョジュの兄で、 化粧品会社の創業者孫で常務のジェウンは妹を抱きしめ、「お兄ちゃんが全部悪かった」と言うのです。

このシーン。初めて見た時、「おお…」とジーンとしました。

まぁ確かに、ジェシンはジェウンの友人でもあるので、ヒョジュとジェシンの関係は兄である自分も絡んでいます。とはいえ、「全部悪かった」わけではないのです。でも、ジェウンお兄ちゃんは、完全に堕ちて失意のどん底にいる妹のヒョジュに対して「お兄ちゃんが全部悪かった」と言い、寄り添い、妹の苦しみをも引き受け、自分が責任を負おうとするのです。

ここに韓国人の家族の絆の強さが描かれているように感じ、なんとも新鮮で、同時にグッときました。家族の絆の強さ、というか、年長者の思いやり深さ、というべきでしょうか。一言で言うなら「情」ってやつかな。韓国人は情が深いとか聞きますよね。

 

 

そして。ヒョジュは最終話に登場した際には、そんなに性格って変わるもの?と思うくらいには成長しています。回復を遂げたのです。

 

…なんだか長く書いてしまいましたが、私が言いたいのは「お兄ちゃんが全部悪かった」と言えるってすごくないか?ということです。

そのシーンがそこまで特筆した感じではなくわりと自然に描かれたのもなんだが意外性があり、年下男子と先輩女子の恋愛のゆくえより多く語りたくなってしまったのでした。

 

【WHP01K】ヘッドホンのイヤーパッドを交換した

ずっと使っていたお気に入りのヘッドホン、WHP01Kのイヤーパッドを交換したよという日記です。

私にとって初めてのノイズキャンセリング付きヘッドフォン。
あと、有線ケーブルも使えるので、ポーダブルDVDプレイヤーで映画なんかを観るときは欠かせません。DVDを回す機械音がうるさいのですが、こちらのヘッドホンのノイキャン機能を使うとかなりマシになり、映画音声もくっきりはっきり聞こえる感じになります。

 

 

・・・そんなお気に入りのヘッドフォン、

いつの間にかイヤーパッドの生地に裂け目が見え始め、それからあっという間にこの状態に。

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ボロボロです。
家用なのでそれでもしばらく使っていたのですが、生地がポロポロと落ちまくり、さすがにストレスになってきていました。

交換用はあるのか検索してみると、ちょうど公式でも交換用イヤーパッドが販売されるようになったところみたいでした!↓

WHP01K用イヤーパッド – final 公式ストア


どうやら、それまではサポートに問い合わせると購入可能だったみたいです。問い合わせの声が多かったのでしょうか?良いタイミングでした。ありがたいですね~

とはいえ、価格は両耳3200円・・・・・・。購入時10000円しなかったくらいだったので、個人的にはちょっと高いかなと思いました。

やや迷いましたが、まあ、でも、ふかふかのイヤーパッドが好きだったので購入を決めました。(加えて、生地がポロポロ落ちるのがだいぶストレスになってきていたのも強い決め手。)

2021年の8月あたりに買ったので大体2年弱、少なくとも1年半以上は持ったんだなという印象です。

公式サイトで購入する際、アカウントを登録しなきゃいけないのが地味にめんどくさいです。ただもう新しいヘッドフォンを探す気力もお金もないし、生地もドンドン落ちてくるしなので、そこはもう乗り越えるべき関門です(?)
アマゾンなどでも販売したら、交換用があるなら、ってかんじで新規で買う人も増えるんじゃないですかね~。


ゆうパケットで届きました。



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ジャン!(もちろんビニール袋に入ってましたよ)

 

さて、イヤーパッド交換ですが、公式さんが親切に動画を出してくれているので、初めてでしたが簡単にできました。

 

ag | WHP01K ユーザーガイド | イヤーパッド交換方法 - YouTube

 

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8つのツメに合わせて着脱します
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これからもおうち時間の相棒として活躍してくれそうです!!

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【読書】『少女のための海外の話』著:三砂ちづる

『少女のための海外の話』読んだよ日記です。

 

地元図書館にて、ティーンズ向けの本棚に置いてあり、気になったので読んでみました。

 

章立てはこんな感じ。
1章 海外へ行く準備
2章 役に立つ持ち物
3章 外国語の学び方
4章 海外で支えになるもの

 

2章では、

ビザの説明から始まり、

飛行機での過ごし方、

空港ではロストバゲージすることもある、

初めて行ったアフリカで暑いと思い込んでいたら結構寒かったよ、手荷物には必要最低限のものを入れておこうね、……みたいな話などが書かれている。


このような基本的なことも、エピソードも混じえながらやさしく語りかけられるように書かれていて、新鮮。
読みながら海外に飛ぶことのロマンを改めて感じる。空港でぶわ〜っと異国の風を感じる時のような。

 

少女のための海外の話

少女のための海外の話

Amazon

 

タイトルに「少女のための」とある通りだが、筆者が母子保健の専門家というのもあり、

海外に行ってみたいという夢を抱いている女の子には、初めの一冊としてちょうど良い本かもしれないね、と思いながら読んでいた。

 

 

「月経血コントロール」?

ただ、ちょっと気になったところを一応書いておこうと思う。

同じ章には「海外で生理になったら?」という節がある。
そこには海外で生理用ナプキンが手に入らなくても大丈夫、ということが書いてあり、

で、覚えておくといいから紹介しておくね、という感じで言及されているのは「月経血コントロール」というもの。
それというのは、なるべく「意識」して、「出そう」になったら、「できるだけトイレで出す」というもの、らしい。

ほお………。


続けて筆者が指摘しているのは、普段ナプキンを当てている=月経血が「垂れ流し」状態である、ということ。

 

垂れ流し…?まあ確かにそうだけど…と、初めて聞く私としては新鮮な指摘だったが、

ちょっと正直に言えば、耳慣れないがゆえに、なぜこれをティーンの女の子向けの本に?と疑問符がついた部分も否めない。

個人的に、近代化以前の身体の使い方の良さを説く言説って、な〜んかアレルギーがある(特に江戸とか)。私の場合、どっかのイデオロギーとなんか結びついてるのか?みたいに怪しんでしまう傾向があるみたいだ。

 

 

で、「月経血コントロール」でググってみたところ、どうやら著者関係のキーワードのようだった。

これに対する批判もあるらしい。どんな内容かというと、

月経血コントロールというのはコントロールしているようで実際は何回もトイレに行かなくてはならなくなり、生理の奴隷になってしまう、みたいなもののようだ。

私はこのことについて、このコントロールをするのが良いのかどうなのか、よくわからない。

したところで害は無さそうだけど、この辺りは著者の代表作を詳しく読む必要がありそう。

まあ、海外でナプキンが手に入らなかった場合、というなかでの一応の言及ではあるけど、

ちょっと原始主義?ナチュラル思考強め?なのかなー…?みたいな印象は抱いたかな。布ナプ信仰界隈?とかもちょっと危うい感じがあるので。

 


で、本文の話に戻りますが、

筆者は、無理をする必要はない、と繰り返し説きながらも、

「そういうことができるのかもしれない、と思うだけで、月経が少し楽しみになったりするのではないか、と思います。(p104)」
「生理があった時も、毎月リズムがあって良いものでしたが、なくなったらなくなったで、はればれ広々とした気持ちで毎日を暮らしています。これも良い時期なのですが、生理があるときは女性として最も輝いている時期でもあります。どうぞ毎月生理を楽しみ、また、海外でも工夫しながら健やかに暮らしてもらいたい、と思います。(p106)」

という記述があるので、筆者にとって「生理=苦しいもの」という認識ではないらしい。


「生理を楽しみ」という筆者の主張は、私にはポジティブすぎるように思えて、ちょっと面食らった。

まあ、こういう風に受け止められる人もいるんだなぁとしみじみ思った。生理といっても個人差があるからしょうがないかもしれない。

 

でも、ティーンズの女の子には、このくらい前向きな受け止めの方がいいのかな、とも思う。だからまあ、月経血コントロールっていうのも、多分悪くないのかもしれない……と思う。

ただ、ティーンズ向けの本にこういうことが書いてあるんだ〜〜と、ちょっと面食らった、という話です。

 

 

国際協力の仕事について知りたい人は3章、4章がより参考になります。

JPO派遣の制度についてもわかりやすく書かれている。

国際機関で働くのはハードルが高いとされる我々日本語話者ですが、へえ、こういうルートもあるんだ、と思わせてくれるかも。

 

少女のための、とありますが大人にも興味深く、十分参考になる本でした。

【読書】趣味で腹いっぱい(山﨑ナオコーラ著)

『趣味で腹いっぱい』読んだよ日記です。

 

 

ドーン!と自分の価値観を覆される、という感じではないが、淡々と揺るがされている感じ。はっ!と気づかされるのではなく、ふと、気づかされる感じ。
相変わらずというか、ちょっと不思議な感覚の読書だった。

 

 

 

きちんと対話しあいながら生活を営む夫婦のゆるふわでほんのりとした世界観の小説、

としても読めるけど、ストーリー仕立てでありながら(←小説だから当たり前だけど)、

実のところ有用性について(そのジェンダーも絡ませながら)読者に問うような、実験的な小説だと感じた。

 

とはいえ説教臭さは全くなく。
その上心穏やか〜な読後感も味わえるのに、気づいたら自分の先入観を見事に揺るがされている、という、なんだかちょっと本当に不思議な読書体験。easy to readなんだけど、自分の中で、一筋縄に終わらない感じがある。


ナオコーラ氏の本は『ベランダ園芸で考えたこと』と『反人生』を読んだことがあり、どちらも印象的な本だったが、今回もそうだった。

そしてそれらと共通して偏在していると感じたのは、”役に立つ” ということへの問い。
それは、”ただ生きていていい”みたいなメッセージだとも感じた。
仕事をしなくても、子どもを産まなくても、役に立たなくても、生きてていいじゃん。と。

レビューなんかを見ていると、

仕事をせず、趣味に生きる鞠子に
読者から「共感できない」「甘えてる」「イライラする」といった感想が生まれるのは「働かざる者食うべからず」という共通認識がある社会ではまあ、当然のことなのかもしれない。
ただ、そこで終わらせないで、「なんで鞠子にイラつくんだろう」とふと考え始めたとき、ナオコーラ氏が問いかけている”何か”に対する思考が始まる気がする。
私は鞠子、嫌いじゃない。飄々としているようでゴリゴリに揺るがない感じ、羨ましい〜〜とすら感じる。

 

実験のように始まった結婚生活は穏やかにつづき、そのなかでぽつぽつと繰り出される「名言」の数々が良いです。ナオコーラ氏みたいな作家がいるの、マジでありがてえな〜とかふと思う。

しんぶん赤旗で連載されていたと言うが、赤旗ってこういうの連載してるんだ!と驚きつつ、なんか納得である。

 

文庫化されて改題されているようです。