岡八重吉.com

おたくの書斎です 綺麗な話も汚い話も

紐綴じノートの「“左右の高さ”格差問題」を是正する政策の提言

わたしは紐綴じノートを愛しています。

見開きで使えば倍のサイズになりますし,グイッと折り返せば持ち運んださきでもコンパクトに使えます。「ぐいっと折り返すなんて美意識に反する」という感情を合理性の矛で破れるなら,完全無欠のノートです。

──たったひとつの欠点を除いて。

“左右の高さ”格差問題

わたしたちはずっとこの問題に悩まされてきました。

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「わたしの愛するひとびとに愛されないとしても,わたしは愛するものについて書きたい」から,「日本地味ブロガー連盟」に加入しました

これまで3回にわたって,「わたしは知的生産が好きなんだけど,知的生産については書かない」という話を語ってきました。この話題の着地点として,「日本地味ブロガー連盟」に加入したことを書こうと思います。

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わたしの愛するひとたちから愛されなくても,わたしは愛するものについて書きたい

わたしは(いわゆる広義の)知的生産な話題が大好きです。

高校時代・大学時代には勉強法系の書籍を多く読みましたし,ノート術系の本や考え方系の本も読みました。もちろんいまも読んでいます。ブログも10代から書いてきたし,Evernote も Workflowy も kindle も使います。これらの使用法についてのブログを喜んで読みます。小説論もブログ論も大好きです。

「考える」という動作が好きです。

ほかのひとの「考える」という動作がどんなものなのか気になります。そこにひとのこころの内が見えるような気がします。ひとの秘密があるような気がします。わたしは「ぎゃはは」という喧騒のなかにではなく,静かなところでこっそり聞かされる言葉に惹かれます。

こうした外形だけ見れば,わたしは立派な知的生産フリークなはずですね。

「知的生産」というジャンルの本やブログはそれなりに人気があり,すくなくとも一生かかっても読み切れないほどのコンテンツがこの世にはあります。それはつまり,ほかのひとにとっても興味のあることであり,しかも,「わざわざ書きたい」ほどのことなんだと思います。

だけど,わたしはこれらについて書きたいことがありません。

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「知的生産.exe」という巨大なアプリケーションと大小様々なツール

今回は「知的生産.exe」というアプリケーションについて検討しようと思います。

このアプリケーションは極めて大きく万能です。そしてまた,多くの愛好家や研究者がいます。

ここでの検討は後に続くエントリのために必要な最小限度にとどめようと思います。より包括的な検討や別な視点からの検討をなさったかたがいましたら,ぜひ教えてくださいね。

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幸福の追求の果てのディストピア,現代──『書籍の解体とフラグメント・コンテンツ、氾濫するアメーバ・センテンスや、クリエイターのアイデンティティーと過ぎ去りし書店員の憂鬱、およびキュレーションの価値とホット化したメディアについての詩』

ディストピアでしょうか,この世界は。

SFであるじゃないですか。「本人はそれを幸せだと感じているんだけど,一歩引いたところから見ると完全に不幸」っていうディストピア

最近のでは『しあわせの理由』。自分で脳内物質の調整ができるようになった主人公が,こらもう絶対不幸じゃんっていう環境を自ら選んでで幸せに生きてる話。

しあわせの理由

しあわせの理由

でも,『しあわせの理由』はフィクションです。作り話です。現実ではありません。怖い本を読んで,顔をあげる。ああよかった,あれは作り話なんだ。ほっと安心する。でも一番怖い話というのはいつも,安心な場所に帰ってきてから一番怖いことが起きる。

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はじめて読んだよ『書籍の解体とフラグメント・コンテンツ、氾濫するアメーバ・センテンスや、クリエイターのアイデンティティーと過ぎ去りし書店員の憂鬱、およびキュレーションの価値とホット化したメディアについての詩』なんて厨二感満載のポエムは

らした先生のエントリで本書を知ったとき,ものの数秒で購入ボタンを押しました。

rashita.net

タイトルが衝撃的です。あふれる厨二感です。

ちょっと言葉が悪くて恐縮ですが,なにを言ってるかわからないし,本当はなにも言っていない気もします。いわゆる厨二病な,難しい言葉を並べただけの,オシャレな雰囲気だけの,絵のない額縁のようなものなんじゃないかとすら思ってしまいます。

でも,読めばわかりますけど,中身のある厨二病です。これがまた厄介です。これを,日本でほかに誰が書けるのか。武器を持った厨二病がどこにいるのか。

らした先生の面白さは「厨二病時代にわたしたちがやってしまう黒歴史を,『強くてニューゲーム状態』でやってくれる」ということだと感じています。大人の思考力と理性なのに厨二病状態の発想を保っているということです。

発想だけが暴走してあらゆる技術が未熟だったわたしたちが,発想を表現するために技術を学びはじめ,いつしか技術の追求こそすれど発想がなくなってしまう。あんなに表現したかったなにかが,表現の方法を得れば得るほど,「あれ」が何であったか,思い出せなくなってしまう。

らした先生はいつも「あれ」を書いている気がします。

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彩郎(@irodraw)という1冊のノート,本棚の1区切り,1つの人格《公開ファンレター・プロローグ》

ある日,関心領域にまとまりを感じたことでしょう。

このまとまりは概念として整理するにはあまりにもあいまいです。教科や分野として区別するにはあまりに横断的です。知識として溜めるにはあまりに基礎的です。

とにかくこの頭のなかのまとまりが気になって,ひとまず1冊のノートにとどめておくことに決めます。

お気づきでしょうね。

このノートは,魔法のノートです。

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『下読み男子と投稿女子』という賛美歌。あるいはライトノベルにむけられたアガペー

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これは救済の物語です。

「わたし……小説は,教科書で紹介されているものしか,読んだことがなくて……。だから,絵が入っていたり,字が大きかったり小さかったり,カギ括弧がいくつも重なっていたり,めくったらページが真っ白だったりして,びっくりしたわ……。こんな小説があって,こんな書きかたがあるなんて」

氷雪の瞳がうっとりと細められ,頬がゆるみ,紅潮する。熱っぽい口調からも,そのとき読んだ本が,どれだけ新鮮な驚きと感動を与えてくれたかが,伝わってくる。

青も,朔太郎の部屋ではじめてライトノベルを読んだときのことを,あのとき感じた昂揚とともに思い出す。

それまでの小説の概念をくつがえし,自由に大胆に創りあげられた世界が,どれだけまばゆく,圧倒的だったか。そこで生きるキャラクターたちが,まるで目の前で話しているように感じられたことも。

下読み男子と投稿女子 -優しい空が見た、内気な海の話。』野村美月,えいひ(ファミ通文庫

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「書かされる時代」なんて言葉もあるけど,いい時代だ。教室の隅っこにいたわたしたちよ,はてなブログアカウントとハンドルネームを持て!

ホームページとかブログ,作っちゃいますよね。

わたしは何度も作ったことがあります。そして,今回はわたしのような教室の隅っこにいた人たちにむけて,「いい時代だよね,ほんと。むふふ」とやりたいと思います。むかし教室の隅っこにいたかたはぜひご一読ください。

ちなみに,この記事の発端は下の2つを読んだことです。

aniram-czech.hatenablog.com

d.hatena.ne.jp

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