2023年のベスト展覧会と振り返り

ごく一部からご要望がありました2023年ベスト展覧会と振り返りです。

2023年には20の展覧会に行きましたが、ベスト展覧会は、新国立美術館の「祭國強展」とします。祭國強の神髄は1回限りの爆発パフォーマンスですが、準備のために作成されたドローイングは迫力で、祭國強の思想と祝祭性が十分に伝わってきました。パフォーマンスとドローイングをはじめとする資料の組み合わせで作品を形成する形は、クリストも彷彿とさせます。ぜひ、一度パフォーマンスをじかにみたいです。

2023年は祭國強展以外にも現代美術の展覧会が充実していました。国立近代美術館の「大竹伸郎展」、寺田倉庫WHAT MUSEUMの「高橋龍太郎現代美術コレクション展」、アーティゾン美術館の「ダムタイプ展」「山口晃展」、国立東京博物館と東京都現代美術館の「横尾忠則展」、青森県立美術館の「奈良美智展」。山口晃奈良美智はやはり今の日本の現代美術をけん引する二人で見ごたえありました。横尾忠則は大御所であるにもかかわらず新しい境地に挑戦していますが、やはり横尾忠則なのは良いのか悪いのか。坂本龍一が参加していることで話題となったダムタイプは新作ですがちょっと感覚が古く感じました。

2023年はポンピドゥーセンターが改修なので同館の作品が多く来ていました。パナソニック留美術館の「ルオー展」、東京都美術館の「マティス展」、国立西洋美術館の「キュービズム展」(これは未見)など。パリに行かなくて多くの作品が見られたのはうれしいことでした。

各美術館の独自企画の展覧会もがんばっていました。世田谷美術館シャガール展」、SOMPO美術館「ゴッホ静物画展」、上野の森美術館「モネ展」(日本人はどんだけモネが好きなの?)。2024年も独自のテーマで国内外の美術館から作品を集めるこのような企画が多く開催されるとよいですね。

十二国記 白銀の墟 玄の月 1・2巻刊行時点での考察

戴は政が行われないので乱れているという。では,政とは何か? 不十分とはいえ完全な騒乱状態ではなく一応の治安は保たれているようだ。豊かな国であれば,それで民は勝手にうまくやっていくだろうが戴は貧しい国なのでそれだけではすまない。福祉政策,飢饉の時の食糧の放出などが必要なのだろう。では,その食糧はどこから来るのか?

戴は自国の農業生産で自国民すべてを養えないのではないか。従来は玉を輸出しその代金で食糧を輸入していたのではないか。驕王時代の乱採掘で玉資源が枯渇しそれができなくなった。

幸い玉資源は自然回復するが,時間がかかる(10~20年?)。その間は,食糧そのものが不足しているので,たとえ王が変わっても全国民を養うことができない。座して国民が飢えるのを受け入れるしかないが,自らを結果で評価する驍宗にはそのような行動はとれない。常に民を優先する麒麟も同じ。そこで,驍宗麒麟にはしばらく休んでもらって阿選が偽王として泥をかぶる。

阿選も就任当初は被害を最小限にするよう努力したが,しょせん全国民を救うことはできない。むしろ,放置し自由競争させたほうが強い国民が残る? 人口が減少して少しは楽になる? 反対勢力の殲滅も人口減少の効果がある。

こう考えると,琅燦が事態を動かしてはいけないと言ったことも阿選驍宗を選んだのが悪いと言ったことも説明がつく。

スイス旅行 2019/7/24-8/4

2019/7/24

成田発21:40のターキッシュエアTK53便でイスタンブールへ。2人席で快適。機内映画はアベンジャーズ・インフィニティ・ウォーとエンドゲーム。

 

2019/7/25

3:40イスタンブール着。新設の巨大空港。7:20発のTK1907便でチューリッヒへ。空港の地下の鉄道駅からスイスパスを使ってサンクト・ガレンへ。空港の地下駅で水とお菓子を買う。欧州熱波で超暑い。パリは40度らしい。駅からまずはホテル Hotel Vadian へチェックイン。駅から10分くらい。部屋はフロントと離れた別棟で観光案内所の隣。大聖堂の近く。まずは修道院図書室へ。「世界で最も美しい図書館」と言われている世界遺産コインブラ大学図書館やトリニティ大学図書館に匹敵する美しさ。特に天井画が美しい。地下と別棟の展示室も見る。近くの教会と大聖堂も見学。旧市街は出窓が面白い。昼食はアイスクリームとソーセージ,ビール。暑いのでいったんホテルへ帰り夕方散策。ケーブルカーで街の後ろの高台に上る。高台には池がありみんな泳いでる。牛もいる。日没を見た。降りてきて夕食。夕食は郷土料理。

 

2019/7/26

朝,鉄道でサンモリッツへ向かう。クールで乗り換え昼前にサンモリッツに到着。駅からエスカレータで中心部へ。高級ホテルが立ち並ぶリゾート。坂の上のホテル Soldanella へ。ホテルから湖が見える。バスで Forum Paracelsus へ。セガンティーニ美術館の休館中は多くの作品がこの施設に展示されている。アルプス三部作がないのは残念だが,描かれている景色の地元で見るセガンティーニ作品は街で見るのとは違った感慨がある。Forum Paracelsus はもともと温泉施設で地下に開設当時からの歴史が展示してある。外に出ると大雨。裏山のちょっとした教会を外から見学。雨宿りにココアとコーヒーフロート的なものを食べたり教会に寄ったりしながら歩いてホテルに向かう。途中,エンガディン博物館に寄る。夕食はホテルで。ワインボトルで飲みすぎ。

 

2019/7/27

ホテルで作ってもらったランチボックスをもって朝,教会に寄って駅に向かう。7:02の氷河急行でブリグへ。日本からの団体旅行の皆さんと同じ車両になるが,皆さんはクールで降りて代わりに欧米の団体の皆さんが乗ってくる。昼食は車内で。ビーフストロガノフ。ブリグでローカル線に乗り換え。さらにマルティニでモンブラン・エキスプレスに乗り換えてシャモニーへ。夕方に到着。フランスなので街全体がしゃれている。ホテルは街中の La Croix Blanche。夕食は石焼焼き肉の Pierrade。

 

2019/7/28

エギーユ・デュ・ミディ展望台に行こうとロープウェイ乗り場へ行くが悪天候でまだ運行していないうえ何も見えないのでやめたほうがよいとの案内所のおじさんの助言に従って予定を変更して登山電車でモンタンヴェール展望台へ。ロープウェイに乗り換えて氷河へ。雨の中,すごい階段を下りて氷河をくりぬいた「氷の洞窟」へ。氷河に間近に接することができた。街に戻った後,ホテルでタクシーを呼んでもらってプラトー・ダッシーのEglise Notre-Dame-de-Toute-Graceへ。ここは新しい時代の芸術と宗教の融合を目指して作られた教会でシャガールマティス,ルオーなどの作品がある。教会の空間で見る各画家の宗教画は美術館で見るのとは全く違った荘厳さがある。帰りはふもとの駅まで1時間ほど歩き列車でシャモニーに戻る。シャモニーの教会でオルガンとソプラノの無料コンサートを見る。夕食はラクレット。そのあと、野外のジャズフェテバルをのぞく。

 

2019/7/29

昨日と打って変わっていい天気。ロープウェイを乗り継いでエギーユ・デュ・ミディ展望台へ。いい天気でモンブランがよく見える。街に戻ってグリンデルワルドへ向かう。列車が遅れ気味で予定していたシュピーツ-インタラーケンの船便に間に合わないので2時間後の便にしてシュピーツを散策。シュピーツ城へ行くとシャガール展をやっていたので見学。その後,船でインターラーケンに行き登山鉄道でグリンデルワルトへ。ホテルは Hotel Bellevue Pinte 。レストランの2階のおばちゃんが切り盛りしているようなホテル。外はかわいい感じ、部屋は機能的。夕食はホテルの1階のレストランで子牛のレバーと鮭。

 

2019/7/30

今日はハイキング。まずはメンリッヒェンへ。欧州最長のロープウェイが改修中なのでバス。日本語観光案所が休みで残念。駅で登山鉄道の予約をする。予約をすると確実に乗れて座れる。予約しないと駅で並ぶ必要がある。バスの切符はバスターミナルで購入。メンリッヒェンからクライネシャイデックまで健脚で2時間のコースを2時間30分で歩く。途中牛と戯れる。クライネシャイデックからユングフラウヨッホまでトンネルの登山鉄道。ハイキングとユングフラウヨッホでだいぶ日焼けした。夕食はホテルの1階でチーズフォンデュ。思ったよりアルコールきつかった。

 

2019/7/31

グリンデルワルドからバーゼルへ向かう。ホテルでランチボックスを作ってもらう。バーゼルからみゅうの個人ツアーでロンシャンへ。ドライバーさんはフランス語しか話せない。1時間半くらいで到着。コルビジエのロンシャン礼拝堂は外観も内部も美しい建物。バーゼルへ戻ってバーゼル美術館、大聖堂を見て旧市街を通ってベルンへ。ベルンのホテルは Kreuz Bern Modern City Hotel 。便利な場所だが周囲にイタリアンの店しかない。夕食はそんな店の1件でピザ。

 

2019/8/1

今日はベルンの街歩き。ベルン旧市街は世界遺産で通りに泉/噴水が点在している。時計台の仕掛け時計と大聖堂を見てベルン美術館へ。アインシュタインの家も外から見る。大聖堂では催しがあるらしく周りの公園で民族衣装を着たおじさん、おばさんたちが民族歌謡の練習をしていた。その後,鉄道で世界遺産の時計の街,でラ・ショー・ド・フォンへ。時計博物館を見学後,街歩き。丘の斜面に高級な邸宅が並ぶ。コルビジエ設計の邸宅もある。暑い中,だいぶ歩いた。

夕方,ベルンに戻り郷土料理の夕食の後は,今日はスイスの建国記念日で花火が上がるというので国会議事堂の裏へ。天気はいまいちだったが山から上がる花火がよく見えた。

 

2019/8/2

今日はまずはヴェヴェイのコルビジエの湖畔の家へ。ベルンから鉄道で1時間半くらい。ヴェヴェイではワインフェステバルをやっていた。ネスレ本社の前を通って湖畔の家へ。湖畔の家はコルビジエらしいシンプルな造形。そこから世界遺産のラヴォーのブドウ畑の中をハイキング。天気が良すぎて暑い。サン・サフォランの居酒屋で地元のワインをいただいてベルンへ戻る。ベルンではパウル・クレー・センターへ。レンゾ・ピアノ設計の優美な建物

の中にクレイと影響を与えあった画家たちの作品を展示。夕食は郷土料理の店をあたるが休みの店が多くやっと開いていた店に入る。

 

2019/8/3

今日は最終日。まずはチューリッヒ郊外のオスカー・ラインハルト・コレクションへ。その後,チューリッヒに戻り,聖ピーター教会,フラウミュンスターグロスミュンスターの3教会へ。フラウミュンスターシャガールのステンドグラスが素晴らしい。その後,チューリッヒ国立美術館へ。セガンティーニの作品も所蔵。19:30のTK1910でイスタンブールへ。そこでTK52に乗り継いで成田へ。

 

2019/8/4

成田着19:10。

感想 <インターネット>の次にくるもの

本書は、現在のいわゆる「メガトレンド」がこのまま進んだら(このまま進む事は「不可避」inevitable だと著者は言っていて本書の原題になっている)どうなるかを描いている。本書自身が言っているように技術発展は事前に想像もしていない結果となるものであり「現在のトレンドがこのまま進んだら」という結果にはならないものだが、それでも広い視野で先を見通してみることには意味があるだろう。

各トレンドを「~ing」で表し、将来そうなるのではなく、現在そうなりつつあるという視点で語っているのも特徴。

本書や著者の前書は、雑誌やネットで盛んに言われている「メガトレンド」や「デジタルトランスフォーメーション」の元ネタでもあるので、あっと驚くような新しい知見は少ないが、それらの話を断片的に聞いており全体像を理解したい人には有効。すでに自分なりに全体像を把握している人にとってはちょっと物足りないかも。

 

〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則

〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則

 

 

感想 Cloud First Architecture 設計ガイド

「Cloud First Architecture 設計ガイド」という書名は狭すぎる。クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」から始まり、ウィトルーウィウスの「建築書」で終わる本書はイノベーションアーキテクチャについての本だ。

エンタープライズのエンジニアにとって、すぐに実適用の対象にならなくても、本書にある「クラウド・ファースト」をはじめとする新しい技術を「横目でよいから、きちんと「これは何に使えるのか?」と見続ける」(本書より)事が重要であり、本書はそのための最適の本であると言える。

記述はIaaS/PaaS/SaaSの実務的な定義から始まり、アジャイル/DevOpsを経てマイクロサービス・アーキテクチャ(MSA),ドメイン駆動開発(DDD)にまで至っており、今、旬のテクノロジーを一通り理解する事が出来る。もちろん、「一通り」であって実務適用にはもう一段、二段の深堀りが必要だが、あふれる情報の中でどこから手をつけたらよいか迷っているエンジニアにとっては格好のガイドとなっている。また,本書ではアーキテクトの仕事についても一通りの説明がなされていて「アーキテクトって何?」と思っているエンジニアには役に立つと思う。(こちらもこれをとっかかりに深堀りが必要なことは当然。)

本書のように最新のテクノロジーの本質と実務との関わりを網羅性とストーリーをもって記載した本は今までなかった。「新しい技術を横目で見続ける」ためには、各人が専門書を読み、勉強会に行き、ネットで情報を得て行くしかない。それは今でも変わらないが、本書はそのための現時点でのガイドとしてはベストだと思う。IoT関連、AI関連など記述が少ない領域もあり、新しい技術やトレンドも出てくるだろうが、それを各人がフォローして行くためのベースとしても本書は有効だろう。

特に、エンタープライズで現在取り扱っている技術がどうも時代遅れなんじゃないの? 雑誌やネットではかっこいい情報がたくさんあるけど全体としてどうなってるの? と思っているエンジニアにはお勧め。参考図書/参考資料はもっと充実してほしかった。

 

Cloud First Architecture 設計ガイド

Cloud First Architecture 設計ガイド

 

 

感想 オレゴン大学の実験

超有名なこの絵 Tire Swing Cartoon の元ネタである「オレゴン大学の実験」を読みました。

システム開発の要件定義で使われる事の多い絵ですが,元々は建築計画の分野での話だったのですのね。

建築分野からのシステム開発分野への展開は良くある話で,「職業としてのソフトウェアアーキテクト」といった名著もありますね。

やっぱり建築とソフトウェアは違うんじゃないの,と言った意見もありますが,やはり建築分野は歴史の重みがありますのでソフトウェアが参考にすべき知見が多いのは否定できないと思います。

この本は,原著1975年で,40年以上前の本なのですが,エンドユーザーの要件定義への参加,部分最適全体最適をバランスさせる方法,パターン・ランゲージ等,現代のソフトウェア開発における課題がこの時代の建築計画の分野で課題認識されており,提示されている解決方針が的確(現代のソフトウェア開発分野で通用する)のには驚きました。(特にパターン・ランゲージの起源がここにあったとは浅学ながら知りませんでした。)

ソフトウェアエンジニアの教養として読んでおくべき本と思います。

 

 

オレゴン大学の実験 (SD選書)

オレゴン大学の実験 (SD選書)

 

 

 

職業としてのソフトウェアアーキテクト (Software Architecture Series)

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  • 作者: マークスウェル,ローラスウェル,Marc T. Swell,Laura M. Swell,倉骨彰
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  • 発売日: 2002/08
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感想 落合陽一「魔法の世紀」

落合陽一さんの「魔法の世紀」の感想です。

 

・「人間中心主義を超えたメディア」の概念は,プラトンの芸術論:イデアイデアの模倣としての自然−自然の模倣としての芸術 を連想させます。

・160ページの図2,第1象限の「祝祭」についてはあまり言及がないですが,ニコニコ超会議コミケあるいは2015年紅白のperfume小林幸子のようなイメージ?

・落合さんは解像度を上げる方向性。低い解像度で新しい認識をもたらすという藤井直敬さんの代替現実(Substitutional Reality/SR)についてはどう評価しているのだろう?

 

技術の発展とアートが相まって発展して行く様は,落合さんも言うようにルネサンス期を彷彿とさせてエキサイティング。さしずめ,落合さんはダヴィンチ?(ほめすぎ?)

 

 

魔法の世紀

魔法の世紀