ある経営者の思想

経営者であり、プログラマーの思考回路

MBA受験で予備校には行ってはいけない。

2019年の夏、MBAの受験をしようとして、20年以上ぶりに大手予備校に通ったのだが、その予備校で受けた内容に、今でもたまにフラッシュバックして、イラッとする事がある。

もちろん、結論としては、予備校に行った事は良かった。私の人生として必要のないものに「お金」と、何より貴重な「時間」を浪費する事を未然に防げたという意味で、行った意味はあったと思っている。

 

私は、自分にとって国内MBAは不要と判断し、志望校の検討自体をやめたが、もし、MBAを受験しようとしている人がいたら、大手予備校(特に〇〇塾という大手予備校)はおすすめできない。小論文の書き方の本を一冊買えば、それだけで良いと思う。もし経営学の知識がないなら、後述するグロービス学び放題」がおすすめだ。

また、もう既に予備校に通っている人は、本当にMBAが自分に必要か、考え直してみても良いと思う。

  

MBAの受験を考えたのはきっかけは2つ。GWに「グロービス学び放題」というビジネス系のアプリの講義を見始めて、少し初心者向けという点を除けば、隙間時間に知識が体系的にまとまっていく実感が持てる良いアプリだったという事と、私は法人化しているが、少数精鋭のフリーランスに毛が生えたようなものなので、MBAの授業料が経費に参入できるという記事を読んで、MBAに興味を持った。

 

ただ、MBAに行ってしまうと2年間という長い時間を取られてしまうという大きなネックがあった。そこで、てっとり早くMBAが魅力的かどうかを判断するには、そこにどんな人達が集まるのかを見れば良いと考え、MBAの予備校に行ってみたのである。

 

最初は、私は素敵な友達ができるかもしれないと少し期待していたが、結局、残念な結果となった。

まず、講師が微妙だった。話し方は尊大なのだが、素人の私からみても経営学の知識が怪しい。どうやら経営学については「学校に入ってから学べば良い」というスタンスのようだが、偏見や思い込みも強いように感じられた。(年齢は40代くらいのようだが、考え方は団塊の世代より上を思われるような非常に古い考えの持ち主だった。)

また、予備校全体の雰囲気も、経営学を学びたいという欲求がある人が集まってると思っていたが、単純に名のある学校を卒業して転職につなげたいというような人ばかりに見えた。(もちろん、本音のところはわからない。)

 

実際、2ヶ月間通ってみたが、講師から返ってくる課題の答案のコメントも首をかしげるものばかりだった。

M&Aの問題で「企業の内部留保は増え続けている」という話を書いたのだが、「そんな話はバブル期以降聞いた事がない」というコメントが講師から返って来る。(「本当に聞いたことない」と書いてる・・・。社会人として大丈夫か?)

もちろん、この時点の2019年まで、企業の内部留保は増え続けており、毎年記録更新のニュースが出ている。(2020年は、コロナの影響で一気に減りそうである・・・。)

また、従業員の幸福の問題で「多様性」という観点で書いたら、「経営に関連する事を書いた方がよい」とのコメントが来る。もちろん「ダイバーシティ(多様性)」は経営にとって重要な課題である。

他にも製品の技術開発の問題で「フェリカ」を例に上げたら、「フェリカはサービスであるため趣旨に合わない」という内容のコメントがくる。少なくとも私はフェリカはハードウェア(製品)こそが優位点であると考えている。

 

大手予備校だからと安心していたが、そもそもこの講師が採点者として適切なのか、かなり疑問を持った。

 

結局、そんな疑問も気弱なタイプなのでクレームなどつけられるはずもなく、ただただ、答案をみてモチベーションが下がっていく事を感じていたが、この後、私が人生の中でも最低の体験となる個人面談が待っていた。(今でもわざわざ金を払って、この体験をしたのかと思うとイライラする)

 

個人面談では、志望動機の用紙を見てもらうのだが、私のテーマは、今話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について(もちろん言葉の解説付き)で書いた。

  

しかし、席についたタイミングから、この講師は「理由は何でもいいからギャフンと言わせてやるぞ」という感じなのである。

まず、志望校を併願していない事に、かなり圧力をかけてくる。

もちろん、自分は受験は今年でなくても良いと考えていたので、併願するメリットは特にない。「併願するのがあなたのためだ」という大義名分を口にするのだが、合格者数の水増し戦略なのがバレバレで、かなり嫌な感じだった。

 

そして、志望動機の内容のレビューに入ったのだが、結局、講師からの私への質問だけで、具体的なアドバイスは一つもなく終了したのだ。

 

まず、志望動機を読んだ講師が「DX(デジタルトランスフォーメーション)って何だよ」から始まったので、(もちろん文中に解説も記載したのだが・・・)

2018年に経済産業省が「2025年の崖」というテーマで出した発表について話した後、

「DXの推進には、ユーザー企業側が主体でシステムを作る事が大切だと考える」的な主張を書いている事に対して、「そんな事する必要ないよね!」と強い口調で返される。

「ですが、アメリカ企業の7割はユーザー企業がシステムを構築していて・・・」と解説を始めると、かぶり気味で「そんなの関係あるかい!」と話をさえぎられる。

そして、IT企業がテーマの文章で「ユーザー企業」という言葉の意味がわからないと言って怒り、「チャットボット」もわからないと言って怒り、ローコード開発、ノーコード開発(これは流石に志望動機では「自動化」という言葉に置き換えた)については、「こんな事ができるはずがない」と聞く耳を持たない。

結局、「何?俺の話を聞く気ないの?」とすね始めてしまった。

私としては、聞くも何も、講師からは質問しかされておらず、意味がわからない感じだった。彼にとっては、質問に返答出来た事が、逆に「いい返された」と思ったのかもしれない。

 

こうやってパワハラ系で無茶苦茶な事を言って罵れば、併願したりする受講生も居たのかもしれない。(いや、実際いるのだろう。) ただ、そこそこ高い金額のサービスで、こんな態度で接せられるとは思わず、面談たった15分で、このサービスにお金を払った事を心の底から後悔させられた。

(普段から、この講師は「イノベーション」という言葉を使うな的な事を言っていたが、「イノベーション」というより、彼自身が「テクノロジー」に対して嫌悪感を持つほど、苦手なのだろうとは感じた。

何はともあれ、終始、彼は私に対して見下すような態度をしていたのはなぜだったのか、いまいちわからない。例えば「忙しくてと」言ったら「資金繰りが大変なのはわかるが・・・」とか、「忙しくて」しか言っていないのに、彼の中では仕事がなくて困っている事になっている。忙しいのは、お金が儲かってる時がほとんどだろう。(実際この年から売上は2倍くらい)だが、本当にビジネスの初歩から、わかっていないらしい。)

 

結局、その日から二度とその予備校には足を運ばなくなり、そこの教材を見ることもなかったが、国内MBAは自分にとって魅力がない事がわかったし、トータル的な意味で、お金と時間の節約になったので、嫌な思いはしたが予備校に行ったのは、間違っていなかったと思う。

もちろん、国内MBA受験を諦めたのは、この予備校だけが理由ではなく、説明会にも行き、模擬授業を受け、実際の生徒の話も聞いたりして、最終的にMBAは自分の求めているものではない。と判断した。

 

今回のコロナで、そもそも社会人大学院に通うという風潮でもなくなり、直前で踏みとどまれた自分は結構、運が良い方かもと思っている。

 

最後に、日本の経営学は「過去の事例」にこだわりすぎなところがあるように思う。

今後は、いかに少し先の「時代の風」を読むかが、必要になるのではないだろうか。