ナイロビでの生活はおおむね満足だ。人柄は明るくて友好的。気候も最高。
ただし、賄賂と汚職。テメーらはだめだ。
ケニアでは、政府や警察が汚職に関わっているのを前提にして世の中が動いているといっても過言でない。なので渡航する方はよくよく気を付けてほしい。
汚職フリーゾーン(という名の汚職天国)
嘘のような本当の話だが、ナイロビ市役所には「Corruption Free Zone(汚職のない場所)」という大きな看板が掲げられている。そして皮肉なことに、そのナイロビ市役所周辺は市内でも屈指の汚職多発エリアなのだ。
ナイロビ市役所(Nyayo House)の付近では混雑防止のためという名目で車での乗りつけが禁止されている。しかし、ナイロビでは外国人が安全に利用できる公共交通がないため、ビザの更新などで訪問する外国人のほとんどはタクシーでやって来るしかない。
この時、タクシーがほんの数秒でも車を停めようものなら、たちまち警官が飛んできて逮捕されるのだ。ただ、実際には逮捕することが目的ではなく、乗客の外国人から逮捕を見逃すかわりに賄賂を要求するのが真の狙いなのである。
僕の知り合い2人はこの網に引っかかり、それぞれ7,000円、9,000円の持ち金をすべて没収されたという。僕自身も、市役所から帰宅する際にタクシーに乗ろうとしていると、警官が後ろから走ってきてドアを開けようとしたことがある。あと2秒遅ければ間違いなく餌食になっていた。
ぱっとみた限りでも警官はあちこちに20名くらいはいた。しかも離れて観察していると、私服で取り締まりをしている警官もいる。それは混雑防止じゃなくて賄賂が目当てだろ、と思わず文句を言いたくなる。
慣れているタクシー運転手であれば、市役所から1ブロック離れた場所で降ろしてくれる。市役所のある中心市街地はスリなどの犯罪が特に多いエリアでもあるため、あまり離れすぎると徒歩移動が長くなって危険だが、100メートルくらいであればさほど問題ない。
賄賂の手口、あれこれ
賄賂をせびる手立ては他にもたくさんある。例えば、外国人はパスポートの常時携帯が必須となっているが、もし道で警官に呼び止められた際にパスポートを提示できなければ同じように賄賂を請求される。
車を運転される方の場合、ウインカーを出していなかっただの、停止指示を守らなかっただの、何やかんやといちゃもんを付けて金をせびってくる。
僕が研究しているスラムでは、そもそもが不法占拠された場所であることもあって、何をするにも賄賂が絡む。ゴミを川に不法投棄するのに賄賂。ゴミ山から有価物を持っていくのにも賄賂。などなど。住民の立場はとてもか弱く、法律はまともに機能しない。
賄賂対策はこちら
賄賂の対策としては、以下のアドバイスを日本大使館が出してくれている*1ので、参考になるだろう。
ア 相手が警察であれば、警察官の氏名、所属、ID番号等を質問する。胸にあるID番号を確認する。
汚職指数ってのがあるらしい
記事を書いている途中で知ったのだが、世界には腐敗認知指数(CPI)という公共部門の汚職のひどさを数値にしたものがあるらしい。
0点が汚職地獄、100点が超クリーンな最高の状態だとして、日本の公共の腐敗指数は73点で世界16位。思ったよりも低かった。まあ、政治家の裏金とかしょっちゅう報道されてるからそんなもんか。
ケニアはと言うと、31点で大赤点である。世界ランクでは180か国中の126位で、とても優秀とは言えないが、意外と下から3分の2くらいの位置。ちなみに2023年の世界最下位はソマリアの11点だった。
日本からケニアを含め、多くの途上国に経済支援がなされてきているが、このナイロビの惨状を目の当たりにすると、どれだけのお金が汚職に流れてしまっているのだろうかと想像してしまう。