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「君たちはどう生きるか」の吉野源三郎 20年前衝撃を受けて切り抜いた
先日母親から、現在大ヒット中の「君たちはどう生きるか」吉野源三郎原著をプレゼントされた。
読みやすい漫画版だ。
すらすら読めて、文系の書、哲学、生き方、に分類される本かなとそこまで強く惹かれることもなく終了した。
多くの著名人が影響を受けた本らしいが「まあこんなもんか」
くらいだった。
ただ、子どもに読んでやったら神妙な顔をして聞いていたので、若い時に特に響くのかもしれない・・
なんて思っていたら。
今日たまたま大掃除の一環で昔の書類を整理していた。
その中に20年前、中学生だった時に学校の宿題で夏のワーク(国語)をやっていた際、ある論説文の文章に衝撃を受け、感動し、切り抜いて今の今まで置いていた紙きれがある。
誰が書いた文章なんだっけ、とふと見てみたら、なんと「君たちはどう生きるか」の吉野源三郎氏だったのである。
引用文は「人間の悩みとあやまち」という書籍(絶版)の文章だったのである。
・・・自分も思いっきり影響受け取るやないか~い!!
ほんと、びっくりしました。
中学生の時、この文章を読んで、「なんと素晴らしい考え方だろう!!」「この作者はすごい!!」と心が震えたものだ。
今読むと、もう何度も読んだ文章だからか、当時までの感銘は受けないのだが、「この考え方を人生に当てはめて考えると随分と景色が違ってみえただろう」と思う。
「人間が苦しい、つらいと感じるのは、本来人間はそうあるべきではないから、苦しい、辛いと感じるのである」
「人間とは本来自分のやりたい事をやって、幸せであることが本来だからこそ、そのように幸せと感じるのである」
これ。この考え方。辛いのは「人間が本来そうではないからこそ辛いと感じるのである」
これには本当に目から鱗が落ちました。
~「人間の悩みとあやまち」吉野源三郎 著~ 夏のワークからベタ打ちしてみます。
ぼくたちは、人間として生きていく途中で、子どもは子どもなりに、また、おとなはおとななりに、いろいろ悲しいことや、つらいことや、苦しいことに出会う。もちろん、それは、だれにとっても、けっして望ましいことではない。しかし、こうして、悲しいことや、つらいことや、苦しいことに出会うおかげで、ぼくたちは、人間が本来どういうものであるかということを知るのだ。
心に感じる苦しみや痛みだけではない。健康で、からだになんの故障も感じなければ、ぼくたちは、心臓とか胃とか腸とか、いろいろな内臓がからだの中にあって、だいじな役割をつちめてくれているということを、ほとんど気付かずに暮らしている。ところが、からだに故障が起きて、どうきが激しくなるとか、おなかが痛みだすとかすると、はじめてぼくたちは、自分の内臓のことを考え、からだに故障のできたことを知る。からだに痛みを感じたり、苦しくなったりするのは、故障ができたからだけれど、逆に、ぼくたちがそれに気づくのは、苦痛のおかげなのだ。
苦痛に感じ、それによって、からだの故障を知るということは、からだがほんとうの状態ではないということを、苦痛がぼくたちに知らせてくれるということだ。もし。からだに支障ができているのに、なんにも苦痛がないとしたら、ぼくたちはそのことに気付かないで、場合によっては、命をも失ってしまうかもしれない。じっさい、むし歯なんかでも、すこしも痛まないでどんどんうろが大きくなっていくものは、痛むものより、つい手当てがおくれがちになるではないか。だから、からだの痛みは、だれだってごめんこうむりたいにちがいないけれど、この意味では、ぼくたちにとってありがたいもの、なくてはならないものなのだ。
--それによってぼくたちは、自分のからだの故障の生じたことを知り、同時にまた、人間のからだが、本来どういう状態にあるのがほんとうか、そのことをはっきりと知る。
同じように、心に感じる苦しみや辛さは、人間が人間としてほんとうの状態にいないことから生じて、そのことをぼくたちに知らせてくれるものだ。そして、ぼくたちは、その苦痛のおかげで、人間が本来どういうものであるべきかということを、しっかりと心にとらえることができる。
人間が本来、人間どうし調和して生きていくべきものでないならば、どうして人間は、自分たちの不調和を苦しいものと感じることができよう。お互いに愛し合い、お互いに好意を尽くし合っていきていくべきものなのに、憎み合ったり、敵対し合ったりすることがあるから、人間はそのことを不幸と感じ、そのために苦しむのだ。
また、人間である以上、だれだって自分の才能を伸ばし、その才能に応じて動いていけるのがほんとうなのに、そうでない場合やりきれなく思うのだ。
人間が、こういう不幸を感じたり、こういう苦痛を覚えたりするということは、人間がもともと憎み合ったり敵対し合ったりすべきではないからだ。また、元来、もって生まれた才能を自由に伸ばしていけなければうそだからだ。
およそ人間が自分をみじめだと思い、それをつらく感じるということは、人間が本来そんなみじめなものであってはならないからなのだ。
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「人間の悩みとあやまち」の文庫は絶版になっているようですが、以下書籍に単発で収録されているようです。
光村ライブラリー・中学校編 4巻 フシダカバチの秘密 ほか?
- 作者: A.ファーブル,吉野源三郎,角山栄,岩波洋造,小原二郎
- 出版社/メーカー: 光村図書
- 発売日: 2005/11/15
- メディア: 単行本
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