徒然もの書きぱん

適当にアニメとかについて書いてます。今期は何について書きましょうか。

映画『アイの歌声を聴かせて』感想

映画『愛の歌声をを聴かせて』を見てきました。
ainouta.jp

いい作品だと思ったので久しぶりに記事を書きました。この作品は、表面的にはロボットが人間と友達になり絆を結んでいく話なのですが、非常に狂気的でした。
シナリオや演出問わず、感じたことを書いていきます。

1. 日本的風景とロボット社会の調和について

 主人公が住む家は、日本らしさのある木造建築なのだが、その内部は多くの能動的なロボットによって制御されていた。ロボットがいる世界というのは無機質になりがちだが、この世界ではロボットが馴染みやすい世界というよりは人間がいる世界にロボットが配置されたような世界になっていた。田植え用の人型ロボットに笠をつけていたりと、かかしのような装飾をさせており日本的風景の延長線にロボットがいたかのような景色になっていた。他の作品ではみたことのないような馴染み方だった。

2. 本物のミュージカル的演出

 ミュージカル的な演出は、現実のような空間を舞台にしつつキャラクターの内面を豊かに表現するときに使われると思うが、実際にはその世界に対して影響していない。つまり、キャラクターたちの仮想世界での出来事であり現実には何も起こらない。
ただこの作品ではミュージカル的な演出をしているにも関わらず、すべてのことが実際に起こっている。現実世界では表現できないことを表現することで、キャラクターたちとロボットの感情のずれ方をしており、今まで感じたことのないおもしろい違和感を味わうことができた。
個人的にミュージカル的な演出を虚構として処理するか現実として処理するか悩むことが多いので、このように全てを現実として描き切ってくれたことはこの作品の見方を大きく変えてくれた。

3. 感情的な人間と感情豊かなロボット

 この作品は高校生が主人公であり、自分の感情をうまく制御できない一面がたくさん描かれている。彼氏に対して気持ちをうまく伝えられない女子や、自分の後悔を相手に伝えられない男子、など。
その一方で感情豊かに見えるロボットには、感情という曖昧なものはない。観察による状況分析と奇想天外な行動によって場を解決に導いていた。
感情豊かに見えたロボットにはネガティブな面が薄いため、感情の豊かさが不気味に見えがちであったこともロボットであることの強調になり興味深かった。

4.純度の高い気持ちへの恐怖と信頼

 この作品では幸せという曖昧なものを主人公に与えようとする。ただ幸せを理解することはできないため、その幸せを定義して実現する。友達がいれば幸せ、笑っていれば幸せ、などである。その状況を作り出すために、ロボットなりの思考の果てに行動し、その行動を多少なりとも理解する人間たちと信頼関係を築いていった。

 この面だけを見るとロボットの思考と行動が、人間を幸せにしたと捉えることができるのだが、僕にはその行動があまりにも狂気的に見えてしまった。
主人公たちに信頼されたロボットは、主人公の幼い頃に作られた人工知能であり、ずっと主人公のことを見つめていた。あらゆる手段を秘密裏に使い見守ってきた。このロボットがとってきた行動は、はっきり言ってしまえばストーカーに似たものである。ただしその行動原理に自分の感情は含まれず、機械的に命令を遂行していたという点では大きく異なるとは思う。その命令に対して意志を持ち行動していたように見えことこそが、ロボットというものに対して人格があると思えた瞬間であり、同時に怖さを覚えた瞬間でもあった。

 ロボットが幸せという曖昧なものに対して行動できることに対して好意的な気持ちを持った一方で、曖昧なものに対して自身の思考だけで行動できてしまう恐ろしさがあった。そしてその行動が人間的であればあるほど、人間にはできない特殊能力を危険だと思ってしまうのだとも思った。

 今思うとアンチロボットの社員の感情を味わう一方で、ロボットを開発し続ける希望的な研究者の感情も味わっていたのかもしれない。

 下心のある行動にほど人間味を感じ、そこから相手への感情だけを取り出してしまうと狂気味を感じてしまう。ただその気持ちを信頼することができたときに、その感情から狂気が消えて気持ちを受け入れられるようになるのかもしれない。

 純度の高い相手への感情を狂気と見るか愛と見るか、何を基準にそう感じているのかを考えるきっかけになった。

5.最後に

 この作品は人によって見え方が大きく変わると思います。青春として見る人もいれば、ロボット社会へのアンチテーゼと見る人もいると思う。
 個人的な意見としては、その全てでありつつも一つの作品としてまとまった素晴らしい作品であったように思う。皿としては完成されているんだけれども、見た目も味もにおいも全部がチグハグなのにまとまっている。そんな作品だったように思います。
 この作品を人に伝えることは難しいけれども、たくさんの人に見てもらいたいなと思いました。

アイカツ同人誌感想 No.19『君の音が消えない』

作品概要

●タイトル
君の音が消えない
●著者
さかな
Twitter
さかな🐟 (@namekyunta) | Twitter
●頒布
2019-10-05(芸カ20)
●サンプル


●ページ数
16
●通販
なし

感想

 らいあおというありそうでなさそうでありそうな二人の関係が垣間見えてとてもドキドキしました。ずっとあおいに対して好意を持っていたらいちが、どうあおいとの距離を詰めていくのだろうと考えなら読ませていただきました。
 らいちにとってあおいとはずっとある憧れのような存在で、あおいから見たらいちはいちごの弟でずっと応援してくれるファンだったと思います。「ずっと応援してくれる」の部分でギャップを作り、そこかららいちという人間の成長についてあおいが認知するという流れがとてもきれいでした。
 あおいがお酒をハイペースで飲んでしまうくらい、あおいにとってらいちが応援してくれなくなったという事実が辛かったんですね。当たり前のようにあったようなものがなくなってしまった感覚なのだと思っています。だからこそ、あおいがらいちを男として認識する流れになったのかなと思います。
 そして、タイトルがすごく好きでした。らいちの心臓の音が、あおいにうつっていくようでした。異性に惑わされるあおいというのがとても新鮮で、新しい魅力にあふれてしました。ふたりとも幸せになってほしいです…。

 16ページというページ量にも関わらず、さかなさんの絵もお話もギュッと詰め込まれた非常に濃い一冊でした。ありがとうございました。

アイカツ同人誌感想 No.18『AT LAST2』

作品概要

●タイトル
AT LAST2
●著者
おかい
●Twitter
おかい*芸カ20-レ06 (@okai_18) | Twitter
●頒布
2019-10-05(芸カ20)
●サンプル


●ページ数
20
●通販
なし

感想

 前作の『AT LAST』が衝撃的すぎて大好きだったので今回も手に取らせていただきました。おかいさんが描かれるモア・ザン・トゥルーは特別で、この空気感はこの本にしかないと言い切れる気がします。あとノベルティーで鉛筆を渡されたときはすごく戸惑ったのですが、本を読んでから「こういうことだったのか…」と妙に納得しました。
 本作は突拍子もなくただ遊び始めたのではなく、涼川さんの曲作りというテーマが並行しているのがとてもよかったです。といってもほとんど遊んでいるだけですごく楽しい空気なのですが、曲作りを応援しているメンバーとの距離感があったかくて好きでした。本編ではあれだけ仕事仲間という側面が強かったのに、こういう空気で普段一緒にいるんだろうなーと思えてしまうのがこの本のすごいところだなと改めて思いました。
 最後のページで曲の完成を喜ぶメンバーとそれを見て笑う涼川さんがとてもかわいかったです。次があったらまた買いに行きます!ありがとうございました!

アイカツ同人誌感想 No.17『今日はあたしの誕生日だろ!?』


作品概要

●タイトル
今日はあたしの誕生日だろ!?
●著者
koyubi
Twitter
koyubi@②巻発売中! (@koyubi_right) | Twitter
●頒布
2019-10-05(芸カ20)
●サンプル


●ページ数
32
●通販
今日はあたしの誕生日だろ!?(こゆびらいと)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

感想

 最初に新刊を読ませていただきました。蘭の可愛らしさと仕事第一な姿勢が感じ取れる楽しい一冊でした。いちごとあおいとの関係性を描きつつも、他のスターライトのメンバーとの関わりも描いてくださり、蘭がまわりからどういう愛され方をしているのかが垣間見えて楽しかったです。クールに見えるけど、喜怒哀楽の表現が大きいのが蘭の特徴だなと思います。
 思春期における誕生日は、自分と周囲の距離感を把握する大切なイベントのひとつだと思うので、蘭ががっかりしたり喜んだりするのもわかる気がしました。ソレイユの強い関係性があるからこそ、自分が想定しているものとのギャップが有ると不安になってしまうんだなと思います。その感じたことのギャップを、ちゃんと発信できる蘭を描いてくださったことがとにかくありがたかったです。
 蘭は、ソレイユを冷静に見ているようであり実は一番子供っぽいキャラクターだと思います。感情に振り回される蘭だからこそ、最後のモノローグのような関係性がいつまでも彼女のなかで続いていってほしいなーと思いました。

 モデルの蘭、スターライトの蘭、ソレイユの蘭。すべての蘭を詰め込んでいただけた最高の本でした。ありがとうございました!

映画『天気の子』―――少女の変化、祈るという行為

 こんにちは。映画『天気の子』が非常によかったので感想を書こうと思います。 1 週間で 3 回見に行くほど気に入りました。感想とかを書き連ねていきます。

振り返り―――陽菜という人間の変化

 僕が映画を見たときに感じた陽菜の心境と能力の遷移を下の図で表現した。ただ母の入院時にも晴れてほしいという願いは持っているため正確な図ではないが、ラストに比べると願いの大きさは違うと考え下記のような表現とした。

 陽菜は天気を操れる能力を得たにもかかわらず、穂高と出会うまで能力をあまり使用していなかった。明確に表現されてはいないが、中学生たちがビルの隙間で見つけた龍状の水や雨の魚が観測されたのは能力を使用した副作用だと思われ、帆高に能力を見せるまで観測されていなかったことを考えるとほとんど使用されていなかったと思われる。さらに未成年ながら水商売を始めようとするほど、天気を変える能力は彼女にとっては役に立つ能力ではなかった。つまり彼女にとって天気を変える能力は、特別な力ではあるものの自分を形成するものではなかった。
 帆高と出会うことでその考え方は変わり、天気を変える力は彼女に役割を与え、自分を形成するものとなっていった。「世間から求められること」と「自分がやりたいこと」が「自分ができること=天気を変えること」により満たされてしまった。つまり彼女にとって自分の価値が「天気を変えられること」になってしまった。

 天気を変えることができることの価値を知ってしまった彼女は、日本の異常気象を自分の責任であり自分の役割として捉えるようになった。だから帆高に雨がやんでほしいかと尋ね、それに「うん」と答えてしまった帆高を残して消えることになったのだろう。しかし指からすり抜ける指輪を見て悲痛な声を上げる彼女を見る限り、彼女が自分の意志で人柱になったようには思えない。その一方で、帆高が迎えに来たタイミングでは世界の天候を心配しており、彼女に与えられた役割を捨てきることができなかった。だが帆高の「陽菜のために祈ってほしい」という言葉を受け、自分を優先して天気の巫女という役割を捨てることができた。
  

考察―――陽菜にとっての祈るという行為

 世間は誰もふたりのせいで東京が沈んだと考えてはいない。それはおばあちゃんの言葉からも、須賀さんの言葉からもわかる。それほどこの現象は人の力でどうにかできるレベルを超えている。そして彼女は坂の上で祈っていた。
 陽菜にとって祈るとは、晴れにする行為であり結果であった。しかし天気の巫女でなくなった彼女は、祈るという行為が結果につながることはない。それでも彼女が祈り続けるのは、自分が天気の巫女だったからである。天気の巫女としての役割は終えたとしても、天気の巫女として世界と向き合っているのだと思う。
 そしてその祈りとは、具体的に何かを願っているわけではないのだと思う。雨がやんでほしいとか東京がもとに戻って欲しいとか、そういうものではない。ただ自分と引き換えになった現実を見つめているのだと思う。
 つまり序盤で示した図は実際には以下のようになる。彼女は天候を操ろうとしているのではない。

 彼女の生きる選択と祈ることは矛盾しない。自分に求められていた役割を放棄したとしても、それでも漠然とその犠牲に祈りを捧げるだろう。そして彼女は自分の命と世界を変えてしまった重さの板挟みに苦しみながら生きていくのだろう。それでも生きていくことに幸せを感じるだろうし、あのときの選択を後悔することはないだろう。そうあってほしい。

備考―――巫女に連動する空模様、雪景色

 陽菜の心境に連動するように、夏にもかかわらず雪が降り始めた。晴れを避けるという思考が、気温の低下を生み雪を降らせた。つまり空模様を変えるだけではなく、天候にまつわるあらゆる事象を操作することができるのであろう。本編では晴れにする行為の他に雷を落とすこともできていた。

考察―――天候を操る力の行方

 陽菜は廃ビルの屋上の鳥居をくぐることで天気の巫女となった。ただ母親が使用していたブレスレットをチョーカーとして使用し、そのチョーカーに力が宿っているようにも見えた。そのため帆高に連れ戻された際に、チョーカーが壊れたような描写で描かれている。しかし陽菜が鳥居をくぐった際にブレスレットは持っていないため、陽菜自身にその力が宿ったと考える方が筋が通っている。
 そして帆高も同様に鳥居をくぐった。巫女という特性上女性しかなれない可能性もあるが、あくまでも歴史上の話であり性別に関連性はないと推測される。現に帆高は雲の上の世界を見ており、それこそが人柱として選ばれたことを示しているのだと思う。つまり帆高には天候を操る力が宿っていると推測される。

降り止まぬ雨、沈む東京

 雨が降り止まないのは、帆高が人柱になる条件を満たしていない、つまり能力を使っていないせいである。それは帆高が雨を止ませようとしていない結果であり、東京が沈んだのはなるべくしてなった結果ともいえる。そして重要なのは帆高がこの結果を受け入れている事実である。祈りによる天候の変化が意識的であるのならば、帆高は心の底から晴れることを望んでいない。もしくは諦めているのかもしれない。
 いつか自分の力に気付いた時、帆高は力を使わずにいれるのだろうか。きっと使うことはないと思うし、気づくこともないのだろう。天候を操る重さを知っている彼が、天候について何かを願うことはきっとないだろうから。
 もしくは廃ビルが水没したのち、あの鳥居を源泉とする力は失われているのかもしれない。そうなるともうどうすることもできない。

感想

 この作品のすごく好きなところは、人間が誰かと出会い変わっていき、その変化は本人が想像していなかったこともできてしまうことにあります。

須賀さんの行動の変容から

 須賀さんは「大人になると大事なものの順序を入れ替えられなくなる」と言っていたように、須賀さんにとっては娘と一緒に生活することの優先度が一番高かったはずです。にもかかわらず帆高の彼岸への渡りを助けようとしてしまう。それは彼の中で順序が入れ替わった瞬間であり変化の瞬間です。しかしながら彼の中で娘は相変わらずいちばん大事な存在だと思います。いちばん大事なものが複数競合したとき、その大事なものを失わない行動しかできなくなるのだと思います。例えばあの瞬間では帆高への手助けが大事だったとして、帆高への助力が行われたあとはきっと大事の優先度が下がっているはずです。行動することでその順序は下になっていく。だからあの瞬間から、須賀さんの中では帆高に対する優先度はすごく低いものになったのだと思います。しかしそれは優先度が下がっただけで大事であるということには変わりないし、きっと同じような危機に直面すると優先度は大きく上がるはずです。生きていくと大事だと思うものが増えていき、優先度をつけるためのパラメータが増えすぎて選べなくなっていくのだと思います。大事なものが増えることは素晴らしいことだけれど、何かの選択に迫られたときに大事なものを失わないようにしたいと思いました。
 

選択の代償から

 陽菜が人柱ではなく人として生きることを選択したことで、天候は雨になり東京は海の中に沈みました。世界が雨に包まれることを陽菜と帆高が選び、そしてその選択の結果を受け入れていました。自分がしてしまった行動の結果を直視するというのは非常にストレスの掛かることですが、それを彼女たちは真っ向から受け止めています。そんな二人だからこそこれからも大丈夫だと思えるのでしょう。受け入れるということの難しさとその姿勢に心打たれました。
 そして選択の代償を描いた本作があってこそだと思います。これでもし天候が晴れになってふたりとも無事だったら、彼女たちの選択やそれに向かっていく意思を踏みにじることになります。そうならないように本作を作り上げていったのが本作の魅力だと思います

最後に

 うまく書けていないこともありますが、本作が本当に好きなので何度も見に行って楽しみたいと思います。素晴らしい作品を作っていただきありがとうございました。

小説 天気の子 (角川文庫)

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【Amazon.co.jp限定】天気の子【特典:CDサイズカード「風たちの声」ver.付】

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おまけ

本作の好きなところ

 たくさんあるのでざっと並べていきます。たぶん時系列になってるはず。

  • 「天気の子」という文字が表示されて風に流されて消えていく映像。
  • 新宿が汚い、本当に新宿は汚い。
  • 帆高が須賀さんのところに引き取られて一生懸命自分の居場所を作るために働くところの映像と音楽とナレーション。時間の経過を短時間でかつテンポよく見せるのにあっている。
  • 最初の凪がチャラい印象なのに対し、てるてる坊主のきぐるみを着るなど小学生らしさが出ているところ。お姉ちゃんが大好きなのが振る舞いから伝わってくる。
  • 陽菜が天気を変えて曇から晴れになっていく際の街が服を着飾るようなという表現。
  • 花火をまわりこみで撮影するところ。
  • 君の名はメンバーがたくさん出てくる、観覧車、民家、デパート。
  • 本田翼の演技が癖があるようでなくてよかった。
  • グランドエスケープが流れる場面のすべて。ここを見るために何度も通っている気がする。
  • 東京が沈むところ、救いがない。救いがないからこそ、選択に意味が出てくる。選択とはその瞬間のものではなく、その後にもずっと関わってくるもの。
  • 田端という地理が活かされているところ。北口に比べてなにもない南口が選ばれた意味が出ている。
  • 最後のシーンで祈っているところ、ここがあったからこの作品は最高になった。祈りとは誰かに願いを向けるものではなく、内なる自分に向かっていくもの。

本作の好きじゃないところ

  • PVがミスリーディングすぎる、作品の雰囲気にあっていない。
  • 銃というものが作品の中で活かされない、日本という国で銃は特別なもの。作品に活かされていないわけではないが、作品の空気を悪い方向に変えすぎてしまったように思う。

アイカツ同人誌紹介No.16『次の星までまちあわせ』


作品概要

タイトル 次の星までまちあわせ
著者 七尾
Twitter 七尾 (@notodyk) | Twitter
頒布 2019-06-09(芸カ19)
サンプル
ページ数 24
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は霧矢あおいと神谷しおんの二人だけが登場する短編二つで構成されている。この二人が魅せる独特の空気を感じることのできる一冊である。

感想(ネタバレあり)

 まず最初に、本編ではほとんど描かれることのなかったこの二人のやりとりが見れたことがとても嬉しかったです。特に2本目の『あなたと/逃避行』では、二人でいるときの新鮮な空気を感じることができました。おとめに振り回されてきたしおんだから返せるような、そんなやり取りが素敵でした。そして素のしおんを引き出しているようなあおいとの関係性が、これまでの撮影の中で生まれていったんだなと思います。
 またすごくうまい漫画を描かれる方だと感じました。動きの少ない場面で、コマの関係性を使って動きを表現していたりと、ページがサクサク進む読み心地でした。もし次があるようなら楽しみにしています。
 不思議な空気を作り、不思議な時間を過ごさせてくれる優しい一冊でした。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.15『かがやきはいつでも』


作品概要

タイトル かがやきはいつでも
著者 ミホ
Twitter ミホ (@3824deko) | Twitter
頒布 2019-06-09(芸カ19)
サンプル
ページ数 32
通販 https://3824deko.booth.pm/items/1410905

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、2年生時の美組S4戦で香澄真昼に挑む七倉小春が描かれている。真昼という実力者に対してどういう戦略で挑むのか。アイカツスターズで見ることのできなかった最高のステージ、そしてその空気を感じることのできる一冊。

感想(ネタバレあり)

 まず最初に、絵がめちゃくちゃ良かったです。見せ場のステージも日常シーンも最高の作画で支えられていました。あとがきにも書かれていましたがここまで高カロリーな絵は大変だっただろうと想像に難くありません。
 そして小春の戦略とそのステージ内容に非常に興奮しました。納得感のある展開と、もう一度見たかったあのステージがソロのステージとして披露されたことはとても嬉しかったです。あと「真昼ちゃんは少しの差だって言っていくれたけど、私にとっては少しの差なんてものじゃなかったんだ」というセリフが印象的でした。自分のすべてを出し尽くした結果、相手との差を今まで以上に実感するというのはある話だと思いますが、的確な表現でスッと心に入ってきました。小春にとって次の一歩を踏み出すことのできる前向きなステージになったと思います。
 アイカツスターズ!を好きなすべての人に手にしていただきたい至高の一冊でした。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.14『いつでも笑顔で笑ってる』


作品概要

タイトル いつでも笑顔で笑ってる
著者 さんみ
Twitter sanmi🐕 (@sanmi___) | Twitter
頒布 2019-06-09(芸カ19)
サンプル
ページ数 56
通販 いつも笑顔で笑ってる(さんみいったい)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、スターライト学園のオーディションに受かった大空あかりを、画面越しに見ているモブの視点によって描かれている。SNSから溢れ出る感情に同化していく他人と、その感情を見ならが無事を祈っている同級生。
 大空あかりを中心とし、SNSという現代では避けて通れなくなった巨大な感情との向き合い方を描いた一冊。

感想(ネタバレあり)

 まず最初に、アイカツで描かれている世界に対しての没入に驚かされました。大空あかりという一般的に見て凡人のアイドルがいて、そのアイドルが選ばれたことに対する一般人の無責任な怒りを感じることができたこと。その怒りの中でも応援してくれる同級生がいたこと。まるでアイカツの世界に身をおいていたかのような説得力のある世界の描き方でした。その世界を前提として、霧矢あおいや学園長といった冷静に処理することができる人間が大空あかりを守っていたという布陣は、大空あかりが大空あかりとしての輝きを失わないために絶対に必要であったと思いました。
 さんみさんの描かれる世界に説得力をもたせる布陣の中で、笑顔を振りまきながらも笑顔になれない大空あかりがいたからこそ、この本でも大空あかりを強く感じることができました。そしその大空あかりは、私がアイカツで感じることのできた「あきらめの悪い大空あかり」でした。この大空あかりに私はたくさんのものをもらったんことを思い出しました。
 正直うまくまとまりませんが、約50ページというこの本に添えられたメッセージの重さを、ページ数以上に受け止めることができました。あとがきに書かれていた「関係のない人」の言葉に惑わされすぎないよう生きていきたいと強く思いました。
 さんみさんは、これまでの作品でも理性的に物語を描かれていましたが、本作での構成には圧倒されました。これからも応援しています。素敵な本をありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.13『美しいものを見た。だからもう行かなくちゃ。』

作品概要

タイトル 美しいものを見た。だからもう行かなくちゃ。
著者 ギャルビ
Twitter 芸カ19 ヤ19 (@iouytuuyio) | Twitter
頒布 2019-06-09(芸カ19)
サンプル
ページ数 64ページ
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は著者が過去に描いたイラストをコメントともに振り返る構成になっている。過去の絵を今見ることで、見えてくるものがある。ダイナミックで力強いイラストとそこに至るまでの著者の内面を知ることができる貴重な一冊である。

感想(ネタバレあり)

 この本を読んだとき、自分でもわからないのですが泣いてしまいました。ギャルビさんの描かれる絵が好きで感動したというのもありますが、このイラストを描いていたときの心境などイラストからは読み取れないものを感じることができたからかもしれません。
 そして絵がどんどん魅力的になっていき、ギャルビの絵になっていくことに心が揺さぶられました。いつの間にかどの絵もギャルビさんの個性があふれる作品になっていったように見えました。個性が何かを理解できているわけではありませんが、これらのイラストがすべてギャルビさんのものだと思える絵に仕上がっている。そのことに無性に感動しました。
 コメントにもある通り絵を描くことが苦しかっただろうし辛くなったときもあったのだろうと思いますが、こうやってギャルビさんにしか描くことができない世界を見ることができて感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい一冊を頒布していただき、本当にありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.12『Re:Re:』


作品概要

タイトル Re:Re:
著者 こるせ
Twitter こるせ@芸カ:キ15 (@korusee) | Twitter
頒布 芸カ19(2019-06-09)
サンプル
ページ数 20
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は著者のマイキャラに、デザイナーがドレスを作るというコンセプトで作られてたフルカラーイラスト本である。マイキャラのために作られたオリジナルのドレスとそこに込められた想いを、著者の美麗なカラーイラストとコメントを通して知ることのできる。そして筐体をやったことがない人にも心に刺さる内容になっている1冊である。

感想(ネタバレあり)

 まず最初に、このイラスト本は愛のかたまりです。アイカツシリーズ本編で描かれているの同じように、このキャラクターのためだけにプレミアムレアドレスが用意されていて、そこにはキャラクターごとに異なるメッセージ・設定がありました。自分のキャラクターを本編のキャラクターと同じ舞台に立たせており、凄まじい深さがありました。
 そしてこるせさんのマイキャラが非常にかわいかったです。あやこちゃんもりよちゃんもそれぞれにあったドレスを着ていて、読んでいるこちらも満たされる気持ちでした。本当に彼女たちはいました。
 あとがきにも書かれていましたが、劇中キャラクターの借り物ではない彼女たちのためのドレスを見ることができて嬉しかったです。私自身はあまり筐体をプレイできてはいませんが、自分のキャラクターに注いだ愛をこういう形で昇華させられるのだと気づくことができました。最初から最後まで暖かさで満ちた1冊を、ありがとうございました。