おもてなしのこころ

彼についていうと、笑っているのか、真剣なのか、判別しがたい顔をしている。なんとなく、人間の或る人に似ているような気はずっとしていたのだが、今日、友人が眼鏡をかけたら思いがけず本人より似た風になって、おどろいた。わたしの部屋に来る人は、気がつくと、よく彼をつかまえてぶらぶらさせる。ベッドの端にほうり出されてばかりいるのに、どうも気になる存在のようだ。彼はよく、rapさせられたり、ブレイクダンスさせられている。月に一度くらい、思い出したように布団をかけてあげることもあるけど、たいていは、いることすら忘れている。むかし、背中のチャックを開けて、ハムスターをいれる遊びをした。お腹が、ぼこぼこと内側から盛りあがる、そのようすがおそろしくてすぐに取り出した。お腹のなかに、齧られた痕がついた。おそろしかったが、その後何度か腹のなかにいれた。そのハムスターは、いつまでも飼い主の手の匂いをおぼえなかった。おぼえなかったのか、知ってて知らぬふりなのか、不意打ちのように手のひらのやわらかいところを咬むことがあった。一本のスパゲティーを両手いっぱいにかかえて食べるすがたや、棒アイスの最後にのこった溶けかかったクリームを小さな舌でなめる姿が可愛かった。なんでかそんなことを今日思い出した。ハムスターは一年たたずに死んで、玄関横の細長い敷地に埋めてある。
お昼にラーメンを食べて夜に焼肉をたらふく食べて、おなかが内側からぼこぼこいうようだ。週末海にいくというのに、水着については、再検討する必要を感じている。