今までジャニーズにつぎ込んできた金額が、20代の平均結婚資金額だった

私がそれを知るきっかけは1つのツイートだった。

いつも通り、コンサートのレポや、テレビ番組の感想なんかが流れるタイムラインに、

誰かが気まぐれにリツイートしたのだろう。

  

 

 

 

タイムライン上のフォロワー達は、皆笑って流していたが、私はこのたったひとつのツイートにかなり動揺させられてしまった。

私もジャニオタをしていたが、一般女子程度にはおしゃれもしていた。その分お金は無かった。貯金だって正直なところ、ゼロに近かった。なにより焦ったのが、「結婚資金」という概念が今まで自分の中に存在していなかったことだ。

恐る恐る、「結婚資金 20代 女性」で検索をかけ、目についたサイトを見て愕然とした。

 

 

laurier.press

 

 

女性の結婚資金の平均貯金額は260万円だそうだ。

 

 

「260万円」

 

 

私は現在20歳の社会人で、中学2年生、14歳の頃からジャニオタをしていたのだが、その頃からジャニオタとしての活動に使ってきた金額を数えればそのくらいになるだろう。というか計算した。ゆうに超えていた。

 

私は何をしているのだろう。

 

私は今まで彼氏がいたことがない。14歳からずっとジャニーズだけを追いかけてきたら、処女のまま成人式を迎えてしまった。

青春の思い出だって何もない。友達と遊ぶよりもジャニーズのコンサート、地元の友達よりもネットのオタ友。そんな生活を続けてきたら、異性との関わりなんてもちろん無かった。

だからこそ、私はさらにジャニーズにハマってしまったのかもしれない。

異性との関わり合いが無かった私は、ある意味で"男性"という性を神聖化して見ていたのだろう。ジャニーズという華やかで美しい集団が相手であればなおさらだ。

だから社会に出て、職場の男性と接するのもなんだか怖かった。だって美しく無いから。私の知っている"男性"と違うから。

その分、家に帰って、ジャニーズのポスターに囲まれて、ジャニーズのDVDを観て過ごす時間は至福だった。

休日ともなれば、朝から晩まで一日中観ていた。それ以外にすることも、それ以外にしたいと思うこともなかった。

自担の載る雑誌は全て買い、新写真も出れば即日ジャニショに出向いて担当グループ分は全買いしていた。

コンサートがあれば、通えるだけ通った。遠征だってもちろんしたし、夜行バスには何度も乗った。チケットは自担の立ち位置を調べて、なるべく近い席を探したり、とにかく必死だった。

だって自担が私の全てだったから。自担に青春を捧げて、自担に全財産も捧げたから。

だから自担に振り向いて欲しいし、ファンサも欲しい。必死な自分が報われたい。

 

 

私はジャニオタではなく、ジャニーズ依存症だったのだ。

 

 

純粋に自担が好きで、自担の為にお金を使っていたはずが、いつの間にか「自担が好きな自分」の為にお金を使っていた。

そして自分の為にお金を使っているのに、そのお金は自分の将来には何一つ繋がっていないのだ。 

周りは私がジャニーズに使ってきた額と同じくらいの額を、自分の将来のために貯めていると言うのに。

それに気づいてしまったら、私はもう今まで通りに彼らのファンでいることはできなかった。

 

 

 

今は少しずつだが、グッズやCD,DVDを手放したりして、結婚資金の貯金も始めている。とはいっても、非正規雇用の20代がゼロから始めたものだ。まだ雀の涙ほどしか貯まっていない。

 

私は、いつか自分の旦那と子供と、ごく普通の幸せな家庭で暮らすことが、幼い頃からの夢だった。

 

今、その夢に少しずつだが近づけているような気がする。

 

 

 

 けれど、壁一面に貼られたままのポスターを見ながら、今度はいつ彼に会いに行こうかな。なんてことを考えている自分も、少なからずいるのです。