pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 尖閣諸島の領海に中国海警局の船4隻が侵入(5月8日)、中国側の公式発表あり。日本漁船の操業なし。

20240509225150中国海警局より)

5月8日、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船4隻が尖閣諸島の沖合で日本の領海に侵入した。海上保安庁 第11管区海上保安本部によると、4隻はおよそ2時間、領海内を航行したあと、午後0時半ごろまでに領海を出た。

八重山日報の9日付けの記事によると、4隻は「海警1301」「海警1401」「海警1102」と機関砲を搭載した「海警1303」。4隻は、8日午前10時31分ごろに相次いで領海侵入し、約1時間40分後の午後0時11分ごろ領海を出た。

中国船4隻が領海侵入 尖閣周辺、今年14日目 | 八重山日報 (2024/5/9)

沖縄 尖閣沖で領海侵入 中国海警局の船4隻 いずれも領海を出る | NHK | 尖閣 (2024年5月8日)

 

中国海警局は、公式サイトやSNSで、海警1301ほかの船隊が一方的に主張している”パトロール”云々といういつもの定型の公式発表を行った。発表記事・投稿のタイムスタンプは北京時間の5月8日 ”10:00:00”(日本時間11:00:00)なので、事前に予定された一連の行動だっただろう。

 

中国側が予定していた場合には公式発表を行って、尖閣諸島の領海で日本漁船による操業や石垣市の現地調査のときは公式発表は行わない対応に戻ったと思われる。

4月12日の領海侵入のときに続いて今回(5月8日)も、中国海警局の船が日本漁船を追尾したという発表は、海上保安庁からも中国海警局からも行われていない。

 

いまのところ、中国海警局は尖閣諸島の沖での領海侵入と航行に関する公式発表を、2023年2月以前の対応に戻した可能性が高いと思われる。

むしろ、2023年の中国海警局による公式発表や報道官の声明が、一方的にエスカレーション・リスクを高める異常な対応だった。

 

【中国海警局】 石垣市、尖閣諸島で現地調査・3回目(4月25日~27日)、今年は中国海警局の公式発表なし - pelicanmemo (2024-05-01)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船1隻が操業(4月25日)、今回も中国側の公式発表なし(3月末以来3回目)。 - pelicanmemo (2024-04-28)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海に中国海警局の船4隻が侵入(4月12日)、中国側の公式発表あり。日本漁船の操業なし。 - pelicanmemo (2024-04-13)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船1隻が操業(4月5日~6日)、今回も中国側の公式発表なし。 - pelicanmemo (2024-04-07)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船2隻が操業(3月28日~30日)、中国側の公式発表なし。 - pelicanmemo (2024-04-02)

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横須賀の海上自衛隊や在日米海軍の基地でドローン空撮。撮影された時刻を調べてみた → 2月24日の13時ごろ。

20240509201532NHKより)

横須賀の海上自衛隊の基地や米軍横須賀基地で、上空のドローンから、護衛艦「いずも」や在日米国の空母「USS ロナルド・レーガン」などが撮影され、動画共有サイトに投稿されたあの動画と写真。

確からしい撮影日が分かったので、撮影時間を太陽の方位をもとに計算してみた。

少なくともこのブログ記事で調べた空撮画像は、2024年2月24日(土)の13時25分前後に撮影されたようだ。分析方法は後述する。

 

法律でドローンを許可なく飛行させることが禁止されている海上自衛隊の基地で、ドローンで護衛艦を撮影したとされる動画がSNSに投稿されたことについて、防衛省が動画を分析した結果、ねつ造されたものなどではなく、本物である可能性が高いことがわかりました。

ことし3月、神奈川県の海上自衛隊横須賀基地に所属する護衛艦の「いずも」を、上空からドローンで撮影したとされる、およそ20秒間の動画が、SNSに投稿され、動画には中国の動画共有サイトの文字が記されていました。

ドローンで護衛艦撮影とされる動画 “本物の可能性”防衛省 | NHK | 防衛省

防衛省が動画を分析した結果、本物である可能性が高いと報じられたところ、撮影者かその関係者と思われるアカウントが5月8日に、追加の動画と画像を公開した。

 

この追加画像の艦船の配置をもとにして、撮影日を絞り込んだ方がおられた。ドローン映像の撮影は2024年2月24日(土)だそうだ。

 

当ブログは、8日に追加公開された画像のうち、この赤丸の軍艦に注目した。

20240509201622

米国海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「USS ロバート・スモールズ (USS Robert Smalls, CG-62)」。

マストの影が桟橋に落ちているのがわかる。

 

 

「USS ロバート・スモールズ」の船首は桟橋の先端近くで、船尾は岸壁に近いところの小さな青いコンテナ近くにある。

20240509201618

タラップが、桟橋の中ほどに置かれた「青いコンテナ(赤丸)」の脇に下ろされている。

「マストの先端(赤丸)」はタラップの少し後ろ側にあり、「マストの影(赤矢印)」が桟橋の真ん中あたりで色が濃い箇所まで伸びている。

「USS ロバート・スモールズ」は全長172.46 m、最大幅16.76 m、吃水9.5 m (wikipedia)

GoogleEarthを使って、在日米軍横須賀基地の同じ桟橋の「USS ロバート・スモールズ」の全長と全幅を示してみた(黒い双方向矢印)赤丸2つと赤矢印は、上の画像と合わせた。
(このGoogleEarth スナップショット画像の”上・下・左・右”は”北・南・西・東”のまま)

20240509201614
これらから、マストの影は東側へ28~29度傾いて伸びているいることが分かった。

「USS ロバート・スモールズ」を含む画像が撮影されたときの太陽は南南西、北を0度とすると太陽の方位は208〜209度だったことが分かる。

 

次に、2024年2月24日の横須賀市での太陽の高度と方位を割り出す。
横須賀市の緯度経度の数字はGoogleMapを使い、「北緯35.2926度、東経138.6598度」を使用する。

ここで、いつもお世話になっている、カシオ計算機株式会社さんの高精度計算サイト「keisanサービス」を使って時刻と太陽の方位を調べた。

20240509201628

太陽高度(一日の変化) - 高精度計算サイト

2024年2月24日の横須賀の軍港では、太陽の方位が208〜209度になるのは13時23分から27分だった。

20240509201625

 

このブログ記事で分析に使った空撮画像が撮影されたのは、2024年2月24日13時25分前後だろう。

三連休の中日の土曜日のランチころで、屋外にいる人が減って対空監視が手薄になるだろう時をねらったのだろうか?

 

20240509210956

「USS ロバート・スモールズ」を含む画像で解析した太陽の方位208〜209度(赤い矢印)を、そのまま海事の護衛艦「いずも」が停泊していたH1岸壁まで伸ばしてみた。太陽は「いずも」の右側やや船首寄りから照らしている。

ドローン映像に写っていた護衛艦「いずも」のアイランドの影とも矛盾していない。

20240509201532

 

フィリピン沿岸警備隊、巡視船に放水銃装備の必要なし? | 44m級MRRV(Parola級)の放水銃の性能とその後のRWS

20240508064215(フィリピン沿岸警備隊(PCG)より。「BRP BAGACAY (MRRV-4410)」、船橋前のカバーをかけられてる2つの設備が放水銃)

フィリピンのフェルディナンド・R・マルコス・ジュニア大統領は6日、フィリピン沿岸警備隊(PCG)には、中国海警局がフィリピン船に対して使っているような放水銃装備は必要ないと述べた。

記者の質問に対して「(フィリピンの)海軍や沿岸警備隊の使命は緊張を引き起こしたり高めたりすることでは無いのだから、私たちは中国海警局(CCG)や中国の船舶(中国海上民兵の船のことだろう)に追随することはない。」「彼らの使命は(中国の対応とは)正反対であり、緊張を緩和することだ」と述べた。

“We will not follow the Chinese Coast Guard (CCG) and the Chinese vessels down that road because it is not the mission of Navy, our Coast Guard to start, or to increase tensions,” President Marcos told reporters.

“Their mission is precisely the opposite, it’s to lower tensions,” he added.

PIA - PH will not use water cannons like what China does – PBBM

この発言について、日刊まにら新聞が7日付けの日本語記事(有料記事)で「放水銃装備の必要なし」と書いていたため、日本語ネットSNSではあちこちからフィリピン沿岸警備隊(PCG)の巡視船も「放水銃を装備していますよ」と指摘されていた。

これについて少し。

比船舶に放水砲装備必要なし マルコス大統領が対抗措置を否定|「日刊まにら新聞」ウェブ The Daily Manila Shimbun Web (2024.5.7)

 

長くなりそうなので、この点を先にまとめると、

・マルコスJr大統領の発言は、中国のような「緊張を引き起こしたり、緊張を高めたりする」ための「放水銃」装備の必要は無いと述べたもの。

・フィリピン沿岸警備隊(PCG)の、日本のODAにより建造・供与された44m級巡視船(多用途対応船(MRRV))にも「放水銃」は装備されている。もっぱら海上消火活動(船舶火災だけでなく海岸の水上家屋火災にも)に使われるものなので、流量も射程もあまりおおきくない。

・中国海警局の船に装備されている「放水銃」(中国語「水炮」、英語 "water cannon")と比べると圧倒的に弱い。

20240508064736フィリピン沿岸警備隊(PCG)より。訓練風景)

20240508064553(中国海警局の船から放水銃で攻撃を受けているフィリピン沿岸警備隊の船)

もし、フィリピン沿岸警備隊が「応戦」と称して、中国海警局の船に対して放水をしていたら、2012年9月に尖閣沖で起きたあの海上保安庁と台湾・海岸巡防署との「放水合戦」の二の舞いになっていたかもしれない。

20240502204306

【中国海警局】 フィリピン沿岸警備隊の巡視船へ放水 | 高圧放水銃の性能 - pelicanmemo (2024-05-03)

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【中国海警局】 フィリピン沿岸警備隊の巡視船へ放水 | 高圧放水銃の性能

20240502202957BBCより)

フィリピン当局は4月30日朝、南シナ海のフィリピンEEZに位置するスカボロー礁(Scarborough Shoal フィリピン名:Bajo de Masinloc、中国語: 黄岩岛)の周辺海域で、中国海警局の船が高圧放水銃を使用してフィリピンの公船2隻に対して放水攻撃を行い、船体に被害が生じたと発表した。

外国の公船に対して、放水銃を使用して船体や乗員に対して直接攻撃をする行動は、国連海洋法条約に記された公船の管轄権免除の規定に違反する。

フィリピン沿岸警備隊によると(X(Twitter))、現場は、スカボロー礁(Bajo de Masinloc(BDM))から約12海里の海域。中国は、スカボロー礁(黄岩島(黄岩岛))は”島”であり、南シナ海の大部分にあたる所謂「九段線」の内側に位置するとして領有権を主張している。この主張は2016年7月12日、オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所によって、中国が「九段線」の根拠とする「歴史的権利」、主権的権利や管轄権の主張は認められないという裁定が下された。

 

それはともかくとして😊、ここでは、中国海警局の船の高圧放水銃の性能について書いてみたい。

いきなり昔話で恐縮ですが、10年以上も前、中国海警局がまだ無い国家海洋局のころは、中国のグレート・ファイア・ウォール(金盾)の規制やネットでの情報管理は今ほど厳しくはなく、中国ネット掲示板での情報交換も盛んだった。たとえば国家海洋局・中国海監総隊の1500トン級海洋監視船が搭載する高圧放水銃は、射程150m、流量600m3/h(毎分1万リットル)、圧力2.4MPa以下。射程150mと長いわりに大したことなかった。

 

今回、中国海警局の放水攻撃によって被害を受けたのは、フィリピン沿岸警備隊(PCG)の40m級巡視船「BRP BAGACAY (MRRV-4410)」(*)と漁業水産資源局(BFAR)の監視船「BRP BANKAW (MMOV-3004)」。

「BRP BAGACAY (MRRV-4410)」には英国メディアBBCの特派員らが同乗し取材を行っていた。

20240502202915

中国海警局の船は、4月30日に公開された映像の2隻は056型「海警5105」(もと海軍の056型コルベット)と3000トン級「海警3305」(いわゆる漁政型3000トン級)。別のシーンで718B型海警船(舷号は未確認)(追記修正:818型「海警5303」でした。…も放水銃で)で攻撃をしていた。

20240502203018(今回、フィリピン船への攻撃に使用された3000トン級「海警3305」の放水銃)

 

中国海警局は、接近戦になると056型海警船の船体に穴を開けられかねないので、放水銃を使った遠距離攻撃に切り替えたんですかね?🤔

【中国海警局】 フィリピン沿岸警備隊の巡視船と接触し、056型「海警4103」の船体に損傷。露呈した元軍艦の弱点 - pelicanmemo (2024-04-17)

 

(*)日本のODAによって日本で建造されフィリピンに供与された40m級多目的対応船(Parola級巡視船)10隻のうちの1隻。「BRP バガカイ」は9番船。 フィリピン沿岸警備隊、巡視船「BRP Cape Engaño (MRRV-4411)」、マニラへ ODA供与の10隻すべて引き渡し - pelicanmemo (2018-08-22)

中国、フィリピン沿岸警備隊の船に放水 BBC特派員が同乗取材 - BBCニュース (2024年5月1日)

フィリピン“南シナ海で船が中国海警局から放水銃による被害” | NHK | 南シナ海問題 (2024年4月30日)

 

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【中国海警局】 石垣市、尖閣諸島で現地調査・3回目(4月25日~27日)、今年は中国海警局の公式発表なし

20240501054331八重山日報より)

沖縄県の石垣市は4月25日から3日間、尖閣諸島の魚釣島の沖で、海洋調査とドローンによる空撮や島の植生とヤギやアホウドリなど生息状態の調査を行った。市による現地調査は昨年(2023年)1月末以来で3回目。

石垣市がチャーターした作業船「新世丸」は、25日〜26日と26日〜27日の2回にわけて、石垣港から魚釣島沖へ向かった。石垣市の中山義隆市長や東海大学の山田吉彦教授らが乗船した。26日〜27日の2回目の出航には国会議員5人(*1)が乗船し、洋上から尖閣諸島の視察を行った。
(*1)自民党から議連「尖閣諸島の調査・開発を進める会」の会長を務める稲田朋美元防衛相、山田宏幹事長、櫻田義孝氏(衆院)、青山繁晴氏(参院)。日本維新の会から和田有一朗氏(衆院)

 

(当ブログ管理人注:このブログ記事は、今回の石垣市による尖閣諸島の現地調査・3回目に対して、中国海警局からの公式発表が無かったことと中国側の対応についての考察が主です。😅 いつもみたいな尖閣諸島の現地調査・3回目での船舶の航行に関する情報と分析は、記事がさらに長くなりすぎるためあまり書いていません。機会があれば別記事にするでしょう🙂)

 

当ブログでは昨年(2023年)から、尖閣諸島の海域で起きている中国海警局に所属する艦船による領海侵入の事案について、中国側の公式発表の有無とその内容について調べてきた。

というのも、2023年から、中国海警局による公式発表の内容と表現がエスカレートして、表現が強くなり、日本漁船の船名を名指しし、さらには海上保安庁の巡視船(公船)に対して法執行活動を行ったとも発表していた。このベクトルで、さらにエスカレートしていくことを危惧している。

石垣市による尖閣諸島の現地調査では、昨年(2023年)1月末に行われた第2回目のときには、中国海警局は公式発表で「新生丸」の船名を掲載した上で法執行活動を行ったなど負け惜しみ一方的な主張を繰り返していた。

 

ところが今年(2024年)3月後半から公式発表が変わってきている。日本漁船を追尾して領海侵入して航行した場合では連続3回、公式発表が行われなかった。

今回の第3回目の石垣市による現地調査に対しても、中国海警局は公式サイトやSNSで発表をしていない。いまのところ、4月28日(日)に駐日本・中国大使館の大使館報道官がしたコメントと、週明けの29日(月)に外交部報道官による定例記者会見での回答だけのようだ。(4月30日夜時点)

(追記5月6日:中国海警局の公式サイトと公式SNSで発表はされていない)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船2隻が操業(3月28日~30日)、中国側の公式発表なし。 - pelicanmemo (2024-04-02)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船1隻が操業(4月5日~6日)、今回も中国側の公式発表なし。 - pelicanmemo (2024-04-07)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海に中国海警局の船4隻が侵入(4月12日)、中国側の公式発表あり。日本漁船の操業なし。 - pelicanmemo (2024-04-13)

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船1隻が操業(4月25日)、今回も中国側の公式発表なし(3月末以来3回目)。 - pelicanmemo (2024-04-28)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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