【写真家】白井崇裕のブログ

鉄道や猫をテーマにした写真作品を発表する写真家白井崇裕のブログです。

ドクターイエローの流し撮り(フィルム写真)

923形ドクターイエロー流し撮り 写真:白井崇裕

 

令和の時代に入っても子どもたちに大人気の923形ドクターイエロー
幸せの黄色い新幹線との呼び名もある。

写真は、20年前の2004年2月に撮影したドクターイエロー流し撮り
この頃は、デジタル一眼レフ登場前のカラーリバーサルフィルムで撮影した写真。

斜め上からのからの流し撮りは、縦・横・斜めの3方向の移動に注意をしながら的確にカメラを振る必要がある。動きを固定する中心点は、前照灯の間。ブレの許容度は、シャッター速度である程度は調整できる。架線の柱と柱のギリギリの空間で確実にシャッターを押すことと、構図のバランス。ブレの許容を一瞬で調整しないといけない。

ドクターイエローは約10日に一度の走行なので、1回流し撮りを失敗すると、最低約10日後までチャンスがない。ほぼ1回で確実に流し撮りができる技術があるからこそ、このような数少ない撮影シーンでも絵柄を押さえられる。地方に住んでいながら鉄道の出版物等の良い写真で勝負するには、技術と感性、人間性を磨くしか道はない。

あれから20年経って、今は、もっと高度な撮影技術を磨いて、少しずつだけど確実に鉄道写真のレベルは向上している。鉄道も進化を続けており、魅力的な列車がたくさん登場している。鉄道と写真の世界は奥が深い。

・写真の無断使用はご遠慮ください。
・作品の貸出、写真撮影、表紙写真等掲載などに関するお問い合わせは、railphoto★gmail.com まで お気軽にご相談ください。★を@に変更してお送り下さい。

瀬戸大橋と下津井の街並み

下津井瀬戸大橋と下津井の街並み

 

備前と讃岐の中央に位置する瀬戸内海。
瀬戸内海、吉備の児島の下の津(港)である下津井。
かつては、北前船の寄港地として賑わいを見せ、今は、中国地方と四国地方を結ぶ瀬戸大橋が架かる港町である。魅力的な瀬戸内海と鷲羽山の松の木々。街では歩くとよく猫たちに出会う。

鉄道を撮り始めた頃より、四国へ行くための橋として下津井瀬戸大橋を電車に乗って旅をしてきた。瀬戸大橋を最初に渡ったのは1998年。寝台特急瀬戸号が運用を終了する間際に瀬戸大橋を渡った。立ち席特急券という特急券があり、岡山から高松まで立ち席乗車できた。

鷲羽山トンネルを出ると、瀬戸大橋通過の轟音と共に真下には海が見えた。2003年にはマリンライナーヘッドマークが公募で採用されて、223系の先頭車に取り付けられてこのヘッドマークも下津井瀬戸大橋を渡った。
電車会社のガイドブックを作るために何度となく瀬戸大橋を渡って打ち合わせに行き、サンライズ瀬戸の雑誌の取材では、同乗取材を行ったこともあった。下津井のたこ料理のガイドも制作に携わったり、いろいろな人と巡ったりと、さまざまな暖かい思い出が残る下津井地域には深くご縁を感じる。
源平の戦の歴史が残り、時代が変わり宇喜多秀家氏が築城した下津井城。その後は、備前岡山藩が下津井城を城としていた。そして昭和後期にできた国内唯一の四国を結ぶ道路・鉄道併用橋としての瀬戸大橋。初夏の日差しが感じられる今日この頃。下津井の道から、瀬戸大橋を眺めて撮影するのは、何とも心地良いと思った。

下津井瀬戸大橋と街の景色 写真:白井崇裕

・写真の無断使用はご遠慮ください。
・作品の貸出、写真撮影、表紙写真等掲載などに関するお問い合わせは、railphoto★gmail.com まで お気軽にご相談ください。★を@に変更してお送り下さい。

写真の話:ものごとの本質は、写真でわかる

桜と猫と鳥居の写真

今年の4月7日の第一日曜日。撮影業務を終えてからふと気になったカフェで休憩してから帰ることにした。移動途中にふと夕陽の光に照らされた桜と鳥居が見えて、すごく美しいなと感じて写真を撮ることにした。

写真を撮っていたらどこからともなく猫が目の前に現れて、思いがけず良い猫写真が撮れた。稲荷神社の前にキツネ色の猫さん。見た目は、猫だけど参拝している親子を見守る様子はどう見ても神社を守るキツネさんのよう。

この猫の姿をした生き物は、もしかしたら心はキツネさんかもしれないね。
それならキツネが化けているだけだろうと。スマホでキツネを検索すると、尻尾の形はキツネのそのまんまだ。キツネにばかされるという昔の人の教えは、案外正しいのではないかと最近は思うようになった。

警官でも心が泥棒であれば、それは警官の姿をした泥棒である。
物事の本質は、思想と行動の一致から始まる。誠の道は、有言実行がいかに大事か最近は痛いほど思い知らされる。

写真には、時に真実が写る。人と人との関係性や物事の本質。人と人とを組み合わせて写そうとしても、一緒に写りたくない場合は撮らないで欲しいと拒否される。
付き合ってもいない男女二人が一緒に仲良さそうな姿が写れば、2年以内に結婚した人も何組もいた。(この件がきっかけで結婚式関係の撮影を依頼された。)

仕事の様子でも撮って欲しくないと言われれば、それはやりたくない嫌な仕事をいやいやしているのだなと理解できる。

カメラは、心の写鏡であり、良いも、悪いも写真には心の興味が写る。
そこに笑顔が映ればその人は好意を持っているかがわかるし、写して欲しくないと言われれば、その姿は真実でないか、撮影者との信頼関係ができていないのだなと思う。写真の道は真実の道。写真は、物事の本質が見えて来るので、とても奥が深くておもしろい。

・作品の貸出、写真撮影、表紙写真等掲載などに関するお問い合わせは、railphoto★gmail.com まで お気軽にご相談ください。★を@に変更してお送り下さい。

私の原点/フィルム写真 令和の桜

フィルムで撮影した桜の写真

 この春は、改めてフィルム写真を撮ってみた。撮ったのは春の花である桜。フィルム写真は、誠の写真。レンズを通した光が銀塩粒子を形成し色素で定着する技術だ。

 1997(平成9)に最初に本格的にキヤノンオートボーイ2で撮り始めたのもフィルム写真だった。新幹線もあったけど桜も撮った。一眼レフを経てデジタルカメラへの移行があった。

 令和の時代に入りフィルム写真を適切に撮ることができる人は、本当に減ってきたと感じる。今の時代になりフィルムで撮る技術はかなり貴重かもしれない。フィルムからデジタルへの移行期には、デジタル化へのメリットが強かったのでフィルム写真は、多くが淘汰された。
一枚一枚を丁寧に撮ることへの思い。レンズを通して光をフィルムに露光させる科学的な変化は、繊細な感情や心を伝える上では、デジタル写真ではできない強い伝達性を持っている。それがデジタル変換されたとしても、何か強い魅力がある。令和のフィルムで撮った桜。この写真は、いいなぁと思う。きちんと額装をして、またみなさまに披露したい。

 

撮影日:2024(令和6)4月 カメラ:CanonEOS1N

写真:白井崇裕

・作品の貸出、写真撮影、表紙写真等掲載などに関するお問い合わせは、railphoto★gmail.com まで お気軽にご相談ください。★を@に変更してお送り下さい。

白井崇裕/NHK BS【沁みる夜汽車2022冬】をご視聴くださった皆様へ

NHK-BS1「沁みる夜汽車2022冬」が2022年2月27日に放送されました。
https://www.nhk.jp/p/ts/GQ8PWYMK6W/

番組をご視聴いただいた皆様、誠にありがとうございました。

「祖父に贈った写真 500系新幹線」10分版の初回放送が、今夜、2022年3月2日22時40分〜22時50分にあります。よろしければこちらもご視聴ください。

f:id:photo_neko:20220302175354j:plain

2022年2月7日 旧病院から撮影 500系"こだま" 撮影:白井崇裕

 

【写真との出会いが人生の道を開いて行く】
1997年2月、一緒に暮らしていた祖父が緊急入院しました。病室から出られなかった祖父は、外の景色を見ることや、音楽を聴くことが何より好きでした。その祖父に外の景色を見せてあげたいと、一番最初に写真で見せてあげた光景が、病院の屋上から撮影した500系新幹線のデビューの写真だったのです。

一緒に風景を見たいけれど、それができなかったのです。
祖父の願う望みが叶わないなら、何とか自分にできることをしようじゃないかと。
私にとっては、それが写真撮影の原点でした。

家族へのささやかな愛から始まった出来事が、私自身の人生の道をも開いて行きました。
学校を休んでばかりの取り柄がなかった私にとって、写真は人に喜んでもらえる唯一の光と希望だったのです。

f:id:photo_neko:20220302180449j:plain

1992年4月23日 祖父 守谷雅士の写真

【祖父はどんな人だったのか】
1997年当時、祖父守谷雅士は、言葉と話し方を研究している日本語の話し方教室の先生でした。「話がうまくできない」という人たちの声と心に寄り添い、人々の悩みをひとつひとつ解決していきました。
祖父の話し方教室では、多くの人たちが話し方を学んでは、立派に育っていきました。

実は、この話し方教室ができた誕生経緯は、戦中から戦後にかけて、祖父は、NHK岡山放送局のアナウンサーをしていたことがきっかけです。当時は、ラジオから流れる祖父の声に岡山の人たちは耳を傾けていました。
戦争中の雄叫び調の話し方から、人々に語りかけるような淡々調の話し方に変わる時代の中で、戦後のアナウンサーのあり方と放送文化を模索しました。

f:id:photo_neko:20220302180622j:plain

2020年4月16日 瀬戸内海の風景(瀬戸大橋を行くマリンライナー)撮影:白井崇裕

1948年8月31日に放送された「瀬戸内海の旅」では、2分弱の放送に瀬戸内の広がりがまるで光景を見ているかのような美しいアナウンスで表現されていました。この放送は全国放送されて、NHK他局から反響があったほどでした。戦後しばらくしてNHKを退職しますが、1997年2月の入院まで、話し方教室の仕事を続けていました。

 

f:id:photo_neko:20220302181505j:plain

2022年2月6日 テープレコーダーとマイク 撮影:白井崇裕


【大切なテープレコーダー】
私が幼い頃に興味を示したテープレコーダーは、祖父がとても大切にしていたものでした。
NHKアナウンサーだった祖父は、NHK退職後も朗読を続けていました。何度も何度も録音を繰り返しては、美しい話し方というものを模索していました。それは奥行きのある立体的な表現ができた感性に響く朗読作品でした。
祖父にとって命のよりも大切なのは、自分の喉。そしてテープレコーダーとマイクと録音したテープを何よりも大切にしていました。「自分が亡くなったらテープレコーダーは崇裕にあげるから」と祖父は度々言っていました。その機材は今も大切に保管して再生するために使っています。


【一枚だけ残った家族写真】
祖父と母と伯母と私が写った家族写真が放送されますが、実は、あの写真は、たった1枚だけ残った家族写真だったのです。家にいるときは、家族全員での写真を撮ることはなかったのですが、祖父が次第に回復してきたので、家族全員で写真を撮ろうと病室で撮影したものだったのです。

祖父と家族みんなで家に帰ることがひとつのゴールでした。
元気になって、家に帰れることを信じていました。

しかしながら容態が悪化した祖父は、病室のベッドの上で、静かに雪が溶けるかのように永遠の眠りについたのです。

まさか25年経ってこのような形で皆様にご覧いただくことになるとは思ってもみませんでした。
かけがえのない家族との思い出。それはとてもとても大切なものでした。
何気ない普段の日常が、とても大事なものであったと改めて思いました。

番組をご視聴いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、入院中にお世話になった病院関係者の皆様、番組制作に関わった皆様へ感謝とお礼を申しあげます。ありがとうございました。

【お知らせ】
沁みる夜汽車2022冬 50分版の再放送の日程:2022年3月4日21:00〜21:50

白井崇裕ホームページ
https://takahiroshirai.com
※メッセージ・ご感想は、上記ホームページの"contact"からお気軽にお寄せください。

#500系 #500系新幹線 #沁みる夜汽車 #鉄道写真

夏の終わり

f:id:photo_neko:20210819053739j:plain

素敵な夏空と広がる入道雲
雨と台風と涼しい風が吹き、虫の音色が響くと夏の終わりを感じる。
普段の夏より家で過ごす時間が増え、いつも当たり前のようにカメラを持って外に出かけられるという日常がどれだけかけがえの無いものかを特に感じた夏であった。

春から夏へ、夏から秋へ。季節はめぐる。

写真は、線香花火。
ほのかに彩る夏の光は、希望の光。
家で過ごす日が増えても、新しい光の表現を求めて写真作品に取り組んでいきたい。

感染症に取り組む医療関係者の人々・患者さん・そして多くの人々。いつかありふれた日常を取り戻せると信じてがんばろう。

2021年7月4日 写真:白井崇裕

・写真掲載、撮影、執筆依頼等に関するお問い合わせは、railphoto★gmail.com まで お気軽にご相談ください。★を@に変更してお送り下さい。

・フォトグラファー白井崇裕のホームページ http://takahiroshirai.com

全国一斉花火 Cheer up プロジェクト(岡山)

f:id:photo_neko:20200602125726j:plain

2020年6月1日、20時ちょうどに全国一斉に花火が打ち上げられました。
花火には、新型コロナウィルスの終息への願いが込められています
撮影は、岡山県玉野市の標高300m余りの常山の上から超望遠レンズで藤田地区(手前)と後楽園(奥)の打ち上げを撮りました。

山の上から広大に広がる岡山平野を見渡すと、街の灯りが無数に広がり人々の営みが伝わってきます。

大輪の花と大きな音がする花火は、美しさだけでなく、人々の心に大きな希望を与えてくれたと思います。
全国へ希望を届けたCheer up プロジェクト に感謝です!

#cheeruphanabi #花火 #森上煙火工業所 #全国一斉花火
#岡山県 #岡山市 #後楽園
#コロナに負けるな #covid19

2020年6月1日 常山より 撮影:白井崇裕

・写真掲載、撮影、執筆依頼等に関するお問い合わせは、railphoto★gmail.com まで お気軽にご相談ください。★を@に変更してお送り下さい。

・フォトグラファー白井崇裕のホームページ http://takahiroshirai.com