ドイツの鉄道信号〕遠方信号の位置を示す信号

遠方信号に関連して設置される信号について紹介します。

遠方信号の位置を示す信号

  • Ne 2(Vorsignaltafel、遠方信号あり)— 遠方信号の直前に設置され、ここに遠方信号があることを示します。
  • Ne 3(Vorsignalbaken、この先に遠方信号あり)— 3 枚の標識でこの先に遠方信号があることを予告します。最も遠方信号に近い標識が 1 本の斜線で、遠くになるほど斜線の本数が増えていきます。

図 1

遠方信号の位置

図 2

遠方信号の位置に Ne 2 があり、その 100 m 手前に 1 本線の Ne 3、さらにそこから 75 m おきに 2 本線、3 本線の Ne 3 が続きます(図 2-a)。

列車がブレーキを掛けて止まるための制動距離に遠方信号が置かれますが、通常の 1,000 m より短い距離に遠方信号が置かれる場合は、遠方信号の左上に小さい白色の灯火が併せて表示されます(図 2-b)。

また、線路がカーブしていたり地形や建造物などで主信号が見えない場合は中継信号が設置されます。中継信号は遠方信号と同じ見た目をしています。同じように左上に小さい白色の灯火が表示されますが Ne 2 は設置されません。

自動閉塞区間では 1,000 m ごとに主信号が置かれます。遠方信号はひとつ前の主信号と一緒に併設されます(図 2-c)。

ドイツの鉄道信号〕主信号と遠方信号

ドイツにおいても信号は安全な鉄道輸送の重要な要素のひとつです。列車の運行に関する主な信号として Hauptsignale(Hp、主信号)と Vorsignale(Vr、遠方信号)があります。ドイツでは複数の信号システムが使われていますが、この H/V 信号システムが古くから使われている最も基本的な信号となります。

主信号

Hauptsignale(主信号)には次の 3 種類があります。

  • Hp 0(Halt、止まれ)— この信号を越えてはいけません。列車のみならず入換車両にも適用されます。
  • Hp 1(Fahrt、進め)— 列車はこの信号の先に進むことができます。
  • Hp 2(Langsamfahrt、緩やかに進め)— 列車はこの信号の先に進むことができますが、40 km/h を越えてはいけません。この速度制限は信号の先にある分岐器の制限を示しています。

Hp 0(赤)は「この先の閉塞に車両がいる」ことを表しており、同様に Hp 1(緑)と Hp 2(緑黄)は「この先の閉塞に車両がいない」ことを表しているといえます。二位式であるため、日本の信号のように 2 閉塞先の状況により現示が変わることはありません。

遠方信号

Vorsignale(遠方信号)は主信号の手前にあり、主信号の現示を予告します。遠方信号も 3 種類あり、それぞれ主信号と対になっています。

  • Vr 0(Halt erwarten)— この先に Hp 0(止まれ)があることを予告しています。
  • Vr 1(Fahrt erwarten)— この先に Hp 1(進め)があることを予告しています。
  • Vr 2(Langsamfahrt erwarten)— この先に Hp 2(緩やかに進め)があることを予告しています。

遠方信号それ自体には速度制限はありません(PZB などの信号保安システムにより速度制限を受けます)。

主信号もそうですが、色灯式の灯火の配置は腕木式のもと同じになっています。

主信号と遠方信号の関係

一般的には主信号の 1,000 m 手前に遠方信号が現示されます。Vr 0(黄黄)が現示されている場合、列車はブレーキをかけて主信号の手前で止らなければなりません。最高速度からブレーキをかけて十分に止まれる距離が 1,000 m 以内になるように列車の最高速度が定められています。



Indusi と PZB について(1)

概要

Indusi と PZB はドイツを中心とした欧州各国で配備されている列車保安装置のひとつです。Indusi は 1934 年にドイツで開発されました。Indusi という名前は Induktive Zugsicherung に由来します。現在では車上の制御装置がコンピューター化されており、高速線区向けの LZB と対比して PZB(Punktförmige Zugbeeinflussung)と呼ばれています。

主な機能は停止信号や踏切に対する列車の自動停止機能ですが、線路の速度制限に応じた速度照査を設定することもできます。

変周式地上子を用いているので、信号現示などの情報は線路に設置された地上子から車上に送信される点制御方式です。現行のシステムでは車上に搭載されたコンピューターで連続的に速度照査することができます。日本の ATS-S 形の車上装置を強化したようなシステムです。

まず、この記事では Indusi、PZB で用いられる地上子について説明します。

地上子

地上子は進行方向に向かって右のレールの外側に設置されています。Indusi、PZB システムは何度も改良され多くのバリエーションがありますが地上設備に違いはありません。

変周式地上子ですので電源を必要とせず、従来の機械式(腕木式)の信号機に設置することが容易になっています。信号機の現示に連動して共振回路の接点が開いたり閉じたりします。接点が開いていると車上装置が反応します(活性状態)が、接点が閉じていると車上装置は反応しません(非活性状態)。

地上子の共振周波数は 500、1000、2000Hz の 3 種類です。速度照査や運転操作の詳細については別途説明したいと思います。

2000Hz 地上子

2000Hz の地上子は主信号機のある地点に設置されています。停止信号相当の現示がされているときに活性状態となり、通過した列車には直ちに非常制動がかかります。

次の地点に設置されています。

  • 主信号機
  • 入換信号機 ※ ただし、列車の発点、着点となる場合

そして、次の場合に活性状態になります。

  • 主信号機の Hp 0 ※ Zs 1、Zs 7、Zs 8 が現示されていても活性
  • 入換信号機の Hp 0、または Sh 0 ※ ただし、列車の発点、着点となる場合

500Hz 地上子

500Hz の地上子は主信号機の手前 200 ~ 250m の地点に設置されています。停止信号相当の現示がされているときに活性状態となります。通過した列車は速度照査され、規定の速度を超えている場合には非常制動がかかります。

500Hz の地上子は主信号機によって制御されるので活性状態になる条件は 2000Hz の地上子と同じです。

1000Hz 地上子

1000Hz の地上子は遠方信号機のある地点に設置されています。主信号に停止信号相当の現示がされているときに活性状態となります。通過した列車は、4 秒以内に運転台の Wachsam(警戒)スイッチで確認操作をする必要があり、その後速度照査されます。確認操作をしなかったり速度照査で規定の速度を超えている場合には非常制動がかかります。

次の地点に設置されています。

  • 遠方信号機
    ※ 中継信号機は除く。つまり Ne 2(Vorsignaltafel)が併設されている遠方信号機。
  • 遠方信号機がない単独の Ne 2(Vorsignaltafel)
  • Überwachungssignal
    ※ Überwachungssignal は踏切の手前に設置されている信号機。Bü 0、Bü 1 を現示する
  • 70km/h 以下の制限の Lf1(Langsamfahrscheibe)、Lf 4(Geschwindigkeitstafel)、および Lf6(Geschwindigkeits-Ankündesignal)

そして、次の場合に活性状態になります。

  • Vr 0
  • Vr 2
  • Vr 2 + Zs 3v
    ※ ただし、速度制限が 70km/h 以下の場合
  • Ks 2
  • Ks 2 + Zs 3v
    ※ ただし、速度制限が 70km/h 以下の場合
  • 遠方信号機がない単独の Ne 2(Vorsignaltafel)は常に活性
  • Bü 0
  • 70km/h 以下の制限の Lf1(Langsamfahrscheibe)、Lf 4(Geschwindigkeitstafel)、および Lf6(Geschwindigkeits-Ankündesignal)は常に活性

1000Hz / 2000Hz 地上子

主信号機と遠方信号機が同じ場所に設置されているなど、停止信号と注意信号を現示できる場合は、1000Hz と 2000Hz を切り替えて活性化できる地上子が設置されています。

時素式照査のための地上子

主信号、遠方信号以外の速度制限で任意の速度で速度照査するために時素(タイマー)と組み合わせて地上子が設置される場合があります。

タイマーを開始する地上子、1000Hz または 2000Hz の地上子と、状態をリセットする地上子の 3 つ 1 組みで設置されます。

時素により 1000Hz もしくは 2000Hz の地上子の活性状態を切り替えることで列車の速度に応じてブレーキパターンを発生させたり非常ブレーキをかけたりすることができます。

日本の ATS-Sn 形の地上時素方式の速度照査と同様のものとなっています。

次の場合に設置されています。

  •  80km/h 以上の制限の Lf1/Lf2、Lf4/Lf5、Lf6/Lf7、および Zs 3v/Zs 3

おわりに

記事を書き始めたのがもう 4 年も前のことで参考文献は漏れがあるかもしれません、すみません。続き書けるといいな…。

参考文献

  • Carsten Hölscher: Zusi 3 Dokumentation, 2018
  • Stefan Carstens: MIBA-Report Signale 1, Verlagsgruppe Bahn, 2007
  • Wolfgang Meyenberg: www.sh1.org (http://www.sh1.org)
  • Ril 301 Signalbuch, Aktualisierung 9, DB Netz, 2016
  • Ril 483.0101A01 PZB-Streckeneinrichtungen, DB Netz, 2014

Train Fever〕バスステーションの待機人数

バス停やバスステーションには待機できる人数の制限があります。

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バス停の場合は、最大で 80 人(20 人 × 4 列)です。バス停を設置した道路の広さにより制限人数が変わってきます。

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バスステーションの場合は、乗降場あたり 40 人(10 人 × 4 列)となります。バスステーションは乗降場が 2 つあるので計算上は 80 人待機できますが、乗客は路線が割り当てられた乗降場でしか待機できないので、1 路線あたりの待機人数は 40 人までになります。

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同様に大規模バスステーションの場合は、乗降場あたり 30 人(10 人 × 3 列)で、乗降場は 4 つあります。

なお、ひとつの乗降場に 2 つ以上の路線が割り当てられている場合は、待機場所が共有されるので、実際にはこれより少ない人数しか待機できなくなります。これはバス停でも同じです。

ここで、駅前に設置する場合を考えてみると、必ずしもバスステーションがよいとは限らないということになるかと思います。列車の定員が 40 人を超えているのであれば、列車から降りたすべての乗客がバスステーションのひとつの乗降場には収まらないことになります。溢れた乗客は次のバス停まで歩いて移動することが多いようです。

なので、個人的には駅前の道路にバス停を設置するようにしています。それか、道路でロータリーを作ってバス停を設置するのも良さそうですね。今プレイしてるのが 1880 年代なので今後の交通事情がどうなるかはわかりませんけど…。

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d3drm.dll がない

とあるゲームをインストールして起動したところ、「d3drm.dll がない」と言われてエラーとなってしまった。d3drm.dll は Direct3D Retained Mode API のライブラリで、Windows Vista で廃止されたらしい。幸い、このゲームは d3drm.dll だけあれば動くということだったので、なんとかしてこれを入手したかった。

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インターネットで入手方法を検索してみると、大体が得体の知れないサイトでダウンロードできると書いてあるが、危なくてそんなことはできない。できれば Microsoft のサイトからダウンロードしたかったので探してみた。

Web インストールじゃない最新の DirectX ユーザーランタイムインストーラーはこれらしい。日本語と英語サイトでダウンロードできるものが違うが、次のどちらも同じ d3drm.dll が入っていた。

Download DirectX End-User Runtimes (March 2009) - 日本語 from Official Microsoft Download Center

Download DirectX End-User Runtimes (February 2010) from Official Microsoft Download Center

これをダウンロードするのだが、このインストーラー(directx_mar2009_redist.exe)を起動するのではなく、解凍する。インストーラー自体が Windows 7 などに対応していないし、今回は DLL だけが欲しいだけなので…。7-Zip であればうまいこと解凍してくれる。

中から dxnt.cab というキャビネットファイルが出てくる。さらにこれを解凍すると d3drm.dll が現れる。SHA-1 と SHA-256 のハッシュ値を記しておく。

01e7efac08806bc25c9edcfd391b642cca93badc  d3drm.dll
e2f13f6d88b32aa2f17c1fc88b4ba471cfe32c74db237b822dd5faed501b55c7  d3drm.dll

これを、ゲームなどの実行ファイルがあるインストールフォルダ(C:\Program Files (x86)\~~~ など)にコピーしてやればいいというわけだ。ちなみに、必ずしも C:\Windows\System32 に置かなければいけないわけじゃない、場合による。