以心伝心〜オオカメノキ
大亀の木(オオカメノキ)の白い花が
春の山を清らかに装います
純白のブーケを連ね
祝福の調べが
静かに重なり合います
大亀の木は
なんともかわいい芽を付けて
冬を越します
冷たく研ぎ澄まされた空に
アンテナを張っているかのよう
春になると
閉じていた花芽が少しずつ開き・・
純白の集合花を咲かせます
外側の目立つ花は装飾花と言われ
虫を惹きつけるためのものです
それらが横に連なり
さらに大きなブーケのようになって
私たちの心をも惹きつけます
夏にはまあるい大きなハートの葉っぱを
ふわりと広げ
秋の実りや紅葉も美しく
一年中目が離せません
熟した実でお酒を漬けると美味しいらしいです(飲んでみたい♡)
これまで明らかにされている薬効はなさそうですが
何か素敵な力があるように思われてならないのです
大亀の木の名は、その葉が亀の甲羅に似ているからと言われ、大神の木から来るとの説もあるようです
葉は虫に食われやすいことからムシカリ(虫狩)という名前もあります
大亀の木の花言葉は
“以心伝心”
花が連なり
大きな一つとなるように
冬の花芽が何かを感受するように
悠久の歩みが全てここに重なるように
言葉がなくとも感じ合うものがあります
それを繋ぐのは愛
私たちもそんな風に繋がれる
これからはもっと
天に気を通す〜ハクモクレン
モクレンの開花のエネルギーを
ふさふさの毛皮で大切に包んだ蕾は
辛夷(しんい)という生薬となります
鼻の通りを良くしてくれ、鼻炎・蓄膿・頭痛などに用いられるものです
深い呼吸は、自己と肉体とのつながりを強めます
そのためには鼻を通して呼吸することが大切です
鼻呼吸は、脳の冷却、脳への酸素供給、末端へ血液循環、免疫機能を高めます
口呼吸では同じ呼吸でも
十分な肺機能の恩恵を受けにくくなります
モクレンの花は上向きだけれど、先はやや北を向けて咲きます
それは太陽の当たる南側がよく成長するから。。
まだ寒い早春、太陽の温もりを受け取っている喜びの反応なのでしょう
モクレンの仲間は1億年ほど前からあったようで
たくさんある雄しべ・雌しべがらせん状に配列するという
原始的な花の特徴を持っています
花はうっとりするような甘美な香り
思わずその香りを深く吸い込みます
乱れるほどに咲き切る
そんな姿も美しいと思います
“天に気を通し
悠久の時を超えてここにある
普遍的な自己とのつながりを知覚します”
悲しみと幸せの色香〜さくら
春の心は、どうしようもなく桜の色香に誘われてしまう
それはきっと心の深いところにある悲しみに響くから
日本では昔から桜の樹皮を民間療法でもよく用いられました
生薬名「桜皮(おうひ)」と呼ばれ、漢方薬にも配合されます
鎮咳、去痰、解毒、排膿、収斂の効果があるとして
呼吸器症状や蕁麻疹や腫れ物などの皮膚病、腸炎、魚の中毒などに用いられます。
中国では使われていないためか、帰経(五臓でどこに働くか)は不明ですが
「肺」とその表裏の関係にある「大腸」につながっている感じがあります
「肺」は、呼吸の中でも呼気(吐く息)を司り、不要なものを下に降ろします
「肺」は、気血水を身体の隅々に巡らします
「肺」は、免疫や皮膚など、外界(腸管内も外界)との境目を担います
「肺」に配当する感情は悲しみです
桜皮は、女性の皮膚に特に多く存在するエストロゲンβ受容体に結合し、皮膚におけるエストロゲン(女性ホルモン)の産生を促すとも言われています
また、脂肪細胞への糖の取り込みを促し、血糖値を正常に保つなどの効果も、実験レベルでは期待されているようです
桜の花のお茶は二日酔いにも良いとされますが
コラーゲンの糖化(血中の余分な糖がタンパク質や脂質と結びつき老化物質となる)を抑え
コラーゲンの生成を促す効果もあることも分かってきたとか
桜餅の香りは、桜に含まれるクマリン配糖体というものが
塩漬けにより芳香物質に変化することにより生まれますが
あの香り成分はリラックスした幸せな気持ちにさせてくれます
いずれも幸せ受け取る力、瑞々しい女性性に関係するものですね
桜の花はふんわりとしたエイジレスな女性らしさがあります
それは無知な若さの魅力ではなく
悲しみも幸せも包み込む色香がある
悲しみが癒えると
心は温かく柔らかく
春のエネルギーに乗って循環し
のびやかに豊かさを創造してゆきます
今年も桜が訪れて
何かを洗い流し、去ってゆきます
世界は移ろうけれど
真ん中にある光はずっと変わらずに在り続けます
十字の光〜レンギョウ
はっとするような鮮やかな黄色の輝きを
しなやかな枝に連ねて
十字の花を咲かせるレンギョウ
英名はGolden bells(金の鈴)
中国名は黄寿丹
春の希望を象徴するような花です
花言葉は、「期待」「希望」「叶えられた希望」
大気汚染や病害虫に強く、生命力旺盛な植物で
秋に熟した果実を乾燥させたものは、生薬の「連翹(れんぎょう)」となります
その茶色く乾いた果実は軽い性質があり、爽やかな芳香があります
体表に滞った邪を発散させ、こもった熱を冷まし、炎症を鎮め、解毒する作用を持ちます
中耳炎や皮膚炎などの化膿性疾患や、風邪やインフルエンザなどの熱性疾患によく用いられ、抗菌・抗ウイルス作用もあるとされています
金銀花(スイカズラの花)などと組み合わせると、熱性疾患の初期により効果的な処方になります
あなたの中の輝きが発露を望んでいます
それを止めているのは世界と自分に架けている十字架
それを降ろすのは赦しです
どこに出かける必要もなく自分の内側で起こるものです
妖精たちの舞踏会〜エゾエンゴサク
春の林床に妖精の世界が広がります
エゾエンゴサクが美しい踊り子として輝いています
エゾエンゴサクの学名はCorydalis ambigua
Corydalisとは雲雀(ひばり)を意味し、花の形がそれを連想することから名付けられたようです
生薬の延胡索(エンゴサク)は、エゾエンゴサクと近縁のCorydalis yanhusuo (中国の自生種)の塊茎を基原とし、気血を巡らし、鎮痛・鎮痙・浄血作用があることから諸々の痛みに用いられます
「通じざれば則ち痛む」という言葉がありますが、痛みは流れが滞っていることから起こります
滞りの原因は、冷えや気持ちの沈滞、緊張、我慢、怒り、悲しみなどの感情など様々な原因があり得ますが、いずれも無意識に何かをぎゅっと握りしめているものがあるように思います
延胡索はそれをふわりと緩め、軽やかに流してくれるのでしょう
エゾエンゴサクも民間薬として同じ目的に用いられます
また、アイヌの人たちはその塊茎を「トマ」と呼び、大事な保存食としました
ちなみにその花は吸うと甘い蜜の味がすることから「イトペンラ(甘い葉・花)」
花の形から「トット(小鳥)」と呼ばれることもあったようです
地上部は癖のない山菜としても楽しめます
参考図書:アイヌ植物誌
なんと言い得て妙、そう思います
少し背丈の高い草木の陰を覗けば
ひっそりとそんな世界が広がっています
握りしめているものを手放して
妖精たちと一緒に軽やかに踊る
そんなイメージに心を委ねてみてはいかがでしょう
愛の流れを止めているものを明け渡し
痛みから解き放たれよう
舞踏会への招待状が届いています
軽やかに歌って踊って、、
〜ピリカメル草樂図譜
繊細さを包む〜カタクリ
春の優しい光の中で、ほんの短い間だけその美しさを地上に表現する“Spring ephemeral(春の儚いもの)”
今に溢れている光を、私たちに見せてくれています
カタクリの鱗茎はデンプンが豊富で、かつては本来の片栗粉として使われていたものです
江戸時代には、奈良県の宇陀地方で採取・精製されたものが上質な片栗粉として幕府に献上されていたそうです
(松山本草)
現在、片栗粉の名で流通するものの中身は、大量に生産できるじゃがいもなどのデンプンに取って代わられています
カタクリの鱗茎は、消化が良く病後の滋養強壮に、また解毒緩和作用により風邪や胃腸炎などを和らげたり、患部にふりかけることで湿疹やあせもなどにも効果を現すとされています
カタクリが増えるのはゆっくり、自生するところも減っているので、どうぞ目から薬効をいただくだけにしましょう
花も繊細ですが、人のとても繊細なところに響くようなものがあると感じます
その優しいとろみによって包んでくれるようです
うつむいているような表情
在り方も控えめなのですが
この、星の流れて来るような姿からは
強い方向性を持っているようにも感じられるのです
繊細さをそのままにとろけるような愛で包むとき
光の道があなたの中に降りてきます
それは世界を包む贈り物となります
“あなたの繊細な心は
優しさと寛ぎを与え
世界を滋養するギフト
伏し目がちなあなたのままで
愛に溶けてゆこう”
〜ピリカメル草樂図譜
暗闇に咲く光 〜スノードロップ
スノードロップは冬の終わりから春にかけて咲き出し、春の訪れを告げてくれます。
様々な国で言い伝えのある花ですが、まだ雪の残るうちから咲き始めることも多く、暗闇や死の恐れの向こうに再生する、静かな灯火を象徴するような花だと感じています。
キリスト教では、2月2日に聖燭節という、マリア様のお清めの祭りを行う習わしがあります。
クリスマスの40日後である2月2日、マリア様がイエス様を連れて教会でお潔めをされました。(産後は汚れがあるとする、ユダヤの伝統的な慣習から。)
イエス様が人々に明かりをもたらすことと、もともと異教徒の春の訪れを祝う祭りとが合わさり、光の祭典としてろうそくを祝福(祝別)する日になったようです。
スノードロップは開花の時期が一致することや(北海道は3月頃と遅いのですが)、雪のような純白の花であること、そしてその形がランプシェードを伴った灯りにも似ているからでしょうか、聖燭節と関係が深く、修道院の庭でよく育てられていたそうです。
ある地域ではその日にスノードロップをボウルに集めて家に持ち帰ると家が清められるとされました。
また、エデンの園を追われたイヴが、一面に広がる雪の中で嘆いていたところ、天使が雪をスノードロップに変えて慰めたという伝説もあり、希望の象徴としての意味合いを強めています。
暗闇や冥界との距離が近い意味を持つスノードロップには、ガランタミンという成分が含まれ、認知症の治療薬ともなっていることも示唆に富んでいるように思います。
ガランタミンは、スノードロップと同じヒガンバナ科のヒガンバナにも含まれます。
ヒガンバナも冥界に近いストーリーがあることは以前の記事でもお伝えしたことがありました。
さて、函館も春が訪れ、スノードロップが見頃を迎えています。
市内の遺愛学院(プロテスタントのミッションスクール)は、クロッカスが有名ですが、スノードロップも素晴らしいです!
スノードロップはこんなに可憐な容姿なのに、、
枯葉を突き破って咲いています笑
惚れ直しちゃうわぁ♡
目の前が暗闇に見えるとき、それは過去からきた枯葉のようなものがふわりと被っているだけなのかもしれません。
そんなものは構わずに、真っ直ぐに光の方へ向かい、自らが灯火となり周りを優しく照らす。
このような時勢、スノードロップの在り方に勇気をもらう方も多いのかもしれませんね。
“闇夜の果て
あなたの心に
清らかな光が灯ります
その美しい響きが暁の空に
静かに広がってゆきます”
〜Pirkamer文庫より
目覚め 〜福寿草
だんだんと高くなってゆく太陽を映すように
麓の東南斜面から次々と咲きはじめます。
その黄色い花は光沢があり、陽が当たると眩しく金色にも見えます。
“わたしの宝刀を抜くと
その刀の刃先から
フクジュソウの花の色が
金色に輝き
神の光となって走った
ーーーユカラ(詞曲)
アイヌの人びとは、金色に光るその花の黄色に神の光を見たり、また心をも見抜く眼差にたとえ、「フクジュソウのような眼」と言い表した。”
〜アイヌ植物誌より引用
“冬が終わり
喜びが開きだす
あなたの中の主の目覚め
愛の光が溢れています
世界中が嬉しくて
祝福しています”
〜ピリカメル草樂図譜より
何があっても
どんなときも
いつもこの光とともに在ることを
私に忘れさせないでください
金色の光とともに
夕暮れ時のお散歩
色の抜けた毛と
傾いた陽が溶け合い
金色の光を纏うあなたは
本当に美しかった
ただそこにいてくれるだけで
私は大きな幸せをもらっていたの
その形は
愛の中へと帰っていったけれど
煌めく光
頬を撫でる風
可愛い花の姿
りんごの甘酸っぱさ
人と人との間の温もり
言葉の間の静けさ、、
あなたとの記憶を入り口に
あの金色の光が溶けて広がり
世界に満ちているのを感じている
あなたの果てしない愛は
形があってもなくても
いつもここにあった