ゴールデンウイーク二日目

日曜日、妻が服を買いにアウトレットに行ったので、ぼくは娘とふたり多摩動物公園に行った。

 

その日はぼくも勉強の予定があったけど、「休日は妻の予定を優先する」というのが、転職時の約束事項だった。そのため、娘の世話をすることにした。

 

当初、娘とふたりお留守番をするつもりだったが、娘の執拗なかまって攻撃が続いた。そんな彼女を無視して勉強なんて、できたものではない。

 

娘に靴を履かせ、着替えとオムツポーチを持ち、午前9時に家を出た。多摩動物公園にでも行ってぶらぶら歩いたら、娘も昼前には疲れて寝てくれるだろう、という算段だ。彼女の昼寝中に勉強するため、カバンには重い重いパソコンも入れた。

 

いつも遠出する際は、娘をベビーカーに乗せるのだが、疲れさせることを目標にした外出なので、今回は歩き。彼女が寝たとき用に、いちおう空のベビーカーは押していく。

 

娘の歩みはのろい。道端で花を見つけるたびに、散歩中の犬に吠えられるたび、立ち止まってワーキャーと一通り騒がしくなるからだ。

 

駅まで歩いて電車に乗って、2時間以上かけて多摩センター駅に着いた。あとはモノレールに乗り換えて多摩動物公園駅を目指すだけだ。

 

小田急線の駅から多摩モノレールの駅へ。ペデストリアンデッキを歩いていると、キティちゃんの看板が目に入った。

「そういえばサンリオピューロランドがあったな。少し見せていくか。」

今回の目的は多摩動物公園なのでピューロランドに入らず、その入口前までテクテク歩いていく。途中、ミスタードーナツの前を通ると、眼の前にそびえる荘厳なサンリオ城よりもドーナツの看板が気になり足を止める娘。

 

「ここまで順調に頑張ったんだし入ろうか」

 

店内でドーナツ2つと牛乳をシェアして飲んだ。チョコドーナツよりも、ぼくが注文したプレーンのポンデリングをえらく気に入っていた。

 

食べ終わると、今度はサンリオピューロランド方面とは逆の道を指差して、「こっちいく」とぼくの手を引く娘。

 

「そこに何があるんだ?」

 

と気になり、娘の誘導するがままに歩き回っていると、モノレール駅前のゲームセンターにたどり着いた。

 

「お前多摩センター初めてだよな…?」

 

不思議に思いながらもゲームセンターに入り、クルマのゲームに座らせたりUFOキャッチャーをする。計300円。

 

ゲームセンターが空いているのを良いことに、娘はレーシングカーの運転席を模した筐体から離れようとせず、ずっとハンドルを回し続ける。

 

もう時計は午後2時を指していた。ここから多摩動物公園に行ったら、帰りは門限を越え妻に怒られてしまう。

 

渋々多摩動物公園を諦め、外のベンチでコンビニのおにぎりを食べた。ぼくよりも早く、彼女はシャケおにぎりを食べ終わった。さあ帰ろうと言うと、「絵本屋さんに行きたい」と娘。

 

きっと本屋さんのことだろう。ちいかわの本を買う、と、いつか彼女と約束していた。

 

文教堂のある大きなデパートに入ると、そこではカブトムシ・クワガタムシ展をやっていた。

 

カブトムシのノボリを目がけて一目散に走る娘。絵本屋さんの前も素通り。駄々をこねてイベントブース前から動きそうにないので、入場料を払いカブトムシ・クワガタムシ展を見ることに。

 

わーいわーいと走って飛んでビビって笑って。動物園で見たかった娘のリアクションの全てがそこにはあった。良しとする。

 

カブトムシ・クワガタムシ展を見終わった頃にはもう日も暮れかけていて、「門限過ぎちゃう」と手を引き、駅まで大急ぎで空のベビーカーを押して走る。

 

結局、動物園にはたどり着かなかったし、彼女は昼寝をしなかったから勉強もできなかった。けど、代わりにこの笑顔が撮れた。


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