森羅万笑

この世のおもしろいことすべて

【M-1 2017】なぜジャルジャルと和牛は勝てなかったのか

 
 
 
今年もM1はおもしろかった。
 
そして終了後の「いや、優勝はあのコンビだ」論争が起きるのもいつものことだ。
 
ただ今年は例年よりなんとなく終了後の論争が激しい気がした。
それは和牛やとろサーモンの背景にあったストーリーがそうさせたのかもしれないし、最近の急な寒さのせいかもしれない。
 
M1で勝てるかどうかは「審査員がそのネタを面白いと思うかどうか」で決まるので深読みしても答えは分からないのだけれど、
ふと思い出したある紳助の言葉にその論争のひとつの答えがある気がしたので書く。
 
 
その紳助の言葉とは紳助がNSCの生徒に対して講義した時のこの言葉。
 
 
「どういう漫才を作るんや?」ってのを一番初めに考えるんよ。
 
 
自分が面白い!って思う笑いも2つあるよな。
面白いけど「俺にはでけへん!」ってのと「これ俺と一緒やん!」ってのが。
「これ俺と一緒やん!」ってのが自分に一番近いのよ。
そんなんをいくつか探すのよ。1人の漫才師だけやなくていくつか探す。
そして「これ出来る!俺と同じや!俺が友達を笑かしてるパターンと同じや!」ってのを見つけるのよ。
 
 
ほんで、もう一個が勉強や。
昔から売れてた人、その時その時で売れてる人のを全部聞け。
それを聞いて、どう変わってきたんか、何が違うか、徹底的に聞け。
 
 
それがね、Xと言うのはまず自分で何が出来るのか?自分の戦力を必死で探す。
ほんでY、これは世の中の笑いの流れ。時代の変化、これを研究するんや。
だから、XとYを研究してわかったら、初めてわかるんや。
 
 
『俺どうしよ?何をしよ?どんな笑いを作ろ?』
 
                         出典:紳竜の研究[DVD]
売れたければ2つの要素を徹底的に研究しろ、という話。
X=自分の戦力
Y=時代の流れ
 
 
ちなみにこの個人的に、この動画は他の職種の人が聞いても示唆が多いと思う。
正しい努力を出来ていない人というのは実はこの世界ではかなり多いのではないだろうか。
 
例え、5/5の努力をしていても、正しいベクトルに努力していなければ効率は2/5になり、5×2で10の力しかでない。
一方、3の努力しかしていない人でも、効率が5なら、3×5で15の力が出る。
3の努力しかしていない人が勝ってしまうのだ。
 
数字にするとシンプルだが、世の中こういう構造のことが多いのでは、と思う。 
 
 
少し話がそれてしまった。
今日はこのYのあるひとつの要素について話したい。
 
 
私が見つけたYをジャルジャルと和牛は持っていなかったから、
その点で時代に合っていなかったから、
だから勝てなかったのではないかという仮説である。
 
 
 
私はお笑いの歴史を全て研究した訳ではないが、
いち視聴者としてずっとお笑いを見ていて変化しているように感じることがある。
 
 
 
 
 
 
 
 
オチまでの時間が短くなっている
 
 
のだ。
 
言い換えるとオーディエンスがオチまで我慢できる時間が短くなっている。
 
 
Youtubeでは、最初の数秒が面白くなければ見てもらえない
Twitterでバズらせようと思うと140字で落とさなければならない。
Facebookで長い投稿をする時は、みんな【長文注意】と書く
 
 
これらは私達が如何に待てなくなっているかを示している気がする。
 
 
そして少し正確に言えば、これは時間だけではない。
そのコンテンツを理解するのに、頭を使うことへの我慢も含まれる。
 
 
即時性。即得られる笑い。
私達はこれを無意識のうちに求めている傾向があるような気がする。
 
 
これが私の見つけたYである。
 
そしてこれが奇しくも今回のM1で私の好きなジャルジャルと和牛が勝てなかった理由になっているように思えるのである。
 
 
 
 
ジャルジャルと和牛が他のコンビの漫才と決定的に違う点がある。
 
 
大抵の漫才は、1つ1つのボケ+ツッコミのセットを切り出しても笑えるし、成立はする。
その各パーツを重ねて天丼したり、裏切って大きな笑いを作ったりする。
 
ただこの2組の場合、ボケ+ツッコミのセットを切り出すと笑えない。
ずっと文脈を追っている必要があるのだ。
 
 
ジャルジャルの漫才(ほとんどコントだが)は、1つのルールを守って行われる。
 
今回の場合、そのルールが「ピンポンパンで盛り上がる」という極めてバカでセンスの良いルールなのである。
松本が「もう少しやっちゃうと曲になる」と言っていたがまさにそれが他の漫才との違いだろう。
 
松本「…ですよね。僕は一番面白かったんですけど、多分そうでもないと思う人もいるかな。分かれるねこれは!アレ以上いき切っちゃったなら曲になっちゃうので、そのギリギリの設定のところで意見が分かれるんじゃないかな。僕はバッチリでしたけどね」
     出典:M-1グランプリ 公式サイト決勝 ジャルジャルのネタ後の松本人志のコメント
 
ルールがある以上、オーディエンスも次に何が来るかある程度読めるのである。
アーティストのライブでサビの最後のフレーズを一緒に歌う感覚に近いのかもしれない。
 
ただそこでジャルジャルが圧倒的に凄いのは、何が来るか分かっていながら面白いのである。
今回のネタは、まさに彼らが追求してきた「1つのルールの中で最高にふざける系」の究極なのだと思う。
 
ただずっとそのルールに照らし合わせて理解するというコストを払いながら見る必要があるのだ。
オール巨人ジャルジャルのネタにこうコメントしている。
巨人「いつも新しいものに挑戦している姿勢が大好きなんですけど。前半少し寂しかったのと、『アホやったら聞かれへんのちゃうかな』と言うネタで、(聞き手が)理解できないと笑えないからね。」「今日はベタなネタがほとんどだったけど、彼らは新しいものに挑戦していて、そこが高得点。僕も面白かったと思います。」
出典:M-1グランプリ 公式サイト決勝 ジャルジャルのネタ後のオール巨人のコメントより
 
 
ジャルジャルに高い得点を入れた(その人の中で)人は、松本、オール巨人
それ以外の審査員はみな平均以下の点数をつけている。
 
 
これは単に好みが別れたというだけではなく、
ジャルジャルの出番が最後で、それまでに審査員が疲れていたというのも関係しているのかもしれない。
 
こんなタラレバは一切意味がないが、もしジャルジャルの出番が最初だったら…
 
にしてもふと思ったが改めて、あのえみくじというシステムで最後までプレッシャーを受け続けたジャルジャルがあのネタを全くミスらずにやりきったのは本当に凄いことだと思う。
 
 
点数が気になる方のために、貼っておく。こちらから確認できる。

 
そして和牛も同様である。
和牛の場合、前半でひたすら張った伏線を後半で一気に回収していくというスタイルなので、ジャルジャルほど理解が難しくはない。
 
ただ、それでもとろサーモンほど分かりやすくはない。
 
覚えておいてもらうというコストを無意識のうちに使わせているからである。
 
 
和牛のネタに対してオール巨人は、
巨人「前半はびっくりしました。このまま行ったら落ちるんちゃうかなって。後半はさすがに上手いと言うか…ま、ギリギリですね。もう少し前半が長かったら、あと2,3点低いかもしれません。でもさすがに上手い。テンションもあげられるし、立派なもんだと思います。」
    出典:M-1グランプリ 公式サイト決勝 和牛のネタ後のオール巨人のコメントより
 
と言っているが、「前半が長かったら」というのはまさにこの耐えられる時間の感覚だと思う。
 
そして和牛はこの「伏線張りまくって回収系」の路線で最高のネタを作り上げた。
 
 
 
どちらのコンビもそれぞれの系統で、おそらくコンビ史上最高の出来のネタを作り上げた。そしてそれは本人達も感じていた。
 
 
ワイドナショーで和牛のボケの水田はこう語っている。
「本当に正直終わった瞬間相方と、次何したらええんやろってなりました、ほんと。
今まで3回出さしてもらって、自分らの中で色んなパターン見したつもりなんで、何する次?みたいな。」
     出典:ワイドナショー - フジテレビ 和牛 水田信二のM1についてのコメント
 
 
そしてジャルジャルエゴサーチTVでこう語っている。
後藤「(ネタ出来た瞬間に)あ、優勝するネタってこういうネタなんや、って。あ、神様はこのタイミングでジャルジャルを優勝させよう、と。ありがとうございます、と。」
福徳「出来た瞬間に、ほんまに僕が、『見えたな』って。後藤が、『おう』って。」
 
 
 
間違いない。
確かに一ファンとしても、
それぞれのジャンルにおける最高傑作とも言えるようなネタだと、確かに感じた。
 
 
たださっきのYの話に照らすなら、「いま」じゃないのだ。
 
もっと前、もしくはこの即時的な感情消費が飽きられて、もう一度「コストが高くても質重視」したい欲がオーディエンスに湧いた時。
 
それがこの2組が脚光を浴びる時なのではないかと思う。
(他のコンビが質が低いなどという意味では決してない)
 
 
今の時代に合っているのは、とろサーモンのようなこちらが何も考えずポケーとしてても見られるお笑いなのだと思う。
大吉先生も優勝の理由に即時性を上げている。
 
「つかみが一番早かった!つかみのスピードがピカイチだったんで!」
       出典:M-1グランプリ 公式サイト 優勝発表後、博多大吉のコメントより
 
ツカミとは一番最初の笑いだ。
これが早ければ早いほどオーディエンスは一度笑いを待つ我慢から解放されるのだ。
ツカミが早ければその分、オーディエンスは次の笑いを安心して待てるのである。
 
 
いずれこの即時的な消費は揺り戻しが来ると思っている。
短い時間でより良い体験をという時代の流れを止めることは出来ないが、信頼に基づく「この人のものなら」「この人のおすすめなら」長い時間をかけてでも見たい、体験したいという消費が行われるようになるはずである。
 
 
しかし、時代の流れに関係なく、常に「コストが高くても質重視」のオーディエンスは存在する。
私自身も、今回のM1を見て一層、ジャルジャルと和牛のことがさらに好きになった。
 
 
あのような完成度の高い、もはやアートに近いようなネタを作って、笑いを提供してくれた2組に、
心からのリスペクトと心からの感謝を贈りたい。
 
 
別に次こそは優勝して欲しいなどとは言わない。
もはやそれは何を目指しているのか分からない、ただのストーリーを綺麗にするためだけの熱意な気がするから。
 
 
ここ数年で一番楽しめたM1でした。
またM1に出るとしても出ないとしても陰ながら応援してます。
 
 

【今年中に要チェック!】年末のおもしろ荘で売れると呼び声の高いAマッソとは!?

 Aマッソとは?

ボケの村上 愛とツッコミの加納 愛子で構成されるお笑いコンビである。

女性コンビなのだが、女性という武器は一切使わない。

 

村上の突飛なボケと加納の鋭いワードチョイスが噛み合っており、

ロケでは2人の仲の良さも垣間見え、千鳥を彷彿とさせるような空気感。

 

加納はボーイッシュで強めのツッコミの印象があるが、

ツッコミだけでも笑ってしまうほどワードセンスが高い。

 

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  左が村上愛、右が加納愛子  出典:Aマッソ|ワタナベエンターテインメント

 

賞レース成績

実はつい先日のM-1グランプリでも準決勝まで進んでいる実力者。

M-1グランプリ2015 - 準々決勝進出[16]
M-1グランプリ2016 - 準決勝進出。敗者復活戦に出場し、新ネタを披露する(結果は16位)[8]
キングオブコント2017 - 準決勝進出。
M-1グランプリ2017 - 準決勝進出。

                  出典:Aマッソ - Wikipedia

 

 

正直、ネタによって振れ幅があることは否めない。

ただ面白いネタは本当に面白いし、そんなネタがゴロゴロしている。

 

 

おもしろ荘は少しクセがありつつも、ただちゃんと面白い、という芸人を選ぶ傾向があるので今年は選ばれるのではないか、というのが筆者の予想だ。

 

 

Aマッソの魅力が分かる3本の厳選ネタ

まあ、百聞は一見にしかず、だ。

筆者がこれだけは見て欲しいと思うAマッソのネタを3つお伝えしたい。

残念ながらYouTubeに公式の動画は上がっていないので、ぜひ劇場やDVDでご覧いただければと思う。

 

3位 村上の魂

これぞAマッソという漫才。

村上のキャラと加納のワードセンスが噛み合っていてほんと面白い。

 

2位 総理大臣

加納のツッコミが冴え渡ってるネタ。ほぼ全てのツッコミで笑ってしまう。

 

1位 コンビニ

笑い飯に憧れてお笑いを始めたという2人のダブルボケのネタ。

コンビどちらも面白くてAマッソの魅力が存分に出たネタだと思う。

決まった形がないのに毎回面白い2人は本当にすごい。

 

番外編  ゲラニチョビ

ネタではないので番外編、としたが実はゲラニチョビは現在、静岡朝日テレビでレギュラー番組を持っている。

実はこの番組は公式チャンネルで動画を上げてくれているため、YouTubeで見ることができる。

 

この番組は大半がロケなのだが、上でも書いた通りこの2人のロケが本当に面白い。

 ネタを見て2人を好きになった人はぜひこちらをチェックしていただきたい。

 

中でも筆者が好きな回のリンクを以下には貼っておく。

 


出典:#5【Aマッソのゲラニチョビ】「マジカル・オオギリー・ツアー」パート1

 

今週のお題が「今年中にやっておきたいこと」だったので大好きな2人を紹介させていただいた。

 

これからの2人の活躍が本当に楽しみである。

応援してます。頑張ってください。

 

 

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上沼恵美子「M-1 2017は個人的には和牛が一番」

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2017年M-1決勝で惜しくも1票差で敗れた和牛 出典:和牛 プロフィール|吉本興業株式会社

 

M-1後、審査員のラジオを聞くのが楽しい。

共感出来た人のラジオも「ん?」って思った人のラジオも理由を聞くととても楽しい。

 

今回のM-1、個人的には2回自分なら違うジャッジをするな、と思うタイミングがあった。1つはジャルジャルで、もう1つは和牛だ。

ジャルジャルは決勝に進むべきだったと思うし、あの3組なら優勝は和牛ではないかと思った。

ただ確かにジャルジャルは好みが分かれるし、和牛が勝ったと思うのも自分の中でも僅差なので人の好みによって分かれ得ることは十分理解できる。

 

上沼さんはジャルジャルには低い得点をつけたが、決勝の投票は和牛に入れていた。なので半分納得、半分納得出来ずという感じだった。

 

しかもジャルジャルの時の総評は少し「ん?」と思うところがあった。

上沼さんがつけた全組への点の平均に対し、ジャルジャルに上沼さんがつけた点数はその平均を下回っている。

にも関わらずコメントでは、「ジャルジャルは良かった。チャレンジャーですね」というような内容を残していた。

にしては、点が低いのではないか、と。

大吉先生もラジオで言っていたが、ジャルジャルはいつもそうだが今回のネタは特に新しい。それ故に審査員にとっても審査がとてもむずかしい。

そしてそれ故にみんな審査後、どうコメントするかブレていたのではないか、と。

実際、大吉先生は、「松本さんが最高得点を付けた時に少しざわついた」んじゃないかと言っていた。

最も審査しづらいネタだったのではないだろうか。

ただだからこそ、「チャレンジャーですね」と新しさを褒めて終わりではなく、ネタ自体に対して審査を述べて欲しいと思った。そこが少し残念だったのだ。

 

ただラジオを聞いているとまさにこのことは上沼さん自身も感じていて、審査員は視聴者に審査されているのだと言っていた。

聞いていると意外と審査員愛のようなものも伝わって来て、とても良かった。

 

上沼「(M-1では)審査員が審査されてるんです。視聴者に。そうなのよ。この人何点入れんねん?どんな風に見た?どんな講評する?テレビの前の人が、漫才の審査もするけど、審査員の審査もしてはるんです。

 

責任持って(やってる)ね。特に昨日は何回か行かしてもらった中で一番最高に上手な採点したと思ってます。これで文句言われたとしても仕方ない。自信ありました。

 

最後の決勝の3組はもう完全に和牛でしたよ。

自分の中では3点も違いましたね。次がミキととろサーモンは一緒ぐらいでした。1点差でミキの勝ちかな。

ごめんなさい。こんなことを生放送で言うたあかんて。グランプリ取った人おんのにね。

あたしは和牛だと思いますよ。もう自信持って。そしたら松本さんもそうだったので。こんなこと言ったら悪いですけど。松本さんと巨人さん3人なんですよね(和牛に投票したのが)。

 

私の中では決勝の出来は和牛でしたよ。確実に。」

てつじ「ちなみにそれ、上沼さん去年も和牛っておっしゃってましたよ。」

上沼「私ね、近江牛好きなんよ。偶然ほんまに行きしなの駅弁で近江牛食べて行ったんよ笑」

              出典:abc1008.com | 上沼恵美子のこころ晴天

 

真面目なことを話した後にしっかりボケで終わらすあたりさすがでした。笑

久々にえみちゃんねるが見たくなった。

 

ただどうしてジャルジャルがあの点数だったのか。それをもっと話してもらいたかった。

しつこいか。笑

どちらかというと上沼さんは聞いたら話してくれたんじゃないかと思う。

そのラジオでパーソナリティをやっていたこいちゃんに引き出してほしかったな。笑

 

 

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千原ジュニアが語るジャルジャルの凄さ「このスキルをテレビがほったらかしすぎてるよね」

 

前記事に続き、今回の記事もジャルジャル応援記事になってしまった。笑

 

つい、こないだジャルジャルのネタのこだわりをこの記事で解説した。 

poteilong.hatenablog.com

 

 

「なぜジャルジャルM-1で負けたのか」なんて記事を書きながら、実はジャルジャルが負けたことをまだ悔しく思ってしまってるのかもしれない。笑

 

千原ジュニアのラジオにジャルジャルがゲストで登場した回に千原ジュニアが言っていたことがほんとうに共感出来たのでそれを紹介したい。

千原ジュニアはかなり昔からジャルジャルを高く評価している。

 

おそらくジャルジャル千原ジュニアと絡んだのは、「ざっくりハイタッチ」という番組だろう。

千原ジュニアと小籔、フットボールアワーの2人の4人がレギュラーメンバーで出演しており、その大半がロケなどの移動の車中のトークが放送されるという、ちょっと特殊な番組である。笑

しかし、その4人のクリエイティビティが発揮され、お題も何もないところから楽しい車中トークが生まれるのである。

この番組は私も好きで、ほぼ全回見ていると思う。

しかしこのクリエイティビティの高い4人がレギュラーである故、他の芸人がゲストで来ると非常に入りづらい空気になる。笑

大抵の車中トークはジュニアや小籔がボケにボケを重ね、それを後藤がどんどん突っ込んでいくという流れで進む。

これに来て、いきなり乗っかれる芸人というのはかなり数少ない。

特にツッコミ担当の人は気まずそうにしていることが多い。

そしてそんな状態が続くと小籔が怒る。笑

それもジュニアや後藤が流れを変えて笑いとして回収するのだが、やはりゲストの芸人は貢献度が低いように見えてしまうだろう。

ただ、ジャルジャルは何度かこの番組にゲストとして2人で出演しているのだが、その時に見事にこのジュニアと小籔のノリに乗っかり、何なら2人で新しいノリを作り出し、レギュラーメンバーを巻き込んだのである。

乗っかれた芸人でさえ、きっとジャルジャルだけだった気がする。

それに加えて、自分たちの流れを作り、巻き込む。

あまりフリートークなどの番組などで見ないジャルジャルだが、この時にジャルジャルのポテンシャルというか真骨頂を見た気がした。

ジャルジャルは2人でネタ作りをしており、2人ともクリエイティビティが非常に高くバランスの取れているコンビだと思う。

だから、相方が何をやろうとしているかも瞬時に伝わり判断出来ているようで、それがあの素晴らしい連携に繋がっているのだと思う。

 

実際、ジュニアもラジオでジャルジャルのことをこう語っている。

ジュ「(ジャルジャルとは)俺やらしてもらってるざっくりハイタッチなんか、もう準レギュラーくらいの感じやもんね。

こんなことをジャルジャルの前で言うのもあれやけど、このジャルジャルのね、このスキルをね、テレビがほったらかしすぎてるよね」

福徳「ジュニアさん、それもっと言うていってくださいよ笑」

ジュ「ざっくりでも、来て、あれ言うたって先輩が、それも嫌な方やん。嫌な先輩が揃ってるやん。俺、小藪、ほんで後藤、ノンちゃん(フット岩尾)。

例えば、袖でネタ見られてたら嫌な芸人やん」

福徳「笑 緊張する笑」

ジュ「そこにほりこまれて、んでレギュラーの4人やからそこでのノリというか、そういうのもあって、転校生感がすごいある中、あの立ち回りはおれすごいと思うねん」

              出典:MBSラジオアッパレやってまーす!

 

まさに上で書いた通りだ。

レギュラーの4人に2人くらいのゲストが参加して、6人でトークしていることが多い番組なのだが、ジャルジャル以外の回では4人の掛け合いについていけていないことが多い。

 

ジャルジャルはそれに乗っかるだけでなく、2人で新しい流れまで作り出している。

 ざっくりハイタッチはDVD化されていないので非常に残念だが、もしDVD化されることがあればぜひ見て欲しい。

 

ざっくりハイタッチ以外でも実はジャルジャルは活躍している。

しゃべくり007に出演した時も、コントでの笑いではなく、完全にアドリブの中で2人でかなりの笑いを取っていた。

中でも後藤の切り返しの鋭さは凄いものがあると思う。 

 

これからもジャルジャルの2人にはぜひ頑張って欲しい。

応援しています。

 

 

 

ジャルジャルがM-1決勝ネタを解説!「ウソみたいにウケが変わるんですよ。」

 

2017年12月3日(日)

13回目のM-1グランプリが行われた。

 

個人的にはジャルジャルのネタは圧倒的完成度だったのでぜひ優秀してほしかった。

最後までジャルジャルの決勝落ちと、和牛の2位には納得出来なかった。

 

別記事で「なぜ彼らが勝てなかったのか」について書いたので、もし興味のある方がいれば読んで欲しい。

 

poteilong.hatenablog.com

 

この上の記事では触れていないのだが、ジャルジャルの今回のネタは本当にクオリティが高かった。

私はM-1を友人と一緒に見ていたのだが、終了後に「なぜこんなにジャルジャルのネタはクオリティが高いのか」を語り合った。

その時にいくつか気付いたことがあったのでそれを書きたい。

 

M-1決勝でのネタを見ていない人には分からない内容なので、そういう方は先に見てから読むことをおすすめする。

 

今回のジャルジャルの漫才はネタの中でも言っているが、「ゲームを盛り上げる」というルールに従って進む。

このルールが最高に面白いから何回見ても笑ってしまうのだが、ゲームを盛り上げるという特性上、やっている2人が盛り上がっているか、その盛り上がりが視聴者にまで伝わるかどうか、がウケに影響してくる。

 

普通の漫才は、コンビが視聴者を笑かしにくるが、ジャルジャルのは少し特殊で「一緒に盛り上がる」というベクトルなのだ。

 

なので、

・2人が盛り上がってるように見えること

・それが視聴者に伝わっていること

が重要になる。

 

そして漫才を見ていて、この2つのためにわざわざジャルジャルがしているであろうことを見つけた。

まず、盛り上がってるように見せるためにしているのが、

ピンが5回続いた後やピンが5回続くと見せかけて続かなかった後などに、2人がジャンプするところがあるのだが、そこの着地のタイミングをきれいに合わせている。

 

これが見ている側に絶妙な2人の一体感を演出している。

後藤は実際タイミング的に片足しか上げていないのだが、

2人の着地のタイミングはきれいに合っている。

 

そして視聴者にこのゲームの緊迫感や盛り上がりを伝えるためにしていたのが、

ピンを5回続けて言う時の、後藤の指を折って数えるシーンである。

5回連続のところは、このゲーム一番の盛り上がりポイントである。

これをしっかり視聴者に伝えるために、後藤が指を折って数えているのだが、この指を出すタイミングが完璧なのである。

3回目から後藤は手を出す。

これは視聴者側もちょうど、「あ、もしかしてピン5回来る?」と疑い出すタイミングなのだ。

このタイミングも絶妙すぎて本当に感動してしまった。

 

初めて見た時は本当に笑ってばかりだったが、改めて何度も見返すとこういったことが分かってきて、本当にどんどん感動が増していった。

にも関わらず負けてしまったので本当に残念だった。

 

きっと誰より悶々とした気持ちだったのは本人たちだったと思う。

 

 

 

そんなモヤモヤを想像しながら、M-1後、ふとジャルジャルのラジオを聞いていた。

 

そこには徹底的にネタ作りに打ち込むジャルジャルならではの素晴らしいこだわりがあり、それがまさに上で書いていたようなことも含まれていたのでぜひ紹介したい。

 

 

 

福徳「漫才というのはほんと繊細でね。コントなんかより全然繊細でね」

後藤「繊細ですね」

福徳「M-1決勝見た方は分かると思いますが、僕がピンを5回連続で言うくだり。ピーン、ピーン、ピーン、ってね。で、後藤がね、途中、手を出して数え始めるんです」

後藤「ほんまにね、見てない人は意味分からんと思うけど、ピーンって言われた僕は『背筋伸びてるやん!』って言うんですよ。ほんでその『背筋伸びてるやん!』ってのが5回続いたら『背筋伸び切ってるやん!』って言わなあかんって、そういうネタなんですけど

そのー、5回をカウントするんですね、僕が。んで、何回目から指を出しだすか。細かいことですよ」

福徳「最初2で出しててんな」

後藤「2回目から数えだしててん。いや、これ3回目からの方がええんちゃうか、ってな」

福徳「でも最初は1回単位で区切ってたのに、途中後半の方は、いや3回目の後半の方やな。ギリギリで出すみたいな」

後藤「そう、そういう作業でしたね」

福徳「ただ、これがね、ウソみたいに変わんねんな。ウソみたいにウケが変わるんすよ」

後藤「細かいことやと思うんやけど大事やねんな」

福徳「それこそ倒置法とかもあるよな。倒置法にするだけでウケるとかな」

後藤「あるなー」

福徳「これ不思議よなー」

      出典:しゃべってんじゃねえよ! | bayfm78 | radioinfo.radiko.jp ラジオウェブ

 

これを聞いてやはりジャルジャルは漫才へのリスペクトが強いのだと感じた。

あれだけコントの土俵で戦ってきた2人でありながら、漫才へのリスペクトも一切欠かさない。

 

そしてこの圧倒的な漫才作りへのクオリティのこだわり。

本当にすごい。

やはり自分なんかが気付いたことよりも数倍も作り込まれていた。

 

 

本当に素晴らしいエンターテイナーだと思う。

これからも応援しています。

 

 

 

 

水曜日のダウンタウンの「説」は誰が考えているのか

 

水曜日のダウンタウンとは?

TBSテレビにて毎週水曜夜10時から放送されているダウンタウンの浜田が司会を務めるバラエティ番組である。

毎回、プレゼンターとなる芸人が「説」を発表し、スタジオで検証VTRを見て、ダウンタウンやゲストがコメントするという流れで進む。

 

出典:水曜日のダウンタウン|TBSテレビ

 

毎回、「説」を聞くだけでも笑ってしまうくらい面白く、もちろん検証VTRも面白い。

ここで少し過去に取り上げられた説を見てみよう。

 

過去の「説」10選

以下に特に面白かった「説」を取り上げたい。

競歩の選手 全員 他の陸上競技で挫折した人」説

勝俣州和 ファン0人」説

「冬眠から目覚めた熊 その日の夜はさすがに眠くならない」説

「布袋のギターを遠目から携帯で撮影するとQRコードと認識されどこかのホームページに飛ぶんじゃないか」説

「帰巣本能、ハトよりヒトの方が優れている」説

宇多田ヒカル/First Loveの『誰を思ってるんだろう』の部分 カラオケで全員『誰を思ってるんだはー』と歌う」説

「電話中だったら何を渡されても受け取っちゃう」説

浜田雅功の結果発表でカラス撃退できる」説

「逆ドッキリ 逆逆逆くらいまでいくと疑心暗鬼になる」説

「びんぼっちゃまスタイルの服 立ち回り次第でバレずに1日過ごせる」説

                 出典:水曜日のダウンタウン|TBSテレビ

 

聞くだけで面白い「説」を中心に集めたが、他にも検証VTRが面白い系もたくさんあるので見たことのない人はぜひ一度番組を見てみて欲しい。

 

誰がこの「説」を考えているのか?

この番組がすごいと思うのは、毎回コンスタントにこれくらい面白い「説」が出てくるのだ。

誰がこんな面白い「説」を毎回考えているのか。気になったので調べてみた。

 

f:id:poteilong:20171214121358j:plain

水曜日のダウンタウンの演出を手がける藤井健太郎師氏

出典:テレビ屋の声 - 第2回 TBS『水曜日のダウンタウン』演出・藤井健太郎氏、"攻める番組"評に至って冷静「面白さを追求した結果」 (1) 他番組の演出担当より、細かい部分まで | マイナビニュース

 

藤井健太郎。1980年生まれの2017年現在37歳。

TBSテレビの演出家兼プロデューサーである。

入社後3年から『リンカーン』の立ち上げ→同番組でディレクター→『ひみつの嵐ちゃん!』や『さんまのSUPERからくりTV』を担当するという出世頭。
30歳で『クイズ☆タレント名鑑』を立ち上げ、2014年に『水曜日のダウンタウン』の演出・プロデューサーとなる。

                         

見ての通りだが、そうそうたる番組を立ち上げやプロデュース・演出を行っている。

クイズ☆タレント名鑑も藤井氏だというのを知った時はなぜか納得感があった。笑

普通ちょっと言いづらいよなってとこにも面白ければ関係なく切り込む、という姿勢が共通している感じがする。

 

プロデューサーや演出ということなので、最終的にその「説」を放送するかを決めているのが藤井氏ということになる。とあるインタビューで「説」を採用する基準を以下のように語っている。

“説”を採用する基準は、まず聞いた時にワードとして面白いこと。そして、検証の結果、答えに興味が持てること。さらに、結果に至るまでの過程が面白く描けるかどうか、です。この3つの要素を全て満たしていればベストですが、どこかの要素が欠けていても、他のどれかが突出していればそれもアリです。

出典:TBS 『水曜日のダウンタウン』ほかの演出を手がける藤井健太郎さんに聞く

 

確かにこの基準がかなり高い水準で守られてるな、と思う。

本当に毎週この基準を守って、番組を作っている藤井氏にはリスペクトしか湧かない。

どうすればあのような質の高い説を思いつけるのだろうか。

 

これは勝手な憶測だが、説の傾向として、「誰もが多少は思ってることを思いっきりやりきってみる」というのがあるような感じがする。

 

逆ドッキリってその後ちょっと不安になるよなー、とか

ハトの帰巣本能ってどれくらいすごいんやろう?とか

浜田さんの声ってデカいし通るよなー、とか

冬眠の後って眠いもんなんかなー、とか

言われてみれば誰もが一度は思ったことのあるようなことばかり。

 

それを思いっきり度を増して検証する。

それが藤井さんの流儀なのかもしれない。

 

あなたも説が応募できる!?

水曜日のダウンタウンでは「みんなの説」というコーナーがあり、視聴者から説の応募を受け付けており、面白ければ検証してもらえ、そのコーナーで紹介される。

自信のある方、思いついた方は応募してみてはどうだろうか。

水曜日のダウンタウン 『説』募集のコーナー|TBSテレビ

 

 

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