HardRockCafe
ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか
先日、福祉事業所で働く方がぷかぷかの見学にきて、こんな感想を書いていました。
「工賃向上に重点をおいていないところにまず驚いた。工賃向上支援員になってからは利用者の工賃を上げることばかり考えていたが、ぷかぷかさんはとにかく利用者本位で、その人らしさを大事にしていた。自分たちもそうしたいが、やはり工賃向上は目指さなければならず、そこの折り合いをどうつけなければならないか、難しいと感じた。」
工賃、つまり給料は少ないよりは多い方がいいとは思います。でも「多くなった給料で何を買い、何を実現するか」「そのことは自分の幸せにつながるのか。」といった問いこそ大事だと思うのです。でも、そういったことはどうもはっきりないというか、後回しのようです。
ぷかぷかが始まった当初、「工賃向上」なんて言葉に初めて出会い(確か障害支援課あたりからの要請)、福祉事業所はそういうものを目指さないといけないんだと思い、結構頑張ったこともありました。でも、どう頑張ってもパンの売り上げなんてたかが知れています。
その頃経営上のアドバイスを色々いただいた経営アドバイザーの方と二人して朝6時からパン屋に入り、たまたま入った大量注文をさばいたことがあります。でも、終わったあと、あれだけ頑張って売り上げはたったこれだけ、と二人してがっかりしたことがあります。
こんなところに力を入れるよりも、ぷかぷかさん達が充実した日々を過ごすこと、お互い「いい一日だったね」って言い合えるような日々を創り出すことこそ大事じゃないか、ってその時気がつきました。それが今のぷかぷかの雰囲気を作っています。
毎日新聞の記者さんがやっている大学の社会福祉の授業で、今年もzoomでぷかぷかの話をすることになりました。
「ぷかぷかの魅力について」と、「どうやったらぷかぷかみたいな福祉作業所ができるのか」のお話をしてほしいという依頼でした。
ぷかぷかの魅力を自分で語るのはなかなかむつかしいのですが、強いていえば、障がいのある人達が毎日楽しく働いていること、彼らとおつきあいする毎日が楽しいこと、といったことになるでしょうか。
ぷかぷかはみんなで「いい一日をつくろう」というのが大きな目標です。ですから障がいのある人達も、まわりの私たちも楽しい毎日を送っている、というのは当たり前のことです。でも、福祉の世界では「楽しい毎日を送っている」なんて、あまり語られませんね。
やはり福祉の世界では、障がいのある人達を「支援する」ということが大きな目的になっているからでしょうか。
授業を受ける学生さんには、どこかで障がいのある人達と出会ってほしいと思っています。支援するとかではなく、人として相手に出会ってほしい。そうすれば今までにない新しい気づきが生まれます。
昔、私自身は養護学校で障がいのある子ども達と出会いました。子ども達は言葉がしゃべれないとか、着替えができないとか、うんこの始末も自分でできないとか、できないことだらけでした。でも毎日おつきあいしていると、そんなできないことを超えてしまうような人としての魅力を持っていることに気がつきました。
こんなステキな子どもたちがいたんだ!
という気づき。この気づきは、私の人生にとって、ものすごく大きなものでした。それまでは、なにかができることはいいことだ、みたいに思っていましたが、そうじゃないところで生きている子どもたちがいて、しかもずっとそばにいっしょにいたいような魅力を持っていた。
世界の見方が変わりましたね。
障がいのある人達との出会いは、きっとあなたの人生を豊かにします。そんなことを学生さん達に伝えたいです。
hanaちゃんとお母さんがぷかぷかにごはんを食べに来て、久しぶりに色々お話ししました。
hanaちゃんはこの4月から支援学校の高等部に行きます。で、卒業後の行き先をすぐに探さないと、先々困ってしまうとお母さんはお話しされていました。hanaちゃんは重度障がいのお子さんで、学校の終わった後の放課後デイサービスも、面倒見るのが大変だからと、一箇所では預かってくれず、毎日違うデイサービスに行くそうです。そんな苦労をしているので、卒業後の行き先の心配を今からされているようでした。
ま、それも大事なことかも知れませんが、それと並行して、hanaちゃんが気持ちよく毎日過ごせる場所をお母さん自身が作る、ということを考えてもいいんじゃないか、と提案しました。どこかいいところを探したり、誰かにまかすのではなく、自分で作る。
なんといってもhanaちゃんのこといちばんわかっているのはお母さんです。そうであれば、お母さんが作るのがいちばんいいのではないかと思います。
この「自分で作る」ということをなかなかみんな思いつかないし、「そんなの無理無理」とはじめから逃げてしまう人が多いです。
でもトライすることがやはり大事だと思います。トライしてだめなら、どうしてだめなのかを考えればいいし、たとえ失敗しても、そこから得るものは大きいです。何もしないよりは、とにかくやってみた方がいいのです。
「hanaちゃんの家」をみんなでつくろうよ、って呼びかければ、hanaちゃんのファンはきっと集まってきます。みんなでわいわい楽しみながらできたらいいな。
ずいぶんお姉さんになりました。
お母さんの幸せそうな顔!
重度障がいの子どもってこういう世界を生きているんだ、とあらためて思いました。こういうことが見えてくると、あれができないこれができないといったことでしか重度障がいのこどもを見ていない私たちって、なんかはずかしい気がします。
昨日静岡から11名もの方が見学に見え、リーダーの方が
「ぷかぷかには福祉の匂いがしない」
とおっしゃっていました。
福祉の匂いがしない、とはどういうことか。
福祉事業所にある「利用者さんがいて、指導者がいて」という、そういう人間関係がぷかぷかにはなかったということだと思います。どこまでも一緒に仕事をする関係。
そういうフラットな関係がどこから生まれたのか、を考えてみます。
ぷかぷかを始める前、私は養護学校(今でいう特別支援学校)の教員をやっていました。教員というのは生徒を指導します。私は30歳で教員になったこともあって〔つまり社会人の生活がまずありました)、この「指導する」という上から目線の学校用語(言葉)がどうもしっくりきませんでした。
生徒たちは言葉がしゃべれないとか、字が書けないとか、うんこの後始末ができないとか、できないことはいっぱいありましたが、それでも彼らを指導する、という言葉には、どうしてもなじめませんでした。
そんなえらそうなこと口にするほどの私は人間なの?というような問いです。学校にはそんな風に考える人はいませんでした。だから当たり前のように「指導する」という言葉がまかり通っていました。
色々できないことは、ふつうに教えてあげればいいだけの話であって、指導なんてえらそうな言い方しなくてもいいじゃん、て思っていました。ですから、生徒たちとはふつうにつきあっていました。
ふつうにつきあってなんの問題もありませんでした。こちらが教えたいことはちゃんと伝わったし、教わることもたくさんありました。
こんなステキな人達がいたんだ、という気づきは、私にとってはとても大きいものでした。人間を見る目を大きく変えてくれました。世界が違って見えた感じ。
その時の気づきが今のぷかぷかにつながっています。障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい。そうすることで私たちが、そして社会が豊かになる。
それらはすべて養護学校の子どもたちに教わったことです。あらためて子どもたちに感謝!です。
テレビ神奈川が取材に来ました。3月16日(土)18:00〜18:30 「ハマのパン祭り」というタイトルで、四つくらいのパン屋が紹介され、その中の一つに「ぷかぷか」のパン屋が紹介されるそうです。
おもしろかったのは、若い女性のナビゲーターがショーへーさんに色々質問をするのですが、ショーへーさんが相手ですから会話がうまくかみ合いません。少し困っていましたね。
私はそのかみ合わないところがすごくおもしろかったのですが、ディレクターはどんな風に受け止めたのでしょう。
会話は障がいのある人達との大事なおつきあいの一つ。それが楽しめるかどうかはとても大事なことです。
ショーへーさんも、色々指導すれば、もう少し会話がうまくいくのかも知れません。でも私は、今のかみあわなさが好きです。ショーへーさんらしさがとてもよく出ていると思うからです。そこを大事にするかどうか、ということだと思います。
ハマナビはこんな感じ。