石丸幹二さんのコンサートに行ってきました!4/24のバイマイコンのゲスト出演から10日、すぐの再会がとっても嬉しい!
芳雄さんがいろいろなコンサートに引っ張りだこなのは最近やっとわかってきたことですが全部観るわけにはいかず、でもこのコンサートは、福岡だし、幹二さんだし、九響だし…と嬉しいピースが揃いすぎてしまい、とある決断をしてチケットを取りました*1。
結果的にものすごく満たされて、本当に来てよかった〜と思えました。
会場は慣れ親しんだアクロス福岡。“どんたくで大盛り上がりの天神に突っ込む”という、住んでいた頃は避けていた行動を取ったことも自分としては楽しかったです*2。
以下、終演後に発表のあったセットリストと、ゲストコーナーを中心にかいつまんでのレポ(感想)を置いておきます。
*個人の感想/主観です。
*石丸幹二オーケストラコンサートのネタバレを含みます。他都市で鑑賞予定の方はご注意ください。
セットリスト
*終演後に公開されたものをベースに、出典などを補足しています(誤りがあったらすみませんがご指摘ください)
1部
- プロローグ〜君の歌をもう一度(「オペラ座の怪人」より)
- レット・イット・ゴー〜ありのままで〜(「アナと雪の女王」より)
- いつか(「ノートルダムの鐘」より)
- 闇が広がる(「エリザベート」より)with 井上芳雄
- Wheels of a Dream(「ラグタイム」より)with 井上芳雄
- 第二章のメドレー ★オーケストラ演奏
(モンテ・クリスト伯「地獄に堕ちろ!」〜ニュー・ブレイン「セイリング」〜パレード「Pretty Music」〜秘密の花園「Wick」〜エリザベート「私だけに(リプライズ)」〜蜘蛛女のキス「蜘蛛女のキス」〜ラグタイム「Buffalo Nickel Photoplay, Inc.」〜ライムライト「エターナリー」〜サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ「サンデー」)
- 炎のなかへ(「スカーレット・ピンパーネル」より)
- 僕の願い(「ノートルダムの鐘」より)
2部
- エンニオ・モリコーネ・メドレー(映画「ニュー・シネマ・パラダイス」ほか) ★オーケストラ演奏
- Lost Boys Calling(映画「海の上のピアニスト」より)
- サウンド・オブ・ミュージック(「サウンド・オブ・ミュージック」より) ☆井上芳雄ソロ
- 私のお気に入り〜エーデルワイス(「サウンド・オブ・ミュージック」より)with 井上芳雄
- 二隻の舟(中島みゆき)
- お前のなかに生きている(「ライオンキング」より)
- You'll Never Walk Alone(「回転木馬」より)
- マイ・ウェイ(フランク・シナトラ ※布施明バージョン)
EC
- 時が来た(「ジキル&ハイド」より)
レポ
1部
石丸さんの「帰ってきました!」
深い青色のタキシードで現れた石丸さん。襟元にはスタッズがあしらわれていて、バイマイコンの装い(黒の襟元にゴールド)を思い出しますね。歩みにあわせて、パンツのサイドストライプもきらりと輝きます。人気作品からの2曲を立て続けに披露してから、柔和な笑顔で、あえて「帰ってきました!」と挨拶し、福岡のお客さんを沸かせます。「レット・イット・ゴー」についてはアナ雪の映画公開前にいち早くコンサートで歌う機会があったとか。石丸さんの芳醇な歌声には、女性のナンバーもお似合いだなと感じました。アクロス福岡のシンフォニーホールといえばステージの上に降りる2つのシャンデリアが象徴的ですが、レリゴーのときにライティングでそれが真っ青に染まって、「雪」になったのが粋な演出でした。
「帰ってきたば〜い!」
3曲を終えて早くもゲストコーナーに。「では、さっそくこの方をお呼びしましょう!」と呼び込む石丸さん、めちゃ嬉しそう。促されて下手から登場した芳雄さんは、艷やかなシルバーのタキシードをまとい、長めの髪をさらっと斜めに分けたスタイリング。タキシードのラペルは黒のショールカラーで、ここだけ石丸さんとリンクコーデ!この日の芳雄さんは、ステージに出はけするときは終始、ちょっと背中をかがめて恐縮したようなスタイルで歩いていたのが印象的でした。
というか登場のときの客席の雰囲気から、あ、これは芳雄一味けっこうおるな。と思いました笑*3。
石丸さんはご自身のファンに向けて「彼はここ福岡市出身で…」と紹介してくれたのですが、おかげさまで念願の「帰ってきたば〜い!!(※大声)」を聞けました!
ミュージカルとの出会いについて、百道浜にあったテント劇場で劇団四季「キャッツ」を見て衝撃を受けたことが語られ、個人的にはその場所の説明として「ボンラパス」を使ったのがツボでした(※福岡の高級スーパー)。「その後キャナルシティで初めて(石丸さんを)拝見しまして…」「なんとかして石丸幹二になれないものかと、ストーカーのように…」と、来歴を説明しながらビッグラブを炸裂させ続ける芳雄さん。 石丸さんを追いかけて藝大で同じ先生に師事して「今、ここに立っています!(※大声)」
指揮の円光寺先生を挟んで上手に立っていたのだけど、もっと近くに寄っていきたいのを抑えている感じでした。大型犬かな??
天神の真ん中で闇を広げる
すでにこの世を去っている2人の恩師に「次の曲を捧げますか?」「いや、この曲は捧げないほうがいいかもしれない…」的なやり取りがあったあと、その曲目が「闇が広がる」だと告げられて、客席は大歓喜です。やってくれると信じてた!
オーケストラの分厚いイントロの前半から、ピアノのシンコペーションが特徴のあのフレーズが始まり、芳雄さんが軽く伏せた顔を上げたとき、そこには芳雄ルドルフがいました。10日前にも生で聴く贅沢をしていますが、こんなんなんぼあっても良いですからね。石丸トートのほうを向くのと前を向いて歌うのが4:6くらいの、コンサートならではのステージングが改めていいよねぇ…。何より好きだったのはいよいよクライマックスを迎える後半、石丸トートに「♪見過ごすのか…」と責められて、目を伏せて唇を噛んで軽くかぶりを振る仕草でした。そこから決意を固める「♪王座〜〜!!」のカタルシスよ…。バイマイコンの感想でも書いたけれど、追い詰められた貴公子のヒリヒリした高音がたまらないです。
歌い終えて「先生に捧げなくてよかった笑」。石丸さんの方を向き直って「石丸先輩と歌うときだけはルドルフになれる」と顔をほころばせていたのがキュンでした。
“自転車と一緒で一度覚えたものはいつでもできる”の話をしたあと、早口でワーっと言ってたのが面白かった→「この例え大好きでよく使うんですけどあんまり伝わらないみたいで(お客さんの反応が)『はぁ?』って」
ターテとコールハウス〜2人のパパ
念願叶っての共演だった「ラグタイム」。この日やってくれたらいいなと思っていたのは男性同士のデュエット*4である「Journey On」だったのですが、石丸さんが「本当はサラという女の子がいて、そのデュエットだけど、今日は(自分が演じた)ターテとして歌います」と紹介し、ピアノとフルートが際立つ静かなイントロが始まりました。「Wheels of a Dream」です!感涙!!
ついと顔を上げて瞳をキラキラさせ、さっきまで闇を広げていたとは思えない表情で未来への希望を歌い上げる芳雄コールハウス。後半の「♪南へ行こう〜」「♪南へ〜」から石丸ターテが優しく声を重ねますが、脚本上も伏線になっていた「♪カルフォルニアもいいね〜」という歌詞が、結末でリトルコールハウスを引き取ってカルフォルニアに移住するターテ自身の言葉として歌われるのが粋でした。さらに印象的だったのは、クライマックスでサラがコールハウスに「♪あなたと〜」と応えるところが「♪君と〜」に変更されていたことです。リトコールハウスには前途を祝福してくれるパパが2人いた、ということに改めて泣けてきます。原曲ではコールハウスもサラも「♪with you」と歌っているので、この違いは日本語ならではというのも味わい深かったです。
あと!!この曲で特筆しておきたいのは、フラハティが手掛けたラグタイムの楽曲がフルオケと相性が良すぎることです…!私は去年、ラグタイムの楽曲に関する自由研究*5をしていたとき、海外の動画をたくさん探して、この作品にはコンサート形式の上演があるらしいと知ったのですが、豊かな響きが素晴らしくて、いいなぁ…と思っていたのです。それが!ラグタイムの“福岡初演”ともいうべきこの日、1曲とはいえ歴史あるオーケストラで叶ってしまった!この時点で「来てよかった」という思いが強い確信に変わりました。
歌い終わって「この曲は先生に捧げてもいいのかな」と芳雄さん。指揮の円光寺先生にもぴしっとお辞儀をして、いったん退場です(※この時点で出番が終ったと私は思っていたよ)
「第二章のメドレー」の秘密
石丸さんもいったんはけて、オーケストラ演奏による「第二章のメドレー」。第二章というのは「劇団四季の退団以後の出演作」を指しており、9曲を繋いだメドレーが華やかに演奏されました。「私だけに」の三重唱では、最後のトートの「♪愛しーてーるー」をホルンが担ったのにぐっときました(わかる〜これはホルン!)。あとやっぱりラグタイムの曲はテンションが上がるのですが「Buffalo Nickel Photoplay, Inc.」が選ばれており、バイオリンの軽快な弦さばきとピチカートを楽しみました。再登場した石丸さんによると、このメドレーのテーマは“第二章”の楽曲のなかでも「(歌ったかどうかにかかわらず)自分が好きだった曲」とのこと。成功をつかんだターテの姿を思い出して改めて嬉しくなりました。
2部
見えましたね、アルプスが
石丸さんが好きだというエンニオ・モリコーネのメドレーでしっとりと幕を開けた2部。石丸さんはワイルドなヘアセットにチェンジし、スパンコールをあしらった黒のシックな装いで再登場。しかもなんとゲストが再び呼び込まれるではないですか。
福岡を皮切りに5都市を巡るこのコンサート。ここで、石丸さんから、ゲストの方には「サウンド・オブ・ミュージック」から1曲歌ってもらう、という趣向が明かされました。再登場するだけじゃなくてソロ曲もいただけるんですか!?出番、大盤振る舞い!!
「今日芳雄に歌っていただくのはタイトル曲!」と紹介されて「一番いい曲ってことですね!」とドヤる芳雄さん、最高か。この曲についてはムーラン・ルージュで「登場するときひと節歌っている」ので「サビはめっちゃ上手いっす」とのこと。
そんなわけではじまった主題歌、「サウンド・オブ・ミュージック」。実はこの曲が一番泣けました。壮大な演奏に乗せて、端正なビブラートをかけたクラシカルな歌唱で歌い上げる芳雄さん。ちょっとだけ「ベートーヴェン」のときの歌唱スタイルに似ています!シンフォニーホールの強めの残響もあいまって、アルプスの山容が浮かぶようなスケールを感じました。
再登場した石丸さんに、なんともいえない温かい声で「きれいな声だねぇ、あなたは…」と称えられて「寛一先生のおかげです!ありがとうございます!」とペコリとお辞儀(ご指摘ありがとうございました!大間違いを修正しました)。サビの響きはそれはそれは素晴らしかったのですが、直前に「めっちゃ上手いっす」と自分で言ってしまったせいで「歌いながら面白くなっちゃってw」大変だったらしいです。
この前の面白かったやりとりは、別垢ですがこれを直接貼っておきます笑*6。
芳雄さんソロ曲・サウンドオブミュージック後
— くいな(亜種) (@purplekuina076) 2024年5月3日
幹「見えましたね、アルプスが!☺️」
芳「見えましたか!天神の向こうに、どんたくの向こうに!☺️」
⛰️⛰️⛰️\\脊振山地//⛰️⛰️⛰️
音楽を“同じ感覚”で楽しむ仲間
続いては「私のお気に入り」と「エーデルワイス」のデュエット。リチャード・ロジャースが紡いだ楽曲の強さを改めて感じる2曲でした。「私のお気に入り」の愛情に満ちた表情は、2人の前にトラップ一家の子どもたちがいるようでした*7。同じく3拍子の「エーデルワイス」では、清新なメロディに込められたほんのひとさじの哀愁が、大人の男性がデュエットすることでいっそう引き立っていました。
出番を終えて「九響のみなさんが小学校の体育館に来てくれて、それで初めて聴いたんです」「みなさんとはそのとき以来ですね!」と団員のみなさんを見渡してニコニコする芳雄さん(※35年前だよ!)。石丸さんと声を合わせる楽しさについては「相性の良さを感じますね!自分で言っちゃっていいですか」と後輩モード全開でした(ちょとうろ覚えだけど石丸さんも相性のよさについて発言していたかも)。今後の予定として夏の「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」を告知し、さっき歌ったサウンド・オブ・ミュージックについて「サビのところをとても上手に歌う予定です!」。福岡には残念ながら来られないんですけど大阪ではやるので、とのことでした。梅芸のスケジュールはよ…!!(本記事執筆時点で、未解禁)
石丸さんは芳雄さんを見送ったあと、「昔の関係性に戻れる」喜びについて「音楽を同じ感覚で楽しむ仲間」というような表現(ちょい意訳)で補足していて、それがとても素敵だなぁと思いました。芳雄さんが退場した袖のほうを向いて「歌うときも私を立ててくださって。」と目を細めていらっしゃいましたが、私は「エーデルワイス」で高音パートを引き受けて優しくハモる石丸さんのホスピタリティにも感銘を受けていました。リスペクトのぶつかり合い、最高!
EC
「時が来た」が来た!
初挑戦という「二隻の舟」、堂々たるムファサのナンバー「お前のなかに生きている」*8などを経て、しっとりと日本語詞の「マイ・ウェイ」で締めくくり。
拍手に応えて再登場してくれて「この曲でお別れしましょう!」。モグリな私でもこれは確信をしていました、そう、「時が来た」が来た…!
太く、張りのある石丸ジキルの歌いぶりは充実そのもので、その響きにただ圧倒されました。卒業されたなんて信じられない。でもそうであるなら、今回聴けたことは幸運でした。本当に至宝ともいうべき1曲でした。
最後まで喋ろうとする井上芳雄
カーテンコールでは再び芳雄さんも呼び込まれて、みんなで拍手喝采。これも面白かったので、貼っておきます笑。↓
幹二さんコン、芳雄さんの最後の一言がアンコール後のカテコに呼び込まれての「喋らなくていいですか?」だったの大概すぎる、ニッコリしてしまう🥹さいこう🫶
— くいな(亜種) (@purplekuina076) 2024年5月3日
芳「喋らなくていいですか?」
幹「喋らなくていい☺️」
まとめ
私には知らない曲がけっこうあったのですが、最後にプログラムが張り出されてありがたかったです(クラシックではプログラムが明示されることが多いのでちょっとだけ期待してました…助かったぜ!)。でも、「知らない曲」があったことはあまり関係なく、素晴らしい演奏と歌唱のおかげで楽しむことができました。わかった曲名を頼りに音源を探して改めていい曲だなぁと思ったり、この作品が再演されるときは観に行きたいと思ったりして、ミュージカル曲との出会いにもなりました。
また、一部後半くらいから、あれ、1stトランペットの方がありえんほど上手いぞ???ということに気づいて、聴き惚れていました。終演後にお名前を調べてしまったのですが、そういう収穫があったのも嬉しかったです*9 !このコンサートは基本的には同じプログラムで各都市を回ると思うのですが、だからこそ各オケの個性も際立つのだろうと思います。
芳雄さんのオタクとしても、この後はMR!の初日まで現場がないのでやっぱり観に来てよかった…!遠征に来られたみなさん、ぜひおいしいもの食べて帰ってくださいね〜!私ですか?開演前に「ひらお」の塩辛を買いました。
公式のポストお借りします!
【#井上芳雄】
— グランアーツ (@Gran_Arts) 2024年5月3日
井上憧れの先輩、#石丸幹二 さんの
「石丸幹二オーケストラコンサート2024」@福岡シンフォニーホールにゲスト出演致しました🎻🎼🎹🎤🎺
地元福岡で、九州交響楽団の皆様の素晴らしい演奏で、石丸さんと歌わせて頂く事ができ、感無量の贅沢な時間でした✨
どんたくも盛り上がってました🙌 pic.twitter.com/yaP2vDXK0Z
<参考>「ラグタイム」のコンサート版
フルオケの良さが際立つ2018年のコンサート版!8:03から「Wheels of a Dream」です。
こちらは初演カンパニーの再集合。0:40から「Wheels of a Dream」、1:36の「Make Them Hear You」も必聴。初代コールハウスのブライアン・ストークス・ミッチェルの素晴らしさよ…
*1:ミッチーさんの初日を諦めました。ほんとにごめんなさい。
*2:そしてどんたくを久しぶりに見物したら、結構ワクワクできて、いいなぁと思いました。なんというか改めて、とても県民性を感じる
*3:歓声が上がって、これはもちろん石丸さんの登場より沸いたと言いたいわけではなく、なんていうか芳雄さんのオタクのノリなのかも、という
*4:厳密には、最後にマザーが加わるので女性が必要
*5:
ミュージカル「ラグタイム」感想〜私たちを運んでゆく音楽の力(動機とリズムを中心に) - 完全に猫なのさ
*6:これ壁打ち垢なので、あまりフォローはおすすめしておりません🙏
*7:私、芳雄さんがさまざまな作品で見せてくれる「父親としての表情」がすごく好き。イアソンでさえも、クライマックス前に子どもたちをまとめて抱きしめているところが最高にツボです。イアソンでさえも…(←2回目)
*8:歌い終えてから「劇団四季在籍当時は草食系だったので歌えなかったんですが」と笑いを誘っていました笑。
*9:松居洋輔さん。藝大ご出身とのこと、石丸さん、芳雄さんと一緒だ〜!
*10:大好き。いま実家でもりもり食べてます✌️しょっぱすぎなくて柚子の香りが爽やかで、白ごはんが恐ろしい速さでなくなります。パスタにも合うよ!