梟書茶房
ここは、本と人との出会いを創る場である。
池袋駅西口という、かの小説の舞台になったこの地で彼らは何をつくろうとしているのか。
書と本の融合で書茶房。それぞれにこだわりを持つ2人によってできたというこの空間。
袋で閉ざされた本を開ける前に、ゴクリと啜ると、熱いコーヒーで舌を火傷しそうになる。
そして、鼻腔に広がる深い味わい。その香りが、本との顔合わせ前に高まる興奮を掻き立てるのだ。
そう、思い思いの席で友人とかもしれない、1人かもしれない。すぐ傍には本棚の本を選んでいる見ず知らずの好事家もいるかもしれない。そんな中で今日もまた出会うのだ。
元来わたくしは、本は出会いで買うことが多かった。特に古書店で、何も求めず、脱力した状態でなんとなく本棚を眺める。そして、不揃いに整列した棚をなぞる。そうすると、なぜかとある古書で手が止まる。その時こそ好機なのだ。帰りの道中で読み終わる時も、全く読まないで積ん読と化すものもある。
ただ、必ずと言っていいほど、読みたいと思う時が来るのだ。読んだ時こそが読むべき時、そんな半ば迷信めいた経験則に従ってきたわたくしとしては、この書茶房なるものは何らためらうものでもないのかもしれない。
ここで、本を選ぶことはそう権利を買うことなのだ。知らない世界、求める世界への片道切符。
コーヒを啜り、"ふくろう"綴じを開き旅する今回の世界は、「むかしの汽車旅」であった。
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