作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【訪問リハビリ】精神科訪問看護の過剰請求問題~ファーストナースの問題から今後まで~

こんにちは。

 

5月5日、訪問看護の過剰請求問題が話題となりました。

訪問看護ステーションはリハビリの人間も働く職場。

対岸の火事ではないかもしれません。

 

●株式会社ファーストナースの過剰請求問題

問題が取り上げられたのは、2024年5月5日。

この日、精神科の訪問看護事業者で最大手とされる「株式会社ファーストナース(訪問看護ステーションあやめ)」の利用者への過大請求が問題となりました。

 

共同通信の取材に約10人の現・元社員が内情を曝露し、その中で出たのは、必要のない利用者への複数回訪問などの問題です。

 

様々な記事でも内部告発による画像が上がっており、それらがこちら。

訪問看護最大手 1人訪問を指示か - goo ニュース

出典:https://nordot.app/1160114051367748385

 

出典:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1354418

 

1人当たりの打ち上げノルマや利用者や訪問回数の倍増などを伸ばすことが明記されています。

基本的に精神科訪問看護では週3回まで訪問が可能で、その制度を悪用し、過度なサービス供給を行っていたというのが、今回の問題です。

 

精神科訪問看護の財源の多くは医療保険

つまりは公費(税金)です。

私たちの税金が無駄に使われ、将来的な社会保険料引き上げや訪問看護の待遇悪化にも繋がりかねないこの問題。

医療業界で働く私たちはもちろん、医療業界でない方々にとっても関係のない事態ではありません。

 

尚、ファーストナースは取材に「医師の指示書や必要性に応じて訪問を実施しており、当社の都合で訪問人数を増減させることはない」と答えたそうです。

ですが、医師の指示書に応じてとはいっても、必要性を事業所から訴えれば、容易に回数を増やしてくれる医者が多いのも事実。

 

医師は月1回など診療回数が少ないことが多く、現場の声を聞いて回数を増やしてくれることがあります。

それを利用し、悪質な訪問を行ったのが、今回のケースにあたるかもしれません。

 

●誰が指示したのか

今回、このような事態を招いたのはファーストナースの経営陣とされます。

ファーストナースの訪問看護ステーションは全国で240にものぼるそうです。

 

その中のどこかの事業所だけが不正を行ったのではなく、会社そのものが不正の指示を出したとされました。

イメージはこのような形です。

出典:https://www.daily-tohoku.news/archives/230426

経営陣の人数など詳細は不明なため、ファーストナースの代表である橋本真奈歩さんも関与しているのか、詳細は分かりませんが、告発した社員の話であるとするなら、東京の本社などの少なくとも何名かは関与しているのでしょう。

 

●今後の訪問看護の待遇も変わるかも

このようなケースが続けば、間違いなく訪問看護の待遇(単価や訪問回数)は下げられます。

それは同時にリハビリ縮小せざるを得ない状況になるかもしれません。

 

実際に訪問介護では一部の悪質な事業所の影響で多くの良識のある事業所が介護改定で割りをくったケースも存在します。

将来、今回のケースや類似例が影響して来ないことを願うばかりです。

 

今回、話題となったファーストナース(訪問看護ステーションあやめ)のホームページが気になる方はこちらからどうぞ。

ファーストナース

 

良いことはいっぱい書いてくれてあるのですが…。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

【作業療法】作業療法士の現状と飽和する未来への不安~対策とともに~

こんにちは。

 

作業療法士国家試験が2月に終わり、3月には合格発表がありました。

4月からは希望を胸に働き始めた方も多くいます。

新しい作業療法士が生まれる一方、将来供給が需要を上回ってしまう不安を抱えている人も多いかと思います。

今回はそんな作業療法士の人数について見ていきます。

 

作業療法士の人数

建物の近くに立っている人々のグループ

2022年3の有資格者は約104000人

ついに10万人を突破しました。

理学療法士は約19万人と言われていますから、作業療法士理学療法士の半数程度です。

 

ただし、あくまで有資格者なのでここには定年された方や有資格者であるものの、作業療法士をしていない方も含まれます。

私の知り合いでも作業療法士を辞め、海外へ移住したり、喫茶店を開いたり、ハンドメイドを販売して生活している人もいます。

 

では、今後はどうなるのでしょうか?

 

●今後はどうなる?

このペースでいくと、2040年には約15万人を突破するとされ、人口10万人あたりの作業療法士の数も2.3倍になると言われています。

2040年というと、団塊の世代の子どもさんたちが65歳以上の高齢者となるタイミング。

 

この2040年ごろには厚労省の試算では供給過多になると言われました。

 

少子化団塊の世代やその上の世代が少なくなり、日本の人口も1億1000万人程度まで減少すると言われているのが2040年です。

 

団塊の世代の子どもさんも人口は多いので高齢者の割合は増えているでしょうが、セラピストの供給過多が2040年には引き起こされている想定がなされているのでしょう。

理学療法士は年間1万人前後、作業療法士も4000~5000人程度誕生していますので。

 

しかし、この供給過多は理学療法士作業療法士を合わせた数で試算されています。

リハビリ職は身体障害者の領域で働くことが多いですが、作業療法士は精神や小児分野など人手が十分でない分野をうまく拡充していくことで計算上の数値とは異なる結果が生まれてくるかもしれません。

 

では、供給過多になった時に自身が路頭に迷わないような、考えられる対策をあげていきます。

 

●対策

①認定、専門作業療法士になる

まずは作業療法士としてのスキルを磨くことです。

他の人にはない専門性を持つという意味で認定や専門作業療法士になっていくのは選択肢の一つです。

もちろん、呼吸認定など作業療法士と名がつくもの以外の資格もありです。

 

強みを持って頼られるセラピストであれば、どのような時代であっても乗り越えられる可能性が高いです。

 

②管理職になる

タブレットに書くスーツを着た男

現場ではという方は管理職が一つの選択肢です。

病院の会議に出る、回復期のシフトを組む、訪問で契約を取りに行くなど働く場所の中核で仕事ができれば、職場に見放されて職を失う可能性は低くなります。

 

③別の仕事でも食べていけるようにする

3つ目はリハビリ以外の道に行くことです。

自分のやりたいことや強みがあれば、思い切って辞めてしまうのも一つですね。

 

何かをする前には副業など行って徐々に職を変えていくのが、一番安全な道です。

 

いかがだったでしょうか?

作業療法士の供給が過多になるかは誰にも分かりません。

ですが、そうなった時に自分は生き残れるのか。

その準備は今から考えて動いていきたいですね。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

知っておきたい医療職のトラブルと対策

こんにちは。

 

昨今、話題になる介護職や病院スタッフへの暴言、暴力、セクハラなどのトラブル。

今回はそのような事例で警察沙汰になったケースをご紹介します。

皆さんのところは大丈夫でしょうか?

 

●在宅でセクハラを経験した割合

在宅で問題になりやすいのが、セクハラ。

特に男性から女性へのセクハラはよく聞くトラブルです。

 

介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」が2018年に実施した調査では、約30%の介護職員が「不必要に体に触れられる」、「性的冗談を繰り返し聞かされる」などのセクハラ被害を経験していました。

決して利用者さんからのセクハラはどこか遠くの話ではありません。

 

では、実際に警察沙汰になるケースはどのようなものがあるのでしょうか。

●ヘルパーで起こったトラブル

兵庫で2024年3月7日、ヘルパーを利用する80歳代男性を不同意わいせつ容疑で逮捕したと発表しました。

 

警察によると、3月5日のヘルパー後、書類を書いていた30代の女性スタッフの隣に男性が来て、首元から服の中に手を入れて胸を触った疑いがあるということでした。

 

女性が翌日に署へ通報し、逮捕に至ったそうです。

男性は「肩などをもんだが胸は触っていない」と容疑を否認しています。

 

ヘルパーは1対1となることが多く、事実確認が難しいことが多くありました。

しかし、今回は逮捕という画期的ともいえるケースになっています。

 

おそらくですが、こうした行為に近い行為は前々からあったと思われます。

1回では対策は難しいことが多いため、慢性的に事実確認などなにかしらの対策をしながら臨んでおり、対策中にセクハラがあったのでしょう。

 

また、セクハラではなくても、病院でもトラブルはありました。 

 

●病院で起こったトラブル

2024年3月12日には島根県の病院で57歳の男性が逮捕されました。

このケースは傷害罪での逮捕となっており、2023年12月10日に飲酒した後に診察を受けていた男性が「帰る足がない」と言って、一方的に病院の車いすに乗って帰ろうとしたそうです。

それを止めに入った男性看護師が腕を掴まれたりするなどしてひっかき傷を負いました。

 

このことで、57歳の男性は後日逮捕されています。

では、対策としてはどのようなことをすればいいのでしょうか。

 

●対策

対策としてはまずは事実確認が必要です。

病院のような公の場は証拠が揃いやすいですが、在宅など密室では事実関係が曖昧になることが少なくありません。

 

スタッフを守り、大きなトラブルを避けるためにも早急に何が事実なのかを分かるようにしないといけません。

 

また、事実確認が取れれば事業所や会社として対策するのか、警察に相談するのか決めていかないといけません。

早めに上司と相談するなど動いていきましょう。

 

 

いかがだったでしょうか?

患者さん、利用者さんといえど、節度があります。

お互いにトラブルにならないように節度を持って、相手を尊重して関わっていきましょう。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

【消防団】消防団員・消防本部職員の飲酒運転事故

こんにちは。

 

今回は週2の更新とは別で消防団のニュースを取り上げます。

現在、話題になっている消防団飲酒運転のニュース、どうやら常習性がありそうです。

また、問題は過去にもあり、消防本部職員の飲酒運転もありました。

 

消防団員の飲酒運転事故

話題となったのは、2024年4月21日に奈良県上牧町で起こった事故。

この事故では消防団員の男が飲み会で酒を飲んだ後に、車を運転し、住宅の壁に衝突させ、インターホンなどを壊す事故を起こした疑いで逮捕されました。

 

逮捕されたのは消防団に所属する53歳の森本英利容疑者で、午前中に消防団の施設で点検活動をした後、午後1時ごろからおよそ5時間にわたって同じ場所で、仲間たちと酒を飲んでいたということでした。

森本容疑者が酒を飲んだ後に車を運転することを分かっていたにも関わらず、飲み会に参加していた飲酒運転ほう助の疑いで、60代の別の消防団員2人も逮捕されています。

 

今回の事故ですが、悪質なのは常習的に飲酒運転が行われていたこと。

森本容疑者は「毎月の点検整備の時には流れで飲酒していた」と話しており、消防団で飲酒運転が常習化していた可能性があります。

 

消防団に属したことのある方の場合、常習化していたとしても驚きはないかもしれません。

今回は事故により発覚しましたが、これは氷山の一角でしょう。

 

●別のところでも飲酒運転が

2023年には岩手県一関市の消防団員が飲酒運転で検挙されました。

1人は自宅でということでしたが、もう1人の飲酒場所は不明。

過去にも飲酒後に出動し、事故を起こすなど消防団の不祥事があり、どこの地域でも起こりうる問題の様です。

 

また、消防本部職員が逮捕されているケースもあります。

 

●消防本部職員の飲酒運転

2024年3月22日報道の事故で、酒気帯び運転の疑いで甲府地区消防本部南消防署の消防士、岩瀬千朋容疑者が逮捕されたと報道がありました。

この事故は市道で酒を飲んだ状態で車を運転し電柱に衝突したというもの。

 

21日が非番で翌日、出勤する早朝に事故を起こしたようです。

この事故で消防本部は謝罪会見を開いています。

 

消防署の職員らの飲み会ではなく、おそらく個人での飲酒が原因と思われますが、もし消防署の職員が消防団と同じことで捕まっていたとしたら…恐ろしいです。

 

お酒を飲む機会はありますが、飲酒運転は絶対にダメです。

特に消防団や田舎は飲酒の機会が多くなりがち。

飲んだら乗るなを徹底しましょう。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

 

【文献】睡眠の質と精神健康~睡眠の質をあげるには~

こんにちは。

 

人間が生きていく上で重要な睡眠。

加齢とともに浅くなり、質も落ちやすいとされています。

質が落ちれば、精神的にどのような合併症を発症するリスクがあるでしょうか。

今回はそんな話を取り上げます。

 

●文献

今回ご紹介するのは「Improving sleep quality leads to better mental health: A meta-analysis of randomised controlled trials(睡眠の質の改善は精神的健康の改善につながる: 無作為化比較試験のメタアナリシス)」。

 

睡眠が健康面のどのような部分に影響するのか検討したものです。

対象者は8608人でした。

 

●結果

睡眠不足がたたると、精神的に影響が出やすいとされたのが、陽性症状と陰性症状の繰り返し、抑うつ、不安で他にも、ストレスを感じやすくなったり、陽性症状のみも見られました。

また、こうした影響は睡眠時間が長くなると改善される傾向にあったようで、睡眠時間の確保は重要なようです。

 

別の研究では6時間未満の睡眠はアルツハイマー認知症の発症率を高めるともされており、睡眠の質は上げていかないといけません。

 

では、その睡眠の質を上げる1つの方法をご紹介します。

 

●睡眠の質を上げる方法

睡眠の質を上げる方法の1つが「4-6-11睡眠の法則

これは、起床4時間以内に光を見て、

6時間後に目を閉じ、

11時間後に姿勢を良くする

というもの。

 

これをすることで睡眠の質が上がるようです。

 

これを提唱しているのは、作業療法士の菅原洋平さん。

菅原さんは薬に頼らない睡眠外来を担当する作業療法士で多数の著書を発行しています。

 

例えば2023年に出された「あなたの人生を変える睡眠の法則2.0」という著書があります。


 

ここにはいくつかの睡眠のコツが書かれており、レビューを見てみると、

・睡眠に関するテクニックだけでは無く、記憶との相関性などにも触れられている。日々の暮らしの中で導入し易いテクニックも多く、参考になる。各章の最後にまとめの記録があることも◎

・たくさんの睡眠系テクニックがまとまっています。

といったレビューがありました。

 

睡眠に興味のある方、作業療法士として違う働き方を模索したい方は手に取ってみるのもいいかもしれません。

 

いかがだったでしょうか?

人生の30%前後を占める睡眠は非常に重要なものです。

私たちが関わる中で、しっかりと質を上げていきたいですね。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。