必要なのは、生きるセンス。LiLy10周年記念本『Very LiLy』をフラゲして
フラゲせずには、いられなかった。
大好きな大好きな、LiLyさんの10周年本『Very LiLy』。
「必要なのは、生きるセンス」
いつだってLiLyさんの本は、帯で人を引き寄せる。
「本の帯だから当たり前だろ」と言われるであろうことは重々承知している。
でも、そうじゃない。
いい意味で、LiLyさんの本は帯だけでもお腹いっぱいになれるのだ。
“LiLy本”との出会いは、かれこれ6年前になる。
地元のドンキホーテに併設されているジェネリックビレバンでの出来事だった。
ロングスカルプのついた人差し指を指しながら、親友がこう言った。
「ちょ、これやばくない?」
彼氏の浮気現場でも目撃したのかと思い、恐る恐る親友の指差す方を見る。
自分たちより少し右斜め上。パステルカラーの恋愛本に紛れて、ポツンと目立つショッキングピンクの本。
LiLyさんのデビュー作『おとこのつうしんぼ』だ。
親友の「ちょ、これやばくない?」がなにを意味するのか、帯に書いてある文を読めばすぐにわかった。
「“死んじゃいそうな寂しさ”から女を救えるのは、男だけ。それも、昔SEXをしたことがある男か、これからしてもいいと思っている、男だけ。」
うわっ、わかる。わかりすぎる。これは確かに、ヤバい。
当時19歳。私たちだけじゃなく、周りの同世代女子たちはみんな「汚らわしいオンナ」だというレッテルを貼られないために必死だった。
だから、例え彼氏に浮気をされても。理不尽な理由で、連絡をどれだけ無視されても「女友達には埋められない寂しさがあるんです」と、他のオトコに頼ることはなかった。
と、言いたいところだけど……(ごめんなさい)。
当時付き合っていた彼氏の浮気発覚後、一度だけ元カレに会いに行ってしまったことがあるのだ。
ただ、そのことは親友にすら話せなった。「汚らわしいオンナ」だと思われたくなかったからだ。
だけど、LiLyさんの言う通り、やっぱりオンナにはオトコにしか埋められない寂しさがある。
あえてソレを口にしなかった私たちにとって、帯にある言葉はまさにやばく、衝撃的なものだったのだ。
「いや、あるよね。あるある」
そんな風に、お互いの本音と悪事を話し合ったのは数年後のこと。それまでの間、私と親友がLiLy本を心の頼りにしていたのは言うまでもない(笑)。
「あの時、LiLyの言葉に出会えただけで救われたよね」
親友のその言葉の重みは、ボロボロになって返ってきたおとこのつうしんぼが物語っている。
そしてもうすぐ、26歳になる。
あの頃と違い、今の私にとって最も重要な課題は決して恋愛ではない。
“今とこれからの私”に、求められるものはなんだ?
いや、私が求めるものとはなんだ?
―――生きるセンス。
LiLyさん、いつもありがとうございます。
10周年、本当におめでとうございます。
『タイの痩せ薬、知ってる?』
「絶対に痩せる薬」と聞いて、興味を抱く女性がこの世にどれだけいるだろうか。
身長161センチ、妊娠中以外の体重は記憶の限りずーっと50キロ台の私。
断食、夜ご飯抜き、糖質制限、カロリー制限、置き換えダイエット、酵素ドリンク、朝バナナスムージー、毎日のウォーキング、筋トレ、加圧トレーニング、授乳、エクササイズDVD、半身浴etc……。
これまで、ありとあらゆるダイエットを試してきたけれど美容体重以下を記録したことがない!
「もうなにをやってもダメなんだ」そう諦めかけていた、25歳のある日のこと。
19の頃に友人とした会話をふと思い出してしまったのだ。
『タイの痩せ薬、知ってる?』
「知らない」
私が答えると彼女は続ける。
『飲むだけで痩せるらしいよ。しかも、1ヶ月で10キロとか。芸能人も飲んでるんだって』
薬物ではない、肥満の人に処方されるちゃんとした薬、でも副作用がすごいらしい……。
「危険なニオイぷんぷんじゃねぇか!」当時はそう一蹴りして終わったものの、25歳の私は気づけばグーグルを開いていた。
『タイ 痩せる薬』
検索して出てきたのは、「ヤンヒーホスピタルダイエット」と「MDクリニック」という2つのワードだった。
ヤンヒーホスピタルダイエットとは……
タイ・バンコクに実在する美容クリニック「ヤンヒー病院」で処方されるダイエット薬。主な効果は、脂肪燃焼、代謝アップ。
MDクリニックとは……
同じくタイ国内の数カ所に実在する美容クリニック。病院では、同名のダイエット薬が処方される(そう)。主な効果は、食欲抑制。
かなりざっくりとしているけれど、それぞれの特徴は大体こんな感じである。
「加圧をやっても、食事制限をしても思うように痩せなかった私は代謝が悪いに違いない」そう信じて疑わなった私は、“自分が服用するならヤンヒーのほうだ”とすでにダイエットに薬を用いることを視野に入れていた。
しかし、これはタダ事ではない気がした。
授乳中の断食や夜ご飯抜きなど、これまでにも何度か危険と隣り合わせのダイエットをしてきた。けれども、得体の知れない、いやむしろ本当に薬物かもしれない“ダイエット薬”なるものに手を出そうと考えたことはなかった。
本当に大丈夫なのか?
死んだりしないか?
一生重い病気と付き合っていくことにならないか?
ネット、ツイッター、インスタを駆使し納得するまで調べ尽くしたところ、深夜1時から始まった1人マツコ会議が終わったのは朝の4時。
結果、購入を決めた私だけれどタイへ行くことはできない。そうなると、ヤンヒーを手に入れるには輸入代行サイトを利用しなければいけないことになる。
ヤンヒーダイエット、MDクリニックを扱う輸入代行サイトがいくつかあるなかで“安心安全なサイト”を選ぶのも至難の業。
「あそこは対応が悪い」、「○○のは偽物」、「錠剤にカビが生えていた」等々、恐らくユーザーの声であろうものから明らかに業者同士の潰し合いだと取れるものまで。情報が溢れかえっているのがインターネットだからだ。
私は、明確ではない自分基準をクリアしたサイトからの購入を試みる。
注文時には、カルテを作成するために必要な情報の記入をするよう求められるが、項目は名前、生年月日、身長、体重といった占い程度の内容。正直、不安しかない。
『ネットショッピングは深夜にするな』
いつかテレビで聞いたセリフを思い出しながら、「今が昼だったらきっと買っていないだろうな」そんな風にぼんやりと考えながら購入を確定した。
夜が明けようとしている、早朝4時半のことだった。