ロビンソンのまいにち

フリーランスで本のデザインとDTP

古くて新しいフォント、写植の文字が蘇る

 新しいフォントを使うというのは、新しいシャツを着ることと似ているかもしれません。

 どこへ、どんなコーディネイトで出かけるか。

 どんなレイアウトの中で、どの文字と組み合わせるか。

 

 今秋モリサワから写研のフォントが発売されます。

 待望の石井明朝、石井ゴシック、ゴナが使えるようになるのです。

 当時の写植の雰囲気を残した「改刻」というラインナップがあります。

 印画紙に文字を撮影する写植は、文字が微妙に滲むのですが、それを再現したらしい。

 滲みは、文字を組んだ時に柔らかい雰囲気を生みます。

 いまで言うところの「エモい」でしょうか。

 

 印刷物の多くが写植で組まれていた時代は、すでに30年も前のこと。

 ぼくは当時を知っていますが、一緒に仕事をしている人の多くはおそらく知らないでしょう。

 そんな若い人たちの目に、写研の文字は魅力的に映るのだろうか。

 ぼくの目に、ノスタルジーではない、純粋に素晴らしいフォントとして映るのだろうか。

 

 

 

アルフレッド・セイバル氏のポスター

 以前、ニューヨークの地下鉄駅構内に、印象的なポスターが貼ってありました。

 地下鉄のミュージアムショップに行くと同じものを売っていました。

 購入してから長く部屋の壁に貼っていたのですが、引っ越しの度に貼ったり剥がしたり、いつの間にか周囲がボロボロになってしまいました。

 みすぼらしくなったものを貼っているよりはと、写真に撮り、サイズを小さくしてプリンターで印刷しました。

 フレームに入れて飾ると、これはこれで素敵です。

 でも、1メートルを越える大きさが良かったのだとも気づくのです。

 

 

超特急が始まる

 TOEIC対策の本、「特急シリーズ」の新刊が出ました。

 判型が少し大きくなった「超特急」です。

 

 表紙のデザインはほぼ同じですが、アイコンを新しくしました。

 パッと見た目にはわからない程度の小さな変化。

 

 アイコンは「カモノハシ」の愛称で親しまれた700系の新幹線をモデルにしています。

 この車両は2020年に引退して今は走っていません。

 最新のN700系をモデルにしたものも作ったのですが、選ばれませんでした。

 あまり可愛く描けなかったためではないかと。

 

 このシリーズが定着しますように。

 祈ることしかできません。

 

 

みんなでご飯を

 仕事関係の人たちが集まるランチ会に呼んでもらいました。

 同じプロジェクトに、それぞれの仕事で関わるプロフェッショナル10人が、中華の円卓を囲みました。

 こういう集まりは苦手です。

 何を話したらいいのかわかりません。

 専門的な話でもした方がいいのだろうか。

 

 「ちいかわって何? 猫?」

 そんなたわいもない話題で盛り上がりました。

 

 

朝陽館で買った2冊

 

 長野市にある書肆朝陽館は、週に2、3回は行きたい場所。

 窓際のカウンターで往来を眺めながら、店主が焙煎した美味しい珈琲を飲み、本を開く。

 そんな時間を過ごしたいブックカフェ。

 しかし残念ながら、自宅から店までは新幹線を使って2時間半ほど。

 次はいつ行けるだろうか。

 

 こんな本を買った。

 

『アイランドブックストア』

絵:クレヨンカンパニー

原作:竹田信弥

双子のライオン堂

 

 無人島に1冊だけ本を持っていくとしたら何を持っていくだろう。

 愛読書はないし、未読の本を読み始めてつまらなかったらどうしよう。

 そんなことを考えていると、何時間も経ってしまう。

 そんなことを考えてしまうコミック。

 

 

 

『ののの』

太田靖久

書肆汽水域

 

 寂寞感に包まれる小説集。

今年最後のお願い

 仕事が安定して入ってきますように。

 神頼みは大事です。

 大鷲神社の酉の市へお参りをしてきました。

 神社周辺の道には屋台が隙間なく並び、熊手が盛大に飾られています。

 しめ縄のようにも見え、今年も終わりだなあという気分になります。

 商店街へ行くとクリスマスソングが聞こえてきました。

 まだクリスマスがあった!

 2023年はあと少し。

 



 

文学フリマ東京37が終わって

 無事に終了しました。

 お越しいただいた方、お買い上げいただいた方、ありがとうございました。

 

 開場時間前から多くの人が入口前に並んでいて、これは大変なことになると心配しましたが、開場して何分経っても、何時間経っても、ぼくのブースの前は人通りがまばらでした。

 それでも、もしかしたらという希望を持っていたので、なかなかブースを離れてほかの人のところを見に行くことができませんでした。

 終了時間が近くなり、勇気を振り絞って10分ほどほかの人たちの作品を見て回りました。

 戻ってくると「買いたいという人がいらっしゃいましたよ」と隣のブースの人が教えてくれました。「また後で来るって」。

 この広い会場は、一度離れると同じ場所に戻ることが困難です。

 残念ですが、その人とは縁がなかったのです。

 ところが、しばらくしてその人は戻ってきてくれました。

 

 

 買った本

 『植物園』

 垂井真 さらさちさ・著

 

 手のひらサイズの蛇腹の手製本。

 片側は短歌、反対側は詩、2人の共作。

 柔らかな風合いの紙を使用し、薄いインクで印刷された余白も美しい作り。

 芯の強さが感じられる詩と、ユーモアが滲み出る短歌と。

 日曜日の朝に触れると、1日が詩的に彩られていく一冊。